生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ウイスキー醸成材
出願番号:2014096280
年次:2015
IPC分類:C12G 3/06


特許情報キャッシュ

沓掛 由利子 JP 2015202105 公開特許公報(A) 20151116 2014096280 20140416 ウイスキー醸成材 沓掛 由利子 514113946 沓掛 由利子 C12G 3/06 20060101AFI20151020BHJP JPC12G3/06 5 1 書面 8 4B015 4B115 4B015MA02 4B115MA02 本発明は、瓶詰めされたウイスキーを含む蒸留酒等にウイスキー様の味覚や香気を添加するためのウイスキー醸成材に関する。 ウイスキーは、蒸留酒をオーク(木楢)材の樽に注ぎ入れて数年から十数年間貯蔵することにより、無色透明な蒸留酒がオーク材に含まれるリグニンやタンニンと反応し、琥珀色になるとともに、ウイスキー独特の熟成香が熟成される。このように醸成されたウイスキーは、ガラス瓶に注入されて出荷される。 ところが、ウイスキーの原酒をガラス瓶に注入された状態では、樽に貯蔵したよう状態で熟成が進むことはない。そこで、ガラス瓶に注入した状態であっても、ウイスキーの原酒を樽に貯蔵したように醸成する方法が、特開平9−207954号公報(特許文献1)に提案されている。また、特開2002−65239号公報(特許文献2)には、オーク樽でしか製造出来なかったウイスキー製造をオーク樽以外の容器でも可能にするために、ガラス製容器の中にオーク木片を入れ、ガラス製容器に蒸留酒を注ぎ入れることを提案している。 特開平9−207954号公報特開2002−65239号公報 このように、ガラス製容器にウイスキーの蒸留酒とオーク木片を入れて貯蔵することにより、オーク樽と同様に醸成することは、種々提案され試みられている。しかしながら、蒸留酒をウイスキー独特の琥珀色を発色させ、熟成香を醸し出すためには、オーク樽に貯蔵した場合と同様に数年間に及ぶ期間が必要である。また、長年の間には、ガラス製容器毎に醸成具合が異なる一方、変質等によって所定の琥珀色と熟成香が得られない問題が多々あった。 本発明の課題は、上述した問題点に鑑み、オーク材(木楢)に含まれるリグニンやタンニンを短期間で効率よく引き出し、ウイスキー独特の琥珀色と熟成香を醸し出すことができるウイスキー醸成材を提供することにある。 上記課題を解決するため、本発明によるウイスキー醸成材は、瓶詰めされたウイスキーを含む蒸留酒等に木質醸成材を浸漬してウイスキー様の味覚や香気を添加するためのウイスキー醸成材であって、前記ウイスキー醸成材は、木楢からなる微小な木質体に形成されるとともに一部が焙煎され、この木質体を透水性バッグに所定量収納したことを要旨としている。 さらに、木楢からなる木質材は、ほぼ50μmから2mmの粒径を有する粒体に形成することが好ましい。 また、木楢からなる木質材を繊維体に形成するようにしても良い。 一方、透水性バッグは、木質材よりも小さいメッシュを有するティーバッグ状の袋体に形成される。 また、透水性バッグは、蒸留酒等が収容される瓶の瓶口の内径よりも小さい外径とした略円柱状に形成しても良い。 本発明のウイスキー醸成材によれば、木楢からなる一部を焙煎した微小な木質体を透水性バッグに収納し、この透水性バッグの容器に収納した蒸留酒等に浸漬すると、木質体を微小に形成していることから、短時間で木質体に含まれるリグニンやタンニンが効率よく引き出され、ウイスキー独特の琥珀色と熟成香を醸し出すことができる。さらに、微小に形成した木質体を焙煎しているので、ウイスキーの蒸留酒を熟成させるオーク材の樽の内部を焼成した場合と同様の琥珀色と熟成香を他時間で醸し出せる。また、微小な木質体を透水性バッグに収納しているので、取り扱いが容易であり、しかも、安価に製造することができる。 また、木楢からなる木質材を、ほぼ50μmから2mmの粒径を有する粒体に形成すると、蒸留酒等と接触する表面積が大きくなり、しかも、木質材の内部から短時間でリグニンやタンニンが効率よく引き出されるので、ウイスキー様の琥珀色と熟成香を醸し出すことが可能となる。 木楢からなる木質材を粉砕機により加工すると、木質材の繊維質が残留して繊維体に形成することが可能であり、この繊維質のウイスキー醸成材の一部を焙煎した状態で蒸留酒等に浸漬すると、リグニンやタンニンが繊維質の内部から一層短時間に効率よく引き出されるので、ウイスキー様の琥珀色と熟成香を一段と早期に醸し出すことが可能となる。 ウイスキー醸成材を収容する透水性バッグを、ティーバッグ状の袋体に形成すると、袋体のメッシュを介して蒸留酒等が容易に出入り可能となる、効率的に醸成することができる。しかも、袋体を木質材よりも小さいメッシュとすることにより、内部のウイスキー醸成材が外部に流出しないので、所定の透明度を確保することが可能となる。 透水性バッグを、瓶の瓶口の内径よりも小さい外径とした略円柱状に形成することにより、細口の瓶に蒸留酒等を収容した場合であってもウイスキー醸成材を浸漬させることが可能となり、多種の容器を用いることができる。 本発明によるウイスキー醸成材を浸漬した状態を示す斜視図である。本発明によるウイスキー醸成材を示す正面図である。(A)(B)は、ウイスキー醸成材を示し、(A)は粒体を示し、(B)は繊維体を示す。略円柱状に形成した透水性バッグを示す斜視図である。略円柱状に形成した透水性バッグを細口の瓶に押入する状態を示す断面図である。樽にウイスキー醸成材を浸漬した状態を示す斜視図である。 本発明によるウイスキー醸成材は、瓶詰めされたウイスキーを含む蒸留酒等に木質醸成材を浸漬してウイスキー様の味覚や香気を添加するためのウイスキー醸成材であって、前記ウイスキー醸成材は、木楢からなる微小な木質体に形成されるとともに一部が焙煎され、この木質体を透水性バッグに所定量収納し、蒸留酒等に浸漬する。この微小な木質体の内部から、リグニンやタンニンが引き出され、蒸留酒等がウイスキー様の琥珀色と熟成香を醸し出す。 以下、図面に基づいて本発明の好適な実施例について説明する。図1は、本発明によるウイスキー醸成材を蒸留酒等に浸漬した状態を示している。ガラス瓶1には、蒸留酒2として、例えば、瓶詰めされた市販のウイスキーやホワイトリカーが収納されている。そして、蒸留酒2の内部には、ウイスキー醸成材3が浸漬される。ウイスキー醸成材3は、図2に示すように、透水性バッグ4に収容されている。 ウイスキー醸成材3は、図3(A)に示すように、木楢からなる木質材3aを、ほぼ50μmから2mmの粒径を有する粒体に形成されている。木楢は、ウイスキーを熟成するために用いられる樽と同じ木材であり、ウイスキー独特の琥珀色と熟成香を醸し出すことができる。木楢の木材は、破砕機によってチップ状に粉砕し、さらに、ほぼ50μmから2mmの粒径になるまで破砕される。 このように粒体に形成された木質材3aは、その後の工程で木質材3aの少なくとも表面が焦げるまで焙煎することにより、ウイスキー醸成材3が形成される。このように焙煎する温度は、摂氏150度乃至220度が好ましい。木質材3aは、好ましくは、十分乾燥させた状態の木楢が好ましいが、生木であっても、焙煎するときに乾燥させることができる。また、上述した破砕加工を行うときに、微粉末が生ずるが、焙煎によって微粉末が焼成されて灰になるので、この軽量の灰を吹き飛ばすことによって容易に除去することができる。なお、予め篩によって微粉末を除去しても良い。 図3(B)は、木質材3aを繊維体に形成したものである。木楢の木材を破砕機によってチップ状に粉砕したのち、ミルカッターによってチップを裁断すると、木材に含まれる繊維質が残り、綿状の繊維体が形成される。この繊維体からなる木質材3aを少なくとも一部が焦げるまで焙煎することにより、ウイスキー醸成材3が形成される。 一方、透水性バッグ4は、周知のティーバッグやコーヒーフィルターを使用することが好ましい。ティーバッグは、ポリアミド樹脂からなる糸を100メッシュ程度の目の大きさの布状に織ったメッシュ型、或いは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の極細繊維を使用した不織布型がある。また、コーヒーフィルターは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の超極細繊維を使用した不織布型があり、いずれも使用可能である。 これらのティーバッグやコーヒーフィルターは、テトラバッグ型或いは平バッグ型に形成され、内部にウイスキー醸成材3を入れる。1個の透水性バッグ4にウイスキー醸成材3を入れる量は、蒸留酒2の種類や好みによって適宜に決めるが、蒸留酒2の重量に対して、概ね1重量%乃至10重量%が好ましい。 このような周知のティーバッグやコーヒーフィルターを使用するためには、ウイスキー醸成材3の粒子の大きさをほぼ50μmから2mmの粒径が好ましく、50μmよりも小さい場合には、バッグやフィルターからなる透水性バッグ4の目から飛び出し、蒸留酒2を濁してしまう問題が生ずる。また、ウイスキー醸成材3の大きさを2mmの粒径にした場合には、木質体の内部からリグニンやタンニンが引きし難くなる問題が生ずる。 図4は、透水性バッグの変形例を示し、透水性バッグ5を略円柱状に形成し、内部にウイスキー醸成材3を収容したものである。この透水性バッグ5は、図5に示すような、一般に市販されているウイスキー用の細口の瓶6に使用するため、外径寸法を瓶6の口6aの内径寸法よりもやや小さく形成されている。透水性バッグ5に収容するウイスキー醸成材3の量は、前述したように、瓶6に瓶詰めされた蒸留酒2の重量に対し、概ね1重量%乃至10重量%としている。略円柱状に形成した透水性バッグ5は、図5に示すように、瓶6の口6aから挿入して、蒸留酒2にウイスキー醸成材3を浸漬させる。このように、ウイスキー用の細口の瓶6を使用可能にすることにより、多種の容器を用いることができるようになる。なお、略円柱状に形成した透水性バッグ5の外径寸法は、瓶6の種類に応じて適宜に設定することが望ましい。 図6は、ウイスキー樽と同型のミニチュア樽7を示している。このミニチュア樽7は、720ml乃至数1の容量を有し、ウイスキー樽と同じ材質の木楢によって形成しても良く、或いは、ガラスや陶器で形成しても良い。そして、ミニチュア樽7の内部には蒸留酒2が収納され、上面に形成された口7aから上述したような、ウイスキー醸成材3を収容した透水性バッグ5を入れて蒸留酒2に浸漬させる。 次に、上述したガラス瓶1、ウイスキー瓶6或いはミニチュア樽7に収容された蒸留酒2の醸成について説明する。まず、蒸留酒2として、瓶詰めされた市販のウイスキーを醸成する方法を説明する。市販のウイスキーは、周知のように、オーク(木楢)材によって造られた樽に無色のウイスキー原酒を詰めた後、3年以上の期間をかけて貯蔵する。このとき、ウイスキー原酒は、オーク材によって琥珀色に変化するとともに、ウイスキー特有の香りと味わいに熟成される。このような香りと味わいは、熟成期間によって異なり、8年未満では、未成熟な荒削りな香りと味わいとなる。そこで、ガラス瓶1に蒸留酒2として熟成期間の短い市販のウイスキーを収容し、この蒸留酒2にウイスキー醸成材3を収容した透水性バッグ4を浸漬する。 市販のウイスキーからなる蒸留酒2は、期間が短いものの既に醸成されているので、ウイスキーの琥珀色と特有の香りを有しているが未成熟である、この蒸留酒2にウイスキー醸成材3を浸漬して数分後、ほぼ50μmから2mmの粒径の粒子、または、繊維体としたウイスキー醸成材3からリグニンやタンニンが抽出される。この結果、ウイスキーが短時間で醸成され、荒削りな香りと味わいが無くなり、12年以上をかけて醸成したウイスキーと同等の芳醇な香味に変化する。なお、ウイスキー醸成材3を継続して浸漬した場合には、更に熟成が進み、一段と芳醇な香味となるが、一定期間が経過すると、ウイスキー醸成材8が小さな粒子もしくは繊維体に形成されているために飽和状態となり、最高の熟成度合いで維持される。 さらに次は、蒸留酒2として、ホワイトリカーをウイスキーに変化させる方法を説明する。市販のホワイトリカーは無色透明である。このホワイトリカーをガラス瓶1に収容した後、ウイスキー醸成材3を収容した透水性バッグ4を浸漬する。この蒸留酒2であるホワイトリカーにウイスキー醸成材3を浸漬して数分後、ほぼ50μmから2mmの粒径の粒子、または、繊維体としたウイスキー醸成材3からリグニンやタンニンが抽出される。この結果、ホワイトリカーが短時間で醸成され、ウイスキー様の琥珀色に変化するとともに、ウイスキー様の香りと味わいに変化する。これは、ウイスキー醸成材3となる木質材3aの少なくとも表面が焦げるまで焙煎されているからである。このように、ホワイトリカーであっても、容易にウイスキーに酷似した芳醇な香味にすることができる。なお、ホワイトリカーの他、焼酎であっても同様にウイスキー様のアルコール飲料を製造することができる。 このように、ウイスキー醸成材3を収容した透水性バッグ4を浸漬することにより、ウイスキー様の香りと味わいを有する飲料を製造することが可能である。例えば、アルコール分を含まない飲料水にウイスキー醸成材3を収容した透水性バッグ4を浸漬することにより、ウイスキー醸成材3の粒子からリグニンやタンニンが醸し出され、飲料水がウイスキー様の琥珀色に変化するとともに、ウイスキーに類似した芳醇な香味に変化する。これにより、ノンアルコールのウイスキー飲料を容易に製造することが可能である。このウイスキー飲料の場合も、飲料水にウイスキー醸成材3を長時間浸漬しても、ウイスキー醸成材3が小さな粒子のために飽和状態となり、所定の熟成状態が維持される。 以上、本発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。例えば、上述した実施例においては、ウイスキー醸成材として木楢からなる微小な木質体を使用したが、木楢からなる微小な木質体に、桜や楓等の他の微小な木質体をブレンドして、香味に変化を与えても良い。 1 ガラス瓶2 蒸留酒3 ウイスキー醸成材3a 木質材4 透水性バッグ5 略円往状の透水性バッグ6 瓶6a 口 瓶詰めされたウイスキーを含む蒸留酒等に木質醸成材を浸漬してウイスキー様の味覚や香気を添加するためのウイスキー醸成材であって、 前記ウイスキー醸成材は、木楢からなる微小な木質体に形成されるとともに一部が焙煎され、この木質体を透水性バッグに所定量収納したことを特徴とするウイスキー醸成材。 木楢からなる木質材が、ほぼ50μmから2mmの粒径を有する粒体に形成された請求項1に記載のウイスキー醸成材。 木楢からなる木質材が、繊維体に形成された請求項1に記載のウイスキー醸成材。 透水性バッグは、木質材よりも小さいメッシュを有するティーバッグ状の袋体に形成された請求項1乃至2に記載のウイスキー醸成材。 透水性バッグは、蒸留酒等が収容される瓶の瓶口の内径よりも小さい外径とした略円柱状に形成された請求項1及び2に記載のウイスキー醸成材。 【課題】 オーク材(木楢)に含まれるリグニンやタンニンを短期間で効率よく引き出し、ウイスキー独持の琥珀色と熟成香を醸し出すことができるウイスキー醸成材を提供する【解決手段】 ウイスキー醸成材3は、瓶詰めされたウイスキーを含む蒸留酒2等に木質材を浸漬してウイスキー様の味覚や香気を添加するものであり、ウイスキー醸成材3は、木楢からなる微小な木質体3aに形成されるとともに一部が焙煎され、この木質体3aを透水性バッグ4に所定量収納している。【選択図】図1


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