タイトル: | 公開特許公報(A)_アミノレブリン酸の分離定量分析方法 |
出願番号: | 2014129645 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | G01N 30/88,G01N 30/26 |
平山 修治 JP 2015232536 公開特許公報(A) 20151224 2014129645 20140609 アミノレブリン酸の分離定量分析方法 株式会社Biomaterial in Tokyo 506414130 平山 修治 G01N 30/88 20060101AFI20151201BHJP G01N 30/26 20060101ALI20151201BHJP JPG01N30/88 FG01N30/88 101KG01N30/88 201GG01N30/26 A 5 書面 6 アミノレブリン酸の再現性と精度に優れた分離定量分析方法に関する。 アミノレブリン酸は、微生物・発酵分野では、ビタミンB12生産、ヘム酵素生産、微生物培養、ポルフィリン生産などに、動物・医療分野では、感染症治療、殺菌、ヘモフィラス診断、誘導体原料、除毛、リウマチ治療、がん治療、血栓治療、癌術中診断、動物細胞培養、UVカット、ヘム代謝研究、育毛、重金属中毒ポルフィリン症診断、貧血予防などに、植物分野では農薬などに、それぞれ有用であることが知られている。また、アミノレブリン酸は、除草剤、殺虫剤、植物成長調節剤、植物の光合成増強剤として優れ、また、人畜に対して毒性を示さず、分解性が高いため環境への残留性もないなどの優れた効果を示している。(特許文献1参照) さらに、医薬・農薬などの薬剤は、しばしば長期貯蔵を余儀なくされ、保存中に大気から水分を吸収することもあり、これにより変性が生じて、医薬や農薬としての一定の品質が保持できなくなることも知られている。また、過熱滅菌を必要とする場合も多く、熱処理に対する安定性の高さも求められることから、アミノレブリン酸はリン酸塩や塩酸塩として製造され、商品として提供されている。(特許文献2参照) 一方、これらのアミノレブリン酸の分析法は一般的に行われているエールリッヒ反応を利用した比色定量法とアミノレブリン酸とアセチルアセトンの反応による蛍光物質を生成し、その蛍光物質をLC分析する蛍光反応を用いた岡山法がある。比色定量法は妨害物質の影響を受けやすい、呈色安定性が悪い、検出感度が低い、などの再現性が乏しい問題がある。これらの問題を解決する方法として、岡山法は高感度で測定でき、生体中の微量アミノレブリン酸を測定するには優れた方法である。岡山法は、アミノレブリン酸の純度を分析するような品質管理の方法に適していないが、前処理を必要とするHPLCによる高感度な測定方法として注目されている。 特開2008−29272特開2008−44882 しかしながら、岡山法は、妨害物質の影響なく生体中の微量アミノレブリン酸分析に適しているが、アミノレブリン酸の製品を管理するには400倍程度の希釈を要し、希釈誤差を最小限に抑える必要がある。従って高含量アミノレブリン酸の品質管理法としては適切な方法でない。そのため、アミノレブリン酸の迅速で簡便な分離定量分析法の開発が望まれている。アミノレブリン酸の分離定量分析において、アミノレブリン酸は、米、大豆等の発酵製品に比較的に多く含まれ、その醗酵過程で多量に生成するγ−アミノ酪酸や他のアミノ酸とアミノレブリン酸を一般的に使用されているODSカラムを用いて分析するとγ−アミノ酪酸やアミノレブリン酸はボイドボリウムに溶出するため分離分析するのは困難であった。また、イオン交換カラムによる分離は長時間要するためルーチン分析として適当でなかった。 さらに、従来のアミノレブリン酸分析は煩雑であるが精度良く分析できる。されど、ルーチンとして利用できる分析の条件は、1.検量線は広い濃度範囲で直線性がある。2.前処理も含む再現性が担保されている。3.カラムに適度に保持され、吸着成分が少ない。4.他の定量法との相関関係があること。などがあげられる。分析を商業的に行うには、イ、カラムの寿命が長く使用できる。ロ、分析に要するランニングのコストが低減できること。ハ、測定作業の明確化、標準化ができること。ニ、システムとカラムの保守管理が容易であることなどがルーチン作業では求められ、これらが品質管理等の分析に求められることになる。近年、人の免疫作用やある種の癌細胞に作用し蛍光を発し、腫瘍の除去に応用されているなど、今後もアミノレブリン酸は人の健康に係る分野での応用が期待されており、アミノレブリン酸の簡便で高品質な分離定量方法が求められている。 かかる状況のもと、本発明者らはHILICカラムに属するANIDIUSカラムを使用することによってアミノレブリン酸をUV検出器 或いは、MS検出器を用いて検出でき、さらに醗酵で多量に生じるγ−アミノ酪酸やアミノ酸との分離分析を可能にし、ODSカラムでは保持が弱いためANIDIUSカラムを用い、醗酵で生成する各アミノ酸とアミノレブリン酸を分離分析できる溶媒系に注目し、親水性相互作用クロマトグラフィ用カラムを用いる分析方法が迅速で再現性が高く精度に優れたアミノレブリン酸の分離が可能であり、UV検出器或いは質量検出器で計測するアミノレブリン酸の分離定量分析法を見出し、本発明を完成させた。 すなわち、アミノレブリン酸を誘導体化することなくHILICカラムを用いて分離し、検出器で測定することを特徴とするアミノレブリン酸の分離定量分析方法とすることができる。さらに、固定相に導入基としてアミノプロピル基(−NH2)及び水酸基(−OH)を用いている。固定相のHILICカラムには比表面積300m2/g、平均細孔径14nm、細孔容積1.15mL/gのシリカ基材を用いるのが好ましい。他方、移動相に有機溶媒と水もしくは緩衝液を使用し、固定相に導入基としてアミノプロピル基(−NH2)及び水酸基(−OH)が用いていることができる。また、アミノレブリン酸を誘導体化することなくHILICカラムを用いて分離し、検出器で測定するアミノレブリン酸の分離定量分析方法とすることができる。移動相に有機溶媒としてメタノールを使用することができる。また、アミノレブリン酸を分離定量する際に内部標準としてウラシルを用い更に精度を高めることができる。 検出器により、アミノレブリン酸の濃度が30μg/mLから3000μg/mLの範囲では、HILICカラムを用い、UV検出器でアミノレブリン酸の分離定量分析ができる。さらに、アミノレブリン酸の濃度が30ng/mLから300μg/mLの低濃度の範囲では、HILICカラムを用い、質量検出器でアミノレブリン酸の分離定量分析ができるものである。 生体中のアミノレブリン酸の分析は岡山法を用いられていたが、蛍光物質を生成させるまで1時間程度要して煩雑であった。しかしながら、本発明を用いれば、生体中の微量アミノレブリン酸はANIDIUSカラムを用いたLC/MSのSIM分析することで誘導体化する前処理なしでngオーダーまで分析できるようになり、岡山法と同等の検出感度で分析できるようになった。以上のように、本分析法はアミノレブリン酸の高含有量(3mg/mL)から生体中の微量(30ng/mL)までアミノレブリン酸を誘導体に変えることなく分析できる。さらに溶媒はカラムの圧力を上げないで分離効果を最大限に挙げる溶媒としてアセトニトリルが用いられるが、価格が4倍以上することから汎用性のメタノールを用いることにより分析のコストを低減させることができるものである。ルーチン作業として使用する際にも再現性の確保、カラムの寿命の延長、システムとカラムの保守管理を優位に行えることによりランニングコストを低減させることができるものである。 アミノレブリン酸の検量線の一実施例ウラシルを内部標準に用いたアミノレブリン酸のクロマトグラムの一実施例1ngアミノレブリン酸のLC/MS(m/z132のSIM)の一実施例 [検量線の作成]1.標準溶液の作成 ALA−塩酸試薬約100mgを精秤し10mLにメスフィルする。 内部標準物質としてウラシル約1mgを精秤し10mLにメスフィルする。このウラシル溶液400μLをPCRチューブに採り600μLの純水を加えて40μg/1mLの内部標準溶液を作成する。上記のALA標準溶液の各50μL、100μL、200μLを1.5mLPCRチューブに採り内部標準液100μLを加え純水で全量を1mLとして検量線を作成する。2.測定方法 ALA−りん酸塩の原末約1gを精秤し100mLにメスフィルする。この溶液100μLを採り100μLのウラシル内部標準液を加えて純水で全量を1mLにしLC分析する。内部標準のウラシル約1mgを3〜4mLの40℃程度の純水に溶解し冷後、純水で10mLとする。このウラシルを400μL採り純水で1mLにする。この内部標準ウラシル4μgを含んだアミノレブリン酸の100μg〜2500μgの範囲で検量線を作成する。図1にアミノレブリン酸の検量線を示す。 醗酵法で生産したアミノレブリン酸を減菌濾過、脱色後スプレードライしたアミノレブリン酸約1gを正確に秤量し純水で100mLとする。このアミノレブリン酸溶液100μLと内部標準液100μL採り全量を1mLとして検液とする。 [分析条件]アミノレブリン酸の純度を求める分析条件は分析カラム:ANIDIUS 4.6×300mm溶離液:メタノール45%:純水25%:10mMギ酸アンモニュウム30%流量:0.8mL/min検出波長:270nmなお、図2に、ウラシルを内部標準に用いたアミノレブリン酸のクロマトグラム標準のクロマトグラムを示す。 [生体中のアミノレブリン酸の分析(尿中のALAの測定)]生体中のアミノレブリン酸分析は種々の遊離アミノ酸の影響を受けて分析できないが、以下の条件で分析できる。分析結果を図3に示す。[生体中のアミノレブリン酸の分析条件]分析カラム:ANIDIUS 4.6×300mm溶離液:メタノール45%:純水25%:10mMギ酸アンモニュウム30%流量:0.8mL/min [質量分析計の条件]イオン化法:ESI加速電圧:5.0kVニードル電圧:2.3kVオリフィス電圧:8.36Vリングレンズ電圧:48.64Vイオンガイド電圧:3.60V脱溶媒プレート温度:250℃オリフィス温度:80℃窒素流量:1.5L/minなお、図3に、1ngアミノレブリン酸のLC/MS(m/z132のSIM)の結果を示す。 アミノレブリン酸を誘導体化することなく親水性相互作用クロマトグラフィ(HILIC)カラムを用いて分離し、検出器で測定することを特徴とするアミノレブリン酸の分離定量分析方法 固定相に導入基としてアミノプロピル基(−NH2)及び水酸基(−OH)が用いている請求項1記載のアミノレブリン酸の分離定量分析方法 HILICカラムに比表面積300m2/g、平均細孔径14nm、細孔容積1.15mL/gのシリカ基材を用いている請求項2記載のアミノレブリン酸の分離定量分析方法 移動相に有機溶媒と水もしくは緩衝液を使用する請求項2記載のアミノレブリン酸の分離定量分析方法 移動相に有機溶媒としてメタノールを使用する請求項4記載のアミノレブリン酸の分離定量分析方法 【課題】アミノレブリン酸の簡便で高品質な分離定量方法を提供する。【解決手段】アミノレブリン酸を誘導体化することなく、固定相にアミノプロピル基、及び、水酸基を導入した親水性相互作用クロマトグラフィ(HILIC)カラムを用いて分離を行う。アミノレブリン酸が高濃度の範囲はUV検出器を用いて、ngオーダーの低濃度の範囲ではLC/MSを用いて検出が可能である。【選択図】なし