タイトル: | 公開特許公報(A)_選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)およびその使用 |
出願番号: | 2014093514 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C07D 498/04,A61K 31/565,A61K 38/22,A61K 38/28,A61K 31/5575,A61K 31/663,A61K 31/59,A61K 31/122,A61K 38/23,A61K 45/00,A61P 43/00,A61P 1/04,A61P 1/14,A61P 3/00,A61P 3/06,A61P 3/04,A61P 3/10,A61P 7/02,A61P 7/06,A61P 9/04,A61P 9/00,A61P 9/10,A61P 19/06,A61P 9/12,A61P 11/00,A61P 15/02,A61P 15/10,A61P 15/12,A61P 15/00,A61P 17/00,A61P 19/02,A61P 21/00,A61P 25/00,A61P 25/24,A61P 25/28,A61P 29/00,A61P 7/04,A61P 35/00,A61P 21/04,A61K 31/5383 |
リン・チ JP 2014148538 公開特許公報(A) 20140821 2014093514 20140430 選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)およびその使用 リガンド・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド 500204625 鮫島 睦 100100158 田村 恭生 100068526 品川 永敏 100126778 森本 靖 100150500 リン・チ US 61/008,731 20071221 C07D 498/04 20060101AFI20140725BHJP A61K 31/565 20060101ALI20140725BHJP A61K 38/22 20060101ALI20140725BHJP A61K 38/28 20060101ALI20140725BHJP A61K 31/5575 20060101ALI20140725BHJP A61K 31/663 20060101ALI20140725BHJP A61K 31/59 20060101ALI20140725BHJP A61K 31/122 20060101ALI20140725BHJP A61K 38/23 20060101ALI20140725BHJP A61K 45/00 20060101ALI20140725BHJP A61P 43/00 20060101ALI20140725BHJP A61P 1/04 20060101ALI20140725BHJP A61P 1/14 20060101ALI20140725BHJP A61P 3/00 20060101ALI20140725BHJP A61P 3/06 20060101ALI20140725BHJP A61P 3/04 20060101ALI20140725BHJP A61P 3/10 20060101ALI20140725BHJP A61P 7/02 20060101ALI20140725BHJP A61P 7/06 20060101ALI20140725BHJP A61P 9/04 20060101ALI20140725BHJP A61P 9/00 20060101ALI20140725BHJP A61P 9/10 20060101ALI20140725BHJP A61P 19/06 20060101ALI20140725BHJP A61P 9/12 20060101ALI20140725BHJP A61P 11/00 20060101ALI20140725BHJP A61P 15/02 20060101ALI20140725BHJP A61P 15/10 20060101ALI20140725BHJP A61P 15/12 20060101ALI20140725BHJP A61P 15/00 20060101ALI20140725BHJP A61P 17/00 20060101ALI20140725BHJP A61P 19/02 20060101ALI20140725BHJP A61P 21/00 20060101ALI20140725BHJP A61P 25/00 20060101ALI20140725BHJP A61P 25/24 20060101ALI20140725BHJP A61P 25/28 20060101ALI20140725BHJP A61P 29/00 20060101ALI20140725BHJP A61P 7/04 20060101ALI20140725BHJP A61P 35/00 20060101ALI20140725BHJP A61P 21/04 20060101ALI20140725BHJP A61K 31/5383 20060101ALI20140725BHJP JPC07D498/04 112TC07D498/04A61K31/565A61K37/24A61K37/26A61K31/5575A61K31/663A61K31/59A61K31/122A61K37/30A61K45/00A61P43/00 111A61P1/04A61P1/14A61P3/00A61P3/06A61P3/04A61P3/10A61P7/02A61P7/06A61P9/04A61P9/00A61P9/10 101A61P19/06A61P9/12A61P11/00A61P15/02A61P15/10A61P15/12A61P15/00A61P17/00A61P19/02A61P21/00A61P25/00A61P25/24A61P25/28A61P29/00 101A61P7/04A61P35/00A61P21/04A61K31/5383 18 2010539438 20081212 OL 128 4C072 4C084 4C086 4C206 4C072AA01 4C072AA07 4C072BB02 4C072BB06 4C072CC02 4C072CC11 4C072DD10 4C072EE07 4C072FF07 4C072GG01 4C072GG06 4C072GG07 4C072UU01 4C084AA02 4C084AA19 4C084BA44 4C084DB25 4C084DB31 4C084DB58 4C084NA05 4C084ZC032 4C084ZC202 4C084ZC412 4C084ZC422 4C084ZC502 4C086AA01 4C086AA03 4C086CB22 4C086DA01 4C086DA09 4C086DA14 4C086DA34 4C086GA16 4C086MA02 4C086MA05 4C086MA52 4C086MA55 4C086MA56 4C086MA58 4C086MA59 4C086MA60 4C086MA63 4C086MA66 4C086NA05 4C086NA14 4C086ZA02 4C086ZA12 4C086ZA15 4C086ZA16 4C086ZA36 4C086ZA42 4C086ZA45 4C086ZA51 4C086ZA55 4C086ZA59 4C086ZA66 4C086ZA67 4C086ZA70 4C086ZA81 4C086ZA86 4C086ZA89 4C086ZA94 4C086ZA96 4C086ZA97 4C086ZB15 4C086ZB26 4C086ZC03 4C086ZC11 4C086ZC12 4C086ZC21 4C086ZC23 4C086ZC31 4C086ZC33 4C086ZC35 4C086ZC41 4C086ZC42 4C206AA01 4C206CB28 4C206ZC29関連出願 2007年12月21日出願された、「選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)およびその使用」と題するLin Zhiの米国仮特許出願第61/008,731号の優先権を主張する。認められる場合、上記出願の内容は引用によりその全般が本明細書に援用される。 アンドロゲン受容体を結合し、かつ/またはアンドロゲン受容体の活性を調節する、選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)化合物、ならびに該化合物の製造および使用方法を、本明細書において提供する。また、該化合物を含む組成物および該組成物の製造および使用方法も提供する。さらに、アンドロゲン受容体介在性疾患の治療方法も提供する。 ある特定の細胞内受容体(IR)はある特定の遺伝子の転写を制御することが示されている(例えば、非特許文献1を参照)。ある特定の該IRは、ステロイド受容体、例えばアンドロゲン受容体、エストロゲン受容体、鉱質コルチコイド受容体、およびプロゲステロン受容体である。そのような受容体による遺伝子制御は通常、リガンドによるIRの結合が関与する。 特定の場合において、リガンドはIRに結合し、受容体/リガンド複合体を形成する。次いで、該受容体/リガンド複合体は細胞の核へ移行し、そこで1つ以上の遺伝子制御領域のDNAに結合し得る。いったん特定の遺伝子制御領域のDNAに結合すると、受容体/リガンド複合体はその特定の遺伝子によりコードされるタンパク質の産生を調節することができる。特定の場合において、アンドロゲン受容体/リガンド複合体は特定のタンパク質の発現を制御する。特定の場合において、アンドロゲン受容体/リガンド複合体は、特定の遺伝子制御領域のDNAまたは他の転写因子と直接相互作用することができる。特定の場合において、そのような相互作用の結果、転写活性化が調節される。 アンドロゲン療法は、様々な男性の障害(例えば、生殖障害、および原発性もしくは続発性男性性腺機能低下)の治療に用いられている。多くの天然もしくは合成のARアゴニストが、筋骨格障害(例えば骨疾患)、造血障害、神経筋疾患、リウマチ性疾患、消耗性疾患の治療のため、およびホルモン補充療法(HRT)(例えば女性のアンドロゲン欠乏症)のために研究されている。加えて、ARアンタゴニスト、例えばフルタミドおよびビカルタミドが、前立腺癌の治療に用いられる。公知のステロイド受容体のモジュレーターの効力は、とりわけ長期投与の間において、その望ましくない副作用プロファイルによってしばしば抑えられる。例えば、女性に対するアンドロゲン療法の起こりうる副作用としては、ざ瘡、体重増加、過剰な顔面の毛および体毛、持続的な声の低音化、および有害な脂質変化が挙げられる。男性において、有害な作用としては、睡眠および呼吸障害、赤血球増加症、ならびに高密度リポタンパク質の抑制を挙げることができる。従って、有害な副作用を示さない化合物が必要とされている。アンドロゲン受容体の活性を調節する化合物を提供することは本明細書における目的である。R. M. Evans, Science 240: 889 (1988) アンドロゲン受容体の活性の調節のための組成物および方法に用いる化合物を提供する。本明細書において提供される化合物は、非ステロイド性選択的アンドロゲン受容体モジュレーターもしくはSARMである。とりわけ、非ステロイド性SARMは、治療効果を示すが、通常は有害なアンドロゲン作用(例えば、前立腺肥大、ざ瘡、多毛症、男性化および女性の男性化)は示さない。該化合物は、例えば組織選択的な方法で、ARの機能を選択的に調節(刺激もしくは拮抗)し、負のもしくは望ましくないアンドロゲン特性を伴わないかまたはその低下を伴って、アンドロゲンの効果を生み出す。本明細書において提供される化合物としては、アンドロゲン受容体のアゴニストが挙げられる。本明細書において提供される化合物としては、アンドロゲン受容体のアンタゴニストが挙げられる。本明細書において提供される化合物としては、アンドロゲン受容体部分アゴニストが挙げられる。 本明細書において提供される化合物としては、組織特異的選択的アンドロゲン受容体モジュレーターが挙げられる。それらは、経口テストステロン補充療法に用いることができる。本明細書において提供される化合物は、通常1マイクロモル未満のEC50値のアゴニスト活性を示す。本明細書において提供される化合物は、通常2マイクロモル未満のIC50値のアンタゴニスト活性を示す。本明細書において提供されるSARMは通常、同化組織、例えば結合組織(骨および筋肉を含む)を標的とし、該SARMを用いて、対象における結合組織の量を増大させ、対象における結合組織の損失を回復させることができる。治療することができる障害には、筋消耗、悪液質、虚弱および骨粗鬆症、ならびに他の筋および骨障害(以下に列挙されるものが含まれる)がある。 本明細書において提供される化合物は、式I、式II、もしくは式III:(式中、R1は、ハロゲン、擬ハロゲン、適宜置換された低級アルキル、適宜置換されたハロアルキル、またはNO2、とりわけ、低級ハロアルキルまたはハロゲンであって、特に、CF3、F、またはClであり; R2は、水素、ハロゲン、擬ハロゲン、適宜置換された低級アルキル、または適宜置換された低級ハロアルキル、とりわけ、水素またはメチルであり; R3は、水素、ハロゲン、擬ハロゲン、適宜置換された低級アルキル、または適宜置換された低級ハロアルキル、とりわけ、水素または低級アルキルであって、特に、水素またはメチルであり; R4は、ハロゲンまたは低級ハロアルキル、とりわけ、CF3またはハロゲンであって、特に、ClまたはCF3であり; そして、R5は、低級アルキルまたは低級ハロアルキル、とりわけ、C1〜C4アルキルまたはC1〜C4ハロアルキルであって、特に、メチル、エチル、またはCF3である。)の構造を有する。式I、式II、もしくは式IIIの化合物の、医薬的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグも提供する。 いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は、組織選択的アンドロゲン受容体アゴニスト活性を示す。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は、組織選択的アンドロゲン受容体アンタゴニスト活性を示す。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は、アンドロゲン受容体選択的結合化合物である。 本明細書において提供される化合物は、1つ以上のアンドロゲン受容体介在性疾患もしくは症状の治療に有効である。そのような症状および疾患には、アンドロゲン欠乏症により引き起こされるもの、および/またはアンドロゲン投与によって寛解され得るものが含まれる。ある特定の実施態様において、本明細書において提供される化合物は、アンドロゲン受容体アゴニストに反応する1つ以上の疾患もしくは症状の治療に有効である。ある特定の実施態様において、本明細書において提供される化合物は、病因としてアンドロゲン受容体の機能低下もしくは弱感受性を含む1つ以上の症状の治療に有効である。他の実施態様において、本明細書において提供される化合物は、1つ以上のアンドロゲン受容体アンタゴニストに反応する疾患または症状の治療に有効である。他の実施態様において、本明細書において提供される化合物は、病因としてアンドロゲン受容体の機能亢進を含む1つ以上の症状の治療に有効である。 いくつかの組織において、本明細書において提供される化合物は、ARアゴニスト活性を示し得て、アンドロゲン欠乏症またはアンドロゲン受容体の機能低下もしくは弱感受性により引き起こされる症状、あるいはアンドロゲン補充により寛解され得るかまたはARアゴニストによる治療に反応する症状、を治療するために用いることができる。そのような症状としては、限定はされないが、皮膚の老化; アルツハイマー病; 貧血、例えば、再生不良性貧血など; 食欲不振; 炎症性関節炎、関節リウマチ、変形性関節症および痛風を含む、関節炎; 動脈硬化症; アテローム性動脈硬化症; 転移性骨疾患を含む、骨疾患; 骨の損傷もしくは骨折、例えば骨折修復の促進、および/または骨芽細胞の刺激、および/または骨リモデリングの刺激、および/または軟骨成長の刺激により; 仮骨延長; 骨質量、骨密度もしくは骨成長の低下; 例えばグルココルチコイド投与により引き起こされる、骨の脆弱化; 筋骨格機能障害(例えば、高齢者において); 悪液質; 乳癌および骨肉腫を含む、癌; 心機能不全(例えば、弁膜症、心筋梗塞、心肥大またはうっ血性心不全に関連するもの); 心筋症; グルココルチコイドの異化副作用(catabolic side effect); クローン病; クローン病に関連した発育遅延; 短腸症候群; 過敏性腸症候群; 炎症性腸疾患; 潰瘍性大腸炎; 認知機能低下および認知機能障害; 認知症; 短期記憶喪失; 避妊(男性および女性); 慢性閉塞性肺疾患(COPD); 慢性気管支炎; 肺機能低下; 肺気腫; 男性および女性の両方におけるリビドー減退; うつ病; 神経過敏、易刺激性および/またはストレス; 精神的活力の低下および低い自尊心(例えば、モチベーション/アサーティブネス); 脂質異常症; 勃起不全; 虚弱; 高齢者における加齢性機能低下(「ARFD」); 成長ホルモン分泌不全; 造血障害; ホルモン補充(男性および女性); 高コレステロール血症; 高インスリン血症; 高脂血症; 高血圧; 高アンドロゲン血症; 性腺機能低下症(原発性および続発性を含む); 低体温(麻酔後の低体温を含む); インポテンス; インスリン抵抗性; 2型糖尿病; リポジストロフィー(HIVもしくはAIDS治療(例えばプロテアーゼ阻害薬)を受けている患者において、など); 男性更年期; メタボリックシンドローム(シンドロームX); 筋力および/または筋機能の低下(例えば、高齢者において); 筋ジストロフィー; 術後の筋力低下(例えば、術後のリハビリテーション); 筋萎縮症(例えば、運動不足、ベッド安静、または微小重力のような低荷重負荷状態(reduced weight-bearing condition)に起因); 神経変性疾患; 神経筋疾患; 血小板数低下; 血小板凝集障害(血小板 aggregation disorder); 肥満症; 骨粗鬆症; 骨減少症; グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症; 骨軟骨異形成症; 歯周病; 月経前症候群; 女性における閉経後の症状; リーブンシンドローム(リーブンシンドローム); リウマチ性疾患; 筋肉減少症; 男性および女性の性機能低下(例えば、勃起不全、性的欲求の低下、性的健康(sexual well-being)の低下、リビドー減退); 慢性疾患に関連した成長ホルモン分泌不全児および低身長ならびに肥満症に関連した発育遅延を含む、生理学的低身長; 歯の損傷(例えば、歯の修復もしくは成長の促進により); 血小板減少症; 膣乾燥; 萎縮性膣炎; 心室機能不全; 骨折による消耗、ならびに慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性肝疾患、AIDS、無重力、癌悪液質、熱傷および外傷回復、慢性的な異化状態(catabolic state)(例えば、昏睡)、摂食障害(例えば、食欲不振)、化学療法、多発性硬化症もしくは他の神経変性障害に関連した消耗を含む消耗、が挙げられる。 いくつかの組織において、本明細書において提供される化合物はARアゴニスト活性を示し得て、該化合物は、拍動的成長ホルモン放出を刺激するため; ホルモン補充療法(例えば女性のアンドロゲン欠乏症および男性のアンドロゲン低下)において; 骨強度、筋力および筋緊張を改善するため; 対象の皮下脂肪を減少させるため; 骨および筋の能力/強度を高めるため; 運動能力を増大させるため; 外傷後のタンパク質異化反応を減弱もしくは回復させるため(例えば、手術、うっ血性心不全、心筋症、熱傷、癌、COPDに関連した異化状態の回復); 睡眠の質を改善し、かつ/またはREM睡眠の高い増加およびREM潜時の減少に起因する、老化の相対的低ソマトトロピン症(relative hyposomatotropism)を是正するため; 男性における加齢性の低テストステロン濃度を治療するために用いることができる。 いくつかの組織において、本明細書において提供される化合物は、ARアンタゴニスト活性を示し得て、病因としてアンドロゲン受容体の機能亢進を含むかまたはARアンタゴニストを用いた治療に反応する症状を治療するために用いることができる。そのような症状としては、限定はされないが、黒色表皮腫、ざ瘡、副腎性高アンドロゲン症(adrenal hyper-androgenism)、アンドロゲン性脱毛症(男性型脱毛症)、前立腺の腺腫および腫瘍(例えば、進行した転移性前立腺癌)、良性の前立腺肥大、癌(例えば、乳癌、膀胱癌、子宮内膜癌、肺癌(非小細胞肺癌)、膵癌、前立腺癌(アンドロゲン依存性前立腺癌を含む)および皮膚癌); 神経性過食症; 慢性疲労症候群(CFS); 慢性筋肉痛; 急性疲労症候群; 避妊; 子癇前症、妊娠子癇および早期分娩の防止; 創傷治癒遅延; 赤血球増加症; 妊娠糖尿病; 多毛症; 高インスリン血症(膵島細胞症(nesidioblastosis)を含む); アンドロゲン過剰症; 副腎皮質ホルモン過剰症; クッシング症候群; 過剰有毛(hyperpilosity); 不妊症; 例えば、乳癌、脳癌、皮膚癌、卵巣癌、膀胱癌、リンパ腺癌、肝癌および腎癌の場合のような、アンドロゲン受容体を有する悪性腫瘍細胞; 月経不順; 卵巣アンドロゲン過剰症; 多嚢胞性卵巣症候群; 脂漏症; 睡眠障害; 睡眠時無呼吸; および内臓脂肪症が挙げられる。 ある特定の実施態様において、本明細書において提供される化合物は前立腺癌の治療に有効である。ある特定の実施態様において、本明細書において提供される化合物はアンドロゲン依存性前立腺癌の治療に有効である。ある特定の実施態様において、本明細書において提供される化合物はアンドロゲン非依存性前立腺癌の治療に有効である。ある特定の実施態様において、本明細書において提供される化合物はアンドロゲン非依存性アンドロゲン受容体依存性前立腺癌の治療に有効である。 該治療方法は、本明細書において提供される化合物を対象に投与することにより実施される。ある特定の実施態様において、治療が必要な対象を同定し、本明細書において提供される化合物を該対象に投与することによる、対象におけるアンドロゲン受容体調節に反応する症状の治療方法を提供する。ある特定の実施態様において、本明細書において提供される方法は、アンドロゲン受容体アゴニストに反応する疾患もしくは症状を治療するためのものである。ある特定の実施態様において、本明細書において提供される方法は、アンドロゲン受容体アンタゴニストに反応する症状を治療するためのものである。 ある特定の実施態様において、アンドロゲン受容体と少なくとも1つの本明細書において提供される化合物を接触させることによってアンドロゲン受容体の活性を調節する方法を提供する。ある特定のそのような実施態様において、該アンドロゲン受容体は細胞中にある。いくつかの実施態様において、該調節は受容体を刺激することである。いくつかの実施態様において、該調節は該受容体を拮抗することである。 ある特定の実施態様において、アンドロゲン受容体を発現する細胞と本明細書において提供される化合物を接触させることによってアンドロゲン受容体の活性を調節することができる化合物を同定する方法、および該細胞上での化合物の効果をモニターする方法、を提供する。 ある特定の実施態様において、対象における避妊の方法を提供する。該方法は、避妊をもたらすのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物、または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与すること、を含む。いくつかの実施態様において、該化合物は、テストステロン、19-ノルテストステロン、7α-メチル-19-ノルテストステロン、および5α-ジヒドロ-テストステロンの中から選択されるアンドロゲンと共投与される。一実施態様において、該対象は男性であり、対象における精子産生を抑制するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物を投与し、それによって対象において避妊が達成される。一実施態様において、本明細書において提供される化合物は、対象における精子形成を阻害する。一実施態様において、該対象は女性であり、対象において避妊をもたらすのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物が投与される。 ある特定の実施態様において、ホルモン療法を供する方法を提供する。該方法には、アンドロゲン受容体活性を調節するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物を対象に投与し、それによってアンドロゲン依存性の症状において変化をもたらすことが含まれる。いくつかの組織において、該化合物はアンドロゲン受容体アゴニストである。いくつかの組織において、該化合物はアンドロゲン受容体アンタゴニストである。 ある特定の実施態様において、対象における癌を治療するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象に投与することを含む、対象における癌の治療方法を提供する。ある特定の実施態様において、該癌は、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、神経膠腫、頭頸部扁平上皮癌、皮膚癌、乳頭状腎癌(papillary renal carcinoma)、白血病、リンパ腫、リ・フラウメニ症候群、悪性胸膜中皮腫、メラノーマ、多発性骨髄腫、非小細胞肺癌、滑膜肉腫、甲状腺癌、膀胱の移行上皮癌、および前立腺癌の中から選択される。いくつかの実施態様において、該化合物は、癌細胞を死滅させるのに有効な量で投与される。いくつかの実施態様において、該化合物は、癌の増殖および/または転移を阻害するのに有効な量で投与される。いくつかの実施態様において、該化合物は、抗増殖薬、抗腫瘍薬、副腎皮質ステロイド、プロゲスチン、エストロゲン、抗エストロゲン薬、放射性核種、毒素および細胞傷害性薬物、化学療法薬、光線力学的療法色素(photodynamic therapy dye)ならびに抗生物質、あるいはそれらの組み合わせ、の中から選択される1つ以上の他の治療薬と共投与される。 ある特定の実施態様において、対象における前立腺癌の治療方法を提供する。該方法には、対象の前立腺癌を治療するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該前立腺癌はアンドロゲン依存性前立腺癌である。いくつかの実施態様において、該前立腺癌はアンドロゲン非依存性前立腺癌である。いくつかの実施態様において、該前立腺癌は、アンドロゲン非依存性であるがアンドロゲン受容体依存性の前立腺癌である。いくつかの実施態様において、該化合物は、癌細胞を死滅させるのに有効な量で対象に投与される。いくつかの実施態様において、該化合物は、前立腺癌細胞の増殖および/または転移を阻害するのに有効な量で対象に投与される。いくつかの実施態様において、該化合物は、フルタミド、毒素、ビカルタミド、ニルタミド、抗腫瘍薬、細胞傷害性薬物、放射性核種、およびそれらの組み合わせの中から選択される別の治療薬と共投与される。いくつかの実施態様において、該化合物および/または別の治療薬(存在する場合)は、該化合物および/または治療薬を前立腺腫瘍抗原に結合させることによって、選択的に狙って前立腺癌細胞と反応させる。 ある特定の実施態様において、対象における前立腺癌の進行を遅延させる方法を提供する。該方法には、対象における前立腺癌の進行を遅延させるのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。 ある特定の実施態様において、対象における運動能力の改善方法を提供する。該方法には、患者の運動能力を改善するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。 ある特定の実施態様において、対象における筋の能力、筋のサイズおよび/または筋力を増大させる方法を提供する。該方法には、対象における筋の能力、筋のサイズおよび/または筋力を増大させるのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。 ある特定の実施態様において、対象における筋消耗の治療、予防、抑制、阻害、もしくは発生率の低減方法を提供する。該方法には、対象における筋消耗を治療、予防、抑制、阻害、もしくは発生率を低減するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該筋消耗は、男性更年期、脊髄性筋萎縮症、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ型、筋緊張性およびベッカー型)、重症筋無力症、悪液質(例えば、AIDS悪液質、心臓悪液質、および癌悪液質)、癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、糖尿病、HIV感染症、後天性免疫不全症候群(AIDS)、敗血症、結核、腎不全、心不全、心筋症、ベッド安静、廃用性(disuse)、不動性(inactivity)、微小重力、栄養障害、筋肉減少症、老化および虚弱の中から選択される状態により引き起こされる(例えば、Lynch et al., Pharmacology & Therapeutics 113(3): 461-487 (2007)を参照)。 ある特定の実施態様において、対象における神経変性疾患もしくは障害を治療する方法を提供する。該方法には、対象における神経変性疾患もしくは障害を治療するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該神経変性障害はアルツハイマー病である。 ある特定の実施態様において、対象においてアルツハイマー病の発症を予防もしくは進行を遅延する方法を提供する。該方法には、対象におけるアルツハイマー病の発症の予防もしくは進行の遅延に有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該化合物は、β-アミロイドの形成もしくは放出を阻害する、有効な量の化合物と共投与される。 ある特定の実施態様において、対象における認知機能障害の治療方法を提供する。該方法には、対象における認知機能障害を治療するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。 ある特定の実施態様において、対象におけるうつ病の治療方法を提供する。該方法には、対象におけるうつ病を治療するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。 ある特定の実施態様において、対象における1つ以上の閉経後の症状の治療方法を提供する。該方法には、対象における1つ以上の閉経後の症状を治療するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該閉経後の症状は、リビドー減退、性行為の減少、身体的健康感の低下、疲労、およびのぼせの中から選択される。いくつかの実施態様において、該化合物は、エストロン、2-ヒドロキシエストロン、2-メトキシエストロン、4-ヒドロキシエストロン、15-α-ヒドロキシ-エストロン、16-α-ヒドロキシエストロン、16-β-ヒドロキシエストロン、エストラジオール(17-β-エストラジオール)、2-ヒドロキシ-エストラジオール、2-メトキシ-エストラジオール、4-ヒドロキシ-エストラジオール、16-オキソエストラジオール、エストリオール、16-エピエストリオール、および17-エピエストリオール、ならびにそれらの組み合わせの中から選択される別の治療薬と共投与される。いくつかの実施態様において、該化合物は、エストラジオールバレラート、エストロン、エストロンスルフェート、エストロンスルフェートピペラジン塩もしくはそのエステル、合成エストロゲン、ならびにそれらの組み合わせの中から選択される別の治療薬と共投与される。いくつかの実施態様において、該化合物は、アレンドロネート、カルシトニン、クロドロネート、クロミフェン、クロミフェンシトレート、クロニジン、結合型エストロゲン、天然もしくは合成のエストロゲン、エチニルエストラジオール、エストラジオール、エンクロミフェン、エンクロミフェンシトレート、エチドロネート、イバンドロネート、メトキシ-プロゲステロンアセテート、メゲストロールアセテート、ノルエチンドロンアセテート、パミドロネート、プロゲステロン、リセドロネート、チルドロネート、ズクロミフェン(zuclomiphene)、ズクロミフェンシトレート、およびそれらの組み合わせの中から選択される別の治療薬と共投与される。 ある特定の実施態様において、対象における脂質プロファイルの改善方法を提供する。該方法には、対象の脂質プロファイルに影響を及ぼすのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。 ある特定の実施態様において、対象における血中脂質レベルの低減方法を提供する。該方法には、対象における血中脂質レベルを低下させるのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該化合物は、β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸、ラクトフェリン、コレスチラミン、コレスチポール、コレセベラム、ニコチン酸、1つ以上のフィブリン酸(例えば、ゲムフィブロジル、フェノフィブレートおよびクロフィブレート)、および1つ以上のHMG-CoA還元酵素阻害薬(ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチンおよびセリバスタチン)、ならびにそれらの組み合わせの中から選択される治療薬と共投与される。 ある特定の実施態様において、対象におけるアテローム性動脈硬化症、心血管障害、脳血管障害、末梢血管障害、および/または腸管血管障害(intestinal vascular disorder)の治療方法を提供する。該方法には、対象におけるアテローム性動脈硬化症、心血管障害、脳血管障害、末梢血管障害、および/または腸管血管障害を治療するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該化合物は、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)化合物と共投与される。 ある特定の実施態様において、対象における骨粗鬆症、骨減少症、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症または骨折の治療方法を提供する。該方法には、対象における骨粗鬆症、骨減少症、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症または骨折を治療するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該化合物は、エストロゲン、エストロゲン誘導体、プロゲスチン、プロゲスチン誘導体、ビスホスホネート、抗エストロゲン薬、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、カテプシン阻害薬、プロトンポンプ阻害薬、PPARγ阻害薬、カルシトニン、オステオプロテジェリン、およびそれらの組み合わせの中から選択される、少なくとも1つの、有効な量の他の治療薬と共投与される。 ある特定の実施態様において、対象の骨の強度もしくは質量の増大方法を提供する。該方法には、対象において骨の強度もしくは質量を増大させるのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与すること、が含まれる。 ある特定の実施態様において、対象における骨形成の促進方法を提供する。該方法には、対象において骨形成を促進するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。 ある特定の実施態様において、対象における造血障害の治療方法を提供する。該方法には、対象における造血障害を治療するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該造血障害は、貧血、白血病、ならびに骨髄移植または化学療法もしくは放射線療法により引き起こされる造血系の症状の中から選択される。 ある特定の実施態様において、対象において赤血球数を増加させる方法を提供する。該方法には、対象において赤血球数を増加させるのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。 ある特定の実施態様において、対象における貧血、血小板減少症または好中球減少症の治療方法を提供する。該方法には、対象における貧血、血小板減少症もしくは好中球減少症を治療するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該化合物は、治療上有効な量の少なくとも1つの造血サイトカインと共投与される。いくつかの実施態様において、該造血サイトカインは、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、インターロイキン-1、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-5、インターロイキン-7、インターロイキン-9、インターロイキン-11、マクロファージコロニー刺激因子、幹細胞因子およびトロンボポエチンの中から選択される。 ある特定の実施態様において、対象における血清エリスロポエチン(EPO)レベルを増大させる方法を提供する。該方法には、対象における血清EPOレベルを増大させるのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。 ある特定の実施態様において、対象における肥満症または肥満症関連症状もしくは疾患の、予防および/または治療方法を提供する。該方法は、対象における肥満症または肥満症関連症状もしくは疾患を、予防および/または治療するのに有効な量の、式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。 ある特定の実施態様において、対象における腹部肥満症(abdominal adiposity)の治療方法を提供する。該方法には、対象における腹部肥満症を治療するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグ(ARアゴニストである)を対象に投与することが含まれる。 ある特定の実施態様において、対象における腹部肥満症の治療方法を提供する。該方法には、対象における腹部肥満症を治療するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグ(ARアンタゴニストである)を対象に投与することが含まれる。 ある特定の実施態様において、対象におけるインスリン抵抗性の治療方法を提供する。該方法には、対象におけるインスリン抵抗性を治療するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。 ある特定の実施態様において、対象における2型糖尿病の治療方法を提供する。該方法には、対象における2型糖尿病を治療するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該化合物は、有効な量の抗糖尿病薬、例えば、限定はされないが、チアゾリジンジオン-タイプの薬剤(例えば、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾン)、スルホニルウレア-タイプの薬剤(例えば、クロルプロパミド、グリメピリド、グリピジド、グリブリドまたはトルブタミド)、ビグアナイド-タイプの薬剤(例えば、メトホルミン)、エクセナチド、アカルボース、レパグリニド、ナテグリニド、トラザミド、あるいはそれらの組み合わせ、と共投与される。 ある特定の実施態様において、対象における動脈性高血圧、高インスリン血症、高血糖症、または脂質異常症の治療方法を提供する。該方法には、対象における動脈性高血圧、高インスリン血症、高血糖症、もしくは脂質異常症を治療するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを投与することが含まれる。 ある特定の実施態様において、対象における関節炎の症状または炎症性の障害の、治療または予防方法を提供する。該方法には、対象における関節炎の症状または炎症性の障害を、治療または予防するのに有効な量の、式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該関節炎の症状または炎症性の障害は、変形性関節症、ベーチェット病、滑液包炎、腱炎、CPPD沈着症、手根管症候群、エーラース・ダンロス症候群、線維筋痛症、痛風、感染性関節炎、炎症性腸疾患、若年性関節炎、エリテマトーデス、ライム病、マルファン症候群、筋炎、変形性関節症、骨形成不全症、骨壊死、多発性動脈炎、リウマチ性多発筋痛、乾癬性関節炎、レイノー現象、反射性交感神経性ジストロフィー、ライター症候群、関節リウマチ、強皮症、およびシェーグレン症候群の中から選択される。 ある特定の実施態様において、対象における変形性関節症の治療または予防方法を提供する。該方法には、対象における変形性関節症を治療または予防するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該化合物は、副腎皮質ステロイド、金製剤(gold treatment)、メトトレキサート、アスピリン、NSAID、COX-2阻害薬、またはDMARD(疾患修飾性抗リウマチ薬)と共投与される。 ある特定の実施態様において、対象における性機能低下の治療方法を提供する。該方法には、対象における性機能低下を治療するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該性機能低下は男性の勃起不全である。いくつかの実施態様において、該性機能低下はインポテンスである。 ある特定の実施態様において、対象のリビドーを亢進させる方法を提供する。該方法には、対象のリビドーを亢進させるのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。 ある特定の実施態様において、男性対象におけるアンドロゲン低下に関連した症状の治療方法を提供する。該方法には、対象におけるアンドロゲン低下に関連した症状を治療するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該症状は、疲労、うつ病、リビドー減退、性機能低下、勃起不全、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛、肥満症、筋肉減少症、骨減少症、良性の前立腺肥大、貧血、情緒および認知における変化(alterations in mood and cognition)、ならびに前立腺癌の中から選択される。ある特定の実施態様において、対象における筋肉減少症の治療方法を提供する。 ある特定の実施態様において、女性対象におけるアンドロゲン欠乏症に関連した症状の治療方法を提供する。該方法には、対象におけるアンドロゲン低下に関連した症状を治療するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該症状は、性機能低下、性的リビドー減退、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、情緒および認知における変化、うつ病、貧血、脱毛、肥満症、子宮内膜症、乳癌、子宮癌、および卵巣癌の中から選択される。 ある特定の実施態様において、対象における疾患の治療方法を提供する。該方法は、疾患を治療するのに有効な量の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを対象に投与することを含み、ここで該疾患は、アンギナ、冠動脈疾患、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、肥満症、糖尿病、シンドロームX、耐糖能障害、インスリン抵抗性、高コレステロール血症、高リポタンパク血症、高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、緑内障、高血圧、高トリグリセリド血症、腎疾患、血栓症、末梢血管疾患、血管壁損傷、脳卒中、脂質異常症、糖尿病型脂質異常症、混合型脂質異常症、および非アルコール性脂肪性肝疾患の中から選択される。 有効な濃度の1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグ、あるいは医薬的に許容されるその誘導体を含有する、適当な経路および方法で投与されるように製剤化された医薬組成物も提供し、該医薬組成物は、アンドロゲン受容体活性により調節されるか影響を受ける疾患もしくは障害の1つ以上の症状の、治療、予防、もしくは寛解に有効な量を送達し、そのアンドロゲン受容体活性に関与する。該有効な量および濃度は、いずれの疾患もしくは障害のいずれの症状の寛解に有効である。 ある特定の実施態様において: i)生理学的に許容される担体、希釈剤、および/または賦形剤; ならびに、ii)1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを含む、医薬組成物を提供する。 ある特定の実施態様において、本明細書において提供される化合物は、サンプル(例えば細胞、細胞ホモジネートおよび細胞ライセート)中におけるアンドロゲン受容体の存在、量、および/または状態を検知するのに用いられる。いくつかの実施態様において、サンプルは対象由来である。ある特定の実施態様において、化合物は、放射性もしくは同位体的に標識されている。 また、アンドロゲン受容体の活性を調節するため、パッケージング材料(packaging material);該パッケージング材料内の、アンドロゲン受容体介在性疾患もしくは障害、またはアンドロゲン受容体活性が関連した疾患もしくは障害の1つ以上の症状の治療、予防もしくは寛解のために有効である、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグ、あるいは1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを含む組成物;および、該化合物もしくは組成物が、アンドロゲン受容体の活性を調節するためか、あるいはアンドロゲン受容体介在性疾患もしくは障害またはアンドロゲン受容体活性が関係する疾患もしくは障害の1つ以上の症状の治療、予防もしくは寛解のために用いられることを示すラベルを含有する製品を、提供する。 本明細書に記載の化合物を含む組成物、該組成物の投与用デバイス、および、適宜、投与についての説明書を含むキットも、本明細書において提供する。詳細な説明 A. 定義 B. 化合物 C. 化合物の製造 1. スキームI−式Iの化合物の製造 2. スキームIIおよびIII−式IIの化合物の製造 3. スキームIV−式IIIの化合物の製造 D. 特定の効能(Indication) 1. 筋消耗 2. 筋緊張および筋力 3. 骨粗鬆症 4. 前立腺疾患および前立腺癌 5. 造血系の症状および障害 6. 神経変性疾患および障害 7. 肥満症 8. インスリン障害(Insulin Disorder)および糖尿病 9. 性機能低下 10. 関節炎症状および炎症性疾患 11. 脂質プロファイルの改変 12. 避妊 13. 閉経後の症状 E. 医薬組成物の製剤 1. 経口投与用組成物 2. 注射剤、液剤およびエマルジョン剤 3. 凍結乾燥粉末 4. 局所投与 5. 他の投与経路用の成物 F. 製品 G. キット H. 化合物の活性の評価 1. 筋肉での効果 2. 骨での効果 3. ホルモン依存性腫瘍に対するアンタゴニスト活性 4. 有効性および毒性 5. 受容体結合アッセイ 6. in vivoアッセイ - スプラーグドーリーラットモデル I. 化合物および組成物の使用方法 1. 筋消耗の治療方法 2. 筋の能力、サイズおよび/または強度の改善方法 3. 運動能力の改善方法 4. 骨-関連症状の治療方法 5. 癌の治療方法 6. 前立腺癌の治療方法 7. 避妊方法 8. ホルモン療法の提供方法 9. 閉経後の症状の治療方法 10. 造血障害の治療方法 11. 神経変性疾患および障害の治療方法 12. 認知機能障害の治療方法 13. うつ病の治療方法 14. 肥満症の治療方法 15. インスリン抵抗性および糖尿病の治療方法 16. 性機能低下の治療方法 17. 関節炎症状および炎症性疾患の治療方法 18. 脂質プロファイルの改善方法 19. アテローム性動脈硬化の治療方法 20. アンドロゲン低下に関連する症状の治療方法 21. アンドロゲン欠乏症に関連する症状の治療方法 J. 組み合わせ療法 K. 実施例 本明細書で用いるセクション表題は構成目的のみであり、記載された主題に限定するものとして解釈されない。限定はしないが、特許、特許出願、記事、書籍、マニュアル、および論文を含む、本願に記載の全ての文献または文献の一部は、目的に応じて、引用によりその全てが本明細書に明示的に援用される。 特定の定義がなされない限り、本明細書に記載されている、分析化学、有機合成化学、医薬品化学、および製薬化学に関連して用いられる命名法、ならびに分析化学、有機合成化学、医薬品化学、および製薬化学の実験方法および技法は当分野で公知のものである。化学合成、化学分析、医薬品製造(薬剤)、製剤、デリバリー、および対象の治療について、標準的な技法を用いることができる。反応および精製技法は、例えば、製造者の仕様書に従ってキットを用いてか、当分野で一般的に達成される通りか、または本明細書に記載の通り、実施することができる。前述の技法および方法は、当分野で周知の従来の方法に従って、ならびに、本明細書において引用および論じられる様々な一般的でより具体的な文献に記載される通りに、通常は実施され得る。例えば、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989))(目的に応じて、引用により本明細書に援用される)を参照。A. 定義 他に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語および科学用語は、特許請求の範囲に記載の対象が属する分野の当業者により通常理解されているのと同様の意味を有する。本明細書の全体の記載に渡って言及される全ての特許、特許出願、公開文献は、他に記載のない限り、引用により本明細書に援用される。本明細書の用語に対して複数の定義が存在する場合には、この項における定義が優先する。URLまたは他のそのような識別子もしくはアドレスに言及されている場合には、そのような識別子は変化し得て、インターネット上の特定の情報は変更され得るが、同等の情報がインターネットの検索により見いだされ得ることが理解される。それに加えて、文献は、そのような情報の利用可能性および公的な普及を証明する。 前述の一般的な記載および以下の詳細な記載の両方とも、例示目的および説明目的のみであり、特許請求の対象を制限するものではないと理解される。本願において、単数形の使用は、他に特に記載のない限り複数を含む。本願において、「または」の使用は、他に記載のない限り、「および/または」を意味する。さらに、用語「含むこと(including)」ならびに他の形態、例えば「含む(include)」および「含んだ(included)」の使用は、制限的なものではない。 本明細書において用いる、範囲および量は、「約」特定の値もしくは範囲、のように表現され得る。「約」は正確な量も含む。従って、「約10%」は、「約10%」を意味し、「10%」も意味する。 本明細書で用いる「適宜の」もしくは「適宜」は、続いて記載される事象もしくは状況が生じても生じなくてもよいこと、ならびに、該記載は事象もしくは状況が生じる場合および生じない場合を含むことを意味する。例えば、適宜置換された基は、無置換である基もしくは置換された基を意味する。 本明細書で用いる、単数形「a」、「an」および「the」は、その内容が他に明確に指示されていない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「治療薬(a therapeutic agent)」を含有する組成物という言い回しは、1つもしくは複数の治療薬を有する組成物を含む。 本明細書で用いる用語「標的受容体」とは、選択的結合化合物により結合され得る受容体の分子もしくは一部を言う。ある特定の実施態様において、標的受容体はアンドロゲン受容体である。 本明細書で用いる用語「選択的結合化合物」とは、1つ以上の標的受容体のいずれの部位に選択的に結合する化合物を言う。 本明細書で用いる用語「選択的に結合する」とは、非標的受容体への結合よりも大きな親和性で標的受容体に結合する、選択的結合化合物の能力を言う。ある特定の実施態様において、特異的結合とは、非標的に対する親和性よりも少なくとも2、5、10、25、50、75、100、150、200、250、500、1000倍以上高い親和性で標的へ結合することを言う。 本明細書で用いる用語「アンドロゲン受容体選択的結合化合物」とは、非-アンドロゲン受容体(例えば、限定はされないが、プロゲステロン受容体(PR)、エストロゲン受容体(ER)、グルココルチコイド受容体(GR)、鉱質コルチコイド受容体(MR)、レチノイン酸受容体(RAR)、レキシノイド受容体(rexinoid receptor)(RXR)、またはペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR))との親和性よりも高い親和性で、アンドロゲン受容体と選択的に相互作用する化合物を言う。ある特定の実施態様において、アンドロゲン受容体選択的結合化合物は、非-アンドロゲン受容体に対する親和性よりも、少なくとも5、10、25、50、75、100、150、200、250、500、1000倍以上高い率で、アンドロゲン受容体に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物はアンドロゲン受容体選択的結合化合物である。 本明細書で用いる「疾患または症状を有する対象の治療」は、本明細書で提供される化合物、組成物または他の産物を対象に投与することを意味する。 本明細書で用いる用語「治療する」および「治療」は、例えば、疾患または障害の症候の発症を阻害、緩徐もしくは遅延させ、症候または疾患状態の完全もしくは部分的な軽減を達成し、かつ/あるいは、疾患もしくは障害および/またはその症候を軽減、寛解、緩和、もしくは治癒させるように設計された応答性処置および予防的処置のいずれかもしくは両方を包含する。また、治療(treatment)という用語も予防的治療を含むことを意図する。 本明細書で用いる用語「治療」は、症状、障害もしくは疾患の症候を寛解させるかまたは有利に変化させるいずれの方法も意味する。従って治療は、予防、療法および/または治癒を包含する。治療はまた、本明細書において、該組成物のいずれの製薬的用途も包含する。 本明細書で用いる用語「治療薬」とは、当業者に公知である、ワクチンを含む通常の薬剤および薬物療法を言う。 本明細書で用いる、治療(例えば本明細書において提供される化合物もしくはその医薬組成物または他の治療薬の投与)による特定の疾患または障害の症候の寛解とは、組成物もしくは治療薬の投与に起因するか関連し得る、症候のいずれの緩和(永久的または一時的、持続的または一過性にかかわらない)をも意味する。 本明細書で用いる、予防または予防法とは、疾患または症状を進行させるリスクを低減させる方法を言う。予防法には、疾患または症状を進行させるリスクの低減、ならびに/あるいは、症候の悪化もしくは疾患の進行の予防、または症候の悪化もしくは疾患の進行のリスクの低減が含まれる。 本明細書で用いる、特定の疾患を治療するのに有効な、化合物または組成物の量は、寛解に十分であるか、または疾患に関連する症候をある程度軽減する量である。そのような量は、単一用量(single dosage)で投与することができるか、あるいはレジメンに従って投与することができ、それにより有効である。該量は疾患を治癒させることができるが、典型的には、疾患の症候を寛解させるように投与される。典型的には、症候の望ましい寛解を達成するためには反復投与が必要である。 本明細書で用いる「治療上有効な量」または「治療上有効な用量」とは、治療的効果を得るのに少なくとも十分である、薬剤、化合物、物質、または化合物を含有する組成物を言う。有効な量は、疾患または障害の症候の予防、治癒、寛解、抑止、もしくは部分的抑止に必要な治療薬の量である。 本明細書で用いる、特定の化合物または医薬組成物の投与による特定の障害の症候の寛解とは、永久的または一時的、持続的または一過性にかかわらず、重症度のいずれの緩和、発症の遅延、進行の緩徐、もしくは期間の短縮を言い、それは化合物または組成物の投与に起因もしくは関連し得る。 本明細書で用いる用語「モジュレーター」とは、分子の活性を変化させる化合物を言う。例えば、モジュレーターは、モジュレーターの非存在下における活性の大きさと比較して、ある特定の分子の活性の大きさの増大または減少をもたらし得る。ある特定の実施態様において、モジュレーターは阻害剤であり、分子の1つ以上の活性の大きさを減少させる。ある特定の実施態様において、阻害剤は、分子の1つ以上の活性を完全に抑制する。ある特定の実施態様において、モジュレーターは活性化剤であり、分子の少なくとも1つの活性の大きさを増大させる。ある特定の実施態様において、モジュレーターの存在は、モジュレーターの非存在下では生じない活性をもたらす。 本明細書で用いる、用語「選択的モジュレーター」とは、標的活性を選択的に調節する化合物を言う。 本明細書で用いる「選択的アンドロゲン受容体モジュレーター」または「SARM」は他の組織ではなくいくつかの組織における天然のアンドロゲン受容体リガンドの作用を模倣する化合物である。SARMは、1つ以上の標的組織(例えば、筋肉および/または骨)においてはアンドロゲンアゴニズムを誘発し、他の組織(例えば、皮膚、前立腺)においてはアンタゴニズムおよび/または最小アゴニズムを誘発するかあるいは作用しない、化合物である。SARMは組織選択的アンドロゲンアゴニズムを示す。本明細書において提供される化合物の中には、選択された組織においてアゴニストタンパク同化特性およびアンタゴニストアンドロゲン特性を示すSARMであるものがある。該化合物の他のものは、いくつかの組織におけるARアゴニストであり、AR-応答遺伝子(例えば、筋同化作用)の転写の増大をもたらすSARMである。他の組織において、化合物はARにおけるアンドロゲン(例えばテストステロン)の競合阻害剤であり、それにより天然のアンドロゲンのアゴニスト作用を阻止する。例えば、本明細書において提供される化合物は、筋肉においてアゴニスト活性を有し、対象の生殖腺においてアンタゴニスト活性を示すSARMである。そのような活性を示すSARMは、アンドロゲンの副作用(例えば、皮脂腺刺激)を引き起こすことなく、対象において筋肉量を増大させ、脂肪を減少させることができる。 本明細書で用いる「組織選択的アンドロゲン受容体アゴニズム」とは、非標的組織のアンドロゲン受容体を刺激するよりも高い親和性で1つ(もしくは2以上)の標的組織のアンドロゲン受容体を刺激するSARM化合物の能力を言う。 ある特定の実施態様において、組織選択的アンドロゲン受容体アゴニズムとは、非標的組織のアンドロゲン受容体のアンドロゲン受容体アゴニズムよりも、少なくとも約2倍から最大約500倍以上の高い倍率である、標的組織のARのアゴニズムを言う。 ある特定の実施態様において、組織選択的アンドロゲン受容体アゴニズムとは、非標的組織のアンドロゲン受容体のアンドロゲン受容体アゴニズムよりも、少なくとも、2、5、10、15、20、25、30、50、60、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、350、400、450、500、600、700、800、900もしくは1000倍以上高い、標的組織のARのアゴニズムを言う。例えば、SARMは、筋組織においてAR受容体のアゴニズムおよびを示し、前立腺組織においてARのアンタゴニズムを示し得る。 本明細書で用いる「組織選択的アンドロゲン受容体アンタゴニズム」とは、非標的組織のアンドロゲン受容体を拮抗するよりも高い親和性で、1つ(もしくは2以上)の標的組織のアンドロゲン受容体を拮抗する、SARM化合物の能力を言う。ある特定の実施態様において、組織選択的アンドロゲン受容体アンタゴニズムとは、非標的組織のアンドロゲン受容体アンドロゲン受容体アゴニズムよりも、少なくとも約2倍から最大約500倍以上高い、標的組織のARのアンタゴニズムを言う。ある特定の実施態様において、組織選択的アンドロゲン受容体アンタゴニズムとは、非標的組織のアンドロゲン受容体アンドロゲン受容体アンタゴニズムよりも、少なくとも、2、5、10、15、20、25、30、50、60、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、350、400、450、500、600、700、800、900もしくは1000倍以上高い、標的組織のARのアンタゴニズムを言う。例えば、SARMは、ホルモン依存性腫瘍に対するアンタゴニスト活性を示し得るが、一方では、アンドロゲン受容体を含む他の非腫瘍組織に対して、活性を示さないかまたは場合によってはアゴニスト活性を示し得る。 本明細書で用いる用語「選択的に調節する」とは、非-標的活性を調節するよりも大きい範囲まで標的活性を調節する、選択的モジュレーターの能力を言う。ある特定の実施態様において、該標的活性は、例えば約2倍から最大約500倍以上、いくつかの実施態様においては、約2、5、10、25、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450もしくは500倍以上、選択的に調節される。 本明細書で用いる、本明細書において提供されるSARM化合物の「活性」とは、選択的アンドロゲンモジュレーターによって示されるいずれの活性をも言う。そのような活性は、in vitroおよび/またはin vivoにおいて試験することができ、限定はされないが、アンドロゲン受容体のアゴニズムまたはアンタゴニズムが含まれる。活性は、認識されているアッセイ(例えば、共トランスフェクションアッセイ(co-transfection assay))を用いることにより、in vitroまたはin vivoにおいて評価することができる。化合物が活性を示すことを示唆するそのようなアッセイの結果は、in vivoにおける化合物の活性と相関し得て、そのin vivo活性が生物学的活性と称され得る。アンドロゲン受容体モジュレーター(選択的アンドロゲン受容体モジュレーター化合物を含む)の機能性もしくは活性を決定するためのアッセイは、当業者には公知である。アッセイの例としては、限定はされないが、蛍光偏光アッセイ、ルシフェラーゼアッセイおよび共トランスフェクションアッセイが挙げられる。ある特定の実施態様において、本明細書において提供される化合物は、「共トランスフェクション」アッセイ(「シス-トランス」アッセイとも称される)においてアンドロゲン受容体の活性を調節することができ、それは当分野において公知である(例えば、Evans et al., Science 240: 889-895 (1988); 米国特許第4,981,784号および第5,071,773号; ならびにPathirana et al., “Nonsteroidal Human Progesterone Receptor Modulators from the Marie Alga Cymopolia Barbata,” Mol. Pharm. 47: 630-35 (1995)を参照)。 本明細書で用いる「生物学的活性」とは、化合物のin vivo活性、または化合物、組成物、もしくは他の混合物のin vivo投与によってもたらされる生理反応を言う。従って、生物学的活性は、そのような化合物、組成物および混合物の、治療効果および医薬活性を包含する。生物学的活性は、そのような活性を試験または使用するために設計されたin vitro系において観察することができる。従って、本明細書での目的のために、選択的アンドロゲン受容体モジュレーターの生物学的活性は、アンドロゲン受容体のアゴニズムまたはアンタゴニズムを包含する。 本明細書で用いる用語「評価する」およびその文法的変化形は、化合物の活性についての絶対値を得る意味において、ならびにまた、活性のレベルの指標となる指数、比率、割合、視覚的もしくは他の値を得る意味おいての、定量的および定性的決定を含むことを意図する。評価は、直接または間接的であり得る。 本明細書で用いる用語「ターゲティング剤」とは、細胞表面受容体のような細胞表面分子に対する特異的な結合を供するいずれの部分(例えば、タンパク質またはその有効部分(effective portion))をも言い、それは場合によって、結合抱合体もしくはその一部を内在化することができる。ターゲティング剤はまた、例えば、該抱合体のアフィニティー単離もしくは精製; 表面への該抱合体の結合; または該抱合体もしくは該抱合体を含有する複合体(complex)の検出を、促進もしくは拮抗するものであり得る。 本明細書で用いる、分子の誘導体またはアナログとは、該分子由来の部分または該分子の修飾型(modified version)を言う。いくつかの実施態様において、誘導体としては、限定はされないが、酸誘導体、アミド誘導体、エステル誘導体、およびエーテル誘導体が挙げられる。他の実施態様において、本明細書において提供されるSARM化合物は、水和物(半水和物、一水和物、二水和物(dehydrate)および三水和物が含まれる)である。 本明細書で用いる用語「疾患」または「障害」とは、原因もしくは条件(限定はされないが、感染、後天的条件、遺伝的条件、および識別可能な症候によりキャラクタライズされるもの、が含まれる)によりもたらされる生命体における病態を言う。疾患または障害にはまた、化合物(例えばアンドロゲンアゴニスト)の欠損により引き起こされるものも含まれる。 本明細書で用いる、治療される「患者」または「対象」には、ヒトおよび非ヒト動物(哺乳動物を含む)が含まれる。哺乳動物としては、霊長類、例えばヒト、チンパンジー、ゴリラおよびサル; 家畜、例えば、イヌ、ウマ、ネコ、ブタ、ヤギ、ウシ; ならびに、げっ歯類、例えば、マウス、ラット、ハムスター、およびスナネズミが挙げられる。 本明細書で用いる「動物」には、いずれの動物、例えば、限定はされないが; ヒト、ゴリラおよびサルを含む、霊長類; げっ歯類、例えばマウスおよびラット; 家禽、例えばニワトリ; 反芻動物、例えば、ヤギ、ウシ、シカ、ヒツジ; ウシ目(ovine)、例えばブタ、ならびに他の動物が含まれる。非ヒト動物は、意図する動物としてヒトを含まない。 本明細書で用いる「組み合わせ」とは、2以上のアイテム間のいずれの連関をも言う。該連関は、空間的であり得るか、または、共通の目的のために2以上のアイテムを使用することを言う。 本明細書で用いる「組成物」とは、2以上の産物もしくは化合物(例えば、剤、モジュレーター、レギュレーター、など)のいずれの混合物をも言う。それは、溶液、懸濁剤、液剤、粉末、ペースト剤、水性もしくは非水性製剤、またはそれらのいずれの組み合わせであり得る。 本明細書で用いる「流体」とは、流動し得るいずれの組成物を言う。従って、流体は、半固体、ペースト、溶液、水性混合物、ゲル、ローション、クリームの形態である組成物、および他のそのような組成物を包含する。 本明細書で用いる「キット」とは、適宜、試薬および他の産物、ならびに/あるいは該組み合わせの成分を用いた実践方法のための構成要素を含む、パッケージングされた組み合わせを言う。例えば、限定はされないが、投与、診断、および生物学的活性もしくは特性の評価などの目的のために、本明細書において提供される化合物および別のアイテムを含むキットを提供する。キットには適宜、使用説明書が含まれる。 本明細書で用いる「製品」は、製造および販売される生産物である。本願全体を通して用いられるように、該アイテムは、パッケージング物(article of packaging)に収容された、式I、IIもしくはIIIの化合物を包含することを意図する。 本明細書で用いる用語「標的活性」とは、選択的モジュレーターによって調節され得る標的活性を言う。標的活性のある特定の例としては、限定はされないが、結合親和性、シグナル伝達、酵素活性、腫瘍増殖、炎症もしくは炎症関連プロセス、および疾患もしくは症状に関連した1つ以上の症候の寛解、が挙げられる。 本明細書で用いる用語「媒介する」は、作用するかまたは影響を及ぼすことを意味する。従って、例えば、アンドロゲン受容体により媒介される症状は、アンドロゲン受容体が関与するものである。アンドロゲン受容体は、例えば、ざ瘡、皮膚の老化、男性型脱毛症、性機能低下、インポテンス、うつ病、消耗性疾患、HIV-消耗、虚弱、認知機能低下、アルツハイマー病、睡眠時無呼吸、多毛症、性腺機能低下症、早期閉経、炎症性関節炎および関節修復、骨減少症、骨粗鬆症、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症、骨折、骨の再建手術後の骨損傷、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、再生不良性貧血および他の造血障害、肥満症、腹部肥満症、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、筋ジストロフィー、歯周病、筋肉減少症、女性における閉経後の症状、前立腺肥大症、前立腺癌、良性の前立腺肥大症(BPH)、癌悪液質、ならびにホルモン依存性の癌を含む症状に関与することが知られている。 本明細書で用いる用語「受容体媒介活性」とは、リガンドの受容体への結合に、直接的もしくは間接的に起因する、いずれの生物学的活性をも言う。 本明細書で用いる用語「アゴニスト」とは、その存在によって、受容体に対する天然のリガンドの存在により生じる活性と同じである受容体の活性をもたらす化合物を言う。アンドロゲン受容体のアゴニストは、アンドロゲン受容体に結合して、その受容体特有の生理学的もしくは薬理学的反応を惹起し得る。「完全アゴニスト」は、所定の濃度でアンドロゲン受容体群(population)の完全な活性化を誘導する。 本明細書で用いる用語「部分アゴニスト」とは、その存在によって、受容体に対する天然のリガンドの存在によりもたらされる活性と同じタイプであるが、より小さい大きさの、受容体の活性をもたらす化合物を言う。「部分アゴニスト」は、供給された化合物の量にかかわらず、受容体群の最大活性を誘導することができないアゴニストである。 本明細書で用いる用語「アンタゴニスト」とは、その存在によって、受容体の活性の大きさを減少させる化合物を言う。ある特定の実施態様において、アンタゴニストの存在によって受容体の活性の完全阻害がもたらされる。別の実施態様において、該化合物はアンドロゲン受容体に結合し、通常は天然のアンドロゲン受容体リガンドによって誘導されるアンドロゲン関連反応を、遮断または阻害する。 本明細書で用いるIC50とは、反応を測定するアッセイにおいて、アンドロゲン受容体活性の調節などの最大反応の50%阻害を達成する、特定の試験化合物の量、濃度または用量を言う。IC50はまた、50%まで特異的結合を低下させるのに必要な試験化合物の濃度を言う。IC50値は、ログ-ロジット(Hill)法を用いて決定することができる。 本明細書で用いるEC50とは、特定の試験化合物により誘導、誘発または増強される特定の反応の最大発現の50%で用量依存的反応を導き出す、特定の試験化合物の用量、濃度または量を言う。 本明細書で用いるKi値は、ステロイド(例えば、ジヒドロテストステロン)に対して予め決定したKd値を用いたチェン-プルソフ(Cheng-Prusoff)式:Ki = IC50/(1 + [L]/Kd)(式中、[L] = 標識ステロイドの濃度、およびKd = 標識ステロイドの解離定数)を用いて決定することができる。Kiの算出の考察については、例えば、Cheng, Y. C. and Prusoff, W. H. Biochem. Pharmacol. 22: 3099 (1973)を参照。 本明細書で用いる用語「担体」とは、細胞または組織への別の化合物の取り込みを促進する化合物を言う。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、ある特定の有機化合物の細胞または組織への取り込みを向上させるのに通常用いられる担体である。 本明細書で用いる用語「医薬組成物」とは、対象において目的の治療効果を誘導し得る化合物または組成物を言う。ある特定の実施態様において、医薬組成物には、目的の治療効果を誘導する剤である、活性剤が含まれる。ある特定の実施態様において、医薬組成物にはプロドラッグが含まれる。ある特定の実施態様において、医薬組成物には不活性成分(例えば担体および賦形剤)が含まれる。 本明細書で用いる「プロドラッグ」とは、in vivoにおいて活性の低い形態から対応するより活性の高い形態に変換される化合物を言う。ある特定の実施態様において、in vivo投与によって、プロドラッグは、生物学的、医薬的、または治療的により活性な形態の化合物に化学的に変換される。ある特定の実施態様において、プロドラッグは、1つ以上のステップまたはプロセスによって、生物学的、医薬的、もしくは治療的に活性な形態の化合物へと、酵素的に代謝される。in vivo投与によって活性な化合物が再び作られるように医薬的に活性な化合物を修飾して、プロドラッグを製造する。該プロドラッグは、薬剤の代謝安定性または輸送特性を変化させるように、副作用または毒性をマスクするように、薬剤の香味を改善するように、あるいは薬剤の他の特徴または特性を変化させるように設計され得る。in vivoにおける薬力学的プロセスおよび薬物代謝の知識に基づいて、当業者は、いったん医薬的に活性な化合物を知れば、その化合物のプロドラッグを設計することができる(例えば、Nogrady, Medicinal Chemistry A Biochemical Approach, Oxford University Press, New York, pages 388-392 (1985)を参照)。適切なプロドラッグ誘導体の選択および製造に関する通常の方法が、例えば、Design of Prodrugs(ed. H. Bundgaard, Elsevier, 1985)に記載されており、それは引用により全体が本明細書に援用される。本明細書で用いるプロドラッグの非限定的な例としては、例えば、Mahfous, N. H. et al, J. Pharm. Pharmacol. 53: 841-848 (2001)およびBundgaard, H. et al., J. Med. Chem. 32: 2503-2507 (1989)(両方とも引用により全体が本明細書に援用される)に記載の方法によって、アルコールの溶解性を促進するものが挙げられる。プロドラッグには、ヒドロキシ、エステル、アミン、もしくはスルフヒドリル基が、哺乳動物の対象に投与された場合に開裂して、各々、遊離ヒドロキシル、エステル、アミノ、もしくはスルフヒドリル基を形成するいずれかの基と結合している、化合物が含まれる。 プロドラッグの例としては、限定はされないが、本明細書において提供される化合物のうちの、アルコール官能基のアセテート、フォルメート、およびベンゾエート誘導体が挙げられる。 本明細書で用いる用語「エステル」とは、式-(R)n-COOR'(式中、RおよびR'は独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合)、非芳香族ヘテロ環、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、nは0または1である)を有する化学基(chemical moiety)を言う。 本明細書に記載の化合物上のいずれのヒドロキシ側鎖もエステル化され得る。この目的を達成するために用いられる方法および具体的な基は当業者に公知であり、参考文献、例えばGreene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis (3rd ed., John Wiley & Sons, New York, N.Y. (1999))に容易に見いだすことができる。 プロドラッグの例は、本明細書に記載の化合物の「プロドラッグエステル」または「エステル誘導体」であり、それは、生理的条件下において加水分解されるいくつかのエステル-形成基のうちのいずれかの付加によって形成される。プロドラッグエステル基の例には、ピバロイルオキシメチル(pivoyloxymethyl)、アセトキシメチル、フタリジル、インダニルおよびメトキシメチル、ならびに当分野で公知の他のそのような基が含まれる。プロドラッグエステル基の他の例は、例えば、T. Higuchi and V. Stella, in ”Prodrugs as Novel Delivery Systems”, Vol. 14, A.C.S. Symposium Series, American Chemical Society (1975); および”Bioreversible Carriers in Drug Design: Theory and Application”, edited by E. B. Roche, Pergamon Press: New York, 14-21 (1987)に見いだすことができる。 本明細書で用いる用語「医薬的に許容される製剤」とは、製剤化された化合物が対象に投与される場合に、生物学的活性、薬理学的活性および/または該化合物の他の特性を顕著に抑制しない、化合物の製剤を言う。ある特定の実施態様において、医薬的に許容される製剤は対象に対する顕著な刺激作用を引き起こさない。 本明細書で用いる「医薬的に許容される誘導体」とは、製剤化された化合物が対象に投与される場合に、生物学的活性、薬理学的活性および/または該化合物の他の特性を顕著に抑制しない化合物の誘導体を言い、限定はされないが、それらの塩、エステル、エノールエーテル、エノールエステル、アセタール、ケタール、オルトエステル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグが含まれる。そのような誘導体は、そのような誘導体化についての公知の方法を用いて、当業者により容易に製造され得る。製造された化合物は、実質的な毒性作用を伴わずに動物またはヒトに投与することができ、該化合物は医薬的に活性であるか、またはプロドラッグである。 本明細書で用いる用語「医薬的に許容される塩」は、製薬の分野において公知であって使用される全ての塩を含むことを意図する。医薬的に許容される塩には、限定はされないが、アミン塩、例えば、限定はされないが、クロロプロカイン、コリン、N,N'-ジベンジル-エチレンジアミン、アンモニア、ジエタノールアミンおよび他のヒドロキシアルキルアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、プロカイン、N-ベンジル-フェネチルアミン、1-パラ-クロロ-ベンジル-2-ピロリジン-1'-イルメチル-ベンゾイミダゾール、ジエチルアミンおよび他のアルキルアミン、ピペラジン、ならびにトリス(ヒドロキシ-メチル)アミノメタン; アルカリ金属塩、例えば、限定はされないが、カリウムおよびナトリウム; アルカリ土類金属塩、例えば、限定はされないが、バリウム、カルシウムおよびマグネシウム; 遷移金属塩、例えば、限定はされないが、亜鉛; ならびに、他の金属塩、例えば、限定はされないが、リン酸水素ナトリウムおよびリン酸ナトリウムが含まれ; また、限定はされないが、鉱酸の塩、例えば、限定はされないが、 塩酸塩および硫酸塩; ならびに、有機酸の塩、例えば、限定はされないが、酢酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、酪酸塩、吉草酸塩およびフマル酸塩も含まれる。医薬的に許容される塩の例としては、酢酸塩、ラクトビオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、リンゴ酸塩、炭酸水素塩、マレイン酸塩、硫酸水素塩、マンデル酸塩、酒石酸水素塩、メシル酸塩、ホウ酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、エデト酸カルシウム、メチルスルフェート、カンシル酸塩、ムチン酸塩、炭酸塩、ナプシル酸塩、ブロミド、クロリド、ナイトレート、クラブラン酸塩、N-メチルグルカミン、クエン酸塩、アンモニウム塩、二塩酸塩、オレイン酸塩、エデト酸塩、シュウ酸塩、エジシル酸塩、パモ酸塩(エンボナート)、エストレート、パルミチン酸塩、エシレート(esylate)、パントテン酸塩、フマル酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、グルセプト酸塩、ポリガラクツロ酸塩、グルコン酸塩、サリチル酸塩、グルタミン酸塩、ステアリン酸塩、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate)、硫酸塩、ヘキシルリゾルシネート(hexylresorcinate)、スバセテート(subacetate)、ヒドラバミン(hydrabamine)、コハク酸塩、臭化水素酸塩、タンニン酸塩、塩酸塩、酒石酸塩、ヒドロキシナフトアート、テオクル酸塩、ヨージド、トシレート、イソチオネート、トリエチオジド、乳酸塩、パノエート(panoate)および吉草酸塩が挙げられ、それらは溶解性特性もしくは加水分解特性を改変するための剤形として用いることができるか、あるいは、徐放性製剤もしくはプロドラッグ製剤で用いることができる。上述の医薬的に許容される塩の製造および他の典型的な医薬的に許容される塩は、Berg et al., “Pharmaceutical Salts,” J. Pharm. Sci. 66: 1-19 (1977)によって、さらに十分に記載されている。 医薬的に許容されるエステルとしては、限定はされないが、酸性基の、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクリルエステルが挙げられ、限定はされないが、カルボン酸、リン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、スルフィン酸およびボロン酸が含まれる。医薬的に許容されるエノールエーテルとしては、限定はされないが、式C=C(OR)(式中、Rは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルである)の誘導体が含まれる。医薬的に許容されるエノールエステルには、限定はされないが、式C=C(OC(O)R)(式中、Rは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルである)の誘導体が含まれる。医薬的に許容される溶媒和物および水和物は、化合物と、1つ以上の溶媒分子もしくは水分子、あるいは1〜約100、または1〜約10、または1、2、3、もしくは4つの、溶媒分子もしくは水分子との複合体である。 本明細書で用いる用語「アルキル」とは、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは無置換の炭化水素基を言い、一実施態様においては1から40個の炭素原子、別の実施態様においては1から20個の炭素原子、別の実施態様においては1から10個の炭素原子である。「低級アルキル」という表現は、1から6個の炭素原子のアルキル基を言う。アルキル基は「置換アルキル」であることができ、いずれのアルケン基またはアルキン基をも含まないことを意味し、ある特定の実施態様において、アルキル基は適宜置換されている。アルキル基は「無置換アルキル」であることができ、少なくとも1つのアルケン基またはアルキン基を含むことを意味する。少なくとも1つの炭素-炭素二重結合(C=C)を含むアルキル基もまた、用語「アルケニル」と称され、ある特定の実施態様において、アルケニル基は適宜置換されている。少なくとも1つの炭素-炭素三重結合(C≡C)を含むアルキル基もまた、用語「アルキニル」と称され、ある特定の実施態様において、アルキニル基は適宜置換されている。 ある特定の実施態様において、アルキルは、1から20個の炭素原子(「1から20」などの数の範囲は、本明細書で用いられる場合は常に、所定の範囲内の各整数を意味する; 例えば、「1から20個の炭素原子」はアルキル基が1個のみの炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、最大20個の炭素原子を含み得ることを意味するが、用語「アルキル」は炭素原子の数の範囲が指定されていない場合も含む)を含む。アルキルは、「C1-C4アルキル」または同様の表示により示され得る。ほんの一例として、「C1-C4アルキル」は、1、2、3、または4個の炭素原子を有するアルキルを示し、すなわち、該アルキルは、メチル、エチル、プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチルおよびt-ブチルの中から選択される。従って、「C1-C4」は、C1-C2、C1-C3、C2-C3およびC2-C4アルキルを含む。アルキルとしては、限定はされないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル、ヘキシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ヘキセニル、エチニル、プロピニル、ブチニルおよびヘキシニルが挙げられる。 本明細書で用いる用語「ハロアルキル」とは、単独または組み合わせて、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子により置換されているアルキルを言う。2つ以上の水素原子がハロゲン原子により置換されている実施態様のある特定の場合、該ハロゲン原子は互いに全て同一である。そのような実施態様のある特定の場合、該ハロゲン原子は互いに全て同一ではない。ある特定のハロアルキルは飽和ハロアルキルであり、いずれの炭素-炭素二重結合またはいずれの炭素-炭素三重結合も含まない。ある特定のハロアルキルはハロアルケンであり、1つ以上の炭素-炭素二重結合を含む。ある特定のハロアルキルはハロアルキンであり、1つ以上の炭素-炭素三重結合を含む。ある特定の実施態様において、ハロアルキルは適宜置換されている。 いずれの所定の置換基の数が特定されていない場合(例えば、「ハロアルキル」)、1つ以上の置換基が存在してもよい。例えば、「ハロアルキル」は、1つ以上の同一または異なるハロゲンを含むことができる。例えば、「ハロアルキル」は、置換基CF3、CHF2およびCH2Fの各々を含む。 本明細書で用いる「擬ハロゲン」とは、ハライド/ハロゲンと実質的に同様に挙動する化合物を言う。そのような化合物は、ハライド/ハロゲン(X-、ここで、Xはハロゲン、例えばCl、FまたはBrである)と同様の方法で用いることができ、同様の方法で処理することができる。擬ハロゲンとしては、限定はされないが、シアニド、シアネート、チオシアネート、セレノシアネート、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルおよびアジドが挙げられる。 本明細書で用いる「シクロアルキル」とは、環を形成する原子の各々が炭素原子である、飽和した単環系もしくは多環系を言う。シクロアルキルは、3、4、5、6、7、8、9、またはそれ以上の炭素原子により形成され得る。一実施態様において、該環系は3から12個の炭素原子を含む。別の実施態様において、該環系は3から6個の炭素原子を含む。用語「シクロアルキル」は、1つ以上の不飽和結合を有する環を含む。本明細書で用いる、用語「シクロアルケニル」および「シクロアルキニル」は不飽和のシクロアルキル環系である。シクロアルキルは適宜置換され得る。ある特定の実施態様において、シクロアルキルは1つ以上の不飽和結合を含む。シクロアルキルの例としては、限定はされないが、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、1,3-シクロヘキサジエン、1,4-シクロヘキサジエン、シクロヘプタンおよびシクロヘプテンが挙げられる。 本明細書で用いる用語「アリール」とは、環内ヘテロ原子(ring heteroatom)を含まない、単環式、二環式もしくは三環式の芳香族系を言う。該系が単環式でない場合、用語アリールは、さらなる環ごとに、飽和形態(ペルヒドロ形態)か、部分不飽和形態(例えば、ジヒドロ形態もしくはテトラヒドロ形態)か、または最大不飽和(非芳香族)形態を含む。いくつかの実施態様において、用語アリールとは、2つの環が芳香族である二環式ラジカル、および1つの環のみが芳香族である二環式ラジカルを言う。アリールの例としては、フェニル、ナフチル、アントラシル、インダニル、1,2-ジヒドロ-ナフチル、1,4-ジヒドロナフチル、インデニル、1,4-ナフトキノニル(naphthoquinonyl)および1,2,3,4-テトラヒドロナフチルが挙げられる。 アリール環は、3、4、5、6、7、8、9、またはそれ以上の炭素原子により形成され得る。いくつかの実施態様において、アリールとは、3-、4-、5-、6-、7-、8-、9-、10-、11-、12-、13-もしくは14-員の、芳香族単環式-、二環式-または三環式系を言う。いくつかの実施態様において、アリールとは、芳香族C3-C9環を言う。いくつかの実施態様において、アリールとは、芳香族C4-C8環を言う。アリール基は適宜置換され得る。 本明細書で用いる用語「ヘテロアリール」とは、芳香環を形成する少なくとも1つの原子がヘテロ原子である芳香環を言う。ヘテロアリール環は、3、4、5、6、7、8、9、またはそれ以上の原子により形成され得る。ヘテロアリール基は適宜置換され得る。ヘテロアリール基の例としては、限定はされないが、1個の酸素もしくは硫黄原子か、2個の酸素原子か、2個の硫黄原子か、最大4個の窒素原子か、または1個の酸素もしくは硫黄原子と最大2個の窒素原子の組み合わせと、例えば環形成炭素原子の1つを介して結合したそれらの置換誘導体、ベンゾ縮合誘導体、およびピリド縮合誘導体を有する芳香族C3-8ヘテロ環基が挙げられる。ある特定の実施態様において、ヘテロアリールは、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル(pyrimidinal)、ピラジニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニルまたはキノキサリニルの中から選択される。 いくつかの実施態様において、ヘテロアリール基は、ピロリル、フラニル(フリル)、チオフェニル(チエニル)、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,3-オキサゾリル(オキサゾリル)、1,2-オキサゾリル(イソオキサゾリル)、オキサジアゾリル、1,3-チアゾリル(チアゾリル)、1,2-チアゾリル(イソチアゾリル)、テトラゾリル、ピリジニル(ピリジル)、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,2,3-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,3,5-トリアジニル、1,2,4,5-テトラジニル、インダゾリル、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾジオキソリル(benzodioxolyl)、アクリジニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、チエノチオフェニル、1,8-ナフチリジニル、他のナフチリジニル、プテリジニルまたはフェノチアジンの中から選択される。ヘテロアリール基が2以上の環を含む場合、各さらなる環は、飽和形態(ペルヒドロ形態)か、部分不飽和形態(例えば、ジヒドロ形態もしくはテトラヒドロ形態)か、または最大不飽和(非芳香族)形態である。従って、用語ヘテロアリールには、2つの環が芳香族である二環式ラジカル、および1つの環のみが芳香族である二環式ラジカルを含まれる。ヘテロアリールのそのような例には、3H-インドリニル、2(1H)-キノリノニル(quinolinonyl)、4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリニル、2H-1-オキソイソキノリル、1,2-ジヒドロキノリニル、(2H)キノリニル N-オキシド、3,4-ジヒドロキノリニル、1,2-ジヒドロイソ-キノリニル、3,4-ジヒドロ-イソキノリニル、クロモニル、3,4-ジヒドロイソ-キノキサリニル、4-(3H)キナゾリノニル(quinazolinonyl)、4H-クロメニル、4-クロマノニル(chromanonyl)、オキシインドリル(oxindolyl)、1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-キノリニル、1H-2,3-ジヒドロイソインドリル、2,3-ジヒドロベンゾ[f]イソインドリル、1,2,3,4-テトラヒドロ-ベンゾ[g]イソキノリニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-ベンゾ[g]イソキノリニル、クロマニル、イソクロマノニル(isochromanonyl)、2,3-ジヒドロ-クロモニル、1,4-ベンゾ-ジオキサニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-キノキサリニル、5,6-ジヒドロキノリル、5,6-ジヒドロイソ-キノリル、5,6-ジヒドロキノキサリニル、5,6-ジヒドロキナゾリニル、4,5-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、4,5-ジヒドロベンゾキサゾリル、1,4-ナフトキノリル、5,6,7,8-テトラヒドロ-キノリニル、5,6,7,8-テトラヒドロ-イソキノリル、5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリニル、5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリル、4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾオキサゾリル、1H-4-オキサ-1,5-ジアザ-ナフタレン-2-オニル、1,3-ジヒドロ-イミダゾロ(imidizolo)-[4,5]-ピリジン-2-オニル、2,3-ジヒドロ-1,4-ジナフトキノニル、2,3-ジヒドロ-1H-ピロール[3,4-b]キノリニル、1,2,3,4-テトラヒドロベンゾ[b]-[1,7]ナフチリジニル、1,2,3,4-テトラ-ヒドロベンゾ(hydrobenz)[b][1,6]-ナフチリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-9H-ピリド[3,4-b]インドリル、1,2,3,4-テトラヒドロ-9H-ピリド[4,3-b]インドリル、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ-[3,4-b]インドリル、1H-2,3,4,5-テトラヒドロ-アゼピノ[3,4-b]インドリル、1H-2,3,4,5-テトラヒドロアゼピノ-[4,3-b]インドリル、1H-2,3,4,5-テトラヒドロ-アゼピノ[4,5-b]インドリル、5,6,7,8-テトラヒドロ-[1,7]-ナフチリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-[2,7]-ナフチリジル、2,3-ジヒドロ[1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジル、2,3-ジヒドロ[1,4]-ジオキシノ[2,3-b]ピリジル、3,4-ジヒドロ-2H-1-オキサ[4,6]-ジアザナフタレニル、4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジル、6,7-ジヒドロ[5,8]-ジアザナフタレニル、1,2,3,4-テトラヒドロ[1,5]-ナフチリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロ[1,6]-ナフチリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロ[1,7]ナフチリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-[1,8]-ナフチリジニルまたは1,2,3,4-テトラヒドロ[2,6]ナフチリジニルが挙げられる。いくつかの実施態様において、ヘテロアリール基は適宜置換される。一実施態様において、該1つ以上の置換基は、各々独立して、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、アルキルアミド、アシル、C1-6-アルコキシ、C1-6-アルキル、C1-6-ハロアルキル、C1-6-ヒドロキシアルキル、C1-6-アミノアルキル、C1-6-アルキルアミノ、アルキルスルフェニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルフォニル、スルファモイル、またはトリフルオロメチルの中から選択される。 ヘテロアリール基の例としては、限定はされないが、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピロール、ピリジン、インドール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ピラゾール、インダゾール、テトラゾール、キノリン、イソキノリン、ピリダジン、ピリミジン、プリンおよびピラジン、フラザン、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、プテリジン、フェノキサゾール、オキサジアゾール、ベンゾピラゾール、キノリジン、シノリン、フタラジン、キナゾリンならびにキノキサリンの、無置換誘導体および一置換もしくは二置換誘導体が挙げられる。いくつかの実施態様において、該置換基は、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、O-C1-6-アルキル、C1-6-アルキル、ヒドロキシ-C1-6-アルキルまたはアミノ-C1-6-アルキルである。 本明細書で用いる用語「アリールアルキル」とは、単独または組み合わせて、適宜置換され得るアリールにより置換されたアルキルを言う。 本明細書で用いる用語「ヘテロアリールアルキル」とは、単独または組み合わせて、適宜置換されるヘテロアリールにより置換されたアルキルを言う。 本明細書で用いる用語「適宜置換された」とは、0、1、または2以上の水素原子が、個々に独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、非芳香族ヘテロ環、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、C-アミド、N- チオカルバミル、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、トリハロメタンスルホニル、およびアミノの中から選択される1つ以上の基によって置換されている基を言い、一置換および二置換アミノ基、ならびに保護されたアミノ基の誘導体が含まれる。そのような保護誘導体(protective derivative)(および、そのような保護誘導体を形成することができる保護基)は当業者に公知であり、Greene and Wuts (Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999)(引用によりその全体が本明細書に援用される)といった文献において見いだすことができる。2個以上の水素原子が置換されている実施態様において、該置換基は一緒になって環を形成することができる。 本明細書で用いる、用語「非芳香族ヘテロ環」とは、環を形成する1つ以上の原子がヘテロ原子である、非-芳香環を言う。非芳香族ヘテロ環は、3、4、5、6、7、8、9、またはそれ以上の原子により形成され得る。非芳香族ヘテロ環は適宜置換され得る。ある特定の実施態様において、非芳香族ヘテロ環は、1つ以上のカルボニルもしくはチオカルボニル基(例えば、オキソ-およびチオ含有基)を含む。非芳香族ヘテロ環の例としては、限定はされないが、ラクタム、ラクトン、環状イミド、環状チオイミド、環状カルバメート、テトラヒドロチオピラン、4H-ピラン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、1,3-ジオキシン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキシン、1,4-ジオキサン、ピペラジン、1,3-オキサチアン、1,4-オキサチイン、1,4-オキサチアン、テトラヒドロ-1,4-チアジン、2H-1,2-オキサジン、マレイミド、スクシンイミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ヒドロウラシル、モルホリン、トリオキサン、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ピロリン、ピロリジン、ピロリドン、ピロリジオン、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、1,3-ジオキソール、1,3-ジオキソラン、1,3-ジチオール、1,3-ジチオラン、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、および1,3-オキサチオランが挙げられる。 本明細書を通して、基およびその置換基は、安定な部分および化合物が得られるように、当業者によって選択され得る。 本明細書において提供される化合物はキラル中心を含み得ることが理解される。そのようなキラル中心は、(R)もしくは(S)立体配置のいずれかであり得るか、またはそれらの混合物であり得る。従って、本明細書において提供される化合物は、鏡像異性的に純粋であり得るか、または立体異性もしくはジアステレオマー混合物であり得る。 本明細書で用いる「エナンチオマー」とは、互いの鏡像であって重ね合わせることができない分子実体の対の1つを言う。エナンチオマー過剰率(ee)は、(R)および(S)-エナンチオマーの混合物について算出することができる。該eeは、F(R)のモル分率からF(S)のモル分率を減じたものの絶対値として定義され得る。従って、%eeは、F(R)のモル分率からF(S)のモル分率を減じたものに100を乗じたものの絶対値である。 本明細書で用いる用語「実質的に純粋」は、そのような純度の評価のために当業者により用いられる分析の標準的な方法(例えば 薄層クロマトグラフィー(TLC)、ゲル電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および質量分析(MS))で測定した場合に、容易に検出可能な不純物が存在しないと思われるように十分に均質であるか、あるいは、さらなる精製によって物質の物理的および化学的特性(例えば酵素的および生物学的活性)が検出可能な程度に変化されないように十分に純粋であることを意味する。従って、実質的に純粋な目的の種(例えば、化合物)は、存在する優勢な種である(すなわち、モルベースで、組成物中のいずれの他の個々の種よりもより豊富である)。ある特定の実施態様において、実質的に精製された画分は、目的の種が存在する全ての種の少なくとも約50%(モルベースで)含んでいる組成物である。ある特定の実施態様において、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全ての種のおよそ50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、または99%以上を含むであろう。ある特定の実施態様において、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全ての種のおよそ80%、85%、90%、95%、または99%以上を含むであろう。実質的に化学的に純粋な化合物を製造するための化合物の精製方法は、当業者に公知である。しかしながら、実質的に化学的に純粋な化合物は、立体異性体の混合物であり得る。そのような場合において、さらなる精製は、化合物の特異的活性を増大させる可能性がある。本願は、全てのそのような可能な異性体、ならびに、それらのラセミ体および光学的に純粋な形態を含むことを意図する。光学活性な(+)および(-)、(R)-および(S)-、または(D)-および(L)-異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を用いて製造することができるか、または通常の技法(例えば、逆相HPLC)を用いて分割することができる。本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合または他の幾何学的非対称の中心を含む場合、他に特別の定めのない限り、該化合物はEおよびZ幾何異性体の両方を含むことが意図される。同様に、全ての互変異性体も含まれることが意図される。 本明細書に記載の化合物は、単独で、または1つ以上の他の活性成分、薬剤、もしくは剤と組み合わせて投与することができる。該組み合わせの個々の成分は、治療の過程の間の異なる時点で別個に、または分割形態もしくは単一の組み合わせ形態で同時に投与され得る。本明細書で用いる、用語「共投与する」とは、2以上の医薬品を対象に投与することを言う。ある特定の実施態様において、共投与される医薬品は単一用量単位で一緒に投与される。ある特定の実施態様において、共投与される医薬品は別個に投与される。ある特定の実施態様において、共投与される医薬品は同時に投与される。ある特定の実施態様において、共投与される医薬品は異なる時点で投与される。従って、本明細書に記載の方法は、同時もしくは交互治療の全てのそのようなレジームを包括するとして理解される。 本明細書で用いる「PO」とは経口的(Per Os)を言い、口または経口によることを意味する。 本明細書で用いる用語「対象」は動物、典型的にはヒトである。 本明細書で用いる用語「患者」にはヒトおよび動物の対象が含まれる。 本明細書で用いる用語「組織選択的」とは、1つの組織における生物学的活性を、別の組織における生物学的活性を調節するより大きいもしくは小さい程度に調節する、化合物の能力を言う。異なる組織における生物学的活性は同一であり得るか、またはそれらは異なり得る。異なる組織における生物学的活性は、同一のタイプの標的受容体により媒介され得る。ある特定の実施態様において、例えば、組織選択的化合物は、1つの組織においてアンドロゲン受容体媒介生物学的活性を調節することができ、別の組織タイプにおいては、アンドロゲン受容体媒介生物学的活性を調節できないか、またはより小さい程度で調節する。 本明細書で用いる用語「モニタリング」とは、効果があることまたはいずれの効果もないことを観察することを言う。ある特定の実施態様において、細胞と本明細書において提供される化合物とを接触させた後で該細胞をモニタリングする。モニタリングできる効果の例としては、限定はされないが、細胞表現型、細胞の増殖、アンドロゲン受容体活性、もしくはアンドロゲン受容体と天然の結合パートナーとの相互作用における変化が挙げられる。 本明細書で用いる用語「細胞表現型」とは、物理学的もしくは生物学的特徴を言う。表現型を構成する特徴の例としては、限定はされないが、細胞の大きさ、細胞の増殖、細胞の分化、細胞の生存、アポトーシス、または代謝栄養素の利用(例えば、グルコース取り込み)が挙げられる。細胞表現型における、ある特定の変化または変化の欠如は、当分野で公知の技法を用いて容易にモニタリングされる。 本明細書で用いる用語「接触」とは、2つ以上の物質を、それらが相互作用できるように、十分接近させることを言う。ある特定の実施態様において、接触は容器(例えば、試験管、ペトリ皿など)の中で達成され得る。ある特定の実施態様において、接触は、さらなる物質の存在下において実施され得る。ある特定の実施態様において、接触は、細胞の存在下において実施され得る。そのような実施態様のある特定の場合において、接触させる物質の1つ以上のは細胞内にあり得る。細胞は生存していても死んでいてもよい。細胞は無傷であってもなくてもよい。 本明細書で用いる「関節炎の症状」または「関節炎」とは、根底にある病因が関節の炎症であり、通常は痛みを伴う疾患、例えば、変形性関節症および関節リウマチを言う(Taber's Cyclopedic Medical Dictionary; 14th edition, 1983)。本明細書に記載の化合物は、単独でまたは組み合わせて、関節炎の症状の治療もしくは予防に有用である。関節炎の症状の例としては、ベーチェット病; 滑液包炎および腱炎; CPPD沈着症; 手根管症候群; エーラース・ダンロス症候群; 線維筋痛症; 痛風; 感染性関節炎; 炎症性腸疾患; 若年性関節炎; エリテマトーデス; ライム病; マルファン症候群; 筋炎; 変形性関節症; 骨形成不全症; 骨壊死; 多発性動脈炎; リウマチ性多発筋痛; 乾癬性関節炎; レイノー現象; 反射性交感神経性ジストロフィー; ライター症候群; 関節リウマチ; 強皮症; ならびにシェーグレン症候群が挙げられる(Bijlsma et al., Am J Reprod Immunol 28(34): 231-234 (1992); Cutolo et al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 966: 131-142 (2002); Cutolo, Rheum Dis Clin North Am 26(4): 881-895 (2000); Jansson et al., Arthritis Rheum 44(9): 2168-2175 (2001); Merck Manual (17th edition, pp. 449-451)、およびPurdie, Br Med Bull 56(3): 809-823 (2000))。 本明細書で用いる「NSAID」とは、非ステロイド性抗炎症薬を言う。これらの薬剤は、例えばプロスタグランジン産生を減少させることによって、抗炎症効果および鎮痛効果を示し、通常、炎症および痛みの軽減に用いられる。NSAIDの例としては、限定はされないが、アスピリン、ジクロフェナク/ミソプロストール、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸、メフェナム酸(mefanamic acid)、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセンおよびナプロキセンナトリウム、オキサプロジン、ピロキシカム、ナトリウムスリンダクおよびトルメチンが挙げられる。 本明細書で用いる「COX-2阻害薬」とは、シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素(EC 1.14.99.1)の誘導型のみを阻害する薬剤を言い、COX-2と称される。これらの化合物は当分野で周知である(例えば、PNAS, 89: 7384 (1992); Arch. Opthalmol. 108: 573 (1990); FEBS Letters 372: 83 (1995); Clin. Orthop. 313,: 76 (1995); J. Mol. Endocrinol. 16: 107 (1996); Cancer Res. 57: 1625 (1997); Cell 93: 705 (1998); Intl. J. Mol. Med. 2: 715 (1998)、およびJ. Biol. Chem. 274: 9116 (1999)を参照)。COX-2阻害薬の例としては、限定はされないが、セレコキシブ、ロフェコキシブおよびバルデコキシブが挙げられる。 本明細書で用いる「DMARD(疾患修飾性抗リウマチ薬)」とは、対象の免疫系で作用することによって、ある特定の形態の炎症性関節炎(関節リウマチ(RA)、強直性脊椎炎、および乾癬性関節炎が含まれる)を引き起こす根底にあるプロセスを、緩徐もしくは停止させるように機能する薬剤を言う。DMARDは、関節リウマチ、乾癬性関節炎、および強直性脊椎炎の治療において有効であることが示されており、いくらかの対象において、これらの薬剤は疾患の進行を停止させることができる。DMARDの例としては、限定はされないが、アダリムマブ、レフルノミド、オーラノフィン、金チオリンゴ酸ナトリウム、クロロキン、エタネルセプト、インフリキシマブ、スルファサラジン、ミコフェノール酸(mycophenolate)、ミオクリシン(myochrysine)、シクロスポリン、シクロホスファミド、アザチオプリン、クロラムブシル、メトトレキサート、ミノサイクリン、ペニシラミンおよびヒドロキシクロロキンが挙げられる。 本明細書で用いる「光線力学的療法色素」とは、光線力学的療法において用いられる、抱合または非抱合型の色素またはピグメントのいずれかを言う。該光線力学的療法色素には、ポルフィリン、クロリン、プルプリン、ベンゾポルフィリン、ならびに他の色素またはピグメントが含まれ、それは、特定の波長の光を吸収し、それにより、おそらく一重項酸素または他の破壊性化学種の形成を介して腫瘍壊死を惹起する。癌の治療のための光線力学的療法が当分野で周知である(例えば、米国特許第7,018,395号、第7,011,812号、第6,806,284号、第6,723,750号、第6,710,066号および第6,630,128号を参照)。 本明細書で用いる「毒素および細胞傷害性薬物」とは、いくつかの細胞の増殖および作用に影響を及ぼすことが知られている化学分子を言い、場合によっては、該化学分子に細胞を曝露すると細胞死を導く。毒素および細胞傷害性薬物の例としては、限定はされないが、副腎皮質抑制薬(adrenocortical suppressant)、例えばミトタン; スルホン酸アルキル、例えばブスルファン; エチレンイミン誘導体、例えばチオテパ; ニトロソウレア、例えばカルムスチン、ロムスチン、セムスチンおよびストレプトゾシン; 葉酸アナログ、例えばメトトレキサート; メチルヒドラジン誘導体、例えばプロカルバジン; ナイトロジェンマスタード、例えばメクロレタミン、シクロホスファミド、メルファラン、ウラシルマスタードおよびクロラムブシル; プリンアナログ、例えばメルカプトプリンおよびチオグアニン; ピリミジンアナログ、例えばフルオロウラシル、シタラビンおよびアザリビン; 置換尿素化合物、例えばヒドロキシウレア; タキソール; トリアゼン、例えばダカルバジン; ならびに、ビンカアルカロイド、例えばビンブラスチンおよびビンクリスチンが挙げられる。 本明細書で用いる「抗増殖薬」とは、細胞増殖の速度またはレベルを低下させるいずれの剤を言う。該剤は、アポトーシスの誘導、細胞の微小管構造の調節(例えば、微小管重合の促進)、チロシンキナーゼ媒介シグナル伝達の阻害、細胞表面受容体結合の拮抗(例えば、EGFRおよびVEGFR阻害剤)、グルココルチコイド受容体機能の調節、血管新生の下方制御(例えば、VEGF機能の阻害)、または細胞死の誘導によって、増殖を低下させることができる。 本明細書で用いる「抗腫瘍薬」とは、腫瘍の増殖を制限するかまたは腫瘍を破壊するいずれの剤を言い、以下の類の化合物: 血管新生阻害剤、DNA干渉物質/架橋剤、DNA合成阻害剤、DNA-RNA転写制御因子、酵素阻害剤、遺伝子制御因子および微小管阻害剤が含まれる。 本明細書で用いる「血管新生阻害剤」とは、メカニズムにかかわらず新しい血管の形成を阻害する化合物を言う。血管新生阻害剤の例としては、限定はされないが、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、チロシンキナーゼ受容体 Flt-1(VEGFR1)およびFlk-1/KDR(VEGFR2)の阻害剤、表皮由来、線維芽細胞由来、もしくは血小板由来の増殖因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン遮断薬、インターフェロン-α、インターロイキン-12、ペントサンポリサルフェート、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)様アスピリンおよびイブプロフェン、ならびに選択的シクロ-オキシゲナーゼ-2阻害剤様セレコキシブおよびロフェコキシブを含む)、ステロイド性抗炎症薬(例えば、副腎皮質ステロイド、鉱質コルチコイド、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレド(methylpred)、ベタメタゾン)、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA4、スクアラミン、6-O-クロロアセチル-カルボニル)-フマギロール、サリドマイド、アンジオスタチン、トロポニン-1、アンジオテンシンII アンタゴニスト(Fernandez et al., J. Lab. Clin. Med. 105: 141-145 (1985)参照)、およびVEGFに対する抗体(Nature Biotechnology 17: 963-968 (October 1999); Kim et al., Nature 362: 841-844 (1993)、WO 00/44777およびWO 00/61186参照)が挙げられる。血管新生を調節もしくは阻害する他の治療薬としては、凝固および線溶系を調節もしくは阻害する剤が含まれる(Clin. Chem. La. Med. 38: 679-692 (2000)の概論を参照)。凝固および線溶経路を調節もしくは阻害するそのような剤の例としては、限定はされないが、へパリン(Thromb. Haemost. 80: 10-23 (1998)参照)、低分子量へパリンおよびカルボキシペプチダーゼU阻害剤(活性型トロンビン活性化可能線溶阻害因子[TAFIa]の阻害剤としても知られる)(Thrombosis Res. 101: 329-354 (2001)を参照)が挙げられる。 本明細書で用いる「HMG-CoA還元酵素阻害薬」とは、3-ヒドロキシ-3-メチルグリタリル-CoA還元酵素阻害薬の阻害剤を言う。HMG-CoA還元酵素阻害薬の例としては、限定はされないが、ロバスタチン(米国特許第4,231,938号、第4,294,926号および第4,319,039号参照)、シンバスタチン(米国特許第4,444,784号、第4,820,850号および第4,916,239号参照)、プラバスタチン(米国特許第4,346,227号、第4,537,859号、第4,410,629号、第5,030,447号および第5,180,589号参照)、フルバスタチン(米国特許第5,354,772号、第4,911,165号、第4,929,437号、第5,189,164号、第5,118,853号、第5,290,946号および第5,356,896号参照)、アトルバスタチン(米国特許第5,273,995号、第4,681,893号、第5,489,691号および第5,342,952号参照)、ならびにリバスタチンとしても知られるセリバスタチン(米国特許第5,177,080号参照)が挙げられる。これらおよびさらなるHMG-CoA還元酵素阻害薬の構造式は、M. Yalpani, “Cholesterol Lowering Drugs,” Chemistry & Industry, pp. 85-89の87ページ、ならびに米国特許第4,782,084号および第4,885,314号に記載されている。本明細書で用いる用語HMG-CoA還元酵素阻害薬には、HMG-CoA還元酵素阻害薬活性を有する化合物の、全ての医薬的に許容される、ラクトンおよび開環酸(open-acid)型(すなわち、ラクトン環が遊離酸を形成するように開環している)、ならびに塩およびエステル形態が含まれる。本明細書で用いる「合成エストロゲン」とは、対象に投与された場合に17β-エストラジオールの少なくともいくつかの特性を示す非天然化合物を言う。合成エストロゲンの例には、エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール(DES)、クロロトリアニセン、ジエンエストロール、エチニルエストラジオールおよびエチニルエストラジオール 3-シクロペンチルエーテルが含まれる。 本明細書で用いる用語「エストロゲン受容体アゴニスト」とは、エストロゲン受容体で作用し、17β-エストラジオールと同じ生物学的効果の少なくともいくつかを有する化合物を言う。エストロゲン受容体で作用し、17β-エストラジオールの効果を遮断する化合物は、「エストロゲン受容体アンタゴニスト」と呼ばれる。そのような選択性を示す化合物は、「選択的エストロゲン受容体モジュレーター」もしくは「SERM」と称される。SERMの例としては、バゼドキシフェン、クロミフェン、フルベストラント、ラソフォキシフェン、ラロキシフェン、タモキシフェンおよびトレミフェンが挙げられる。 本明細書で用いる用語「骨粗鬆症」とは、骨質量の減少および骨構造の破壊により特徴づけれられ、骨の脆弱性および骨折のリスクの増大、ならびに骨の石灰化もしくは骨密度の低下をもたらすことにより特徴づけられる症状を言う。骨粗鬆症は、カルシウムおよび骨タンパク質の欠乏に起因する骨質量の減少を伴う骨の菲薄化である。骨粗鬆症の患者では、骨強度が異常であり、骨折のリスクの増大をもたらす。該骨折は、クラッキング(股関節骨折におけるような)またはコラプス(脊椎の圧迫骨折におけるような)の形態であり得る。脊椎、尻、および手首が骨粗鬆症-誘発骨折のよく見られる領域であるけれども、骨折は他の骨格領域においても生じ得る。放置された骨粗鬆症は、体位、身体的異常および運動性の低下の変化を引き起こし得る。骨粗鬆症は、骨密度測定により同定され得る。 本明細書で用いる「骨減少症」とは、骨の石灰化もしくは骨密度の低下を言う。本明細書で用いる「カテプシン阻害薬」とは、システインプロテアーゼの阻害剤を言う。システインプロテアーゼ(例えばカテプシン)は、関節炎、骨リモデリング、炎症および腫瘍転移を含む、数多くの疾患症状に関連している。カテプシンプロテアーゼ阻害薬はコラーゲン線維の分解を阻害することにより破骨細胞性骨吸収を阻害することができ、それ故に、骨粗鬆症といった骨吸収疾患の治療において有用である。カテプシン阻害薬の例は、Deaton, Current Topics in Medicinal Chemistry 5(16): 1639-1675 (2005)、米国特許第7,279,478号、第7,279,472号、第7,112,589号および第7,012,075号、ならびにWO 01/49288およびWO 01/77073に記載されている。 本明細書で用いる「プロトンポンプ阻害薬」とは、破骨細胞液胞型ATPアーゼ阻害剤を言う。破骨細胞の頂端膜で見られるプロトンATPアーゼは、骨吸収プロセスにおいて顕著な役割を果たすことが報告されており、骨吸収の阻害剤の設計の標的になることから、骨粗鬆症および関連する代謝疾患の治療および予防に有用である(例えば、Niikura, Drug News Perspect. 19(3): 139-44 (2006), Visentin et al., J Clin Invest 106(2): 309-318 (2000)およびNiikura et al., Br J of Pharmacology 142: 558-566 (2004)を参照)。阻害剤の例としては、バフィロマイシンA1、SB242784、FR167356、FR177995、FR202126、FR133605およびNiK-12192 [4-(5,6-ジクロロ-1H-インドール-2-イル)-3-エトキシ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド](Petrangolini et al., J Pharmacol Exp Ther 318 (3): 939-946 (2006)が挙げられる。 本明細書で用いる「PPARγ活性化剤」とは、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ(PPARγ)の活性化剤を言い、当分野において破骨細胞-様細胞形成および骨吸収を阻害すると知られている(例えば、Okazaki et al., Endocrinology 140: 5060-5065 (1999)を参照)。PPARγ活性化剤の例としては、グリタゾン、例えば、シグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、チアゾリジンジオン(例えば、Yki-Jarvinen, New Eng J Med 351(11): 1106-1118 (2004)参照)、ネトグリタゾン、15 デオキシ-Δ12,14-プロスタグランジン J2、ならびにそのアナログ、誘導体、および医薬的に許容される塩が挙げられる。 本明細書で用いる「筋消耗」とは、筋組織の委縮もしくは損失を言い、疾患もしくは廃用性(運動不足)によってもたらされ得る。本明細書で用いる、筋消耗はまた、筋緊張の損失および神経性委縮も含む。筋消耗は筋組織の衰弱、縮小、および損失により特徴づけられ、それはしばしば収縮性筋原線維タンパク質のアクチンおよびミオシンの分解により引き起こされる(例えば、Hasselgren et al., Int'l J of Biochemistry & Cell Biology 37(10): 1932 (225); Lynch et al., Pharmacology & Therapeutics 113,(3): 461-487 (2007)参照)。 本明細書で用いる「慢性筋消耗」とは、慢性の(すなわち、長期間にわたる持続)進行性の筋肉量の損失、ならびに/あるいは慢性の進行性の筋肉の衰弱および変性を言う。 本明細書で用いる「悪液質」とは、疾患により引き起こされるかまたは疾病の副作用としての脱力および体重減少を言う。心筋および骨格筋両方の筋タンパク質消耗を含む心臓悪液質は、うっ血性心不全の特徴である。癌悪液質は固形腫瘍および血液系腫瘍を有する患者において生じる症候であり、脂肪組織および除脂肪筋肉量の両方の大量喪失を伴う体重減少によって顕在化される。悪液質また、後天性免疫不全症候群(AIDS)においても生じる。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)-関連ミオパチーおよび/または筋肉の脱力/消耗は、AIDSの比較的よく見られる臨床症状である。HIV-関連ミオパチーもまたは筋肉の脱力もしくは消耗を有する個体は、典型的には、顕著な体重減少、全身性または基部の筋肉の、脱力、圧痛および筋委縮を経る。 本明細書で用いる「筋肉減少症」とは、高齢者および慢性疾患患者を苦しめる、筋肉の量および機能の喪失により特徴づけられる、衰弱性疾患を言う。 本明細書で用いる用語「肥満症」とは、正常な体重を優に上回っている状態を言う。 従来、人はそれらの理想の体重より20%超過してオーバーしていると肥満であるとみなされている。肥満症は、国立衛生研究所(NIH)によって、肥満度指数(BMI)30以上として定義されている。肥満症に起因する過体重は、健康問題に大きく寄与している。それは数多くの疾患(例えば、2型糖尿病、血圧上昇(高血圧)、脳卒中、心臓発作(心筋梗塞)、心不全、前立腺癌および結腸癌などのある特定の形態の癌、胆石症および胆嚢疾患(胆嚢炎)、痛風および痛風-関連関節炎、膝、尻、および腰の変形性関節症(変形性関節症)、睡眠時無呼吸、ならびにピックウィック症候群(肥満症、赤面症、低換気(underventilation)および眠気)が含まれる)の進行のリスクを増大させる。本明細書で用いる用語「肥満症」には、上記の肥満症関連症状および疾患のうちのいずれか1つが含まれる。 本明細書で用いる用語「癌」または「腫瘍性疾患」とは、異常で制御不能な細胞分裂によって引き起こされる悪性新生物、増殖もしくは腫瘍の広い群を言い、細胞種(carcinoma)および肉腫が含まれる(Taber's Cyclopedic Medical Dictionary, 14th edition, 1983)。その制御不能な増殖に加えて、癌細胞は隣接する組織に侵入して破壊し、しばしば、体内の新しい部位に転移する。 本明細書で用いる用語「癌を治療すること」または「癌の治療」とは、癌の症状に苦しめられている哺乳動物に処置を施すことを言い、そして、癌細胞を死滅させることによって癌の症状を軽減する効果だけでなく、癌の増殖および/または転移の阻害をもたらす効果を言う。 本明細書で用いる用語「脂質プロファイル」とは、対象における、総コレステロール、低密度リポタンパク質(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)、超低密度リポタンパク質(VLDL)、およびトリグリセリドを言う。LDL、HDLおよびVLDLは、血液中で見られるリポタンパク質の3つのタイプであり、それらは通常、血液中で見られるコレステロールのタイプを示す(タンパク質およびトリグリセリドと結合したコレステロール)。 本明細書で用いる用語「貧血」とは、正常数より少ない赤血球である状態、または血液中へモグロビンが正常量より少ない状態を言う。赤血球数の減少またはへモグロビン量の減少が原因で、血液の酸素運搬能が低下する。貧血の患者は、疲れを感じ、簡単に疲労し、顔色が悪く、動悸を発症して大抵は息切れになり得る。多くの形態の貧血があり、再生不良性貧血、ファンコニー貧血、遺伝性球状赤血球症、鉄欠乏性貧血、大理石骨病、悪性貧血、鎌状赤血球症、サラセミア、骨髄異形成症候群、および様々な骨髄疾患が含まれる。 本明細書で用いる用語「うつ病」とは、人の摂食および/または睡眠方法ならびに自分自身について考える方法および物事を考える方法に影響を及ぼす、身体、気分および思考に関与する疾病を言う。うつ病のサインおよび症状としては、活動における興味の喪失、食欲の喪失もしくは過食、感情表現の喪失、虚無感、無希望、悲荘、罪悪もしくは無力感、引きこもり、疲労、睡眠障害、集中か、記憶もしくは意思決定の困難、不穏状態、易刺激性、頭痛、消化器障害、または慢性痛が挙げられる。 本明細書で用いる用語「性機能低下」とは、性行為活動をできなくするかまたは性機能不全をもたらし得る、性行為に関連した情動もしくは身体的反応の障害を言い、性欲障害、性的興奮障害、オルガスム障害、および性的疼痛障害が含まれる。性機能障害には、性欲の喪失、性行為に対する不安、興奮困難(difficulty in becoming aroused)、オルガスム到達不能(無オルガスム症)、早漏症、勃起不全、インポテンス、不感症、性交疼痛症、膣痙および性交疼痛症が含まれる(例えば、American Society for Reproductive Medicine, “Sexual Dysfunction - Patient's Fact Sheet” (1998)参照)。 本明細書で用いる用語「男性性機能低下」には、インポテンス、リビドー減退、オルガスム障害(例えば、早漏症または逆行性射精症)、および勃起不全が含まれる。 本明細書で用いる用語「勃起不全」とは、オス哺乳動物が勃起、射精、またはその両方を達成できないことに関与する障害を言う。勃起不全の症状としては、勃起の達成もしくは維持不能、射精障害、早漏症、またはオルガスム到達不能が挙げられる。勃起不全および性機能低下の増大は多数の根本的原因を有し得て、それには、限定はされないが、(1) 老化、(b) 根底にある身体的機能障害、例えばトラウマ、手術、および末梢血管疾患、ならびに(3) 薬剤治療、うつ病、および他のCNS障害によりもたらされる副作用、が含まれる。 本明細書で用いる用語「女性性機能低下」には、陰核、膣、尿道周囲腺(periurethral glans)、および性機能の他の誘発点における障害に関連した、欲求、性的興奮、性的受容性およびオルガスムにおける機能不全が含まれる。とりわけ、乳癌および婦人科の癌患者におけるそのような誘発点の解剖学的および機能的改変は、オルガスム能を低下させうる。本明細書において提供されるSARM化合物を用いた女性性機能低下の治療は、血流の改善、潤滑の改善、感覚の改善、オルガスム到達の促進、オルガスム間の不応期の減少、および性的興奮および欲求の改善をもたらし得る。 本明細書で用いる用語「リビドー」とは、性欲を言う。 本明細書で用いる用語「性腺機能低下症」とは、発育および性的発達の遅延を伴う、生殖腺の異常に低下した機能活性によりもたらされるかまたは特徴づけられる症状を言う。 本明細書で用いる用語「認知」とは、認識のプロセス、とりわけ、気づく、知る、考える、覚える、および判断するプロセスを言う。本明細書で用いる用語「気分」とは、気質もしくは心の状態を言う。本明細書で用いる用語「変化」とは、認知および/または気分における、ポジティブもしくはネガティブへのいずれの変化をも言う。 本明細書で用いる用語「脱毛」とは、男性型脱毛症の通常のタイプにおけるような、脱毛症、または禿頭症を言う。脱毛は、男性および女性の両方に発症する。 本明細書で用いる「虚弱」とは、低い機能上の回復(low functional reserve)、加速型骨粗鬆症、疲れやすさ、筋力の低下、疾患に対する高感受性およびリビドー減退により特徴づけられる、有害である主要な老齢医学的健康状態を言う(例えば、Bandeen-Roche et al., The Journals of Gerontology Series A: Biological Sciences and Medical Sciences 61: 262-266 (2006)参照)。 本明細書で用いる「生物学的利用能」とは、活性物質または治療用成分が医薬形態から吸収され、作用部位で利用可能となるか体循環に到達する率または程度を言う。所定の医薬形態の「絶対的生物学的利用能」は、100%と定義される静脈内投与後のものと比較される。静脈内投与以外の経路による投与は、遅いもしくは不完全な吸収、または代謝性破壊(metabolic destruction)に起因して、通常は100%未満である。「良好な生物学的利用能」は通常、>50%であり、「不良な生物学的利用能」は通常、<20%である。 本明細書で用いる「アンドロゲン活性」とは、アンドロゲン標的組織(例えば、前立腺および精嚢)におけるアンドロゲン受容体(AR)アゴニスト活性を言う。アンドロゲン活性は通常、前立腺および精嚢の重量の増大によって示され、それはアンドロゲン活性の指標として当分野で認められている(例えば、Lemus et al., J Steroid Biochem Mol Biol 60(1-2): 121-129 (1997)参照)。 本明細書で用いる「アンドロゲン作用」とは、男性の特徴を生み出すもしくは強めることを言い、ステロイド性アンドロゲン、例えばテストステロンの投与に関連した副作用を生じることを含む。これらの有害なアンドロゲン作用としては、前立腺肥大、ざ瘡、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)の抑制、多毛症、男性化および女性の男性化といった徴候が含まれる。 本明細書で用いる「同化作用」とは、組織(例えば結合組織)の量および/または強度の増大を言う。肛門挙筋の重量の増大は同化作用を示しており、同化作用の信頼性のある指標として当分野で認められている(例えば、Antonio et al., J Appl Physiol 87: 2016-2019 (1999)参照)。骨および筋肉における同化作用は、対象における骨折率を低下させる。筋肉における本明細書において提供される化合物の同化作用は、骨格筋におけるMHCサブタイプの発現を評価することによって試験することができる(例えば、Wright et al., J Appl Physiol. 83(4): 1389-96 (1997)参照)。同化作用の別の指標である骨形成率は、オステオカルシンレベル測定によって評価することができる。血漿オステオカルシンレベルは、当分野で公知のいずれの方法を用いて決定することができる(例えば、Koyama et al., J Immunol Methods 139(1): 17-23 (1991)参照)。ラットオステオカルシンEIAキットが、Biomedical Technologies Inc. (Stoughton, MA)から市販されている。 本明細書で用いる「結合組織」とは、高い血管マトリックス(highly vascular matrix)により特徴づけられる一般に内胚葉由来の組織を言い、それは体の支持および結合構造を形成する。結合組織には、コラーゲン線維、弾性線維、および細網線維、筋肉、脂肪組織、軟骨、ならびに骨が含まれる。結合組織の例としては、脂肪組織、疎性結合組織、血液、骨(網状骨(cancellous bone)、緻密骨、皮質骨、海綿骨(spongy bone)および骨梁(trabecular bone)が含まれる)、骨髄、軟骨、コラーゲン、真皮、弾性組織、神経内膜、筋膜、靱帯、間葉系結合組織、膠様結合組織(mucous connective tissue)、筋肉、骨組織(osseous tissue)、神経周膜、筋周膜、粘膜下層および腱が挙げられる。 本明細書で用いる「骨密度」または「BMD」とは、骨中のミネラル(例えばカルシウム)の密度を言う。BMDは、特殊なX線、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンか、または超音波を用いて決定される。この情報を用いて骨の強度を推定する。骨のミネラル含量の増大は、骨密度およびその強度を増大させる。骨の密度が高ければ高いほど、破損しにくい。 本明細書で用いる「単位用量形態」とは、ヒトおよび動物対象に適した物理的に別個の形態を言う。各単位用量は、必要な場合、医薬担体、ビヒクルもしくは希釈剤とともに、目的の治療効果を生み出すのに十分な所定の量の治療的に活性な化合物を含む。単位用量形態の例としては、錠剤、カプセル剤、丸剤(pill)、粉末、顆粒剤、無菌の非経口用液剤もしくは懸濁剤、アンプルおよびシリンジ、ならびに経口用液剤もしくは懸濁剤、および油-水エマルジョンが挙げられる。単用量形態は、当分野で公知のように、個々にパッケージングすることができる(例えばブリスター包装のように)。単位用量形態は、その分割もしくは倍数単位で投与することができる。 本明細書で用いる「多重用量形態(multiple dosage form)」とは、分離された単位用量形態で投与されるように単一の容器にパッケージングされた、複数の同一の単位用量形態を言う。多重用量形態の例には、活性化合物を含む、バイアル、錠剤もしくはカプセル剤のボトル、またはパイントもしくはガロンの液剤のボトルが含まれる。従って、多重用量形態は、パッケージングにおいて分離されていない複数の単位用量である。 本明細書で用いる「非特異的結合」とは、過剰量の非標識特異的リガンドの存在下で残存する結合を言う(すなわち、アンドロゲン受容体の場合、1000 nMの非標識ジヒドロテストステロン)。 本明細書で用いる「力価(potency)」とは、標準的基準と比べて所定の強度の特異的効果を得るのに必要な薬剤の用量を言う。 本明細書で用いる用語「AUC」とは、血漿濃度-時間曲線の下の領域を言い、医薬品の曝露の程度の測定基準として用いることができる。 本明細書で用いる、用語「曝露」とはAUCについて言及し、用語「総曝露(total exposure)」とはAUC0-∞について言及する。 本明細書で用いる用語「AUC0-∞」または「AUC0-inf」とは、ゼロ時間から無限大(外挿)までの濃度-時間曲線下の領域を言う。AUC0-∞は、AUC0-t + (Ct/ Kel)(ここでCtは時間tでの算定である)として計算することができる。 本明細書で用いる用語「AUC0-t」とは、ゼロ時間から最終的な非-ゼロ時間(最終測定可能な)濃度の濃度-時間曲線下の領域を言う。線形台形公式(linear trapezoidal rule)を用いてAUC0-tを計算することができる。 本明細書で用いる用語「AUCx」とは、ゼロ時間から投与後x時間の濃度-時間曲線下の領域を言う。従って、AUC6はゼロ時間から投与後6時間の濃度-時間曲線下の領域を言い、AUC24はゼロ時間から投与後24時間の濃度-時間曲線下の領域を言う。 本明細書で用いる用語「CMAX」とは、最大(ピーク)観測血漿濃度を言う。 本明細書で用いる用語「CMIN」とは、最小観測血漿濃度を言い、トラフ濃度とも称される。 本明細書で用いる用語「TMAX」とは、最大(ピーク)観測血漿濃度CMAXに到達する時間を言う。 本明細書で用いる用語「見かけの半減期」または「t1/2」とは、生命体に投与された薬剤または他の物質が、代謝または排泄されて半分の量になるまでに必要な、見かけ上の時間を言う。B. 化合物 式I、式II、もしくは式III: (式中、R1はハロゲン、擬ハロゲン、適宜置換された低級アルキル、適宜置換されたハロアルキルまたはNO2であり; R2は水素、ハロゲン、擬ハロゲン、適宜置換された低級アルキルまたは適宜置換された低級ハロアルキルであり; R3は水素、ハロゲン、擬ハロゲン、適宜置換された低級アルキルまたは適宜置換された低級ハロアルキルであり; R4はハロゲンまたは低級ハロアルキルであり; および、R5は低級アルキルまたは低級ハロアルキルである)の構造を有する化合物; ならびにその医薬的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグを提供する。 一実施態様において、R1が低級ハロアルキルまたはハロゲンであり; R2が水素または低級アルキルであり; R3が水素または低級アルキルであり; R4がCF3またはハロゲンであり; および、R5がC1〜C4アルキルまたはC1〜C4ハロアルキルである化合物; ならびにその医薬的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグを提供する。 一実施態様において、R1がCF3、F、またはClであり; R2がHまたはメチルであり; R3がHまたはメチル; R4がClまたはCF3であり; および、R5がメチル、エチルまたはCF3である化合物; ならびにその医薬的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグを提供する。 ありとあらゆる実施態様について、置換基は、記載された選択肢の一部の中から選択され得る。 ある特定の実施態様において、R1はCF3である。ある特定の実施態様において、R1はFまたはClである。ある特定の実施態様において、R1はFである。ある特定の実施態様において、R1はClである。 ある特定の実施態様において、R2はHである。ある特定の実施態様において、R2はメチルである。 ある特定の実施態様において、R3はHである。ある特定の実施態様において、R3はメチルである。 ある特定の実施態様において、R4はClである。ある特定の実施態様において、R4はCF3である。 ある特定の実施態様において、R5はメチルまたはエチルでる。ある特定の実施態様において、R5はメチルである。ある特定の実施態様において、R5はエチルである。ある特定の実施態様において、R5はCF3である。 本明細書において提供される化合物には:R,R-4-(2-(1-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジニル)-2-トリフルオロメチルベンゾニトリル;4-(2(R)-(1(S)-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジニル)-2-トリフルオロメチル-ベンゾニトリル;R,R,R-4-(2-(1-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)-5-メチルピロリジニル)-2-トリフルオロメチル-ベンゾニトリル;R,R,R-4-(2-(1-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)-5-メチルピロリジニル)-2-クロロベンゾニトリル;4-(2(R)-(1(S)-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)-5(R)-メチルピロリジニル)-2-トリフルオロ-メチルベンゾニトリル;4-(2(R)-(1(S)-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)-5(R)-メチルピロリジニル)-2-クロロベンゾニトリル;R,R-4-(2-(1-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジニル)-2-クロロベンゾニトリル; R,R-4-(2-(1-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジニル)-2-クロロ-3-メチル-ベンゾニトリル; 4-(2(R)-(1(S)-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジニル)-2-クロロベンゾニトリル;4-(2(R)-(1(S)-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジニル)-2-クロロ-3-メチル-ベンゾニトリル;3-メチル-4-((R)-2-((R)-2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシエチル)ピロリジン-1-イル)-2-(トリフルオロ-メチル)ベンゾニトリル;3-メチル-4-((R)-2-((S)-2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシエチル)ピロリジン-1-イル)-2-(トリフルオロ-メチル)ベンゾニトリル;3-メチル-4-((2R,5R)-2-メチル-5-((S)-2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシエチル)ピロリジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;2-フルオロ-4-((2R,5R)-2-メチル-5-((S)-2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシエチル)ピロリジン-1-イル)ベンゾニトリル;2-フルオロ-3-メチル-4-((2R,5R)-2-メチル-5-((S)-2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシエチル)-ピロリジン-1-イル)ベンゾニトリル;2-フルオロ-3-メチル-4-((R)-2-((S)-2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシエチル)ピロリジン-1-イル)-ベンゾニトリル;2-フルオロ-4-((R)-2-((S)-2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシエチル)ピロリジン-1-イル)ベンゾニトリル;2-クロロ-4-((2R,5R)-2-メチル-5-((S)-2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシエチル)ピロリジン-1-イル)ベンゾニトリル;2-クロロ-3-メチル-4-((2R,5R)-2-メチル-5-((S)-2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシエチル)-ピロリジン-1-イル)ベンゾニトリル;2-クロロ-3-メチル-4-((R)-2-((S)-2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシエチル)ピロリジン-1-イル)-ベンゾニトリル;2-クロロ-4-((R)-2-((S)-2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシエチル)ピロリジン-1-イル)ベンゾニトリル;(3R)-10-クロロ-3-メチル-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(R)-ヒドロキシプロピル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-10-クロロ-3-エチル-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(R)-ヒドロキシプロピル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-10-クロロ-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(R)-ヒドロキシプロピル)-3-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-10-クロロ-3-メチル-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(S)-ヒドロキシプロピル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-10-クロロ-3-エチル-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(S)-ヒドロキシプロピル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-10-クロロ-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(S)-ヒドロキシプロピル)-3-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-3-エチル-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(R)-ヒドロキシプロピル)-10-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-3-メチル-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(R)-ヒドロキシプロピル)-10-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(R)-ヒドロキシプロピル)-3,10-ビス(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-3-エチル-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(S)-ヒドロキシプロピル)-10-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-3-メチル-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(S)-ヒドロキシプロピル)-10-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(S)-ヒドロキシプロピル)-3,10-ビス(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(R)-10-クロロ-3-メチル-4-(2,2,2-トリフルオロエチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ-[2,3-f]-キノリン-8(7H)-オン;(R)-10-クロロ-3-エチル-4-(2,2,2-トリフルオロエチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]-キノリン-8(7H)-オン; および、(R)-10-クロロ-4-(2,2,2-トリフルオロエチル)-3-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]-オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;ならびに、その医薬的に許容される塩、エステルおよび/またはプロドラッグが含まれる。 これらの化合物は、組織選択性を示す点においてSARMである。いくつかの実施態様において、標的組織は結合組織である。いくつかの実施態様において、標的組織は筋肉である。いくつかの実施態様において、標的組織は骨である。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は同化作用を有し、組織形成および/または増殖を促進する。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は、有害なアンドロゲン作用を伴わずに、結合組織における完全アゴニスト活性を示し得る。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は、筋肉における完全アゴニスト活性を示し得て、有害なアンドロゲン作用を伴わずに筋肉量および筋力の増大もしくは改善をもたらし得る。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は、骨における完全アゴニスト活性を示し得て、有害なアンドロゲン作用を伴わずに骨密度および骨の強度の増大もしくは改善をもたらし得る。従って、いくつかの実施態様において、本明細書において提供されるSARM化合物は、同化作用によって改善される症状の治療に有用である(例えば、結合組織損失の回復)。 本明細書において提供される化合物はまた、非-アンドロゲン受容体(例えば、限定はされないが、プロゲステロン受容体(PR)、エストロゲン受容体(ER)、グルココルチコイド受容体(GR)、鉱質コルチコイド受容体(MR)、レチノイン酸受容体(RAR)、レキシノイド受容体(RXR)、またはペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR))に対するそれらの結合よりも高い親和性でアンドロゲン受容体のいずれの部位に結合する点において、アンドロゲン受容体選択的結合化合物でもある。アンドロゲン受容体に対する高い選択性は、該化合物が非-標的受容体活性を有する可能性が低いことを意味する。 例えば、化合物 4-(2(R)-(1(S)-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)-ピロリジニル)-2-トリフルオロメチルベンゾニトリル(化合物102)は、組織選択性を有する強力なARアゴニストであり、AR受容体に対して極めて選択的である。複数の種(サルを含む)において経口で生物学的に利用可能であり、ヒトにおいて良好な生物学的利用能を示すことが分かっている。その血漿半減期に基づいて、一日1回または2回の投与用の薬剤として製剤化することができる。多重用量毒性研究において良好な耐性および安全性が示されている。in vitroアッセイにおいて、遺伝毒性に対してネガティブである。 ある特定の本明細書において提供される化合物は、光学異性体を含む立体異性体として存在し得る。本発明は、全ての立体異性体およびそのような立体異性体のラセミ混合物、ならびに当分野で公知の多くの通常の方法のうちのいずれかに従って分離することができる個々のエナンチオマーを含むことを意図する。これらの方法には、キラルクロマトグラフィー、キラル補助基を用いた誘導体化とそれに続くクロマトグラフィーもしくは結晶化、およびジアステレオマー塩の分別結晶化が含まれる。C. 化合物の製造 式I、IIおよびIIIのアンドロゲン受容体モジュレーターの製造方法を提供する。ある特定の実施態様において、本明細書において提供される化合物は、以下の合成スキームを用いて合成することができる。各スキームにおいて、R基は上記の定義に対応する。1. スキームI −式Iの化合物の製造 スキームIは、式Iの化合物(スキームIにおいて構造3として示される)の製造を表す。スキーム I スキームIにおいて、構造1の化合物は、市販されているかまたは公知の方法で容易に製造できるかのいずれかである。例えば、4-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)-ベンゾニトリル(Alfa Aesar, Ward Hill, MA, Cat. No. B20617)、2,4-ジフルオロベンゾニトリル(Alfa Aesar, Ward Hill, MA, Cat. No. A14113)、2-クロロ-4-フルオロベンゾニトリル(Alfa Aesar, Ward Hill, MA, Cat. No. A15478)および2,4-ジフルオロ-3-メチルベンゾニトリル(Fluorochem Ltd - Wesley Street, Old Glossop, Derbyshire SK13 7RY, Cat. No. 033815)は市販されている。 2-クロロ-4-フルオロ-3-メチルベンゾニトリルは当分野で公知の方法を用いて製造することができる。例えば、THF (10 mL)中の2-クロロ-4-フルオロベンゾニトリル(1 g)およびTMEDA(1.13 mL)を、窒素下において、-78℃に冷却した。Sec-ブチルリチウム(1.3M/シクロ-ヘキサン, 8.54 mL)を、-70℃以下の温度を維持しながら、20分かけて加えた。次いで、該混合液を-78℃で2.5時間撹拌した。ヨウ化メチル(0.5 mL)を加え、該混合液を35分かけて15℃に昇温させた。該反応液を塩化アンモニウムの飽和水溶液でクエンチし、該生成物を酢酸エチルで抽出した。該酢酸エチルを食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た(1.28 g)。 2-クロロ-4-フルオロ-3-メチルベンゾニトリルはまた、3-ブロモ-2-クロロ-6-フルオロトルエン(173 mg, 0.78 mmol)、シアン化亜鉛(91 mg, 0.78 mmol)、テトラキス-(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(27 mg, 23 Τmol)およびDMF(1 mL)をバイアルに加え、その後バイアルの封をし、該混合液を電子レンジにおいて200℃で150秒間照射(irradiating)することによって合成することもできる。次いで、ジエチルエーテル(30 ml)を加え、該反応混合液を硫酸マグネシウム(4%溶液, 3 × 20 mL)で洗浄し、続いて食塩水(20 mL)で洗浄した。該有機層を乾燥させてエバポレートした。該生成物を、n-ヘプタン/酢酸エチル(9:1)を用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによりさらに精製して、白色の固形物を得た。 4-フルオロ-3-メチル-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(4位にフルオロを有するスキームIの化合物1)は、当分野で公知の方法により合成される。例えば、THF(10 mL)中の4-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(1.22 g, Alfa Aesar, Ward Hill, MA, Cat. No. B20617から入手可能)およびTMEDA(1.13 mL)を、窒素下において-78℃に冷却する。Sec-ブチルリチウム(1.3M/シクロヘキサン, 8.54 mL)を、-70℃以下の温度を維持しながら20分かけて加える。該混合液を-78℃で2.5時間撹拌する。ヨウ化メチル(0.5 mL)を加え、該混合液を35分かけて15℃に昇温させる。該反応液を、塩化アンモニウムの飽和水溶液でクエンチし、該生成物を酢酸エチルで抽出する。該酢酸エチルを食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得て、それをn-ヘプタン/酢酸エチル(9:1)を用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによりさらに精製して、白色の固形物を得る。 構造2および4の化合物は、D-プロリンまたはD-ピログルタミン酸から製造される。例えば、(R)-2,2,2-トリフルオロ-1-(ピロリジン-2-イル)エタノール(化合物2、スキームI、R3 = 水素)を、D-プロリノール(化合物4、スキームI、R3 = 水素)の酸化により製造して、D-プロリンアルデヒド(prolinaldehyde)を得る(例えば、Smith et al., March's Advanced Organic Chemistry, 6th ed., Wiley, NJ, 2007, p. 1715-1728参照)。得られたD-プロリンアルデヒドをCF3-TMS(トリメチル(トリフルオロメチル)-シラン)と反応させて(R)-2,2,2-トリフルオロ-1-(ピロリジン-2-イル)エタノールを得る(例えば、Prakash et al., J. Am. Chem. Soc. 111: 393, 1989を参照)。 2,2,2-トリフルオロ-1-((2R,5R)-5-メチルピロリジン-2-イル)エタノール(化合物2、スキームI、R3 = メチル)を((2R,5R)-5-メチルピロリジン-2-イル)メタノール(化合物4、スキームI、R3 = メチル)の酸化により製造し、生じるアルデヒド、(2R,5R)-5-メチルピロリジン-2-カルバルデヒドを得る(例えば、Smith et al., March's Advanced Organic Chemistry, 6th ed., Wiley, NJ, 2007, p. 1715-1728参照)。得られたアルデヒドをCF3-TMS(トリメチル(トリフルオロメチル)シラン)と反応させて、2,2,2-トリフルオロ-1-((2R,5R)-5-メチルピロリジン-2-イル)エタノールを得る(例えば、Prakash et al., J. Am. Chem. Soc. 111: 393, 1989参照)。 (R)-ピロリジン-2-イルメタノール(化合物4、スキームI、R3 = 水素)は、D-プロリノールとしても知られており、Sigma-Aldrich, Milwaukee, WI, Cat. No. 81744から入手可能である。(R)-ピロリジン-2-イルメタノールはLiAlH4によるD-プロリンの還元により製造される(Smith et al., March's Advanced Organic Chemistry, 6th ed., Wiley, NJ, 2007, p. 1805-1806参照; また、Dei et al., Bioorg. Med. Chem. 11: 3153-3164 (2003)参照)。 ((2R,5R)-5-メチルピロリジン-2-イル)メタノール(化合物4、スキームI、R3 = メチル)は、(R)-(−)-5-(ヒドロキシメチル)-2-ピロリジノン(Sigma Aldrich, Milwaukee, WI, Cat. No. 366358から入手可能)を、窒素原子で、適切な保護基(例えば、Boc保護基)を用いて保護することにより製造し、例えば、(2R,5R)-tert-ブチル-2-ホルミル-5-メチルピロリジン-1-カルボキシレートを得る(例えば、Wuts et al., Green's Protective Groups in Organic Synthesis, 4th ed., Wiley, NJ, 2007, p. 725-727参照)。得られた化合物を、MeLiまたはMeMgX(ここで、XはClまたはBrである)で処理し(例えば、Smith et al., March's Advanced Organic Chemistry, 6th ed., Wiley, NJ, 2007, p. 1300-1309参照)、次いで水素付加し(例えば、Smith et al., March's Advanced Organic Chemistry, 6th ed., Wiley, NJ, 2007, p. 1053-1062参照)、そして窒素保護基を開裂し(例えば、Wuts et al., Green's Protective Groups in Organic Synthesis, 4th ed., Wiley, NJ, 2007, p. 727-735参照)、((2R,5R)-5-メチルピロリジン-2-イル)-メタノールを得る。 構造1の化合物および構造2のピロリジン誘導体のパラジウム触媒カップリング反応もしくは塩基-媒介置換反応により、2つのジアステレオマーの混合物として構造3の生成物を得て、それを分割して最終生成物を得る。別法として、構造4を用いて同様の反応条件において構造5の中間体を得て、構造6のアルデヒドに酸化させる。該アルデヒドをTMS-CF3で処理し、次いでジアステレオマーを分割して式Iの最終生成物を得る(スキームI中の構造3として示される)。2. 式IIの化合物の製造a. スキームII−R4がCF3である式IIの化合物 スキームIIは、R4がCF3である式IIの化合物(スキームII中の構造15として示される)の製造を表す。スキームIIにおいて、構造14(R5 = Me, Et)の中間体は、US 7,214,690(引用によりその全般が本明細書に援用される)に記載の公知の方法により、化合物12から製造される。スキームII スキームIIに表されるプロセスは、フェニレンジアミン誘導体(例えば、5-クロロ-1,3-フェニレンジアミン(構造7))を、β-ケトエステルもしくはその対応する水和物、またはヘミアセタール(例えば、4,4,4-トリフルオロアセト酢酸エチル)とクノール(Knorr)環化させて、対応する(1H)-キノリン-2-オンを得ることから始まる(Jones, Comprehensive Heterocyclic Chemistry (Katritzky & Rees, eds., Pergamon, New York, Vol. 2, chap. 2.08, pp 421-426 (1984) を参照、該開示は引用により本明細書に援用される)。例えば金属触媒(例えば、10% Pd−C)を用いた、水素雰囲気中における化学的還元により、ハライド基を還元することができ、構造8の化合物を得ることができる。アニリン環のフェノール環への変換は、ジアゾ化剤(例えば、亜硝酸ナトリウム/硫酸)を用いて構造8を処理することにより達成され得て、構造9の化合物が得られる。塩基(例えば、ジイソプロピルアミン)の存在下における、ブロム化剤(例えば、N-ブロモこはく酸イミド)を用いた該フェノール環のブロム化により、構造10の化合物が得られる(例えば、Fujisaki et al., Bull. Chem. Soc. Jpn. 66: 1576-1579 (1993) を参照、その開示は引用により本明細書に援用される)。 フェノール酸素の選択的保護は、塩基(例えば、フッ化セシウム)の存在下における、アルキルハライド(例えば、ベンジルブロミド)を用いた構造10の処理により達成され得て、対応するエーテルが得られる。例えばヨウ化イソプロピルを用いた、塩基(例えば、フッ化セシウム)により媒介される、ピリドン環の保護により、対応するイミノエーテル(構造11)が得られる。フェノールエーテルの選択的加水分解は、例えばメタンスルホン酸および酢酸の1:1混合液を用いた酸加水分解により達成され得て、構造12の化合物が得られる。 構造14の化合物は、保護されたアミノアルコール13を用いた処理による、構造12のフェノール酸素のアルキル化によって製造される。例えば、(R)-N-t-boc-2-アミノアルカン-1-オール(13, R5 = MeまたはEt)を、光延条件下、例えばトリフェニルホスフィンおよびアゾジカルボン酸ジイソプロピル、塩基(例えば、N-メチルモルホリン)の存在下において、構造12の化合物と反応させて、対応する光延生成物(Mitsunobu product)が得られる。例えばトリフルオロ酢酸を用いた酸加水分解により、t-ブトキシカルボニル保護基の除去を達成することができる。芳香族ハライドへのアミンの閉環は、リガンド(例えば、BINAP)および塩基(例えば、ナトリウム t-ブトキシド)の存在下における、遷移金属(例えばPd2(dba)3)を用いた処理によって達成することができ、構造14の化合物が得られる(Wagaw et al., J. Am. Chem. Soc. 119: 8451-8458 (1997)参照)。 別法として中間体14は、キラルなトリフルオロメチルエポキシドによる化合物12のO-アルキル化の後、アセテート生成して中間体16を得ることにより、製造される。ブロモアリール16のパラジウム触媒アミノ化、次いで分子内環化により、中間体14が得られる。キラルなトリフルオロメチルエポキシドを用いた構造14の中間体のN-アルキル化、続く酸加水分解により、式IIの最終生成物(スキームII中の構造15)が、立体選択的様式で得られる。b. スキームIII−R4がClである式IIの化合物 スキームIIIは、R4がClである式IIの化合物の製造を表す(スキームIII中に構造20として示される)。スキームIIIにおいて、マロン酸エチルによる5-クロロ-1,3-ジアミノベンゼン(Alfa Aesar, Ward Hill, MA, Cat. No. L06485)の処理後、水素付加して5-クロリンを除去し、POCl3を用いて塩素化(chloronation)して中間体17を得る。ジアゾ化の後、加水分解、ブロム化、およびイソプロピルエーテル生成を行い、中間体18を得る。化合物18のO-アルキル化の後、分子内アミノカップリング反応を行い、構造19の中間体を得る。キラルなエポキシドを用いたN-アルキル化の後、酸加水分解を行って、R4がClである式IIの最終生成物(スキームIII中の構造20)を得る。スキームIII3. スキームIV−式IIIの化合物の製造 スキームIVは、式IIIの化合物(スキームIV中の構造20として示される)の製造を表す。スキームIV スキームVIにおいて、マロン酸エチルによる5-クロロ-1,3-ジアミノベンゼン(Alfa Aesar, Ward Hill, MA, Cat. No. L06485)の処理の後、水素付加により5-クロリンを除去し、POCl3により塩素化して中間体17を得る。ジアゾ化の後、加水分解、ブロム化、およびイソプロピルエーテル生成を行って、中間体18を得る。化合物18のO-アルキル化の後、分子内アミノカップリング反応を行って、構造19の中間体を得る。TFAおよび水素化ホウ素ナトリウムによる中間体19の処理により、式IIIの化合物(スキームIVにおいて構造21として示される)を得る。D. 特定の効能 アンドロゲン療法は、様々な男性の障害、例えば、生殖障害および原発性もしくは続発性男性性腺機能低下、の治療に用いられている。多くの天然もしくは合成のARアゴニストが、筋骨格障害(例えば、骨疾患、造血障害、神経筋疾患、リウマチ性疾患、消耗性疾患)の治療、およびホルモン補充療法(HRT)(例えば、女性のアンドロゲン欠乏症)のために研究されている。さらに、ARアンタゴニスト(例えば、フルタミドおよびビカルタミド)が前立腺癌の治療に用いられる。 アンドロゲン療法の進展は、望ましくない副作用もしくは用量制限副作用から目的のアンドロゲン活性を分離することが不可能であることにより、制限されてきた。最近の進歩は、アンドロゲン受容体を標的とする際に組織選択性を示すと同時に望ましくない副作用を解消した選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)の開発がある(例えば、Negro-Vilar, A. JCE&M 54(10): 3459-62 (1999); Reid et al., Investigational New Drugs 17: 271-284 (1999)を参照)。例えば、化合物 LG120907、非ステロイド性ARアンタゴニストは、ラットにおいて、他の臨床上用いられるARアンタゴニスト(例えば、カソデックス)に比べて、視床下部軸およびリビドーにおけるアンタゴニスト作用(増殖率)を低下させることが示されており、前立腺癌の治療のための選択的アンドロゲン受容体モジュレーターとして特徴づけられている(例えば、Gao et al., Pharmaceutical Research 23(8): 1641-1658 (2006)参照)。他のSARMおよびその使用が当分野で確認されている(例えば、米国特許出願第2007254875号および米国特許第7,301,026号; 第7,291,673号; 第7,288,553号; 第7,268,232号; 第7,268,153号; 第7,253,210号; 第7,217,720号; 第7,214,804号; 第7,214,693号; 第7,214,690号; 第7,205,437号; 第7,186,838号; 第7,026,500号; 第7,022,870号; 第6,998,500号; 第6,995,284号; 第6,960,474号; 第6,899,888号; 第6,838,484号; 第6,569,896号および第6,492,554号; Thevis et al., Rapid Commun Mass Spectrom. 21(21): 3477-3486 (2007); Kilbourne et al., Curr Opin Investig Drugs. 8(10): 821-829 (2007); Higuchi et al., Bioorg Med Chem Lett. 17(19): 5442-5446 (2007); Zhang et al., J Med Chem. 50(16): 3857-3869 (2007); Gao et al; Drug Discov Today. 12(5-6): 241-248 (2007); Omwancha et al., Curr Opin Investig Drugs. 7(10): 873-881 (2006); Kazmin et al., Mol Endocrinol. 20(6): 1201-1217 (2006); Segal et al., Expert Opin Investig Drugs. 15(4): 377-387 (2006); Cadilla et al., Curr Top Med Chem. 6(3): 245-270 (2006); Chen et al., Mol Interv. 5(3): 173-188 (2005); Buijsman et al., Curr Med Chem. 12(9): 1017-1075 (2005); Brown et al., Endocrinology 145(12): 5417-5419 (2004); Chen et al., J Pharmacol Exp Ther. 312(2): 546-553 (2005); Marhefka et al; J Med Chem. 47(4): 993-998 (2004); ならびに、Yin et al., J Pharmacol Exp Ther. 304(3): 1334-1340 (2003)参照)。 この類のリガンドは、他のステロイド療法よりも良好な薬物動態プロファイルおよび特異性プロファイルを示す。とりわけ、非ステロイド性SARMは、治療的有用性を示すが、他のステロイド療法に関連するアンドロゲン作用を示さない。これらの有害なアンドロゲン作用には、前立腺肥大、ざ瘡、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)の抑制、多毛症、男性化および女性の男性化といった徴候が含まれる。 本明細書において提供される化合物はSARMである。本明細書において提供される化合物は、組織選択的な方法でアンドロゲン受容体においてそれらの活性を示す能力を示す。この組織選択性によって、本明細書において提供される化合物がいくつかの組織においてアゴニストとして機能することが可能となる一方、他の組織においては作用効果がないかもしくはアンタゴニスト作用効果さえ有する。この組織選択的活性の分子的機序は完全には理解されていない。いずれの特定の説明に限定されることなく、特定のリガンドは核内受容体を異なる立体構造にする。これらの構造は、核内受容体による活性化補助因子、補助抑制因子、および他のタンパク質の取り込み能力に影響する。核内受容体が異なる、活性化補助因子、補助抑制因子、および他のタンパク質の組み合わせは、組織選択的効力を調節すると考えられる遺伝子転写因子である。SARMのいくつかは、アゴニスト同化特性およびアンタゴニストアンドロゲン特性を示す。本明細書において提供される化合物は、大部分の他の組織(例えば、前立腺および皮膚皮脂腺)での不必要なアンドロゲン副作用を伴わない、同化構築活性(例えば筋肉および骨における)を有する。 本明細書において提供される化合物は、アンドロゲン受容体の組織選択的モジュレーターである。一態様において、本明細書において提供される化合物は、対象におけるアンドロゲン受容体の機能を活性化するために用いることができ、とりわけ、骨および/または筋組織におけるアンドロゲン受容体の機能を活性化し、雄個体の前立腺または雌個体の子宮におけるアンドロゲン受容体の機能を、遮断もしくは阻害する(拮抗する)ことができる。 いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物はホルモン依存性腫瘍におけるアンタゴニスト活性を示す一方、活性を示さないか、またはいくつかの実施態様においてはアンドロゲン受容体を有する他の非腫瘍組織に対するアゴニスト活性を示す。以下に記載のとおり、これらのSARMは多くのアンドロゲン受容体-媒介症状の治療(腫瘍の増殖を阻害し、さらに副作用(例えば、筋消耗、悪液質、リビドー減退などの性機能低下、骨粗鬆症および女性化乳房)を軽減することによる、患者におけるARを有するホルモン依存性腫瘍(例えば前立腺癌)の治療が含まれる)に用いることができる。 本明細書において提供される化合物は典型的には、アンドロゲン受容体に対してマイクロモルもしくはマイクロモル以下の結合親和性を示す。本明細書において提供される化合物は、標準的なARアゴニストおよびアンタゴニストアッセイ(例えば、本明細書に記載の共トランスフェクションアッセイ)におけるそれらの活性からも明らかなように、ARアゴニストまたはアンタゴニスト活性を示す。例えば、本明細書において提供される化合物は、本明細書に記載の共トランスフェクションアッセイにおいて1 μM以下の力価(EC50)を示す。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は100 nM以下の力価(EC50)を示す。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は、50 nM以下の力価(EC50)を示す。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は、10 nM以下の力価(EC50)を示す。本明細書において提供される化合物はまた、標準的なARアゴニストアッセイにおいて、50%以上の効力を示す。従って、本明細書において提供される化合物は、アンドロゲン受容体機能に関連する障害に苦しめられている哺乳動物の治療において有用である。治療上有効な量の1つ以上の本明細書において提供される化合物、またはその医薬的に許容される塩のいずれかを、アンドロゲン受容体機能に関連する障害(例えば、アンドロゲン欠乏症か、アンドロゲン補充により寛解され得る障害か、またはアンドロゲン補充により改善され得る障害)を治療するためか、あるいは抗アンドロゲンを用いた治療に反応する障害を治療するために、対象に投与する。治療は、治療上有効な量の1つ以上の本明細書において提供される化合物を、治療が必要な対象に投与することにより達成される。さらに、これらの化合物は、単独または他の活性な剤と組み合わせた医薬組成物中の成分として有用である。 ある特定の実施態様において、本明細書において提供される化合物および/または組成物は、アンドロゲン受容体活性に関連する疾患もしくは障害の1つ以上の症候の、予防、治療、または寛解に用いられる。治療される疾患および障害には、アンドロゲン欠乏症により引き起こされるもの、および/またはアンドロゲン投与により寛解され得るもの、ならびに、病因がアンドロゲン受容体の機能亢進に関与するもの、および/または抗アンドロゲン投与により寛解され得るものが含まれる。 アンドロゲン欠乏症またはアンドロゲン受容体の機能低下もしくは弱感受性により引き起こされるか、あるいはアンドロゲン補充により寛解され得るかまたはARアゴニストによる治療に反応する、障害、疾患および症状としては、限定はされないが、皮膚の老化; アルツハイマー病; 例えば再生不良性貧血といった貧血; 食欲不振; 炎症性関節炎、関節リウマチ、変形性関節症および痛風を含む、関節炎; 動脈硬化症; アテローム性動脈硬化症; 転移性骨疾患を含む、骨疾患;骨の損傷もしくは骨折、例えば骨折修復、骨芽細胞の刺激、骨リモデリングの刺激、および/または軟骨増殖の刺激の促進により; 仮骨延長; 骨質量、骨密度もしくは骨成長の低下; 例えばグルココルチコイド投与により引き起こされる、骨の脆弱化; 筋骨格機能障害(例えば、高齢者において); 悪液質; 乳癌および骨肉腫を含む、癌; 心機能不全(例えば、弁膜症、心筋梗塞、心肥大またはうっ血性心不全に関連するもの); 心筋症; グルココルチコイドの異化副作用; クローン病; クローン病に関連した発育遅延; 短腸症候群; 過敏性腸症候群; 炎症性腸疾患; 潰瘍性大腸炎; 認知機能低下および認知機能障害; 認知症; 短期記憶喪失; 避妊(男性および女性); 慢性閉塞性肺疾患(COPD); 慢性気管支炎; 肺機能低下; 肺気腫; 男性および女性両方におけるリビドー減退; うつ病; 神経過敏、易刺激性および/またはストレス; 精神的活力の低下および低い自尊心(例えば、モチベーション/アサーティブネス); 脂質異常症; 勃起不全; 虚弱; 高齢者における加齢性機能低下(「ARFD」); 成長ホルモン分泌不全; 造血障害; ホルモン補充(男性および女性); 高コレステロール血症; 高インスリン血症; 高脂血症; 高血圧; 高アンドロゲン血症; 性腺機能低下症(原発性および続発性を含む); 低体温(麻酔後の低体温を含む); インポテンス; インスリン抵抗性; 2型糖尿病; リポジストロフィー(HIVもしくはAIDS治療(例えばプロテアーゼ阻害薬)を受けている患者において、など); 男性更年期; メタボリックシンドローム(シンドロームX); 筋力および/または筋機能の低下(例えば、高齢者における); 筋ジストロフィー; 術後の筋力低下(muscle loss)(例えば、術後のリハビリテーション); 筋萎縮症(例えば、運動不足、ベッド安静、または微小重力のような低荷重負荷状態に起因); 神経変性疾患; 神経筋疾患; 血小板数低下; 血小板凝集障害; 肥満症; 骨粗鬆症; 骨減少症; グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症; 骨軟骨異形成症; 歯周病; 月経前症候群; 女性における閉経後の症状; リーブンシンドローム; リウマチ性疾患; 筋肉減少症; 男性および女性の性機能低下(例えば、勃起不全、性的欲求の低下、性的健康の低下、リビドー減退); 慢性疾患に関連した成長ホルモン分泌不全児および低身長ならびに肥満症に関連した発育遅延を含む、生理学的低身長; 歯の損傷(例えば、歯の修復もしくは成長の促進により); 血小板減少症; 膣乾燥; 萎縮性膣炎; 心室機能不全; 骨折による消耗、ならびに慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性肝疾患、AIDS、無重力、癌悪液質、熱傷および外傷回復、慢性的な異化状態 (例えば、昏睡)、摂食障害(例えば、食欲不振)、化学療法、多発性硬化症もしくは他の神経変性障害に関連した消耗を含む消耗、が挙げられる。 ARアゴニスト活性を示す本明細書において提供される化合物はまた、拍動的成長ホルモン放出を刺激するため; 骨強度、筋力および筋緊張を改善するため; 対象の皮下脂肪を減少さるため; 骨および筋の能力/強度を高めるため; 運動能力を増大させるため; 外傷後のタンパク質異化反応を減弱もしくは回復させるため(例えば、手術、うっ血性心不全、心筋症、熱傷、癌、COPDに関連した異化状態の回復); 睡眠の質を改善し、かつ/またはREM睡眠の高い増加およびREM潜時の減少に起因する、老化の相対的低ソマトトロピン症を是正するため; 男性における加齢性の低テストステロン濃度を治療するため; 脂質プロファイルを改変するため; ならびに、ホルモン補充療法(例えば女性のアンドロゲン欠乏症および男性のアンドロゲン低下)において、用いることもできる。 SARMは特定の組織においてアンタゴニストとして作用することができることから、高いアンドロゲン濃度もしくは活性が症候を引き起こす状態を治療することにおいても有用である。ARアンタゴニズムを示す本明細書において提供される化合物は、病因としてアンドロゲン受容体の機能亢進を含むかまたはARアンタゴニストを用いた治療に反応する症状を治療するために用いることができる。そのような症状としては、限定はされないが、黒色表皮腫、ざ瘡、副腎性高アンドロゲン症、アンドロゲン性脱毛症(男性型脱毛症)、前立腺の腺腫および腫瘍(例えば、進行した転移性前立腺癌)、良性の前立腺肥大、癌(例えば、乳癌、膀胱癌、子宮内膜癌、肺癌(非小細胞肺癌)、膵癌、前立腺癌(アンドロゲン依存性前立腺癌を含む)および皮膚癌); 神経性過食症; 慢性疲労症候群(CFS); 慢性筋肉痛; 急性疲労症候群; 避妊; 子癇前症、妊娠子癇および早期分娩の防止; 創傷治癒遅延; 赤血球増加症; 妊娠糖尿病; 多毛症; 高インスリン血症(膵島細胞症を含む); アンドロゲン過剰症; 副腎皮質ホルモン過剰症; クッシング症候群; 過剰有毛; 不妊症; 例えば、乳癌、脳癌、皮膚癌、卵巣癌、膀胱癌、リンパ腺癌、肝癌および腎癌の場合のような、アンドロゲン受容体を有する悪性腫瘍細胞; 月経不順; 卵巣アンドロゲン過剰症; 多嚢胞性卵巣症候群; 脂漏症; 睡眠障害; 睡眠時無呼吸; および内臓脂肪症が挙げられる。 いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は筋組織および骨組織においてアゴニスト活性を有し、前立腺組織において中立的もしくはアンタゴニスト作用を有する。いくつかの実施態様において、そのような化合物は、筋消耗、悪液質、虚弱、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、性腺機能低下症または性機能低下から選択される症状の、治療または予防に用いられる。 いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は筋肉および/または骨においては効力を持たず、前立腺においては中立的もしくはアンタゴニスト作用を持つ。いくつかの実施態様において、そのような化合物は、良性の前立腺肥大症(BPH)、前立腺癌または性機能低下から選択される症状の、治療または予防に用いられる。1. 筋消耗 筋消耗は、慢性、神経性、遺伝的または感染性の、病態、疾患、疾病もしくは症状に関連する。いくつかの実施態様において、該病態、疾病、疾患または症状は慢性である。いくつかの実施態様において、該病態、疾病、疾患または症状は遺伝的である。いくつかの実施態様において、該病態、疾病、疾患または症状は神経性である。いくつかの実施態様において、該病態、疾病、疾患または症状は感染性である。本明細書に記載の通り、本明細書において提供される化合物および組成物が投与される病態、疾患、症状もしくは障害は、直接的または間接的に、筋肉量の低下を生じるか、もしくは筋消耗障害をもたらすものである。 筋消耗の感染性病態、疾患、疾病または症状には、後天性免疫不全症候群(AIDS); 熱傷; 悪液質、例えば、AIDS悪液質、癌悪液質、および心臓悪液質; 癌; 心筋症; 慢性腎不全もしくは心不全; 慢性閉塞性肺疾患(COPD); 脱神経; 糖尿病; 肺気腫; 末期腎不全; 虚弱; HIV感染症; 不動性; ハンセン病; 栄養障害; 筋萎縮症、例えばポスト-ポリオ筋委縮(PPMA)またはX-連鎖性球脊髄性筋萎縮症(spinal-bulbar muscular atrophy)(SBMA); 筋ジストロフィー、例えば、デュシェンヌ型(Duchemie)筋ジストロフィー、筋緊張性ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー(良性の仮性肥大型筋ジストロフィー)、肢帯型筋ジストロフィー、 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)、先天性筋ジストロフィー、眼咽頭型筋筋ジストロフィー(OPMD)、遠位型筋ジストロフィーおよびエメリ・ドレフュス型筋ジストロフィー; 骨軟化症; 腎疾患; 筋肉減少症; 敗血症; ならびに結核が含まれる。さらに、他の状況および症状が関連し、筋消耗を引き起こし得る。これらには、慢性腰痛、高齢、中枢神経系(CNS)損傷、末梢神経損傷、脊髄損傷、化学的損傷、中枢神経系(CNS)ダメージ、微小重力、末梢神経ダメージ、脊髄ダメージ、化学的ダメージ、廃用性、肢が不動化している場合に生じる条件反応消去、疾病もしくは傷害に起因する長期入院、ならびにアルコール依存症が含まれる。筋消耗を放置した場合、ひどい健康状態を有し得る。例えば、筋消耗の間に生じる変化は、衰弱した身体状態を導き得て、個体の健康に対して有害であり、不完全骨折(infraction)および貧弱な全身状態に罹患しやすくする。さらに筋消耗は、悪液質およびAIDSに苦しむ患者における罹患率および死亡率の、強力な予測因子である。 感染性病態に起因する筋消耗には、コクサッキーウイルス、エンテロウイルス、エプスタイン・バーウイルス、帯状疱疹、HIV、インフルエンザ、マイコバクテリア、リケッチア、住血吸虫、トリキネラまたはトリパノソーマによる感染に起因する筋消耗障害が含まれる。 筋消耗の間に生じる筋肉量の低下は、筋タンパク質の崩壊もしくは分解(例えば筋タンパク質異化による)により特徴づけられ得る。タンパク質異化は、異常に高いタンパク質分解率、異常に低いタンパク質合成率、またはその両方の組み合わせが原因で生じる。タンパク質異化もしくは欠乏は、高いタンパク質分解または低いタンパク質合成のどちらによってもたらされたとしても、筋肉量の低下および筋消耗を引き起こす。 筋消耗はまた、高齢にも関連している。高齢における全身の脱力は筋消耗に起因すると考えられている。体が老化するにつれて、増大する骨格筋の割合は線維組織により置き換えられる。その結果、筋力、筋の能力および筋の持久力は顕著に低下する。疾病もしくは傷害に起因する長期入院、または例えば肢が不動化している場合に生じる筋廃用性もまた、筋消耗を引き起こし得る。傷害、慢性疾患、熱傷、トラウマもしくは癌に苦しむ、長期間入院している患者は、しばしば持続性一側性筋消耗(long-lasting unilateral muscle wasting)を示す。 タンパク質同化ステロイドの投与は、筋消耗を有するいくらかの患者(例えば癌患者)において、体重および筋肉量を増大させる能力を示した。しかしながら、タンパク質同化ステロイドの投与は、不必要なアンドロゲン副作用(脂性肌もしくはざ瘡の発生、ならびに女性における男性化および男性における前立腺刺激が含まれる)をもたらし得る。SARMは、筋消耗の幅広い障害の軽減における有効性を示した(例えば、Allen et al. Endocrine 32(1): 41-51 (2007); Lynch et al., Pharmacology & Therapeutics 113(3): 461-487 (2007); Gao et al., Endocrinology 146(11): 4887-4897 (2005); Lynch, Expert Opinion on Emerging Drugs 9(2): 345-361 (2004); 米国特許出願公開第20060111441号およびWO03049675参照)。SARMは通常、主に筋肉および骨における同化作用を示し、大部分の他の組織においては最小のアンドロゲン作用を示す。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は、筋消耗の治療に有用である。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は、筋肉減少症の治療に有用である。2. 筋緊張および筋強度 アンドロゲン受容体アゴニストは、筋緊張および筋強度における有益な効果を有することが知られている(例えば、Gao et al., Endocrinology 146(11): 4887-4897 (2005), Jasuja et al, J Clin Endocrinol Metab. 90(2): 855-863 (2005)、およびFerrando et al, Am J Physiol Endocrinol Metab. 282(3): E601-E607 (2002)参照)。健常で性機能低下性の男性におけるアンドロゲン補充は、除脂肪体重、筋のサイズおよび最大随意筋力(maximal voluntary strength)の増大をもたらす(例えば、Bhasin et al., J. Endocrin. 170: 27-38 (2001)参照)。従って、本明細書において提供される化合物は、筋成長を刺激し得て、筋肉減少症および虚弱の治療に用いることができる。一実施態様において、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物は、対象における筋緊張の増強に用いられる。別の実施態様において、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物は、対象における筋力の改善に用いられる。3. 骨粗鬆症 骨粗鬆症は、骨の脆弱性ならびに尻、脊椎、助骨および手首の骨折の高い発生率につながる、低い骨質量および骨組織の構造劣化により特徴づけられる疾患である。エストロゲンもしくはアンドロゲンの減少は、破骨細胞の寿命の延長および骨芽細胞の寿命の短縮による、骨の吸収と形成の間の不均衡を引き起こす。アンドロゲンの減少はまた、骨リモデリング率の増大による骨減少を導きうる(Lindberg et al., Minerva Endocrinol. 30(1): 15-25 (2005))。閉経後骨粗鬆症における骨でのアンドロゲンの有益な効果が当分野で記載されている(例えば、Hofbauer et al., Eur. J. Endocrinol. 140: 271 286 (1999)参照)。アンドロゲンはまた、男性における骨代謝において重要な役割を果たす(例えば、Anderson et al., Bone 18: 171- 177 (1996)参照)。アンドロゲン受容体モジュレーター化合物はまた、閉経後骨粗鬆症のラットモデルにおいて、骨強度を改善することが示されている(例えば、Martinborough et al., J Med Chem. 50(21): 5049-5052 (2007)参照)。骨粗鬆症はアンドロゲン欠乏によりもたらされ得る。一実施態様において、本明細書において提供される化合物は、哺乳動物においてアンドロゲン受容体の機能を活性化することができ、とりわけ、骨においてアンドロゲン受容体の機能を活性化する。 骨粗鬆症および骨減少症を評価する方法は当分野において周知である。例えば、デンシトメトリーにより測定してg/cm2で表した対象の骨密度(BMD)を、性別を一致させた若年成人のピーク骨質量での平均BMDである「正常値」と比較し、「T-スコア」を得る。スコア0は、対象のBMDが健常な若年成人の基準と同等であることを意味する。対象のBMDと健常な若年成人の基準のBMDの間の差を、標準偏差単位(SD)で測定する。+1から-1のT-スコアは正常または健康と見なされる。-1から-2.5のT-スコアは低い骨質量を意味し、骨減少症の指標である。-2.5以下のT-スコアは骨粗鬆症の指標である。T-スコアの数値が負になるにつれて、骨粗鬆症の重篤度が増大する。 本明細書において提供される化合物は、単独療法または骨吸収阻害剤(例えば、ビスホスホネート、エストロゲン、SERM、カテプシン阻害薬、αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、カルシトニン、およびプロトンポンプ阻害薬)との組み合わせとして、女性および男性における骨粗鬆症の治療に有用である。それらは、骨形成を刺激する剤(例えば 副甲状腺ホルモンまたはそのアナログ)とともに用いることもできる。 一実施態様において、本明細書において提供される化合物は、エストロゲンおよびエストロゲン誘導体の単独、またはプロゲスチンもしくはプロゲスチン誘導体; ビスホスホネート; 抗-エストロゲン; 選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM); αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト; カテプシン阻害剤; プロトンポンプ阻害剤; PPARγ阻害剤; カルシトニン; およびオステオプロテジェリンとの組み合わせの中から選択される、少なくとも1つの骨強化剤(bone-strengthening agent)の有効な量と組み合わせて、投与される。 エストロゲンおよびエストロゲン誘導体の例としては、17β-エストラジオール、エストロン、結合型エストロゲン(プレマリン(登録商標))、ウマエストロゲンおよび17β-エチニル エストラジオールが挙げられる。該エストロゲンまたはエストロゲン誘導体は、単独で、あるいはプロゲスチンまたはプロゲスチン誘導体と組み合わせて用いることができる。プロゲスチン誘導体の例としては、ノルエチンドロンおよびメトキシ-プロゲステロンアセテートが挙げられる。他のエストロゲン受容体モジュレーターが当分野で公知である(例えば、米国特許第7,151,196号、第7,157,604号、第7,138,426号参照). 本明細書において提供される化合物と組み合わせて用いることができるビスホスホネート化合物の例としては、アレンドロネート(米国特許第5,510,517号、および第5,648,491号参照)、[(シクロヘプチルアミノ)-メチレン]-ビス-ホスホネート(インカドロネート)(米国特許第4,970,335号参照); (ジクロロメチレン)-ビス-ホスホン酸(クロドロン酸)および二ナトリウム塩(クロドロネート)(Quimby et al., J. Org. Chem 32: 4111-4114 (1967)参照); (1-ヒドロキシ-エチリデン)-ビス-ホスホネート(エチドロネート); [1-ヒドロキシ-3-(メチルペンチル-アミノ)プロピリデン]-ビス-ホスホネート(イバンドロネート)(米国特許第4,927,814号参照)、(6-アミノ-1-ヒドロキシ-ヘキシリデン)-ビス-ホスホネート(ネリドロネート(neridronate)); [3-(ジメチル-アミノ)-1-ヒドロキシ-プロピリデン]-ビス-ホスホネート(オルパドロネート(olpadronate)); (3-アミノ-1-ヒドロキシ-プロピリデン)-ビス-ホスホネート(パミドロネート); [2-(2-ピリジニル)エチリデン]-ビス-ホスホネート(ピリドロネート(piridronate))(米国特許第4,761,406号参照); [1-ヒドロキシ-2-(3-ピリジニル)-エチリデン]-ビス-ホスホネート(リセドロネート); {[(4-クロロフェニル)-チオ]メチレン}-ビス-ホスホネート(チルドロネート)(米国特許第4,876,248号参照); [1-ヒドロキシ-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-エチリデン]-ビス-ホスホネート(ゾレドロネート(zoledronate)); ならびに[1-ヒドロキシ-2-イミダゾピリジン-(1,2-a)-3-イルエチリデン]-ビス-ホスホネート(ミノドロネート)が挙げられる。本明細書で提供される方法および組成物の一実施態様において、該ビスホスホネートは、アレンドロネート、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、パミドロネート、ピリドロネート、リセドロネート、チルドロネート、ゾレドロネート、ならびにその混合物および医薬的に許容される塩の中から選択される。 SERMまたは選択的エストロゲン受容体モジュレーターは、エストロゲンと同様であると考えられている経路を介した骨吸収の阻害によって骨減少を予防することが当分野において知られている、剤である(例えば、Goldstein et al., Human Reproduction Update 6: 212-224 (2000); Lufkin et al., Rheumatic Disease Clinics of North America 27: 163-185 (2001), Chan, Semin Oncol. 29(3 Suppl 11): 129-133 (2002), Jordan, Cancer Research 61: 5683-5687 (2001)およびMiller & Komm, Chapter 15, ”Targeting the Estrogen Receptor with SERMs” in Ann. Rep. Med. Chem. 36: 149-158 (2001)参照)。SERMの例としては、アルゾキシフェン、クロミフェン、ドロロキシフェン、エンクロミフェン、イドキシフェン、ラソフォキシフェン、レボルメロキシフェン、ナフォキシジン、ラロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェン、ズクロミフェン、およびその塩が挙げられる(例えば米国特許第4,729,999号、第4,894,373号および第5,393,763号参照)。 αvβ3インテグリン受容体アンタゴニストは骨吸収を抑制し、本明細書において提供されるSARMと組み合わせて、骨粗鬆症を含む骨障害の治療のために用いることができる。αvβ3インテグリン受容体のアンタゴニストが当分野において公知である(例えば、米国特許第5,204,350号、第5,217,994号、第5,639,754号、第5,710,159号、第5,723,480号、第5,741,796号、第5,760,028号、第5,773,644号、第5,773,646号、第5,780,426号、第5,843,906号、第5,852,210号、第5,919,792号、第5,925,655号、第5,929,120号、第5,952,281号、第5,952,341号、第5,981,546号、第6,008,213号、第6,017,925号、第6,017,926号、第6,028,223号、第6,040,311号、第6,066,648号、第6,069,158号、第6,048,861号、第6,159,964号、第6,489,333号、第6,784,190号、第7,056,909号、第7,074,930号および第7,153,862号参照)。 カテプシンはシステインプロテアーゼであり、米国特許第5,501,969号および第5,736,357号に記載されている。システインプロテアーゼ(例えばカテプシン)は多くの疾患症状(関節炎、骨リモデリング、炎症および腫瘍転移が含まれる)に関連する。カテプシンプロテアーゼ阻害剤は、コラーゲン線維の分解を阻害することによって破骨細胞性骨吸収を阻害することができ、従って、骨吸収疾患(例えば骨粗鬆症)の治療において有用である。カテプシン阻害剤の例はDeaton, Current Topics in Medicinal Chemistry 5(16): 1639-1675 (2005)、米国特許第7,279,478号、第7,279,472号、第7,112,589号および第7,012,075号、ならびにWO 01/49288およびWO 01/77073に記載されている。 プロトンポンプ阻害剤(例えば破骨細胞液胞型ATPアーゼ阻害剤)を、本明細書において提供されるSARMと一緒に用いることができる。破骨細胞の頂端膜で見られるプロトンATPアーゼは骨吸収プロセスにおいて重要な役割を果たすことが報告されており、骨吸収の阻害剤の設計におけるターゲットとなることから、骨粗鬆症および関連する代謝疾患の治療および予防に有用である(例えば、Niikura, Drug News Perspect. 19(3): 139-44 (2006), Visentin et al., J Clin Invest 106(2): 309-318 (2000)および、Niikura et al., Br J of Pharmacology 142: 558-566 (2004)参照)。阻害剤の例としては、バフィロマイシンA1、SB242784、FR167356、FR177995、FR202126、FR133605およびNiK-12192 [4-(5,6-ジクロロ-1H-インドール-2-イル)-3-エトキシ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド]が挙げられる(Petrangolini et al., J Pharmacol Exp Ther 318 (3): 939-946 (2006))。 ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ(PPARγ)の活性化剤は当分野において公知であり、破骨細胞-様細胞形成および骨吸収を阻害する(例えば、Okazaki et al., Endocrinology 140: 5060-5065 (1999)参照)。PPARγ活性化剤の例としては、グリタゾン(例えばシグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、およびBRL 49653)、チアゾリジンジオン(例えば、Yki-Jarvinen, New Eng J Med 351(11): 1106-1118 (2004)参照)、ネトグリタゾン、15-デオキシ-Δ12,14-プロスタグランジンJ2、ならびにそのアナログ、誘導体、および医薬的に許容される塩が挙げられる。 一実施態様において、治療上有効な量の式I、II、もしくはIIIの化合物は、骨粗鬆症、骨減少症、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症および骨折の中から選択される症状もしくは障害の治療のために、単独でまたは別の活性な剤と組み合わせて、哺乳動物に投与される。4. 前立腺疾患および前立腺癌 本明細書において提供される化合物は、前立腺疾患(例えば、前立腺癌および良性の前立腺肥大症(BPH))の治療のために用いることができる。一実施態様において、本明細書において提供される化合物は、雄個体の前立腺におけるアンドロゲン受容体の機能を遮断または阻害する(拮抗する)ことができる。 進行した前立腺癌において、標準的な治療はアンドロゲン受容体-遮断(通常はLHRHスーパーアゴニストと組み合わせて)であり、副腎および精巣テストステロンの両方を抑制する。このアプローチの論拠は、早期前立腺癌は通常、その増殖がアンドロゲンに依存していることである。臨床的に用いられる抗アンドロゲンのメカニズムは、ARへの結合および/またはDNAへのARの結合の妨害によるARの遮断を含むと考えられている。抗-アンドロゲン薬(アンドロゲン受容体アンタゴニスト)は、前立腺癌の治療に有効であることが示されている。例えば、フルタミド、ビカルタミドおよびニルタミドは、DNAへのARの結合を完全に遮断することが見いだされた。ビカルタミド(非ステロイド性抗アンドロゲン薬)は、前立腺癌の治療に用いられ、抗アンドロゲン薬としてのビカルタミドの特性および有用性は当分野において知られている(例えば、Furr et al., Urology 47 (Suppl. 1A): 13-25 (1996)、およびKolvenbag et al., Urology 47 (Suppl. 1A): 70-79 (1996)参照)。前立腺癌の治療に用いる抗アンドロゲン薬の他の例はフルタミドおよびニルタミドである(例えば、米国特許第7,018,993号参照)。これらの抗アンドロゲン薬の特性および有用性は当分野において知られている(例えば、Neri, J. Drug Develop. 1 (Suppl.): 5-9 (1987), Neri et al., Urology 34 (4 Suppl.): 19-21 and 46-56 (1989), Neri et al., J Steroid Biochem. 6(6): 815-819 (1975), Neri et al., Anticancer Res. 9(1): 13-16 (1989), Jackson et al., Anticancer Res. 27(3B): 1483-1488 (2007), Harris et al., Expert Opin Investig Drugs 10(3): 493-510 (2001), Shen et al., Endocrinology 141(5): 1699-1704 (2000), Harris et al., Drugs and Aging 3: 9-25 (1993)、および米国特許第7,241,753号参照)。前立腺癌の治療における化合物の有効性を決定するための動物モデルが当分野において知られている(例えば、米国特許第7,053,263号参照)。 ある特定の実施態様において、本明細書において提供される化合物および/または組成物は前立腺癌の治療に対して治療的に有効である。特定の場合において、前立腺癌はアンドロゲンに依存している。そのようなアンドロゲン依存性前立腺癌は典型的には、アンドロゲン受容体アンタゴニストおよび/またはアンドロゲン受容体部分アゴニストによる治療に従順である。ある特定の実施態様において、該前立腺癌はアンドロゲン依存性前立腺癌である。ある特定の実施態様において、該前立腺癌はアンドロゲン非依存性前立腺癌である。ある特定の実施態様において、該前立腺癌は、アンドロゲン非依存性であるが、アンドロゲン受容体依存性前立腺癌である。 いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は組織選択的ARモジュレーターである。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は組織選択的ARアンタゴニストである。骨および筋肉におけるアンタゴニスト作用を欠く、前立腺における組織選択的ARアンタゴニストは、単独でまたは従来のアンドロゲン欠乏療法の補助として前立腺癌の治療に対する有用な剤であることが、当分野において知られている(例えば、Stoch et al., J. Clin. Endocrin. Metab. 86: 2787-2791 (2001)参照)。従って、骨および筋肉におけるアンタゴニスト作用を欠く、前立腺における組織選択的ARアンタゴニストである、本明細書において提供される化合物は、単独でまたは従来のアンドロゲン欠乏療法の補助として前立腺癌の治療に対する有用な剤である。5. 造血系の症状および障害 造血は、造血幹細胞から分化した血液細胞(例えば、赤血球、BおよびTリンパ球、血小板、顆粒球、単球、ならびにマクロファージ)が生じる、定常プロセスである。多くの望ましくない造血系の症状が対象において生じ得る。これらには、血小板、赤血球、もしくは白血球の、不適切な産生または破壊の増大が含まれる。例えば、不適切な血小板もしくは血液細胞の産生または破壊は、再生不良性貧血、不応性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、免疫性血小板減少症、白血病、骨髄異形成および前白血病症候群、巨赤芽球性貧血および血小板欠乏、骨髄増殖性疾患ならびに尿毒症をもたらし得る。造血サイトカイン(例えばエリスロポエチン)は、血液細胞の分解と再構成の間の不均衡、または不適当な数のある特定の血液細胞の形成から生じる様々な疾患の治療に用いられている。 当分野において、アンドロゲンは、腎肥大およびエリスロポエチン(EPO)産生を刺激することが知られている。アンドロゲンは、慢性腎不全により引き起こされる貧血の治療に用いられている。さらに、アンドロゲンは、重症でない再生不良性貧血および骨髄異形成症候群である貧血患者において、血清EPOレベルを増大させる。従って、本明細書において提供される選択的アンドロゲンモジュレーター化合物は、ある特定の造血障害(再生不良性貧血、不応性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、免疫性血小板減少症、白血病、前白血病/骨髄異形成症候群、巨赤芽球性貧血および血小板欠乏、骨髄増殖性障害、ならびに尿毒症が含まれる)の治療に用いることができる。一実施態様において、式I、IIもしくはIIIの化合物は、対象における血液細胞(例えば、赤血球および血小板)を増大させるために用いられる。 6. 神経変性疾患および障害 本明細書に記載の化合物は、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)の治療において用いることができる。アンドロゲンおよび選択的アンドロゲン受容体モジュレーターは男性患者におけるアルツハイマー病の発症の予防または進行の遅延に有用であり得ることが教示されている(例えば、Fuller et al., J Alzheimer's Dis. 12(2): 129-142 (2007)参照)。アンドロゲン受容体アゴニストは神経変性疾患(例えばアルツハイマー病)の治療において治療的価値を有することが、当分野において知られている(例えば、Hammond et al., J. Neurochem. 77: 1319-1326 (2001)参照)。アンドロゲン受容体アゴニスト(例えばテストステロン)は、アルツハイマー病の特徴であるβ-アミロイドペプチドの分泌を減少させることが示されていることから、アルツハイマー病の治療において用いられ得る(Gouras et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA 97: 1202-1205 (2000))。アンドロゲン受容体アゴニストはアルツハイマー病の進行に関わるタンパク質の過剰リン酸化を阻害することも示されている(例えば、Papasozomenos, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 99: 1140-1145 (2002)参照)。研究により、apoE4は脳のARレベルを低下させることによってアルツハイマー病における認知機能低下の一因となること、ならびに、AR-依存的経路の刺激によりapoE4-誘導性認知障害が回復され得ることが示された(例えば、Raber et al., J Neurosci. 22(12): 5204-5209 (2002)参照)。従って、本明細書において提供される化合物は、アルツハイマー病および他の神経変性障害の治療に有用である。さらに、アンドロゲン受容体モジュレーターは認知機能障害の治療において有用であり得る(Pfankuch et al., Brain Res. 1053(1-2): 88-96 (2005)およびWisniewski, Horm. Res. 58: 150-155 (2002)参照)。研究により、加齢性のテストステロンレベル低下がうつ病に関連しており、テストステロンがうつ病の治療において有用であることが示された(例えば、Carnahan et al., Drugs Aging 21(6): 361-376 (2004)参照)。従って、本明細書において提供される化合物は、認知機能障害およびうつ病の治療において有用である。7. 肥満症 肥満症は、アンドロゲンの分泌、輸送、代謝、および作用における変化に関連している(とりわけ、体重の増加を伴ったテストステロンレベルの低下を示す肥満男性、および肥満女性(特に、腹部肥満症であり、機能性アンドロゲン過剰症の症状を示すもの))(例えば、Pasquali, Fertil Steril. 85(5): 1319-1340 (2006)参照)。当分野において、アンドロゲン投与は肥満患者において皮下および内臓脂肪を減少させることが示されている(例えば、Lovejoy et al., Int. J. Obesity 19: 614-624 (1995)、およびLovejoy et al., J. Clin. Endocrinol. Metab. 81: 2198- 2203 (1996)参照)。それ故に、本明細書において提供されるSARMは、肥満症の治療において有益であり得る。一実施態様において、ARアゴニストである本明細書において提供される化合物は、腹部肥満症である男性対象の治療に用いられる。一実施態様において、ARアゴニストである本明細書において提供される化合物は、腹部肥満症である女性対象の治療に用いられる。8. インスリン障害および糖尿病 in vivo研究により、アンドロゲン受容体はインスリン抵抗性の進行において鍵となる役割を担っており、2型糖尿病および循環器疾患の進行に寄与しうることが示された(例えば、Lin et al., Diabetes 54(6): 1717-1725 (2005)参照)。アンドロゲン受容体アゴニストもまた、とりわけ男性において、メタボリックシンドローム(インスリン抵抗性症候群、シンドロームX)に対する治療的価値を有し得る。男性における低レベルの総テストステロンおよび遊離テストステロンは、2型糖尿病、内蔵型肥満症、インスリン抵抗性(高インスリン血症、脂質異常症)、およびメタボリックシンドロームに関連しており(例えば、Laaksonen et al., 糖尿病 Care 27(5): 1036-1041 (2004), Marin et al., Obesity Res. 1(4): 245-251 (1993)、およびLaaksonen et al., Euro. J Endocrin 149: 601-608 (2003)参照)、女性においては、高アンドロゲンレベルとインスリン抵抗性の間に相関関係がある(例えば、Corbould, J Endocrinol. 192(3): 585-594 (2007)参照)。従って、本明細書において提供される化合物は、インスリン抵抗性およびII型糖尿病の治療に用いることができる。 9. 性機能低下 テストステロンは、性機能低下性患者における性機能低下の治療に用いられる(Yassin et al., World Journal of Urology 24: 6: 639 (2006)。女性におけるアンドロゲン欠乏症は、臨床的にしばしばリビドー減退および活力に関連することが当分野で知られている(例えば、Arlt, Eur J Endocrinol 154(1): 1-11 (2006)およびRivera-Woll et al., Human Reproduction Update 10(5): 421 (2004))。低アンドロゲンレベルは、後期生殖期(later reproductive year)の間の多くの女性における性的関心の低下に寄与することが示されている(Davis, Clin. Endocrinol. Metab. 84: 1886-1891 (1999))。臨床試験において、アンドロゲンDHEAにより治療された女性は、プラセボを与えられた女性に比べて、性的思考、関心、および満足の度合いの増大を示した(例えば、Arlt et al., N Engl. J. Med. 341: 1013-1020 (1999)、およびMiller, J. Clin. Endocrinol. Metab. 86: 2395-2401 (2001)参照)。男性におけるアンドロゲン欠乏症はリビドー減退に関連する(例えば、Fine, JAOA Supplement 1 Vol 104(1): S9-S15 (2004)参照)。勃起反応はアンドロゲンによって中枢的および末梢的に制御されていることが当分野において知られている。研究により、テストステロンによる治療は勃起のメカニズムに関与するペニスの組織にポジティブに影響すること、ならびに、テストステロン欠乏は解剖学的および生理学的な勃起能を傷害し、それはアンドロゲン補充により回復し得ることが示された(例えば、Gooren et al., Asian Journal of Andrology 8(1): 3-9 (2006)参照)。従って、本明細書において提供される化合物は、性機能低下の治療において有用であり得る。例えば、本明細書において提供される化合物は、性腺機能不全(hypogonadic)(アンドロゲン欠乏)男性におけるホルモン補充療法に有用である。 一実施態様において、本明細書において提供される化合物は、骨および/または筋組織におけるアンドロゲン受容体の機能の活性化、ならびに、雄個体の前立腺または雌個体の子宮におけるアンドロゲン受容体の機能の遮断もしくは阻害において有用である。 一実施態様において、本明細書において提供される化合物は、毛髪-生育皮膚(hair-growing skin)もしくは声帯に作用することなく、ARアゴニストにより誘導される雄個体の前立腺または雌個体の子宮におけるアンドロゲン受容体の機能の低下または遮断に用いられる。一実施態様において、本明細書において提供される化合物は、骨および/または筋組織においてアンドロゲン受容体の機能を活性化するのに用いられるが、血中脂質レベルを制御する器官(例えば、肝臓)においては用いられない。10. 関節炎症状および炎症性疾患 アンドロゲン受容体モジュレーターは、関節炎の症状もしくは炎症性の障害の治療において有用であることが当分野において知られている(例えば、Cutolo et al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 966: 131-142 (2002); Cutolo, Rheum Dis Clin North Am 26(4): 881-895 (2000); Bijlsma et al., Am J Reprod Immunol 28(34): 231-234 (1992); Jansson et al., Arthritis Rheum 44(9): 2168-2175 (2001); およびPurdie, Br Med Bull 56(3): 809-823 (2000)を参照、また、Merck Manual, 17th edition, pp. 449-451.も参照)。 本明細書において提供される化合物はまた、単独でまたは組み合わせて、関節炎の症状(例えば、ベーチェット病、滑液包炎、腱炎、CPPD沈着症、手根管症候群、エーラース・ダンロス症候群、線維筋痛症、痛風、感染性関節炎、炎症性腸疾患、若年性関節炎、エリテマトーデス、ライム病、マルファン症候群、筋炎、変形性関節症、骨形成不全症、骨壊死、多発性動脈炎、リウマチ性多発筋痛、乾癬性関節炎、レイノー現象、反射性交感神経性ジストロフィー、ライター症候群、関節リウマチ、強皮症およびシェーグレン症候群)の治療または予防に用いられる。本明細書において関節炎の症状の治療または予防の方法が提供され、該方法には、治療上有効な量の式I、IIもしくはIIIのいずれかの化合物を、関節炎の症状もしくは炎症性の障害の治療または予防に対して効果のある量で投与することが含まれる。一実施態様において、該方法は変形性関節症の治療または予防のためのものであり、該方法には、治療上有効な量の式I、IIもしくはIIIのいずれかの化合物を、変形性関節症の治療または予防に対して効果のある量で投与することが含まれる。11. 脂質プロファイルの改変 高用量のテストステロンおよび他のタンパク質同化ステロイドはコレステロールおよびHDLを低下させる能力を有し、それは大抵、60%、65%、70%、75%および80%より大きい。一実施態様において、式I、IIもしくはIIIの化合物は、総コレステロール、LDL、HDL、VLDL、および/またはトリグリセリドを低下させるのに用いられる。いくつかの実施態様において、式I、IIもしくはIIIの化合物の投与は、総コレステロール、LDL、VLDL、トリグリセリドおよび/またはHDLのレベルを低下させるために用いることができるが、LDL/HDL比は正常範囲のままである。12. 避妊 ホルモン避妊は当分野において公知である。例えば、ホルモン性の男性避妊方法は、通常はゴナドトロピンの抑制による精子形成抑制もしくは阻害を用いて、妊娠の保護を提供する(例えば、Pasqualotto et al., Rev Hosp Clin Fac Med Sao Paulo 58(5): 275-283 (2003), Ly et al., Hum Reprod. 20(6): 1733-1740 (2005)、およびBrady et al., Hum Reprod. 19(11): 2658-2667 (2004)参照)。これは、単独または他のアンドロゲン(例えば、19-ノルテストステロン、7α-メチル-19-ノルテストステロン(MENT)および5α-ジヒドロテストステロン)と組み合わせたアンドロゲン受容体モジュレーターの投与、あるいは抗アンドロゲンと組み合わせたテストステロンの投与により、達成され得る(例えば、Turner et al., J Clin Endocrinol Metab 88(10): 4659-4667 (2003)参照)。合成アンドロゲンを用いた女性における排卵のホルモン媒介抑制が当分野で知られているが、副作用(体重増加、高密度リポタンパク質コレステロールの低下、ならびに場合によっては、顔面の発毛およびざ瘡、が含まれる)のためにその使用は制限されている(例えば、Johnson, Clin Obstet Gynecol. 41: 405-421 (1998)、およびSulak, Am J Manag Care 11: S492-S497 (2005)参照)。本明細書において提供される、選択的アンドロゲン調節化合物は、ステロイド性アンドロゲンに関連する有害な副作用を最小限にすると同時に、避妊を提供するのに有用である。13. 閉経後の症状 閉経後の女性におけるテストステロンレベルの低下は、リビドー減退、性行為の減少、身体的健康感の低下、および疲労に関連する(例えば、Kingsberg, J Sex Med. 4 Suppl 3: 227-234 (2007)参照)。本明細書に記載の化合物は、中枢神経系においてアンドロゲンアゴニズムを示すことができ、血管運動性症状(vasomotor symptom)(例えば、のぼせ)、および他の閉経後の症状の治療に用いられ得て、活力を増大させることができる。アンドロゲンによる治療を受けた女性においてのぼせが減少することが当分野において明らかにされている(例えば、Notelovitz, Mayo Clin Proc. 79(4 Suppl): S8-S13 (2004)参照)。組織選択的ARアンタゴニストは、閉経後の女性における多嚢胞性卵巣症候群を治療することもできる(Eagleson et al., J. Clin. Endocrinol. Metab. 85: 4047-4052 (2000))。一実施態様において、式I、IIもしくはIIIの化合物は、女性対象における閉経後の症状を治療するのに用いられる。一実施態様において、閉経後の症状は、のぼせ、リビドー減退、健康感の低下および疲労の中から選択される。一実施態様において、式I、IIもしくはIIIの化合物は、女性対象におけるのぼせの治療に用いられる。一実施態様において、式I、IIもしくはIIIの化合物は、閉経後の女性対象における機能低下性性欲障害の治療に用いられる。E. 医薬組成物の製剤 式I、IIもしくはIIIの化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグは、他の治療薬との組み合わせとしてかまたは医薬組成物中として提供されうる。本明細書において提供される医薬組成物は、治療上有効な量の、1つ以上の本明細書において提供される選択的アンドロゲン受容体活性モジュレーター(これは、アンドロゲン受容体活性に関連する疾患もしくは障害の1つ以上の症候の、予防、治療、もしくは寛解に有用である)を含む。 該組成物は、1つ以上の本明細書において提供される化合物を含む。該組成物は、適切な医薬製剤、例えば、経口投与用の、液剤、懸濁剤、錠剤、分散性錠剤(dispersible tablet)、丸剤、カプセル剤、粉末、徐放性製剤もしくはエリキシル剤、または非経口投与用の、無菌の液剤もしくは懸濁剤、ならびに経皮パッチ製剤および乾燥粉末吸入器(dry powder inhaler)用に製剤化される。通常、上記の化合物は、当分野で周知の技法および方法を用いて医薬組成物に製剤化される(例えば、Ansel, Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 4th Edition (1985), 126参照)。 ある特定の実施態様において、1つ以上の本明細書において提供される化合物を含む医薬組成物は、公知の技法(限定はされないが、混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、粉末化、乳化、カプセル化、封入もしくは錠剤化プロセスが含まれる)を用いて製造される。 該組成物中において、有効な濃度の1つ以上の化合物または医薬的に許容される誘導体を、適切な医薬担体またはビヒクルと混合する。上記のとおり、該化合物は、対応する塩、エステル、エノールエーテルもしくはエノールエステル、酸、塩基、溶媒和物、水和物、またはプロドラッグとして誘導体化することができ、その後製剤化される。該組成物中の化合物の濃度は、投与後、アンドロゲン活性に関連するかアンドロゲン活性が関係する疾患または障害の1つ以上の症候を、治療、予防、もしくは寛解する量を送達するのに効果的である。 通常、該組成物は、単一用量投与用に製剤化される。選択したビヒクル中において、重量分率の化合物を有効な濃度で溶解、懸濁、分散、または混合させて組成物を製剤化し、それにより、処置した症状を軽減もしくは寛解させる。本明細書において提供される化合物の投与に適切な医薬担体もしくはビヒクルとしては、特定の投与様式に適していると当業者に知られているようないずれかの担体が挙げられる。 さらに、該化合物は、組成物中に唯一の医薬的に活性な成分として製剤化することができるか、あるいは他の活性成分と組み合わせることができる。組織標的リポソーム(例えば腫瘍標的リポソーム)を含むリポソーム懸濁剤もまた、医薬的に許容される担体として適切であり得る。これらは、当業者に公知の方法に従って製造することができる。例えば、リポソーム製剤は、米国特許第4,522,811号に記載の通り製造することができる。簡単に述べると、多重膜ベシクル(multilamellar vesicle)(MLV)といったリポソームは、フラスコの内部で卵黄ホスファチジルコリンおよび脳ホスファチジルセリン(7:3 モル比)を乾燥させることによって形成され得る。二価カチオンを欠くリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の本明細書において提供される化合物の溶液を加え、該フラスコを脂質薄膜が分散されるまで振盪させる。得られたベシクルを洗浄して封入されていない化合物を除去し、遠心分離により沈殿させ、その後PBSに再懸濁する。 本明細書において提供される化合物の1つ以上が、治療される対象において望ましくない副作用を生じずに治療的に有用な効果を発揮するのに十分な量で、医薬的に許容される担体中に含まれる。 医薬組成物中の1つ以上の本明細書において提供される化合物の濃度は、該化合物の吸収、不活性化および排出率、該化合物の物理化学的特徴、投与計画、投与される量、ならびに当業者に公知の他の因子に依存するであろう。本明細書に記載の通り、例えば、送達される量は、アンドロゲン活性に関連するかアンドロゲン活性が関係する疾患もしくは障害の1つ以上の症候を寛解するのに十分である。 本明細書において提供される化合物の有効な量は当業者により決定され得て、哺乳動物に対する用量の例としては1日当り約0.05から100 mg/kg体重の活性化合物が挙げられ、それは単一用量または個々に分割された用量(例えば1日当り1から4回)形態で投与することができる。いずれの特定の対象に対する具体的な用量レベルおよび投与頻度は変化させることができ、様々な因子(用いられる具体的な化合物の活性、該化合物の代謝安定性および活性期間、対象の種、年齢、体重、全般的健康、性別および食餌、投与の様式および時間、排出率、薬剤の組み合わせ、ならびに特定の症状の重篤度が含まれる)に依存しうることが理解されるであろう。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物の1日用量は、成人ヒト1日当り約0.01〜約1000 mgの広い範囲にわたって変化させることができる。例えば、用量は約0.1〜約200 mg/日であり得る。いくつかの実施態様において、該用量は0.2 mg〜20 mg/日の範囲であり得る。いくつかの実施態様において、該用量は0.5 mg〜10 mg/日の範囲であり得る。いくつかの実施態様において、該1日用量は、0.1 mg、0.25 mg、0.5 mg、0.75 mg、1 mg、1.25 mg、1.5 mg、1.75 mg、2 mg、2.25 mg、2.5 mg、2.75 mg、3 mg、3.25 mg、3.5 mg、3.75 mg、4 mg、4.25 mg、4.5 mg、4.75 mg、5 mg、5.25 mg、5.5 mg、5.75 mg、6 mg、6.25 mg、6.5 mg、6.75 mg、7 mg、7.25 mg、7.5 mg、7.75 mg、8 mg、8.25 mg、8.5 mg、8.75 mg、9 mg、9.25 mg、9.5 mg、9.75 mg、10 mgであり得る。経口投与において、該組成物は、治療対象に対する用量をその症候に合わせて調整するために、約0.01〜約1000 mg、例えば、0.01、0.05、0.075、0.1、0.25、0.5、0.75、1、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、50、75、100、125、150、175、180、190、200、225、250、300、400、500、750、800、850、900、950および1000 mgの活性成分を含有する錠剤、カプセル剤または液剤等の単位用量の形態で提供され得る。いくつかの実施態様において、該組成物は、治療対象に対する用量をその症候に合わせて調整するために、約0.01〜約1000 μg、例えば、0.01、0.05、0.075、0.1、0.25、0.5、0.75、1、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、50、75、100、125、150、175、180、190、200、225、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950および1000 μgの活性成分を含有する錠剤、カプセル剤、または液剤等の単位用量の形態で提供され得る。 1つ以上の本明細書において提供される化合物を含有する医薬組成物は1回で投与することができるか、あるいは複数の小用量に分割して時間の間隔を置いて投与することができる。的確な用量および治療期間は、治療される疾患に依存しており、公知の試験方法を用いて経験的に、またはin vivoもしくはin vitro試験データからの推定により決定することができることが理解される。また、濃度および用量の数値は、軽減される症状の重篤度に応じて変えることができることも留意するべきである。いずれの特定の対象に対する具体的な投与レジメンは、個体の要求および組成物の投与を管理もしくは監督する人の専門的な判断に従って時間をかけて調整されるべきであること、ならびに、本明細書に記載の濃度範囲は単なる例示であって、本明細書において提供される化合物、組成物、方法および他の対象の範囲または実施を制限することを意図するものではないこと、がさらに理解されるべきである。 医薬的に許容される誘導体には、酸、塩基、エノールエーテルおよびエノールエステル、塩、エステル、水和物、溶媒和物、ならびにプロドラッグ形態が含まれる。該誘導体は、その薬物動態学的特性が対応する中性化合物(neutral compound)よりも優れているように選択される。 従って、有効な濃度または量の1つ以上の本明細書に記載の化合物またはその医薬的に許容される誘導体もしくはプロドラッグを、全身的、外用的もしくは局所的投与用の適切な医薬担体またはビヒクルと混合して、医薬組成物を製造する。本明細書に記載の通り、1つ以上の本明細書において提供される化合物は、アンドロゲン受容体活性に関連するかアンドロゲン受容体活性が関係する疾患もしくは障害の、1つ以上の症候の寛解のため、または治療もしくは予防のために効果的な量で含まれる。組成物中における1つ以上の化合物の濃度は、該活性化合物の吸収、不活性化および排出率、投与計画、投与される量、具体的な剤形、ならびに当業者に公知の他の因子に依存しうる。 該組成物は、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、粉末または液剤(シロップ剤を含む)の形態で経口的に; 非経口的に、例えば、皮下、静脈内、筋肉内、とりわけ、胸骨内注射または注入技法(無菌の注射用の水性もしくは非-水性の液剤または懸濁剤として); 経鼻的に、例えば、吸入噴霧により; 外用で、例えばクリーム剤または軟膏剤の形態で; 直腸内に、例えば坐薬の形態で; リポソームで; および局所的にを含む適切な経路によって投与されることが意図される。該組成物は、液体、半-液体もしくは固体形態であることができ、各投与経路に適した方法で製剤化される。ある特定の実施態様において、製剤の投与には、非経口および経口の投与様式が含まれる。一実施態様において、該組成物は経口的に投与される。 ある特定の実施態様において、1つ以上の本明細書において提供される化合物を含有する本明細書において提供される医薬組成物は固体である(例えば、粉末、錠剤、および/またはカプセル剤)。そのような実施態様のある特定の場合において、1つ以上の本明細書において提供される化合物を含有する固体の医薬組成物は、当分野において公知の成分(限定はされないが、デンプン、糖、希釈剤、顆粒化剤、ガム、滑沢剤、結合剤、および崩壊剤が含まれる)を用いて製造される。 ある特定の実施態様において、1つ以上の本明細書において提供される化合物を含有する医薬組成物は、デポー製剤として製剤化される。ある特定のそのようなデポー製剤は、通常、非-デポー製剤よりも持続性である。ある特定の実施態様において、そのような製剤は、埋め込み(implantation)(例えば、皮下もしくは筋肉内)または筋肉内注射により投与される。ある特定の実施態様において、デポー製剤は、適切な重合体もしくは疎水性物質 (例えば、許容される油中のエマルジョン)またはイオン交換樹脂を用いて、難溶性の誘導体(例えば、難溶性の塩)として製造される ある特定の実施態様において、1つ以上の本明細書において提供される化合物を含有する医薬組成物にはデリバリーシステムが含まれる。デリバリーシステムの例としては、限定はされないが、リポソームおよびエマルジョンが挙げられる。ある特定のデリバリーシステムがある特定の医薬組成物(疎水性化合物を含有するものが含まれる)の製造に有用である。ある特定の実施態様において、ある特定の有機溶媒、例えばジメチルスルホキシドが用いられる。 ある特定の実施態様において、1つ以上の本明細書において提供される化合物(活性成分)を含有する医薬組成物には、特定の組織または細胞タイプに医薬組成物を送達するように設計された1つ以上の組織特異的送達分子が含まれる。例えば、ある特定の実施態様において、医薬組成物は組織特異的抗体でコーティングされたリポソームを含む。 ある特定の実施態様において、1つ以上の本明細書において提供される化合物を含有する医薬組成物には、共溶媒系が含まれる。ある特定のそのような共溶媒系には、例えば、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水-混和性有機ポリマー、および水相が含まれる。ある特定の実施態様において、そのような共溶媒系は疎水性化合物に対して用いられる。そのような共溶媒系の非限定的な例はVPD共溶媒系(3% w/v ベンジルアルコール、8% w/vの非極性界面活性剤 ポリソルベート 80(商標)、および65% w/v ポリエチレングリコール 300を含有する無水エタノール溶液である)である。そのような共溶媒系の比率は、それらの溶解性および毒性特性を顕著に変化させることなく、大幅に変化させることができる。さらに、共溶媒成分の固有性(identity)は多様であり得る: 例えば、他の界面活性剤をポリソルベート 80(商標)の代わりに用いることができ; ポリエチレングリコールのフラクションサイズを変えることができ;ポリエチレングリコールを他の生体適合性ポリマーに置き換えることができ(例えば、ポリビニルピロリドン); および、ブドウ糖を他の糖もしくは多糖で置換することができる。 ある特定の実施態様において、非経口用、皮内用、皮下用、または局所投与用に用いられる液剤もしくは懸濁剤は、以下の成分: 無菌の希釈剤、例えば、注射用水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒; 抗菌剤、例えばベンジルアルコールおよびメチルパラベン; 抗酸化剤、例えばアスコルビン酸および亜硫酸水素ナトリウム; キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA); バッファー、例えば、アセテート、シトレート、およびホスフェート; ならびに、浸透圧調節のための剤、例えば塩化ナトリウムまたはブドウ糖のいずれかを含み得る。非経口製剤は、ガラス、プラスチック、または他の適切な物質で作られた、アンプル、ディスポーサブルシリンジまたは単一もしくは複数用量バイアルに封入することができる。 化合物が不十分な溶解性を示す場合、化合物を可溶化する方法を用いることができる。そのような方法は当業者に公知であり、限定はされないが、共溶媒(例えばジメチルスルホキシド(DMSO))を用いること、界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン誘導体であるソルビタンモノラウレート(例えばTWEEN(登録商標))もしくはポリソルベート界面活性剤を含む界面活性剤)を用いること、または炭酸水素ナトリウム水溶液における溶解、が挙げられる。化合物の誘導体、例えば化合物のプロドラッグもまた、有効な医薬組成物の製剤化において用いることができる。 ある特定の実施態様において、1つ以上の本明細書において提供される化合物を含有する医薬組成物には、徐放性システムが含まれる。そのような徐放性システムの非限定的な例は、固体の疎水性ポリマーの半透性マトリックスである。ある特定の実施態様において、徐放性システムは、その化学的性質に依存して、数時間、数日、数週間もしくは数ヶ月にもわたって化合物を放出することができる。 ある特定の実施態様において、化合物の混合または添加後、得られた混合物を、溶液、懸濁液、またはエマルジョンにすることができる。得られた混合物の形態は、多くの因子(目的の投与様式および選択した担体もしくはビヒクルにおける化合物の溶解性が含まれる)に依存する。有効な濃度は、治療する疾患、障害、もしくは症状の寛解に十分なものであり、経験的に決定することができる。 医薬組成物は、適切な量の化合物またはその医薬的に許容される誘導体を含む単位用量形態(例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉末、顆粒剤、無菌の非経口の液剤もしくは懸濁剤、および経口の液剤もしくは懸濁剤、ならびに油-水エマルジョン)でヒトおよび動物に投与するために提供される。医薬的に活性な化合物およびその誘導体は、典型的には単位用量形態で、製剤化および投与される。 該組成物は、1つ以上の本明細書において提供される化合物に加えて、他の成分、例えば、限定はされないが、ラクトース、スクロース、第二リン酸カルシウム、またはカルボキシメチルセルロースといった希釈剤; ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびタルクといった滑沢剤; さらに、デンプン、天然ガム(例えばアカシアガム)、ゼラチン、グルコース、モラセス、ポリビニルピロリドン、セルロースおよびそれらの誘導体、ポビドン、クロスポビドン、ならびに他の当業者に公知のような結合剤といった結合剤を含むことができる。液体の医薬的に投与可能な組成物は、例えば、担体(例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖溶液、グリセロール、グリコールおよびエタノール)中で、上記の活性化合物と適宜の医薬アジュバントを溶解、分散、もしくは混合することにより製造され得て、そのようにして液剤または懸濁剤を製造することができる。所望であれば、投与される医薬組成物はまた、少量の無毒の補助物質(例えば、湿潤剤、乳化剤、もしくは可溶化剤)、pH緩衝剤(例えば、アセテートもしくはクエン酸ナトリウム)、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンナトリウムアセテート、またはトリエタノールアミンオレエートを含むことができる。そのような剤形の実際の製造方法は、当業者に公知であるか、あるいは明らかであろう; 例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 15th edition (1975)参照。投与される組成物または製剤は、いずれの場合でも、治療対象の症候を軽減するのに十分な量の活性化合物を含むであろう。 剤形または組成物は、無毒の担体から構成される平衡を保って、1つ以上の本明細書において提供される化合物を0.005%から100%の範囲で含むように製造され得る。経口投与に対して、医薬的に許容される無毒の組成物は、通常用いられる賦形剤(例えば、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルカム、セルロース誘導体、クロスカルメロースナトリウム(sodium croscarmellose)、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムまたはサッカリンナトリウムの医薬品グレード)のいずれかを取り込むことにより製造される。そのような組成物には、液剤、懸濁剤、錠剤、カプセル剤、粉末、ならびに徐放性製剤(例えば、限定はされないが、埋め込みおよびマイクロカプセル化デリバリーシステム、ならびに生分解性の生体適合性ポリマー(例えば、コラーゲン、エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル(polyorthoester)、ポリ乳酸およびその他のもの))が含まれる。これらの組成物の製造方法は当業者に公知である。該目的の組成物は、0.001%〜100%の活性成分(一実施態様においては0.1〜85%、別の実施態様においては75〜95%)を含むことができる。いくつかの実施態様において、該組成物は1〜10%の活性成分を含む。いくつかの実施態様において、該組成物は10〜25%の活性成分を含む。いくつかの実施態様において、該組成物は15〜35%の活性成分を含む。いくつかの実施態様において、該組成物は40〜60%の活性成分を含む。いくつかの実施態様において、該組成物は50〜75%の活性成分を含む。いくつかの実施態様において、該活性成分は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、 72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%で存在する。 ある特定の実施態様において、該化合物は、速放または徐放に適した形態で投与され得る。速放または徐放は、適切な医薬組成物を用いてか、またはとりわけ徐放の場合には、皮下埋め込みもしくは浸透圧ポンプといったデバイスを用いて、達成され得る。局所投与用の組成物の例としては、ポリエチレンでゲル化した鉱物油(例えば、プラスチベース(登録商標))といった局所担体が挙げられる。 ある特定の実施態様において、該医薬組成物に用いられる本明細書において提供される化合物は、医薬的に適合性の対イオンを有する医薬的に許容される塩として提供され得る。 医薬的に適合する塩は、多くの酸(限定はされないが、塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、アスコルビン酸、ブタン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸および吉草酸が含まれる)により形成され得る。 ある特定の実施態様において、該医薬組成物は、1つ以上の本明細書において提供される化合物を治療上有効な量で含む。ある特定の実施態様において、該治療上有効な量は、疾患を予防、軽減、もしくはその症候を寛解するために、または治療を受ける対象の生存時間を延長するために十分なものである。治療上有効な量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。 組成物は、望ましい特性の組み合わせを得るために、1つ以上の本明細書において提供される化合物に加えて他の活性化合物を含むことができる。また、本明細書において提供される化合物または本明細書に記載のその医薬的に許容される誘導体もしくはプロドラッグは、上記の疾患もしくは病状(例えば、アンドロゲン受容体活性に関連するかアンドロゲン受容体活性が関係する疾患もしくは障害)の1つ以上の治療において価値があることが一般分野において知られている別の薬剤と一緒に、治療もしくは予防目的のために有利に投与され得る。そのような組み合わせ療法は本明細書において提供される組成物および治療方法のさらなる態様を構成することが理解される。 ある特定の実施態様において、1つ以上の本明細書において提供される化合物を含有する医薬組成物はプロドラッグとして製剤化される。ある特定の実施態様において、プロドラッグは、対応する活性形態よりも投与しやすいので、有用である。例えば、ある特定の場合において、プロドラッグは、対応する活性形態よりも生物学的に利用可能(例えば、経口投与を通して)であり得る。特定の場合において、プロドラッグは対応する活性形態と比べて改善された溶解性を有し得る。ある特定の実施態様において、プロドラッグはエステルである。ある特定の実施態様において、そのようなプロドラッグは対応する活性形態よりも低い水溶性である。特定の場合において、そのようなプロドラッグは、細胞膜(水溶性が移動性にとって弊害となる)を介する優れた伝達を有する。ある特定の実施態様において、そのようなプロドラッグにおけるエステルは、カルボン酸へと代謝的に加水分解される。ある特定の実施態様において、プロドラッグは酸性基に結合した短いペプチド(ポリアミノ酸)を含む。そのような実施態様のある特定の場合において、該ペプチドは代謝されて、対応する活性形態を形成する。 ある特定の実施態様において、1つ以上の本明細書において提供される化合物を含有する医薬組成物は、哺乳動物における(とりわけ、ヒト対象における)症状または障害の治療に有用である。適切な投与経路には、限定はされないが、経口、直腸内、経粘膜的、腸管内、経腸的、局所的(外用)、坐薬、吸入を介して、くも膜下腔内(intrathecal)、脳室内(intraventricular)、腹腔内、鼻腔内、眼内、および非経口(例えば、静脈内、筋肉内、髄内、および皮下)が含まれる。ある特定の実施態様において、医薬組成物は、全身的曝露よりむしろ局所的曝露を達成するように投与される。例えば、医薬組成物は、望ましい作用の領域において(例えば、腎臓または心臓の領域において)直接的に注入され得る。医薬組成物が局所的に投与される、ある特定の実施態様において、該投与レジメンは、本明細書において提供される化合物の望ましい局所濃度が得られるように調整される。 ある特定の実施態様において、1つ以上の本明細書において提供される化合物を含有する医薬組成物は、用量単位の形態(例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、注射剤、ボーラス剤)で投与される。ある特定の実施態様において、そのような用量単位は、本明細書において提供される選択的アンドロゲン受容体モジュレーターを約0.01 μg/kg体重〜約50 mg/kg体重の用量で含む。ある特定の実施態様において、そのような用量単位は、選択的アンドロゲン受容体モジュレーターを約0.05 μg/kg体重〜約40 mg/kg体重の用量で含む。ある特定の実施態様において、そのような用量単位は選択的アンドロゲン受容体モジュレーターを、約0.1 μg/kg体重〜約30 mg/kg体重の用量で含む。ある特定の実施態様において、そのような用量単位は選択的アンドロゲン受容体モジュレーターを、約0.5 μg/kg体重〜約25 mg/kg体重の用量で含む。ある特定の実施態様において、そのような用量単位は選択的アンドロゲン受容体モジュレーターを、約1 μg/kg体重〜約20 mg/kg体重の用量で含む。ある特定の実施態様において、そのような用量単位は選択的アンドロゲン受容体モジュレーターを、約2 μg/kg体重〜約15 mg/kg体重の用量で含む。ある特定の実施態様において、そのような用量単位は選択的アンドロゲン受容体モジュレーターを、約10 μg/kg体重〜約5 mg/kg体重の用量で含む。ある特定の実施態様において、そのような用量単位は本明細書において提供される選択的アンドロゲン受容体モジュレーターを、約0.01 mg/kg体重〜約1 mg/kg体重の用量で含む。ある特定の実施態様において、そのような用量単位は選択的アンドロゲン受容体モジュレーターを、約0.05 mg/kg体重〜約0.1 mg/kg体重の用量で含む。 ある特定の実施態様において、そのような用量単位は選択的アンドロゲン受容体モジュレーターを、約0.001 μg/kg体重〜約100 μg/kg体重の用量で含む。ある特定の実施態様において、そのような用量単位は選択的アンドロゲン受容体モジュレーターを、約0.01 μg/kg体重〜約10 μg/kg体重の用量で含む。ある特定の実施態様において、そのような用量単位は選択的アンドロゲン受容体モジュレーターを、約0.1 μg/kg体重〜約1 μg/kg体重の用量で含む。成人の体重のおおよその平均は、70 kgである。従って、成人の平均体重において、0.1 μg/kg体重の用量は7 μgに等しく、1 μg/kg体重の用量は70 μgに等しく、10 μg/kg体重の用量は700 μgまたは0.7 mgに等しく、そして、0.1 mg/kg体重の用量は7 mgに等しい。 ある特定の実施態様において、医薬組成物は、必要に応じて、1日当り1回、1日当り2回、1日当り3回、または1日当り4回以上、投与される。具体的な用量、頻度、および投与期間は、多くの因子(限定はされないが、望ましい生物学的活性、対象の症状、および医薬組成物に対する耐性が含まれる)に依存することが当業者によって認識される。 ある特定の実施態様において、本明細書において提供される医薬組成物は、持続的療法の間、投与される。例えば、本明細書において提供される医薬組成物は、数日、数週間、数ヶ月、または数年にわたって投与することができる。 投与量、投与間隔、および治療期間は、目的の効果が得られるように調整することができる。ある特定の実施態様において、投与量および投与間隔は、対象において化合物の目的の濃度が維持されるように調整される。例えば、ある特定の実施態様において、投与量および投与間隔は、目的の効果を得るのに十分な量の本明細書において提供される化合物の血漿濃度が得られるように調整される。そのような実施態様のある特定の場合において、血漿濃度は最小有効濃度(MEC)以上が維持される。ある特定の実施態様において、本明細書において提供される医薬組成物は、期間の10〜90%、期間の30〜90%、または期間の50〜90%の間、MEC以上の濃度を維持するように設計された投与レジメンで投与される。1. 経口投与用組成物 ある特定の実施態様において、経口医薬剤形は、固体、ゲル、または液体のいずれかである。該固体剤形は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、および原末である。経口錠剤のタイプには、腸溶コーティング、糖衣コーティング、もしくはフィルムコーティングされ得る、圧縮された、チュアブルトローチ剤および錠剤が含まれる。カプセル剤は硬質もしくは軟質ゼラチンカプセル剤であることができ、一方、顆粒剤および粉末は、当業者に公知の他の成分との組み合わせを有する非発泡性または発泡性形態で提供され得る。 ある特定の実施態様において、該製剤は固体剤形、例えばカプセル剤または錠剤である。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤および他の固体剤形は、以下の成分のいずれか、または同様の性質の化合物を含み得る: 結合剤; 希釈剤; 崩壊剤; 滑沢剤; 流動促進剤; 甘味剤; および着香剤。 ある特定の実施態様において、経口投与用の医薬組成物は、ゼラチンで作られた押し込み型カプセル剤である。ある特定のそのような押し込み型カプセル剤は、1つ以上の本明細書において提供される化合物を、1つ以上の増量剤(例えばラクトース)、結合剤(例えばデンプン)、および/または滑沢剤(例えば、タルクもしくはステアリン酸マグネシウム)ならびに、適宜、安定化剤と混合して含む。ある特定の実施態様において、経口投与用の医薬組成物は、ゼラチンおよび可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトール)で作られた、軟質の、密封カプセル剤である。ある特定の軟質カプセル剤において、提供される1つ以上の化合物は、適切な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィンまたは液体ポリエチレングリコール)中に溶解または懸濁されている。さらに、安定化剤を加えることもできる。 ある特定の実施態様において、医薬組成物はバッカル投与のために製造される。ある特定のそのような医薬組成物は、従来の方法で製剤化された錠剤またはトローチ剤である。いくつかの実施態様において、該組成物は、可溶性フィルム、例えばプルランで作られたものまたは当分野で記載されるもの(例えば、米国特許第6,596,298号、第7,067,116号、第7,182,964号および第7,241,411号)として製剤化される。 本明細書において提供される組成物において用いられる結合剤の例には、微結晶セルロース、トラガントガム、グルコース溶液、アラビアガム、ゼラチン溶液、スクロースおよびデンプン糊が含まれる。滑沢剤には、タルク、デンプン、マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウム、石松子およびステアリン酸が含まれる。希釈剤には、例えば、ラクトース、スクロース、デンプン、カオリン、塩、マンニトールおよび第二リン酸カルシウムが含まれる。流動促進剤には、限定はされないが、コロイド状二酸化ケイ素が含まれる。崩壊剤には、クロスカルメロースナトリウム、グリコール酸デンプンナトリウム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、ベントナイト、メチルセルロース、寒天およびカルボキシメチルセルロースが含まれる。着色剤には、例えば、許可認定水溶性FDおよびC色素、それらの混合物; ならびにアルミナ水和物(alumina hydrate)上に懸濁された水不溶性FDおよびC色素のいずれかが含まれる。甘味剤には、スクロース、ラクトース、マンニトール、キシリトールおよび人工甘味剤(例えばサッカリン)が含まれる。着香剤には、植物(例えば果物)から抽出された天然の着香剤、および心地良い感覚をもたらす化合物の合成混合物、例えば、限定はされないが、ペパーミントおよびサリチル酸メチル、ならびに噴霧乾燥された天然および人工着香剤、が含まれる。湿潤剤には、モノステアリン酸プロピレングリコール、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレート、およびポリオキシエチレンラウリンエーテル(polyoxyethylene laural ether)が含まれる。催吐コーティングには、脂肪酸、脂肪、ワックス、シェラック、アンモニア処理した(ammoniated)シェラックおよび酢酸フタル酸セルロースが含まれる。フィルムコーティングには、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000および酢酸フタル酸セルロースが含まれる。 経口投与が望ましい場合、該化合物は、胃の酸性環境からそれを保護する組成物で提供され得る。例えば、該組成物は、胃においてその完全性を維持し、腸において活性化合物を放出する、腸溶コーティングで製剤化され得る。該組成物はまた、制酸剤または他のそのような成分と組み合わせて製剤化され得る。 用量単位形態がカプセル剤である場合、上記のタイプの物質に加えて、液体担体(例えば脂肪油)を含むことができる。さらに、用量単位形態は、該用量単位の物理的形状を修飾する様々な他の物質(例えば、糖および他の腸溶性剤のコーティング)を含むことができる。該化合物はまた、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウェハー(wafer)、粒状物(sprinkle)またはチューインガムの成分として投与することもできる。シロップ剤は、該活性化合物に加えて、甘味剤としてのスクロース、ある特定の保存剤、色素および着色剤ならびに着香剤を含むことができる。 活性物質を、目的の作用を損なわない他の活性物質か、または目的の作用を補う物質(例えば制酸剤、H2ブロッカー(酸抑制剤(acid reducer))、および利尿剤)と混合することもできる。 錠剤に含まれる医薬的に許容される担体は、結合剤、滑沢剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、着香剤、および湿潤剤である。腸溶コーティング錠剤は、その腸溶コーティングのおかげで、胃酸に抵抗し、中性もしくはアルカリ性の腸の中で溶解または崩壊する。糖衣錠は、医薬的に許容される物質の異なる層が塗布されている圧縮錠である。フィルムコート錠はポリマーまたは他の適切なコーティングで被覆されている圧縮錠である。多重圧縮錠(Multiple compressed tablet)は、前述の医薬的に許容される物質を用いて2以上の圧縮サイクルにより製造された圧縮錠である。着色剤を上記剤形において用いることもできる。着香剤および甘味剤が、圧縮錠、糖衣錠、多重圧縮錠およびチュアブル錠において用いられる。着香剤および甘味剤は、チュアブル錠およびトローチ剤の製剤化において特に有用である。 液体経口剤形には、水性液剤、エマルジョン剤、懸濁剤、非発泡性顆粒剤から再構成された液剤および/または懸濁剤、ならびに発泡性顆粒剤から再構成された発泡性製剤が含まれる。水性液剤には、例えば、エリキシル剤およびシロップ剤が含まれる。エマルジョン剤は、油中水型または水中油型のいずれかである。 エリキシル剤は、澄明で、甘味の、含水アルコール製剤である。エリキシル剤に用いられる医薬的に許容される担体には溶媒が含まれる。シロップ剤は、糖(例えば、スクロース)の濃縮水溶液であり、保存剤を含み得る。エマルジョン剤は、ある液体が別の液体全体にわたって小球の形態で分散している二相系である。エマルジョン剤に用いられる医薬的に許容される担体は、非水性液体、乳化剤および保存剤である。懸濁剤には、医薬的に許容される懸濁化剤および保存剤が用いられる。液体経口剤形に再構成される非発泡性顆粒剤に用いられる医薬的に許容される物質には、希釈剤、甘味剤および湿潤剤が含まれる。液体経口剤形に再構成される発泡性顆粒剤に用いられる医薬的に許容される物質には、有機酸および二酸化炭素源が含まれる。着色剤および着香剤が、上記の全ての剤形において用いられる。 溶媒には、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコールおよびシロップが含まれる。保存剤の例としては、グリセリン、メチルおよびプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ならびにアルコールが挙げられる。エマルジョン剤に用いられる非水性液体の例としては、鉱物油および綿実油が挙げられる。乳化剤の例としては、ゼラチン、アラビアガム、トラガントガム、キサンタンガム、アルギン酸プロピレングリコール、ベントナイト、および界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)が挙げられる。懸濁化剤としては、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガント、ビーガム(Veegum)およびアラビアガムが挙げられる。希釈剤としては、ラクトースおよびスクロースが挙げられる。甘味剤としては、スクロース、シロップ、グリセリンおよび人工甘味剤(例えばサッカリン)が挙げられる。湿潤剤としては、モノステアリン酸プロピレングリコール、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレートおよびポリオキシエチレンラウリンエーテルが挙げられる。有機酸としては、クエン酸および酒石酸が挙げられる。二酸化炭素源としては、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが挙げられる。着色剤としては、許可認定水溶性FDおよびC色素、ならびにそれらの混合物のいずれかが挙げられる。着香剤としては、植物(例えば果物)から抽出した天然の着香剤、および心地良い味覚をもたらす化合物の合成混合物が挙げられる。 固体剤形において、例えば、炭酸プロピレン、植物油またはトリグリセリド中の溶液または懸濁液を、ゼラチンカプセルに封入することができる。そのような溶液、ならびにその製造およびカプセル封入が、米国特許第4,328,245号; 第4,409,239号; および第4,410,545号に記載されている。液体剤形において、例えばポリエチレングリコール中の溶液を、十分な量の医薬的に許容される液体担体(例えば、水)で希釈し、投与のために計量しやすくすることができる。 別法として、液体もしくは半固体経口製剤は、該活性化合物または塩を、植物油、グリコール、トリグリセリド、プロピレングリコールエステル(例えば、炭酸プロピレン)および他のそのような担体中に溶解または分散させ、これらの溶液または懸濁液を硬質または軟質ゼラチンカプセル殻に封入することによって、製造され得る。他の有用な製剤としては、米国特許第Re28,819号および第4,358,603号に記載のものが挙げられる。簡単に述べると、そのような製剤には、限定はされないが、本明細書において提供される化合物、ジアルキル化モノ-もしくはポリ-アルキレングリコール(限定はされないが、1,2-ジメトキシ-メタン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ポリエチレングリコール-350-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-550-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-750-ジメチルエーテル(ここで、350、550および750はポリエチレングリコールのおおよその平均分子量を示す)が含まれる)、および1つ以上の抗酸化剤(例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、チオジプロピオン酸ならびにそのエステルおよびジチオカルバメート)を含むものが挙げられる。 他の製剤には、限定はされないが、医薬的に許容されるアセタールを含有する水性アルコール溶液が含まれる。これらの製剤に用いられるアルコールは、1つ以上のヒドロキシル基を有するいずれの医薬的に許容される水-混和性溶媒(限定はされないが、プロピレングリコールおよびエタノールが含まれる)である。アセタールには、限定はされないが、低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタール(例えば、アセトアルデヒドジエチルアセタール)が含まれる。 全ての実施態様において、錠剤およびカプセル剤は、活性成分の溶出を改変もしくは持続させるように、当業者に公知である通りコーティングされ得る。従って、例えばそれらは、腸管で消化される通常のコーティング(例えば、サリチル酸フェニル、ワックスおよび酢酸フタル酸セルロース)を用いてコーティングされ得る。 組成物の例には、速溶性希釈剤、例えばマンニトール、ラクトース、スクロース、および/またはシクロデキストリンが含まれ得る。高分子量賦形剤、例えば、セルロースおよび微結晶セルロース(AVICEL(登録商標))またはポリエチレングリコール(PEG); 粘膜付着を助ける賦形剤、例えばヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(SCMC)、および/または無水マレイン酸共重合体(例えば、GANTREZ(登録商標)); および放出を制御するための剤、例えばポリアクリル酸共重合体(polyacrylic copolymer)(例えば、CARBOPOL 934(登録商標))もまた、そのような製剤に含まれ得る。滑沢剤、流動促進剤、着香剤、着色剤および安定化剤もまた、製造および使用を容易にするために加えることができる。 そのような実施態様のある特定の場合において、経口投与用の医薬組成物は、1つ以上の本明細書において提供される化合物と1つ以上の医薬的に許容される担体を合わせることによって製剤化される。ある特定のそのような担体は、本明細書において提供される化合物を、例えば錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤および懸濁剤のような、対象による経口摂取のための剤形に製剤化することができる。ある特定の実施態様において、経口使用のための医薬組成物は、1つ以上の本明細書において提供される化合物と1つ以上の固体の賦形剤を混合することにより得られる。適切な賦形剤には、限定はされないが、増量剤、例えば糖(ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールが含まれる); セルロース製剤、例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)、が含まれる。ある特定の実施態様において、そのような混合物は適宜砕かれ、助剤が適宜加えられる。ある特定の実施態様において、医薬組成物は、錠剤もしくは糖衣錠コアを得るために形成される。ある特定の実施態様において、崩壊剤(例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(例えばアルギン酸ナトリウム))が加えられる。 ある特定の実施態様において、糖衣錠コアはコーティングを施される。そのような実施態様のある特定の場合において、適宜、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒または溶媒混合物を含み得る濃縮糖溶液を用いることができる。染料または色素を、錠剤または糖衣錠コーティングに加えることができる。 ある特定の実施態様において、対象に対する1日の投与レジメンは、本明細書において提供される化合物の量が0.1 μgから2000 mgである経口用量を含む。ある特定の実施態様において、対象に対する1日の投与レジメンは、本明細書において提供される化合物の量が1 μgから500 mgである経口用量を含む。ある特定の実施態様において、対象に対する1日の投与レジメンは、本明細書において提供される化合物の量が10 μgから100 mgである経口用量を含む。ある特定の実施態様において、対象に対する1日の投与レジメンは、本明細書において提供される化合物の量が0.01、0.05、0.075、0.1、0.25、0.5、0.75、1、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、50、75、100、125、150、175、180、190、200、225、250、300、400、500、750、800、850、900、950および1000 mgの中から選択される経口用量を含む。ある特定の実施態様において、1日の投与レジメンは、単一の1日用量として投与される。ある特定の実施態様において、1日の投与レジメンは、2、3、4以上の用量として投与される。2. 注射剤、液剤およびエマルジョン剤 ある特定の実施態様において、医薬組成物は経粘膜的投与用に製造される。そのような実施態様のある特定の場合において、透過すべきバリアに適した浸透剤が製剤に用いられる。そのような浸透剤は通常、当分野において公知である。 一般に、皮下、筋肉内または静脈内のいずれかの注入により特徴づけられる非経口投与もまた、本明細書において意図される。注射剤は、溶液もしくは懸濁液、注射前に液体中において溶液もしくは懸濁液とするのに適切な固体形態としてか、またはエマルジョンとしてのいずれかの、通常の形態で製造され得る。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖、グリセロール、マンニトール、1,3-ブタンジオール、リンゲル溶液、等張塩化ナトリウム溶液、またはエタノールである。さらに、所望であれば、投与される医薬組成物は、少量の無毒の補助物質(例えば、湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤、安定化剤、 溶解性増強剤)、および他のそのような剤(例えば、モノ-もしくはジグリセリド、脂肪酸(例えば、オレイン酸、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン)、およびシクロデキストリン))を含むこともできる。一定の投与レベルが維持されるような持続放出もしくは徐放性システムの埋め込み(例えば、米国特許第3,710,795号参照)もまた本明細書において意図される。簡単に述べると、本明細書において提供される化合物は、固体の内部マトリックス、例えば、ポリメチル-メタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化もしくは非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレン-テレフタラート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、シリコンゴム、ポリジメチル-シロキサン、シリコンカーボネート共重合体、親水性ポリマー(例えば、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのヒドロゲル)、コラーゲン、架橋 ポリビニルアルコールならびに架橋され部分的に加水分解されたポリ酢ビニル、の中に分散され、外側の高分子膜、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、シリコンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルとの塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレン、イオノマーポリエチレンテレフタラート、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコール共重合体、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、ならびにエチレン/ビニルオキシ-エタノール共重合体(体液中に不溶性である)中に分散されている。該化合物は、放出速度制御段階において外側の高分子膜を通して拡散する。そのような非経口の組成物中に含まれる活性化合物の割合は、その具体的な性質ならびに該化合物の活性、および対象のニーズに大きく依存する。 該組成物の非経口投与には、静脈内、皮下および筋肉内投与が含まれる。非経口投与用の製剤には、注入に使用可能な無菌溶液、使用直前に溶媒と合わせて使用可能な凍結乾燥粉末などの無菌乾燥可溶性産物(皮下(hypodermic)錠剤が含まれる)、注入に使用可能な無菌懸濁液、使用直前にビヒクルと合わせて使用可能な無菌乾燥不溶性産物、および無菌エマルジョンが含まれる。該溶液は水性または非水性のいずれかであり得る。 静脈内に投与される場合、適切な担体としては、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ならびに増粘剤および可溶化剤(例えば、グルコース、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコール、ならびにそれらの混合物)を含む溶液が挙げられる。 非経口の製剤において用いられる医薬的に許容される担体には、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張化剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁化剤および分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤またはキレート剤、ならびに他の医薬的に許容される物質が含まれる。 水性ビヒクルの例としては、塩化ナトリウム注射剤、リンゲル注射剤、等張ブドウ糖注射剤、無菌水注射剤、ブドウ糖および乳酸リンゲル注射剤が挙げられる。非水性非経口ビヒクルとしては、植物性の不揮発性油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油およびピーナッツ油が挙げられる。静菌または静真菌濃度の抗菌剤を複数用量容器に入れた非経口製剤に加えねばならず、それには、フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、ならびに塩化ベンゼトニウムが挙げられる。等張化剤としては、塩化ナトリウムおよびブドウ糖が挙げられる。緩衝剤としては、ホスフェートおよびシトレートが挙げられる。抗酸化剤としては、硫酸水素ナトリウムが挙げられる。局所麻酔剤としては、プロカイン塩酸塩が挙げられる。懸濁化剤および分散剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンが挙げられる。乳化剤としては、ポリソルベート 80(TWEEN(登録商標) 80)が挙げられる。金属イオン封鎖剤または金属イオンのキレート剤としては、EDTAが挙げられる。医薬担体として、水混和性ビヒクルについてはエチルアルコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコール、ならびにpH調整については水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸が挙げられる。 医薬的に活性な化合物の濃度は、目的の薬理学的効果を得るための有効な量が注入により与えられるように調整される。正確な用量は、当分野で知られているように、対象または動物の年齢、体重および状態に依存する。 単位用量の非経口製剤は、アンプル、バイアルまたは針付きシリンジに入れられる。非経口投与用の全ての製剤は、当分野において公知であり実施されているように、無菌でなくてはならない。 例として、活性化合物を含有する無菌の水性液剤の静脈内または動脈内注入が、効果的な投与様式である。別の実施態様は、目的の薬理学的効果が得られるように必要に応じて注入される、活性物質を含有する無菌の水性または油性の液剤もしくは懸濁剤である。 注射剤は、局所および全身投与のために設計される。典型的な治療上有効な用量は、治療される組織に対する活性化合物を少なくとも約0.1% w/wから最大約90% w/w以上(いくつかの実施態様においては1% w/w以上)の濃度で含むように製剤化される。該活性成分は、1回で投与され得るか、あるいはいくつかのより小さな用量に分割されて時間間隔を置いて投与され得る。的確な用量および治療期間は、治療される組織に依存しており、公知の試験方法を用いて経験的に、またはin vivoもしくはin vitro試験データからの推定により決定することができる。濃度および用量の数値も、治療される個体の年齢に応じて変化させることができることに留意するべきである。いずれの特定の対象に対する具体的な投与レジメンは、個体の要求および製剤の投与を管理もしくは監督する人の専門的な判断に従って時間をかけて調整されるべきであること、ならびに、本明細書に記載の濃度範囲は単なる例示であって本明細書において提供される製剤の範囲または実施を制限することを意図するものではないこと、がさらに理解されるべきである。 化合物は、いずれの適切なビヒクル中または形態で製剤化され得る。例えば、それらは微粒子化形態もしくは他の適切な形態であることができ、および/または、より高い溶解性の活性な産物を得るためにか、プロドラッグを得るためにか、もしくは他の目的のために誘導体化され得る。得られた混合物の形態は、多くの因子(例えば、目的の投与様式、および選択された担体もしくはビヒクル中における化合物の溶解性が含まれる)に依存する。有効な濃度は、症状の寛解に十分なものであり、経験的に決定することができる。 ある特定の実施態様において、医薬組成物が注入による投与のために製造される(ここで該医薬組成物は、担体を含み、水性液剤、例えば、水または生理的に適合するバッファー(例えば、ハンクス液、リンゲル溶液、もしくは生理食塩水バッファー)に製剤化される)。ある特定の実施態様において、他の成分(例えば、溶解性を助けるかまたは保存剤として働く成分)が含まれる。ある特定の実施態様において、注入用懸濁剤は、適当な液体担体および/または懸濁剤を用いて製造される。ある特定の注入用医薬組成物は、単位用量形態で、例えばアンプルまたは複数用量容器中に提供される。ある特定の注入用医薬組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤もしくはエマルジョン剤であり、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤といった製剤用の剤(formulatory agent)を含み得る。注入用医薬組成物における使用に適切なある特定の溶媒としては、限定はされないが、親油性溶媒ならびに脂肪油、例えば、ゴマ油、合成脂肪酸エステル(例えばオレイン酸エチルもしくはトリグリセリド)、およびリポソームが挙げられる。水性の注入用懸濁剤は、懸濁剤の粘性を高める物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含み得る。適宜、そのような懸濁剤は、適切な安定化剤、または化合物の溶解性を高めて高濃度溶液の製造を可能にする剤を含み得る。 ある特定の実施態様において、医薬組成物は吸入による投与のために製造される。ある特定のそのような吸入用医薬組成物は、加圧型容器またはネブライザー中にエアロゾルスプレーの形態で製造される。ある特定のそのような医薬組成物は、噴霧剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガスを含む。加圧エアロゾルを用いたある特定の実施態様において、用量単位は、一定量を送達するバルブにより決定され得る。ある特定の実施態様において、インへラーまたはインサフレーターにおける使用のためのカプセル剤およびカートリッジが製剤化され得る。ある特定のそのような製剤は、本明細書において提供される化合物と適切な粉末基剤(例えばラクトースもしくはデンプン)の粉末混合物を含む。 ある特定の実施態様において、提供される医薬組成物は静脈内持続注入により投与される。そのような実施態様のある特定の場合において、1日当り、0.01 μg〜500 mgの組成物が投与される。3. 凍結乾燥粉末 投与のために、溶液、エマルジョンおよび他の混合液として再構成され得る凍結乾燥粉末もまた本明細書において意図される。それらはまた、固体またはゲルとして再構成および製剤化され得る。 無菌の凍結乾燥粉末は、本明細書において提供される化合物またはその医薬的に許容される誘導体を適切な溶媒中に溶解させることによって製造される。該溶媒は、粉末もしくは該粉末から調製される再構成溶液の他の薬理学的成分の安定性を向上させる賦形剤を含み得る。用いられる賦形剤としては、限定はされないが、ブドウ糖、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロースまたは他の適切な剤が挙げられる。該溶媒はまた、緩衝剤(例えば、クエン酸塩、リン酸ナトリウムもしくはリン酸カリウム)、または当業者に知られている通常はおよそ中性のpHの他のそのような緩衝剤を含み得る。続いて該溶液の滅菌濾過後、当業者に公知の標準的な条件下で凍結乾燥させて目的の製剤を得る。通常、得られた溶液は凍結乾燥のためにバイアルに分配されうる。いくつかの実施態様において、各バイアルは10 μg〜1000 mgの単一用量を含む。別の実施態様において、各バイアルは100 μg〜500 mgの単一用量を含む。別の実施態様において、各バイアルは0.1 mg〜50 mgの単一用量を含む。別の実施態様において、各バイアルは0.5 mg〜20 mgの単一用量を含む。別の実施態様において、各バイアルは、1 mg、2 mg、3 mg、4 mg、5 mg、6 mg、7 mg、8 mg、9 mgまたは10 mgの単一用量を含む。別の実施態様において、各バイアルは複数用量の化合物を含む。凍結乾燥粉末は、適当な条件下、例えば約4℃〜室温で保存され得る。 注射用水によって該凍結乾燥粉末を再構成して、非経口投与で用いるための製剤を得る。再構成のために、無菌の水または他の適切な担体1mLあたり、約1 mg〜50 mgが加えられる。いくつかの実施態様において、無菌の水または他の適切な担体1mLあたり、5 mg〜35 mgが加えられる。他の実施態様において、無菌の水または他の適切な担体1mLあたり、10 mg〜30 mgの凍結乾燥粉末が加えられる。的確な量は選択される化合物に依存する。そのような量は経験的に決定され得る。4. 局所投与 局所用混合物は、局所および全身投与についての記載のとおり製造される。得られた混合物は、溶液、懸濁液、エマルジョンなどであることができ、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、エマルジョン剤、液剤、エリキシル剤、ローション剤、懸濁剤、チンキ剤、ペースト剤、フォーム剤(foam)、エアロゾル剤、洗浄剤(irrigation)、噴霧剤、坐薬、絆創膏(bandage)、経皮パッチ、または局所投与に適切ないずれの他の製剤として製剤化される。本明細書に記載される化合物の投与に有用な経皮皮膚パッチには、当業者に周知のものが含まれる。 化合物またはその医薬的に許容される誘導体は局所投与(例えば吸入による)用のエアロゾル剤として製剤化され得る(例えば、米国特許第 4,044,126号、第4,414,209号、および第4,364,923号を参照、それらは炎症性疾患、とりわけ、喘息の治療に有用なステロイドの送達用のエアロゾルを記載する)。気道への投与用のこれらの製剤は、単独でまたは不活性担体(例えばラクトース)と組み合わせて、エアロゾル剤もしくはネブライザー用の液剤の形態、またはガス注入(insufflation)用の超微粒子粉末としての形態であり得る。そのような場合において、製剤の粒子は通常、50ミクロン未満、いくつかの実施態様においては、10ミクロン未満の直径を有しうる。 ある特定の実施態様において、吸入用の医薬組成物は、加圧型容器またはネブライザー中のエアロゾルスプレーの形態で製造される。ある特定のそのような医薬組成物には、噴霧剤、例えば、ジクロロジフルオロ-メタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガスが含まれる。加圧エアロゾルを用いるある特定の実施態様において、用量単位は一定量を送達するバルブにより決定することができる。ある特定の実施態様において、インへラーまたはインサフレーターにおける使用のためのカプセル剤およびカートリッジが製剤化され得る。ある特定のそのような製剤には、本明細書において提供される化合物と適切な粉末基剤(例えばラクトースまたはデンプン)の粉末混合物が含まれる。 鼻エアロゾルまたは吸入投与用の組成物の例としては、例えばベンジルアルコールもしくは他の適切な保存剤、吸収および/または生物学的利用能を高める吸収促進剤、ならびに/あるいは他の可溶化剤もしくは分散剤(例えば当業者に公知のもの)を含み得る、液剤が挙げられる。 化合物は、局所的もしくは外用的適用(例えば、皮膚および粘膜(例えば眼における)への局所投与に対するゲル剤、クリーム剤およびローション剤の形態)のため、ならびに、眼への適用ため、または嚢内もしくは脊髄内適用のために製剤化され得る。局所投与は、経皮送達のために、さらには眼もしくは粘膜への投与のため、または吸入療法のためにも意図されている。単独のまたは他の医薬的に許容される賦形剤と組み合わせた活性化合物の点鼻液もまた投与することができる。これらの液剤、とりわけ眼科的使用を意図するものは、0.01%〜10%等張溶液、pH約5〜7として、適当な塩とともに製剤化され得る。組成物が局所的に投与されるある特定の実施態様において、投与レジメンは、本明細書において提供される化合物の目的の局所濃度が得られるように調整される。 ある特定の実施態様において、医薬組成物は局所投与用に製造される。ある特定のそのような医薬組成物には、刺激の少ない保湿基剤、例えば軟膏剤またはクリーム剤が含まれる。当分野で公知の軟膏基剤(油中水型エマルジョン基剤、水中油型エマルジョン基剤、吸収基剤、油性基剤および水溶性もしくは水混和性基剤が含まれる)のいずれかが用いられ得る(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th Ed. (Easton, Pa.: Mack Publishing Co., 1995) ページ1399-1404参照)。油性軟膏基剤は、通常は無水であり、例えば、植物油、動物性脂肪、および半固体石油-ベース炭化水素が含まれる。吸収性軟膏基剤としても知られる乳化可能な軟膏基剤は、水をわずかに含有するかもしくは含有せず、例えば、ヒドロキシステアリンスルフェート(hydroxystearin sulfate)、無水ラノリンおよび親水ワセリンを含有する。エマルジョン軟膏基剤は油中水型(W/O)エマルジョンまたは水中油型(O/W)エマルジョンのいずれかであり、例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、ラノリン、ステアリン酸および分子量が可変であるポリエチレングリコールが挙げられる。クリームは粘稠性の液体または半固体エマルジョンであり、水中油型または油中水型エマルジョンのいずれかであり得る。クリーム基剤は水洗可能(water-washable)であって、油相、乳化剤、および水相を含有しており、それは脂肪アルコールを含み得る。クリーム製剤中の乳化剤は通常、非イオン性、アニオン性、カチオン性、または両性の界面活性剤である。ローション剤は、摩擦なしで皮膚表面に適用される製剤であり、しばしば水またはアルコール基剤を含み、エマルジョンおよびしばしば個形粒子(例えば、カカオバターまたは脂肪酸アルコール)を含む。 適切な軟膏基剤の例としては、限定はされないが、ワセリン、ワセリン+揮発性シリコーン、およびラノリンが挙げられる。クリーム基剤(例えば、水のエマルジョンを含むもの、鉱物油もしくはワセリン、1つ以上の脂肪アルコールもしくは脂肪エステル、ポリオキシエチレンエーテルもしくはエステル界面活性剤、またはポリソルベート界面活性剤が含まれる)もまた用いられ得る。適切なクリーム基剤の例としては、限定はされないが、コールドクリーム(USP)、含水ラノリンおよび親水性軟膏剤(USP)が挙げられる。保湿基剤は、様々な他の軟化剤、乳化剤、芳香剤、着色剤および保存剤をさらに含有し得る。 適切な油中水型エマルジョンは市販されている(例えば、ワセリン、鉱物油、セレシン、ラノリンアルコール、パンテノール、グリセリンおよびビサボロールの混合物、商品名アクアフォー(商標)、Beiersdorf Futuro Inc. (Cincinnati, OH)から入手可能;水、グリセリン、パンテノール、カプリル/カプリントリグリセリド、炭酸ジカプリリル、オクチル-ドデカノール、C12-15安息香酸アルキル、ジメチコーン、スクアラン、タピオカデンプン、セテアリルアルコール、ステアリン酸クエン酸グリセリル、ミリスチン酸ミリスチル、ブチレングリコール、ベンジルアルコール、カルボマー、フェノキシエタノール、アンモニウム アクリロイルジメチルタウレート/VP共重合体、水酸化ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、ヨードプロピニルブチルカルバメートの混合物、例えばユーセリン(商標)、Beiersdorf Futuro Inc. (Cincinnati, OH)から入手可能;水、鉱物油、ワセリン、グリセリン、イソヘキサデカン、微結晶性ワックス、ラノリンアルコール、パラフィン、パンテノール、硫酸マグネシウム、オレイン酸デシル、オクチルドデカノール、ステアリン酸アルミニウム、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、クエン酸およびステアリン酸マグネシウムの混合物、例えばニベア(商標)クリーム、Beiersdorf Futuro Inc. (Cincinnati, OH)から入手可能)。 適切な水中油型エマルジョンが市販されている(例えば、水、鉱物油、ワセリン; ソルビトール、ステアリン酸、ラノリン、ラノリンアルコール、セチルアルコール、ステアリン酸グリセリル/ステアリン酸PEG-100、トリエタノールアミン、ジメチコーン、プロピレングリコール、微結晶性ワックス、トリ(PPG-3ミリスチルエーテル)シトレート、二ナトリウムEDTA、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、キサンタンガム、ブチルパラベン、およびメチルジブロモ グルタロニトリル(methyldibromo glutaronitrile)、例えばルブリダーム(商標)クリーム、Pfizer (Morris Plains, NJ)から入手可能; 精製水、ワセリン、鉱物油、セトステアリルアルコール、プロピレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、パルミチン酸イソプロピル、イミダゾリジニルウレア、メチルパラベン、およびプロピルパラベンの混合物、例えばデルマベース(Dermabase)(商標)クリーム、Paddock Industries, Inc. (Minneapolis, MN)から入手可能; ならびに、精製水、グリセリン、水素化ポリイソブテン(hydrogenated polyisobutene)、セテアリルアルコール、およびセテアレス-20、マカダミアナッツオイル、ジメチコーン、トコフェロール酢酸エステル、ステアロキシトリメチルシラン(および)ステアリルアルコール、パンテノール、ファルネソール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、アクリレーツ/C10-30 アクリル酸アルキル クロルポリマー、水素化ナトリウム、およびクエン酸の混合物、例えばセタフィル(商標)ローション、Galderma Laboratories (Ft. Worth, TX)から入手可能)。 ある特定の実施態様において、本明細書において提供される医薬組成物の製剤、投与経路および用量は特定の対象の状態の観点から選ぶことができる(例えば、Fingl et al., “The Pharmacological Basis of Therapeutics”, Chapter 1, p. 1 (1975)参照)。ある特定の実施態様において、医薬組成物は単一用量として投与される。ある特定の実施態様において、医薬組成物は、1日以上にわたって投与される一連の2以上の用量として投与される。5. 他の投与経路用の組成物 ある特定の実施態様において、医薬組成物は、局所投与、例えば直腸投与用に製造される。直腸投与用の医薬剤形には、限定はされないが、全身的効果のための直腸用の坐薬、カプセル剤および錠剤が含まれる。ある特定の実施態様において、医薬品は直腸投与用に製造される(例えば、坐薬または停留浣腸)。ある特定のそのような医薬品には、公知の成分、例えばカカオバターおよび/または他のグリセリドが含まれる。本明細書において用いられる直腸用坐薬は、直腸への挿入のための固形物を意味し、それは体温で融解または軟化し、1つ以上の薬理学的もしくは治療的に活性な成分を放出する。直腸坐薬に用いられる医薬的に許容される物質は、基剤またはビヒクル、および融点を上げるための剤である。基剤の例としては、カカオバター(カカオ脂)、グリセリン-ゼラチン、カーボワックス(Carbowax)(ポリオキシエチレングリコール)、ならびに脂肪酸のモノ-、ジ-およびトリグリセリドの適当な混合物が挙げられる。様々な基剤の組み合わせが用いられ得る。ある特定の実施態様において、該医薬組成物には、保湿基剤、例えば軟膏またはクリームが含まれる。坐薬の融点を挙げるための剤には、鯨ろうおよびワックスが含まれる。直腸坐薬は、圧縮法または成形によって製造され得る。直腸坐薬の典型的な重量は約2〜3 gmである。 直腸投与用の錠剤およびカプセル剤は、経口投与用製剤と、同一の医薬的に許容される物質を用いて、同一の方法で製造される。F. 製品 本明細書において提供される化合物またはその医薬的に許容される誘導体もしくはプロドラッグ、あるいはそのような化合物を含む医薬組成物は、パッケージング材料を含む製品として包装することができ、該パッケージング材料内には、アンドロゲン受容体の活性の調節に対して、あるいはアンドロゲン受容体介在性疾患もしくは障害またはアンドロゲン受容体活性が関係する疾患もしくは障害の1つ以上の症候の治療、予防もしくは寛解に対して有効である、本明細書において提供される化合物またはその医薬的に許容される誘導体、ならびに、該化合物もしくは組成物がアンドロゲン受容体の活性の調節のためか、あるいはアンドロゲン受容体介在性疾患もしくは障害またはアンドロゲン受容体活性が関係する疾患もしくは障害の1つ以上の症候の治療、予防もしくは寛解のために用いられることを記載するラベルが含まれる。 本明細書において提供される製品には、パッケージング材料が含まれる。パッケージング医薬品における使用のためのパッケージング材料は当業者に周知である。例えば、米国特許第5,323,907号、第5,052,558号および第5,033,252号を参照。医薬パッケージング材料の例としては、限定はされないが、ブリスター包装、ボトル、チューブ、インへラー、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、シリンジならびに選択された製剤および目的の投与および治療様式に適切ないずれのパッケージング材料が挙げられる。本明細書において提供される化合物および組成物の多様な製剤は、アンドロゲン受容体活性が症候または原因に対する介在因子もしくは寄与因子として関係するいずれの疾患もしくは障害に対する様々な治療であるとして意図される。 ある特定の実施態様において、医薬組成物は、本明細書において提供される化合物を含有する1つ以上の単位用量形態を含み得る、パックまたはディスペンサーデバイスとして提供され得る。該パックは例えば、金属またはプラスチックホイル、例えばブリスター包装を含み得る。該パックまたはディスペンサーデバイスには投与についての説明書が添付され得る。該パックまたはディスペンサーにはまた、医薬品の製造、使用、もしくは販売を規制する政府機関により指定された形式で容器に関連する指示書を添付することもでき、該指示書はヒトまたは獣医学的投与のための薬剤の形態に関する機関による承認を反映している。そのような指示書は、例えば、処方薬について米国食品医薬品局により承認された表示、または承認された製品添付文書であり得る。適合する医薬担体中に製剤化された本明細書において提供される化合物を含有する組成物もまた製造され、適当な容器に入れられ、さらには記載された症状の治療についての表示がされ得る。G. キット 本明細書において提供される化合物および該化合物を含む組成物もまたキットとして提供され得る。キットは、本明細書に記載の医薬組成物および投与のためのアイテムを含むことができる。例えば、本明細書において提供される選択的アンドロゲン受容体モジュレーターは、投与用デバイス、例えば、シリンジ、インへラー、投与カップ、点滴器、またはアプリケーターとともに提供され得る。該キットは適宜、用量、投与レジメンおよび投与様式についての指示を含む、利用についての説明書を含み得る。キットはまた、本明細書に記載の医薬組成物および診断用アイテムも含み得る。例えば、そのようなキットは、対象のアンドロゲン受容体の濃度、量または活性を測定するためのアイテムを含み得る。H. 化合物の活性の評価 標準的な生理学的、薬理学的および生化学的方法が、本明細書において提供される化合物を選択的アンドロゲン受容体モジュレーターとしての活性を有するものとして同定する試験を行うために利用可能である。当分野において公知のin vitroおよびin vivoアッセイを用いて、選択的アンドロゲン受容体モジュレーターとしての本明細書において提供される化合物の活性を評価することができる。アッセイの例としては、限定はされないが、蛍光偏光アッセイ、ルシフェラーゼアッセイおよび共トランスフェクションアッセイが挙げられる。例えば、SARMは、ARのリガンド媒介活性をプロファイルする一連のin vitro細胞アッセイを用いて同定することができる(例えば、米国特許第7,196,076号参照)。ARアゴニスト活性は、AR-含有組織(例えば、前立腺および精嚢)の増殖を維持および/または刺激する能力を、重量でモニタリングすることによって決定することができる。ARアンタゴニスト活性は、AR-含有組織の増殖を阻害するSARM化合物の能力をモニタリングすることによって、決定することができる。 SARMのアゴニストおよびアンタゴニスト効果は、一連のin vivoラットモデルを介して、非腫瘍組織において測定することができ、その中で、組織(限定はされないが、前立腺、精嚢、および肛門挙筋(levitor ani muscle)が含まれる)ならびに視床下部軸におけるサロゲートエンドポイントが、血漿黄体ホルモン(LH)レベルの測定を介して測定される。スプラーグドーリーラットモデルは、in vivo薬理学的活性を有する選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)の同定用モデルとして広く用いられており、それにより、例えば、筋肉、骨および性機能を高めるため、ならびに前立腺癌を治療するために有用な治療薬であり得る、活性な非ステロイド性選択的アンドロゲン受容体モジュレーターが同定される(例えば、Yin et al., J Pharmacol Exp Ther 304(3): 1334-1340 (2003), Jasuja et al., Endocrinology 146(10): 4472-4478 (2005), Miner et al., Endocrinology 148(1): 363-373 (2007), Morrissey et al., Journal of Andrology 23(3): 341-351 (2002), Adesanya et al., Scientific Research and Essay 2(8): 309-314 (2007)参照)。 有望なSARMのアゴニストまたはアンタゴニスト活性はまた、正常な非腫瘍細胞株において測定され得る。正常な非腫瘍細胞株の例としては、限定はされないが、初代ラット前立腺上皮およびストローマ細胞、マウス筋肉細胞株C2C12、初代モルモット平滑筋細胞、未成熟(I-PSMC)もしくは成体(A-PSMC)ラットラットペニス由来の初代平滑筋細胞、初代ウサギ平滑筋細胞株、前立腺平滑筋細胞株PS-1、前立腺平滑筋細胞株PSMC1、マウス骨細胞培養細胞および骨芽細胞、ならびに初代ラット精嚢細胞株(line)SVC-1およびSCV-2が挙げられる(例えば、Chen et al., FEBS Letters 491: 91-93 (2001), Gerdes et al., Endocrinology 139: 3569-3577 (1998), Gonzalez-Cadavid et al., Mol. Cell. Endocrinol. 90: 219-229 (1993), Nemeth et al., J. Andrology 19: 718-724 (1998), Ricciardelli I., J. Endocrinol. 140: 373-383 (1994), Sadeghi-Nejad et al., Int. J. Impotence Res. 10: 165-169 (1998), Sarah et al., J. Cell. Physiol. 185: 416-424 (2000), Tajana et al., EMBO J. 3: 637-644 (1984) Zhang et al., Prostate 30: 117-129 (1997)、およびZhuang et al., J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 41: 693-696 (1992)参照)。 いくつかのサロゲートエンドポイントin vivoアッセイもまた、AR経路における有望なSARMの効果を試験するために用いられ得る。これらのアッセイは、正常なアンドロゲン依存性の組織および機能、例えば、限定はされないが、前立腺、精嚢、肛門挙筋、骨、リビドー、授精能、および視床下部における、有望なSARMの効果を測定する(血液LHレベルの測定)。これらのアッセイは、ヒトにおけるAR経路での有望なSARMの効果と直接相関を有するとして広く認識されている。サロゲートエンドポイントin vivoアッセイの例は、Ashby et al., J. Appl. Tox. 20: 35-47 (2000), Chen et al., JPET #75424 (2004), Yamada et al., Tox. Sciences 53: 289-296 (2000), Hamann et al., J. Med. Chem. 41: 623-639 (1998), Furr et al., Eur. Urol 29: 83-95 (1996), Broulik et al., Bone 20: 473-475 (1997), Maucher et al., J. Cancer Res. Clin. Oncol. 119: 669-674(1993), Higuchi et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 17(19): 5442-5446 (2007); Arjan van Oeveren et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 17(6): 1527-1531 (2007); および、Vanderschueren et al., Endocrine Reviews 25(3): 389-425 (2004)に記載されている。 ホルモン依存性腫瘍を有する動物モデルもまた、動物において、有望なSARMの、腫瘍に対するアンタゴニスト活性およびAR-含有正常非腫瘍組織に対するアゴニストもしくはアンタゴニスト活性を評価するために用いることができる。例えば、上記サロゲートエンドポイントin vivoアッセイは、アンドロゲン依存性ラット前立腺腫瘍を有するラット、例えばDunning R-3327を用いて行うことができる。この方法において、アンドロゲン依存性ラット前立腺腫瘍におけるSARMの効果は、AR-含有正常非腫瘍組織(例えば、限定はされないが、前立腺、精嚢、および肛門挙筋)ならびに視床下部軸におけるSARM剤の効果を血漿LHレベルの測定を介して試験するのと同時に、決定することができる。同様の方法において、ヒトアンドロゲン依存性ラット前立腺腫瘍を有する免疫機能低下ヌードラットを用いることができる。この方法において、ヒトアンドロゲン依存性ラット前立腺腫瘍におけるSARMの効果は、正常組織(例えば、限定はされないが、前立腺、精嚢、および肛門挙筋)ならびに視床下部軸におけるSARM剤の効果を血漿LHレベルの測定を介して試験するのと同時に決定することができる。さらに、in vivoラットアッセイは、リビドーおよび生殖におけるSARMの効果を決定するのに用いることができる。 ある特定の実施態様において、本明細書において提供される化合物は、当分野において公知である「共トランスフェクション」アッセイ(「シス-トランス」アッセイとも称される)において、アンドロゲン受容体の活性を調節することができる(例えば、Evans et al., Science 240: 889-95 (1988); 米国特許第4,981,784号および第5,071,773号;ならびに、Pathirana et al., “Nonsteroidal Human Progesterone Receptor Modulators from the Marie Alga Cymopolia Barbata,” Mol. Pharm. 47: 630-35 (1995)参照)。共トランスフェクションアッセイにおける活性の調節は、in vivoにおける活性の調節と関連することが示されている。従って、ある特定の実施態様において、そのようなアッセイはin vivo活性の予測となる(例えば、Berger et al., J. Steroid Biochem. Molec. Biol. 41: 773 (1992)参照)。本明細書において提供される化合物のin vitro生物学は、当分野で公知のいずれのアッセイを用いて決定することができる。例えば、本明細書もしくは当分野で記載された共トランスフェクションアッセイを用いることができる。共トランスフェクションアッセイにより、アゴニストEC50およびアンタゴニストIC50値として表わされる機能活性が得られる。 ある特定の共トランスフェクションアッセイにおいて、2つの異なる共トランスフェクションプラスミドを調製する。第1の共トランスフェクションプラスミドにおいて、クローニングした細胞内受容体をコードするcDNA(例えば、アンドロゲン受容体)を構成的プロモーター (例えば、SV 40プロモーター)に作動可能に連結する。第2の共トランスフェクションプラスミドにおいて、レポータータンパク質(例えば、ホタルルシフェラーゼ(LUC))をコードするcDNAを、受容体依存性活性化因子により活性化されるプロモーターに作動可能に連結する。両方の共トランスフェクションプラスミドを同じ細胞に共トランスフェクションする。第1の共トランスフェクションプラスミドの発現により、細胞内受容体タンパク質の産生がもたらされる。細胞内受容体タンパク質の活性化(例えば、アゴニストの結合により)により、第2の共トランスフェクションプラスミドのプロモーターに対する受容体依存性活性化因子の産生がもたらされる。同様に、その受容体依存性活性化因子は第2の共トランスフェクションプラスミドにコードされるレポータータンパク質の発現をもたらす。従って、レポータータンパク質発現は受容体の活性化に関連している。通常、そのレポーター活性は簡便に測定することができる(例えば、ルシフェラーゼ産生の増大として)。 ある特定の共トランスフェクションアッセイを、細胞内受容体のアゴニスト、部分アゴニスト、および/またはアンタゴニストを同定するために用いることができる。ある特定の実施態様において、アゴニストを同定するために、共トランスフェクションされた細胞を試験化合物に曝露する。該試験化合物がアゴニストまたは部分アゴニストである場合、試験化合物の非存在下において共トランスフェクション細胞に比べてレポーター活性が増大されることが予期される。ある特定の実施態様において、アンタゴニストを同定するために、該細胞を、試験化合物の存在および非存在下において公知のアゴニスト(例えば、アンドロゲン受容体に対するアンドロゲン)に曝露する。該試験化合物がアンタゴニストである場合、公知のアゴニストにのみ曝露された細胞に比べてレポーター活性が増大されることが予期される。 共トランスフェクションアッセイの例はルシフェラーゼレポーターアッセイ (Evans, Science 240: 889-895 (1988), Berger et al., J Steroid Biochem Mol Biol 41: 733-738 (1992))であり、遺伝子発現を誘導するヒトアンドロゲン受容体(hAR)の能力を活性化(アゴニスト活性)または抑制(アンタゴニスト活性)する、式I、IIもしくはIIIの化合物の能力を確認するために用いることができる。内因性発現hARを含有するヒト細胞株(例えば、MDA-MB-453細胞、ヒト乳癌由来、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関[ATCC] HTB 131)をアンドロゲン反応性ルシフェラーゼレポータープラスミドによりトランスフェクトし、他の核内受容体(例えば、グルココルチコイド受容体(GR)、エストロゲン受容体(ER)、鉱質コルチコイド受容体(MR)、プロゲステロン受容体(PR)、レチノイド受容体(RAR)、レチノイドX受容体(RXR)、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α(PPARα)、γ(PPARγ)およびδ(PPARδ)、肝臓X受容体(LXR)、ファルネシルX受容体(FXR)、ならびにプレグナンX受容体(PXR))における該化合物の交差反応性のレベルを測定することができる。該アッセイにおいては、適当な核内受容体により認識されるホルモン応答配列を含有する条件プロモーターの制御下で、ホタルルシフェラーゼ(LUC)のcDNAを含有するルシフェラーゼレポータープラスミドを、核内受容体発現プラスミドを用いて細胞に共トランスフェクションする。当分野で公知のいずれの適当な核内受容体発現プラスミドを用いることができる。そのようなプラスミドの例はレポータープラスミドMMTV-LUCであり、それは、AR、GR、MRおよびPRにより認識されるホルモン応答配列を含有する条件プロモーターであるマウス乳がんウイルス(MTV)末端反復配列(LTR)を含む(Giguere et al., Cell 46: 645-652 (1986))。該レポータープラスミドMTV-ERE5-LUCは、ホルモン応答配列がが欠失およびERにより認識される33-塩基対エストロゲン応答配列(ERE)の5つのコピーで置換されているマウスMTV LTRを含む(McDonnell et al., J Biol Chem 269: 11945-11949 (1994))。該レポータープラスミドMTV-TREp-LUCは、RARにより認識される甲状腺ホルモン応答因子(TRE)配列の2つのコピーを含む(Bissommette et al., Mol Cell Biol 15(10): 5576-5585 (1995), Umesono et al., Nature 336(6196): 262-265 (1988))。該レポータープラスミドCRBP-(2)-tk-LUCは、RXRにより認識される、tkプロモーターに連結した、細胞内レチノイド結合タンパク質(CRBP)プロモーターからの応答因子配列の2つのコピーを含む(Mangelsdorf et al., Cell 66(3): 555-561 (1991))。該プロモータープラスミドpPREA3-tk-LUCは、PPARγにより認識される、tkプロモーターに連結した、アシルCoAオキシダーゼ遺伝子からの応答因子配列を含む(Kliewer et al., Nature 355(6359): 446-449 (1992))。該レポータープラスミドLXRE-tk-LUCは、LXRにより認識される、tkプロモーターに連結した応答因子配列を含む(Willy et al., Genes Dev 9(9): 1033-1045 (1995))。該レポータープラスミドEcRE7-tk-LUCは、FXRにより認識される、tkプロモーターに連結した応答因子配列を含む(Forman et al., Cell 81(5): 687-693 (1995))。該レポータープラスミドCYP3A1-tk-LUCは、PRXにより認識されるCYP3A1プロモーターからの、tkプロモーターに連結した応答配列を含む。 当分野で公知のいずれの受容体プラスミド発現プラスミドを該アッセイに用いることができる。受容体発現プラスミドの例としては、pRShGR(Giguere et al., Cell 46: 645-652 (1986))、pRShMR(Arriza et al., Science 237: 268-275 (1987))、pSVhPR-B(Vegeto et al., Cell 69: 703-713 (1992))、pRShRXRα(Boehm et al., J Med Chem 37(18): 2930-2941 (1994))、pCMVhPPARγ(Willy et al., Genes Dev 9(9): 1033-1045 (1995))、pCMVGAL4hPPARα、pCMVGAL4hPPARδ、pCMV-LXRαおよびpCMV-FXRα(Cesario et al., Mol Endocrinol 15(8): 1360-1369 (2001))が挙げられる。該共トランスフェクションは公知の方法を用いて実施される(Berger et al., J Steroid Biochem Mol Biol 41: 733-738 (1992))。GR、MR、PR、PAP、RXR、PPARα、PPARγ、PPARδ、LXRα、FXRαおよびPXRαアッセイのための適当な組み換えDNA受容体発現プラスミドおよびルシフェラーゼレポータープラスミドを、非-リポソーム製剤を用いて細胞に一過性にトランスフェクトする(例えば、トランスフェクション試薬, Roche, Indianapolis, IN, 製造者の仕様書に従って)。 本明細書において提供される組織選択的アンドロゲン受容体アゴニストは、通常、標準ARアッセイ(例えば、本明細書に記載の共トランスフェクションアッセイ)において、1マイクロモル以下のEC50値および約50%を超える有効値を有する。いくつかの実施態様において、該EC50は1〜1000 μMの範囲である。いくつかの実施態様において、該EC50は1〜500 μMの範囲である。いくつかの実施態様において、該EC50は1〜100 μMの範囲である。いくつかの実施態様において、該EC50は100 μM未満である。いくつかの実施態様において、該EC50は、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5または1 μM未満である。いくつかの実施態様において、該有効値は、約55%、50%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、120%、125%以上である。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は、10 μM以下のEC50値、ならびに50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%以上の有効値を有する。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は、約1 μM〜約5 μMのEC50値、ならびに50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%以上の有効値を有する。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は、AR受容体アンタゴニスト活性の決定のためのアッセイにおいて、10マイクロモル以下か、1マイクロモル以下か、100ナノモル以下か、10ナノモル以下か、または1ナノモル以下のEC50値を示す。 本明細書において提供される組織選択的アンドロゲン受容体アンタゴニストは通常、標準ARアッセイ(例えば、本明細書に記載の共トランスフェクションアッセイ)において、1マイクロモル以下のIC50値、および約50%を超える有効値を有する。いくつかの実施態様において、該IC50は1〜1000 μMの範囲である。いくつかの実施態様において、該IC50は1〜500 μMである。いくつかの実施態様において、該IC50は1〜100 μMの範囲である。いくつかの実施態様において、該IC50は100 μM以下である。いくつかの実施態様において、該IC50は、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5または1 μM未満である。いくつかの実施態様において、該有効値は約55%、50%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、120%、125%以上である。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は、10 μM以下のIC50値、ならびに50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%以上の有効値を有する。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は、約1 μM〜約5 μMのIC50値、ならびに50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%以上の有効値を有する。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は、AR受容体アンタゴニスト活性の決定のためのアッセイにおいて、10 マイクロモル以下か、1マイクロモル以下か、100ナノモル以下か、10ナノモル以下か、または1ナノモル以下のIC50値を示す。 本明細書において提供される化合物は、高い選択性でその受容体-調節活性を発揮する。このことは、ある特定の他の受容体(AR受容体以外)に高い親和性で結合しないのではなくむしろ単に、1マイクロモル(μM)を超える親和定数で、他の受容体に結合するか、それを活性化するか、またはその活性を阻害することを意味する。いくつかの実施態様において、該化合物は単に、100 μMを超える親和定数で、他の受容体に結合するか、それを活性化するか、またはその活性を阻害する。いくつかの実施態様において、該化合物は単に、1000 μMを超える親和定数で、他の受容体に結合するか、それを活性化するか、またはその活性を阻害する。副作用はしばしば望ましくない受容体活性化またはアンタゴニズムに起因するので、本明細書において提供される化合物の高い選択性は、他の1つ以上の他の受容体の望ましくない受容体活性化またはアンタゴニズムによりもたらされる副作用の発生率を低下させることができる。本明細書において提供される化合物は、AR-誘導性遺伝子発現を活性化する。このことは、MDA-MB-453細胞における共トランスフェクションアッセイにおいて示された。 本明細書において提供される化合物による親和性およびARの機能的活性化を測定するアッセイにおいて、式Iの化合物はAR-依存性遺伝子発現を活性化した。例えば、化合物102は、ARタンパク質への結合、機能アッセイにおけるARの活性化、筋肉細胞における鍵となる遺伝子の発現の刺激、および骨細胞における鍵となる炎症モジュレーターの抑制において、他の試験したアンドロゲンモジュレーター化合物よりも一貫して高い力価を示した。より高い力価は、より低い用量で物質を投与して同等の治療効果を得ることができることを示す。より低い用量の使用は、有効な用量を投与するのに必要な経口用量形態のサイズまたはカプセル剤もしくは錠剤の数を減らすことによって患者の利便性を向上するので有益であり、さらに、より低い用量は、オフターゲットの副作用をもたらす生成物を生じ得る代謝される薬剤の量を減少させることによって薬剤の安全性を改善するので有益である。1. 筋肉での効果 骨格α-アクチンは、骨格筋の主要な成分である。アンドロゲンは筋肉量および強度を増大させる役割を担う(Mooradian et al., Endocr Rev 8: 1-28 (1987); Bhasin et al., J Clin Endocrinol Metab 82: 407-413 (1997); およびBhasin et al., N Engl J Med 335: 1-7 (1996))。アンドロゲンはラット肛門挙骨格筋(levator ani skeletal muscle)においてα-アクチンmRNAを上方制御することから、骨格α-アクチンプロモーター活性のAR-媒介調節は筋肉における遺伝子発現のアンドロゲン制御を調査するためのマーカーである。筋肉における本明細書において提供される化合物の効果は、当分野で公知のいずれの方法により試験することができる。そのような方法には、肛門挙筋の重量の増大(同化作用の指標であり、同化作用の信頼性のある指標として当分野において受け入れられている(例えば、Antonio et al., J Appl Physiol 87: 2016-2019 (1999)参照))、および骨格筋におけるミオシン重鎖(MHC)サブタイプの発現が含まれる。MHCは骨格筋における主要なタンパク質であり、組織特異的および発生学的に制御された方法で発現される(Adams et al., Am J Physiol. 276(4 Pt 2): R954-961 (1999))。MHCサブタイプの発現は、Wrightらの方法による雌ラットの咬筋筋組織のRT-PCRを用いて試験することができる(J Appl Physiol. 83(4): 1389-96 (1997))。定常状態において、mRNA発現はMHCタンパク質発現のパターンに平行する。MHC mRNAの転写はMHCタンパク質翻訳より先に生じ、RT-PCRの感受性はウエスタンブロットに比べて増大されていることから、mRNA発現における急速な変化を、筋肉代謝でのわずかな動的効果を分析するために検出および使用することができる。咬筋での同化作用が示され、MHCの転写が増大されている(例えば、未処置コントロールに比べたMHCタイプ)。他のアッセイが当分野において公知である(例えば、Miner et al., Endocrinology 148(1): 363-373 (2007); Eisenberg et al., Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 99(1): 38-44 (1950); Labrie et al., J Endocrinology 184: 427-433 (2005)参照)。 マウス筋肉細胞におけるAR-媒介遺伝子発現を測定するためのアッセイの例は、ヒト骨格α-アクチンアッセイである。マウス筋肉細胞株(C2C12、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Cell Culture)(ATCC, Rockville, MD)から入手)を、ルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて用いることができる。SK α-アクチン-LUCレポータープラスミドを、骨格α-アクチンプロモーター配列をルシフェラーゼレポーターベクターに挿入することにより(例えば、ヒト肝臓ゲノムDNA(Clontech, Palo Alti, CA)由来の-77から+202 bpのヒト骨格α-アクチンプロモーター領域をクローニングし、該配列をpGL3-Basicレポータープラスミド(Promega, Madison, WI))に挿入することにより)構築する。ヒトAR発現プラスミドおよびルシフェラーゼcDNAの上流の骨格α-アクチンプロモーターを含有するルシフェラーゼレポータープラスミドを用いて、該C2C12細胞株を一過性にトランスフェクトすることができる。試験する化合物をトランスフェクション後の細胞に加え、24時間のインキュベート後、該細胞を、界面活性剤-含有バッファーを用いて溶解し、ルシフェラーゼ活性についてアッセイする。該EC50は化合物についての濃度反応曲線から決定され、効力は標準のアンドロゲンアゴニスト、ジヒドロテストステロンとの比較により算出される。2. 骨での効果 本明細書において提供される化合物の骨での同化作用は、当分野で公知のいずれの方法により試験することができる。そのような方法には骨形成率が含まれ、それはオステオカルシンレベルの測定により評価することができる。血漿オステオカルシンレベルは当分野で公知のいずれの方法を用いて決定され得る(例えば、Koyama et al., J Immunol Methods 139(1): 17-23 (1991)参照)。市販のラットオステオカルシンEIAキットはBiomedical Technologies Inc. (Stoughton, MA)から入手可能である。さらなるアッセイには、骨結節(bone nodule)形成アッセイ(Vanderschueren et al., Endocrine Reviews 25(3): 389-425 (2004), Beresford et al., 45(2): 163-178 (2005))、ならびに骨粗鬆症のげっ歯類モデルの使用(例えば、Gowen et al., J Clin Invest. 105 : 1595-604 (2000); Pietschmann et al., Exp Gerontol. 42(11): 1099-1108 (2007); および、Wang et al, Bone. 29(2): 141-148 (2001)参照)が含まれる。骨代謝回転マーカーもまた、骨活性のモニタリングに対して有効で確証された手段であることが示されている。例えば、 骨アルカリホスファターゼレベル、尿ヒドロキシプロリンレベル、血清アルカリホスファターゼレベル、酒石酸抵抗性酸ホスファターゼレベル、オステオカルシンレベル、および尿中カルシウム-クレア値ニン比が、骨代謝回転マーカーとして用いられる(例えば、Sit et al., Adv Ther. 24(5): 987-995 (2007); Szulc et al., Osteoporos Int. 18(11): 1451-61 (2007); およびHannon et al., Cancer Treat Rev. 32 Suppl 1: 7-14 (2006))。C-テロペプチドが骨吸収マーカーとして用いられる(例えば、Srivastava et al., Calcified Tissue International 66(6): 435-442 (2000)参照)。 骨でのAR-媒介効果の測定のための典型的な共トランスフェクションアッセイは、IL-6プロモーター活性の調節を測定する。IL-6は重要な骨吸収因子である(Jilka et al, Science 257: 88-91 (1992); Bellido et al., J Clin Invest 95: 2886-2895 (1995))。IL-6の過剰発現はin vivoにおける深刻な骨減少を引き起こし得る。in vitro研究によって、サイトカイン(例えば、TNFαおよびIL-1β)はNFKBの誘導を介してIL-産生を強く刺激することが示された(Kurokouchi et al., J Bone Mineral Res 13: 1290-1299 (1998); Ng et al., J Biol Chem 269: 19021-19027 (1994))。アンドロゲンはNFKBがその応答配列に結合するのを抑制することによってIL-6 mRNAを制御することが報告されている(Keller et al., J Biol Chem 271: 26267-26275 (1996))。従って、IL-6プロモーター活性のAR-媒介調節は、骨におけるアンドロゲン活性の研究のための優れたマーカーを提供する。該アッセイは、ヒト骨芽細胞におけるルシフェラーゼレポーターアッセイを用いてIL-6プロモーターからのヒトアンドロゲン受容体を介した遺伝子発現を制御する化合物の能力を測定する、共トランスフェクションアッセイである。 ヒト骨芽細胞株(Saos-2、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC, Rockville, MD)から入手可能)を、ルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて用いることができる。IL-6-LUCレポータープラスミドは、IL-6プロモーター配列をルシフェラーゼレポーターベクターに挿入することにより(例えば、ヒト肝臓ゲノムDNA(Clontech, Palo Alti, CA)由来の-232から+17 bpのヒトIL-6プロモーター領域をクローニングし、該配列をpGL2-enhancerレポータープラスミド(Promega, Madison, WI)に挿入することにより)構築することができる。該Saos-2細胞株を、ヒトAR発現プラスミドおよびルシフェラーゼcDNAの上流のIL-6プロモーターを含有するルシフェラーゼレポータープラスミドを用いて一過性にトランスフェクトすることができる。試験する化合物をトランスフェクション後の細胞に加え、24時間のインキュベート後、該細胞を界面活性剤-含有バッファーを用いて溶解し、ルシフェラーゼ活性についてアッセイする。EC50は化合物についての濃度反応曲線から決定され、TNFα/IL-1β誘導における阻害効果(%阻害)は方程式:(式中、 TNFα/IL-1βコントロール=試験化合物を有しないTNFαおよびIL-1 β含有培地で処理した細胞において測定されたルシフェラーゼ反応を意味し; ベース=培地のみで処理した細胞において測定されたルシフェラーゼ反応を意味し; そして、 アンドロゲン処理=試験化合物を有するTNFαおよびIL-1 β含有培地で処理した細胞において測定されたルシフェラーゼ反応を意味する)に従って算出され得る。3. ホルモン依存性腫瘍に対するアンタゴニスト活性 ホルモン依存性腫瘍に対するアンタゴニスト活性を有するが、アンドロゲン受容体を含有する他の非腫瘍組織に対しては活性を示さないかもしくはアゴニスト活性を示す、SARMを同定するための様々な方法が用いられ得る。例えば、ホルモン依存性腫瘍におけるアンタゴニスト活性は、vitroまたはin vivoのいずれかでの増殖の阻害について、ホルモン依存性腫瘍細胞株において化合物をスクリーニングすることにより究明することができる。有望なSARMのスクリーニングに用いることができるホルモン依存性腫瘍細胞株の例としては、限定はされないが、ヒト乳癌細胞株MDA MB453、ヒト乳癌細胞株ZR-75-1、マウス乳房株(breast line)塩野義、ラット前立腺腺癌株Dunning R-3327、ヒト前立腺腫瘍細胞株 MDA PCa 2aおよびPCa 2b、ヒト前立腺細胞株LNCap、ヒト前立腺腫瘍細胞株CWR22、ヒト前立腺腫瘍細胞株LuCaP 35およびLuCaP 23.12、ヒト前立腺細胞株LAPC-4およびLAPC-9、ヒト前立腺腫瘍細胞株PC-295、ヒト前立腺腫瘍細胞株PC-310、ならびにヒト骨肉腫細胞株MG-63が挙げられる。これらのヒトおよびマウスの前立腺および乳細胞株ならびにこれら由来の腫瘍モデル系は、ヒトホルモン依存性腫瘍(例えば前立腺癌)の薬理学の指標として当事者により十分受け入れられている。ヒト病態に対するそのようなモデルの関係の例が当分野において考察されている(例えば、Jacques et al., Endocrinology 140: 416-421 (1999); Yeap et al. Endocrinology 140: 3282-3291 (1999), Sharma et al., Oncogene 18: 5349-5355 (1999), Bentei et al., In Vitro Cell Dev. Biol. 35: 655-662 (1999), Suzuki et al., J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 37: 559-567 (1990), Peehl, Urol. Oncol. 2: 100-102 (1996), Wytske et al., Urol. Oncol. 2: 122-125 (1996), Leland, Urol. Oncol. 2: 126-128 (1996), Buhler et al., The Prostate 43: 63-70 (2000), Navone et al., Clin. Cancer Res. 6: 1190-1197 (2000), Etreby et al., The Prostate 42: 99-106 (2000), Jongsma et al., Cancer Res. 60: 741-748 (2000), Jongsma et al., Amer. J. Path. 154: 543-551 (1999), Ye et al., Clin. Cancer Res. 5: 2171-2177 (1999), Navone et al., Clin. Cancer Res. 3: 2493-2500 (1997), Chen et al., Cancer Res. 58: 2777-2783 (1998)、およびCraft et al., Cancer Res. 59: 5030-5036 (1999)参照)。4. 有効性および毒性 本明細書に記載の化合物は、有効性および毒性について、公知の方法を用いて評価することができる。例えば、特定の化合物、またはある特定の化学部分を共有する該化合物のサブセットの毒性学は、細胞株(例えば、バクテリアもしくは哺乳動物(ヒトを含む)細胞株)に対するin vitro毒性を決定することによって確立されうる。そのような研究の結果は、動物(例えば哺乳動物、またはより具体的にはヒト)における毒性の予測となることが多い。アッセイの例には、バクテリア復帰変異アッセイ(例えば、Ames et al., Mutation Research 31: 347-364 (1975); Green et al., Mutation Research 38: 3-32 (1976); and Maron et al., Mutation Research 113: 173-215 (1983), cytological methods for detecting chemical mutagens (Evans, Chemical Mutagens, Principles and Methods for their Detection, Vol. 4 (Plenum Press, New York, NY (1976))), chromosomal aberration assays (Galloway et al., Mutation Research 312(3): 241-261 (1994)参照)、遺伝毒性アッセイ(Federal Register 61: 18198-18202 (1996)およびFederal Register 62: 16026-16030 (1997))、および細胞遺伝学的アッセイ(Preston et al., Mutation Research 87: 143-188 (1981))が含まれる。 別法として、動物モデル(例えばマウス、ラット、ウサギ、またはサル)における特定の化合物の毒性は、公知の方法を用いて決定してもよい。特定の化合物の有効性は、いくつかの認識された方法、例えばin vitro方法、動物モデル、またはヒト臨床試験を用いて確立されうる。適当なin vivo動物モデルの非限定的な例には、去勢された雄ラットもしくは高齢の雄の精巣摘除ラットが含まれる。有効性を決定するためのモデルの選択において当業者は、最先端技術により導かれて、適当な投与モデル、投与用量、および投与経路、ならびにレジームを選ぶことができる。ヒト臨床試験もまた、ヒトにおける化合物の有効性を決定するために用いることができる。5. 受容体結合アッセイ 本明細書において提供される化合物のアンドロゲン受容体への結合は、当分野で公知のいずれの方法を用いて評価することができる。例えば、ヒトステロイドホルモン受容体タンパク質(AR、PR、GR、MR、またはER)をコードするcDNAを含有するバキュロウイルス発現プラスミドを、標準的技法を用いて調製することができる。例えば、Allegretto et al., J. Biol. Chem. 268: 26625 (1993); Srinivasan and Thompson, Mol. Endo. 4: 209 (1990); および、D. R. O'Reilly et al., in “Baculovirus Expression Vectors”, D. R. O'Reilly et al., eds., W. H. Freeman, New York, N. Y., pp. 139-179 (1992)参照。典型的な方法において、該発現プラスミドを 、野生型オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)多核多角体病ウイルスDNAと一緒に、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodopter frugiperda)-21(Sf-21)細胞に感染させ、AR cDNA含有組換えウイルスを得る。例えば、O'Reilly et al., “Regulation of expression of a baculovirus ecdysteroid UDP glucosyltransferase gene” in Baculovirus Expression Vectors, WH Freeman, NY, 139 179 (1992)参照、および集めた受容体cDNA含有組換えウイルス。 次いで、該組換えウイルスを用いて、細胞(例えばSf-21細胞)を感染させることができる。該感染Sf-21細胞を48時間インキュベートした後、遠心分離により回収し、溶解バッファー(50 mM リン酸カリウムバッファー、pH 7.0、10 mM モノチオグリセロール、5 mM DTT、20 mM モリブデン酸ナトリウム、1 mM PMSF、1 μg/mLアプロチニン、および10 μg/mLロイペプチン)に再懸濁し、ホモジナイズする。得られた受容体ライセートを結合アッセイに用いる。結合アッセイサンプルは、50 μgの受容体ライセートを含有する受容体-アッセイバッファー(10% グリセロール、25 mM リン酸ナトリウム、10 mM フッ化カリウム、10 mM モリブデン酸ナトリウム、0.25 mM CHAPS、2 mM DTTおよび1 mM EDTA、(pH 7.5に調整))を用いて、96-ウェル型の別個の小チューブの中に調製され得る; 50-100 Ci/mmolの[3H]-ステロイド(ジヒドロテストステロン、プロゲステロン、デキサメタゾン、アルドステロン、またはエストラジオール) 2-4 nM; および、基準化合物もしくは試験化合物のいずれか。試験化合物には、本明細書において提供される選択的アンドロゲン受容体結合化合物を含めた。基準化合物は、ステロイドホルモン受容体に結合することが以前に示されている非標識ステロイドであった(例えばアンドロゲン受容体に対するジヒドロテストステロン)。各基準化合物および試験化合物を、様々な濃度、例えば3.2 x 10-10から10-5 Mの範囲でアッセイし、該アッセイサンプルを、例えば4℃で16〜24時間、インキュベートする。 インキュベート後、200 μLの6.25% ヒドロキシルアパタイト/アッセイバッファーを各アッセイサンプルに加え、タンパク質を沈殿させる。次いで、該アッセイサンプルを遠心分離し、得られたペレットをDTTを欠くアッセイバッファーで2回洗浄し、各洗浄ペレットのカウント毎分(CPM)での放射能を液体シンチレーションカウンターにより測定する(MicroBeta(商標), Wallach)。 特定のサンプルに対する特異的結合は方程式:を用いて算出され、「平均非特異的CPM」は、過剰な(例えば、1000 nM)非標識ステロイド(例えばジヒドロテストステロン)を含有するサンプルからの放射能の量である。IC50値(特異的結合を50%まで減少させるのに必要な試験化合物の濃度)は、ログ-ロジット(Hill)法を用いて決定された。 いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は、AR受容体結合アッセイにおいて、10マイクロモル以下か、5マイクロモル以下か、1マイクロモル以下か、100ナノモル以下か、10ナノモル以下か、または1ナノモル以下のKiを示す。6. in vivo アッセイ − スプラーグドーリーラットモデル in vivo薬理学的活性を示す選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)を同定することにより、活性な非ステロイド性選択的アンドロゲン受容体モジュレーターを同定するためのモデルとして、当分野においてスプラーグドーリーラットモデルが用いられる。該ラットにおいて、肛門挙筋の重量をモニタリングすることにより、骨格筋におけるアンドロゲンの効果を評価することができる(Herschberger et al., Proc Soc Exp Biol Med 83: 175-180 (1981)), a muscle that expresses high levels of androgen receptor (Max et al., Biochem J 200: 77-82 (1981))。アンドロゲン処置下において肛門挙筋の重量は顕著に増大し、骨格筋におけるアンドロゲンの同化作用の研究のための信頼性のあるエンドポイントを提供する(Herschberger et al., Proc Soc Exp Biol Med 83: 175-180 (1981))。 アンドロゲンはまた、皮膚における皮脂腺分泌を刺激し、皮脂産生およびざ瘡の増大に関連している(Boudou et al., J Clin Endocrinol Metab 80(4): 1158-1161 (1995))。げっ歯類における包皮腺は改変(modified)皮脂腺であり、皮脂産生の指標として用いられている(Miyake et al., J Invest Dermatol 103: 721-725 (1994); Nickerson et al., Acta Anat (Basel) 94: 481-489 (1976);および、Deplewski et al., Endocrinology 138: 4416-4420 (1997))。アンドロゲン補充は皮脂腺の重量およびその分泌物を増大させる。 雄ステロイドホルモンはまた、骨の維持および成長にとって重要であることが見いだされている。例えば、骨減少症は、男性における性腺機能低下症(血中テストステロンレベルの低下をもたらす状態)においてしばしば生じる(Devogelaer et al., Maturitas 15: 17-23 (1992))。骨減少症は、テストステロン補充により回復し得る変性プロセスである(Finkelstein et al., J Clin Endocrinol & Metabolism 69: 776-783 (1989); Behre et al., J Clin Endocrinol & Metabolism 82: 2386-2390 (1997); および、Katznelson et al., J Clin Endocrinol & Metabolism 81: 4358-4365 (1996))。同様の現象が、アンドロゲンの投与により去勢に起因する骨減少が回復され得る雄ラットにおいて観察される(Wakley et al., J Bone & Mineral Research 6: 325-330 (1991))。ラットにおける骨減少を評価するため、生化学的マーカー(例えば血清オステオカルシン)が測定され得る。オステオカルシンは骨形成骨芽細胞により合成および破壊される骨マトリックスタンパク質成分であり、それはまた、破骨細胞による骨吸収の間に骨から放出される(Ivaska et al., J Biol Chem 279: 18361-18369 (2004))。両プロセスの間、このタンパク質およびその分解産物は血液循環中に放出され、生化学的マーカーとして機能を果たし得る。ラットの血清における血中オステオカルシンレベルの測定を、骨代謝回転または代謝の評価に用いることができる(Vanderschueren et al., Endocrinology 141(5): 1642-1647 (2000); Vanderschueren et al., Bone Miner 26(2): 123-131 (1994); および、Hunter et al., Arthritis Res Ther 10(4): R102 (2008))。 月齢約2ヶ月の成熟雄スプラーグドーリーラットが通常用いられる。1週間の順応期間の後、イソフルラン麻酔下においてそれらを去勢する。1グループの動物を偽-手術およびビヒクルで処置し、コントロールとする。手術後、該ラットを、体重において統計的に有意な差が観察されないように、グループに分ける。処置は通常、外科手技後の手術の同日に開始する。動物を、経口(4 mL/kg)または皮下(0.4 mL/kg)のいずれかにより、連続14日間毎朝、ビヒクルまたは異なる強度の様々な化合物溶液で処置する。最終投与の約24時間後、ラットを断頭により屠殺し、器官および血液を採取する。体幹血液(trunk blood)を採取した後、腹側の前立腺、精嚢および肛門挙筋を解剖して取り出し、拭いて乾かし、個々に重量を測定する。該血液は、室温で凝血させて、遠心分離により血清を分離してよい。その後、該血清を集め、ラジオイムノアッセイ(RIA)によるLHレベルの測定に用いるまで凍結保存する。 目的の化合物をビヒクル(例えば、9.995%のポリエチレングリコール(平均分子量400; PEG-400; Sigma, St. Louis, MO)、0.005% Tween 80 (ポリオキシエチレン ソルビタンモノオレエート; Sigma, St. Louis, MO)、および90.0%の1%カルボキシメチルセルロース(CMC; Sigma, St. Louis, MO)溶液/NanoPure水の溶液)中に懸濁する。該化合物はビヒクルに懸濁され、ブレンダーで4分間ホモジナイズされ得る。該懸濁物はまた、2分間超音波処理され得る。次いで、該高濃度製剤をビヒクルにより希釈し、投与物質の適切な量および濃度を得た。 テストステロンをPEG-400とDMSOの30:70混合液に溶解し、皮下に投与する。 血清サンプルを、国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)からの試薬を用いた2重抗血清方法により、LHについてアッセイする。簡単に述べると、総容積200 μL中のサンプルおよび標準(NIDDK-rLH-RP-3)を、室温で2〜3日間、100 μLの1:100,000に希釈した第1抗血清(ウサギNIDDK-抗-rLH-S-11)とともにインキュベートする。その後、100 μLの200,000〜300,000 cpm/mlに希釈したヨウ素化LH(Covance Laboratories Inc.)をチューブに加え、さらに24時間インキュベートを続ける。特異的ヤギ抗-ウサギ血清(GARS; Antibodies Inc)を用いた沈殿により、結合したホルモンを遊離ホルモンから分離する。この目的のため、50 μLの4%正常ウサギ血清を各チューブに加え、その後、さらなる50 μLの1:10 GARS溶液を加える。該チューブをボルテックスし、4℃で終夜インキュベートする。4℃の遠心機において2,500 rpmで30分間遠心分離することにより、該アッセイは終了される。該上清をデカンテーションして捨て、該ペレットを10-チャンネルのγ-カウンターにおいてカウントする。該アッセイは最小検出量 0.001 ng/チューブを有し、アッセイ内およびアッセイ間の可変性は10%未満である。アッセイ間可変性を最小にするために、単一試験からの全てのサンプルを同一のアッセイにおいて処理する。 Box-Cox変換データでの分散の解析により、結果を分析する(Box and Cox, J Roy Statist Soc Series B 26: 211-252 (1964), Box and Hill, Technometrics 16: 385-389 (1974) およびPeltier et al., J. Anim. Sci. 76: 847-849 (1998))。腹側の前立腺およびLHレベルに関して、統計分析のためにデータの対数を用いる。精嚢および肛門挙筋のデータは、各々0.2および0.6に上昇される。これらの変換は、分散がグループ間で均質であること、ならびに一元配置分散分析モデルの残差がガウス(正規)分布に従ったことを確かにするために実施される。該分散分析が有意に達する場合、データをさらにダネット検定により評価する。P < 0.05は、統計的に有意な差と明言するための最小基準と見なされる。 さらに、有効性データは偽-手術したグループにおいて観察された反応のパーセントとして算出される。この点において、精巣摘除したビヒクル-処置グループを0%有効性と見なし、一方で、偽-手術したグループにより100%有効性が示される。この変換により、皮下および経口で投与された化合物を用いた実験における場合と同様に、異なるコントロールを有することとは関係なく、データの直接比較が可能になる。 力価は、変換データにおいて4つの-パラメーターロジスティック方程式を用いて推定される。対数EC50はより堅固な力価の推定値であるので、該モデルは対数スケールでEC50を推定する(Ghosh et al., J Biopharm Stat 8: 645-665 (1998))。該モデルにより、推定された力価の95%信頼限界を算出するために用いられる推定値についてのSEも得られる。以下の方程式は、再パラメーター化された、これらの研究において力価の推定に用いられた4つのパラメーターロジスティック方程式を例示する:(式中、Aは最大値、Dは最小値、Bは傾き、Cは反応の方向に依存してEC50またはIC50のいずれかであり、そして、xは用いた化合物の用量である)。I. 化合物および組成物の使用方法 本明細書において提供される化合物および組成物の使用方法もまた提供する。該方法には、アンドロゲン受容体活性を変化させるためおよびアンドロゲン受容体活性を介して調節されるかアンドロゲン受容体活性が関係する疾患または障害の1つ以上の症候の治療、予防、もしくは寛解のための、化合物および組成物のin vitroおよびin vivo使用が含まれる。ある特定の実施態様において、本明細書において提供される化合物の投与による対象の治療方法を提供する。ある特定の実施態様において、そのような対象はアンドロゲン受容体媒介症状の症候または徴候を示す。ある特定の実施態様において、対象を予防的に処置し、症状の発生を減少させるかもしくは防ぐ。 本明細書において提供される化合物は、様々な症状の治療に用いることができる。例えば、式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを用いて、限定はされないが、筋力および筋機能の維持(例えば、高齢者において); 高齢者における虚弱または加齢性機能低下(「ARFD」)(例えば、筋肉減少症)の回復もしくは予防; グルココルチコイドの異化副作用の治療; 骨質量、骨密度もしくは骨成長の低下(例えば、骨粗鬆症および骨減少症)の予防および/または治療; 慢性疲労症候群(CFS)の治療; 慢性筋肉痛; 急性疲労症候群および待機手術後の筋力低下の治療(例えば、術後のリハビリテーション); 創傷治癒の促進; 骨折修復の促進(例えば、股関節骨折患者の回復の促進); 複雑骨折の治癒促進、例えば仮骨延長; 関節置換において; 術後癒着形成の予防; 歯の修復もしくは成長の促進; 感覚機能の維持(例えば、聴覚、視覚、嗅覚および味覚); 歯周病の治療;骨折による消耗ならびに慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性肝疾患、AIDS、無重力、癌悪液質、熱傷回復、外傷回復、慢性的な異化状態(例えば、昏睡)、摂食障害(例えば、食欲不振)および化学療法に関連した消耗の治療; 心筋症の治療; 血小板減少症の治療; クローン病に関連した発育遅延の治療; 短腸症候群の治療; 過敏性腸症候群の治療; 炎症性腸疾患の治療; クローン病および潰瘍性大腸炎の治療; 移植に関連した合併症の治療; 成長ホルモン分泌不全児および慢性疾患に関連した低身長を含む生理学的低身長の治療; 肥満症に関連した肥満症および発育遅延の治療; 食欲不振(例えば、悪液質もしくは老化に関連した)の治療; 副腎皮質ホルモン過剰症およびクッシング症候群の治療; パジェット病; 変形性関節症の治療; 拍動的成長ホルモン放出の誘導; 骨軟骨異形成症の治療; うつ病、神経過敏、易刺激性およびストレスの治療; 精神的活力の低下および低い自尊心(例えば、モチベーション/アサーティブネス)の治療; 認知機能の改善(例えば、アルツハイマー病および短期記憶喪失を含む認知症の治療); 肺機能障害および人工呼吸器依存性に関連した異化反応の治療; 心機能不全(例えば、弁膜症、心筋梗塞、心肥大またはうっ血性心不全に関連した)の治療; 血圧の低下;心室機能不全もしくはに対する保護および再灌流イベント(reperfusion event)の予防; 慢性透析における成人の治療; 老化の異化状態の回復または遅延; 外傷後のタンパク質異化反応の減弱または回復(例えば、手術、うっ血性心不全、心筋症、熱傷、癌、COPDに関連する異化状態の回復); 慢性疾患(例えば癌もしくはAIDS)に起因する悪液質およびタンパク質損失の低下; 膵島細胞症を含む高インスリン血症の治療; 免疫抑制された対象の治療; 多発性硬化症または他の神経変性障害に関連した消耗の治療; ミエリン修復の促進; 皮膚の厚さの維持; 代謝恒常性および腎臓恒常性の治療(例えば、虚弱高齢者において); 骨芽細胞、骨リモデリングおよび軟骨増殖の刺激; 食物摂取の制御; 哺乳動物(例えば、ヒト)における、NIDDMを含むインスリン抵抗性の治療; 心臓におけるインスリン抵抗性の治療; 睡眠の質の改善およびREM睡眠の高い増加およびREM潜時の減少に起因する老化の相対的低ソマトトロピン症の是正; 低体温の治療; うっ血性心不全の治療;リポジストロフィーの治療(例えば、HIVもしくはAIDS治療(例えばプロテアーゼ阻害剤)を受けている対象おいて); 筋萎縮症(例えば、運動不足、ベッド安静もしくは低荷重負荷状態に起因する)の治療; 筋骨格機能障害の治療(例えば、高齢者における); 全ての肺機能の改善; 睡眠障害の治療; および、遷延性重篤疾患(prolonged critical illness)の異化状態の治療; 多毛症、ざ瘡、脂漏症、アンドロゲン性脱毛症、貧血、過剰有毛、良性の前立腺肥大、前立腺の腺腫および腫瘍(例えば、進行した転移性前立腺癌)ならびにアンドロゲン受容体を含有する悪性腫瘍細胞(例えば、乳癌、脳癌、皮膚癌、卵巣癌、膀胱癌、リンパ腺癌、肝癌および腎癌の場合のような)の治療; 皮膚、膵臓、子宮内膜、肺および結腸の癌; 骨肉腫; 悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症; 転移性骨疾患; 精子形成、子宮内膜症および多嚢胞性卵巣症候群の治療; 子癇前症、妊娠子癇および早期分娩の防止; 月経前症候群の治療; 膣乾燥の治療; 男性における加齢性の低テストステロン濃度、男性更年期、性腺機能低下症、男性ホルモン補充、男性および女性の性機能低下(例えば、勃起不全、性的欲求の低下、性的健康の低下、リビドー減退)、男性および女性の避妊、脱毛、リーブンシンドロームならびに骨および筋の能力/強度の増強が含まれる、症状を治療することができる。 ある特定の実施態様において、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを投与することによって対象を治療する方法を提供する。本明細書において提供される選択的アンドロゲン受容体モジュレーターを用いて治療され得る症状の例としては、限定はされないが、性腺機能低下症、消耗性疾患、癌悪液質、虚弱、不妊症、骨粗鬆症、多毛症、ざ瘡、男性型脱毛症、前立腺肥大症、および癌(限定はされないが、様々なホルモン依存性の癌(制限はしないが前立腺および乳癌を含む)が含まれる)が挙げられる。ある特定の実施態様において、選択的アンドロゲン受容体アゴニストまたは部分アゴニストが男性ホルモン補充療法において用いられる。ある特定の実施態様において、1つ以上の選択的アンドロゲン受容体アゴニストおよび/または 部分アゴニストが、造血を刺激するために用いられる。ある特定の実施態様において、選択的アンドロゲン受容体アゴニストまたは部分アゴニストがタンパク質同化薬として用いられる。ある特定の実施態様において、選択的アンドロゲン受容体アゴニストおよび/または部分アゴニストが運動能力を改善するために用いられる。 別の実施態様において、式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、ARモジュレーター化合物に反応する症状を治療するために対象に投与する。該方法には、ARモジュレーター化合物に反応する症状を有する対象に、治療上有効な量の1つ以上の本明細書において提供される化合物を投与してARモジュレーター化合物に反応する症状を治療することが含まれる。いくつかの実施態様において、該症状はアンドロゲン受容体を刺激することによって治療される。いくつかの実施態様において、該症状はアンドロゲン受容体を拮抗することによって治療される。様々な実施態様において、治療される症状は、性腺機能低下症、正常よりも低いテストステロン血漿レベル、不妊症、性的興奮障害、リビドーの障害、筋消耗、悪液質、筋肉減少症、虚弱、骨密度減少、気分障害(健康感の欠如、活力の欠如、怒り、易刺激性、悲しみ、疲労、神経過敏およびうつ病が含まれる)、認知機能障害(言語流暢性および空間記憶が含まれる)、神経変性障害(アルツハイマー病、軽度の認知機能障害、レビー小体型(Lewis body)認知症、および前頭側頭型認知症が含まれる)、眼球乾燥症、代謝障害(脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、およびインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)が含まれる)、心血管障害(限定はされないが、高血圧、冠動脈疾患、および心筋血流が含まれる)、肥満症、貧血、前立腺癌、および統合失調症の中から選択される。他の実施態様において、式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象の症状を予防するために対象に投与することができる。様々な実施態様において、予防される症状には、骨密度減少、眼球乾燥症、代謝障害(脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、およびインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)が含まれる)、心血管障害(高血圧、冠動脈疾患、および心筋血流が含まれる)、肥満症、ならびに前立腺癌が含まれる。 ある特定の実施態様において、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグが、ざ瘡、男性型脱毛症、消耗性疾患、多毛症、性腺機能低下症、骨粗鬆症、不妊症、インポテンス、肥満症、および癌の治療のために用いられる。ある特定の実施態様において、1つ以上の本明細書において提供される化合物が造血を刺激するために用いられる。ある特定の実施態様において、1つ以上の本明細書において提供される化合物が避妊のために用いられる。 ある特定の実施態様において、アンドロゲン欠乏症により引き起こされる症状またはアンドロゲン補充により寛解される症状を有する対象の治療方法を提供する。該方法には、治療上有効な量の1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを該対象に投与することによって該症状を治療すること、が含まれる。ある特定の実施態様において、該症状は、腹部肥満症、アルツハイマー病、貧血、関節炎の症状、アテローム性動脈硬化症、良性の前立腺肥大症(BPH)、癌悪液質、認知機能低下、うつ病、メタボリックシンドローム、筋ジストロフィー、肥満症、骨減少症、骨粗鬆症、歯周病、前立腺癌、性機能低下、睡眠時無呼吸、2型糖尿病、骨折、虚弱、消耗、皮膚の老化、性腺機能低下症、女性における閉経後の症状、女性の性機能低下、早期閉経、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、再生不良性貧血および他の造血障害、膵癌、腎癌、関節炎、ならびに関節修復の中から選択される。1. 筋消耗の治療方法 ある特定の実施態様において、対象における筋消耗の治療、予防、抑制、阻害、または発生率の低減方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象における筋消耗を治療、予防、抑制、阻害または低減するのに有効な量で、対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該筋消耗は、男性更年期、脊髄性筋萎縮症、筋ジストロフィー、重症筋無力症、AIDS悪液質、心臓悪液質、癌悪液質、癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、糖尿病、HIV感染症、後天性免疫不全症候群(AIDS)、敗血症、結核、腎不全、心不全、心筋症、ベッド安静、廃用性、不動性、微小重力、栄養障害、筋肉減少症、および老化の中から選択される症状により引き起こされる。いくつかの実施態様において、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグが対象に経口投与される。1つの方法において、本明細書において提供される化合物が筋ジストロフィー、筋肉減少症および虚弱の治療方法において用いられる。一実施態様において、該方法には、1つ以上の本明細書において提供される化合物を、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-4(IL-4)、TNF阻害剤、フッ素化4-アザステロイド誘導体、グリア細胞増殖因子、アセチルコリン受容体誘導活性剤(ARIA)、ヘレグリン、Neu分化因子、およびニューレグリンの中から選択される1つ以上の薬剤と共投与することが含まれる(例えば、米国特許第6444642号および第7037888参照)。 一実施態様において、慢性疾患に関連する筋消耗症状の治療方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、筋消耗症状の治療に有効な量で対象に投与することが含まれる。一実施態様において、対象における筋消耗障害の予防方法を提供し、それには、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象における筋消耗障害を予防するのに有効な量で対象に投与することが含まれる。一実施態様において、対象における筋消耗障害を抑制する方法を提供し、それには、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象における筋消耗障害を抑制するのに有効な量で対象に投与することが含まれる。一実施態様において、対象における筋消耗障害の発生率を低減する方法を提供し、それには、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象における筋消耗障害を抑制するのに有効な量で対象に投与することが含まれる。 筋消耗性疾患に対する治療が必要な対象を同定する方法が当分野で知られている。例えば、筋消耗性疾患に対する治療が必要な対象は、しばしば筋収縮の間の電気的活動が健康な対象に比べて低く、これは筋電図検査により検出され得る。診断についての別法としては、例えば、血液検査および筋生検が挙げられる。適切には、筋肉および筋繊維の様々な成分のレベルを決定するために、血液検査が実施され得る。例えば、多くの筋消耗性疾患は、血液中のクレアチニンレベルを測定する血液検査を実施することによって診断され得る。クレアチニンは、筋肉の重要な成分であるクレアチンの分解産物である。クレアチンホスホキナーゼ(CPK)(主に心臓、脳、および骨格筋において見られる酵素である)の量を決定するための血液検査を実施して、筋消耗性疾患の治療が必要な対象を診断することができる。具体的には、総CPKレベルが実質的に上昇している場合、それは通常、心臓、脳および骨格筋の1つ以上に対する損傷もしくはストレスを示す。デュシェンヌ型筋ジストロフィーまたはベッカー型筋ジストロフィーのいずれかに冒されている可能性のある対象は、ジストロフィンのレベルを測定することにより診断され得る。通常、デュシェンヌ型筋ジストロフィーまたはベッカー型筋ジストロフィーのいずれかである対象において、ジストロフィンのレベルは低下している; しかし、デュシェンヌ型筋ジストロフィーである対象において、該レベルはより重篤に低下している。 筋生検もまた、筋消耗性疾患に対する治療が必要な対象を同定するのに用いることができる。一般に、筋生検において、実験室分析のために筋組織の小片を外科的に取り出す。該分析により、筋肉における異常(例えば、炎症、損傷、または感染)を明らかにすることができる。該対象はまた、筋消耗性疾患について、磁気共鳴画像法(MRI)を用いて診断され得る。MRIにおいて、磁場および電波によって筋肉の断面像が得られる。筋生検分析と同様に、MRIによって得られた画像により、筋肉における異常(例えば、炎症、損傷、または感染)を明らかにすることができる。2. 筋の能力、サイズおよび/または強度の改善方法 ある特定の実施態様において、対象における、筋の能力、筋のサイズ、筋力、またはそれらのいずれの組み合わせを増大させる方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象における筋の能力、筋のサイズ、および/または筋力を増大させるのに有効な量で対象に投与することが含まれる。 いくつかの実施態様において、筋組織におけるアンドロゲン受容体の機能を活性化し、雄個体の前立腺または雌個体の子宮におけるアンドロゲン受容体の機能を遮断もしくは阻害する方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、筋組織におけるアンドロゲン受容体の機能を活性化し、雄個体の前立腺または雌個体の子宮におけるアンドロゲン受容体の機能を遮断もしくは阻害するのに有効な量で、対象に投与することが含まれる。3. 運動能力の改善方法 ある特定の実施態様において、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを用いて運動能力を改善する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを治療上有効な量で投与して運動能力を改善することが含まれる。いくつかの実施態様において、1つ以上の本明細書において提供される化合物を用いて、例えば、身体運動からの回復に通常必要とされる時間を短縮するか、または筋力を増大させる。1つ以上の本明細書において提供される化合物を投与することができる競技動物としては、限定はされないが、ウマ、イヌ、およびヒトが挙げられる。ある特定の実施態様において、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、プロまたはアマチュア競技(限定はされないが、重量挙げ、ボディビル、陸上競技、および様々な団体競技のいずれかが含まれる)に取り組んでいる競技者に投与する。4. 骨-関連症状の治療方法 ある特定の実施態様において、対象における骨粗鬆症、骨減少症、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症または骨折の、治療、予防、抑制、阻害、もしくは発生率の低減方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象における骨粗鬆症、骨減少症、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症または骨折を治療するのに有効な量で、対象に投与することが含まれる。一実施態様において、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、有効な量の少なくとも1つ他の治療薬、例えば、エストロゲンまたはエストロゲン誘導体の単独、またはプロゲスチンもしくはプロゲスチン誘導体; ビスホスホネート; 抗エストロゲン薬; 選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM); αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト; カテプシン阻害剤; プロトンポンプ阻害剤; PPARγ阻害剤; カルシトニン; およびオステオプロテジェリンとの組み合わせと共投与する。一実施態様において、該方法は骨粗鬆症の治療のためのものである。一実施態様において、該方法は骨減少症のためのものである。一実施態様において、該方法はグルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の治療のためのものである。一実施態様において、該方法は骨折の治療のためのものである。 いくつかの実施態様において、骨組織におけるアンドロゲン受容体の機能を活性化し、雄個体の前立腺または雌個体の子宮におけるアンドロゲン受容体の機能を遮断もしくは阻害する方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、骨組織におけるアンドロゲン受容体の機能を活性化し、雄個体の前立腺または雌個体の子宮におけるアンドロゲン受容体の機能を遮断もしくは阻害するのに有効な量で、対象に投与することが含まれる。 ある特定の実施態様において、対象の骨の強度もしくは骨質量の増大方法、または対象における骨形成の促進のための方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象の骨の強度もしくは骨質量を増大させるか、または対象における骨形成を促進するのに有効な量で、投与することが含まれる。 いくつかの実施態様において、対象における骨関連障害の予防方法を提供し、それには、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象における骨関連障害を予防するのに有効な量で投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、対象における骨関連障害を抑制する方法を提供し、それには、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象における骨関連障害を抑制するのに有効な量で投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、対象における骨関連障害を阻害する方法を提供し、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象における骨関連障害を阻害するのに有効な量で投与することが含まれる。 一実施態様において、該骨関連障害は骨粗鬆症である。別の実施態様において、該骨関連障害は骨減少症であり、別の実施態様において、該骨関連障害は骨吸収の増大である。別の実施態様において、該骨関連障害は骨折である。別の実施態様において、該骨関連障害は骨の虚弱である。別の実施態様において、該骨関連障害は、骨粗鬆症、骨減少症、骨吸収の増大、骨折および骨の虚弱のいずれの組み合わせである。 一実施態様において、該骨粗鬆症はアンドロゲン欠乏に起因する。別の実施態様において、該骨粗鬆症はアンドロゲン欠乏の結果として生じる。別の実施態様において、該骨粗鬆症は原発性骨粗鬆症である。別の実施態様において、該骨粗鬆症は続発生骨粗鬆症である。別の実施態様において、該骨粗鬆症は閉経後骨粗鬆症である。別の実施態様において、該骨粗鬆症は若年生骨粗鬆症である。別の実施態様において、該骨粗鬆症は特発性骨粗鬆症である。別の実施態様において、該骨粗鬆症は老人性骨粗鬆症である。5. 癌の治療方法 ある特定の実施態様において、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象における癌の治療、予防、抑制、阻害、または発生率の低減のために用いる。ある特定の癌の例としては、限定はされないが、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、神経膠腫、頭頸部扁平上皮癌、皮膚癌、乳頭状腎癌、白血病、リンパ腫、リ・フラウメニ症候群、悪性胸膜中皮腫、メラノーマ、多発性骨髄腫、非小細胞肺癌、滑膜肉腫、甲状腺癌、膀胱の移行上皮癌、および前立腺癌(限定はされないが前立腺肥大症が含まれる)が挙げられる。該方法には、1つ以上の 本明細書において提供される化合物を治療上有効な量で投与して該癌を治療することが含まれる。一実施態様において、1つ以上の本明細書において提供される化合物を癌の症状に苦しめられている対象に投与すると、癌細胞を死滅させることによって癌の症状が軽減される。一実施態様において、1つ以上の本明細書において提供される化合物を癌の症状に苦しめられている対象に投与すると、癌の増殖および/または転移の阻害がもたらされる。 いくつかの実施態様において、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、1つ以上の他の治療薬、例えば、限定はされないが、抗増殖薬(例えば、パクリタキセル、パクリタキセル誘導体、タキサンおよびビンカアルカロイド)、抗腫瘍薬(例えば、マイトマイシンCまたはドキソルビシン)、ホルモンおよびアンタゴニスト(例えば、副腎皮質ステロイド(プレドニゾン)、プロゲスチン(ヒドロキシプロゲステロンカプロン酸エステル、酢酸メドロプロゲステロン(medroprogesterone acetate)およびメゲストロールアセテート)、エストロゲン(ジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオール)、抗エストロゲン薬(タモキシフェン)、およびアンドロゲン(プロピオン酸テストステロンおよびフルオキシメステロン)、放射性核種、毒素および細胞傷害性薬物、ホウ素付加物(boron addend)、化学療法薬、光線力学的療法色素、ならびに抗生物質、あるいはそれらの組み合わせ、と組み合わせて投与して癌を治療する。細胞における細胞毒性効果を有する多くの毒素および細胞傷害性薬物が当分野において知られており、本明細書において提供される方法に関連して用いられ得る。本方法において有用な公知の細胞傷害性薬物の例が、例えば、Goodman et al., ”The Pharmacological Basis of Therapeutics,” Sixth Edition, A. G. Gilman et al., eds., Macmillan Publishing Co., New York (1980)に記載されている。これらには、限定はされないが、副腎皮質抑制剤、例えばミトタン; スルホン酸アルキル、例えばブスルファン; エチレンイミン誘導体、例えばチオテパ; ニトロソウレア、例えばカルムスチン、ロムスチン、セムスチンおよびストレプトゾシン; 葉酸アナログ、例えばメトトレキサート; メチルヒドラジン誘導体、例えばプロカルバジン; ナイトロジェンマスタード、例えばメクロレタミン、シクロホスファミド、メルファラン、ウラシルマスタードおよびクロラムブシル; プリンアナログ、例えばメルカプトプリンおよびチオグアニン; ピリミジンアナログ、例えばフルオロウラシル、シタラビンおよびアザリビン; 置換尿素化合物、例えばヒドロキシウレア; タキソール; トリアゼン、例えばダカルバジン; ならびに、ビンカアルカロイド、例えばビンブラスチンおよびビンクリスチンが含まれる。 当分野で公知のいずれの抗生物質、例えばアミノグリコシド、ブレオマイシン、セファロスポリンおよび他のβ-ラクタム抗生物質、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フンジン酸、マクロライド、メトロニダゾール、ミトラマイシン、マイトマイシン、ムピロシン、ペニシリン、リファマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリン、トリメトプリム、ならびにβ-ラクタム阻害剤が、該製剤に含まれ得る。細胞内タンパク質合成を干渉する薬剤もまた、本明細書に提供される方法において用いることができ; そのような薬剤は当業者に知られており、ピューロマイシン、シクロヘキシミド、およびリボヌクレアーゼが含まれる。 本明細書において提供される方法には、癌の治療のための光線力学的療法ならびに適当な非イオン性およびイオン性放射と関連して用いられる色素と組み合わせた、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグの投与も含まれる。ポルフィリンおよび光線力学的療法において用いられる他の色素の使用を、本明細書における方法で用いることができる。癌の治療のための光線力学的療法は当分野において周知である(例えば、米国特許第7,018,395号、第7,011,812号、第6,806,284号、第6,723,750号、第6,710,066号、第6,630,128号および第6,622,729号参照)。6. 前立腺癌の治療方法 ある特定の実施態様において、対象における前立腺癌の治療、予防、抑制、阻害、または発生率の低減方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを治療上有効な量で投与して該癌を治療することが含まれる。いくつかの実施態様において、該前立腺癌はアンドロゲン依存性前立腺癌である。ある特定の実施態様において、該前立腺癌はアンドロゲン非依存性前立腺癌である。ある特定の実施態様において、該前立腺癌は、アンドロゲン非依存性であるがアンドロゲン受容体依存性前立腺癌である。いくつかの実施態様において、前立腺癌に苦しめられている対象への1つ以上の本明細書において提供される化合物の投与は、癌細胞を死滅させることによって前立腺癌を寛解する。一実施態様において、前立腺癌に苦しめられている対象への1つ以上の本明細書において提供される化合物の投与は、前立腺癌の増殖および/または転移の阻害をもたらす。いくつかの実施態様において、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグは、別の治療薬(限定はされないが、フルタミド、ビカルタミドおよびニルタミドが含まれる)、前立腺腫瘍抗原に結合することにより前立腺腫瘍と反応するように選択的に標的とし得る抗腫瘍薬(例えば毒素および細胞傷害性薬物)、および放射性核種と共投与される。 ある特定の実施態様において、前立腺癌を患っている対象における前立腺癌の進行の遅延のための方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象における前立腺癌の進行を遅延するのに有効な量で、対象に投与することが含まれる。7. 避妊方法 ある特定の実施態様において、対象において避妊をもたらす方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象において避妊をもたらすのに有効な量で対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、男性対象において避妊をもたらす方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象における精子産生を抑制するのに有効な量で対象に投与し、それにより対象において避妊をもたらすことが含まれる。一実施態様において、本明細書において提供される化合物は、対象における精子形成を阻害する。一実施態様において、該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、アンドロゲン、例えば19-ノルテストステロン、7α-メチル-19-ノルテストステロンおよび5α-ジヒドロ-テストステロンと共投与することが含まれる。一実施態様において、該方法には、ARアンタゴニストである式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、テストステロンと共投与することが含まれる。8. ホルモン療法の提供方法 ある特定の実施態様において、対象にホルモン療法を提供する方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、アンドロゲン受容体活性を調節するのに有効な量で対象に投与し、それによってアンドロゲン依存性の症状における変化をもたらすことが含まれる。9. 閉経後の症状の治療方法 ある特定の実施態様において、対象における閉経後の症状の治療、予防、抑制、阻害、または発生率の低減方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、閉経後の症状を治療するのに有効な量で対象に投与することが含まれる。一実施態様において、該方法により治療される閉経後の症状には、限定はされないが、リビドー減退、性行為の減少、身体的健康感の低下、疲労およびのぼせが含まれる。一実施態様において、該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、1つ以上のエストロゲン(例えば、エストロン、2-ヒドロキシエストロン、2-メトキシエストロン、4-ヒドロキシエストロン、15-α-ヒドロキシエストロン、16-α-ヒドロキシエストロン、16-β-ヒドロキシエストロン、エストラジオール (17β-エストラジオール)、2-ヒドロキシ-エストラジオール、2-メトキシ-エストラジオール、4-ヒドロキシ-エストラジオール、16-オキソエストラジオール、エストリオール、16-エピエストリオールおよび17-エピエストリオールまたはそれらの組み合わせ)と共投与することが含まれる。一実施態様において、該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、1つ以上のエストロゲン様化合物(例えば、エストラジオールバレラート、エストロン、エストロンスルフェート、エストロンスルフェートピペラジン塩もしくはそれらのエステル)または合成エストロゲンと共投与することが含まれる。一実施態様において、該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、アレンドロネート、カルシトニン、クロドロネート、クロミフェン、クロミフェンシトレート、クロニジン、結合型エストロゲン、天然エストロゲン、合成エストロゲン、エチニルエストラジオール、エストラジオール、エンクロミフェン、エンクロミフェンシトレート、エチドロネート、イバンドロネート、酢酸メドロキシプロゲステロン、メゲストロールアセテート、ノルエチンドロンアセテート、パミドロネート、プロゲステロン、リセドロネート、チルドロネート、ズクロミフェン、ズクロミフェンシトレートおよびそれらの組み合わせの中から選択される1つ以上の剤と共投与することが含まれる。10. 造血障害の治療方法 本明細書はまた、対象における造血障害の治療、予防、抑制、阻害、または発生率の低減方法も提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、造血障害を治療するのに有効な量で対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該造血障害には、限定はされないが、貧血、白血病、ならびに骨髄移植または化学/放射線療法により引き起こされる造血系の症状が含まれる。また、赤血球の数の増大を必要とする哺乳動物においてそれをもたらす方法も提供する。該方法には、治療上有効な量の1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象における赤血球の数を増大させるのに有効な量で投与することが含まれる。また、対象における貧血、血小板減少症または好中球減少症の治療方法も提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、哺乳動物における貧血、血小板減少症または好中球減少症を治療するのに有効な量で、治療が必要な対象に投与することが含まれる。これらの方法のいくつかの実施態様において、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグは、治療上有効な量の少なくとも1つの造血サイトカインと共投与される。いくつかの実施態様において、該造血サイトカインは、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、インターロイキン-1、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-5、インターロイキン-7、インターロイキン-9、インターロイキン-11、マクロファージコロニー刺激因子、幹細胞因子およびトロンボポエチンの中から選択される。 また、対象における血清EPOレベルの増大方法も提供する。該方法には、治療上有効な量の1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象における血清EPOレベルを増大させるのに有効な量で投与することが含まれる。11. 神経変性疾患および障害の治療方法 いくつかの実施態様において、対象における神経変性疾患または障害の、治療、予防、抑制、阻害、もしくは発生率の低減方法を提供する。該方法には、神経変性疾患または障害を有する対象に、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、神経変性疾患または障害を治療するのに有効な量で投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該神経変性障害はアルツハイマー病である。いくつかの実施態様において、患者におけるアルツハイマー病の発症の予防方法または進行の遅延方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象におけるアルツハイマー病の発症を予防するかもしくは進行を遅延するのに有効な量で対象に投与することが含まれる。該方法には、有効な量の1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、β-アミロイドの形成または放出を阻害する治療的に有効な量の化合物と共投与することが含まれ得る。 β-アミロイドの形成または放出の公知の阻害剤のいずれかを該方法において用いることができ、限定はされないが、米国特許出願公開第2002/0025955号、第2002/0022621号、および第2003/0114496号、ならびにWO 03/018543、WO 01/53255、WO 01/66564、WO 01/70677、WO 01/90084、WO 01/77144、WO 02/30912、WO 02/36555、WO 02/081435、WO 02/081433、WO 98/28268、WO 02/47671、WO 99/67221、WO 01/34639、WO 01/34571、WO 00/07995、WO 00/38618、WO 01/92235、WO 01/77086、WO 01/74784、WO 01/74796、WO 01/74783、WO 01/60826、WO 01/19797、WO 01/27108、WO 01/27091、WO 00/50391およびWO 02/057252に記載されている化合物が含まれる。12. 認知機能障害の治療方法 また、対象における認知機能障害の治療、予防、抑制、阻害、または発生率の低減方法も提供する。該方法には、認知機能障害を有する対象に、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、認知機能障害の治療に有効な量で投与することが含まれる。13. うつ病の治療方法 また、対象におけるうつ病の治療、予防、抑制、阻害、または発生率の低減方法も提供する。該方法には、認知機能障害を有する対象に、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、うつ病の治療に有効な量で投与することが含まれる。14. 肥満症の治療方法 また、対象における肥満症の治療、予防、抑制、阻害、または発生率の低減方法も提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、肥満症の治療に有効な量で対象に投与することが含まれる。一実施態様において、ARアゴニストである式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを用いて、腹部肥満症の男性対象を治療する。一実施態様において、ARアンタゴニストである式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを用いて、腹部肥満症の女性対象を治療する。15. インスリン抵抗性および糖尿病の治療方法 対象におけるインスリン抵抗性の治療、予防、抑制、阻害、または発生率の低減方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、インスリン抵抗性の治療に有効な量で対象に投与することが含まれる。また、対象における2型糖尿病の治療、予防、抑制、阻害、または発生率の低減方法も提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、2型糖尿病の治療に有効な量で対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、糖尿病の治療方法には、有効な量の1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、有効な量の抗糖尿病薬、例えば、限定はされないが、チアゾリジンジオン-タイプの薬剤(例えばピオグリタゾンもしくはロシグリタゾン)、スルホニルウレア-タイプの薬剤(例えばクロルプロパミド、グリメピリド、グリピジド、グリブリドもしくはトルブタミド)、ビグアナイド-タイプの薬剤(例えばメトホルミン)、エクセナチド、アカルボース、レパグリニド、ナテグリニド、トラザミド、またはそれらの組み合わせと共投与することが含まれる。 また、インスリン抵抗性とともに特徴的に現れる、動脈性高血圧、高インスリン血症、高血糖症または脂質異常症の、治療、予防、抑制、阻害、もしくは発生率の低減方法も提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、インスリン抵抗性とともに特徴的に現れる、動脈性高血圧、高インスリン血症、高血糖症、2型糖尿病または脂質異常症の治療に有効な量で対象に投与することが含まれる。16. 性機能低下の治療方法 ある特定の実施態様において、対象における性機能低下の治療、予防、抑制、阻害、または発生率の低減方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象における性機能低下の治療または予防に有効な量で対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該性機能低下は男性の勃起不全である。いくつかの実施態様において、該性機能低下はインポテンスである。 ある特定の実施態様において、男性または女性対象のリビドーの増大方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象のリビドーを増大させるのに有効な量で、それを必要とする対象に投与することが含まれる。17. 関節炎の症状および炎症性の障害の治療方法 また、関節炎の症状または炎症性の障害の、治療、予防、抑制、阻害、もしくは発生率の低減方法も提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、関節炎の症状または炎症性の障害の治療もしくは予防に有効な量で投与することが含まれる。一実施態様において、該関節炎の症状または炎症性の障害は、変形性関節症、ベーチェット病、滑液包炎、腱炎、CPPD沈着症、手根管症候群、エーラース・ダンロス症候群、線維筋痛症、痛風、感染性関節炎、炎症性腸疾患、若年性関節炎、エリテマトーデス、ライム病、マルファン症候群、筋炎、変形性関節症、骨形成不全症、骨壊死、多発性動脈炎、リウマチ性多発筋痛、乾癬性関節炎、レイノー現象、反射性交感神経性ジストロフィー、ライター症候群、関節リウマチ、強皮症およびシェーグレン症候群の中から選択される。一実施態様において、該方法は変形性関節症の治療、予防、抑制、阻害、または発生率の低減のためのものであり、それには、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを変形性関節症の治療または予防に有効な量で投与することが含まれる。これらの方法のある特定の実施態様において、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグは、関節炎の症状を治療もしくは予防することが知られている1つ以上の薬剤または剤(例えば、副腎皮質ステロイド、細胞傷害性薬物(または他の疾患調節もしくは寛解導入薬)、金製剤、メトトレキサート、アスピリン、NSAID、COX-2阻害剤、およびDMARD(疾患修飾性抗リウマチ薬)と共投与される。 DMARDの例としては、限定はされないが、レフルノミド、オーラノフィン、スルファサラジン、ミコフェノール酸、ミオクリシン、シクロスポリン、シクロホスファミド、アザチオプリン、クロラムブシル、メトトレキサート、ミノサイクリン、ペニシラミンおよびヒドロキシクロロキンが挙げられる。NSAIDの例としては、限定はされないが、ジクロフェナク/ミソプロストール、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセンおよびナプロキセンナトリウム、オキサプロジン、ピロキシカム、ナトリウムスリンダク、ならびにトルメチンが挙げられる。COX-2阻害剤の例としては、限定はされないが、セレコキシブ、ロフェコキシブおよびバルデコキシブが挙げられる。18. 脂質プロファイルの改善方法 ある特定の実施態様において、対象における脂質プロファイルの改善方法を提供する。 該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象における脂質プロファイルに影響を与えるのに有効な量で対象に投与することが含まれる。一実施態様において、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、別の剤、例えば、抗-コレステロール薬または脂質低下薬、例えば、限定はされないが、β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸、ラクトフェリン、コレスチラミン、コレスチポール、コレセベラム、ニコチン酸、フィブリン酸(ゲムフィブロジル、フェノフィブレートおよびクロフィブレート)、およびHMG-coA還元酵素阻害剤(ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチンおよびセリバスタチン)と共投与する。 ある特定の実施態様において、対象における血中脂質レベルの低下方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象における血中脂質レベルを低下するのに有効な量で対象に投与することが含まれる。19. アテローム性動脈硬化症の治療方法 ある特定の実施態様において、対象におけるアテローム性動脈硬化症およびその関連疾患(心血管障害、脳血管障害、末梢血管障害、および腸管血管障害が含まれる)の治療、予防、抑制、阻害、または発生率の低減方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、単独または選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)化合物と組み合わせて、対象に投与することが含まれる。20. アンドロゲン低下に関連する症状の治療方法 ある特定の実施態様において、例えば男性対象におけるアンドロゲン低下に関連する症状の治療、予防、抑制、阻害、または発生率の低減方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象におけるアンドロゲン低下に関連する症状を治療するのに有効な量で対象に投与することが含まれる。いくつかの実施態様において、該症状は、疲労、うつ病、リビドー減退、性機能低下、勃起不全、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛、肥満症、筋肉減少症、骨減少症、良性の前立腺肥大、貧血、気分および認知における変化、ならびに前立腺癌の中から選択される。21. アンドロゲン欠乏症に関連する症状の治療方法 ある特定の実施態様において、例えば女性対象におけるアンドロゲン欠乏症に関連する症状の治療、予防、抑制、阻害、または発生率の低減方法を提供する。該方法には、1つ以上の式I、IIもしくはIIIの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくはプロドラッグを、対象におけるアンドロゲン低下に関連する症状を治療するのに有効な量で対象に投与することが含まれる。一実施態様において、該症状は、性機能低下、性的リビドーの減退、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、情緒および認知における変化、うつ病、貧血、脱毛、肥満症、子宮内膜症、乳癌、子宮癌、ならびに卵巣癌の中から選択される。J. 組み合わせ療法 ある特定の実施態様において、本明細書において提供される1つ以上の化合物または組成物を1つ以上の他の治療薬と共投与することができる。ある特定の実施態様において、そのような1つ以上の他の治療薬は、本明細書において提供される1つ以上の化合物または医薬組成物と同一の疾患もしくは症状を治療するように設計される。ある特定の実施態様において、そのような1つ以上の他の治療薬は、本明細書において提供される1つ以上の化合物または組成物と異なる疾患もしくは症状を治療するように設計される。ある特定の実施態様において、そのような1つ以上の他の治療薬は、本明細書において提供される1つ以上の化合物または組成物の望ましくない作用を治療するように設計される。ある特定の実施態様において、本明細書において提供される1つ以上の化合物または組成物を別の治療薬と共投与して、他の剤の望ましくない作用を治療する。 ある特定の実施態様において、本明細書において提供される化合物もしくは組成物および1つ以上の他の治療薬は同時に投与される。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物もしくは組成物および1つ以上の他の治療薬は異なる時間に投与される。ある特定の実施態様において、本明細書において提供される化合物もしくは組成物および1つ以上の他の治療薬は、単一の製剤中に一緒に製造される。ある特定の実施態様において、本明細書において提供される化合物もしくは組成物および1つ以上の他の治療薬は別個に製造される。 本明細書において提供される化合物または組成物と共投与することができる治療薬の例としては、限定はされないが、鎮痛薬(例えば、アセトアミノフェン); 非ステロイド性 抗炎症薬(例えば、イブプロフェン、COX-1阻害剤およびCOX-2阻害剤)を含む、抗炎症薬; サリチレート; 抗生物質; 抗ウイルス薬; 抗真菌薬; 抗糖尿病薬(例えば、ビグアナイド、グルコシダーゼ阻害剤、インスリン、スルホニルウレア、およびチアゾリジンジオン(thiazolidenedione)); アドレナリン修飾薬; 利尿剤; ホルモン(例えば、タンパク質同化ステロイド、アンドロゲン、エストロゲン、カルシトニン、プロゲスチン、ソマトスタチン(somatostan)、および甲状腺ホルモン); 免疫調節薬; 筋弛緩薬; 抗ヒスタミン薬; 骨粗鬆症薬(例えば、ビスホスホネート、カルシトニン、およびエストロゲン); プロスタグランジン、抗悪性腫瘍薬; 精神治療薬; 鎮静薬; 抗体; ならびにワクチンが挙げられる。 他の実施態様において、本明細書において提供される化合物または組成物と共投与することができる治療薬としては、限定はされないが、核ホルモン受容体の他のモジュレーターまたは前述の障害の治療に有用な他の適切な治療薬(抗糖尿病薬; 抗骨粗鬆症薬; 抗肥満症薬; 抗炎症薬; 抗不安薬; 抗うつ薬; 降圧薬; 抗血小板薬; 抗血栓薬および血小板溶解薬; 強心配糖体; コレステロール/脂質低下薬; 鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト; ホスホジエステラーゼ阻害剤; タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤; 甲状腺模倣薬(甲状腺受容体アゴニストが含まれる); タンパク質同化薬; HIVまたはAIDS治療薬; アルツハイマーおよび他の認知障害の治療で用いられる治療薬; 睡眠障害の治療で用いられる治療薬; 抗増殖薬; 抗腫瘍薬; ビスホスホネート; エストロゲン; SERM; 抗エストロゲン薬; カテプシン阻害剤; αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト; カルシトニン; PPARγ阻害剤; オステオプロテジェリン; ならびにプロトンポンプ阻害剤が含まれる)が挙げら得る。K. 実施例 実験および得られた結果を含む以下の実施例は、単に例示目的で提供するものであり、特許請求の範囲の内容を制限するものであると解釈されるべきではない。実施例1R,R-4-(2-(1-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジニル)-2-トリフルオロメチル-ベンゾニトリル(化合物101)および4-(2(R)-(1(S)-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)-ピロリジニル)-2-トリフルオロメチルベンゾニトリル(化合物102) THF中のD-プロリノール、4-フルオロ-2-トリフルオロメチルベンゾニトリル、および トリエチルアミンの混合液を、60℃で終夜撹拌した。該反応混合液の標準的なワークアップにより、R-4-(2-ヒドロキシメチルピロリジニル)-2-トリフルオロメチル-ベンゾニトリルを好収率で得た。該中間体アルコールをピリジン-三酸化硫黄コンプレックスにより酸化して、R-4-(2-ホルミル-ピロリジニル)-2-トリフルオロメチル-ベンゾニトリルを得た。該アルデヒド中間体をトリメチル(トリフルオロメチル)-シランを用いて処理し、2つのジアステレオマーの混合物を得た。HPLC分離により、純粋な形態の化合物101および102を得た。 化合物101: 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) 7.59 (d, J = 8.8, 1H), 7.07 (d, J = 2.9, 1H), 6.92 (dd, J = 8.8 および 2.9, 1H), 4.24 (t, J = 7.5, 1H), 3.91 (t, J = 6.3, 1H), 3.63 (dd, J = 7.8 および 9.3, 1H), 3.29 (td, J = 6.9 および 9.7, 1H), 2.55 (s, 1H), および2.05-2.23 (m, 4H). 化合物102: 1H-NMR (500 MHz, アセトン-d6) 7.78 (d, J = 8.8, 1H), 7.01 (d, J = 2.9, 1H), 6.94 (dd, J = 8.8 および 2.9, 1H), 5.68 (bd, J = 3.3, 1H), 4.44-4.50 (m, 1H), 4.36 (d, J = 8.3, 1H), 3.64-3.77 (m, 1H), 3.44 (td, J = 9.8 および 7.8, 1H), 2.30-2.47 (m, 2H), および2.07-2.17 (m, 2H). 実施例2R,R,R-4-(2-(1-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)-5-メチルピロリジニル)-2-トリフルオロ-メチルベンゾニトリル(化合物103)および4-(2(R)-(1(S)-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)-5(R)-メチルピロリジニル)-2-トリフルオロメチルベンゾニトリル(化合物104) 化合物103および104は、実施例1における記載と同様の方法で、出発物質としてD-ピログルタミン酸を用いることにより、製造することができる。 化合物103: 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) 7.54 (d, 1H, J = 8.5), 6.88 (d, 1H, J = 2.3), 6.68 (dd, 1H, J = 8.5 および 2.3), 4.41-4.32 (m, 1H), 4.19-4.15 (m, 1H), 3.98-3.93 (m, 1H), 2.79 (d, 1H, J = 5.6), 2.59-2.49 (m, 1H), 2.17-1.98 (m, 2H), 1.93-1.85 (m, 1H), 1.35 (d, 3H, J = 6.1). 化合物104: 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) 7.62 (d, 1H, J = 8.8), 7.16 (d, 1H, J = 2.3), 6.99 (dd, 1H, J = 8.8 および 2.3), 4.21-4.15 (m, 1H), 3.95-3.84 (m, 2H), 2.60 (d, 1H, J = 3.5), 2.43-2.34 (m, 1H), 2.04-1.99 (m, 2H), 1.94-1.72 (m, 1H), 1.40 (d, 3H, J = 6.1).実施例3R,R-4-(2-(1-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジニル)-2-クロロベンゾニトリル(化合物105)および4-(2(R)-(1(S)-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジニル)-2-クロロベンゾニトリル(化合物106) 化合物105および106は、実施例1における記載と同様の方法で、出発物質として2-クロロ-4-フルオロベンゾニトリルを用いることにより、製造することができる。実施例4R,R,R-4-(2-(1-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)-5-メチルピロリジニル)-2-クロロベンゾニトリル(化合物107)および4-(2(R)-(1(S)-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)-5(R)-メチルピロリジニル)-2-クロロベンゾニトリル(化合物108) 化合物107および108は、実施例1における記載と同様の方法で、出発物質として2-クロロ-4-フルオロベンゾニトリルを用いることにより、製造することができる。 化合物107: 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) 7.39(d, 1H, J = 8.8), 6.61 (d, 1H, J = 2.3), 6.46 (dd, 1H, J = 8.8 および 2.3), 4.41-4.36 (m, 1H), 4.14-4.09 (m, 1H), 3.93-3.88 (m, 1H), 2.78 (d, 1H, J = 5.6), 2.55-2.49 (m, 1H), 2.13-1.98 (m, 2H), 1.88-1.81 (m, 1H), 1.33 (d, 3H, J = 6.4). 化合物108: 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) 7.45 (d, 1H, J = 9.1), 6.89 (d, 1H, J = 2.3), 6.76 (dd, 1H, J = 9.1 および 2.3), 4.15-4.09 (m, 1H), 3.89-3.80 (m, 2H), 2.66 (d, 1H, J = 2.6), 2.41-2.31 (m, 1H), 2.03-1.96 (m, 2H), 1.82-1.69 (m, 1H), 1.38 (d, 3H, J = 6.2).実施例5R,R-4-(2-(1-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジニル)-2-クロロ-3-メチル-ベンゾニトリル(化合物109)および4-(2(R)-(1(S)-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)-ピロリジニル)-2-クロロ-3-メチルベンゾニトリル(化合物110) 化合物109および110は、実施例1における記載と同様の方法で、出発物質として2-クロロ-4-フルオロ-3-メチルベンゾニトリルを用いることにより、製造することができる。 化合物109: 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) 7.43 (d, 1H, J = 8.5), 6.92 (d, 1H, J = 8.5), 4.19-4.14 (m, 1H), 4.00-3.95 (m, 1H), 3.71-3.63 (m, 1H), 3.02-2.95 (m,1H), 2.39 (d, 1H, J = 4.4), 2.34 (s, 3H), 2.32-2.21 (m, 1H), 2.17-2.00 (m,2H), 1.93-1.80 (m, 1H). 化合物110: 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) 7.45(d, 1H, J = 8.5), 7.10 (d, 1H, J = 8.5), 4.30-4.25 (m, 1H), 3.80-3.78 (m, 1H), 3.61-3.53 (m, 1H), 3.10 (bs, 1H), 2.91-2.84 (m,1H), 2.40 (s, 3H), 2.43-2.32 (m, 1H), 2.14-1.90 (m,2H), 1.89-1.81 (m, 1H).実施例6 - 共トランスフェクションアッセイ−ARアゴニスト/アンタゴニスト活性 遺伝子発現を誘導するARの能力を活性化または抑制する、化合物102 (4-(2(R)-(1(S)-ヒドロキシル-2,2,2-トリフルオロエチル)-ピロリジニル)-2-トリフルオロメチルベンゾニトリル)の能力を、共トランスフェクションアッセイを用いて評価した。 CV-1細胞(アフリカミドリザル腎線維芽細胞)を、10% 活性炭処理(charcoal resin-stripped)ウシ胎仔血清を添加したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)の存在下で培養し、次いで、96-ウェルマイクロタイタープレートに移し、その1日後にトランスフェクトした。 該CV-1細胞を、以下のプラスミドを用いて、Berger et al., J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 41: 733 (1992)の方法に従ってリン酸カルシウム共沈により、一過性にトランスフェクトした: pShAR (5 ng/ウェル)、MTV-LUCレポーター(100 ng/ウェル)、pRS-β-Gal (50 ng/ウェル)およびフィラーDNA(pGEM; 45 ng/ウェル)。J.A. Simental et al., “Transcriptional activation and nuclear targeting signals of the human androgen receptor”, J. Biol. Chem. 266: 510 (1991)にさらに十分に記載されている通り、該受容体プラスミド、pRShARは、SV-40プロモーターの恒常的制御下においてヒトARを含む。該レポータープラスミド、MTV-LUCは、マウス乳がんウイルス(MTV)末端反復配列(アンドロゲン応答配列を有する条件プロモーター)の制御下のホタルルシフェラーゼ(LUC)のcDNAを含む。例えば、上記のBerger et al.を参照。さらに、大腸菌β-ガラクトシダーゼ(β-Gal)の恒常的発現をコードするpRS-β-Galを、トランスフェクション効率および化合物毒性の評価のための内部標準として含む。 トランスフェクションの6時間後、培地を除去し、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した。10-12〜10-5 Mの範囲の濃度で、基準化合物(例えば、PRアゴニストとしてプロゲステロン、PRアンタゴニストとしてミフェプリストン ((11β,17 β)-11-[4-(ジアルキルアミノ)-フェニル]-17-ヒドロキシ-17-(1-プロピニル)エストラ-4,9-ジエン-3-オン: RU486; Roussel Uclaf); ARアゴニストとしてジヒドロテストステロン(DHT; Sigma Chemical)およびARアンタゴニストとして2-OH-フルタミド (2-メチル-N-[4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)-フェニル]-プロパンアミド(pronanamide)の活性代謝物; Schering-Plough); ERアゴニストとしてエストラジオール(Sigma)およびERアンタゴニストとしてICI 164,384 (N-ブチル-3,17-ジヒドロキシ-N-メチル-(7-α,17-β)-エストラ-1,3,5(10)-トリエン-7-ウンデカンアミド; ICI Americas); GRアゴニストとしてデキサメタゾン(Sigma)およびGRアンタゴニストとしてRU486; ならびに、MRアゴニストとしてアルドステロン(Sigma)およびMRアンタゴニストとしてスピロノラクトン ((7-α-[アセチルチオ]-17-α-ヒドロキシ-3-オキソプレグナ-4-エン-21-カルボン酸γ-ラクトン; Sigma))および/または化合物102を含有する培地を、細胞に加えた。各サンプルについて、3から4の複製を用いた。トランスフェクションおよびその後の手順は、Biomek 1000 オートメーション化ラボラトリーワークステーションにおいて実施した。 40時間後、該細胞をPBSで洗浄し、Triton X-100-ベースのバッファーで溶解し、LUCおよびβ-Gal活性について、各々ルミノメーターまたは分光光度計を用いてアッセイした。各複製について、標準反応(normalized response)(NR)を:(式中、β-Gal速度 = β-Gal・1×10-5 / β-Galインキュベート時間)として算出した。 該NRの平均値および平均値の標準誤差(SEM)を算出した。データを、用量反応曲線の範囲にわたって、基準化合物と比較した該化合物の反応としてプロットした。アゴニスト実験において、最大反応の50%をもたらす有効な濃度(EC50)を定量化した。アゴニスト効力は、PR、AR、ER、GRまたはMRについての基準アゴニストによる最大LUC産生と比較したLUC発現の関数(%)であった。アンタゴニスト活性は、一定量のARアゴニストとしてのDHTおよびPRアゴニストとしてのプロゲステロンの存在下において、EC50濃度で、LUC発現の量を試験することにより決定された。基準アゴニストにより誘導されたLUC発現の50%を阻害する試験化合物の濃度を定量化した(IC50)。さらに、アンタゴニストの効力を最大阻害の関数(%)として決定した。 化合物102は、hARの内因性発現を有するMDA-MB-453細胞におけるルシフェラーゼ活性の濃度依存的増大をもたらした。化合物102は、EC50濃度のDHT(1 nM)の存在下において試験した場合、ルシフェラーゼ活性の濃度依存的減少をもたらさなかった。化合物102は、3.1 nMのEC50および59%の効力(ARに対する天然のリガンドであるジヒドロテストステロン(DHT, 2 nMのEC50および100%の効力)に相対的に表した場合)を有するhARの強力な活性化剤であると見いだされた。他の核内受容体による転写を活性化する化合物102の能力もまた評価した。アゴニスト効力を、各核内受容体に対する適当な基準アゴニストと比較して決定した。化合物102は、評価した他の核内受容体(hPR-B、hGR、hMR、hERα、hRARα、hLXRα、hFRα、hPPARα、hPPARγ、hPPARδ)を介して転写活性化しなかった(アゴニスト活性を実証する)(ただし、hRXRαをわずかに活性化したことを除いて)。化合物102は、hGRのデキサメタゾン-誘導活性化(60%および1.6 μMのIC50)およびhPR-Bのプロゲステロン-誘導活性化(74%および280 nMのIC50)を拮抗したが、hERαまたはhMRの活性化は拮抗しなかった。実施例7 - 受容体結合アッセイ受容体タンパク質の調製 ヒトアンドロゲン受容体(hAR)をコードするcDNAを含むバキュロウイルス発現プラスミドを、標準的な技法を用いて調製した。該発現プラスミドを用いて、スポドプテラ・フルギペルダ-21(Sf-21)細胞をトランスフェクトした。非感染のSf-21細胞の懸濁培養を1.2x106 細胞/mLの密度まで増殖させ、次いで、感染多重度2で、hAR cDNAを含む組換えウイルスに感染させた。感染したSf-21細胞を48時間インキュベートした後、4℃で10分間、1000 x gで遠心分離することにより集めた。得られた細胞ペレットを、溶解バッファー(50 mM リン酸カリウムバッファー、pH 7.0、10 mM モノチオグリセロール、5 mM DTT、20 mM モリブデン酸ナトリウム、1 mM PMSF、1 μg/mL アプロチニン、および10 μg/mL ロイペプチン)に再懸濁し、氷上で15分間インキュベートした。該再懸濁した細胞ペレットを、DounceホモジナイザーおよびB乳棒(pestle)を用いてホモジナイズした。2 Mの容積のKClを、0.4 Mの最終濃度になるようにホモジナイズした細胞ペレットに加えた。得られた受容体ライセートを、4℃で60分間、100,000 x gで遠心分離し、結合アッセイでの使用のために保存した。結合アッセイ 結合アッセイサンプルを、96-ウェル型の別個の小チューブの中に4℃で調製した。各結合アッセイサンプルを、50 μgの受容体ライセート; 50〜100 Ci/mmolの[3H]- ジヒドロ-テストステロンを2〜4 nM; および基準化合物もしくは試験化合物のいずれかを含有する、250 μLの容積のレポーターアッセイバッファー(10% グリセロール、25 mM リン酸ナトリウム、10 mM フッ化カリウム、10 mM モリブデン酸ナトリウム、0.25 mM CHAPS、2 mM DTTおよび1 mM EDTA、(pH 7.5に調整))中に調製した。各基準化合物および試験化合物を、様々な濃度で、3.2 x 10-10から10-5 Mの範囲でアッセイした。各濃度の各基準化合物および各試験化合物を、3回重複でアッセイした。該アッセイサンプルを、4℃で16時間インキュベートした。 インキュベート後、200 μLの6.25% ヒドロキシルアパタイト/アッセイバッファーを各アッセイサンプルに加え、タンパク質を沈殿させた。次いで、該アッセイサンプルを遠心分離し、上清を捨てた。得られたペレットを、DTTを欠くアッセイバッファーで2回洗浄した。各洗浄ペレットのカウント毎分(CPM)での放射能を、液体シンチレーションカウンター(MicroBetaTM, Wallach)により決定した。 非特異的結合について補正した後、市販されているカーブフィッティング用のソフトウェア(例えば、Xlfitカーブフィッティングソフトウェア、IDBS Scientific Products, Guildford, UK)中に提供されるような、4つのパラメーターフィットを用いて、IC50値を決定した。典型的な全ての4つのパラメーターを、最良の適合が得られるようにフロート処理し(float)、収束させた。各特異的リガンドに対して予め決定されたKd値を用いたIC50値に対するチェン-プルソフ式を適用することにより、Ki値を決定した。 化合物102、ならびに、R,R-2,2,2-トリフルオロ-1-[1-(4-ニトロ-3-トリフルオロメチル-フェニル)-ピロリジン-2-イル]-エタノール(LG0893410)およびS,R-2,2,2-トリフルオロ-1-[1-(4-ニトロ-3-トリフルオロメチル-フェニル)-ピロリジン-2-イル]-エタノール(LG0893411):を含む他のアンドロゲン調節化合物を、hARに結合するそれらの能力について試験した。化合物102は、バキュロウイルス発現hARタンパク質への結合に対して、LG0893410(2.5 nMのKi)およびLG0893411(5.7 nMのKi)の3〜6倍近い0.9 nMのKiの一貫して高い力価を示した。より高い力価は、化合物102をより低い用量で投与して同等の治療効果を達成することができることを意味する。実施例8 − hAR-反応性ルシフェラーゼレポーターの活性化 機能アッセイを実施して、ヒト細胞株における内在性ヒトアンドロゲン受容体(hAR)を介した遺伝子発現を制御する試験物質の能力を決定した。ルシフェラーゼレポーターアッセイを用いて、ホタルルシフェラーゼのcDNAを含有するアンドロゲン-反応性ルシフェラーゼレポータープラスミドでトランスフェクトされた、内因性発現hAR(MDAMB-453細胞)を有するヒト細胞株において、hAR-制御遺伝子発現を活性化する試験化合物の能力を確かめた。MDA-MB-453細胞を、AR(MMTV-LUC) により認識されるホルモン応答配列を含有する条件プロモーターの制御下のホタルルシフェラーゼ(LUC)のcDNAを含むプラスミド、およびトランスフェクション効率の標準化のためのP-ガラクトシダーゼ発現プラスミド(pRS-(3-Gal)を用いてトランスフェクトした。レポータープラスミドMMTVLUCは、hARにより認識されるホルモン応答配列を含有するマウス乳がんウイルス(MMTV)末端反復配列(LTR)条件プロモーターを含む。該ルシフェラーゼ反応を:(式中、ルシフェラーゼ反応 = 相対的ルシフェラーゼ単位(RLU)、およびβ-gal 速度 = β-gal 0.D.415/ β-Galインキュベート時間(分))の通り算出した。 化合物の各濃度での標準反応の平均値を算出した。濃度反応曲線の中間点をまたぐ2濃度間における内挿によって、最大反応の50%をもたらす有効濃度(EC50)を各化合物に対して決定した。試験化合物のアゴニスト効力を、基準アゴニストDHTによる最大標準反応と比較した標準反応のパーセントとして算出した。 化合物102、LG0893410およびLG0893411の各々は、AR-依存性遺伝子発現を活性化した。化合物102(2.8 nMのEC50を有する)は、hAR-反応性ルシフェラーゼレポーターの活性化において、LG0893410(24.2 nMのEC50)およびLG0893411(35.0 nMのEC50)よりも8.5〜12.5倍強力であった。より高い力価は、化合物102をより低い用量で投与して同等の治療効果を達成することができることを意味する。実施例9 − 共トランスフェクションアッセイにおけるhARの活性化 ルシフェラーゼレポーター共トランスフェクションアッセイを、hAR制御遺伝子発現を活性化する本明細書において提供される化合物の能力を評価するためにも用いた。化合物102および他のアンドロゲン受容体モジュレーター(LG0893410およびLG0893411を含む)を、アフリカミドリザル(African monkey)腎臓由来の内在性AR欠損CV-1細胞をヒトAR(pRShAR)のcDNAを含有する発現プラスミドおよびアンドロゲン反応性ルシフェラーゼレポータープラスミド(MMTV-LUC)を用いてトランスフェクトすることによりアッセイして、hAR制御遺伝子発現を活性化するそれらの能力を評価した。CV-1細胞を、非-リポソーム製剤(FuGENE 6トランスフェクション試薬)を用いて、pRShAR(P-ガラクトシダーゼ発現プラスミド(pRS-(3-Gal)、トランスフェクション効率の標準化用)および該レポータープラスミドMMTV-LUCにより一過性にトランスフェクトした。 化合物の各濃度での標準反応の平均値を算出した。EC50を各化合物に対して決定し、試験化合物のアゴニスト効力を、基準アゴニストDHTによる最大標準反応と比較した標準反応のパーセントとして算出した。 化合物102、LG0893410およびLG0893411の各々は、共トランスフェクションアッセイにおいてhARを活性化した。化合物102(4.4 nMのEC50を有する)は、hARの活性化において、LG0893410(13.0 nMのEC50)およびLG0893411(23.3 nMのEC50)よりも3〜5倍強力であった。より高い力価は、化合物102をより低い用量で投与して同等の治療効果を達成することができることを意味する。実施例10 − 骨格α-アクチンプロモーターアッセイ 化合物102を試験し、ヒト骨格α-アクチンを活性化するその能力を、骨格α-アクチンプロモーターアッセイを用いて決定した。マウス筋細胞株(C2C12)を、ヒトAR発現プラスミドおよびルシフェラーゼcDNAの上流に骨格α-アクチンプロモーターを含有するルシフェラーゼレポータープラスミドを用いて一過性にトランスフェクトした。C2C12細胞(5 × 105の濃度で)を、T25フラスコ中に播種し、24時間培養した。トリプシンを用いて該細胞を収集し、96-ウェルプレートに6000細胞/ウェルで播種した。同日、非-リポソーム製剤であるFuGENE 6試薬(Roche, Indianapolis, IN)を、該細胞のトランスフェクションのために用いた。各ウェルに、45.5 ngの骨格α-アクチン-LUCレポータープラスミド、キャリアDNAとして4.55 ngのpRShARおよび5 ngのpRS-BGを加えた。トランスフェクトの24時間後、異なる濃度の溶媒和化合物(10-10〜10-6 M)を、3重複で細胞に加え、該細胞を24時間インキュベートした。該培地を吸引し、該細胞を界面活性剤-含有バッファーで溶解した。各ウェルにルシフェラーゼアッセイバッファーを加えた後、該細胞を、ルミノメーターを用いてルシフェラーゼ活性についてアッセイし、転写活性化のレベルを決定した。最大反応の50%をもたらす有効濃度(EC50)を、濃度反応曲線の中間点をまたぐ2濃度間における内挿によって、該化合物に対する濃度反応曲線から決定した。該試験化合物のアゴニスト効力を、基準アゴニストDHTによる最大ルシフェラーゼ反応と比較したルシフェラーゼ反応のパーセントとして算出した。 化合物102は、骨格α-アクチンプロモーター活性を、濃度依存的様式で刺激した。1 × 10-7 Mの濃度で、化合物102はプロモーター活性をビヒクルコントロールに比べて約17.5倍増大させた。化合物102は、DHTほど強力ではなかったが同等に効果的であった。化合物102は、平均8.7 nMのEC50(DHT ≒ 1 nM)およびDHTの93%の効力で、骨格α-アクチンプロモーターを活性化した。化合物102は筋細胞における骨格α-アクチンプロモーター活性の強いAR-媒介刺激を示し、この化合物は該転写レベルで骨格α-アクチン産生を情報制御しうることを示した。化合物102は、DHTと同様の様式で、筋細胞におけるα-アクチンプロモーター活性を刺激し、非常に強力(8.7 nM)で効果的(DHTと比べて93%)である。 筋細胞を刺激する化合物102の能力を、他のアンドロゲン調節化合物(LG0893410およびLG0893411を含む)と比較した。化合物102は、筋細胞の刺激において、LG0893410およびLG0893411よりも5〜10倍強力であることが見いだされ、LG0893410での45.2 nMおよびLG0893411での85.6 nMと比べ、8.7 nMのEC50を有していた。化合物102はまた、筋細胞の刺激において、アンドロゲンアゴニストDHTと近い有効性(DHTの93%)であったが、LG0893410およびLG0893411は、筋細胞でのα-アクチン遺伝子転写刺激においてかなり低い有効性であった(各々、43%および59%の効力を有する)。実施例11 − IL-6プロモーター抑制アッセイ IL-6は重要な骨吸収因子である。IL-6の過剰発現により、in vivoにおいて重篤な骨減少が引き起こされ得る。骨細胞によるIL-6産生を減少させることは、骨吸収を低下させることから治療的に有益であろう。化合物102およびアンドロゲン受容体モジュレーター(LG0893410およびLG0893411)を、共トランスフェクションアッセイを用いて試験し、Saos-2ヒト骨芽細胞におけるTNFα-IL-1β-誘導IL-6プロモーター活性を抑制するそれらの能力を決定した。ヒト骨芽細胞株(Saos-2)を、ヒトAR発現プラスミドおよびルシフェラーゼcDNAの上流にIL-6プロモーターを含有するルシフェラーゼレポータープラスミドで、一過性にトランスフェクトした。Saos-2細胞を、96-ウェルプレートに6000細胞/ウェルで播種した。同日、非-リポソーム製剤であるFuGENE 6試薬(Roche, Indianapolis, IN)を細胞のトランスフェクションのために用いた。各ウェルに、3.6 μgのIL-6-LUCレポータープラスミドおよび0.7 μgのpCMV-hARを加えた。トランスフェクトの24時間後、DMEM(ダルベッコ基礎培地(Dulbecco's Minimal Essential Media))中の異なる濃度の溶媒和化合物(10-11〜10-6 M)を3重複で細胞に加え、該細胞を24時間インキュベートした。ルシフェラーゼの発現を、サイトカインである腫瘍壊死因子α(TNFα, 10 ng/mL)およびインターロイキン-1β(IL-1β, 1 ng/mL)により刺激した。該培地を吸引し、該細胞を界面活性剤-含有バッファーを用いて溶解した。各ウェルにルシフェラーゼアッセイバッファーを加えた後、該細胞を、ルミノメーターを用いてルシフェラーゼ活性についてアッセイし、転写活性化のレベルを決定した。最大反応の50%をもたらす有効濃度(EC50) を、濃度反応曲線の中間点をまたぐ2濃度間における内挿によって、該化合物に対する濃度反応曲線から決定した。該試験化合物のアゴニスト効力を、基準アゴニストDHTによる最大ルシフェラーゼ反応と比較したルシフェラーゼ反応のパーセントとして算出した。 全ての3つの試験物質は、ヒト骨細胞によるIL-6産生の抑制において、DHTと比べて完全アゴニストであった。10-11〜10-6 Mの濃度での化合物102の添加は、TNFαおよびIL-1βの非存在下において見られるレベルまで、IL-6プロモーター活性の濃度依存的抑制をもたらした。化合物102は、Saos-2ヒト骨芽細胞におけるTNFα-IL-1β-誘導IL-6プロモーター活性の、強力で効果的なAR-媒介抑制を示した。化合物102は非常に強力であり、0.41 nMの平均IC50を有することが見いだされ(DHTは0.03 nMの平均IC50を有し、LG0893410は1.20 nMの平均IC50を有し、そしてLG0893411は1.50 nMの平均IC50を有した)、さらに化合物102はDHTの97%の効力を有することが見いだされた。化合物102はDHTと同様の様式でIL-6プロモーター活性を抑制し、LG0893410およびLG0893411よりも3〜4倍強力である。これらの結果は、化合物102がIL-6産生を転写レベルで下方制御することを示唆している。化合物102は骨芽細胞によるIL-6産生を抑制することから、骨吸収を減少させることによる骨における有益なin vivo効果を有すると予期される。実施例12 −肝ミクロソームにおける代謝安定性 肝ミクロソームは、薬物代謝酵素(例えばチトクロムP450、フラビンモノオキシゲナーゼおよびUDPグルクロン酸転移酵素)を含む細胞成分分画である。主に代謝により薬剤の排出が生じる場合、該代謝経路は薬剤の安全性および有効性に顕著に影響し得て、従って、該薬剤の使用方針に影響を与え得る。ラット肝ミクロソームは薬剤代謝の測定によく用いられる動物モデルである(例えば、Shayeganpour et al., Drug Metab Dispos 34 (1): 43-50 (2006)参照)。 化合物102の代謝を、ラット肝ミクロソームにおいて評価した。25 μLの補助因子(100 mMのグルコース6-リン酸、20 mMのNADP、20 mMのグルコース-6-リン酸脱水素酵素、および63 mMのUDPGA)を、5 mg/mLのラット肝ミクロソームを50 μLおよび100 mMリン酸バッファー(pH 7.4)中に作製した0.59 mMの化合物102を425 μL含むウェルに37℃で添加することにより、該代謝を開始させた。0、5、10および20分で、60 μLのサンプルのアリコートを取り出した。該サンプル中に残存する未代謝の試験物質をHPLCおよび質量分析を用いて測定し、該化合物の分解に対する半減期を、カーブフィッティングを用いて分単位で算出した。化合物102に関して、該半減期は44.5分(2つの実験(各実験、3重複測定)で測定された平均値)であることが示され、これは、化合物102が単にゆっくりと代謝されることから高い代謝安定性を有することを示している。 高い代謝安定性は、経口の生物学的利用能を促進し、治療上有効な用量の投与後に生じる異物代謝物の負荷を減少させる。高い代謝安定性は、例えば、再生不良性貧血; 食欲不振; 炎症性関節炎、関節リウマチ、変形性関節症および痛風を含む、関節炎; 動脈硬化症; アテローム性動脈硬化症; 転移性骨疾患を含む、骨疾患; 骨の損傷もしくは骨折、例えば、骨折修復の促進、および/または骨芽細胞の刺激、および/または骨リモデリングの刺激、および/または軟骨成長の刺激により; 仮骨延長; 骨質量、骨密度、もしくは骨成長の低下; 例えばグルココルチコイド投与により引き起こされる、骨の脆弱化; 筋骨格機能障害(例えば、高齢者において); 悪液質; 乳癌および骨肉腫を含む、癌; 心機能不全(例えば、弁膜症、心筋梗塞、心肥大またはうっ血性心不全に関連するもの); 心筋症; グルココルチコイドの異化副作用; クローン病; クローン病に関連した発育遅延; 短腸症候群; 過敏性腸症候群; 炎症性腸疾患; 潰瘍性大腸炎; 認知機能低下および認知機能障害; 認知症; 短期記憶喪失; 慢性閉塞性肺疾患 (COPD); 慢性気管支炎; 肺機能低下; 肺気腫; 男性および女性両方におけるリビドー減退; うつ病; 神経過敏、易刺激性および/またはストレス; 精神的活力の低下および低い自尊心(例えば、モチベーション/アサーティブネス); 脂質異常症; 勃起不全; 虚弱; 高齢者における加齢性機能低下(「ARFD」); 成長ホルモン分泌不全; 造血障害; ホルモン補充(男性および女性); 高コレステロール血症; 高インスリン血症; 高脂血症; 高血圧; 高アンドロゲン血症; 性腺機能低下症(原発性および続発性を含む); 低体温(麻酔後の低体温を含む); インポテンス; インスリン抵抗性; 2型糖尿病; リポジストロフィー(HIVもしくはAIDS治療(例えばプロテアーゼ阻害薬)を受けている患者において、など); 男性更年期; メタボリックシンドローム(シンドロームX); 筋力および/または筋機能の低下(例えば、高齢者における); 筋ジストロフィー; 術後の筋力低下(例えば、術後のリハビリテーション); 筋萎縮症(例えば、運動不足、ベッド安静、または微小重力のような低荷重負荷状態に起因); 神経変性疾患; 神経筋疾患; 血小板数低下; 血小板凝集障害; 肥満症; 骨粗鬆症; 骨減少症; グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症; 骨軟骨異形成症; 歯周病; 月経前症候群; 女性における閉経後の症状; リーブンシンドローム; リウマチ性疾患; 筋肉減少症; 男性および女性 性機能低下(例えば、勃起不全、性的欲求の低下、性的健康の低下、リビドー減退); 慢性疾患に関連した成長ホルモン分泌不全児および低身長ならびに肥満症に関連した発育遅延を含む、生理学的低身長; 歯の損傷(例えば、歯の修復もしくは成長の促進により); 血小板減少症; 膣乾燥; 萎縮性膣炎; 心室機能不全; 骨折による消耗、ならびに、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性肝疾患、AIDS、無重力、癌悪液質、熱傷および外傷回復、慢性的な異化状態(例えば、昏睡)、摂食障害(例えば、食欲不振)、化学療法、多発性硬化症もしくは他の神経変性障害に関連した消耗を含む消耗などのような疾患および症状を治療するための場合でありうる、全身投与を対象としている薬剤において好ましい。実施例13 - In vivoアッセイ − 精巣摘除した成熟雄ラット 精巣摘除した雄スプラーグドーリーラットモデルを用いて、成熟雄ラットにおける、様々な生殖、ゴナドトロピンおよび筋骨格のエンドポイント(副生殖器(sex accessory organ)、骨、血清ゴナドトロピンレベルおよび横紋筋が含まれる)での化合物102の効果を評価した。 このアッセイにおいて、2か月齢のラットを1週間、ビバリウムに順応させた。該順応期間後、ラットをイソフルラン麻酔下において外科的に精巣摘除し、14日間未処置のままにした。14日後、動物を、測定された平均体重において統計的に有意な差がないようにグループに分けた。ラットは、手術の日から14日目に処置を受け始めた。ビヒクルで処置した偽-手術ラットおよび精巣摘除ラットをコントロールとした。異なる試験グループを、様々な用量の化合物102(0.03〜100 mg/kg/日、経口(口より))で処置した。用量には、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30および100 mg/kg/日が含まれた。非ステロイド性アンドロゲン薬であるオスタリン(Ostarine)(Evans et al., J Clin Oncology 25: 9119 (2007))を、比較として、他の試験グループと同様の用量で投与した。14回目の投与後、 静脈血を、投与後0、1、2、4および6時間で採取した。該血液サンプルはEDTA-含有チューブに集めた(Becton Dickinson, Franklin Lakes, NJ)。最終投与のおよそ24時間後、動物を安楽死させ、剖検において、精嚢重量、腹側の前立腺重量、肛門挙筋重量、包皮腺重量、および血液サンプルを採取した。A. 血清および血漿の採取 血清については、全血(5 mL)をバキュテナーチューブ(Becton Dickinson)に採取し、該血液サンプルを室温で約2時間、凝血させた。2500 rpmで30分間遠心分離して血清を分離し、集め、凍結した(-80℃)。血漿については、全血をEDTA-含有チューブに採取し、4℃で5分間、1000x gで遠心分離することにより得た。血漿サンプルは-20℃で保存した。B. サンプル調製 全ての用量製剤の製造について、投与する最高濃度に適正な量の試験化合物(化合物102)を重量測定した。該化合物を、製剤ビヒクル(5% Tween(登録商標)-80ポリソルベート、90% PEG-400ポリエチレングリコールおよび5% PVP-K30ポリビニル-ピロリドン)中に懸濁させた。該懸濁液を15分間超音波処理し、得られた製剤をビヒクルで希釈し、1 mL/kg体重の投与量を達成するのに適切な量および濃度の投与物質を得た。C. 黄体ホルモン(LH)ラジオイムノアッセイ 国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)からの試薬を用いた2重抗血清方法により、血清サンプルをアッセイした。総量200 μL中のサンプル化合物および標準(NIDDK-rLH-RP-3)を、室温で2〜3日間、100 μLの1:100,000に希釈した第1抗血清(ラットLH抗血清: ウサギNIDDK-抗-rLH-S-11)とともにインキュベートした。次いで、100 μLの200,000〜300,000 cpm/mLに希釈した125I-標識LH(Covance Laboratories Madison, WI)をチューブに加え、さらに24時間インキュベートを続けた。 特異的ヤギ抗-ウサギ血清(Antibodies, Inc., Davis, CAからのGARS)を用いた沈殿により、結合したホルモンを遊離ホルモンから分離した。4%正常ウサギ血清の50 μLアリコートを各インキュベートチューブに加え、その後、さらなる50 μLの1:10 GARS溶液を加えた。該チューブをボルテックスし、4℃で終夜インキュベートした。 4℃のSorvall RC 3C Plus遠心機(ローター#H2000B)において2,500 rpmで30分間遠心分離することにより、該アッセイを終了した。該上清をデカンテーションして捨て、該ペレットを10-チャンネルのγ-カウンターにおいてカウントした。D. オステオカルシン免疫放射定量測定法(IRMA) ビタミンK-依存性のカルシウム結合タンパク質である血清オステオカルシンは、骨形成活性を反映する生化学的マーカーである(Gundberg, J Clin Ligand Assay 21: 128-138 (1998))。Immutopics, Inc. (#50-1500, San Clemente, CA)からのIRMAキットを用いて、血清オステオカルシンを定量化した。該方法は、提示された5 μLのサンプルの代わりに25 μLのサンプルを用いたことを除き、製造供給元から提供されたプロトコールに従って実施された(ラットオステオカルシンIRMAキット Cat. #50-1500, 2005)。該試験では、2つの異なる抗体を用いて血清オステオカルシンを測定した。該サンプルを、オステオカルシン分子の中間領域C-末端部分を認識するビーズ-固定したヤギ抗体および該分子のアミノ末端部分を認識する125I-標識ヤギ抗体と同時にインキュベートする。サンプル中に存在するオステオカルシンはビーズ上に固定された抗体に結合し、該放射標識抗体はオステオカルシンに結合する。 サンプル希釈について、25 μLのサンプルおよび400 μLのゼロ標準を、適切にラベル表示されたチューブに分注し、ボルテックスした。100 μLの標準のアリコート、希釈コントロールまたは希釈サンプルを、適切にラベル表示されたチューブに分注した。200 μLの125I-標識ラットオステオカルシン抗体を全てのチューブに分注した後、ボルテックスして混合した。ヤギ抗体を含む1つのビーズを、チューブを傾けて該ビーズの添加によりチューブ内容物が飛び散るのを防ぎながら、各チューブに加えた。該チューブをパラフィルム(登録商標)で塞ぎ、室温で18〜24時間インキュベートした。インキュベート期間の後、各チューブの内容物を吸引し、ビーズはチューブに残した。各チューブ中のビーズを、各チューブに2 mLの洗浄液を分注することにより3回洗浄し、その後、吸引により完全に洗浄液を除去した。各チューブをγカウンターにおいて1分間カウントし、数値を記録した。キットに備え付けられていたラットオステオカルシン標準を用いて、検量線を得た。希釈コントロールおよび希釈サンプルのラットオステオカルシン濃度(ng/mL)を、検量線から直接的に読んだ。E. 血漿サンプルにおける化合物102の定量化 LC-MS/MS方法により、血漿濃度を決定した。各薬剤の標準液をブランクのラット血漿に添加し、0.0001 μg/mL〜10 μg/mLのキャリブレーション標準を作成し; そして、50 μLの各キャリブレーション標準を、96-ウェルプレートにおいて、10 ng/mLの内部標準を含有する250 μLのアセトニトリルで抽出した。また、50 μLの血漿サンプルも、96-ウェルプレートにおいて、内部標準を含有する250 μLのアセトニトリルで抽出した。 Q1/Q3質量は、ネガティブモードにおける化合物102については337.1/267.3 amuであり、ネガティブモードにおけるオスタリンについては338.0/269.1 amuであった。F. 薬物動態解析 各動物についての血漿濃度 時間データを、WinNonlin(バージョン5.0, Pharsight WinNolin copyright (著作権) 1998-2005)を用いて非コンパートメント(con-compartmental)PK測定法により解析した(Gibaldi et al., Pharmokinetics (2nd ed., Marcel Dekker, New York, NY, pp. 271-318 および 409-417 (1982))。血漿サンプルを4つの時点(投与後1、2、4および6時間)で採取したという事実に基づいて、本研究においては排出半減期(t1/2)を推定しなかった。血漿濃度曲線(AUC)下の領域を台形法により算出した。0時間の血漿濃度を14日目の24時間血漿濃度とみなし、定常状態と仮定して、AUC24の推定に用いた。ピーク薬物動態(PK)パラメーターを算出し、小数第3位に四捨五入した。G. データ解析 結果を変換データの解析により解析した(Box et al, J Roy Soc Series B 26: 211-252 (1964)、およびBox et al., Technometrics 16: 385-389 (1974))。必要な場合、分散がグループ内で均一であって、一元配置分散分析モデルの残差がガウス(正規)分布に従うことを確実にするために、変換を行った。該分散分析が有意に達した場合、データをさらにフィッシャーのLSD検定により評価した。0.05未満のP値を、統計的に有意な差と明言するための最小基準と見なした。可能な場合、改変された4つの-パラメーターロジスティック方程式にフィッティングさせた(Ghosh et al., J Biopharm Stat 8: 645-665 (1998)。対数ED50はより堅固な力価の推定値であるので、該モデルは対数スケールでED50を推定する。該モデルにより、推定された力価の95%信頼限界を算出するのに用いられる推定値に対するSEも得られる。以下の方程式は、これらの研究で用いた、基本的な、再パラメーター化された4つの-パラメーターロジスティック方程式を例示する:(式中、Aは最大値であり、Dは最小値であり、Bは傾き因子であり、Cは反応の方向に依存してEC50またはIC50のいずれかであり、そして、xは用いた化合物の用量である)。結果 14日ラットモデルは、アンドロゲンモジュレーター化合物の選択性を示すために用いられる短期in vivoモデルである。精巣摘除術により、該ラットにおけるほとんど全ての内在性血中アンドロゲンを除去する。化合物102を約1.5 mg/kg/日のレベルで経口投与した場合、化合物102は、肛門挙筋重量を偽-同等レベル(sham-equivalent level)で維持することができたが、一方で該同一用量は、腹側の前立腺または精嚢の成長を偽-同等レベルで維持しなかった。最大試験用量(100 mg/kg/日)において、化合物102は、肛門挙筋重量を偽-同等レベル以上に顕著に増大させたが、腹側の前立腺または精嚢については依然として見かけのレベルのおよそ50%まで回復させたのみであった。これらの結果により、化合物102は経口投与された場合、アンドロゲン感受性副生殖腺(sex accessory gland)を未処置の雄ラットより低い重量で維持するとともに、未処置の対照(intact counterpart)と同様もしくはそれ以上の肛門挙筋重量を維持することができることが示唆される。 化合物102は血清LHにおける阻害効果を有し、10 mg/kg/日の用量で偽-同等レベルを維持することができた。化合物102は、最大試験用量で(100 mg/kg/日)、血清LHを偽-同等レベル以下に減少させた。 皮脂腺活性のマーカーとして測定された包皮腺重量は、10 mg/kg/日PO未満の全ての用量の化合物102においてビヒクル同等レベル以下のままであった。化合物102は、30 mg/kg/日用量で、包皮腺重量を偽レベル以上に増大させた。この用量において、該効果は統計的に有意であった。 血清オステオカルシンは化合物102の用量の増加に伴って減少する傾向にあったが、いずれの試験用量においても、該効果は統計的に有意でなかった。精巣摘除術は、手術後2週の雄ラットにおいて血清オステオカルシンを増加させることが報告されている(Ivaska et al., J Biol Chem 279: 18361-18369 (2004))。 化合物102は0.03 mg/kg/日および0.1 mg/kg/日用量での血漿の数サンプルにおいて定量限界以下(BLQ)であったけれども、採取した血漿サンプルのほとんどにおいて試験化合物を定量化した。化合物102についての平均PKパラメーターを以下の表1に示す。* AUC24を推定するために、0時間血漿濃度を24時間血漿濃度に代入した。AUC24およびCMAXにより測定される全身曝露は、用量レベルの増加につれて増大し、おおよそ用量に比例した。ピーク血漿濃度を、投与後1時間から5時間の間、観察した。 薬物動態解析により、化合物102の曝露は最大100 mg/kg/日POまでの投与とともに増大することが示された。曝露に相対的に表された(AUC24)、肛門挙筋および腹側の前立腺重量は、化合物102の曝露とともに用量依存的様式で増大した。化合物102は、およそ0.2μg/mLの曝露で肛門挙筋を偽-同等レベルまで増大させた。1 μg/mL以上の曝露で、化合物102は、筋肉量を偽-同等レベル以上まで刺激したが、腹側の前立腺は偽-同等レベルの50%未満の回復であった。オスタリンは化合物102ほど強力ではなく、4 μg/mLの曝露で肛門挙筋重量を偽-同等レベルまで回復させた。10 μg/mL以上の曝露でオスタリンにより筋肉量は偽レベル以上まで刺激されたが、腹側の前立腺はいずれの用量においても偽-同等まで回復されなかった。 従って、精巣摘除した雄ラットにおいて、化合物102は筋骨格エンドポイントにおけるポジティブ活性を示した。化合物102は用量比例的曝露を有し、2 mg/kg/日(AUC24: 0.2 μg/mL)の用量で肛門挙筋重量を偽-同等レベルに維持した。肛門挙筋重量を偽-同等レベルに維持する用量において、化合物102は副生殖腺および皮脂腺においてより低い効力(偽に比べて)であった。このモデルにおいて、化合物102は筋エンドポイントに対する組織選択的活性を示した。化合物102は、去勢ラットにおける上昇したLHレベルを低下させることに関して、これらの動物における低下した肛門挙骨格筋質量を増大させること(2 mg/kg/日)に比べて、低い力価を示した(≧10 mg/kg/日)。化合物102は、高用量で血清LHを偽-同等レベル以下まで抑制した。比較化合物であるオスタリン(公知の非ステロイド性選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM))は、化合物102と比較して同様の効力を有し、また、高い組織選択性を示した。 異常に筋肉量が低いラットにおいて化合物102が肛門挙骨格筋を増大させるという結果は、該化合物をヒトにおける筋肉減少症の治療に用いることができることを示唆する(例えば、Joseph et al., Mol Aspects Med 26: 181-201 (2005)参照)。骨格筋質量の回復のについてのラットにおける≒ 2 mg/kg/日用量に基づいて(≒ 14 mg/m2体表面積に同等)、ヒトにおいて治療効果のある用量は、筋肉減少症を有する患者において、約0.1〜0.5 μg・時間/mL(例えば0.2μg・時間/mL)の全身曝露を目安としうる。実施例14 - In vivoアッセイ − 卵巣摘出した成熟雌ラット 骨粗鬆症の動物モデルにおいて、アンドロゲンは雄ラット(Wakely et al., J Bone & Mineral Research 6: 325-330 (1991)およびVandenput et al., Calcified Tissue International 70: 170-175 (2002))および雌ラット(Tobias et al., Am J Physiology 267: E853-E859 (1994)、およびCoxam et al., Bone 19: 107-114 (1996))において、骨密度および骨強度を増大させる。卵巣摘出した成熟雌ラットモデルを用いて、経口投与された本明細書において提供される化合物(例えば化合物102)の、骨ならびに他の有効性および副作用エンドポイント(筋肉量、脂肪量および陰核腺重量が含まれる)における効果を評価した。 このアッセイにおいて、およそ3か月齢のラットを1週間、ビバリウムに順応させた。順応後、ラットをアベルチン(Avertin)で麻酔し、背面アプローチにより卵巣摘出術(OVX)を実施した。偽手術においては、手順ごとに外科手技を施し、卵巣を露出させたが除去はしなかった。回復後、7週間、さらなる実験的処置は実施せず、その後、ラットを二重エネルギーX線吸収測定法によりスキャンし、大腿の骨塩量(BMC)に基づいて実験グループに分けた。3つの用量の化合物102を試験した(0.03、0.3および3 mg/kg/日PO)。比較のため、オスタリン(公知の非ステロイド性SARM)を同じ用量(0.03、0.3および3 mg/kg/日PO)で試験した。さらに、基準化合物エストラジオールおよびテストステロンを投与した。エストラジオールを卵巣摘出した1つのグループに0.1 mg/kg/日の用量で皮下投与し、プロピオン酸テストステロンを卵巣摘出した別のグループに1 mg/kg/日の用量で皮下投与した。 処置を毎日1回12週間続けた後、動物を安楽死させて、さらなる分析のために組織を採取した。骨の組織形態計測的解析のための蛍光色素マーカーを、動物に皮下注射した。アリザリンレッドSを、3%溶液として調製し、30 mg/kgの用量でベースラインスキャン時に投与した。カルセインを、剖検の10日前および3日前に投与した。 14回目の投与後、およそ250 μLの静脈血を、投与後0、0.5、1、2、4および6時間で、ラットから経皮的経静脈穿刺により採取した。該血液サンプルはリチウム-へパリンチューブ(Becton Dickinson, Franklin Lakes, NJ)に採取した。血漿分画を、薬物動態解析のために採取した。最終投与のおよそ24時間後、ラットを心臓放血(cardiac exsanguination)により屠殺し、血液を血清分離チューブ(Becton Dickinson)に採取し、腓腹筋、足底筋、子宮、陰核腺、陰核および鼠径部脂肪パッドを、個々に単離し、拭い、重量を測定した。外科的に卵巣摘出したラットにおいて、子宮の重量測定値は、卵巣除去の間における子宮角の先端の子宮組織の能力低下に起因して、不正確であり得る。この変動性を最小にするために、子宮角の長さを測定し、子宮重量を子宮の長さでノーマライズして記録した。左の大腿および腰部椎骨L5を、生理食塩水を染みこませたガーゼで包み、生化学的分析用に-20℃で保存した。右の大腿および腰部椎骨L3-L4を採取し、組織形態計測用に70%エタノール中で保存した。右の脛骨を組織学的分析用にホルマリン中に採取した。左の脛骨をドライアイス上に採取し、アルカリホスファターゼ活性の測定用に-20℃で保存した。A. サンプル調製 化合物102およびオスタリンを、5% Tween-80ポリソルベート、90% PEG-400ポリエチレングリコール、および5% ポリビニルピロリドンK30を含有する溶液中に、個々に製剤化した。該混合液を撹拌し、水浴中で30分間、化合物が溶液に溶解するまで超音波処理した。超音波処理後、1% カルボキシメチルセルロース(CMC)/水を該溶液に、9:1の比(1部のPEG-400/Tween-80/PVPに対して9部のCMC/水溶液)で加えた。化合物102およびオスタリンを、4 mL/kgの量で経口投与した。 基準化合物エストラジオールおよびプロピオン酸テストステロンを、容積で70% ポリエチレングリコールおよび30% DMSO (ジメチルスルホキシド)を含有するビヒクル中に製剤化した。化合物を重量測定し、適当な量のビヒクルに加えた。該混合液を数分間超音波処理して、化合物が完全に溶解するのを確実にした。基準化合物を0.4 mL/kgの量で皮下投与した。B. 二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA) 二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)をNorland Peripheral二重エネルギーX線吸光光度計(Dual Energy X-Ray Absorptiometer)(pDEXA Sabre, Norland Medical Systems, Orthmetrix, White Plains, NY)で実施した。各々の使用の前、機械を、製造者に提供された2つのファントムを用いてキャリブレートした。該機械により先の16キャリブレーションについて変動係数を算出し、測定精度を決定した。該研究の過程において、品質管理ファントムの変動係数は0.47%〜0.57%であった。 in vivo DEXA測定について、該ラットをイソフルラン(Hospira, Inc., Lake Forrest, IL)で麻酔し、スキャナーのベッドにうつ伏せで置いた。腰椎および右の大腿を包含したスキャンを実施し、集めた。局所的解析(Regional analysis)を、大腿全体、中央骨幹(mid-diaphyseal)大腿軸および腰椎において実施した。大腿の中央(mid-femur)の測定には、大腿の中間長(mid-length)のいずれかのサイド上の3.5 mm、ならびに皮質幅全体が含まれた。腰椎はL3-L5(椎間板により定義される)として定義され、脊椎幅全体に含まれた。骨塩量(BMC)、推定骨領域および面積骨密度(BMD)を、上記の各領域について測定した。BMDを、推定骨領域で割ったBMCとして算出した。大腿および椎体について、生ラットにおける反復スキャンでの変動係数を、BMCの測定については1.6%未満まで、およびBMDの測定については2.5%に決定した。 BMC、BMDおよび骨長をpDEXAにより大腿全体において測定した後、実験の最後に動物から取り出した。ファントム標準についての変動係数は、in vivo測定について上記したとおりであった。単離した大腿の反復測定についての変動係数は、BMCおよびBMD測定に対して、0.4%未満であった。C. オステオカルシンIRMA 血清オステオカルシンを、Immutopics(#50-1500, San Clemente, CA)からのキットを用いて、実施例13に記載の方法を用いて、定量化した。D. 脛骨骨膜由来のアルカリホスファターゼ 無傷の脛骨全体を、筋肉および接着した軟組織を手作業で取り除いた。脛骨全体を、0.2% SigmaBlendコラゲナーゼタイプF(Sigma-Aldrich)を用いて、37℃で1時間、酵素的に消化した。次いで、骨膜単離物を、Kontesマイクロ超音波細胞破砕機(Micro Ultrasonic Cell Disrupter)Model #KT50 (Vineland, NJ)を用いて、30Aで20秒間、超音波処理した。該ホモジネートの総アルカリホスファターゼ活性を、ACE臨床化学分析機(Clinical Chemistry Analyzer)(Alfa Wassermann, Fairfield, NJ)を用いて製造者のプロトコールに従って、定量化した。E. 生体力学的試験 全ての生体力学的試験は、2 kNロードセル(MTS, Eden Prairie, MN)を用いてQTest2/L 材料試験システムにおいて実施した。データを、ロードセルおよびクロスヘッド変位(crosshead displacement)から、10 Hzで採取し、材料試験のために設計されたソフトウェア(TestWorks 4, MTS)を用いて解析した。 生体力学的分析のために大腿全体を採取し、試験前に室温で解凍した。調製および試験の全体を通して、大腿を生理食塩水で湿潤に保った。大腿全体の長さをハンディデジタル測径器(handheld digital caliper)(Mitutoyo, Japan)を用いて測定し、大腿の中点を同定した。内側(medial-lateral)および前後(anterior-posterior)の直径を、大腿の中央で、測径器を用いて測定した。大腿全体を、下部支持体(lower support)の間にスパンを有する、ステンレススチールピン(直径0.63 mm)から成る特注の3-点屈曲固定器(bending fixture)に設置した。5Nプレロードを、大腿に対して大腿の中央でアプライした後、試験を開始した。試験を、一定のクロスヘッド変位速度20 mm/分で、破綻するまで実施し、それをロードの50%減少として定義した。破綻後、皮質厚を、ハンディデジタル測径器を用いて、大腿の中央の各四半部で測定した。ピークロードおよびピーク変位を、各々、ロードセルおよびクロスヘッドから直接的に測定した。ロード/変位曲線の直線領域から、剛性を算出した。エネルギー吸収(エネルギー対ピーク)を、ロード/変位曲線下の領域として算出した。上記の全ての測定により、構造および器官レベル特性が評される。全般的な構造的および幾何学的変化と内因的組織レベル変化を区別するために、さらなるエンドポイントを算出した。これらのエンドポイントは、組織量および幾何学にノーマライズされた上記のエンドポイントの各々を表わす。ピーク(Peal)ストレス(σ)、緊張(ε)、弾力係数(ヤング係数−E)および靱性係数を、標準的な方程式を用いて算出した(例えば、Turner et al., Bone 14: 595-608 (1993)およびGere et al., Mechanics of Materials (PWS-Kent, Boston (1984)参照)。 腰椎L5を、試験前に室温で解凍し、調製および機械的検査を通して生理食塩水で湿潤を保った。側棘および背棘(lateral and dorsal spinous)を処理し、ハンディ粉砕/切削工具(Dremel, Mount Prospect, IL)を用いて取りだし、椎体の頭側末端を、シアノアクリレート接着剤を用いて、アルミニウムスラブ上に載せた。該切断物(stub)を低速切断機(Isomet, Buehler Ltd., Lake Bluff, IL)のグリップに取り付け、椎体の末端から、成長板および一次海綿質(primary spongiosa)を効率的に除去しながら、2つの平面-平行切片を4 mm間隔で切断した。得られた円柱状の骨を、頭側/尾側、内側/外側および背側/腹側方向においてハンディデジタル測径器を用いて測定した。試料をローディングプラテンに設置し、椎体が破砕するまで、頭側/尾側方向において、20 mm/分で圧縮荷重をかけた。ピークロードおよびピーク変位を、各々、ロードセルおよびクロスヘッドから直接測定した。ロード/変位曲線の直線領域から、剛性を算出した。エネルギー吸収を、ロード/変位曲線下の領域として算出した。大腿と同様に、上記の器官レベル特性を、標準的な設計方程式(engineering equation)を用いてノーマライズして、腰椎の固有の物質特性 を得た。F. 骨の組織形態計測 腰椎椎体を整え、脱水し、ポリメチルメタクリレートに埋め込んだ。大腿を3つに切断した(近位、軸の中間(mid-shaft)、および遠位)。全てをエタノール中で脱水し、遠位および軸の中間をポリメチルメタクリレートに埋め込んだ。大腿の近位部を乾燥させて保存した。椎体および大腿の軸の中間の部分を精密な骨切削器で切断し、該部分をプラスチックスライドに設置し、該部分を、骨研削システムを用いて約30-40 μmの薄さにに切片化した。該切片を研磨し、非染色切片において蛍光色素マーカーを観察した。腰椎椎体からの該切片を海綿骨の組織形態計測的指標のために用い、一方で大腿の軸の中間の切片を皮質骨の組織形態計測的指標のために用いた。 皮質骨の指標を、大腿の骨幹軸の中間で測定した。蛍光顕微鏡と連動したBioQuant Nova Prime画像解析システムで測定を実施した。全ての測定は、カルセイン標識を用いて実施した。これらの標識は試験の終了間近に投与された。以下の測定を実施した: 皮質領、髄領域、骨膜および皮質内(endocortical)表面周囲長、骨膜および皮質内パーセント二重標識表面(%dLS)、骨膜および皮質内パーセント一重標識表面(%sLS)、骨膜および皮質内パーセントミネラル化表面(%MS)、骨膜および皮質内新生骨領域、骨膜および皮質内ミネラル付加率(MAR)、骨膜および皮質内骨形成率、表面指示対象(referent)(BFRs)、容積指示対象(BFRv)、ならびに皮質内びらん面(eroded surface)(%ES)。腰椎椎体において海綿骨構造の指標を測定した。該測定は、両端の一次海綿質で縁取られた中央領域において実施した。海綿骨構造の指標には: 骨領域、骨もしくは海綿骨パーセント容積(%)、骨周囲長、骨表面/容積割当(ration)、および柵状織(trabecular)の厚さが含まれた。G. 薬物動態解析 薬物動態解析を、実施例13に記載の通り実施した。H. データ解析 結果を、変換もしくは超変換(ultratransformed)したデータの解析により分析した(Box et al., J Roy Statist Soc Series B 26: 211-252 (1964)およびBox et al., Technometrics 16: 385-389 (1974))。必要な場合、分散がグループ内で均一であって、一元配置分散分析モデルの残差がガウス(正規)分布に従うことを確実にするために、変換を行った。該分散分析が有意に達した場合、データをさらにフィッシャーのLSD検定により評価した。0.05未満のP値を、統計的に有意な差と明言するための最小基準と見なした。i. 体重および器官重量 化合物102は、体重、腓腹筋重量および足底筋(plantaris)重量を顕著に増大させた(骨格筋における同化作用を示す)。試験した用量において、テストステロンはビヒクルよりも体重増加を増大させる傾向にあったが、この増大は統計的有意には達しなかった。試験した全ての用量において、化合物102は、ビヒクルに比べてベースラインからの体重増加を顕著に増大させた。オスタリンは、中および高用量レベルにおいてビヒクルに比べて体重増加を顕著に増大させたが、低用量においてはビヒクルとの有意な差はなかった。化合物102(0.3 mg/kg)およびオスタリン(0.3 mg/kg)の最大有効用量において、体重における変化の増大は類似していた(各々、+66グラムおよび+65グラムの平均変化)。体重の増大は、脂肪質量の増大よりむしろ除脂肪(lean)組織質量の増大によりもたらされた。鼠径部脂肪パッド重量を代表脂肪パッドとして用いて、体脂肪における薬剤の効果を評価した。鼠径部脂肪パッド重量は卵巣摘出術(OVX + ビヒクル 対 偽、P<0.01)により増大され、エストラジオールまたはテストステロンのいずれかを用いた処置によって、卵巣摘出術に起因して上昇した脂肪パッド重量が減少された。しかしながら、いずれの用量においても、化合物102もオスタリンも鼠径部脂肪パッド重量に顕著な影響を及ぼさなかった。2つの骨格筋、腓腹筋および足底筋の重量を測定して、除脂肪体重における薬剤の効果を評価した。化合物102は、テストステロンまたはオスタリンと比較して、筋肉エンドポイントにおいて同等以上の効力を有していた。各薬剤の最大有効用量(0.3 mg/kg 化合物102またはオスタリン)において、腓腹筋筋肉量は、化合物102およびオスタリンによって、各々17%および10%、増大された。この実験で投与した用量において、テストステロンは筋肉重量を増大させる傾向にあったが、該増大は腓腹筋または足底筋のどちらについても統計的有意に到達しなかった。 陰核腺重量を測定して、皮脂腺における薬剤の効果を評価した。テストステロンは、試験した用量で陰核腺重量を顕著に増大させた。化合物102もオスタリンも、試験した低用量において陰核腺重量に影響を及ぼさなかった。化合物102およびオスタリンの両方とも、試験した高用量において陰核腺重量を増大させた。体重および骨格筋質量を増大させるのに最大の効果を示す中用量(0.3 mg/kg)において、化合物102およびオスタリンは、偽レベルよりほんのわずかに高い同様の活性を有していた。偽に対する比較的小さい増大は、中用量のオスタリンについては統計的に有意(P<0.05)であったが、化合物102は中用量において偽に対して統計的有意に全く到達しなかった(P>0.05)。 陰核重量を測定して薬剤の男性化作用を評価した。テストステロンは、筋肉におけるその活性の欠損にもかかわらず、陰核重量において大きな影響を有していた。化合物102およびオスタリンは、試験した低用量において陰核重量に影響を及ぼさなかった。化合物102およびオスタリンの両方とも、高用量において陰核重量を顕著に増大させたが、テストステロンよりわずかに少なかった(P>0.05 テストステロン 対 高用量の化合物102もしくはオスタリン)。体重および骨格質量を増大させるのに最大の効果を示す中用量(0.3 mg/kg)において、化合物102はテストステロンに対して有意に低い活性を有した(P<0.01)が、オスタリンはテストステロンと有意な差はなかった(P>0.05)。 外科的に卵巣摘出したラットにおいて、子宮の重量測定値は、卵巣除去の間における子宮角の先端の子宮組織の能力低下に起因して、不正確であり得る。この変動性を最小にするために、子宮重量を子宮の長さでノーマライズした。化合物102およびオスタリン両方とも、エストロゲン欠損OVXコントロール以上に、子宮の長さに対する重量比を用量依存的様式で増大させた。子宮の長さに対する重量比は、化合物102の低用量および中用量の両方において、有意(P<0.01)に偽手術したコントロール未満であった。子宮の長さに対する重量比は、中用量オスタリンについては有意でなかった(P>0.05)が、低用量オスタリンについては有意(P<0.01)に偽手術したコントロール未満であった。化合物102は、低用量および中用量の両方において、子宮の長さに対する重量比を有意にオスタリン未満に増大させた(P<0.01)。化合物102およびオスタリンについて、高用量(3 mg/kg)で子宮の長さに対する重量比を偽レベル以上に有意(P<0.01)に増大させたが、互いに有意な差はなかった(P>0.05 高用量のオスタリン対高用量の化合物102)。ii. 二重エネルギーX線吸収測定法 投与の12週間後、腰椎において、化合物102は骨密度(BMD)および骨塩量(BMC)を顕著に増大させた。0.3 mg/kg用量において、化合物102はこの実験における最も効果的な処置であった。とりわけ、テストステロンは腰椎のBMDまたはBMCを有意に増大させなかった。エストラジオールは、脊髄の骨密度を増大させたが骨塩量は変化させず、それは異なる作用メカニズムと一致していた。オスタリンは化合物102と比べて同様の活性を有していた。化合物102もまた、大腿(皮質骨および海綿骨の両方を含む部位)において有効であった。化合物102は大腿のBMDおよびBMCを顕著に増大させ、この実験において試験した最も有効な化合物であった。オスタリンは化合物102と同様の活性を有したが、テストステロンは有効性が低く、ビヒクルレベル以上までBMDまたはBMCを顕著に増大させなかった。腰椎における結果と同様に、エストラジオールは大腿のBMDを顕著に増大させたがBMCは顕著に増大させなかった。iii. 生化学的アッセイ 骨代謝回転のマーカーである血清オステオカルシンは、化合物102およびオスタリンにより、用量依存的様式で顕著に抑制された。エストラジオールおよびテストステロンもまた、ビヒクル-処置OVXコントロールのレベル以下までオステオカルシンを抑制した。単離された脛骨由来のアルカリホスファターゼ活性は、化合物102およびオスタリン処置によって顕著に増大された。対照的に、エストラジオールは脛骨のアルカリホスファターゼ活性を顕著に抑制した。テストステロンはアルカリホスファターゼ活性を増大させる傾向にあったが、その差違は顕著でなかった。iv. 生体力学的試験 化合物102は、大腿全体の屈曲強度および屈曲剛性を顕著に増大させた。オスタリンは同様の活性を有し、大腿の屈曲強度を化合物102よりもわずかに低い有効性で増大させたが、屈曲剛性は化合物102よりもわずかに高い有効性で増大させた。同等の用量において、化合物102およびオスタリン間の差違は顕著でなかった。テストステロンは屈曲剛性を増大させたが、屈曲強度は顕著には増大させなかった。エストラジオールは、大腿での生体力学的特性において顕著な効果を有しなかった。 腰椎の圧縮試験により、処置グループの中における極めてわずかな相違が明らかとなった。処置のいずれも、ビヒクルコントロールに比べて、ピークストレスもしくは剛性を顕著に増大させなかった。これらの結果は、DEXAおよび組織形態計測データと一致していない。前述の実験により、DEXA、組織形態計測および生体力学間の相関が一貫して示された。さらに、この実験的パラダイムを用いた多重研究において、腰椎での圧縮強度および剛性におけるエストラジオールの顕著な効果が観察された。本実験におけるエストラジオールによる活性の欠如は特異である。v. 組織形態計測 より高い割合の骨形成を、一重標識に対して蛍光色素マーカーで二重標識し、それは新しい骨のより迅速な沈着を示した。ミネラル付加率は、同様に化合物102により増大された。大腿の中央の骨膜表面は該年齢のラットの無視可能な骨吸収を有する部位である; 故に、骨形成における該増大は同化作用を示す。オスタリンは皮質骨領域を増大させて、テストステロンは皮質骨領域を増大させなかったけれども、オスタリンおよびテストステロンは骨膜表面において同様の同化作用を示した。これはDEXAおよび生体力学的試験データと一致している。対照的に、エストラジオールは、骨形成率および皮質骨断面積を抑制した。該実験においていずれの化合物も、骨内膜表面での骨の組織形態計測において最小効果が見られた。骨内膜ミネラル付加率(MAR)および骨形成率は減少する傾向にあったが; しかし、統計解析のための定量的データを得るためには二重標識表面が不十分であった。実験グループ全体にわたる二重標識表面が存在しなかったため、これらのエンドポイントについて統計比較は行わなかった。 海綿骨部位(腰椎)において、化合物102はミネラル化表面および骨形成率を用量依存的様式で顕著に抑制した。これらの低下は、血清オステオカルシンにおける変化と一致した骨リモデリングの抑制を示す。正味の効果は、0.3 mg/kg用量の化合物102による海綿骨容積の増大であった。オスタリンおよびエストラジオールは、海綿骨リモデリングおよび骨量における同様の活性を有していた。テストステロンは定性的に同様の効果を有していたが、該変化は小さく、ミネラル化表面測定についての統計的有意性に達したのみであった。vi. 薬物動態パラメーター 化合物102および比較化合物オスタリンについての平均PKパラメーターを以下の表2に示す。* AUC24を推定するために、0時間血漿濃度を24時間血漿濃度に代入した。 AUC6、AUC24およびCMAXにより測定された全身曝露は、用量レベルが増大するにつれて増大した。オスタリンは、化合物102よりも顕著に高い曝露を示した。全体として、各試験物質のピーク血漿濃度は、投与後0.5時間〜3.5時間の間で観察された。結論 化合物102は、閉経後骨粗鬆症のモデルにおいて骨および筋肉で有益な効果を有する選択的アンドロゲン受容体モジュレーターである。化合物102は、骨減少性の雌ラットに経口投与した場合、皮質骨質量、密度、強度、剛性および膜骨形成率を顕著に増大させた。これらの変化は、皮質骨部位において同化作用を有していることを示し、再吸収を優位に阻害する化合物(例えばエストラジオール)とは矛盾している。化合物102は、海綿骨量を増大させ、腰椎の骨密度を増大させるとともに、海綿骨代謝回転を抑制した。骨での効果に加えて、化合物102は、鼠径部脂肪パッド重量に影響を与えることなく、腓腹筋重量、足底筋重量および体重を増大させた。化合物102は、0.3 mg/kg用量において筋肉および骨ではテストステロンよりも高い有効性であったが、陰核腺、陰核または子宮においてはテストステロンに比べて低い活性を有していたように、同一の組織選択性を示した。化合物102の骨および筋肉における効果は比較化合物オスタリンと同様であったけれども、化合物102は力価を増大させ、オスタリンよりも実質的に低い曝露で最大効果に到達した。該データは、化合物102が骨粗鬆症の動物モデルにおいて有益な効果を有することを示す。実施例17 − スプラーグドーリーラットにおける化合物102の薬物動態 スプラーグドーリーラットにおいて、15日間の反復経口投与後の化合物102の薬物動態を評価した。全部で30匹のラット(雄15匹および雌15匹)を、3つの用量グループ(5 雄/5 雌)に分けた。化合物102を、2% Tween 90: 0.5% カルボキシメチルセルロース(高い粘稠性)(50:50, v/v)のビヒクルに、0.25、0.75および2.5 mg/mLの濃度で懸濁し、経口経管栄養を介して、1、3および10 mg/kgで、毎日1回15日間、動物に投与した。水道水およびげっ歯類固形飼料の食餌を、自由に与えた。 1日目および15日目に血液サンプルを採取した。各動物からおよそ0.25 mLの血液を、1日目は頸静脈カニューレを介して、15日目は尾静脈から採取した。血液サンプルを、投与後1、2、4、8、12、および24時間に得た。各血液サンプルを、ヘパリンリチウムを含有するチューブに採取し、遠心分離まで湿った氷上で維持した(最大2時間)。サンプルを、冷却下(2℃〜8℃、3000 gで)で10分間遠心分離した。血漿を、予めラベルしたチューブ(およそ125 μL)に移し入れ、ドライアイス上に置き、分析まで-70℃で凍結保存した。 50 μLの血漿を250 μLのアセトニトリルで抽出し、化合物102の血漿濃度をLC-MS/MS方法により決定した。該血漿濃度時間データを、WinNonlinを用いて非コンパートメント薬物動態学的方法により解析した。薬物動態についての結果(平均±SD、n=5)を表3(1日目)および表4(15日目)に示す。1: n=4: 1 経管栄養失敗に起因する動物死2: n=3: 2 経管栄養失敗に起因する動物死3: n=2: 3 経管栄養失敗に起因する動物死 化合物102は、1、3および10 mg/kg用量レベルで全身曝露の用量比例的増加を示した。1日目および15日目において、雌ラットは雄ラットより高い全身曝露を示した。化合物102の全身曝露は、反復投与に伴って減少しなかった。雄ラットにおける全身曝露は1日目よりも15日目において高く、一方、雌ラットにおける全身曝露は2日間同様のままであった。結論 化合物102の、薬理学的用量(1、3および10 mg/kg)での15日間の反復投与は、全身曝露の用量比例的増加、ならびに、単一用量の投与と比べて同様(雌)または高い(雄)全身曝露をもたらした。同等の用量で、化合物102の全身曝露は雄よりも雌のほうが高かった。実施例18 − スプラーグドーリーラットにおける経口毒性および毒物動態学試験 スプラーグドーリーラットモデルを用いて、経口毒性および毒物動態学を試験した。動物を、同様のグループ平均体重を達成するように設計された層別無作為化スキームによってグループに割り振り、該グループを、バイアスのコントロールを得るための投与に無作為に割り振った。計154匹のスプラーグドーリーラットを、以下の表5に示すとおり、用量グループに割り振った。 全ての動物に、毎日1回、14日間、経口経管栄養を介して投与した。該動物を、臨床徴候(死亡率/罹患率の観測、毎日2回)、ケージ脇での観察(全般的な外観および行動)、摂食量(計量により定量的に測定)、体重、臨床病理指標(血清化学、血液学、凝血および尿検査が含まれる)、ならびに他のパラメーターの変化について評価した。毒物動態解析のために、血液サンプルを、グループ6〜10から、1日目および14日目の様々な時点で採取した(グループ6 投与後4時間; グループ7〜10 投与後、1、4および12時間、あるいは2、8および24時間)。該動物は、血清化学のための血液採取および採尿の少なくとも8時間前から絶食させた。試験した血清化学パラメーターには、アラニンアミノトランスフェラーゼ、総タンパク質、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アルブミン、アルカリホスファターゼ、グロブリン、γ-グルタミル-トランスフェラーゼ、アルブミン/グロブリン比、乳酸デヒドロゲナーゼ、グルコース、総ビリルビン、コレステロール、尿素窒素、トリグリセリド、クレアチニン、ナトリウム、カルシウム、カリウム、リンおよびクロールが含まれた。解析した血液学パラメーターには、赤血球数、網状赤血球数、へモグロビン濃度、赤血球分布幅、平均赤血球容積、平均血小板容積、平均赤血球へモグロビン濃度、白血球数および白血球分画(differential)、ならびに平均赤血球へモグロビンが含まれた。尿検査パラメーターには、色調/性状、ケトン、比重、ビリルビン、pH、潜血、タンパク質、グルコースおよび微視的検査(microscopics)が含まれた。主要な試験動物を15日目に安楽死させた。最後に、American College of Veterinary Pathologistsにより認定された獣医病理学者によって十分な剖検が実施され、グループ1および5、ならびにグループ2〜4からの標的器官(肝臓および腎臓)から、全ての組織を採取し、保存し、処理し、微視的に検査した。 コントロールビヒクルには、Peg-400(Sigma P-3265)、Tween(登録商標) 80 (Sigma P-8074)およびPVP-K30(ポリビニルピロリドンまたはポビドン K-30, Spectrum PN P1454)が、90:5:5(w/w/w)の比で含まれた。適当な量の化合物102をコントロールビヒクルに加えて、均質な投与液剤/懸濁剤を得た。結果 毎日1回、14日間、10、100、300または700 mg/kg/日でのスプラーグドーリーラットへの化合物102の経口経管栄養投与は、試験物質-関連罹患もしくは早期死亡に関連していなかった。3および9日目の早期に死亡した2匹の700 mg/kg/日の雌動物のみであったが、肉眼および微視的所見から、各々の死は投与中の食道穿孔によるものであったと示唆される。 臨床的所見データは、化合物102を投与された動物(とりわけ、≧ 100 mg/kg/日の雌動物において)における、粗い被毛ならびに鼻汁の発生率および頻度の増大を示した。化合物102を投与された雄および雌動物はコントロール動物に比べて体重増加の増大を示し、それはこの類の化合物の予期された薬理学的効果であった。 化合物102の投与に起因する臨床病理変化には、≧ 10 mg/kg/日の用量で、アルカリホスファターゼ(ALP)、リン、トリグリセリド、カリウム、網状赤血球数、赤血球分布幅、血小板数および平均血小板容積における微小変化が含まれた。プロトロンビン時間のわずかな延長がまた、300および700 mg/kg/日で化合物102を投与された雄および雌動物において言及された。変化の小ささのため、これらの変化のいずれも有害であると考えられなかった。尿検査データにおいて、試験物質-関連所見はなかった。化合物102に関連すると考えられる巨視的または微視的変化はなかった。用量依存的な肝臓重量の増大は、肝細胞の大きさのかなりの増大または肝臓病態と関連していなかった。 1日目、化合物102の全身曝露は、雄および雌ラット両方において最大300 mg/kg/日までの用量の増大に伴って増大した。700 mg/kg/日で、化合物102の全身曝露は増大せず、これは吸収が飽和したことを示している。1日目の毒物動態サンプルにおいて注目すべき性差が見られ、全ての用量レベルにわたって雌のほうが高い全身曝露であった。化合物102の反復投与は全身曝露を減少させ、全身曝露の該減少は高い用量グループでより顕著であった。血清化学 ≧ 10 mg/kg/日で投与された雌ラットにおいて、アルカリホスファターゼ値およびリン濃度がわずかに高かった。これらの変化はビリルビンまたはGGTの増加に付随して起こるものではなかった。リンおよびALPで言及された変化に起因して、化合物102は骨における効果を有しうるように見える; しかしながら、組織学的変化は言及されなかった。従って、これらの変化は化合物102の投与に起因するが、それらは有害であるとは考えられず、化合物102の同化性質を反映しているのであろう。 トリグリセリド濃度は、≧100 mg/kg/日で投与された雄ラットおよび≧ 300 mg/kg/日で投与された雌ラットにおいてわずかに低かった(変化は統計的に有意であった)。カリウムレベルは、≧ 300 mg/kg/日で投与された雄ラットおよび≧ 100 mg/kg/日で投与された雌ラットにおいてわずかに高かった。カリウムおよびトリグリセリドにおけるこれらの微小変化は有害であると考えられなかった。他の血清化学パラメーターにおけるグループ間の差違は、散発性であるかもしくは同様の試験手順中の実験用ラットにおいて通常観察される大きさの変化であり、試験物質-関連であると考えられなかった。血液学 ≧ 10 mg/kg/日の化合物102を投与された雌ラットは、より高い網状赤血球数および赤血球分布幅を有していた。これらの変化は、血中赤血球量の指標(すなわち、赤血球、へモグロビンまたはヘマトクリット)の低下に付随するものでもなく、雄動物において言及された変化でもなかった。血小板数はまた、≧ 100 mg/kg/日で投与された雌動物について、および10 mg/kg/日と700 mg/kg/日で投与された雄動物について統計的有意に増大された。平均血小板数の増加もまた雌動物において言及された(グループ3および5について統計的に有意)。試験物質による網状赤血球数、RDW、血小板およびMPVの増大はわずかであり、有害であるとは考えられなかった。血液学化学パラメーターにおけるグループ間の差違は、散発性であるかもしくは同様の試験手順中の実験用ラットにおいて通常観察された大きさの変化であり、試験物質-関連であると考えられなかった。凝血 プロトロンビン時間のわずかな延長がまた、300および700 mg/kg/日で化合物102を投与された雄および雌動物において言及された。この変化の大きさは有害であると考えられなかった。尿検査 化合物102の投与に起因する尿検査パラメーターでの変化はなかった。死後所見 化合物102に関連すると考えられる巨視的または微視的変化はなかった。用量依存的肝臓重量の増大は、肝細胞の大きさのかなりの増大と関連しておらず、肝臓病態はごくわずかであった。同時コントロールと比べて、いくつかはグループ平均絶対器官重量を統計的に有意に増大させた。用量依存的増大であるそれらの絶対器官重量は、両方の性の肝臓に限られていた。グループ平均体重は、コントロールに比べて、あらゆる用量レベルにおいて増加された。体重の増加にもかかわらず、肝臓対体重の比は、100 mg/kg/日以上での雄および雌について用量依存的(doe-dependent)様式で増大された(300および700 mg/kg/日において統計的に有意)。肝臓対脳の重量比もまた、用量依存的様式で増大された。結論 スプラーグドーリーラットに対する、14日間、10、100、200または700 mg/kg/日での、毎日1回の化合物102の経口経管栄養投与は、試験物質-関連の瀕死もしくは早期死亡に関連していなかった。摂食量の統計的に有意な増大が、化合物102を投与された(全ての投与レベル)雌動物において言及され、それはこれらの動物における体重増加の増大と関連している。そのような変化は、雄動物については言及されなかった。用量非依存的試験物質-関連の体重増大が雄および雌動物において生じた(8日と14日の間で統計的有意性)。高用量グループにおける平均体重増加は、雄および雌動物について低用量グループで言及されたもの未満と思われた。化合物102に関連すると考えられる巨視的または微視的変化はなかった。用量依存的な肝臓重量の増大は、肝細胞の大きさのかなりの増大または肝臓病態と関連していなかった。 試験物質-関連臨床徴候には、≧ 100 mg/kg/日で投与された動物における粗い被毛および鼻汁の所見の増大が含まれた。体重の増加もまた、化合物102を投与された雄および雌動物において観察された。≧ 10 mg/kg/日 化合物102の投与に関連した有害でない臨床病理変化が、アルカリホスファターゼ、リン、トリグリセリド、カリウム、網状赤血球数、赤血球分布幅、血小板数、平均血小板容積およびプロトロンビン時間について言及された。 1日目、化合物102の全身曝露は、雄および雌ラット両方において最大300 mg/kg/日までの用量の増大に伴って増大した。700 mg/kg/日で、化合物102は、全身曝露のさらなる増大をせず、飽和吸収を示した。1日目の毒物動態サンプルにおいて注目すべき性差が見られ、全ての用量レベルにわたって雌のほうが高い全身曝露であった。化合物102の反復投与は全身曝露を減少させ、全身曝露の該減少は高い用量グループでより顕著であった。 全般的所見に基づいて、ならびに≧ 100 mg/kg/日で投与された動物について言及された粗い被毛および鼻汁(ストレスの徴候)の臨床的所見はさらなる臨床的所見と関連していなかったことから、この試験における無毒性量(NOAEL)は700 mg/kg/日であると考えられた。実施例 19 − カニクイザルにおける、14-日 経口毒性および毒物動態学試験 カニクイザルに少なくとも14日間経口投与(経鼻経管栄養を介して)した場合の、化合物102のいずれの潜在毒性および薬物動態学プロファイルを決定するために試験を実施した。非-臨床毒性評価のために通常用いられる非-げっ歯類種であるので、カニクイザルをこの試験のために選んだ。サルモデルの使用により、ヒトで生じうる毒性学的反応を同定する可能性が最大化された。約2.5〜3歳および約2.3〜約2.8 kgの体重からの、10匹の実験的に未処置のカニクイザル(5雄および5雌)を、試験の1目日に、以下の表6に示すとおり用量グループに振り分けた。 連続して14日間、毎日1回、経鼻経管栄養を介して、全ての動物に投与した。全ての動物について、投与の最初の日を1日目とした。臨床徴候(死亡率および罹患率の評価、毎日2回)、ケージ脇での観察および摂食量(毎日1回)、体重(1、8および14日目)、理学的検査(5日目、および14日目での投与後13日目/24時間の毒物動態収集)、眼科検査(試験前および14日目での13日目/24時間の毒物動態収集)、および臨床病理パラメーター(3および14日目における、血清化学、血液学および凝血)について該動物を評価し、尿検査のために尿サンプルを剖検(15日目)の間に採取した。1日目および13日目における投与後1、2、4、8、12および24時間での毒物動態解析のために、血液サンプルを採取した。 10匹の動物全てを、最終投与の1日後に安楽死させた。最後に、American College of Veterinary Pathologists(ACVP)により認定された獣医病理学者が、全ての動物において十分な剖検を実施し、組織を採取し、保存し、処理し、微視的に検査した。 ビヒクルは、PEG 400/Tween(登録商標) 80/PVP-K30 (90/5/5, w/w/w)で構成された。適当な量の化合物102をビヒクルに加えて、動物に投与する試験化合物の懸濁剤を製造した。 血清化学、血液学および凝血パラメーターの評価のための血液サンプルを、全ての動物から、3日目と14日目に採取した。尿サンプルは、剖検の間に、膀胱穿刺によって得た。動物は、血清化学のための血液採取の少なくとも8時間前から絶食させた。血清化学パラメーターには、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、総タンパク質、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アルカリホスファターゼ(ALP)、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、アルブミン、グロブリン、アルブミン/グロブリン比、乳酸デヒドロゲナーゼ(LD)、グルコース、総ビリルビン、コレステロール、尿素窒素(BUN)、クレアチニン、トリグリセリド、ナトリウム、カルシウム、カリウム、リン、クロールおよび二酸化炭素が含まれた。血液学パラメーターには、赤血球数、へモグロビン濃度、ヘマトクリット、平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球へモグロビン濃度(MCHC)、平均赤血球へモグロビン(MCH)、赤血球分布幅、網状赤血球数、血小板数、平均血小板容積(MPV)および白血球数が含まれた。凝血パラメーターには、プロトロンビン時間(PT)および活性化部分トロンブプラスチン時間が含まれた。尿検査パラメーターには、色調/性状、比重、pH、タンパク質、グルコース、ケトン、ビリルビン、潜血および微視的検査が含まれた。結果 全ての動物は予定された剖検まで生存した。化合物102が関連した臨床徴候または摂食量への影響はなかった。水様便が、全ての試験動物について、1日目に始まって頻繁に観察された。該水様便はビヒクルのPEG400成分(摂取すると胃腸障害(下痢が含まれる)をもたらすことが知られている)に起因していた。 全ての化合物102-投与動物において、コントロールに比べて用量非依存的に体重が増加した。該試験の間における個々の動物の体重の増加の大きさは著しいと考えられ、この類の化合物の予期された薬理学的活性と一致していた(すなわち、SARMは男性的特徴を生じ得て、骨および筋肉量を増大させることが知られている; Shalender et al., Nature Clinical Practice Endocrinology & Metabolism 2: 146-159 (2006)参照)。眼科検査において確認された化合物102-関連所見はなかった。血清化学 化合物102を投与された全ての動物において、14日目に、血清コレステロール濃度が低下した。コレステロールの低下は有害ではないと思われた。投与の14日後、450 mg/kgを投与された雌動物は、血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)活性が増大され、乳酸デヒドロゲナーゼ(LD)は増大されなかった。この動物はまた、肝臓において、ほとんど目立たないわずかな単一細胞肝細胞壊死を有した。総合すると、高用量動物に影響を与えるこれらの変化により、試験物質との関係性(possible relationship)が示唆された。血清化学パラメーターにおける他の変化(投与グループ中の数個体の動物における14日目でのγ-グルタミルトランスフェラーゼの小さな増大が含まれる)は、同様の試験手順中の実験室収容(laboratory-housed)カニクイザルにおいて通常観察される生物学的可変性に起因していた。血液学 全ての化合物102用量レベルで、血小板数の用量非依存的減少が見られた。5、50および150 mg/kg-投与グループの雄および雌動物両方ならびに雌の高用量動物(450 mg/kg)において、14日目、血小板数が3日目に比べて低かった(およそ14%〜38%)。14日目の血小板数は3日目に比べて、高用量の雄およびコントロールの雄においてわずかに増大し、コントロールの雌においておよそ5%低下した。14日目において(3日目に比べて)、8個体中7個体の化合物102-投与動物の血小板数がコントロール動物に対して低かったけれども、該所見の臨床的有意性は有害とは考えなかった。 血中赤血球量の指標は、13日目における毒物動態学血液サンプル採取に起因して、全ての5グループにおいて14日目(3日目に比べて)で穏やかに低下した。赤血球分布幅および網状赤血球数は、全ての5グループにおいて14日目(3日目に比べて)で穏やかに増大し;これらの変化は、3日目(臨床病理用)および1日目(毒物動態学用)での血液採取によりもたらされた再生赤血球生成(regenerative erythropoiesis)を反映する。グループ4の動物において最も一貫している、総白血球(WBC)、好中球、リンパ球および単球数における変動は、用量非依存的で、おそらく偶発的であった。凝血 14日目、5 mg/kg投与の雌を除いた化合物102-投与グループの全ての動物は、プロトロンビン時間(PT)がわずかに延長された(3日目よりも1.8〜3.5秒長い); コントロール動物におけるPTは3日目と同様であった。該変化は用量反応を示さず、有害とは考えなかった。尿検査 尿検査パラメーターにおける化合物102-関連効果はなかった。巨視的所見 化合物102投与の関連性を示唆する肉眼剖検所見は、150および450 mg/kgでの、両方の性における、胸腺の大きさの減少および副腎の褐色変色に限られていた。胸腺の大きさの減少は、胸腺皮質におけるわずかから軽度のリンパ球欠乏と、微視的に関連していた。褐色副腎変色との微視的関連はなかった。病理組織学 直接的な化合物102-関連微視的所見はなかった。わずかから軽度の胸腺のリンパ皮質(lymphoid cortical)減少が、150 mg/kg以上での雄ラットおよび50 mg/kg以上での雌において見られた。しかしながら、この所見はストレスによるものであり、直接的な毒性効果でないと考えられた。ほとんどの微視的所見は、コントロールおよび投与動物において無作為に見られるか、またはカニクイザルにおける通常の偶発的な所見であると考えられ、化合物102投与に関連するとは考えられなかった。結論 5、50、150および50 mg/kgの化合物102を14日間毎日投与することにより、死亡、摂食量における有害な臨床徴候もしくは変化、または組織学的効果はもたらされなかった。理学的もしくは眼科検査の間、または尿検査から確認された異常な所見はなかった。 体重増加(この類の化合物の予期された薬理学的活性と一致)、血清コレステロール濃度および血小板数の低下、ならびにプロトロンビン時間の延長を含む、化合物102-関連効果を、5、50、150および450 m/kg用量レベルで、両方の性において確認した。これらの変化は、概して用量非依存的であり、有害でないと考えられた。 化合物102に関連しうる巨視的(肉眼剖検)所見は、両方の性における150および450 mg/kgでの、副腎の褐色変色および胸腺の大きさの減少に限られた。褐色副腎との明白な微視的関連はなかった。150 mg/kg以上での雄および50 mg/kg以上での雌におけるわずかから軽度の胸腺のリンパ皮質減少、ならびに胸腺の大きさの減少はストレスによるものであり、直接的な毒性効果でないと考えられた。 化合物102の全身曝露は、両方の性において、最大450 mg/kgまでの用量の増大に伴って増大した。化合物102を反復投与すると、13日目において全身曝露が減少され(1日目曝露に比べて)、全身曝露の該減少は高用量グループにおいてより顕著であった。1日目および13日目の毒物動態学パラメーターにおいて顕著な性差はなかった。 本試験の条件下において、NOAELは、雄において450 mg/kgであり、雌において150 mg/kgであった(450 mg/kg-投与雌においてALTおよびASTが上昇し、肝臓の組織学的変化が見られたという所見に基づく)。NOELは、全ての化合物102-投与グループで見られた体重の増加、血清コレステロール濃度および血小板数の低下、ならびにプロトロンビン時間の延長のため、達成されなかった。 改変は当業者には明らかであろうから、本発明は添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定されることが意図されている。 式IIもしくはIII: (式中: R4は、ClまたはCF3であり; そして、 R5は、メチル、エチルまたはCF3である)の化合物またはその医薬的に許容される塩。(a)該化合物が、式IIを有し、 R4がClであり、R5がメチルである化合物; R4がClであり、R5がエチルである化合物; R4がClであり、R5がCF3である化合物; R4がCF3であり、R5がメチルである化合物; R4がCF3であり、R5がエチルである化合物;および R4がCF3であり、R5がCF3である化合物、 の中から選択されるか、または、(b)該化合物が、式IIIを有し、 R5がメチルである化合物; R5がエチルである化合物;および R5がCF3である化合物、 の中から選択される、請求項1に記載の化合物。 (3R)-10-クロロ-3-メチル-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(R)-ヒドロキシプロピル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-10-クロロ-3-エチル-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(R)-ヒドロキシプロピル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-10-クロロ-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(R)-ヒドロキシプロピル)-3-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-10-クロロ-3-メチル-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(S)-ヒドロキシプロピル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-10-クロロ-3-エチル-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(S)-ヒドロキシプロピル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-10-クロロ-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(S)-ヒドロキシプロピル)-3-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-3-エチル-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(R)-ヒドロキシプロピル)-10-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-3-メチル-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(R)-ヒドロキシプロピル)-10-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(R)-ヒドロキシプロピル)-3,10-ビス(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-3-エチル-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(S)-ヒドロキシプロピル)-10-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-3-メチル-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(S)-ヒドロキシプロピル)-10-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(3R)-4-(3,3,3-トリフルオロ-2(S)-ヒドロキシプロピル)-3,10-ビス(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;(R)-10-クロロ-3-メチル-4-(2,2,2-トリフルオロエチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]-キノリン-8(7H)-オン;(R)-10-クロロ-3-エチル-4-(2,2,2-トリフルオロエチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]-キノリン-8(7H)-オン;(R)-10-クロロ-4-(2,2,2-トリフルオロエチル)-3-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-[1,4]オキサジノ[2,3-f]キノリン-8(7H)-オン;の中から選択される請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。 化合物が、選択的アンドロゲン受容体アゴニストか、選択的アンドロゲン受容体部分アゴニストか、または組織特異的アンドロゲン受容体アゴニストである、請求項1に記載の化合物。 化合物が選択的アンドロゲン受容体アンタゴニストか、または組織特異的アンドロゲン受容体アンタゴニストである、請求項1に記載の化合物。 請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物;および、 医薬的に許容される担体、を含有する医薬組成物であって、該組成物が、経口、直腸内、経粘膜的、腸管内、経腸的、局所的、経皮、くも膜下腔内、脳室内、腹腔内、鼻腔内、眼内、非経口、静脈内、筋肉内、髄内、または皮下投与用に製剤化される、医薬組成物。 エストロゲンもしくはエストロゲン誘導体、プロゲスチンもしくはプロゲスチン誘導体、抗エストロゲン薬もしくは選択的エストロゲン受容体モジュレーター化合物、αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ(PPARγ)の活性化剤、カルシウム受容体アンタゴニスト、インスリン様増殖因子、カテプシン阻害剤、HMG-CoA還元酵素阻害剤、p38プロテインキナーゼ阻害剤、プロスタグランジン誘導体、ビスホスホネート、ビタミンDもしくはビタミンD誘導体、ビタミンKもしくはビタミンK誘導体、破骨細胞液胞型ATPアーゼ阻害剤、破骨細胞受容体に結合するVEGFのアンタゴニスト、およびカルシトニンの中から選択される1つ以上の活性成分をさらに含有する、請求項6に記載の医薬組成物。 アンドロゲン欠乏症またはアンドロゲン受容体の機能低下もしくは弱感受性により引き起こされる疾患、障害もしくは症状、あるいはアンドロゲン補充により寛解されるかまたはARアゴニストを用いた治療に応答性の疾患、障害もしくは症状の治療用の医薬の製造のための請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物の使用。 該疾患、障害または症状が、皮膚の老化; アルツハイマー病; 貧血; 食欲不振; 関節炎; 痛風; 動脈硬化症; アテローム性動脈硬化症; 骨疾患; 骨の損傷もしくは骨折; 仮骨延長; 骨質量、骨密度もしくは骨成長の低下; 骨の脆弱化; 筋骨格機能障害; 悪液質; 乳癌および骨肉腫; 心機能不全; 心筋梗塞; 心肥大; うっ血性心不全; 心筋症; グルココルチコイドの異化副作用; クローン病; クローン病に関連した発育遅延; 短腸症候群; 過敏性腸症候群; 炎症性腸疾患; 潰瘍性大腸炎; 認知機能低下および認知機能障害; 認知症; 短期記憶喪失; 避妊(男性および女性); 慢性閉塞性肺疾患(COPD); 慢性気管支炎; 肺機能低下; 肺気腫; 男性および女性両方におけるリビドー減退; うつ病; 神経過敏、易刺激性および/またはストレス; 精神的活力の低下および低い自尊心; モチベーション/アサーティブネスの低下; 脂質異常症; 勃起不全; 虚弱; 高齢者における加齢性機能低下(「ARFD」); 成長ホルモン分泌不全; 造血障害; ホルモン補充(男性および女性); 高コレステロール血症; 高インスリン血症; 高脂血症; 高血圧; 高アンドロゲン血症; 性腺機能低下症(原発性および続発性を含む); 低体温(麻酔後の低体温を含む); インポテンス; インスリン抵抗性; 2型糖尿病; リポジストロフィー; 男性更年期; メタボリックシンドローム(シンドロームX); 筋力および/または筋機能の低下; 筋ジストロフィー; 術後の筋力低下; 筋萎縮症; 神経変性疾患; 神経筋疾患; 血小板数低下; 血小板凝集障害; 肥満症; 骨粗鬆症; 骨減少症; グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症; 骨軟骨異形成症; 歯周病; 月経前症候群; 女性における閉経後の症状; リーブンシンドローム; リウマチ性疾患; 筋肉減少症; 男性および女性の性機能低下; 勃起不全; 性的欲求の低下; リビドー減退; 慢性疾患に関連した成長ホルモン分泌不全児および低身長ならびに肥満症に関連した発育遅延を含む、生理学的低身長; 歯の損傷; 血小板減少症; 膣乾燥; 萎縮性膣炎; 心室機能不全; および消耗の中から選択される、請求項8に記載の使用。 アンドロゲン欠乏症またはアンドロゲン受容体の機能低下もしくは弱感受性により引き起こされる疾患、障害もしくは症状、あるいはアンドロゲン補充により寛解されるかまたはARアゴニストを用いた治療に応答性の疾患、障害もしくは症状の治療のための剤であって、エストロゲンもしくはエストロゲン誘導体、プロゲスチンもしくはプロゲスチン誘導体、抗エストロゲン薬もしくは選択的エストロゲン受容体モジュレーター化合物、αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ(PPARγ)の活性化剤、カルシウム受容体アンタゴニスト、インスリン様増殖因子、カテプシン阻害剤、HMG-CoA還元酵素阻害剤、p38プロテインキナーゼ阻害剤、プロスタグランジン誘導体、ビスホスホネート、ビタミンDもしくはビタミンD誘導体、ビタミンKもしくはビタミンK誘導体、破骨細胞液胞型ATPアーゼ阻害剤、破骨細胞受容体に結合するVEGFのアンタゴニスト、およびカルシトニンの中から選択される1つ以上の活性成分と、請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物を組み合わせて含む剤。 該活性成分が請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物と、同時か、または異なる時間に投与されることを特徴とする、請求項10に記載の剤。 該疾患、障害または症状が、皮膚の老化; アルツハイマー病; 貧血; 食欲不振; 関節炎; 痛風; 動脈硬化症; アテローム性動脈硬化症; 骨疾患; 骨の損傷もしくは骨折; 仮骨延長; 骨質量、骨密度もしくは骨成長の低下; 骨の脆弱化; 筋骨格機能障害; 悪液質; 乳癌および骨肉腫; 心機能不全; 心筋梗塞; 心肥大; うっ血性心不全; 心筋症; グルココルチコイドの異化副作用; クローン病; クローン病に関連した発育遅延; 短腸症候群; 過敏性腸症候群; 炎症性腸疾患; 潰瘍性大腸炎; 認知機能低下および認知機能障害; 認知症; 短期記憶喪失; 避妊(男性および女性); 慢性閉塞性肺疾患(COPD); 慢性気管支炎; 肺機能低下; 肺気腫; 男性および女性両方におけるリビドー減退; うつ病; 神経過敏、易刺激性および/またはストレス; 精神的活力の低下および低い自尊心; モチベーション/アサーティブネスの低下; 脂質異常症; 勃起不全; 虚弱; 高齢者における加齢性機能低下(「ARFD」); 成長ホルモン分泌不全; 造血障害; ホルモン補充(男性および女性); 高コレステロール血症; 高インスリン血症; 高脂血症; 高血圧; 高アンドロゲン血症; 性腺機能低下症(原発性および続発性を含む); 低体温(麻酔後の低体温を含む); インポテンス; インスリン抵抗性; 2型糖尿病; リポジストロフィー; 男性更年期; メタボリックシンドローム(シンドロームX); 筋力および/または筋機能の低下; 筋ジストロフィー; 術後の筋力低下; 筋萎縮症; 神経変性疾患; 神経筋疾患; 血小板数低下; 血小板凝集障害; 肥満症; 骨粗鬆症; 骨減少症; グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症; 骨軟骨異形成症; 歯周病; 月経前症候群; 女性における閉経後の症状; リーブンシンドローム; リウマチ性疾患; 筋肉減少症; 男性および女性の性機能低下; 勃起不全; 性的欲求の低下; リビドー減退; 慢性疾患に関連した成長ホルモン分泌不全児および低身長ならびに肥満症に関連した発育遅延を含む、生理学的低身長; 歯の損傷; 血小板減少症; 膣乾燥; 萎縮性膣炎; 心室機能不全; および消耗の中から選択される、請求項10または11に記載の剤。 拍動的成長ホルモン放出の刺激; 骨強度の改善; 筋力および/または筋緊張の改善; 皮下脂肪の減少; 運動能力の増大; 外傷後のタンパク質異化反応の減弱または回復; 睡眠の質の改善; REM睡眠の高い増加およびREM潜時の減少に起因する、老化の相対的低ソマトトロピン症の是正; 脂質プロファイルの改変; 女性のアンドロゲン欠乏症の是正; および男性のアンドロゲン低下の是正の中から選択される効果をもたらす医薬の製造のための請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物の使用。 拍動的成長ホルモン放出の刺激; 骨強度の改善; 筋力および/または筋緊張の改善; 皮下脂肪の減少; 運動能力の増大; 外傷後のタンパク質異化反応の減弱または回復; 睡眠の質の改善; REM睡眠の高い増加およびREM潜時の減少に起因する、老化の相対的低ソマトトロピン症の是正; 脂質プロファイルの改変; 女性のアンドロゲン欠乏症の是正; および男性のアンドロゲン低下の是正の中から選択される効果をもたらす剤であって、エストロゲンもしくはエストロゲン誘導体、プロゲスチンもしくはプロゲスチン誘導体、抗エストロゲン薬もしくは選択的エストロゲン受容体モジュレーター化合物、αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ(PPARγ)の活性化剤、カルシウム受容体アンタゴニスト、インスリン様増殖因子、カテプシン阻害剤、HMG-CoA還元酵素阻害剤、p38プロテインキナーゼ阻害剤、プロスタグランジン誘導体、ビスホスホネート、ビタミンDもしくはビタミンD誘導体、ビタミンKもしくはビタミンK誘導体、破骨細胞液胞型ATPアーゼ阻害剤、破骨細胞受容体に結合するVEGFのアンタゴニスト、およびカルシトニンの中から選択される1つ以上の活性成分と、請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物を組み合わせて含む剤。 アンドロゲン受容体の機能亢進により引き起こされる疾患、障害もしくは症状、またはARアンタゴニストを用いた治療に応答性の疾患、障害もしくは症状の治療用の医薬の製造のための、請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物の使用。 該疾患、障害または症状が、黒色表皮腫; ざ瘡; 副腎性高アンドロゲン症; アンドロゲン性脱毛症(男性型脱毛症); 前立腺の腺腫および腫瘍; 進行した転移性前立腺癌; 良性の前立腺肥大; 乳癌、膀胱癌、脳癌、子宮内膜癌、腎癌、肺癌(非小細胞肺癌)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌および皮膚癌; リンパ腺癌; 神経性過食症; 慢性疲労症候群(CFS); 慢性筋肉痛; 急性疲労症候群; 子癇前症、妊娠子癇および早期分娩の防止; 創傷治癒遅延; 赤血球増加症; 妊娠糖尿病; 多毛症; 高インスリン血症; 膵島細胞症; アンドロゲン過剰症; 副腎皮質ホルモン過剰症; クッシング症候群; 過剰有毛; 不妊症; 月経不順; 卵巣アンドロゲン過剰症; 多嚢胞性卵巣症候群; 脂漏症; 睡眠障害; 睡眠時無呼吸; および内臓脂肪症の中から選択される、請求項15に記載の使用。 アンドロゲン受容体の機能亢進により引き起こされる疾患、障害もしくは症状、またはARアンタゴニストを用いた治療に応答性の疾患、障害もしくは症状の治療ための剤であって、エストロゲンもしくはエストロゲン誘導体、プロゲスチンもしくはプロゲスチン誘導体、抗エストロゲン薬もしくは選択的エストロゲン受容体モジュレーター化合物、αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ(PPARγ)の活性化剤、カルシウム受容体アンタゴニスト、インスリン様増殖因子、カテプシン阻害剤、HMG-CoA還元酵素阻害剤、p38プロテインキナーゼ阻害剤、プロスタグランジン誘導体、ビスホスホネート、ビタミンDもしくはビタミンD誘導体、ビタミンKもしくはビタミンK誘導体、破骨細胞液胞型ATPアーゼ阻害剤、破骨細胞受容体に結合するVEGFのアンタゴニスト、およびカルシトニンの中から選択される1つ以上の活性成分と、請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物を組み合わせて含む剤。 該疾患、障害または症状が、黒色表皮腫; ざ瘡; 副腎性高アンドロゲン症; アンドロゲン性脱毛症(男性型脱毛症); 前立腺の腺腫および腫瘍; 進行した転移性前立腺癌; 良性の前立腺肥大; 乳癌、膀胱癌、脳癌、子宮内膜癌、腎癌、肺癌(非小細胞肺癌)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌および皮膚癌; リンパ腺癌; 神経性過食症; 慢性疲労症候群(CFS); 慢性筋肉痛; 急性疲労症候群; 子癇前症、妊娠子癇および早期分娩の防止; 創傷治癒遅延; 赤血球増加症; 妊娠糖尿病; 多毛症; 高インスリン血症; 膵島細胞症; アンドロゲン過剰症; 副腎皮質ホルモン過剰症; クッシング症候群; 過剰有毛; 不妊症; 月経不順; 卵巣アンドロゲン過剰症; 多嚢胞性卵巣症候群; 脂漏症; 睡眠障害; 睡眠時無呼吸; および内臓脂肪症の中から選択される、請求項17に記載の剤。 【課題】選択的アンドロゲン受容体活性調節作用を有する新規化合物の提供。【解決手段】下記式II若しくはIIIで表される化合物又はその医薬的に許容される塩。前記化合物は、選択的アンドロゲン受容体アゴニスト、選択的アンドロゲン受容体部分アゴニスト、又は組織特異的アンドロゲン受容体アゴニストであり、アンドロゲン欠乏症又はアンドロゲン受容体の機能低下若しくは弱感受性により引き起こされる疾患、障害若しくは症状、或いはアンドロゲン補充により寛解されるか又はアンドロゲン受容体アゴニストを用いた治療に応答性の疾患、障害若しくは症状の治療に有用である。(R4は、Cl又はCF3を、R5は、メチル、エチル又はCF3を表す。)【選択図】なし