生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_炭酸ガスを溶解した油組成物及びその用途
出願番号:2014110258
年次:2015
IPC分類:A61K 8/19,A61K 8/37,A61K 8/49,A61K 8/02,A61Q 19/00


特許情報キャッシュ

鎌田 健資 福場 美紀 大和 雅文 JP 2015224224 公開特許公報(A) 20151214 2014110258 20140528 炭酸ガスを溶解した油組成物及びその用途 株式会社ヒロマイト 300052051 鎌田 健資 福場 美紀 大和 雅文 A61K 8/19 20060101AFI20151117BHJP A61K 8/37 20060101ALI20151117BHJP A61K 8/49 20060101ALI20151117BHJP A61K 8/02 20060101ALI20151117BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20151117BHJP JPA61K8/19A61K8/37A61K8/49A61K8/02A61Q19/00 5 OL 7 4C083 4C083AA112 4C083AB131 4C083AB132 4C083AC022 4C083AC102 4C083AC122 4C083AC331 4C083AC332 4C083AC841 4C083AC842 4C083AD152 4C083CC02 4C083DD08 4C083EE07 4C083EE12 本願発明は特定の油に炭酸ガスを溶解した組成物に関するものでマッサージオイル等の美容オイルとして主に使用される。炭酸ガスを高濃度に溶解した水は人体の皮膚に塗布すると炭酸ガスの作用により皮膚表面の毛細血管の血行が促進されることが知られている。そのために近年炭酸ガスを溶解した化粧水やジェルなどの化粧料が皮膚の美容に効果があると言われて多品種の商品が開発されて市販されている。炭酸ガスの血行促進作用の詳細な機序は明確でないが、皮膚表面に塗布する水や化粧水中の炭酸ガス濃度が高い程血行がより促進されることが皮膚へのパッチテストによる潮紅現象の増大からも明らかである。炭酸ガスの液体への溶解度は温度と圧力によって決まり物理化学定数として化学便覧などに掲載されているが、水に比べてエタノールや炭化水素などの方が大きい。本願発明者らはこの点に着目して水よりも大きな溶解度を示す液体で人体の化粧料などに使用しても安全な油成分を探索した。今までの特許文献を調査すると噴射剤として炭酸ガスを使用した化粧料エアゾール缶技術が古くから開発されており、そのエアゾール缶内の原液として油成分を含む技術が開示されている。特許文献1には安定なエマルジョンを形成し、冷却感のあるクリーム状の泡沫を与える油中水型泡状エアゾール組成物に関する技術が開示されている。この技術では噴射剤としてジメチルエーテルを用いているが、その場合油のエマルジョンを形成しがたくまたエマルジョンの安定性が悪くなるために噴射剤として炭酸ガスを併用することでこれらの課題を解決している。従って炭酸ガスが油に溶解することやその炭酸ガスが皮膚に塗布した場合に血行を促進するなどの記載は見られない。特許文献2には発泡性エアゾール組成物に関する技術が開示されている。本組成物はクレンジング剤などの用途に使用されるもので噴射剤として炭酸ガスが使用されているがその作用としては発泡性を良くして剤が皮膚となじみやすくするためで油への炭酸ガスの溶解やそれに伴う血行促進作用の記載は見られない。特許文献3はエアゾール型化粧料に関する発明でマッサージし易く洗い流した後も肌にしっとりとした感触を与えべたつきのないエアゾール型化粧料に関する技術を開示している。本技術に於いても噴射剤として炭酸ガスが使用されているがその作用効果は特許文献2と同じであり血行促進効果に関しての記載は無い。特開2001−72963号公報特開2011−20929号公報特開2011−93877号公報 本願発明者は先行技術の調査から炭酸ガスを溶解した油成分が水溶液と同様に皮膚に塗布した場合に血行促進効果を示す技術が無いことに着目して皮膚へのパッチテストで潮紅現象を調べた。その結果、油成分に溶解した炭酸ガスも水溶液と同様に潮紅現象を示し毛細血管の血行が促進されることを発見した。その場合、油成分の種類によって炭酸ガスの溶解度が変化することが判明し高濃度に溶解する油成分が血行促進効果が大きいものと想定された。そこで炭酸ガスの溶解度の大きい油を見つけ出し人体に使用しても安全な化粧料として商品化することを課題とした。上記課題は炭酸ジアルキル、炭酸アルケンからなる化合物の少なくとも一種類若しくは2種類以上の和の総量を50質量%以上含有する油成分に炭酸ガスを溶解してなる組成物で解決される。そして炭酸ジアルキルの中で炭酸ジカプリルが化粧料として広く使用されているので好ましい。また炭酸アルケンの中で炭酸プロピレンが化粧料として使用されているので安全性の観点から好ましい。更にこれらの組成物が炭酸ガスを噴射剤としてエアゾール缶に充填されている組成物であるのが炭酸ガスを高濃度に溶解出来ること、更に使用量を適切に選択できることから好ましい製品形体である。そしてこれらの組成物は人体の美容オイルとして使用するのが好ましい。本発明の組成物は炭酸ガスを高濃度に溶解した特定の油成分からなる組成物で人体の皮膚に塗布すると炭酸ガスの作用で皮膚の毛細血管の血行を促進する効果が明らかとなった。化粧料として従来から使用されている安全な油成分を用いることでマッサージオイルなどの美容オイルとしての利用が期待される。 本願発明者らは種々の油成分に対する炭酸ガスの溶解度を測定することで炭酸ジアルキルと炭酸アルケンが大きな炭酸ガスの溶解度を示すことを発見して本願発明を完成した。これらの炭酸化合物はオリーブ油やホホバ油などの高級脂肪酸のグリセリンエステルを主成分とする油、流動パラフィンやスクワレンなどの炭化水素類などに比べて有意に大きな炭酸ガスの溶解度を示した。その原因としてはこれらの炭酸化合物は炭酸ガスと類似の構造であるカーボネート結合を分子内に有しているために炭酸ガスに対する親和性が強く炭酸ガスを多く溶解するものと推定される。 炭酸ジアルキルとしては炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジエチルヘキシル、炭酸ジカプリル、C14−15ジアルキルカーボネートなどが例示される。この中で炭酸ジカプリルが化粧料に多く使用されており人体の皮膚に適用しても安全性が高いので好ましい。炭酸アルケンとしては炭酸エチレン、炭酸プロピレンが例示されるが炭酸プロピレンがやはり化粧料成分として使用されているので好ましい炭酸アルケンである。本願発明は炭酸ジアルキル、炭酸アルケンの少なくとも一種類若しくは二種類以上の化合物の和の総量が50質量%以上を含む油成分に炭酸ガスを溶解した組成物である。炭酸ジアルキルと炭酸アルケンの両化合物を含む場合、その両者の化合物の和が50質量%以上であることを意味する。炭酸ガスの溶解量が他の油に比べて大きいこれらの化合物を50質量%以上含む油成分とすることで混合油とした場合でも大きな炭酸ガスの溶解量を達成することが出来る。従って残りの50質量%未満は他の油成分を含んでいても良い。本発明の組成物を用いて商品化される化粧料の目的や作用によって他の油成分を適切に選択することが出来る。炭酸ガスを高濃度に溶解した油成分からなる組成物は美容オイル特にマッサージオイルとしての用途に適している。マッサージは皮膚の血行を良くするために行うものであるので、そこに炭酸ガスの血行促進効果が重なると皮膚の美容に大きな相乗効果が期待される。マッサージは油を皮膚に薄膜状に塗布してその上から手で皮膚を摩擦するので低粘度で使用後も皮膚上に残存せずにサッパリ感が保持できる油が好ましい。そのためには炭酸ジアルキル若しくは炭酸アルケンに上記機能を発現させる油を混合した組成物とするのが好ましい。これらの油成分としてはトリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ステアリン酸)グリセリルなどの脂肪酸のトリエステル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルなどの直鎖脂肪酸と低級アルコールのエステル、カプリン酸セチル、パルミチン酸セチルなどの高級脂肪酸と高級アルコールのエステル、モノカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコールなどのプロピレングリコールと脂肪酸のモノ及びジエステル、イソオクタン酸セチル、ヒドロキシステアリン酸オクチル等のエステル油、オリーブ油、ホホバ油、ヤシ油、グレープシード油、椿油などの油脂、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素類、オレイン酸などの高級脂肪酸、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール、ポリジメチルシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル類などが例示される。 高濃度の炭酸ガスを溶解した油をガーゼや脱脂綿に浸み込ませて内腕部分(色白部分)に一定時間貼付するとその部分が赤色に変化する(パッチテストと呼ぶ)。この現象を学術的には潮紅現象と呼んでいるが炭酸ガスが皮膚表面近傍の毛細血管に浸透することで毛細血管の血行が促進されるためで、別途血流測定装置を用いてその増加を定量的に評価することも可能である。本願発明者は水溶液で確認できていたこの潮紅現象を油でも確認することで本願発明のヒントを得た。 次に油成分の原液に炭酸ガスを溶解する方法について説明する。炭酸ガスの液体への溶解量はヘンリーの法則に従って気相のガスの圧力に比例して増加する。従ってオートクレーブなどの加圧容器内に原液を入れて攪拌し炭酸ガスで加圧すればその温度と圧力で決まる溶解量まで溶解する。このようにして炭酸ガスを溶解した原液を炭酸ガスに対してバリアー性のある素材、例えばプラスチックフイルム・ラミネート・アルミなどで製造された容器やエアゾール缶など入れて包装して製品とすることが出来る。エアゾール缶容器の場合、缶内に原液を入れて炭酸ガスで数気圧まで加圧することで炭酸ガスを原液に溶解すると同時に噴射剤として利用することが出来る。このエアゾール缶方式での製造は大きな炭酸ガス溶解設備が不要であると同時に炭酸ガスを噴射剤として用いるために0.5〜0.8MPa程度の高圧で原液は加圧されるので炭酸ガスの溶解量が大きくなる。即ち製造法の観点並びに製品の高性能化の観点からも優れた方式である。更に容器がアルミニウムなどの金属製であるために炭酸ガスのバリアー性は十分であり包装形体として優れた製品となる。但し、最初の原液に炭酸ガスを溶解せずにエアゾール缶内だけで炭酸ガスの加圧による溶解を行う場合、エアゾール缶内の気相の炭酸ガスが原液に溶解するために圧力低下を起こす。従って、缶を振動させてガスの原液への溶解を進行させて圧力低下が起こったら再度ガスの充填を行い規定の噴射圧力になるまでこの操作を繰り返す必要がある。前述のオートクレーブ方法やスタティックミキサーなどを用いて事前に炭酸ガスを原液に溶解し、この原液を噴射剤として炭酸ガスを用いてエアゾール缶に充填する方法も可能である。また、噴射剤として窒素や空気などの他の圧縮性気体を用いて炭酸ガス溶解の原液をエアゾール缶に充填することも可能である。以下に実施例を援用して本願発明をさらに説明する。炭酸飲料などに使用される肉厚のPETボトル(300ml)の底部凹凸部にウレタン樹脂を注入して固化させて底を平面状に加工した。このボトルの蓋としてガスの導入口及び排出口を設けたジグを樹脂で成型したものを用意した。このPETボトルに油などの液体を約30〜60g精秤して入れて回転子を入れた状態でボトルをマグネチック・スターラー上に設置した。樹脂成型の蓋をしてガス導入口をパイプで炭酸ガスボンベに接続した。 PETボトル内の液体上部の空気を炭酸ガスでパージして置換した後、ゲージ圧0.1MPa(従って気相の炭酸ガスの絶対圧は大気圧を0.1MPaとすれば0.2MPaになる)の炭酸ガスをボトルに導入して30分間回転子を回転させて液体を攪拌して炭酸ガスを溶解させた。炭酸ガスの溶解量は液体の入ったPETボトルを蓋をした状態でその重量を精秤して炭酸ガスの加圧溶解前後の重量変化から算出した。その場合、液体上部空間の炭酸ガスの重量や最初の空気の重量もボトル重量に含まれているので、液体部分だけの重量だけを算出する場合にこれら空間部の気体の重量を理想気体と仮定して気体の状態方程式より算出して補正した。液体の重量増加を溶解した炭酸ガスの重量として最初の仕込み液体重量で除した値を質量基準でppm表示した。各種の油と比較のための水についての測定結果を表1に纏めて示した。 これらの結果より油成分の中で炭酸ジアルキル、炭酸アルケンやシリコーンオイルが他の油脂や炭化水素類にくらべて炭酸ガスの溶解量が大きいことが解った。なお、水に対する炭酸ガスの溶解度は気相炭酸ガスの圧力が1気圧で1500ppm(25℃)と化学便覧から求められる。2気圧で2倍とすると3000ppmであるが、表1の重量法の測定値は2600ppmと若干低い値であった。 実施例1で調整した炭酸ガス溶解液体を用いてパッチテストを以下の手順で行った。まず化粧落とし用の脱脂綿シートから幅1cm、長さ5cm、厚み約3mmの肌貼付用の綿片を切り出した。試験液体として精製水(No.12)、炭酸ジカプリル(No.6)とスクワラン(No.4)を選び、先に用意した綿片をそれぞれの液体に浸漬して軽く絞った後に女性(30歳)の内腕の皮膚表面に横幅方向に1綿片を貼付した。次いでその隣に腕の長さ方向に約5mm間隔で残りの2綿片を同様に貼付して時間計測を開始した。第一回目のパッチテストは貼付してから5分経過後の綿片を除去して皮膚に付着した液体を脱脂綿で軽く拭きとりそれぞれのパッチ部位の潮紅現象を観察した。その結果潮紅現象による赤化はNo.12>No.6>No.4 の順番で炭酸水が強く、2種類の油では赤化はするが炭酸水より弱くNo.6の炭酸ジカプリルがNo.4のスクワランより若干赤化は強かった。 続いて行った第2回目のパッチテストも片方の内腕に1回目と同様に試験液体を含浸させた綿片を10分間パッチして1回目と同様にして潮紅現象を観察した。その結果3パッチ部位とも同じ程度の赤化を示し、N0.12は5分経過時よりも弱く、No.6と4の油は5分経過時よりも強くなっていた。 表1に示した炭酸ジカプリル、スクワラン、オリーブオイル、シリコーンオイルを質量%で50%、30%、15%、5%の割合で混合した油成分を調整した。この混合油50gを80mlの内容積を持つアルミ製のエアゾール缶に充填してキャップでシールしてからステムを通して炭酸ガスでエアゾール缶を加圧した。元圧を0.7MPaとして加圧してから缶を振って油への炭酸ガスの溶解を進行させるとエアゾール缶の内圧は0.25MPaまで低下した。複数回の加圧と振動を繰り返して内圧が0.55MPa以上のエアゾール缶を製造した。 数日経過後の上記エアゾール缶にアクチュエーターを装着してガスクロマトグラフ(GC)測定用サンプル管に内容物を噴射させて炭酸ガス溶解油成分をサンプリングしてGC法で炭酸ガスの濃度を測定した結果3500ppmであった。別途実施例1と同様にしてPETボトル内で上記の混合油に炭酸ガスを溶解した。重量法で測定したこの混合油の炭酸ガス濃度は8600ppmであったのでエアゾール缶の値はこの値と比較すると可なり低い値であったが、サンプリング時に試料が常圧下に戻るので試料中の炭酸ガスがかなり気散したものと推定された。エアゾール缶からの噴射試料、同じ混合油のPETボトルでの炭酸ガス溶解試料と炭酸水の3種類の液体を用いて実施例2と同様にしてパッチテストで潮紅現象を評価した。5分間パッチテストの結果皮膚の赤化の程度は 炭酸水>ボトル試料>エアゾール缶試料 の順であった。 本発明により水以外の油成分でも炭酸ガスを高濃度に溶解すると皮膚に塗布した場合、皮膚の毛細血管の血行を促進することが解った。従って、水溶液と同様に化粧品に利用することで美容に役立つことが期待される。炭酸ジアルキル、炭酸アルケンからなる化合物の少なくとも一種類若しくは2種類以上の和の総量を50質量%以上含有する油成分に炭酸ガスを溶解してなる組成物。) 炭酸ジアルキルが炭酸ジカプリルである請求項1の組成物。炭酸アルケンが炭酸プロピレンである請求項1の組成物。噴射剤が炭酸ガスであるエアゾール缶に充填されてなる請求項1から3の何れかの組成物。その用途が人体の美容オイルである請求項1から3の何れかの組成物。 【課題】炭酸ガスを溶解した油を皮膚に塗布すると皮膚表面の毛細血管の血行が促進されることを発見した。これに基づき炭酸ガスの溶解度が大きく且つ化粧料として使用しても安全な油成分を見つけ出すことで高濃度の炭酸ガスを溶解した美容オイルの開発を課題とした。【解決手段】炭酸ジアルキル、炭酸アルケンの少なくとも一種類若しくは2種類以上の和の総量を50質量%以上含有する油成分に炭酸ガスを溶解してなる組成物で課題を解決した。炭酸ジアルキルとしては炭酸ジカプリル、炭酸アルケンとしては炭酸プロピレンが好ましい化合物である。またこれらの組成物を炭酸ガスを噴射剤とするエアゾール缶内に包装することで炭酸ガスを高濃度に溶解した取扱いに優れた美容オイルとすることが出来た。【選択図】なし20150803A1633000083 上記課題は炭酸ジアルキル、炭酸アルケンからなる化合物の少なくとも一種類若しくは2種類以上の和の総量を50質量%以上含有する油成分に炭酸ガスを溶解してなる組成物で解決される。そして炭酸ジアルキルの中で炭酸ジカプリル(アルキル基がC8のカプリル基で炭酸ジカプリリルとも表記されている)が化粧料として広く使用されているので好ましい。また炭酸アルケンの中で炭酸プロピレンが化粧料として使用されているので安全性の観点から好ましい。更にこれらの組成物が炭酸ガスを噴射剤としてエアゾール缶に充填されている組成物であるのが炭酸ガスを高濃度に溶解出来ること、更に使用量を適切に選択できることから好ましい製品形体である。そしてこれらの組成物は人体の美容オイルとして使用するのが好ましい。


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