タイトル: | 公開特許公報(A)_イブプロフェン含有錠剤およびその製造方法 |
出願番号: | 2014117371 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 31/192,A61P 29/00,A61P 25/26,A61K 31/17,A61P 43/00,A61K 31/522,A61K 47/34,A61K 47/38,A61K 9/20,A61K 9/26 |
林 哲男 吉村 理 JP 2015229659 公開特許公報(A) 20151221 2014117371 20140606 イブプロフェン含有錠剤およびその製造方法 エスエス製薬株式会社 000102496 特許業務法人 小野国際特許事務所 110000590 林 哲男 吉村 理 A61K 31/192 20060101AFI20151124BHJP A61P 29/00 20060101ALI20151124BHJP A61P 25/26 20060101ALI20151124BHJP A61K 31/17 20060101ALI20151124BHJP A61P 43/00 20060101ALI20151124BHJP A61K 31/522 20060101ALI20151124BHJP A61K 47/34 20060101ALI20151124BHJP A61K 47/38 20060101ALI20151124BHJP A61K 9/20 20060101ALI20151124BHJP A61K 9/26 20060101ALI20151124BHJP JPA61K31/192A61P29/00A61P25/26A61K31/17A61P43/00 121A61K31/522A61K47/34A61K47/38A61K9/20A61K9/26 11 OL 12 4C076 4C086 4C206 4C076AA36 4C076AA41 4C076BB01 4C076CC04 4C076CC29 4C076DD29A 4C076EE06A 4C076EE31A 4C076EE32A 4C076FF70 4C076GG12 4C086AA10 4C086CB07 4C086MA03 4C086MA05 4C086MA35 4C086ZA25 4C086ZC75 4C206AA10 4C206DA24 4C206HA28 4C206MA03 4C206MA05 4C206MA55 4C206ZA08 4C206ZC75 本発明はイブプロフェン含有錠剤に関し、さらに詳細には、圧縮成型時のスティッキングや、打錠機のターンテーブルへの薬剤組成物の付着を防止したイブプロフェン含有錠剤およびその製造方法に関する。 イブプロフェンは、消炎鎮痛剤として広く使用されている薬物であり、経口投与製剤や非経口投与製剤として広く使用されている。 しかしながら、イブプロフェンの融点は75〜77℃と比較的に低融点であるため、イブプロフェンを配合した錠剤を製造する場合、圧縮発熱などにより圧縮成型で使用する杵に薬剤組成物が付着する打錠障害(スティッキング)をしばしば起こすことが知られている。そして、スティッキングが生じると、錠剤の一部が欠けたり、表面のツヤが失われたりするため、外観が好ましくないばかりか、含量の均一性にも影響を与えるという問題があった。 また、イブプロフェンを含有する錠剤を圧縮成型する場合、打錠機のターンテーブルにも薬剤組成物が付着しやすく、その付着量が多くなると打錠機が連続運転できなくなり、生産効率が低下するという問題も生じていた。 従来、スティッキング等を防止する方法として滑沢剤を増量する方法や、賦形剤を増量して打錠末中のイブプロフェンの比率を下げて打錠するなどの方法が知られているが、これらの方法では十分な量でイブプロフェンを配合しようとすると錠剤が大きくなって服用しにくくなり、また服用しやすい錠剤の大きさとすれば、十分な量でイブプロフェンが配合できないという欠点を有していた。 更に、特許文献1には、炭窒化チタンでコーティングした特殊な打錠用杵を使用することにより、スティッキングを防止したイブプロフェン含有錠剤の製造方法が、また特許文献2には、イブプロフェンをコポリビドンなどの可塑剤を含有するコーティング用組成物でコーティングしてから、滑沢剤や賦形剤を混合して打錠する方法が報告されている。 しかしながら、前者の方法では、特殊な打錠用杵が必要であり、また後者の方法では、あらかじめイブプロフェンをコーティング用組成物でコーティングしなければならず、手間がかかるという問題がある。 更にまた、従来からイブプロフェンとイブプロフェン以外の有効成分が混合された錠剤も知られているが、イブプロフェンと他の成分が混合された場合、薬剤組成物の融点降下により、圧縮成型時のスティッキングやターンテーブルへの薬剤組成物の付着の問題が更に深刻化し、この問題の解消がより強く求められている。特開2008−74719号公報特開2007−169273号公報 従って、本発明の課題は、イブプロフェンとその他の有効成分を含有する錠剤の製造において、スティッキングやターンテーブルへの薬剤組成物の付着を防止することができる製造方法を見出し、この方法により得られる服用しやすいイブプロフェン含有錠剤を提供することである。 本発明者らは、複数の有効成分が含有されたイブプロフェン含有錠剤を製造するにあたり、まず、打錠に用いるイブプロフェンを含有する顆粒とその他の有効成分を含有する顆粒をそれぞれ別々に造粒し、これらの顆粒を混合して打錠することを試みたが、薬剤組成物全体に対するイブプロフェンの含有量が多い場合は、スティッキングやターンテーブルへの薬剤組成物の付着の問題は解消できないことを知った。 そこで更に、本発明者らは、上記したイブプロフェンを含有する顆粒とその他の有効成分を含有する顆粒に配合する成分について、種々検討を進めたところ、それぞれの顆粒にポリビニルアルコール共重合体と低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを特定量で含有させることにより、スティッキングを防止できるとともに、ターンテーブルへの薬剤組成物の付着を起こさずに打錠できることを見出し、本発明を完成した。 すなわち本発明は、次の成分(a1)〜(a3)、 (a1)イブプロフェン (a2)ポリビニルアルコール共重合体 1〜8質量% (a3)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 5〜15質量%を含有する顆粒(A)と、次の成分(b1)〜(b3)、 (b1)アリルイソプロピルアセチル尿素および無水カフェインよりなる群から 選ばれる一種以上の有効成分 (b2)ポリビニルアルコール共重合体 0.5〜2.5質量% (b3)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 8〜11質量%を含有する顆粒(B)とをそれぞれ別個に造粒し、次いで得られた顆粒(A)と顆粒(B)を混合し、圧縮成型することを特徴とするイブプロフェン含有錠剤の製造方法である。 また本発明は、前記成分(a1)〜(a3)を含有する顆粒(A)と、前記成分(b1)〜(b3)を含有する顆粒(B)とを含有する打錠用組成物を圧縮成型することにより得られるイブプロフェン含有錠剤である。 本発明によれば、イブプロフェンと、これと組みあわせることで融点の降下が懸念される他種薬剤とを配合した場合であっても、錠剤の打錠に当たり、スティッキングや、打錠機のターンテーブルへの薬剤組成物の付着を防ぐことが可能である。また、上記のようにスティッキング等が起こらないため、錠剤の大きさを特段大きくする必要がなく、得られたイブプロフェン含有錠剤を服用しやすいものとすることができる。 本発明のイブプロフェン含有錠剤の製造に当たっては、イブプロフェンを含有する顆粒(以下、「顆粒(A)」という)と、有効成分としてアリルイソプロピルアセチル尿素および/又は無水カフェインを含有する顆粒(以下、「顆粒(B)」という)をそれぞれ別々に造粒しておくことが重要である。 イブプロフェンを含有する顆粒(A)は、成分(a1)としてイブプロフェン、成分(a2)としてポリビニルアルコール共重合体および成分(a3)として低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有する。 顆粒(A)におけるイブプロフェン(成分(a1))の含有量は、当該顆粒中、20〜95質量%(以下、単に「%」で示すこともある)の間にあり、50〜70%が好ましく、さらに好ましくは、58〜64%である。 また、顆粒(A)におけるポリビニルアルコール共重合体(成分(a2))の含有量は、当該顆粒中、1〜8%が好ましく、さらに好ましくは2〜4%である。このポリビニルアルコール共重合体としては、例えば、ポリビニルアルコール、アクリル酸およびメタクリル酸メチルを含有する共重合体(ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体:POVACOAT、日新化成株式会社)やポリビニルアルコール,ポリエチレングリコールを含有する共重合体(ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー:コリコートIR,BASF)等が好ましい。 更に、顆粒(A)における低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(成分(a3))の含有量は、当該顆粒中、5〜15%が好ましく、さらに好ましくは10〜13%である。この低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、そのヒドロキシプロポキシ基置換度が、例えば5〜20%が好ましく、さらに13.0〜15.9%であることが好ましい。また、粒子形態は短繊維状であるものが好ましく、この様な低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとして、例えば、信越化学工業株式会社製からNBD−020が市販されているので、これを用いることができるが、その他の製品を用いてもよい。 顆粒(A)には、さらに必要に応じて本願の発明の効果を損なわない範囲で、任意の成分を配合することができる。任意成分としては、後記するような、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動改善剤、その他の打錠助剤等が挙げられる。 顆粒(A)の造粒は、イブプロフェン(成分(a1))、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(成分(a3))および必要に応じて任意成分を混合し、この混合物に、20〜60%低級アルコール等適切な溶媒で溶解したポリビニルアルコール共重合体(成分(a2))を添加混合し、これを撹拌造粒法、押出し造粒法等の公知の造粒方法に従って造粒することにより行うことができる。このうち、製造効率の観点から撹拌造粒法を用いることが好ましい。 このようにして得られた造粒物は、必要に応じて解砕し、篩分けにより整粒することができる。顆粒(A)の粒子径は、平均粒子径が150〜500μm程度であり、好ましくは250〜355μmである。なお、顆粒の平均粒子径は、質量・体積分布により測定した値である。 一方、アリルイソプロピルアセチル尿素および/又は無水カフェイン(成分(b1))を有効成分として含有する顆粒(顆粒(B))は、この有効成分、ポリビニルアルコール共重合体(成分(b2))および低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(成分(b3))を含有する。 顆粒(B)におけるアリルイソプロピルアセチル尿素および/又は無水カフェイン(成分(b1))の含有量は、当該顆粒中、アリルイソプロピルアセチル尿素0〜95%,無水カフェイン0〜95%の範囲にあり、アリルイソプロピルアセチル尿素20〜70%,無水カフェイン20〜70%が好ましく、さらに好ましくは、アリルイソプロピルアセチル尿素35〜40%,無水カフェイン45〜55%である。 また、顆粒(B)におけるポリビニルアルコール共重合体(成分(b2))の含有量は、当該顆粒中、0.5〜2.5%が好ましく、さらに好ましくは1〜2%である。このポリビニルアルコール共重合体の好ましいものとしては、顆粒(A)において説明したものが挙げられる。 更に顆粒(B)における低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(成分(b3))の含有量は、当該顆粒中、8〜11%が好ましく、さらに好ましくは8.5〜10.5%である。この低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのヒドロキシプロポキシ基置換度は例えば5〜20%が好ましく、さらに13.0〜15.9%であることが好ましい。また、粒子形態は短繊維状であるものが好ましく、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの好ましいものの具体例としては、顆粒(A)において説明したものが挙げられる。 この顆粒(B)にも、顆粒(A)と同じく、さらに必要に応じて本願の発明の効果を損なわない範囲で、任意の成分を配合することができる。任意成分としては、後記する賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動改善剤、その他の打錠助剤等が挙げられる。 顆粒(B)の造粒は、アリルイソプロピルアセチル尿素および/又は無水カフェインの有効成分(成分(b1))、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(成分(b3))および必要に応じて任意成分を混合し、顆粒(A)の製造と同様に、この混合物に、20〜60%低級アルコール等適切な溶媒で溶解したポリビニルアルコール共重合体(成分(b2))を添加混合し、これを撹拌造粒法、押出し造粒法等の公知の造粒方法に従って造粒することができる。このうち、製造効率の観点から撹拌造粒法を用いることが好ましい。 得られた造粒物は必要に応じて解砕し、篩分けにより整粒される。顆粒(B)の粒子径は、平均粒子径が175〜650μmの範囲であり、好ましくは200〜300μmである。顆粒の平均粒子径は、顆粒(A)と同様に、質量・体積分布により測定した値である。 なお、前記したように、顆粒(A)および顆粒(B)の製造に当たっては、適切な任意成分を加えることができるが、このうち、賦形剤としては、一般的に固形製剤の製造において使用されるもの、例えば、乳糖、デンプン、コーンスターチ、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、精製白糖、糖アルコール類、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。これらの賦形剤は一種または二種以上使用できる。 また、任意成分のうち、結合剤としては、例えば、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリン、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどが挙げられ、その一種または二種以上使用できる。 更に崩壊剤としては、例えば、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、クロスリンクドインソルブルポリビニルピロリドン、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、バレイショデンプン、コーンスターチ、アルファー化デンプンなどが挙げられ、その一種または二種以上使用できる。 更にまた、滑沢剤としては、例えば、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコールなどが挙げられ、その一種または二種以上使用できる。 本発明のイブプロフェン含有錠剤は、上記顆粒(A)と顆粒(B)に、更に必要に応じて充填粉末成分を加え、これらを混合して打錠用組成物とし、更に常法に従って打錠することにより調製される。充填粉末成分としては、前記の賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動改善剤、その他の打錠助剤等が利用できる。 本発明のイブプロフェン含有錠剤の製造において、打錠用組成物中における顆粒(A)と顆粒(B)の配合量は、当該錠剤中での目的とするイブプロフェン(成分(a1))と、アリルイソプロピルアセチル尿素および/又は無水カフェイン(成分(b1))の量や割合による適宜調整することができるが、一般的には、顆粒(A)の配合量は、20〜80%が好ましく、さらに40〜70%が好ましい。また、顆粒(B)の配合量は、20〜80%が好ましく、さらに30〜60%が好ましい。なお、(B)/(A)で表わされる顆粒(A)と顆粒(B)の質量比が0.4〜2.4であることが好ましい。また、錠剤中のイブプロフェン(成分(a1))の含有量は、30〜50%が好ましく、さらに37.5〜42.5%が好ましい。 本発明のイブプロフェン含有錠剤は、上記したような、顆粒(A)と顆粒(B)を含有する打錠用組成物を、単発式打錠機、ロータリー式打錠機等を用いて圧縮成型することにより製造される。このときの圧縮成型時の圧力は、12〜22KNが好ましく、より好ましくは16〜20KNである。また、打錠後のイブプロフェン含有錠剤は、その直径が、約7.5〜9.5mm程度の丸型錠剤の服用しやすいものとすることが好ましい。 次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。 実 施 例 1 イブプロフェン 2480g、クロスカルメロースナトリウム 161.2g、軽質無水ケイ酸(日本アエロジル社製,アエロジル200) 396.8g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ社製、セオラスUF−711) 449.5gおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業社製、NBD−020) 449.5gを混合する。この混合物に、ポリビニルアルコール共重合体(12%ポバコート/60%エタノール(95)溶液)を775g加えて(ポバコートの乾燥重量 93g)、練合した後、撹拌造粒した。その後、70℃で乾燥後、整粒機で整粒して得られた顆粒(平均粒径250〜355μm)を顆粒(A)とした。 アリルイソプロピルアセチル尿素 1500g、無水カフェイン 2000g、軽質無水ケイ酸(富士シリシア社製、アドソリダー101) 50gおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業社製,NBD−020) 410gを混合する。この混合物に、ポリビニルアルコール共重合体(12%ポバコート/60%エタノール(95)溶液)を333.3g加えて(ポバコートの乾燥重量 40g)、練合した後、撹拌造粒した。その後、70℃で乾燥後、整粒機で整粒して得られた顆粒(平均粒径200〜300μm)を顆粒(B)とした。 上記のようにして得られた顆粒(A)1170g、顆粒(B)576gおよび軽質無水ケイ酸(日本アエロジル社製,アエロジル200) 50.4gを混合した後、タルク(日本タルク社製、ミクロエースP−3) 28.8gおよびステアリン酸マグネシウム 10.8gを加えて更に混合し、これをロータリー打錠機にて18KNの圧力で打錠し、255mg/tb.の素錠を製造した。 実 施 例 2 イブプロフェン 2480g、クロスカルメロースナトリウム 161.2g、軽質無水ケイ酸(日本アエロジル社製,アエロジル200) 396.8g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ社製、セオラスUF−711) 434gおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業社製,NBD−020) 434gを混合する。この混合物に、ポリビニルアルコール共重合体(12%ポバコート/60%エタノール(95)溶液)を1033.3g加えて(ポバコートの乾燥重量 124g)、練合した後、撹拌造粒した。その後、70℃で乾燥後、整粒機で整粒して得られた顆粒(平均粒径250〜355μm)を顆粒(A)とした。 アリルイソプロピルアセチル尿素 1500g、無水カフェイン 2000g、軽質無水ケイ酸(富士シリシア社製、アドソリダー101) 50gおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業社製,NBD−020) 387.5gを混合する。この混合物に、ポリビニルアルコール共重合体(12%ポバコート/60%エタノール(95)溶液)を520.8g加えて(ポバコートの乾燥重量 62.5g)、練合した後、撹拌造粒した。その後、70℃で乾燥後、整粒機で整粒して得られた顆粒(平均粒径200〜300μm)を顆粒(B)とした。 上記のようにして得られた顆粒(A)1170g、顆粒(B)576gおよび軽質無水ケイ酸(日本アエロジル社製、アエロジル200) 50.4gを混合した後、タルク(日本タルク社製、ミクロエースP−3) 28.8gおよびステアリン酸マグネシウム 10.8gを加えて更に混合し、これをロータリー打錠機にて18KNの圧力で打錠し、255mg/tb.の素錠を製造した。 上記実施例1〜2を表1に示す。比 較 例 1 実施例1の顆粒(A)おいて、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ社製、セオラスUF−711)を809.1g及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業社製、NBD−020)を89.9gと変更する以外は、実施例1の顆粒(A)と同様にして顆粒(A)を製造した。また、実施例1の顆粒(B)において、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ社製、セオラスUF−711)を360g及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業社製、NBD−020)を50gと変更する以外は、実施例1の顆粒(B)と同様にして顆粒(B)を製造した。このようにして得られた顆粒(A)および(B)を使用して実施例1と同様にして素錠を製造した。比 較 例 2 実施例1の顆粒(A)おいて、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ社製、セオラスUF−711)を418.5g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業社製、NBD−020)を418.5g及びポリビニルアルコール共重合体を155gと変更する以外は、実施例1の顆粒(A)と同様にして顆粒(A)を製造した。また、実施例1の顆粒(B)において、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(NBD−020)を325g及びポリビニルアルコール共重合体を125gと変更する以外は、実施例1の顆粒(B)と同様にして顆粒(B)を製造した。このようにして得られた顆粒(A)および(B)を使用して実施例1と同様にして素錠を製造した。比 較 例 3 実施例1の顆粒(A)において、軽質無水ケイ酸(日本アエロジル社製、アエロジル200)を186g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ社製、セオラスUF−711)を523.9g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業社製、NBD−020)を523.9g及びポリビニルアルコール共重合体を155gと変更する以外は、実施例1の顆粒(A)と同様にして顆粒(A)を製造した。また、実施例1の顆粒(B)において、軽質無水ケイ酸(富士シリシア社製、アドソリダー101)を0g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業社製、NBD−020)を375g及びポリビニルアルコール共重合体を125gと変更する以外は、実施例1の顆粒(B)と同様にして顆粒(B)を製造した。このようにして得られた顆粒(A)および(B)を使用して実施例1と同様にして素錠を製造した。 上記実比較例1〜3を表2に示す。 試 験 例 実施例1〜2および比較例1〜3の素錠を製造する際のスティッキング及びターンテーブルへの薬剤組成物の付着を調べた。素錠製造のための打錠は、いずれもロータリー打錠機に臼杵を4組セットし、ターンテーブルの回転数50rpmで行い、30分間打錠した後の杵へのスティッキング及びターンテーブルを観察した。下記の評価基準に従い観察を行い、評価した結果を表3に示す。 スティッキング: (評 価) (評価基準) −: スティッキングを全く認めない。 ±: スティッキングをほとんど認めない。 +: スティッキングを認める。 ++: 強くスティッキングを認める。 ターンテーブルへの薬剤組成物の付着: (評 価) (評価基準) −: ターンテーブルへの薬剤組成物の付着を全く認めない。 ±: ターンテーブルへの薬剤組成物の付着をほとんど認めない。 +: ターンテーブルへの薬剤組成物の付着を認める。 ++: ターンテーブルへの薬剤組成物の付着をやや多く認める。 +++:ターンテーブルへの薬剤組成物の付着をとても多く認める。 この結果から明らかなように、実施例ではスティッキング及びターンテーブルへの薬剤組成物の付着をほとんど認めないのに対し、比較例ではスティッキングが発生し、ターンテーブルにも薬剤組成物が多く付着した。 本発明によれば、イブプロフェンと、これと組みあわせることで融点の降下が懸念される他種薬剤とを配合した打錠用組成物の、打錠時のスティッキングや、打錠機のターンテーブルへの薬剤組成物の付着を有効に防ぐことが可能となる。 従って、イブプロフェン含有錠剤の製造において、作業性を向上させることができると共に、イブプロフェン含有錠剤の大きさを服用しやすいものとすることができるので、イブプロフェン含有錠剤の商品性向上にも有利に利用することができるものである。 以 上 次の成分(a1)〜(a3)、 (a1)イブプロフェン (a2)ポリビニルアルコール共重合体 1〜8質量% (a3)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 5〜15質量%を含有する顆粒(A)と、次の成分(b1)〜(b3)、 (b1)アリルイソプロピルアセチル尿素および無水カフェインよりなる群から 選ばれる一種以上の有効成分 (b2)ポリビニルアルコール共重合体 0.5〜2.5質量% (b3)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 8〜11質量%を含有する顆粒(B)とをそれぞれ別個に造粒し、次いで得られた顆粒(A)と顆粒(B)を混合し、圧縮成型することを特徴とするイブプロフェン含有錠剤の製造方法。 成分(a2)および/または成分(b2)のポリビニルアルコール共重合体が、ポリビニルアルコール、アクリル酸およびメタクリル酸メチルを含有する共重合体である請求項1記載のイブプロフェン含有錠剤の製造方法。 成分(a3)および/または成分(b3)の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのヒドロキシプロポキシ基置換度が5〜20%である請求項1または2に記載のイブプロフェン含有錠剤の製造方法。 顆粒(A)および/または顆粒(B)が撹拌造粒法により調製されたものである請求項1〜3の何れかの項に記載のイブプロフェン含有錠剤の製造方法。 顆粒(A)と顆粒(B)との質量比((B)/(A))が0.4〜2.4である請求項1〜4の何れかの項に記載のイブプロフェン含有錠剤の製造方法。 錠剤中のイブプロフェンの含有量が30〜50質量%である請求項1〜5の何れかの項に記載のイブプロフェン含有錠剤の製造方法。 顆粒(A)と顆粒(B)を、これらの質量比((B)/(A))が0.4〜2.4となるよう混合する請求項1〜6の何れかの項に記載のイブプロフェン含有錠剤の製造方法。 打錠を、12〜22KNの打錠圧で行う請求項1〜7の何れかの項に記載のイブプロフェン含有錠剤の製造方法。 次の成分(a1)〜(a3)、 (a1)イブプロフェン (a2)ポリビニルアルコール共重合体 1〜8質量% (a3)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 5〜15質量%を含有する顆粒(A)と、次の成分(b1)〜(b3)、 (b1)アリルイソプロピルアセチル尿素および無水カフェインよりなる群から 選ばれる有効成分の一種以上 (b2)ポリビニルアルコール共重合体 0.5〜2.5質量% (b3)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 8〜11質量%を含有する顆粒(B)とを含む打錠用組成物を圧縮成型することにより得られるイブプロフェン含有錠剤。 打錠用組成物に更に、充填粉末成分を配合した請求項9記載のイブプロフェン含有錠剤。 顆粒(A)と顆粒(B)が、これらの質量比((B)/(A))で0.4〜2.4となるよう含有された請求項9または10記載のイブプロフェン含有錠剤。 【課題】イブプロフェンとその他の有効成分を含有する錠剤の製造において、スティッキングやターンテーブルへの薬剤組成物の付着を防止することができる製造方法を見出し、この方法により得られる服用しやすいイブプロフェン含有錠剤を提供すること。【解決手段】成分(a1)イブプロフェン、成分(a2)1〜8質量%のポリビニルアルコール共重合体および成分(a3)5〜15質量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有する顆粒(A)と、成分(b1)アリルイソプロピルアセチル尿素および無水カフェインよりなる群から選ばれる一種以上の有効成分、成分(b2)0.5〜2.5質量%のポリビニルアルコール共重合体および成分(b3)8〜11質量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有する顆粒(B)とをそれぞれ別個に造粒し、次いで得られた顆粒(A)と顆粒(B)を混合し、圧縮成型するイブプロフェン含有錠剤の製造方法並びに当該方法により得られるイブプロフェン含有錠剤。【選択図】なし