生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_植物体から抗酸化物質を含む乾燥粉末と液体とを得る方法
出願番号:2014093386
年次:2015
IPC分類:A23L 1/212,A61P 39/06,A61K 36/896,A61K 36/73,A61K 36/18,A61K 36/23,A61K 36/42,A61K 9/08,A61K 9/14,A61K 36/00


特許情報キャッシュ

西田 研志 JP 2015208307 公開特許公報(A) 20151124 2014093386 20140430 植物体から抗酸化物質を含む乾燥粉末と液体とを得る方法 株式会社ファーストラナーズ 513150030 猪狩 充 100140567 西田 研志 A23L 1/212 20060101AFI20151027BHJP A61P 39/06 20060101ALI20151027BHJP A61K 36/896 20060101ALI20151027BHJP A61K 36/73 20060101ALI20151027BHJP A61K 36/18 20060101ALI20151027BHJP A61K 36/23 20060101ALI20151027BHJP A61K 36/42 20060101ALI20151027BHJP A61K 9/08 20060101ALI20151027BHJP A61K 9/14 20060101ALI20151027BHJP A61K 36/00 20060101ALI20151027BHJP JPA23L1/212 AA61P39/06A61K35/78 VA61K35/78 HA61K35/78 CA61K35/78 NA61K35/78 SA61K9/08A61K9/14A61K35/78 Y 2 OL 6 4B016 4C076 4C088 4B016LC07 4B016LE02 4B016LG01 4B016LG05 4B016LP01 4B016LP08 4B016LP11 4B016LP13 4C076AA12 4C076AA29 4C076BB01 4C076CC29 4C076FF36 4C076FF63 4C076GG05 4C076GG42 4C088AB15 4C088AB19 4C088AB40 4C088AB51 4C088AB87 4C088CA01 4C088CA02 4C088CA19 4C088MA17 4C088MA43 4C088MA52 4C088NA05 4C088ZC37 本発明は、植物体から抗酸化物質を含む乾燥粉末と液体とを得る方法に関するものである。 近年、抗酸化物質(抗酸化作用のある成分)を食品から摂取することが注目されている。これは、抗酸化物質が、がんや老化等の原因の一つとされる体内の活性酸素を無毒化したり、免疫力を高めたりする機能を有すると認められているからである。 そして、抗酸化物質を効率良く摂取できるようにするため、例えば、以下の特許文献1に記載されているような、抗酸化物質の抽出方法や、抗酸化物質を含有する食品に関する技術が提案されている。 特許文献1に記載の技術によれば、植物体を裁断し、水性媒体中で煮詰める工程等を経ることによって、セルロースでできた細胞膜の中にある抗酸化物質を水性媒体中に抽出させ、これにより、抗酸化物質を得ることができるとされている。 しかしながら、特許文献1の記載の技術では、煮詰める工程を有しているため、加熱によって変質・毀損してしまう抗酸化物質を得ることはできない、という問題があった。また、この特許文献1に記載の技術よりも、さらに効率的に抗酸化物質を得られる方法の開発についても期待がされていた。 本願発明者は、このような実情のもと、植物体から抗酸化物質を効率良く得られる方法について鋭意検討を重ねた。その結果、本願発明者は、ペースト状にした植物体を真空乾燥することによって、加熱による変質・毀損を防ぎながら、抗酸化物質を得られる、という知見を得、本発明を創作するに至った。また、本願発明者は、本発明により、植物体から抗酸化物質を含む乾燥粉末と共に、植物体から抗酸化物質を含む液体も得られるということについても確認した。 なお、本発明を出願するにあたって、本願の発明者や出願人において過去の特許文献等を調査したところ、植物体から抗酸化物質を得る方法や、真空乾燥に関する技術について、下記の文献を発見することができたが、本発明に係る技術的思想等を詳述したものについては、発見することができなかった。特開2008−206479号公報特開2005−214599号公報 本発明は、加熱による変質・毀損を防ぎながら、植物体から抗酸化物質を含む乾燥粉末と液体とを得る方法を提供することを目的とする。 そのための手段として、本発明に係る植物体から抗酸化物質を含む乾燥粉末と液体とを得る方法は、植物体をペースト状にする工程と、当該ペースト状にした植物体を速やかに密閉容器内に投入する工程と、前記密閉容器内を真空状態又は減圧状態とし、前記密閉容器内に投入されたペースト状の植物体を、30℃〜60℃の温度条件下で攪拌しながら乾燥させることによって、乾燥した粉末と蒸発した気体とを得る工程と、前記工程によって得られた気体を冷却することによって、植物体から蒸発した水分を液体として得る工程とを有することを特徴としている。 また、本発明に係る植物体から抗酸化物質を含む乾燥粉末と液体とを得る方法は、前記植物体が、玉葱、リンゴ、キャベツ、人参、及び、カボチャの中から選ばれる一種又は二種以上のものであることも特徴としている。 本発明によれば、加熱による変質・毀損を防ぎながら、植物体から抗酸化物質を含む乾燥粉末と液体とを得る方法を提供することができる。 以下、本発明に係る植物体から抗酸化物質を含む乾燥粉末と液体とを得る方法を実施するための形態について説明する。 まず、植物体として、皮を剥いた玉葱を4kg程度用意し、これをミキサーにかけてペースト状にする。玉葱をペースト状にしたら、このペースト状にした玉葱を、攪拌機能を有する真空乾燥機内の密閉容器内に速やかに投入する。そして、真空乾燥機を作動させ、密閉容器内を、圧力を−90kPa以下の真空又は減圧条件とし、かつ、温度を30℃〜60℃の範囲内として、密閉容器内のペースト状の玉葱を攪拌しながら乾燥させる。この乾燥の工程によって、乾燥した粉末と蒸発した気体とを得る。 また、ここで得られる蒸発した気体を冷却することによって、玉葱から蒸発した水分を液体として得る。このようにして、植物体としての玉葱から、乾燥粉末と液体とを得ることができる。 以上の実施形態によれば、玉葱のように抗酸化物質を含む植物体から、抗酸化物質を熱によって変質・崩壊させること無く、抗酸化物質を含む乾燥粉末と液体とを得ることができる。 この点を、さらに詳しく説明する。玉葱から得られる抗酸化物質の一つとして、イソアリシンが知られている。イソアリシンは、玉葱の細胞中に存在している、前駆物質「イソアリイン」、及び、酵素「アリイナーゼ」との化学反応によって生成される。これら二つの物質は、細胞中においては別々に存在しているため、細胞が破壊されない限り、化学反応がおこり、イソアリシンが生成されることは無い。 本実施形態においては、植物体としての玉葱を、ミキサーにかけてペースト状にすることで、玉葱の細胞を破壊し、「イソアリイン」と「アリイナーゼ」との化学反応を起こすようにし、「イソアリシン」生成させている。 そして、イソアリシンは、揮発性の抗酸化物質であるところ、本実施形態においては、ペースト状にした玉葱を、攪拌機能を有する真空乾燥機内の密閉容器内に速やかに投入し、乾燥処理を行うので、ペースト状にすることで生成が進むイソアリシンの空気中への拡散を防ぎ、抗酸化物質であるイソアリシンを充分に得ることができる。 また、本実施形態においては、60℃以下の温度において、玉葱の乾燥処理を行うので、酵素「アリイナーゼ」が変性して失活することが無く、イソアリシン生成の化学反応が進行し、抗酸化物質であるイソアリシンを充分に得ることができる。 さらに、本実施形態においては、真空又は減圧条件下の密閉容器内において、抗酸化物質であるイソアリシンを得るので、酸化反応が起きることが無く、抗酸化力を維持させたまま、抗酸化物質であるイソアリシンを得ることができる。 また、玉葱には、イソアリシンの他にも、ビタミンC等、熱によって変性してしまう抗酸化物質が含まれているところ、本実施形態によれば、60℃以下の温度において、玉葱の乾燥処理を行うので、これらの抗酸化物質の毀損も防ぎながら、抗酸化物質を含む乾燥粉末と液体とを得ることができる。 さらに、本実施形態においては、真空乾燥によって、60℃以下という低温度で蒸発した気体を冷却することによって、玉葱から蒸発した水分を液体として得るので、60℃超では毀損してしまう揮発性の抗酸化物質も、液体として得ることができる。 なお、以上の実施形態においては、植物体として、玉葱を使用しているが、抗酸化物質を含む植物体であれば、玉葱以外のものを使用することも当然に可能である。抗酸化物質を多く含む植物体としては、玉葱以外にも、リンゴ、キャベツ、人参、カボチャ等がよく知られている。本発明では、これらの果実や野菜のうちから一種類選んで植物体としても良い。また、これらの果実や野菜のうちから二種以上のものを適宜選んで組み合わせて、植物体としても良い。 ちなみに、これらの植物体のうち、抗酸化物質の情報の一例を補足すると、例えば、キャベツは、抗酸化物質が「イソチオシアネート類」、前駆物質が「グルコシノレート類」、酵素が「ミロシナーゼ」である。 また、以上の実施形態において使用する真空乾燥機は、攪拌機能を有し、かつ、前記の圧力・温度条件を満たすことができるものであれば、どのようなものを使用することも可能である。ただし、現在市場に流通している真空乾燥機としては、株式会社F・E・C社(兵庫県相生市)のものが、本発明の実施に際し、もっとも好適であると認められる。 さらに、以上の実施形態において、密閉容器内のペースト状の植物体を攪拌しながら乾燥させる際は、植物体の全体が焦げる直前まで乾燥させるようにすることが好ましい。焦げる直前が、植物体の水分が蒸発し、充分な乾燥状態の粉末が得られるからである。また、焦げてしまうと、ここで得られる乾燥粉末の風味が、損なわれてしまうからである。 そして、本発明に係る方法によって得られる抗酸化物質を含む液体は、原料となる植物体のフレッシュな香りを、ほぼそのまま有している。そのため、本発明によって得られる液体を使用して調理を行うと、単に水を使用した場合に比べて、調理する食品の風味を増大させることができるという利点がある。 さらに、本発明に係る方法によって得られる抗酸化物質を含む液体をパンやパスタ等の生地を作る際の水として使用することによって、これらパンやパスタ等に、野菜の風味を与えることもできる。 また、本発明に係る方法によって得られる抗酸化物質を含む液体を加えた食品は、通常の乾燥させた野菜を加えた食品よりも、味と香りが残りやすいという利点もある。 次に、以下に示す実施例により、本発明について更に詳細に説明を行う。[実施例1:玉葱の抗酸化力の測定] 本発明の実施形態に係る方法によって、玉葱4kgをペースト状にしてから、これを50℃〜60℃の範囲内で真空乾燥し、抗酸化物質を含む乾燥粉末と蒸発した気体とを得た。また、ここで得た蒸発した気体を冷却し、玉葱から蒸発した水分を液体として得た。ここで、真空乾燥機は、株式会社F・E・C社製のFED−50を使用した。そして、得られた玉葱の乾燥粉末、及び、液体に含まれる抗酸化物質の抗酸化力を測定した。測定は、総抗酸化バリア測定(OXY吸着テスト)によって実施した。測定結果は以下の通りであった。乾燥粉末(玉葱):521.6(μmol HClO/ml)液体(玉葱) : 40.6(μmol HClO/ml) なお、総抗酸化バリア測定(OXY吸着テスト)とは、次亜塩素酸(HClO)の酸化に対抗する血液の抗酸化バリアを測定することにより、抗酸化力を測定する方法である。単位は、μmol HClO/mlによって表わされ、測定数値が大きい程、抗酸化力を有していることを示すことになる。[実施例2:キャベツの抗酸化力の測定] 実施例1に準じて、キャベツ4kgをペースト状にしてから、これを50℃〜60℃の範囲内で真空乾燥し、抗酸化物質を含む乾燥粉末と蒸発した気体とを得た。また、ここで得た蒸発した気体を冷却し、キャベツから蒸発した水分を液体として得た。ここで、真空乾燥機は、株式会社F・E・C社製のFED−50を使用した。そして、得られたキャベツの乾燥粉末、及び、液体に含まれる抗酸化物質の抗酸化力を測定した。測定は、総抗酸化バリア測定(OXY吸着テスト)によって実施した。測定結果は以下の通りであった。乾燥粉末(キャベツ):500.3(μmol HClO/ml)液体(キャベツ) :114.6(μmol HClO/ml) 抗酸化力が高いとされる緑黄色野菜を含むジュース(伊藤園 充実野菜 緑黄色ミックス)であっても、OXY測定値は、12程度である。本実施例において測定されたOXY測定値は、以上の通りであるから、本実施例に係る方法によって、抗酸化力が高い乾燥粉末、及び、液体を得られることが確認できた。 植物体をペースト状にする工程と、当該ペースト状にした植物体を速やかに密閉容器内に投入する工程と、前記密閉容器内を真空状態又は減圧状態とし、前記密閉容器内に投入されたペースト状の植物体を、30℃〜60℃の温度条件下で攪拌しながら乾燥させることによって、乾燥した粉末と蒸発した気体とを得る工程と、前記工程によって得られた気体を冷却することによって、植物体から蒸発した水分を液体として得る工程とを有することを特徴とする、植物体から抗酸化物質を含む乾燥粉末と液体とを得る方法。 前記植物体が、玉葱、リンゴ、キャベツ、人参、及び、カボチャの中から選ばれる一種又は二種以上のものであることを特徴とする、請求項1に記載の植物体から抗酸化物質を含む乾燥粉末と液体とを得る方法。 【課題】 本発明は、加熱による変質・毀損を防ぎながら、植物体から抗酸化物質を含む乾燥粉末と液体とを得る方法を提供することを目的とする。【解決手段】 植物体をペースト状にする工程と、当該ペースト状にした植物体を速やかに密閉容器内に投入する工程と、前記密閉容器内を真空状態又は減圧状態とし、前記密閉容器内に投入されたペースト状の植物体を、30℃〜60℃の温度条件下で攪拌しながら乾燥させることによって、乾燥した粉末と蒸発した気体とを得る工程と、前記工程によって得られた気体を冷却することによって、植物体から蒸発した水分を液体として得る工程とを有している。【選択図】なし


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