タイトル: | 公開特許公報(A)_揮発性尿臭成分の生成抑制方法 |
出願番号: | 2014082721 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61L 9/01,A61L 15/44,A61F 13/15,A61F 13/49,C12N 9/99 |
森 一郎 秋葉 俊一 JP 2014195696 公開特許公報(A) 20141016 2014082721 20140414 揮発性尿臭成分の生成抑制方法 花王株式会社 000000918 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 森 一郎 秋葉 俊一 JP 2007243661 20070920 A61L 9/01 20060101AFI20140919BHJP A61L 15/44 20060101ALI20140919BHJP A61F 13/15 20060101ALI20140919BHJP A61F 13/49 20060101ALI20140919BHJP C12N 9/99 20060101ALN20140919BHJP JPA61L9/01 HA61L15/03A41B13/02 NC12N9/99 3 5 2009533068 20080919 OL 19 3B200 4C080 4C081 3B200AA01 3B200AA03 3B200BB22 4C080AA03 4C080BB04 4C080CC02 4C080CC08 4C080CC13 4C080HH03 4C080JJ01 4C080KK06 4C080LL04 4C080MM02 4C080MM12 4C080MM13 4C080MM14 4C080MM15 4C080MM16 4C080MM18 4C080MM19 4C080MM31 4C080NN15 4C081AA02 4C081AA12 4C081AC05 4C081BB09 4C081CE11 本発明は、揮発性尿臭成分の生成抑制方法に関する。 近年、消費者の衛生志向の高まりから、見た目の汚ればかりでなく汚れの存在を想起させる臭気についても、その除去が強く望まれている。特に尿及び便に関しては存在を生活環境から切り離すことはできず、さらに、その臭気は排泄物そのものを強く想起させることからヒトに与える不快感は生活環境悪臭の中でもとりわけ大きい。トイレにおいては、便は水洗により容易に屋外に排出することができるが、尿に関しては少量が飛沫として便器の外に残り、その存在が目視で確認しづらいことから長期に渡ってその場に残り、悪臭の発生源となりやすい。また、下着やオムツ、生理用品などのサニタリー製品も、尿が付着した状態で生活環境中に一定期間存在する場面があり、尿を由来とした悪臭の発生源となりうる。 尿自体は、通常不快な臭いを発するものでなく、微生物の作用によって不快臭を発するようになると考えられている。この不快臭として、尿素がウレアーゼによって分解されて生じるアンモニアが挙げられ、ウレアーゼ活性阻害剤を用いて尿臭(アンモニア臭)の発生を抑制することが提案されている(例えば特許文献1〜4参照)。 しかしながら、アンモニアは悪臭成分としては閾値が高い(高濃度でないと臭いを感じない)ため、水洗式の普及により排泄物が即時的に屋外へ排出されるようになった現在においては、アンモニア臭が強く感じられる場面は非常に稀である。 一方、β-グルクロニダーゼは、各種のアルコール類、フェノール類、アミン類等がグルクロン酸抱合された化合物(グルクロニド)を加水分解する酵素であり、細菌、真菌類、植物、動物など多くの生物に存在するものであり、例えばヒトの汗中にグルクロン酸抱合されて分泌され、皮膚に生息する細菌の代謝を介して腺臭の原因物質の生成に関与することは知られているが(特許文献5)、当該酵素と尿臭との関連については知られていない。特開2006-255290号公報特開2004-91338号公報特開平5-137774号公報特開2006-192127号公報特開2002-255776号公報 本発明は、一般式(1)で表される大環状ケトンを有効成分とするβ-グルクロニダーゼ阻害剤を、対象物に尿が付着する前又は尿が付着してから乾燥する前に適用することにより、尿にβ-グルクロニダーゼが作用することによって生じる揮発性成分の生成を抑制する方法を提供するものである。〔式中、n1は9〜13の整数を示し、m1は0〜2の整数を示し、破線部に一つの二重結合を含む。〕β-グルクロニダーゼによる尿臭強度の増加を示す官能評価結果である。除菌尿、腐敗尿菌体及び腐敗尿上清のβ-グルクロニダーゼ活性の測定結果を示す図である。除菌尿と腐敗尿の尿臭強度の官能評価結果を示す図である。8-シクロヘキサデセン-1-オンによるβ-グルクロニダーゼ活性の阻害を示す図である。8-シクロヘキサデセン-1-オンによる尿臭抑制効果を示す図である。 本発明者らは、尿より発生するフェノール系化合物及びインドール類が、尿臭への寄与の高い成分であること、これらの成分は、菌体由来のβ-グルクロニダーゼが尿に作用することによって顕著に増加することを見出した。また、現在の排泄物が即時的に屋外に排泄される生活環境においてアンモニア臭を強く感じることは稀であり、一般に消費者が感じている尿臭は、アンモニアとは別のより閾値の低い上記のフェノール系化合物及びインドール類が悪臭成分であると考えられる。 そして本発明者らは、β-グルクロニダーゼ阻害剤によって、実際に尿中のフェノール系化合物及びインドール類の増加、並びに不快な尿臭の発生を持続的に抑制することができ、尿が関連する製品に使用することにより、これら製品に対して尿臭生成抑制効果を付与できることを見出した。更に本発明者らは、特定の群から選ばれる化合物が、優れたβ-グルクロニダーゼ阻害効果を有することを見出した。 本発明のβ-グルクロニダーゼ阻害剤は、尿臭を特徴付ける悪臭成分の発生を持続的に抑制できることから、優れた防臭効果を有する洗浄剤、消臭剤等の環境衛生製品、及びオムツ、生理用品、犬、猫等のペット用排泄物シート等の動物の排泄物関連品等のサニタリー製品、において有用である。また、本発明のβ-グルクロニダーゼ阻害剤は、β-グルクロニダーゼの作用によって生じる尿臭以外の様々な課題を解決する手段、例えば、揮発性ステロイドに由来する体臭の生成抑制剤、膀胱癌又は大腸癌の発生を低減させる薬剤又は食品としても用いることができる。〔β-グルクロニダーゼ阻害剤〕 β-グルクロニダーゼとは、各種のアルコール類、フェノール類、アミン類等がグルクロン酸抱合された化合物(グルクロニド)を加水分解する酵素をいい、細菌、真菌、植物、動物など多くの生物に存在する。体外に排出された尿の分解には微生物の関与が大きいため、本発明においては、細菌及び真菌由来のβ-グルクロニダーゼが重要である。具体的には、Escherichia coli、Lactobacillus brevis、Propionibacterium acnes、Clostridium perfringens、Staphylococcus haemolyticus、Streptococcus agalactiae、Streptococcus pyogenes、Haemophilus somunus、Shigela sonnei、Aspergillus niger等由来のβ-グルクロニダーゼが挙げられる。これらの微生物由来のβ-グルクロニダーゼは共通のドメインを有する酵素群に分類される。さらにはヒト血漿由来のβ-グルクロニダーゼも同様のタンパク質群に分類される。 本発明において用いられるβ-グルクロニダーゼ阻害剤は、これを反応液中0.1重量%添加することによって、1.6 units/mLの大腸菌由来β-グルクロニダーゼType VII-Aの活性が60%以上抑制されたことが示されたものをいう。さらに、反応中0.01重量%添加することによって、上記活性を80%以上抑制するものであることが好ましい。 以下、上記のように定義されるβ-グルクロニダーゼ阻害剤のうち、本発明において見出された新規β-グルクロニダーゼ阻害剤を列記する。1.次の一般式(1)で表される大環状ケトン。〔式中、n1は9〜13の整数を示し、m1は0〜2の整数を示し、破線部に一つの二重結合を含んでいてもよい。〕 例えば、3-メチル-4(5)-シクロペンタデセン-1-オン(Firmenich社製品名;ムセノンデルタ)、3-メチルシクロペンタデカノン(Firmenich社製品名;ムスコン)、4-シクロペンタデセン-1-オン(Firmenich社製品名;エギザルテノン、IFF社製品名:ムスクZ-4)、5-シクロヘキサデセン-1-オン(曽田香料社製品名;ムスクTM2)、8-シクロヘキサデセン-1-オン(Symrise社製品名;グロバノン)、9-シクロヘプタデセン-1-オン(Firmenich社製品名;シベトン)、シクロペンタデカノン(Firmenich社製品名;エグザルトン)が挙げられる。 一般式(1)で表される大環状ケトン化合物のうち、環状構造内に二重結合を一つ含むものが好ましく、例えば、3-メチル-4(5)-シクロペンタデセン-1-オン、4-シクロペンタデセン-1-オン、5-シクロヘキサデセン-1-オン、8-シクロヘキサデセン-1-オン、9-シクロヘプタデセン-1-オンが挙げられる。更に、この二重結合が、ケトンのカルボニル基から最も離れた位置の炭素−炭素結合、又はこれに隣接する炭素−炭素結合に存在することが好ましく、例えば、8-シクロヘキサデセン-1-オン、9-シクロヘプタデセン-1-オンが挙げられる。また、一般式(1)において、n1+m1は、9〜13であることが好ましく、n1は、11又は12であることが好ましい。2.次の一般式(2)で表される大環状ラクトン。〔式中、n2は9〜13の整数を示し、m2は0〜3の整数を示し、破線部に一つの二重結合を含む。ただし、n2+m2=9〜14を満たすものとする。〕 例えば、4(5)-シクロペンタデセノライド(Firmenich社製品名:ハバノライド)、7-シクロヘキサデセノライド(アンブレットライド)が挙げられる。一般式(2)で表される大環状ラクトン化合物において、式中のn2が12であるものが好ましく、特に7-シクロヘキサデセノライドが好ましい。3.次の一般式(3)で表される大環状オキサラクトン。〔式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、pは6〜11の整数を示し、qは2〜6の整数を示す。ただし、p+q=10〜14を満たすものとする。〕 例えば、10-オキサ-16-ヘキサデカノライド(高砂香料工業社製品名;オキサライド)、11-オキサ-16-ヘキサデカノライド(Quest社製品名;ムスクR1)、12-オキサ-16-ヘキサデカノライド(Quest社製品名:セルボライド)が挙げられる。一般式(3)で表される大環状オキサラクトン化合物において、p+qが13であるものが好ましく、特に10-オキサ-16-ヘキサデカノライドが好ましい。4.ケトン類: シクロペンタデカノン(Firmenich社製品名;エグザルトン)、3-メチルシクロペンタデカノン(Firmenich社製品名;ムスコン)、3-メチル-4(5)-シクロペンタデセン-1-オン(Firmenich社製品名;ムセノンデルタ)、4-シクロペンタデセン-1-オン(Firmenich社製品名;エギザルテノン、IFF社製品名:ムスクZ-4)、5-シクロヘキサデセン-1-オン(曽田香料社製品名;ムスクTM2)、8-シクロヘキサデセン-1-オン(Symrise社製品名;グロバノン)、9-シクロヘプタデセン-1-オン(Firmenich社製品名;シベトン)、2-ペンチルシクロペンテノン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、シス-ジャスモン、2-ヘプチルシクロペンタノン、α-イオノン、β-イオノン、α-メチルイオノン、γ-メチルイオノン、7-メチル-3,4-ジヒドロ-(2H)-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン(Danisco社製品名:カロン)、ヌートカトン、1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-アセトナフトン(IFF社製品名:イソイースーパー)。5.エステル類: 4(5)-シクロペンタデセノライド(Firmenich社製品名:ハバノライド)、7-シクロヘキサデセノライド(アンブレットライド)、10-オキサ-16-ヘキサデカノライド(高砂香料工業社製品名;オキサライド)、11-オキサ-16-ヘキサデカノライド(Quest社製品名;ムスクR1)、シトロネリルアセテート、リナリルアセテート、ターピニルアセテート、シンナミルアセテート、シス-3-ヘキセニルベンゾエート、メチル-2-ノニノエート(慣用名:メチルオクチンカーボネート)。6.アルデヒド類: アニスアルデヒド、シンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、シクラメンアルデヒド、エチルバニリン、2-メチル-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-プロパナール(IFF社製品名:ヘリオナール)、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)-プロパナール(Givaudan社製品名;リリアール)、フェニルアセトアルデヒド、3-フェニルプロパナール、バニリン、4-(トリシクロ[5.2.1.02,6]デシリデン-8)ブテナール(IFF社製品名:デュピカール)、ジメチル テトラヒドロベンズアルデヒド(IFF社製品名:トリプラール、Quest社製品名;リグストラール)、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド(IFF社製品名:リラール)、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド(IFF社製品名:マイラックアルデヒド)、2,6-ノナジエナール、2-メチルウンデカナール、ハイドロキシシトロネラール、シトラール。7.アルコール類: シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、リナロールオキサイド、ターピネオール、シンナミックアルコール、オイゲノール、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール(Firmenich社製品名;フェニルヘキサノール)、ベチベロール。8.エーテル類: エストラゴール、6,6,9α-トリメチル-3α-エチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン(IFF社製品名:グリサルバ)、p-クレジルメチルエーテル、フェニルエチルイソアミルエーテル、1-メトキシシクロドデカン(Symrise社製品名;パリサンディン)、1-メチル-1-メトキシシクロドデカン(Givaudan社製品名;マドロックス)、4,8,12-トリメチル-13-オキサビシクロ-[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン(Firmenich社製品名:セドロキサイド)。9.テルペン類: α-フェランドレン、シトロネリルニトリル。 上記の新規β-グルクロニダーゼ阻害剤は、動植物から単離したものを用いてもよいし、化学的に合成したものを用いてもよい。また、これらの化合物を含有する精油などの植物抽出物、例えば、ベチバー油、バジル油、クローブ油、シナモン油、グレープフルーツ油等をそのままβ-グルクロニダーゼ阻害剤として用いてもよい。これらの化合物又は植物抽出物は2種類以上を組み合せて用いてもよい。 本発明の尿臭生成抑制用組成物及び尿臭生成抑制方法においては、β-グルクロニダーゼ阻害剤として、先に定義したようなβ-グルクロニダーゼ阻害活性を有するものであれば、上に挙げた本発明の新規なβ-グルクロニダーゼ阻害剤に限定されず、いずれの公知のβ-グルクロニダーゼ阻害剤を使用することもできる。 例えば、β-グルクロニダーゼ阻害作用を有することが知られているものとして、グルクロン酸より誘導されるラクトン化合物であるD-グルカロ-1,4-ラクトンや、アセグラトン、D-グルクロン酸、D-ガラクツロン酸等のD-グルカロ-1,4-ラクトン類縁体;リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール等のリゾリン脂質;バイカリン等の生薬成分より見出された天然のグルクロン酸抱合体;オウゴン、ゴバイシ、チョウジ、クチナシ、シコン、シャクヤク、エンメイソウ、カミツレ、ツボクサ、コンフリー、アマチャ、カンゾウ、センブリ、冬虫夏草、チンピ、イラクサ、ハマメリス等のβ-グルクロニダーゼ阻害作用を有する植物若しくは菌類又はその抽出物が挙げられる。 上記の植物及び菌類は、その植物の全草、葉、根、根茎、果実、種子及び花、並びに菌類のうち1以上をそのまま、又は粉砕して用いることができる。抽出物とする場合は、上記植物若しくは菌類又はその粉砕物を、常温又は加温下にて溶媒抽出することにより得ることができる。抽出に際しては、ソックスレー抽出器等の抽出器具を用いることもできる。 抽出に用いる溶剤としては水;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジメチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ピリジン類などが挙げられ、これらを単独又は混合物として用いることができる。また、二酸化炭素等の超臨界流体を用いることもできる。 得られた各種溶剤抽出液は、そのままで使用することもでき、その希釈液若しくは濃縮液として、又は濃縮若しくは凍結乾燥した後、粉末状又はペースト状として用いることもできる。また、液々分配等の技術により、上記抽出物から不活性な夾雑物を除去して用いることもでき、本発明においてはこのようなものを用いることが好ましい。これらは必要により公知の方法で脱臭、脱色等の処理を施してから用いてもよい。〔尿臭生成抑制用組成物,尿臭生成抑制方法、環境衛生製品,サニタリー製品〕 本発明において、以上のβ-グルクロニダーゼ阻害剤は、いずれかを単独で又は2種以上を組み合わせて尿臭生成抑制用組成物中に含有させることができる。また本発明のβ-グルクロニダーゼ阻害剤又は尿臭生成抑制用組成物を、家庭用及び施設用などの環境衛生製品又はサニタリー製品中に有効量含有させることにより、尿に由来する悪臭の生成に対し、高い抑制効果、防臭効果を有する製品とすることができる。また、β-グルクロニダーゼ阻害剤を、対象物(尿臭の発生を抑制しようとする物)に、尿が付着する前又は尿が付着してから付着した尿が乾燥する前に、好ましくは尿が付着してから1時間以内、さらに好ましくは10分以内に適用することにより、尿臭の生成を効果的に抑制することができる。 上記尿とは、ヒト由来のものに限定されるものではなく、犬や猫を代表とするペット等の動物由来の尿であっても良い。また、上記の尿に由来する悪臭とは、尿単独から発生する悪臭に限定されるものではなく、例えばオムツ内などにおいて尿と便が混合された状態から発生する悪臭であってもよい。 本発明のβ-グルクロニダーゼ阻害剤によって制御可能な悪臭成分は、フェノール系化合物及びインドール類であり、具体的にはフェノール、p-クレゾール、4-ビニル-2-メトキシ-フェノール、4-ビニルフェノール、2-メトキシ-1,3-ベンゼンジオール、1,4-ベンゼンジオール、1,3-ベンゼンジオール、インドール等が挙げられるが、これに限定されず、尿にβ-グルクロニダーゼが作用することによって生じる揮発性成分であればよい。 本発明の尿臭生成抑制用組成物におけるβ-グルクロニダーゼ阻害剤の含有量は、0.0001〜5重量%とするのが好ましく、さらには0.001〜1重量%、さらには0.005〜0.5重量%とするのが好ましい。 (環境衛生製品) 環境衛生製品の例としては、洗浄剤、消臭剤、繊維用洗剤、拭き取りシート等が挙げられる。また、いくつかの使用方法を併用することも可能である。本発明の環境衛生製品は、トイレ床面、壁面、便器、汚物入れ、介護施設内、衣類、下着、寝具などの尿由来悪臭の発生しやすい箇所に適用することにより、尿臭の発生を制御することができる。 本発明の環境衛生製品に使用する尿臭生成抑制用組成物は、通常に用いられる各種成分、例えば油分、界面活性剤、アルコール類、キレート剤、pH調整剤、殺菌剤、抗菌剤、防腐剤、増粘剤、色素類、香料等のほか、消臭基剤、保湿剤、柔軟剤、角質保護剤、薬効剤、酸化防止剤、溶剤、金属塩及び金属イオン類等の成分を、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意に配合して製剤化することができる。 (サニタリー製品) サニタリー製品の例としては、吸収性物品、例えば、軽失禁用品、使い捨て紙オムツ、尿取りパッド、生理用品等が挙げられる。本発明のサニタリー製品は、付着した尿より経時的に生じる尿由来悪臭の発生を制御することができる。 吸収性物品に使用する場合、本発明のβ-グルクロニダーゼ阻害剤又は尿臭生成抑制用組成物は、台紙又は吸収層、特に吸水ポリマーに含浸させることが好ましい。β-グルクロニダーゼ阻害剤としての含浸量は、適用面に対して0.005〜10g/m2とするのが好ましく、さらには0.05〜2g/m2とするのが好ましい。 本発明のサニタリー製品に使用する尿臭生成抑制用組成物には、通常に用いられる各種成分、例えば油分、界面活性剤、帯電防止剤、酸化防止剤、pH調整剤、平滑剤、抗菌剤、防黴剤、防腐剤、色素類、香料等のほか、消臭基剤、薬効剤、溶剤、金属塩及び金属イオン類等の成分を、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意に配合することができる。 (消臭基剤) 本発明のβ-グルクロニダーゼ阻害剤、又はこれを含有する尿臭生成抑制用組成物を、環境衛生製品又はサニタリー製品に用いる場合、β-グルクロニダーゼ阻害作用を失わせない範囲で、一般に知られている消臭基剤を組み合せて用いる、又は含有させることができる。 上記の消臭基剤の例としては、 酸化鉄、硫酸鉄、塩化鉄、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酸化銀、酸化銅等の金属化合物; リン酸、クエン酸、コハク酸等の酸と、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)等の塩基との組み合わせからなるpH緩衝効果を有する酸ないしはその塩; 乳酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸等のカルボン酸類; ウンデシレン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール亜鉛などの脂肪酸金属類; カテキン、ポリフェノール、緑茶抽出物、マッシュルームエキス、木酢液、竹酢液等の植物抽出物系の消臭剤; 鉄、銅などの金属クロロフィリンナトリウム,鉄、銅、コバルトなどの金属フタロシアニン,鉄、銅、コバルト等のテトラスルホン酸フタロシアニン,二酸化チタン、可視光応答型二酸化チタン(窒素ドープ型など)などの触媒型消臭剤; α-、β-、又はγ-シクロデキストリン、そのメチル誘導体、ヒドロキシプロピル誘導体、グルコシル誘導体、マルトシル誘導体等のシクロデキストリン類; エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の悪臭の保留効果があるとされるアルキレングリコール類; ミリスチン酸エステル類、パルミチン酸エステル類、フタル酸エステル類、アジピン酸エステル類、セバシン酸エステル類、クエン酸エステル類等の悪臭の保留効果があるとされるエステル油剤; 多孔メタクリル酸ポリマー、多孔アクリル酸ポリマー等のアクリル酸系ポリマー、多孔ジビニルベンゼンポリマー、多孔スチレン−ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー、多孔ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー等の芳香族系ポリマー、それらの共重合体等の合成の多孔質ポリマー;キチン、キトサン等の天然の多孔質ポリマー; 活性炭、シリカ、二酸化ケイ素(シリカゲル)、ケイ酸カルシウム、ハイシリカゼオライト(疎水性ゼオライト)、セピオライト、カンクリナイト、ゼオライト、水和酸化ジルコニウム等の無機多孔質物質; 銀担持ゼオライト、銀担持カンクリナイト、銀担持多孔スチレン−ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー等の金属担持多孔質等が挙げられる。これらの消臭基剤は、単独で用いてもよく、さらに組み合わせて使うこともできる。 (有機溶剤) さらに、本発明のβ-グルクロニダーゼ阻害剤、又は尿臭生成抑制用組成物を、環境衛生製品又はサニタリー製品に用いる場合、水溶性の有機溶剤を組み合わせて用いる、又は含有させることがより好ましい。 上記の水溶性の有機溶剤の例としては、 エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ブチルアルコール等のアルコール類; エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、ヘキシレングリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、グリセリン、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類; エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。参考例1 β-グルクロニダーゼ添加による尿からの揮発性化合物の生成(1) 測定サンプルの調製 γ線滅菌済み容器中に、採取後すぐに0.2μmのフィルター(ミリポア社製、マイレックスGV)にて除菌操作を行ったヒト尿サンプル(5人のヒト尿混合物)9.9mLを入れ、続いて250units/mLに調整した大腸菌由来β-グルクロニダーゼType VII-A(シグマ社より購入)水溶液0.1mLを添加混合し、25℃恒温槽に静置して22時間反応させた。酵素液の代わりに滅菌イオン交換水0.1mLを添加したものを初期尿サンプルとして同様に22時間恒温槽中に静置した。 反応終了後、反応液9mLに内部標準としてベンジルベンゾエート エタノール溶液を添加し、ジエチルエーテル10mLを用いて2回抽出を行った。抽出液は合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥を行った。乾燥後、固形物をろ別し、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮して測定サンプルとした。(2) 揮発性化合物の測定 測定にはガスクロマトグラフ質量分析計を用いた。検出された揮発性化合物の生成量は内部標準に対するピークエリア比として算出した。この結果を表1に示す。 この結果より、β-グルクロニダーゼの作用により尿から種々のフェノール系化合物及びインドールが生成することが確認された。参考例2 β-グルクロニダーゼ添加による尿臭の発生(1) 評価サンプルの調製 γ線滅菌済み容器中に、採取後すぐに0.2μmのフィルターにて除菌操作を行ったヒト尿サンプル(5人のヒト尿混合物)360μLを入れ、続いて20units/mLに調整したβ-グルクロニダーゼ水溶液 40μLを添加混合し、25℃恒温槽に静置して2時間反応させた。酵素液の代わりに滅菌イオン交換水40μLを添加したものを初期尿サンプルとし、同様に2時間恒温槽中に静置した。各サンプルについて、それぞれ等量を匂い紙先端に滴下し、これを評価サンプルとした。(2) 臭気官能評価 臭気官能評価は6名のパネラーによって、臭気の強度を0〜5の評価スコアによる6段階臭気強度表示法に基づいて行った。評価スコアは、「0」無臭、「1」やっと感知できるニオイ(検知閾値)、「2」尿臭であることわかるが弱いニオイ(認知閾値)、「3」楽に尿臭であると感じられるニオイ、「4」強い尿臭、「5」強烈な尿臭を示す。臭気強度の判定は0.5刻みで行い、評価の平均値を図1に示した。 この結果より、β-グルクロニダーゼの作用によって生じる揮発性成分は尿臭強度を顕著に増加させることが確認された。参考例3 腐敗尿中のβ-グルクロニダーゼ活性の測定(1) サンプルの調製 腐敗尿は尿サンプル20mLを採取後、除菌操作を行わずにγ線滅菌済み容器に分注し、室温にて7日間保管したものを用いた。この腐敗尿1mLを10000rpmで5分間遠心分離し、菌体と上清に分離を行った。沈殿した菌体は0.5mLの生理食塩水中に懸濁させた。上清は0.2μmのフィルターを通して除菌を行った。 また、採取直後にフィルターを用いて除菌した尿15mLについても、同様に7日間室温にて保管した。(2) β-グルクロニダーゼ活性の測定 γ線滅菌済み容器中にて、2mM p-ニトロフェニル-β-D-グルクロニド(PNPG)水溶液250μL、0.5Mリン酸バッファー(pH6.8)100μL及びイオン交換水100μLを混合し、続いて上記尿サンプル(除菌尿、腐敗尿菌体懸濁液又は腐敗尿上清)を50μL加え、室温にてそれぞれ反応させた。 反応開始直後及び24時間反応後の上記反応液を0.2Mグリシンバッファー(pH10.4)を用いて希釈し、波長400nmの吸光度を測定した。24時間反応後の吸光度から開始直後の吸光度を差し引いた値をβ-グルクロニダーゼ活性の指標とし、サンプルごとの比較を行った。活性測定の結果を図2に示した。 この結果より、腐敗尿中に増殖した菌体がβ-グルクロニダーゼ活性を有すること、さらに菌体を含まない上清もβ-グルクロニダーゼ活性を有することから、これら菌体の産生した酵素が菌体外にも分泌されていることが確認された。(3) 除菌尿及び腐敗尿の臭気官能評価 除菌尿及び腐敗尿は保管に用いた容器のままビン口での臭気評価に供した。 臭気官能評価は6名のパネラーが参考例2の(2)に示した6段階臭気強度表示法に基づいて行った。パネラーの評価の平均を図3に示した。 この結果より、尿中に増殖する菌体が尿臭強度を増加させることが確認された。実施例1 特定化合物及び植物抽出物によるβ-グルクロニダーゼの活性阻害 γ線滅菌済み容器中にて2mM PNPG水溶液100μL、0.5Mリン酸バッファー(pH6.8)40μL、イオン交換水38μL、各種化合物又は植物抽出物の10又は1重量%DPG(ジプロピレングリコール)溶液2μLを混合し、続いて16units/mLに調整したβ-グルクロニダーゼ水溶液20μLを加えて37℃恒温槽中で2時間酵素反応を行った。また一部の化合物については、さらに0.1重量%DPG溶液についても同様の実験を行った。供した化合物及び植物抽出物の反応液中での濃度はそれぞれ、0.1、0.01、0.001重量%となる。また、上記化合物及び植物抽出物の代わりにDPGを加えたものをコントロールとし、各サンプル及びコントロールごとに酵素液の代わりにイオン交換水を加えたものをブランクとして、それぞれ同様に2時間反応を行った。尚、サンプルの植物抽出物は、溶媒抽出物(エキス)を用いた。 上記反応液を0.2Mグリシンバッファー(pH10.4)を用いて希釈し、波長400nmにおける吸光度を測定した。得られた測定値より、次式に従ってβ-グルクロニダーゼの相対活性阻害率を求め、表2a及び表2bに示した。 この結果より、供した化合物及び植物抽出物サンプルはβ-グルクロニダーゼ阻害活性を有することがわかる。実施例2 尿腐敗菌体由来β-グルクロニダーゼの活性阻害 γ線滅菌済み容器中にて2mM PNPG水溶液250μL、0.5Mリン酸バッファー(pH6.8)100μL、10重量% 8-シクロヘキサデセン-1-オンDPG溶液5μL及びイオン交換水100μLを混合し、続いて参考例3の腐敗尿上清サンプルを50μL加え、室温にて反応させた。反応液中での8-シクロヘキサデセン-1-オンの濃度は0.01重量%となる。また、8-シクロヘキサデセン-1-オンDPG溶液を添加しないサンプルをコントロールとして同様に反応させた。 反応開始直後及び24時間反応後の上記反応液を0.2Mグリシンバッファー(pH10.4)を用いて希釈し、波長400nmの吸光度を測定した。24時間反応後の吸光度から開始直後の吸光度を差し引いた値をβ-グルクロニダーゼ活性の指標とした。この結果を図4に示した。 この結果より、8-シクロヘキサデセン-1-オンが腐敗尿中に増殖した菌体に由来するβ-グルクロニダーゼの活性を抑制したことがわかる。実施例3 尿由来揮発性化合物の生成抑制(1) サンプルの調製 γ線滅菌済み容器中に、採取後すぐに0.2μmのフィルターにて除菌操作を行ったヒト尿サンプル(5人のヒト尿混合物)9.9mL、10重量% 8-シクロヘキサデセン-1-オンDPG溶液10μLを加え、続いて250units/mLに調整したβ-グルクロニダーゼ水溶液 0.1mLを添加混合し、25℃恒温槽に静置して22時間反応させた。8-シクロヘキサデセン-1-オンの反応液中での濃度は0.01重量%となる。また、除菌尿サンプル9.9mLに酵素液 0.1mLを加えたものをコントロール、除菌尿サンプル9.9mLにイオン交換水0.1mLを加えたものをブランクとして、それぞれ同様に22時間反応させた。 反応終了後、反応液9mLに内部標準としてベンジルベンゾエート エタノール溶液を添加し、ジエチルエーテル10mLを用いて2回抽出を行った。抽出液は合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥を行った。乾燥後、固形物をろ別し、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮して測定サンプルとした。(2) 揮発性化合物の生成抑制 測定にはガスクロマトグラフ質量分析計を用いた。検出された揮発性化合物の生成量は内部標準に対するピークエリア比として算出した。得られた値より、次式に従って揮発性成分ごとの生成抑制率を求め、表3に示した。 この結果より、β-グルクロニダーゼの作用により尿より生成するフェノール系化合物及びインドールの全てについて、8-シクロヘキサデセン-1-オンがその生成を抑制したことがわかる。実施例4 尿臭の発生抑制(1) サンプルの調製 γ線滅菌済み容器中に採取後すぐに0.2μmのフィルターにて除菌操作を行ったヒト尿サンプル(5人のヒト尿混合物)360μL、10重量% 8-シクロヘキサデセン-1-オンDPG溶液4μLを加え、続いて20unit/mLに調整したβ-グルクロニダーゼ水溶液40μLを添加混合し、25℃恒温槽に静置して2時間反応させた。8-シクロヘキサデセン-1-オンの反応液中での濃度は0.01重量%となる。また、除菌尿サンプル360μLにDPG 4μL及び酵素液 40μLを加えて混合したものをコントロール、除菌尿サンプル360μLにDPG 4μL及びイオン交換水40μLを加え混合したものをブランクとして、それぞれ同様に2時間反応させた。各サンプルについて、それぞれ等量を匂い紙先端に滴下し、これを評価サンプルとした。(2) 官能評価による尿臭抑制の確認 臭気官能評価は6名のパネラーが参考例2の(2)に示した6段階臭気強度表示法に基づいて行った。パネラーの評価の平均を図5に示した。 この結果より、8-シクロヘキサデセン-1-オンによって官能的にも尿臭の生成が抑制されたことがわかる。実施例5 スプレー型尿臭生成抑制用組成物 表4及び表5に示す組成(重量%)の本発明に係るβ-グルクロニダーゼ阻害剤を配合した尿臭生成抑制用組成物(スプレー用)a〜k及びl〜w、並びに比較組成物1〜2を調製し、トリガースプレー容器に入れた。 トリガースプレー容器によってこれらの組成物の各々を、10cm四方のタイル面に0.01g/cm2スプレーして1日乾燥させ、その後、ヒト尿0.5g(5人のヒト尿混合物)を均一に塗布し、12時間乾燥させた。乾燥後の尿臭強度を、参考例2の(2)に示した6段階臭気強度表示法に基づいて評価した。表4及び5には、3名の尿臭強度の評価スコアのうち、最も人数の多かった評価を示す。本発明のβ-グルクロニダーゼ阻害剤を配合した組成物には、尿臭の生成を抑制する効果が認められた。実施例6 使い捨ておむつ 表6に示す組成(重量%)の本発明に係るβ-グルクロニダーゼ阻害剤を配合した尿臭生成抑制用組成物を調製した。これを使い捨ておむつ用の台紙(坪量16g/m2)にスプレーし、乾燥後、その台紙を用いてフラップパルプ100重量部と吸水ポリマー(ポリアクリル酸架橋体)100重量部を均一に混合したものを包み、吸収体を得た。吸収体におけるフラップパルプ/吸水ポリマー混合体の坪量は300g/m2であった。得られた吸収体を用いて使い捨ておむつを調製した。台紙にスプレーした尿臭生成抑制用組成物中のβ-グルクロニダーゼ阻害剤の量は、0.32g/m2台紙である。実施例7 尿取りパッド 表7に示す本発明のβ-グルクロニダーゼ阻害剤を配合した尿取りパッドを調製した。具体的には、市販の尿取りパッド「花王製リリーフ尿取りパッド安心吸収」の吸水ポリマーのみを、本発明のβ-グルクロニダーゼ阻害剤を添加した吸水ポリマーに変更したものを作製した。吸水ポリマーへの阻害剤の添加量は、吸水ポリマーに対して1重量%であり、尿取りパッドに対しては1.5g/m2相当である。 この尿取りパッドから19cm×7cmの大きさの試験片を切り出し、β-グルクロニダーゼ阻害剤を配合しないものをブランクとし、尿の添加試験を行った。試験は、これらの尿取りパッドの試験片にヒト尿30g(5人のヒト尿混合物)を添加し、30℃保存下で、1時間後、24時間後、48時間後の尿臭の強さを、5人のパネラーにより、参考例2の(2)に示した6段階臭気強度表示法に基づいて評価した。各時間経過後における尿臭強度の評価の平均値を表7に示す。 表7に示すように、本発明のβ-グルクロニダーゼ阻害剤を配合した尿取りパッドの試験片は、ブランクと比べて24時間後にも尿臭の増加を抑制する効果が認められた。また、8-シクロヘキサデセン-1-オンについては、48時間後においても尿臭の増加を抑制する効果が認められた。 一般式(1)で表される大環状ケトンを有効成分とするβ-グルクロニダーゼ阻害剤を、対象物に尿が付着する前又は尿が付着してから乾燥する前に適用することにより、尿にβ-グルクロニダーゼが作用することによって生じる揮発性成分の生成を抑制する方法。〔式中、n1は9〜13の整数を示し、m1は0〜2の整数を示し、破線部に一つの二重結合を含む。〕 一般式(1)で表される大環状ケトンが、3-メチル-4(5)-シクロペンタデセン-1-オン、4-シクロペンタデセン-1-オン、5-シクロヘキサデセン-1-オン、8-シクロヘキサデセン-1-オン及び9-シクロヘプタデセン-1-オンから選ばれるものである請求項1記載の方法。 尿にβ-グルクロニダーゼが作用することによって生じる揮発性成分が、フェノール、p-クレゾール、4-ビニル-2-メトキシ-フェノール、4-ビニルフェノール、2-メトキシ-1,3-ベンゼンジオール、1,4-ベンゼンジオール、1,3-ベンゼンジオール及びインドールから選ばれるものである請求項1又は2記載の方法。 【課題】揮発性尿臭成分の生成を抑制する方法の提供。【解決手段】一般式(1)で表される大環状ケトンを有効成分とするβ-グルクロニダーゼ阻害剤を、対象物に尿が付着する前又は尿が付着してから乾燥する前に適用することにより、尿にβ-グルクロニダーゼが作用することによって生じる揮発性成分の生成を抑制する方法。〔n1は9〜13の整数、m1は0〜2の整数、破線部に一つの二重結合〕【選択図】図5