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タイトル:公開特許公報(A)_化合物、光硬化性組成物、硬化物、これを用いた、パターン形状を有する膜の製造方法、光学部品の製造方法、回路基板の製造方法、電子部品の製造方法
出願番号:2014096145
年次:2014
IPC分類:C07C 217/08,C08F 2/48,B29C 39/02,B29C 59/02,H01L 21/027


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伊藤 俊樹 本間 猛 米澤 詩織 佐藤 仁至 川▲崎▼ 陽司 JP 2014237632 公開特許公報(A) 20141218 2014096145 20140507 化合物、光硬化性組成物、硬化物、これを用いた、パターン形状を有する膜の製造方法、光学部品の製造方法、回路基板の製造方法、電子部品の製造方法 キヤノン株式会社 000001007 阿部 琢磨 100126240 黒岩 創吾 100124442 伊藤 俊樹 本間 猛 米澤 詩織 佐藤 仁至 川▲崎▼ 陽司 JP 2013099551 20130509 C07C 217/08 20060101AFI20141121BHJP C08F 2/48 20060101ALI20141121BHJP B29C 39/02 20060101ALI20141121BHJP B29C 59/02 20060101ALI20141121BHJP H01L 21/027 20060101ALI20141121BHJP JPC07C217/08C08F2/48B29C39/02B29C59/02 ZH01L21/30 502D 22 OL 25 4F204 4F209 4H006 4J011 5F146 4F204AA44 4F204AB03 4F204AC05 4F204AF01 4F204AG05 4F204AH33 4F204EA03 4F204EB01 4F204EF01 4F204EF27 4F204EK17 4F204EK18 4F204EK24 4F209AA16A 4F209AA44A 4F209AF01 4F209AG05 4F209AH33 4F209AH73 4F209AM30 4F209PA02 4F209PB01 4F209PN07 4F209PN09 4H006AA01 4H006AB76 4H006AB92 4H006BM10 4H006BM71 4H006BP10 4H006BU32 4J011AA03 4J011AA06 4J011AC04 4J011PA36 4J011PB40 4J011PC02 4J011PC08 4J011QA03 4J011QA12 4J011SA00 4J011TA08 4J011TA10 4J011UA01 4J011VA01 4J011WA01 5F146AA33 5F146AA34 本発明は、化合物、光硬化性組成物、硬化物、これを用いた、パターン形状を有する膜の製造方法、光学部品の製造方法、回路基板の製造方法、電子部品の製造方法に関する。 光ナノインプリント法は、被加工基材等の基板上に、所定のパターン形状を有するレジスト膜を作製する方法の1つである。 光ナノインプリント法において、光照射工程に長時間要する場合、生産性が低くなるという問題がある。また、モールドをレジスト硬化物から引き離す力(離型力)が大きいと、パターンに欠陥が生じる、基板がステージから浮き上がって位置合わせ精度が低下するなどの問題が生じる。 このような問題に対して、特許文献1では、光ナノインプリント法において、光硬化性組成物に水素供与体を添加し、光硬化速度を向上する技術が開示されている。 また、特許文献2には、離型力を低減するために、光硬化性組成物にフッ素系界面活性剤を添加する技術が開示されている。特開2010−114209号公報特開2007−084625号公報 しかしながら、生産性を向上するため、更なる光硬化速度の向上が必要とされており、また、モールドとの離型力を低減する更なる技術が求められている。 そこで、本発明では、下記一般式(1)に示される化合物を提供する。 一般式(1) (一般式(1)において、Rfは、少なくとも一部がフッ素原子で置換されたアルキル基、ROはオキシアルキレン基もしくはオキシアルキレン基の繰り返し構造、Nは窒素原子、RAはアルキル基、RBはアルキル基もしくは水素原子を示す) 本発明によれば、光ナノインプリント法において、高感度、かつ、離型力が低い光硬化組成物、それを実現する化合物、及び光硬化組成物を用いた、硬化膜、膜の製造方法、光学部品の製造方法、回路基板の製造方法、電子部品の製造方法を提供することができる。本実施形態の膜の製造方法の例を示す模式断面図である。光照射機構を備えた減衰全反射赤外分光測定装置の概略図である。 以下、本発明の実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明においては、その趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下に説明する実施形態に対して適宜変更、改良等が加えられたものについても本発明の範囲に含まれる。 本実施形態の光硬化性組成物は、下記、成分(A)と、成分(B)と、成分(C)と、を有する。(A)重合性化合物(B)光重合開始剤(C)下記一般式(1)に示される水素供与体 一般式(1) (一般式(1)において、Rfは、少なくとも一部がフッ素原子で置換されたアルキル基、ROはオキシアルキレン基もしくはオキシアルキレン基の繰り返し構造、Nは窒素原子、RAはアルキル基、RBはアルキル基もしくは水素原子を示す) 以下、各成分について、詳細に説明する。 <成分(A)重合性化合物> 成分(A)は重合性化合物である。ここで、本実施形態および本発明において、重合性化合物とは、光重合開始剤(後述する成分(B))から発生した重合因子(ラジカル等)と反応し、連鎖反応(重合反応)によって高分子化合物からなる膜を形成する化合物である。 このような重合性化合物としては、例えば、ラジカル重合性化合物が挙げられる。成分(A)である重合性化合物は、一種類の重合性化合物で構成されていても良く、複数種類の重合性化合物で構成されていても良い。 ラジカル重合性化合物としては、アクリロイル基又はメタクリロイル基を1つ以上有する化合物であることが好ましい。 アクリロイル基又はメタクリロイル基を1つ有する単官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2ーフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性p−クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、EO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、PO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられるが、これらに限定されない。 上記単官能(メタ)アクリル化合物の市販品としては、アロニックスM101、M102、M110、M111、M113、M117、M5700、TO−1317、M120、M150、M156(以上、東亞合成製)、MEDOL10、MIBDOL10、CHDOL10、MMDOL30、MEDOL30、MIBDOL30、CHDOL30、LA、IBXA、2−MTA、HPA、ビスコート#150、#155、#158、#190、#192、#193、#220、#2000、#2100、#2150(以上、大阪有機化学工業製)、ライトアクリレートBO−A、EC−A、DMP−A、THF−A、HOP−A、HOA−MPE、HOA−MPL、PO−A、P−200A、NP−4EA、NP−8EA、エポキシエステルM−600A(以上、共栄社化学製)、KAYARAD TC110S、R−564、R−128H(以上、日本化薬製)、NKエステルAMP−10G、AMP−20G(以上、新中村化学工業製)、FA−511A、512A、513A(以上、日立化成製)、PHE、CEA、PHE−2、PHE−4、BR−31、BR−31M、BR−32(以上、第一工業製薬製)、VP(BASF製)、ACMO、DMAA、DMAPAA(以上、興人製)等が挙げられるが、これらに限定されない。 アクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)イソシアヌレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、PO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、EO,PO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン等が挙げられるが、これらに限定されない。 上記多官能(メタ)アクリル化合物の市販品としては、ユピマーUV SA1002、SA2007(以上、三菱化学製)、ビスコート#195、#230、#215、#260、#335HP、#295、#300、#360、#700、GPT、3PA(以上、大阪有機化学工業製)、ライトアクリレート4EG−A、9EG−A、NP−A、DCP−A、BP−4EA、BP−4PA、TMP−A、PE−3A、PE−4A、DPE−6A(以上、共栄社化学製)、KAYARAD PET−30、TMPTA、R−604、DPHA、DPCA−20、−30、−60、−120、HX−620、D−310、D−330(以上、日本化薬製)、アロニックスM208、M210、M215、M220、M240、M305、M309、M310、M315、M325、M400(以上、東亞合成製)、リポキシVR−77、VR−60、VR−90(以上、昭和高分子製)等が挙げられるが、これらに限定されない。 尚、上述した化合物群において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びそれと同等のアルコール残基を有するメタクリレートを意味する。(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基及びそれと同等のアルコール残基を有するメタクリロイル基を意味する。EOは、エチレンオキサイドを示し、EO変性化合物Aとは、化合物Aの(メタ)アクリル酸残基とアルコール残基がエチレンオキサイド基のブロック構造を介して結合している化合物を示す。また、POは、プロピレンオキサイドを示し、PO変性化合物Bとは、化合物Bの(メタ)アクリル酸残基とアルコール残基がプロピレンオキサイド基のブロック構造を介して結合している化合物を示す。 <成分(B)光重合開始剤> 成分(B)は、光重合開始剤である。 本実施形態および本発明において、光重合開始剤は、所定の波長の光を感知して上記重合因子(ラジカル)を発生させる化合物である。具体的には、光重合開始剤は、光(赤外線、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の荷電粒子線等、放射線)によりラジカルを発生する重合開始剤(ラジカル発生剤)であり、より具体的には、例えば、190〜700nmの波長の光によりラジカルを発生する重合開始剤である。 成分(B)である光重合開始剤は、一種類の光重合開始剤で構成されていても良く、複数種類の光重合開始剤で構成されていても良い。 ラジカル発生剤としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−又はp−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の置換基を有してもよい2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパノン−1−オン等の芳香族ケトン誘導体;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル誘導体;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン、プロピルベンゾイン等のベンゾイン誘導体;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン等のN−フェニルグリシン誘導体;アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体;チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン誘導体:キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられるが、これらに限定されない。 上記ラジカル発生剤の市販品として、Irgacure184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI−1700、−1750、−1850、CG24−61、Darocur l116、1173、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF製)、ユベクリルP36(UCB製)等が挙げられるが、これらに限定されない。 成分(B)である重合開始剤の光硬化性組成物における配合割合は、成分(A)である重合性化合物の全量に対して、0.01重量%以上10重量%以下であり、好ましくは、0.1重量%以上7重量%以下である。 重合開始剤の配合割合が重合性化合物の全量に対して0.01重量%以上であることにより、良好な硬化速度とすることができ、10重量%以下であることにより、光硬化性組成物の硬化物を良好な機械的特性とすることができるからである。 <成分(C)水素供与体> 成分(C)は、水素供与体である。 ここで、本実施形態および本発明において、水素供与体とは、成分(B)である重合開始剤から発生した開始ラジカルや、重合生長末端のラジカルと反応し、より反応性が高いラジカルを発生させ、成分(A)の重合を促進するための化合物である。 なお、成分(C)の有無による光硬化性組成物の重合速度の差を比較し、成分(C)を含む光硬化性組成物の重合速度が速いことを確認することにより、成分(C)の水素供与体としての機能を確認することができる。 成分(C)である水素供与体は、下記一般式(1)に示される化合物である。 一般式(1) (一般式(1)において、Rfは、少なくとも一部がフッ素原子で置換されたアルキル基、ROはオキシアルキレン基もしくはオキシアルキレン基の繰り返し構造、Nは窒素原子、RAはアルキル基、RBはアルキル基もしくは水素原子を示す) 一般式(1)における、Rfは、少なくとも一部がフッ素原子で置換されたアルキル基であり、アルキル基が有する水素の全てがフッ素で置換されている基であっても良いし、アルキル基が有する水素の一部のみがフッ素で置換されている基であっても良い。 アルキル基が有する水素の一部のみがフッ素で置換されている例としては、下記一般式(2)に示される基が挙げられる。 一般式(2) (ここで、Aは1以上25以下の整数であり、Bは1以上25以下の整数である。) 一般式(1)における、ROに示すオキシアルキレン基もしくはオキシアルキレン基の繰り返し構造のうちの、オキシアルキレン基の例としては、オキシエチレン基やオキシプロピレン基が挙げられ、オキシアルキレン基の繰り返し構造の例としては、オキシエチレン基の繰り返し構造やオキシプロピレン基の繰り返し構造が挙げられる。オキシエチレン基もしくはオキシエチレン基の繰り返し構造の具体例としては、一般式(3)に示される2価の基が挙げられ、オキシプロピレン基もしくはオキシプロピレン基の繰り返し構造の具体例としては、一般式(4)に示される2価の基が挙げられる。 一般式(3) −(OCH2CH2)a− (aは、1以上100以下の整数である。) 一般式(4) −(OCH2CH(CH3))b− (bは、1以上100以下の整数である。) 一般式(1)に示す水素供与体は、2級もしくは3級アミノ基が水素供与基として機能するため、重合性化合物である(A)成分の重合を促進することに加えて、撥油性部位であるRf基(少なくとも一部がフッ素原子で置換されたアルキル基)と、親油性部位であるRO(オキシアルキレン基もしくはオキシアルキレン基の繰り返し構造)の両方を有することから、界面活性剤としての機能も有するものと考えられる。 これにより、成分(C)が、一般的な界面活性剤と同様に、後述する、本実施形態の光硬化性組成物を用いたパターン形状を有する膜の製造方法における、配置工程[1]またはモールドとの型接触工程[2]において、モールドと光硬化性組成物との界面に偏析し、モールドと光硬化性組成物との間に極薄い離型層を形成する。この離型層は非重合性であり、層内の分子同士は共有結合されていないため、離型層と光硬化性組成物の間または離型層内で剥離が発生し、光硬化性組成物が重合することにより形成された硬化膜は容易にモールドから離型することができる。 さらに、一般式(1)に示す水素供与体が2級もしくは3級アミノ基を有していることにより、一般的にモールドの材料である石英のヒドロキシル基と2級もしくは3級アミノ基がイオン結合を形成するため、後に説明する本実施形態の光硬化性組成物を用いたパターン形状を有する膜の製造方法における離型工程[4]で離型層のラメラ界面で離型し、低離型力で離型させることができると考えられる。 一般式(1)におけるRAに示すアルキル基の例としては、鎖状アルキル基であっても環状アルキル基であっても良いが、鎖状アルキル基であることが好ましく、より好ましくは炭素原子数1以上5以下の直鎖状アルキル基である。 一般式(1)におけるRBは、水素原子もしくはアルキル基のいずれでも良いが、アルキル基であることが好ましく、RAと同様に、鎖状アルキル基であっても環状アルキル基であっても良いが、鎖状アルキル基であることが好ましく、より好ましくは炭素原子数1以上5以下の鎖状アルキル基である。なお、RAおよびRBにおける、炭素数1以上5以下の鎖状アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が挙げられる。 RBがアルキル基であることが好ましい理由は、一般式(1)に示す水素供与体が3級アミノ基を有している方が、重合性化合物である(A)成分の重合促進効果が高いからである。 一般式(1)に示される水素供与体の具体例としては、下記一般式(5)に示される化合物が挙げられる。 一般式(5) (一般式(5)において、aは1以上25以下の整数から選ばれる。bは0以上25以下の整数から選ばれ、cは1以上25以下の整数である。R1はアルキル基であり、R2はアルキル基もしくは水素である。) 一般式(5)における、aは1以上25以下の整数から選ばれ、1以上10以下の整数から選ばれることが好ましい。また、bは0以上25以下の整数から選ばれ、1以上25以下の整数から選ばれることが好ましく、より好ましくは、1以上5以下の整数から選ばれる。cは1以上25以下の整数であり、好ましくは1以上10以下である。a、b、cが、各々独立して、1以上10以下の整数から選ばれる場合、特に、bが1以上5以下の整数から選ばれる場合、一般式(5)で示される化合物を合成しやすくなるという利点があるからである。 また、一般式(5)における、R2はアルキル基である(すなわち一般式(5)で示される化合物は3級アミノ基である)ことが好ましく、R1およびR2は炭素数1以上5以下の鎖状のアルキル基であることが好ましい。これは、前述したように、R1およびR2がアルキル基であり、特に炭素数1以上5以下の鎖状のアルキル基であることにより、(A)成分の重合促進効果が高くなるからである。 ここで、R1およびR2がアルキル基である場合の例としては、直鎖状アルキル基または環状アルキル基であり、炭素数1以上5以下の鎖状のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が挙げられる。 一般式(5)に示される化合物のより詳細な例としては、下記一般式(6)に示される化合物や一般式(7)に示される化合物が挙げられる。 一般式(6) (一般式(6)において、dは1以上10以下の整数であり、R1およびR2はアルキル基である) 一般式(7) (一般式(7)において、eは1以上10以下の整数であり、R1およびR2はアルキル基である) さらに、一般式(6)に示される化合物の具体例としては、下記式(A)に示される化合物が挙げられ、一般式(7)に示される化合物の具体例としては、下記式(B)に示される化合物が挙げられる。 式(A) 式(B) また、一般式(1)で示される水素供与体は、下記一般式(8)で示される化合物であることも好ましい。 一般式(8) (一般式(8)において、uは1以上25の整数から選ばれる。vは、0以上25以下の整数から選ばれ、mは1以上25以下の整数から選ばれる。R3はアルキル基であり、R4はアルキル基もしくは水素である。) 一般式(8)における、u、v、およびmは、各々独立して、1以上10以下の整数から選ばれることが好ましく、更に、vは、1以上5以下の整数から選ばれることがより好ましい。 これは、u、v、およびmが、各々独立して、1以上10以下の整数から選ばれる場合、特に、vが1以上5以下の整数から選ばれる場合、一般式(8)で示される化合物を合成しやすいという利点があるからである。 また、一般式(8)における、R3およびR4はアルキル基であることが好ましく、R3およびR4は炭素数1以上5以下のアルキル基であることがより好ましい。 ここで、R3およびR4がアルキル基である場合の例としては、直鎖状アルキル基または環状アルキル基であり、炭素数1以上5以下のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が挙げられる。 一般式(1)に示される化合物は、以下の合成スキームなどによって合成することができる。なお、一般式(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)および式(A)、式(B)に示される化合物も同様に合成することが可能である。 一般式(1)に示される成分(C)は、一般式(1)に示される複数の水素供与体で構成されていても良い。 なお、一般式(1)に示される化合物は、下記一般式(9)に示される化合物に含まれることは言うまでもない。 一般式(9) Rf1−Rc−X (一般式(9)において、Rf1は、フッ素原子及び炭素原子のみで構成される基、または、フッ素原子及び炭素原子及び水素原子のみで構成される基であり、Rcは、ポリエチレンオキサイド基、ポリプロピレンオキサイド基およびアルキレン基のうちの少なくとも一つで構成される基であり、Xはアミノ基である。) ここで、一般式(9)における、ポリオキシアルキレン基の具体例としては、ポリエチレンオキサイド基やポリオキシプロピレン基が挙げられる。ポリエチレンオキサイド基の具体例としては、前述した一般式(3)に示される2価の基であり、ポリプロピレンオキサイド基の具体例としては、前述した一般式(4)に示される2価の基である。 また、一般式(9)における、Xは1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基のいずれでも良いが、2級アミノ基もしくは3級アミノ基であることが好ましい。これは、2級アミノ基もしくは3級アミノ基の方が、1級アミノ基よりも重合促進効果が高いからである。 一般式(9)で示される水素供与体としては、例えば、下記一般式(10)で示される化合物が挙げられる。 一般式(10) (一般式(10)において、sは1以上25以下の整数から選ばれる。tおよびnは、各々、0以上25以下の整数から選ばれ、tおよびnのうちの少なくとも一方は1以上である。R1はアルキル基であり、R2はアルキル基もしくは水素である。) 本実施形態の光硬化性組成物における、成分(C)である水素供与体の配合割合は、成分(A)である重合性化合物の全量に対して、例えば、0.001重量%以上10重量%以下とすることができる。好ましくは、成分(A)である重合性化合物の全量に対して、0.002重量%以上5重量%以下であり、さらに好ましくは、0.005重量%以上3重量%以下である。配合割合が0.001重量%未満であると、重合促進効果が十分に発揮できないことがある。また、配合割合が10重量%を超えると、硬化後に得られる光硬化物の機械的強度が弱いことがある。 <その他の添加成分> 本実施形態の光硬化性組成物は、前述した、成分(A)、成分(B)、成分(C)の他に、種々の目的に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、更なる添加成分を含有していてもよい。このような添加成分としては、離型剤、界面活性剤、増感剤、酸化防止剤、溶剤、ポリマー成分等が挙げられる。 増感剤は、エネルギーまたは電子の授受を通じて光ラジカル重合の開始反応を促進するものであり、重合反応促進や反応転化率の向上を目的として、適宜添加される化合物である。増感剤として、例えば、増感色素等が挙げられる。 増感色素は、特定の波長の光を吸収することにより励起され、成分(B)である重合開始剤へ相互作用する化合物である。尚、ここでいう相互作用とは、励起状態の増感色素から成分(B)である重合開始剤へのエネルギー移動や電子移動等である。 増感色素の具体例としては、アントラセン誘導体、アントラキノン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、カルバゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、フェノチアジン誘導体、カンファキノン誘導体、アクリジン系色素、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム塩系色素等が挙げられるが、これらに限定されない。 増感剤は、一種類を単独で用いてもよいし二種類以上を混合して用いても良い。 さらに、本実施形態の光硬化性組成物は、添加成分として、成分(C)以外の特開2010−114209などに記載されている公知の水素供与体を添加しても良い。 このような水素供与体の具体例としては、N−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、アリルチオ尿素、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネート、トリエチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレンテトラミン、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエタノールアミン、N−フェニルグリシン等のアミン化合物、2−メルカプト−N−フェニルベンゾイミダゾール、メルカプトプロピオン酸エステル等のメルカプト化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。 本実施形態の光硬化性組成物が、添加成分として、成分(C)以外の水素供与体を含む場合、このような水素供与体は、一種類であっても良く二種類以上であっても良い。 本実施形態の光硬化性組成物が、添加成分として、増感剤や成分(C)以外の水素供与体を含む場合、成分(A)である重合性化合物の全量に対して、好ましくは、0%以上20重量%以下であり、より好ましくは、0.1重量%以上5.0重量%以下であり、さらに好ましくは、0.2重量%以上2.0重量%以下である。増感剤の含量が0.1重量%以上含まれていれば、重合促進効果をより効果的に発現することができる。また、含量を5.0重量%以下とすることにより、作製される光硬化物を構成する高分子化合物の分子量が十分に高くなると共に、溶解不良や保存安定性の劣化を抑制することができる。 また、本実施形態の光硬化性組成物を硬化させて得られる光硬化物を赤外分光法、紫外可視分光法、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析法などで分析することで、成分(A)、成分(B)、成分(C)の比率を求めることができ、結果的に、光硬化性組成物における成分(A)、成分(B)、成分(C)の比率を求めることができる。 <光硬化性組成物の配合時の温度> 本実施形態の光硬化性組成物を調製する際には、少なくとも成分(A)、成分(B)、成分(C)を所定の温度条件下で混合・溶解させる。具体的には、0℃以上100℃以下の範囲で行う。 <光硬化性組成物の粘度> 本実施形態の光硬化性組成物の粘度は、溶剤を除く成分の混合物について23℃での粘度が、好ましくは、1cP以上100cP以下であり、より好ましくは、5cP以上50cP以下であり、さらに好ましくは、6cP以上20cP以下である。 光硬化性組成物の粘度が100cP以下であることにより、光硬化性組成物をモールドに接触する際にモールド上の微細パターンのうちの凹部に組成物が比較的短時間で充填することができ、充填不良によるパターン欠陥が生じにくい。一方、粘度が1cP以上であることにより、光硬化性組成物を塗布する際に塗りムラが生じたり、光硬化性組成物をモールドに接触する際に、モールドの端部から光硬化性組成物が流出したりすることを抑制することができると考えられる。 <光硬化性組成物の表面張力> 本実施形態の光硬化性組成物の表面張力は、溶剤を除く成分の混合物について23℃での表面張力が、好ましくは、5mN/m以上70mN/m以下であり、より好ましくは、7mN/m以上35mN/m以下であり、さらに好ましくは、10mN/m以上32mN/m以下である。ここで、表面張力が5mN/mより低いと、光硬化性組成物をモールドに接触させる際にモールド上の微細パターンのうち凹部に組成物が充填するのに長い時間が必要となることがある。一方、表面張力が70mN/mより高いと、表面平滑性が低くなることがある。 <光硬化性組成物に混入している不純物> 本実施形態の光硬化性組成物は、できる限り不純物を含まないことが好ましい。ここで記載する不純物とは、前述した成分(A)、成分(B)、成分(C)および添加成分以外のものを意味する。 したがって、光硬化性組成物は、精製工程を経て得られたものであることが好ましい。このような精製工程としては、フィルタを用いた濾過等が好ましい。 フィルタを用いた濾過を行う際には、具体的には、前述した成分(A)、成分(B)、成分(C)および必要に応じて添加する添加成分を混合した後、例えば、孔径0.001μm以上5.0μm以下のフィルタで濾過することが好ましい。フィルタを用いた濾過を行う際には、多段階で行ったり、多数回繰り返したりすることがさらに好ましい。また、濾過した液を再度濾過してもよい。濾過に使用するフィルタとしては、ポリエチレン樹脂製、ポリプロピレン樹脂製、フッ素樹脂製、ナイロン樹脂製等のフィルタを使用することができるが、特に限定されるものではない。 このような精製工程を経ることで、光硬化性組成物に混入したパーティクル等の不純物を取り除くことができる。これにより、パーティクル等の不純物によって、光硬化性組成物を硬化した後に得られる光硬化物に不用意に凹凸が生じてパターンの欠陥が発生することを防止することができる。 尚、本実施形態の光硬化性組成物を、半導体集積回路を製造するために使用する場合、製品の動作を阻害しないようにするため、光硬化性組成物中に金属原子を含有する不純物(金属不純物)が混入することを極力避けることが好ましい。このような場合、光硬化性組成物に含まれる金属不純物の濃度としては、10ppm以下が好ましく、100ppb以下にすることがさらに好ましい。 次に、本実施形態のパターン形状を有する膜の製造方法について説明する。 図1は、本実施形態のパターン形状を有する膜の製造方法の例を示す模式断面図である。 本実施形態のパターン形状を有する膜の製造方法は、 [1]基板上に、前述の本実施形態の光硬化性組成物を配置する配置工程と、 [2]前記光硬化性組成物とモールドとを接触させる型接触工程と、 [3]前記光硬化性組成物に光を照射する光照射工程と、 [4][3]の工程によって得られた硬化物とモールドとを引き離す離型工程と、を有する。 本実施形態のパターン形状を有する膜の製造方法は、光インプリント方法を利用した膜の作製方法である。 本実施形態のパターン形状を有する膜の製造方法によって得られる膜は、1nm以上10mm以下のサイズのパターンを有する膜であることが好ましく、10nm以上100μm以下のサイズのパターンを有する膜であることがより好ましい。なお、一般に、光を利用してナノサイズ(1nm以上100nm以下)のパターン(凹凸構造)を有する膜を作製するパターン形成技術は、光ナノインプリント法と呼ばれており、本実施形態のパターン形状を有する膜の製造方法は、光ナノインプリント法を利用している。 以下、各工程について説明する。 <配置工程[1]> 本工程(配置工程)では、図1(a)に示す通り、前述した本実施形態の光硬化性組成物1を基板2上に配置(塗布)して塗布膜を形成する。 光硬化性組成物1を配置する対象である基板2は、被加工基板であり、通常、シリコンウエハが用いられる。 しかしながら、基板2はシリコンウエハに限定されるものではなく、アルミニウム、チタン−タングステン合金、アルミニウム−ケイ素合金、アルミニウム−銅−ケイ素合金、酸化ケイ素、窒化ケイ素等の半導体デバイス用基板として知られているものの中からも任意に選んで用いても良い。尚、使用される基板2(被加工基板)には、シランカップリング処理、シラザン処理、有機薄膜の成膜、等の表面処理により光硬化性組成物との密着性を向上させた基板を用いても良い。 本実施形態の光硬化性組成物を被加工基板2上に配置する方法としては、例えば、インクジェット法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコード法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート法、スリットスキャン法等を用いることができる。尚、被形状転写層(塗布膜)の膜厚は、使用する用途によっても異なるが、例えば、0.01μm以上100.0μm以下である。 <光硬化性組成物とモールドとを接触させる型接触工程[2]> 次に、図1(b)に示すように、前工程(配置工程)で形成された光硬化性組成物1からなる塗布膜にパターン形状を転写するための原型パターンを有するモールドを接触させる。本工程で、光硬化性組成物1(被形状転写層)にモールド3を接触させる(図1(b−1))ことにより、モールド3が表面に有する微細パターンの凹部に光硬化性組成物1からなる塗布膜(の一部)が充填されて、モールドの微細パターンに充填された塗布膜4となる(図1(b−2))。 モールド3は、次の工程(光照射工程)を考慮して光透過性の材料で構成される必要がある。モールド3の構成材料としては、具体的には、ガラス、石英、PMMA、ポリカーボネート樹脂等の光透明性樹脂、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサン等の柔軟膜、光硬化膜、金属膜等が好ましい。ただし、モールド3の構成材料として光透明性樹脂を使用する場合は、光硬化性組成物1に含まれる溶媒に溶解しない樹脂を選択することが好ましい。また成分(C)である水素供与体に含まれる基であるRfや2級もしくは3級アミノ基との極性結合が形成され易くなる理由から、光硬化性組成物と接するモールドの表面は親水性であることが好ましく、表面が石英であることが特に好ましい。 モールド3には、光硬化性組成物1とモールド3の表面との剥離性を向上させるために、光硬化性組成物とモールドとを接触させる本工程の前に表面処理を行っても良い。表面処理の方法としては、モールドの表面に離型剤を塗布して離型剤層を形成する方法が挙げられる。ここで、モールドの表面に塗布する離型剤としては、シリコン系離型剤、フッ素系離型剤、ポリエチレン系離型剤、ポリプロピレン系離型剤、パラフィン系離型剤、モンタン系離型剤、カルナバ系離型剤等が挙げられる。例えば、ダイキン工業(株)製のオプツールDSX等の市販の塗布型離型剤も好適に用いることができる。尚、離型剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用して用いてもよい。これらの中でも、フッ素系の離型剤が特に好ましい。 本工程(型接触工程)において、図1(b−1)に示すように、モールド3と光硬化性組成物1とを接触させる際に、光硬化性組成物1に加える圧力は特に限定されないが、通常、0.1MPa以上100MPa以下である。その中でも0.1MPa以上50MPa以下であることが好ましく、0.1MPa以上30MPa以下であることがより好ましく、0.1MPa以上20MPa以下であることがさらに好ましい。 また、本工程においてモールド3を光硬化性組成物1に接触させる時間は、特に限定されないが、通常、0.1秒以上600秒以下であり、0.1秒以上300秒以下であることが好ましく、0.1秒以上180秒以下であることがより好ましく、0.1秒以上120秒以下であることが特に好ましい。 本工程は、大気雰囲気下、減圧雰囲気下、不活性ガス雰囲気下のいずれの条件下でも行うことができるが、酸素や水分による光硬化反応への影響を防ぐことができるため、減圧雰囲気や不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。不活性ガス雰囲気下で本工程を行う場合に使用することができる不活性ガスの具体例としては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、各種フロンガス等、あるいはこれらの混合気体が挙げられる。大気雰囲気下を含めて特定のガスの雰囲気下で本工程を行う場合、好ましい圧力は、0.0001気圧以上10気圧以下である。 型接触工程は、凝縮性ガスを含む気体の雰囲気(以下、凝縮性ガス雰囲気と記載することもある)下で行ってもよい。本発明および本明細書において、凝縮性ガスとは、型接触工程で光硬化性組成物1(被形状転写層)とモールド3とが接触する前(図1(b1))は雰囲気中に気体として存在し、光硬化性組成物1(被形状転写層)とモールド3とが接触して、モールド3上に形成された微細パターンの凹部、およびモールドと基板との間隙に塗布膜(の一部)4と一緒に雰囲気中のガスが充填されたとき、充填時の圧力により発生する毛細管圧力で凝縮して液化するガスとして定義する。 凝縮性ガスを含む気体の雰囲気下で型接触工程を行うことにより、微細パターンの凹部に充填されたガスが液化することで気泡が消滅し、光硬化性組成物を微細パターンに高充填することができる。なお、凝縮性ガスは、光硬化性組成物に溶解してもよい。 凝縮性ガスの沸点は、型接触工程の雰囲気温度以下であれば制限がないが、−10℃以上23℃以下が好ましく、さらに好ましくは10℃以上23℃以下である。この範囲であれば、凝縮性ガスによる高充填性の効果がより大きくなる。 凝縮性ガスの型接触工程の雰囲気温度での蒸気圧は、型接触工程で押印するときのモールド圧力以下であれば制限がないが、0.1以上0.4MPa以下が好ましい。この範囲であれば、充填性がさらに優れる。雰囲気温度での蒸気圧が0.4MPaより大きいと、気泡の消滅の効果を十分に得ることができない傾向がある。一方、雰囲気温度での蒸気圧が0.1MPaよりも小さいと、減圧が必要となり、装置が複雑になる傾向がある。 型接触工程の雰囲気温度は、特に制限がないが、20℃以上25℃以下が好ましい。 凝縮性ガスとして、具体的には、トリクロロフルオロメタン等のクロロフルオロカーボン(CFC)、フルオロカーボン(FC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(CHF2CH2CF3、HFC−245fa、PFP)等のハイドロフルオロカーボン(HFC)、ペンタフルオロエチルメチルエーテル(CF3CF2OCH3、HFE−245mc)等のハイドロフルオロエーテル(HFE)等のフロン類が挙げられる。 これらのうち、型接触工程の雰囲気温度が20℃以上25℃以下での充填性が優れるという観点から、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(23℃での蒸気圧0.14MPa、沸点15℃)、トリクロロフルオロメタン(23℃での蒸気圧0.1056MPa、沸点24℃)、およびペンタフルオロエチルメチルエーテルが好ましく、さらに安全性が優れるという観点から、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンが特に好ましい。 凝縮性ガスは、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。 凝縮性ガスを含む気体は、凝縮性ガスのみで構成されていても良く、凝縮性ガスと非凝縮性ガスの混合気体であっても良い。 非凝縮性ガスの例としては、空気、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴンが挙げられる。これらの中でも凝縮性ガスと混合する非凝縮性ガスとしては、充填性の観点から、ヘリウムが好ましい。 凝縮性ガスと混合する非凝縮性ガスがヘリウムであると、型接触工程でモールド3上に形成された微細パターンの凹部に塗布膜(の一部)と一緒に雰囲気中のガス(凝縮性ガスおよびヘリウム)が充填されたとき、凝縮性ガスが液化するとともにヘリウムがモールドを透過することができるため、充填性が優れるためである。 <光硬化性組成物に光を照射する光照射工程[3]> 次に、図1(c)に示すように、光硬化性組成物の前記モールドとの接触部分に、より詳細には、モールドの微細パターンに充填された塗布膜4に、モールド3を介して光を照射する(図1(c−1))。これにより、モールドの微細パターンに充填された塗布膜4は、照射される光によって硬化して硬化膜6となる(図1(c−2))。 ここで、モールドの微細パターンに充填された塗布膜4を構成する光硬化性組成物1に照射する光は、光硬化性組成物1の感度波長に応じて選択されるが、具体的には、150nm乃至400nm程度の波長の紫外光や、X線、電子線等を適宜選択して使用することが好ましい。 これらの中でも、光硬化性組成物1に照射する光(照射光5)は、紫外光が特に好ましい。これは、硬化助剤(光重合開始剤)として市販されているものは、紫外光に感度を有する化合物が多いからである。ここで紫外光を発する光源としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、Deep−UVランプ、炭素アーク灯、ケミカルランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、F2エキシマレーザ等が挙げられるが、超高圧水銀灯が特に好ましい。また使用する光源の数は1つでもよいし又は複数であってもよい。また、光照射を行う際には、モールドの微細パターンに充填された塗布膜4の全面に行ってもよく、一部領域にのみ行ってもよい。 また、光照射は、全領域に複数回断続的に行っても良いし、全領域に連続照射しても良い。更に、第一の照射過程で一部領域Aを照射し、第二の照射過程で領域Aとは異なる領域Bを照射しても良い。 なお、本工程においては、光照射による光硬化性組成物の重合反応速度を評価することもできる。 光照射による光硬化性組成物の重合反応速度は、例えば、図2に示すような光照射機構を備えた減衰全反射赤外分光測定装置を用いて測定することができる。 光硬化性組成物14は、図2に示す減衰全反射赤外分光測定装置のダイヤモンドATR結晶13と石英ガラス15との間に挟まれて配置され、石英ガラス15から光硬化性組成物14へ向けて照射光が照射されて光硬化性組成物14が硬化される。ダイヤモンドATR結晶13に向けて赤外光11が照射され、検出器12によりダイヤモンドATR結晶13上に数μmの範囲に生じるエバネッセント波16を検出して、光硬化性組成物14の減衰全反射赤外分光スペクトルを、1秒あたり数枚〜数十枚取得する。 これにより、硬化した光硬化性組成物もしくは硬化中の光硬化性組成物の赤外分光スペクトルをリアルタイムに取得することができる。取得した赤外分光スペクトルの、(A)成分の重合性官能基に由来するピーク強度の変化を追跡すれば、光硬化性組成物の重合反応速度を評価することができる。 <硬化物とモールドとを引き離す離型工程[4]> 次に、硬化膜6とモールド3と引き離し、基板2上に所定のパターン形状を有する硬化膜7を形成する。 本工程(離型工程)では、図1(d)に示すように、硬化膜6とモールド3と引き離し、工程[3](光照射工程)において、モールド3上に形成された微細パターンの反転パターンが、パターン形状を有する硬化膜7のパターンとして得られる。 硬化膜6とモールド3と引き離す方法としては、引き離す際に硬化膜6の一部が物理的に破損しなければ特に限定されず、各種条件等も特に限定されない。例えば、基板2(被加工基板)を固定してモールド3を基板2から遠ざかるように移動させて剥離してもよく、モールド3を固定して基板2をモールドから遠ざかるように移動させて剥離してもよく、これらの両方を正反対の方向へ引っ張って剥離してもよい。 また、型接触工程を凝縮性ガス雰囲気下で行った場合、離型工程で硬化膜とモールドとを引き離す際に、硬化膜とモールドとが接触する界面の圧力が低下することに伴って凝縮性ガスが気化することで、離型力低減効果を奏する傾向がある。 以上の工程[1]〜工程[4]の製造プロセスによって、所望の凹凸パターン形状(モールド3の凹凸形状に因むパターン形状)を有する硬化膜を得ることができる。得られた硬化膜は、例えば、フレネルレンズや回折格子などの光学部材(光学部材の一部材として用いる場合を含む。)として利用することもできる。このような場合、少なくとも、基板2と、この基板2の上に配置されたパターン形状を有する硬化膜7と、を有する光学部材とすることができる。 <硬化膜の一部を除去する残膜除去工程[5]> 工程[4]である離型工程により得られる硬化膜は、特定のパターン形状を有するものの、このパターン形状が形成される領域以外の領域においても膜の一部が残る場合がある(以降の記載において、このような膜の一部を残膜と呼ぶ場合がある)。そのような場合は、図1(e)に示すように、得られたパターン形状を有する硬化膜のうちの除去すべき領域にある硬化膜(残膜)を除去して所望の凹凸パターン形状(モールド3の凹凸形状に因むパターン形状)を有する硬化物パターン8を得ることができる。 ここで、残膜を除去する方法としては、例えば、硬化膜7の凹部である膜(残膜)をエッチングなどの方法により取り除き、硬化膜7が有するパターンの凹部において基板2の表面を露出させる方法が挙げられる。 硬化膜7の凹部にある膜をエッチングにより除去する場合、その具体的な方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法、例えば、ドライエッチングを用いることができる。ドライエッチングには、従来公知のドライエッチング装置を用いることができる。そして、ドライエッチング時のソースガスは、被エッチ膜である硬化膜の元素組成によって適宜選択されるが、CF4、C2F6、C3F8、CCl2F2、CCl4、CBrF3、BCl3、PCl3、SF6、Cl2等のハロゲン系ガス、O2、CO、CO2等の酸素原子を含むガス、He、N2、Ar等の不活性ガス、H2、NH3のガス等を使用することができる。尚、これらのガスは混合して用いることもできる。 以上の工程[1]〜工程[5]の製造プロセスによって、所望の凹凸パターン形状(モールド3の凹凸形状に因むパターン形状)を有する硬化物パターン8を得ることができ、硬化物パターンを有する物品を得ることができる。更に、得られた硬化物パターン8を利用して基板2を加工する場合は、後述する基板の加工工程(工程[6])を行う。 一方、得られた硬化物パターン8を回折格子や偏光板などの光学部材(光学部材の一部材として用いる場合を含む。)として利用し、光学部品を得ることもできる。このような場合、少なくとも、基板2と、この基板2の上に配置された硬化物パターン8と、を有する光学部品とすることができる。 <基板加工工程[6]> 本実施形態のパターン形状を有する膜の製造方法によって得られる、凹凸パターン形状を有する硬化物パターン8は、例えば、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体素子に代表される電子部品に含まれる層間絶縁膜用膜として利用することも可能であり、半導体素子製造時におけるレジスト膜として利用することも可能である。 硬化物パターン8をレジスト膜として利用する場合、工程[5]であるエッチング工程にて表面が露出した基板の一部分(図1(e)における符号9の領域)に対して、エッチング又はイオン注入等を行い、電子部材を設けることで、硬化物パターン8のパターン形状に基づく回路構造10(図1(f))を基板2に形成した、半導体素子等で利用される回路基板を得ることができる。なお、硬化物パターン8は、マスクとして機能する。また、この回路基板に回路基板を制御する制御機構を設けることにより、ディスプレイ、カメラ、医療機器等の電子部品を形成することができる。また、同様に、硬化物パターン8をレジスト膜として利用して、エッチング又はイオン注入等を行い、光学部品を得ることもできる。 尚、回路付基板や電子部品を作製する場合、最終的には、加工された基板から硬化物パターン8を除去してもよいが、素子を構成する部材として残す構成も好ましい。 以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下に説明する実施例に限定されるものではない。 (実施例1) (1)光硬化性組成物(a−1)の調整 まず、下記に示される成分(A)、成分(B)、成分(C)、及び界面活性剤成分を配合して光硬化性組成物を調整した。 (1−1)成分(A):合計100重量部 <A−1>イソボルニルアクリレート(共栄社化学製、商品名:IB−XA):61.6重量部 <A−2>(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート(大阪有機化学工業製、商品名:MEDOL−10):10重量部 <A−3>ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業製、商品名:ビスコート#230):22.4重量部 (1−2)成分(B):合計3重量部 <B−1>Irgacure651(BASF製):3重量部 (1−3)成分(C):下記式(C−1)に示される水素供与体NIT−34 0.5重量部 (C−1) (1−4)界面活性剤成分:ペンタデカエチレングリコールモノ1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルエーテル(F(CF2)6CH2CH2(OCH2CH2)15OH、DIC製) 1.1重量部 (2)減衰全反射赤外線分光法による光重合速度の評価調製した光硬化性組成物(a−1)を約10μLとり、これを減衰全反射赤外分光装置上のダイヤモンドATR結晶上に滴下して塗布膜を形成した。次に、厚さ1mmの石英ガラスを、光硬化性組成物(a−1)の塗布膜上にかぶせた。 次に、石英ガラス上から、超高圧水銀ランプを備えたUV光源から出射された光を、後述する干渉フィルタを通した上で石英ガラスを通して塗布膜に10秒照射した。光照射の際に使用した干渉フィルタはVPF−25C−10−15−31300(シグマ光機製)であり、このとき照射光である紫外光の波長を313±5nmの単一波長光とし、照度を1mW/cm2とした。また、この光照射工程において、光硬化性組成物を構成する上記(A)成分に含まれるアクリル基の減少速度((A)成分の重合反応の反応速度)を、以下に示す方法で評価した。 塗布膜への光照射を開始したのと同時に、減衰全反射赤外分光スペクトルの測定を開始し、光照射を続けながら1秒あたり2.7回測定しデータを取得した。(A)成分のアクリル基に由来する810cm−1のピークの面積強度が、光照射開始直後の初期値と比較して半分になるのに必要な最小露光量(半減露光量)は9.3mJ/cm2であった。この値は、後述する比較例1の光硬化性組成物(b−1)及び比較例2の光硬化性組成物(b−2)と比べて小さかった。つまり、光硬化性組成物(a−1)は光硬化性組成物(b−1)及び光硬化性組成物(b−2)より露光時間が短くとも十分に硬化するため、光硬化性組成物(a−1)を用いた光ナノインプリント法は生産性が高いと言える。 (3)離型力の測定 次に、下記に示される方法により、離型力を測定した。 (3−1)配置工程 インクジェット法により、密着層として厚さ3nmの密着促進層が形成された300mmシリコンウエハ上に、光硬化性組成物(a−1)の液滴(液滴1個当たり11pL)を合計1440滴滴下した。尚、各液滴をそれぞれ滴下する際に、縦26mm、横33mmの領域に各液滴の間隔がほぼ均等になるように滴下した。 (3−2)型接触工程、光照射工程 次に、上記シリコンウエハ上の光硬化性組成物(a−1)に対して、28nmライン・アンド・スペース(L/S)パターンが形成され、表面処理はされていない石英モールド(縦26mm、横33mm)を接触させた。 次に、石英モールドを接触させてから30秒後に、200W水銀キセノンランプを備えたUV光源(EXECURE 3000、HOYA CANDEO OPTRONICSCORPORATION製)を用いて、石英モールド越しにUV光を光硬化性組成物に照射した。尚、UV光を照射する際には、UV光源と石英モールドとの間に、波長313±5nmを選択的に透過する干渉フィルタ(VPF−50C−10−25−31300、シグマ光機製)を配した。また石英モールド直下におけるUV光の照度は、波長313nmにおいて38.5mW/cm2であった。以上の条件下で、UV光の照射を0.75秒行った。 (3−3)離型工程 次に、石英モールドを、0.5mm/sの条件で引き上げて光硬化膜からモールドを離した。引張圧縮両用型小型ロードセル(LUR−A−200NSA1、共和電業製)を用いて、離型に要した力を測定した。実際に測定を行なう際は、同一条件で離型力測定を3回行い、各回の測定データから平均値を算出した。測定の結果、平均離型力は59.0Nであり、後述する比較例1にて光硬化性組成物(b−1)から作製した光硬化物よりも低い値であった。 (比較例1) 実施例1において、(C)成分(水素供与体)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により光硬化性組成物(b−1)を調製した。 実施例1と同様の方法により、光硬化性組成物(b−1)の光重合速度を評価したところ、半減露光量が13.8mJ/cm2であった。 実施例1と同様の方法により、光硬化性組成物(b−1)から得られた光硬化物の平均離型力を測定したところ、平均離型力は63.4Nであった。 (比較例2)実施例1において、(C)成分(水素供与体)に変えて、公知の水素供与体N−フェニルグリシンを0.5重量部添加したこと以外は、実施例1と同様の方法により光硬化性組成物(b−2)を調製した。 実施例1と同様の方法により、光硬化性組成物(b−2)の光重合速度を評価したところ、半減露光量が11.7mJ/cm2であった。 下記一般式(1)に示される化合物。 一般式(1) (一般式(1)において、Rfは、少なくとも一部がフッ素原子で置換されたアルキル基、ROはオキシアルキレン基もしくはオキシアルキレン基の繰り返し構造、Nは窒素原子、RAはアルキル基、RBはアルキル基もしくは水素原子を示す) 前記ROが、オキシエチレン基もしくはオキシプロピレン基の、繰り返し構造であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。 前記RBがアルキル基であることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。 前記RAおよび前記RBが炭素数1以上5以下の鎖状アルキル基であることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。 下記一般式(5)に示される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。 一般式(5) (一般式(5)において、aは1以上25以下の整数から選ばれる。bは0以上25以下の整数から選ばれ、cは1以上25以下の整数である。R1はアルキル基であり、R2はアルキル基もしくは水素である。) 前記一般式(5)における、前記a、前記b、および前記cが、各々独立して、1以上10以下の整数から選ばれることを特徴とする請求項5に記載の化合物。 前記一般式(5)における、前記bが、1以上5以下の整数から選ばれることを特徴とする請求項5または6に記載の化合物。 前記一般式(5)における、R1およびR2がアルキル基であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の化合物。 前記一般式(5)における、R1およびR2が炭素数1以上5以下の鎖状アルキル基であることを特徴とする請求項8に記載の化合物。 重合性化合物である成分(A)と、光重合開始剤である成分(B)と、水素供与体であり請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物である成分(C)と、を有することを特徴とする光硬化性組成物。 光ナノインプリント用組成物であることを特徴とする請求項10に記載の光硬化性組成物。 請求項10または11に記載の光硬化性組成物を硬化した硬化物。 基板上に、請求項10または11に記載の光硬化性組成物を配置する配置工程と、 前記光硬化性組成物とパターン形状を転写するための原型パターンを有するモールドとを接触させる型接触工程と、 前記光硬化性組成物に光を照射して硬化膜とする光照射工程と、 前記硬化膜と前記モールドとを引き離す離型工程と、を有することを特徴とするパターン形状を有する膜の製造方法。 前記モールドの原型パターンの表面がヒドロキシル基を有することを特徴とする請求項13に記載のパターン形状を有する膜の製造方法。 前記モールドの原型パターンの表面が石英であることを特徴とする請求項13または14に記載のパターン形状を有する膜の製造方法。 前記型接触工程が、凝縮性ガスを含む気体の雰囲気下で行われることを特徴とする請求項13〜15のいずれか一項に記載のパターン形状を有する膜の製造方法。 前記凝縮性ガスを含む気体が、ヘリウムと凝縮性ガスとの混合気体であることを特徴とする請求項16に記載のパターン形状を有する膜の製造方法。 前記凝縮性ガスが、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンであることを特徴とする請求項16または17に記載のパターン形状を有する膜の製造方法。 請求項14〜18のいずれか一項に記載のパターン形状を有する膜の製造方法により、基板上にパターン形状を有する膜を得る工程を有することを特徴とする光学部品の製造方法。 請求項13〜18のいずれか一項に記載のパターン形状を有する膜の製造方法によりパターン形状を有する膜を得る工程と、得られた膜のパターン形状をマスクとして基板にエッチング又はイオン注入を行う工程と、を有することを特徴とする光学部品の製造方法。 請求項13〜18のいずれか一項に記載のパターン形状を有する膜の製造方法によりパターン形状を有する膜を得る工程と、得られた膜のパターン形状をマスクとして基板にエッチング又はイオン注入を行う工程と、前記基板に電子部材を形成する工程と、を有することを特徴とする回路基板の製造方法。 請求項21に記載の回路基板の製造方法により回路基板を得る工程と、前記回路基板と前記回路基板を制御する制御機構とを接続する工程と、を有することを特徴とする電子部品の製造方法。 【課題】光ナノインプリント法のレジストにおいて、光硬化性組成物の高い光硬化速度と硬化物の低いモールドとの離型力を実現する化合物の提供。【解決手段】下式で示されるフルオロアルキル化された(ポリ)オキシアルキレン基を有するアミン化合物。(Rfは少なくとも一部がフッ素原子で置換されたアルキル基;ROはオキシアルキレン基若しくはオキシアルキレン基の繰り返し構造;RAはC1〜5のアルキル基;RBはアルキル基若しくはH。)前記オキシアルキレン基がオキシエチレン基若しくはオキシプロピレン基の繰り返し構造であるアミン化合物【選択図】なし


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