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タイトル:公開特許公報(A)_多分岐脂肪族エステルの製造方法
出願番号:2014115902
年次:2015
IPC分類:C07C 67/08,C07C 69/24,C07C 67/54


特許情報キャッシュ

垣内 暢之 伏見 隆臣 大畑 光義 JP 2015229644 公開特許公報(A) 20151221 2014115902 20140604 多分岐脂肪族エステルの製造方法 日産化学工業株式会社 000003986 第三化成株式会社 591228340 萼 経夫 100068618 宮崎 嘉夫 100104145 加藤 勉 100104385 伴 知篤 100163360 垣内 暢之 伏見 隆臣 大畑 光義 C07C 67/08 20060101AFI20151124BHJP C07C 69/24 20060101ALI20151124BHJP C07C 67/54 20060101ALI20151124BHJP JPC07C67/08C07C69/24C07C67/54 14 OL 14 4H006 4H006AA01 4H006AA02 4H006AB60 4H006AB68 4H006AB90 4H006AC48 4H006AD11 4H006BA90 4H006BB70 4H006BC10 4H006BC31 4H006KA06 本発明は透明性の高い多分岐脂肪族エステルの製造方法に関する。 着色度の低い脂肪族エステルを得る方法が検討されている。高級脂肪族エステルは化粧品や潤滑油、分散剤、粘度調整剤等の多岐用途に渡るが、特に化粧品用途では着色性が低い高級脂肪族エステルが望まれている。 例えば多価アルコールと飽和脂肪族モノカルボン酸又はその誘導体とを反応させるエステルの製造方法であって、反応中に更に飽和脂肪族モノカルボン酸又はその誘導体を添加し、全体の飽和脂肪族モノカルボン酸又はその誘導体に対する多価アルコールの量が、1/1.1〜1/1.5であるエステルの製造方法が検討されている(特許文献1参照)。この製造方法では無触媒、無溶媒で行われている。 アルコールとカルボン酸との反応によってエステル化粗生成物を得て、該エステル化粗生成物に対して炭化水素溶媒を添加してアルカリ水溶液を用いて、過剰に加えたカルボン酸等を脱酸する工程を含むエステルの製造方法が開示されている(特許文献2参照)。アルコールとしては炭素数5〜30の直鎖アルコールが挙げられるが、分岐アルコールとしては3,5,5−トリメチルヘキサノール、イソノナノール等が挙げられる。分岐カルボン酸としては、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、イソノナン酸等が挙げられる。 イソステアリルアルコールとイソステアリン酸とのエステル化により得られたイソステアリルイソステアレートを成分とする滑り防止材が開示されている(特許文献3参照)。ここで用いられるイソステアリルアルコール又はイソステアリン酸と、他の酸又はアルコールとのエステル化反応により工業的に製造されたことが示されている(特許文献4参照)。 α・β分岐又はネオ構造を含むか又は含まない炭素数10以上の高級アルコールと硼酸エステル化剤から高級アルコール硼酸エステルを製造し、この硼酸エステルと炭素数10以上のα・β分岐又はネオ構造を有する高級脂肪酸のエステル交換反応によりα・β分岐又はネオ構造を有する高級脂肪族エステルを製造する方法が開示されている(特許文献4参照)。特開2008−013546号公報国際公開第2002/022548号パンフレット特開昭50−7789号公報特開昭49−48615号公報 従来、高級脂肪族アルコールと高級脂肪族カルボン酸から高級脂肪族エステルを製造する時に、溶剤中で酸触媒の添加により行われていたが、得られる高級脂肪族エステルは着色が起こり、生成物の高級脂肪族エステルを蒸留しても生成物から着色を取り除くことはできなかった。 本願発明では、高級脂肪族アルコールやカルボン酸の中でも、多分岐脂肪族アルコールと多分岐脂肪族カルボン酸を用いた場合には、無溶剤で無触媒で反応が進行し多分岐脂肪族エステルが得られ、その生成物はハーゼン色数(APHA)で示される着色性の値が十分に低いが、生成物を蒸留で除去することによって更に低いハーゼン色数(APHA)の多分岐脂肪族エステルが得られることを見いだした。 多分岐脂肪族アルコールと多分岐脂肪族カルボン酸とを無溶剤、無触媒下で反応しハーゼン色数(APHA)の低い多分岐脂肪族エステルを得る製造方法を提供する。 本願発明は第1観点として、多分岐脂肪族アルコールと多分岐脂肪族カルボン酸とを無溶剤、無触媒下で反応し多分岐脂肪族エステルを得た後、蒸留により精製した多分岐脂肪族エステルを得る製造方法であり、該アルコールと該カルボン酸の少なくとも一方が炭素原子数10〜30を有する化合物であり、得られた該エステルのハーゼン色数(APHA)が1〜30である上記製造方法、 第2観点として、炭素原子数10〜30の多分岐脂肪族アルコールと、炭素原子数7〜30の多分岐脂肪族カルボン酸とを反応し、炭素原子数17〜60の多分岐脂肪族エステルを得る第1観点に記載の製造方法、 第3観点として、炭素原子数7〜30の多分岐脂肪族アルコールと、炭素原子数10〜30の多分岐脂肪族カルボン酸とを反応し、炭素原子数17〜60の多分岐脂肪族エステルを得る第1観点に記載の製造方法、 第4観点として、炭素原子数10〜30の多分岐脂肪族アルコールと、炭素原子数10〜30の多分岐脂肪族カルボン酸とを反応し、炭素原子数20〜60の多分岐脂肪族エステルを得る第1観点に記載の製造方法、 第5観点として、1モルの多分岐脂肪族アルコールに対して、0.8〜2.5モルの多分岐脂肪族カルボン酸を反応させるものである第1観点乃至第4観点のいずれか一つに記載の製造方法、 第6観点として、多分岐脂肪族アルコール及び多分岐脂肪族カルボン酸は、それぞれ分子内に第3級炭素原子及び/又は第4級炭素原子を有し、分子内のそれら炭素原子の合計数が2個以上である該アルコール及び該カルボン酸である第1観点乃至第5観点のいずれか一つに記載の製造方法、 第7観点として、多分岐脂肪族アルコール及び多分岐脂肪族カルボン酸は、それぞれ分子内に第3級炭素原子及び/又は第4級炭素原子を有し、分子内のそれら炭素原子の合計数が2〜10である該アルコール及び該カルボン酸である第1観点乃至第5観点のいずれか一つに記載の製造方法、 第8観点として、多分岐脂肪族アルコールが1価アルコールである第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載の製造方法、 第9観点として、多分岐脂肪族アルコールがイソステアリルアルコール、イソアラキジルアルコール、又はトリメチルヘキシルアルコールである第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載の製造方法、 第10観点として、多分岐脂肪族カルボン酸が1価カルボン酸である第1観点乃至第9観点のいずれか一つに記載の製造方法、 第11観点として、多分岐脂肪族カルボン酸がイソステアリン酸、イソアラキジン酸、又はトリメチルヘキサン酸である第1観点乃至第9観点のいずれか一つに記載の製造方法、 第12観点として、反応が180〜300℃で行われる第1観点乃至第11観点のいずれか一つに記載の製造方法、 第13観点として、ハーゼン色数(APHA)が1〜20である第1観点乃至第12観点のいずれか一つに記載の製造方法、及び 第14観点として、下記式(1−1)、又は式(1−2):で示されるエステルである。 本願発明では高級脂肪族アルコールやカルボン酸の中でも多分岐高級脂肪族アルコールや多分岐高級脂肪族カルボン酸を原料に用い多分岐高級脂肪族エステルを製造する場合に、無溶剤で且つ無触媒でエステル化反応が進み多分岐高級脂肪族エステルが得られる。 原料アルコールと原料カルボン酸は、炭素原子数10〜30の多分岐脂肪族アルコールと、炭素原子数7〜30の多分岐脂肪族カルボン酸とを反応し、炭素原子数17〜60の多分岐脂肪族エステルを得る方法、 炭素原子数7〜30の多分岐脂肪族アルコールと、炭素原子数10〜30の多分岐脂肪族カルボン酸とを反応し、炭素原子数17〜60の多分岐脂肪族エステルを得る方法、 炭素原子数10〜30の多分岐脂肪族アルコールと、炭素原子数10〜30の多分岐脂肪族カルボン酸とを反応し、炭素原子数20〜60の多分岐脂肪族エステルを得る方法である。 即ち、該アルコールと該カルボン酸の少なくとも一方が炭素原子数10〜30を有する多分岐高級脂肪族化合物である場合に本願発明の製造方法が適用できる。 本願発明では酸化合物等の触媒を用いても比較的低温(120〜150℃程度)で反応は進行する。しかし、低温で反応させたにもかかわらず、得られた多分岐高級脂肪族エステルは酸触媒(スルホン酸等)の分解による成分が残留し、生成物のエステルは着色している。この着色したエステルは蒸留によっても着色が消えることはなかった。おそらく、着色成分がエステルと強く相互作用し、蒸留によっても除去できなかったものと考えられる。 本発明により得られるエステルは、低いハーゼン色数(APHA)を示すものであるが、このような効果は、分岐度の低いアルコールやカルボン酸を用いた場合には達成されず、例えば直鎖脂肪族高級アルコールと直鎖脂肪族高級カルボン酸は熱安定性が低く、その直鎖成分の分解生成物が生成物のエステルと強く相互作用し、得られたエステルは蒸留などでは十分に透明にできず、そのために着色したエステルになっていると考えられる。 また、本願発明に用いられるアルコールとカルボン酸は、少なくとも一方が炭素原子数10〜30を有する化合物となるが、該炭素原子数10〜30を有する化合物が反応性溶媒としての性質を有し、それにより一方又は両方が反応系内で溶剤としての役割を果たすものと考えられる。それによりアルコールとカルボン酸が相互に溶解し均一な反応系を形成し反応が進行するものと考えられる。 本願発明のアルコールやカルボン酸は炭素原子数10〜30を有すると共に、分岐度を示す第3級炭素原子や第4級炭素原子の数が特定数の割合で存在していることにより、高い熱安定性と高い相互溶解性が得られ、触媒の添加なしでも十分に反応が進行するために、従来品のエステルに比べてハーゼン色数(APHA)が低い(即ち、着色性が低い)エステルが得られる。 本願発明では特定の原料を選択し、無溶剤と無触媒で反応することによって、得られるエステルは着色がほとんどないため、着色されたエステル化合物が敬遠されるような用途、例えば化粧品や塗料や潤滑油等の分野に本発明で得られたエステルを有効に適用することができる。 また、本願発明ではカルボン酸がアルコールに対して当量比で多く存在させることにより、原料のカルボン酸が触媒的な効果を発揮すると考えられる。 本願発明は原料である特定のアルコールとカルボン酸を選択することにより、無溶剤であり且つ無触媒で反応を進行でき、その結果、ハーゼン色数(APHA)が低い(即ち、透明性の高い)エステルを得る製造方法である。 本願発明は多分岐脂肪族アルコールと多分岐脂肪族カルボン酸とを無溶剤、無触媒下で反応し多分岐脂肪族エステルを得る製造方法であり、該アルコールと該カルボン酸の少なくとも一方が炭素原子数10〜30を有する化合物であり、得られた該エステルのハーゼン色数(APHA)が1〜30、又は1〜20である上記製造方法である。 上記ハーゼン色数(APHA)は常温で液体の化学製品、又は加熱して溶融状態になる化学製品の色を試験する方法であり、日本工業規格JIS K0071−1や、国際規格ISO/DIS6271に記載されている方法に基づいて測定される。本発明においては常温で液体のエステルの色の測定に用いる。原理は液体の化学製品の色を、標準比色液(白金−コバルト標準比色液)と比較し、その結果をハーゼン単位色数として表記する。 ハーゼン色数の測定は日本工業規格では標準液と試料を肉眼で比べて判定するとしているが、本発明では測定装置を使って判定することができる。 ハーゼン標準色と試料の比較で光吸収曲線や屈折率が異なり、光電光度計や分光光度計でハーゼン色数の測定を行った場合に目視判定と異なる結果を生じない様に、光電色彩計の原理で肉眼判定に準じた測定値が得られる様なハーゼン色数測定機を使用することができる。例えば、株式会社エックス電子設計の商品名HM−IVを使用することができる。 本願発明では、炭素原子数10〜30の多分岐脂肪族アルコールと、炭素原子数7〜30の多分岐脂肪族カルボン酸とを反応し、炭素原子数17〜60の多分岐脂肪族エステルを得る製造方法が挙げられ、 また、炭素原子数7〜30の多分岐脂肪族アルコールと、炭素原子数10〜30の多分岐脂肪族カルボン酸とを反応し、炭素原子数17〜60の多分岐脂肪族エステルを得る製造方法が挙げられ、 また、炭素原子数10〜30の多分岐脂肪族アルコールと、炭素原子数10〜30の多分岐脂肪族カルボン酸とを反応し、炭素原子数20〜60の多分岐脂肪族エステルを得る製造方法が挙げられる。即ち、該アルコールと該カルボン酸の少なくとも一方が炭素原子数10〜30を有する化合物を用いることによって達成される。 多分岐脂肪族アルコール及び多分岐脂肪族カルボン酸は、それぞれ分子内に第3級炭素原子及び/又は第4級炭素原子を有し、分子内のそれら炭素原子の合計数が2個以上、又は3個以上、又は5個以上である該アルコール及び該カルボン酸を用いることができる。 そして、多分岐脂肪族アルコール及び多分岐脂肪族カルボン酸は、それぞれ分子内に第3級炭素原子及び/又は第4級炭素原子を有し、分子内のそれら炭素原子の合計数が2〜10、又は3〜10、又は5〜10、又は2〜5である該アルコール及び該カルボン酸を用いることができる。 そして、多分岐脂肪族アルコール及び多分岐脂肪族カルボン酸は、それぞれ分子内に第3級炭素原子と第4級炭素原子を有し、分子内のそれら炭素原子の合計数が2〜10、又は3〜10、又は5〜10、又は2〜5である該アルコール及び該カルボン酸を用いることができる。 多分岐脂肪族アルコールは1価アルコールを用いることができ、例えばイソステアリルアルコール(炭素原子数18)、イソアラキジルアルコール(炭素原子数20)、トリメチルヘキシルアルコール(炭素原子数9)が挙げられる。 多分岐脂肪族カルボン酸は1価カルボン酸を用いることができ、例えばイソステアリン酸(炭素原子数18)、イソアラキジン酸(炭素原子数20)、トリメチルヘキサン酸(炭素原子数9)が挙げられる。 上記アルコールやカルボン酸は1価の化合物が好ましく、2価、3価の化合物を用いた場合には重合が進みポリエステルを生じ、用途に適したエステルとすることができない。 上記エステルを製造する条件は、180〜300℃、又は200〜260℃の温度で1〜40時間、又は4〜25時間の反応を行って得られる。 アルコールとカルボン酸の割合は、1モルの多分岐脂肪族アルコールに対して、0.8〜2.5モル、好ましくは1.01〜2.5モル、好ましくは1.01〜1.3モルの多分岐脂肪族カルボン酸を反応させることができる。 反応容器は撹拌装置と環流装置が付いた容器で行い、窒素等のフロー装置で窒素を流すことが可能であり、エステル化反応の脱水による生成水を分離することができる。上記の容器は耐圧性の容器を用いることもできる。 反応に用いる容器は、ステンレス製反応容器や、ステンレス製容器の内側がガラス被覆されたグラスライニング製反応容器が挙げられる。ステンレス製反応容器を用いる場合は反応工程でステンレスからの成分の溶出の可能性もあるため、純度を落とさず、着色性の低い製品を得るためにグラスライニング製の反応容器を用いることが好ましい。 本願発明で得られるエステルは例えば以下に例示することができる。 上記アルコールとカルボン酸から得られたエステルは、その時点でハーゼン色数(APHA)が30〜80程度である。 上記製法では蒸留によりハーゼン色数(APHA)を1〜30、又は1〜20、又は1〜10、又は1〜6に低下したエステルを得ることができ、例えば、ハーゼン色数が4〜30、又は4〜20、又は4〜10のエステルが得られる。 蒸留は分子量の低いエステルであれば通常の減圧蒸留によって行われるが、高分子量エステルの場合は薄膜蒸留、短工程蒸留、分子蒸留等を用いることができる。蒸留条件は、例えば温度80〜300℃、減圧度0.05〜50Paで行うことができる。 また、本願発明は式(1−1)、又は式(1−2)で示される新規なエステルである。 試料の分析に用いた装置は以下の通りである。・GC(ガスクロマトグラフィー) 装置:島津製 GC−2010Plusシステム(純度を分析)・ハーゼンメーター 装置:株式会社エックス電子設計製、HM−IV(色相APHAを分析) 測定装置の光源は3色LEDであり、受光素子はシリコンフォトダイオードである。 装置内蔵のシステムでハーゼン計算処理を行いハーゼン色数を表示する。ハーゼン色数10〜1000の標準液と対比して、ハーゼン色数±2以内の精度(分解能はハーゼン色数1)で、ハーゼン色数0〜1000までの測定範囲で測定した。硬質ガラス試験管を用いた試料セルに約20mlの測定試料を入れ測定した。・NMR 装置:日本電子株式会社製 JNM−ECP300・GC−MS 装置:島津製 GCMS−QP2010Ultra・ICP−OES 装置:SII製 SPS−5520(実施例1/無触媒・無溶剤の反応) イソステアリルアルコール(5,7,7−トリメチル2−〔1,3,3−トリメチルブチル〕オクタノール−1(日産化学工業株式会社製、商品名FO−180、APHA=4))540gとイソステアリン酸(5,7,7−トリメチル2−〔1,3,3−トリメチルブチル〕オクタン酸−1(日産化学工業株式会社製、APHA=8))596gをステンレス製反応器中に加え、窒素フローをしながら250℃で21時間反応させた。結果、対応するエステル体であるイソステアリルイソステアレート(式(1−3)に相当)の粗物1066gを得た。GC分析の結果、イソステアリルイソステアレートが87.6%、イソステアリルアルコールが6.3%、イソステアリン酸が5.5%、その他の成分の合計が0.6%であった。この時点でのAPHAは29であった。 この粗物のうち1000gを短行程蒸留装置(ローラーワイパー式)を用いて蒸留精製を行った。残存するイソステアリルアルコールとイソステアリン酸を減圧度6.6〜8.6Pa、温度140℃で留出させた。結果、残分としてイソステアリルイソステアレート790gを得た。GC分析の結果、イソステアリルイソステアレートが98.6%、イソステアリルアルコールが0.1%、イソステアリン酸が1.0%、その他の成分の合計が0.3%であり、この時点でのAPHAは38であった。 得られた残分から同じ蒸留装置を用い、減圧度0.1Pa、温度150℃でイソステアリルイソステアレートを留出させた。得られた無色透明なイソステアリルイソステアレートは735gであり、GC分析の結果、イソステアリルイソステアレートが99.3%、イソステアリン酸が0.3%、その他の成分の合計が0.4%であり、APHAは9であった。ICP分析の結果、鉄分は検出されなかった。残分側には反応時にステンレス製反応器から混入した僅かな着色成分が除去され褐色であり、APHAは498であった。ICP分析の結果、鉄分が13ppm検出された。(実施例2/無触媒・無溶剤の反応) 実施例1と同様の手法で、反応器としてグラスライニング製反応器を用いてイソステアリルイソステアレートを合成した。 その粗物を通常の蒸留装置を用いて精製した。減圧度0.1Pa、温度270〜280℃でイソステアリルイソステアレート(式(1−3)に相当)を留出させ無色透明の目的物を得た。GC分析の結果、イソステアリルイソステアレートが99.8%、イソステアリン酸が0.2%であり、APHAは6であった。(実施例3/無触媒・無溶剤の反応) イソステアリルアルコール(5,7,7−トリメチル2−〔1,3,3−トリメチルブチル〕オクタノール−1(日産化学工業株式会社製、商品名FO−180、APHA=4))195gと、イソステアリン酸(5,7,7−トリメチル2−〔1,3,3−トリメチルブチル〕オクタン酸−1(日産化学工業株式会社製、APHA=8))410gをステンレス製反応器中に加え、窒素フローをしながら250℃で10時間反応させた。結果、対応するエステル体であるイソステアリルイソステアレート(式(1−3)に相当)の粗物493gを得た。GC分析の結果、イソステアリルイソステアレートが66.4%、イソステアリルアルコールが0.6%、イソステアリン酸が32.6%、その他の成分の合計が0.4%であり、この時点でのAPHAは77であった。 この粗物のうち240gを分子蒸留装置(柴田式流下薄膜蒸留機)を用いて蒸留精製を行った。減圧度0.6〜0.8Pa、温度120℃で留出させた。結果、留分として無色透明なイソステアリルイソステアレート88gを得た。このイソステアリルイソステアレートはAPHAが13であった。残分側には反応時にステンレス製反応器から混入した着色成分が除去され褐色であり、APHAは138であった。(実施例4/無触媒・無溶剤の反応) 3,5,5−トリメチルヘキサノール−1(東京化成工業株式会社製、APHA=3)151gと、イソステアリン酸(5,7,7−トリメチル2−〔1,3,3−トリメチルブチル〕オクタン酸−1(日産化学工業株式会社製、APHA=8))311gをステンレス製反応器中に加え、窒素フローをしながら200〜250℃で13時間反応させた。結果、対応するエステル体であるイソノニルイソステアレート(式(1−1)に相当)の粗物430gを得た。GC分析の結果、イソノニルイソステアレートが78.0%、3,5,5−トリメチルヘキサノール−1が4.1%、イソステアリン酸が17.6%、その他の成分の合計が0.3%であり、この時点でのAPHAは48であった。 この粗物のうち101gを通常の蒸留装置を用いて精製した。減圧度0.1Pa、温度205℃でイソノニルイソステアレートを留出させた。得られた無色透明なイソステアリルイソステアレートは27gであり、APHAは14であった。反応器残側には反応時にステンレス製反応器から混入した僅かな着色成分が除去され黄色であり、APHAは72であった。(実施例4で得られたイソノニルイソステアレートの分析結果)1H−NMR(300MHz,CDCl3,δppm):0.89−0.97(36H,m),1.02−1.15(6H,m),1.18−1.26(2H,m),1.34−1.53(2H,m),1.55−1.70(4H,m),1.73−2.19(2H,m),4.01−4.13(2H,m)GC−MS(CI) m/z:411.30(M+)(実施例5/無触媒・無溶剤の反応) イソステアリルアルコール(5,7,7−トリメチル2−〔1,3,3−トリメチルブチル〕オクタノール−1(日産化学工業株式会社製、商品名FO−180、APHA=4))251gと、3,5,5−トリメチルヘキサン酸−1(東京化成工業株式会社製、APHA=4)154gをステンレス製反応器中に加え、窒素フローをしながら200℃で4時間反応させた。結果、対応するエステル体であるイソステアリルイソノニレート(式(1−2)に相当)の粗物382gを得た。GC分析の結果、イソステアリルイソノニレートが94.2%、イソステアリルアルコールが3.3%、3,5,5−トリメチルヘキサン酸−1が2.3%、その他の成分の合計が0.2%であり、この時点でのAPHAは44であった。 この粗物のうち98gを通常の蒸留装置を用いて精製した。減圧度0.1Pa、温度205℃でイソステアリルイソノニレートを留出させた。得られた無色透明なイソステアリルイソノニレートは10gであり、APHAは8であった。反応器残側には反応時にステンレス製反応器から混入した僅かな着色成分が除去され黄色であり、APHAは141であった。(実施例5で得られたイソステアリルイソノニレートの分析結果)1H−NMR(300MHz,CDCl3,δppm):0.83−0.95(36H,m),0.97−1.13(6H,m),1.15−1.33(4H,m),1.19−1.33(2H,m),1.43−1.74(2H,m),1.99−2.40(2H,m),3.89−4.06(2H,m)GC−MS(CI) m/z:411.25(M+)(比較例1/触媒使用・無溶剤の反応) 触媒としてパラトルエンスルホン酸を用いてグラスライニング製反応器で120〜150℃でイソステアリルアルコール(5,7,7−トリメチル2−〔1,3,3−トリメチルブチル〕オクタノール−1(日産化学工業株式会社製、商品名FO−180、APHA=4))と、イソステアリン酸(5,7,7−トリメチル2−〔1,3,3−トリメチルブチル〕オクタン酸−1(日産化学工業株式会社製、APHA=8))を反応させることでイソステアリルイソステアレート(式(1−3)に相当)を合成した。結果、黄色の粗物を得た。この時点でのAPHAは162であった。この後、蒸留をしても触媒の分解物由来と思われる着色成分が、留出したイソステアリルイソステアレートに同伴して除去できなかった。蒸留後のAPHAは162であり、実施例1、2、3に比べて着色が大きかった。(比較例2/無触媒・無溶剤の反応) 触媒を使用せず、イソステアリルアルコール(2−オクチルデカン−1−オール(日産化学工業株式会社製、商品名FO−180T、APHA=5))200gと、イソステアリン酸(2−オクチルデカノイックアシッド(日産化学工業株式会社製、商品名イソステアリン酸T、APHA=10))221gをステンレス製反応器中に加え、窒素フローをしながら250℃で10時間反応させた。結果、対応するエステル体であるイソステアリルイソステアレート(式(2−1)に相当)の黄色の粗物402gを得た。 GC分析の結果、イソステアリルイソステアレートが87.7%、イソステアリルアルコール(2−オクチルデカン−1−オール)が3.2%、イソステアリン酸(2−オクチルデカノイックアシッド)が5.3%、その他の成分の合計が3.8%であった。この時点でのAPHAは191であり、同じステンレス製反応器を用いたにもかかわらず、実施例1、3に比べて着色が大きいのは、分岐が少なく比較的熱安定性が低い原料のイソステアリルアルコール(2−オクチルデカン−1−オール)とイソステアリン酸(2−オクチルデカノイックアシッド)、および生成物のイソステアリルイソステアレートが高温に曝された為に分解して着色した為と考えられる。 この粗物のうち115gの蒸留精製を行った。減圧度0.1Pa、温度270〜280℃でイソステアリルイソステアレートを留出させた。得られたイソステアリルイソステアレートは4gであり、APHAは79であり、蒸留しても実施例1、3に比べて着色が大きかった。これは原料、および生成物の分解物由来の着色が蒸留で除去できなかった為と考える。反応器残側には着色成分がある程度は除去され黄色であり、APHAは260であった。多分岐脂肪族アルコールと多分岐脂肪族カルボン酸とを無溶剤、無触媒下で反応し多分岐脂肪族エステルを得た後、蒸留により精製した多分岐脂肪族エステルを得る製造方法であり、該アルコールと該カルボン酸の少なくとも一方が炭素原子数10〜30を有する化合物であり、得られた該エステルのハーゼン色数(APHA)が1〜30である上記製造方法。炭素原子数10〜30の多分岐脂肪族アルコールと、炭素原子数7〜30の多分岐脂肪族カルボン酸とを反応し、炭素原子数17〜60の多分岐脂肪族エステルを得る請求項1に記載の製造方法。炭素原子数7〜30の多分岐脂肪族アルコールと、炭素原子数10〜30の多分岐脂肪族カルボン酸とを反応し、炭素原子数17〜60の多分岐脂肪族エステルを得る請求項1に記載の製造方法。炭素原子数10〜30の多分岐脂肪族アルコールと、炭素原子数10〜30の多分岐脂肪族カルボン酸とを反応し、炭素原子数20〜60の多分岐脂肪族エステルを得る請求項1に記載の製造方法。1モルの多分岐脂肪族アルコールに対して、0.8〜2.5モルの多分岐脂肪族カルボン酸を反応させるものである請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の製造方法。多分岐脂肪族アルコール及び多分岐脂肪族カルボン酸は、それぞれ分子内に第3級炭素原子及び/又は第4級炭素原子を有し、分子内のそれら炭素原子の合計数が2個以上である該アルコール及び該カルボン酸である請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の製造方法。多分岐脂肪族アルコール及び多分岐脂肪族カルボン酸は、それぞれ分子内に第3級炭素原子及び/又は第4級炭素原子を有し、分子内のそれら炭素原子の合計数が2〜10である該アルコール及び該カルボン酸である請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の製造方法。多分岐脂肪族アルコールが1価アルコールである請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の製造方法。多分岐脂肪族アルコールがイソステアリルアルコール、イソアラキジルアルコール、又はトリメチルヘキシルアルコールである請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の製造方法。多分岐脂肪族カルボン酸が1価カルボン酸である請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の製造方法。多分岐脂肪族カルボン酸がイソステアリン酸、イソアラキジン酸、又はトリメチルヘキサン酸である請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の製造方法。反応が180〜300℃で行われる請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の製造方法。ハーゼン色数(APHA)が1〜20である請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の製造方法。下記式(1−1)、又は式(1−2):で示されるエステル。 【課題】多分岐脂肪族アルコールと多分岐脂肪族カルボン酸とを無溶剤、無触媒下で反応しハーゼン色数(APHA)の低い多分岐脂肪族エステルを得る製造方法を提供する。【解決手段】多分岐脂肪族アルコールと多分岐脂肪族カルボン酸とを無溶剤、無触媒下で反応し多分岐脂肪族エステルを得た後、蒸留により精製した多分岐脂肪族エステルを得る製造方法であり、該アルコールと該カルボン酸の少なくとも一方が炭素原子数10〜30を有する化合物であり、得られた該エステルのハーゼン色数(APHA)が1〜30である上記製造方法。多分岐脂肪族アルコール及び多分岐脂肪族カルボン酸は、それぞれ分子内に第3級炭素原子及び/又は第4級炭素原子を有し、分子内のそれら炭素原子の合計数が2個以上である該アルコール及び該カルボン酸である。反応が180〜300℃で行われる上記方法。1価アルコールと1価カルボン酸を用いる上記方法。【選択図】なし


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