タイトル: | 公開特許公報(A)_ペリクル検査装置 |
出願番号: | 2014082284 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | H01L 21/027,G03F 1/84,G03F 1/66,G01N 21/956 |
武久 究 田島 敦 楠瀬 治彦 JP 2015204339 公開特許公報(A) 20151116 2014082284 20140411 ペリクル検査装置 レーザーテック株式会社 000115902 大山 健次郎 100124280 小川 潔 100166501 武久 究 田島 敦 楠瀬 治彦 5686394 20150318 H01L 21/027 20060101AFI20151020BHJP G03F 1/84 20120101ALI20151020BHJP G03F 1/66 20120101ALI20151020BHJP G01N 21/956 20060101ALI20151020BHJP JPH01L21/30 531ZH01L21/30 502GG03F1/84G03F1/66G01N21/956 A 12 1 OL 18 2G051 2H095 2H195 5F146 2G051AA51 2G051AA56 2G051AB01 2G051AC21 2G051BA04 2G051BA05 2G051BA10 2G051BB01 2G051BC05 2G051CA01 2G051CA07 2G051CA12 2G051CB01 2G051CB05 2G051CC09 2G051CC11 2G051DA07 2G051EA11 2G051EA12 2G051EB01 2H095BA10 2H095BC32 2H095BD08 2H095BD13 2H095BD15 2H095BD19 2H195BA10 2H195BC32 2H195BD08 2H195BD13 2H195BD15 2H195BD19 2H195CA11 2H195CA22 5F146AA18 5F146GA21 5F146GA28 5F146GD11 5F146GD22 本発明は、半導体デバイスの製造プロセスで用いられるペリクル付きフォトマスクを検査する検査装置、特にEUVL(Extremely Ultraviolet Lithography)プロセスで用いられるEUVマスクのペリクルを検査するのに好適なペリクル検査装置に関するものである。 半導体の微細化を担うリソグラフィー技術に関しては、現在、露光波長193nmのArFエキシマレーザを露光光源としたArFリソグラフィーが量産適用されている。また、露光装置の対物レンズとウエハとの間を水で満たして、解像度を高める液浸技術(「ArF液浸リソグラフィー」と称する)も量産に利用され始めている。さらに一層の微細化を実現するために、次世代半導体デバイスの製造プロセスとして、露光波長13.5nmのLの実用化に向けた技術開発が広く行われている。EUVマスクの構造は、低熱膨張性ガラスから成る基板の上に、EUV光を反射させるための反射膜が形成されている。反射膜は、通常、モリブデン膜とシリコン膜とを交互に数十層積み重ねた多層膜構造になっており、波長13.5nmのEUV光を垂直入射で約65%も反射させることができる。この多層膜の上にEUV光を吸収する吸収体が形成され、ブランクスが形成される。ただし、吸収体と多層膜の間には保護膜(バッファレイヤー、及びキャッピングレイヤーと呼ばれる膜)が形成される。実際に露光に使うために、レジストにパターン形成することで、EUVマスク(パターン形成前であるため、EUVマスクブランクと呼ばれる)が完成する。 従来のArFリソグラフィーにおいては、フォトマスクのパターン面に大気中のパーティクル等の異物が付着するのを防止するため、ペリクルと称される透明な薄い膜で包囲されているペリクル付きフォトマスクが用いられている。ペリクル膜にある程度の大きさ以下のパーティクルが付着しても、ウエハに露光する際、ペリクル膜に付着したパーティクルはパターン面に対して光軸方向に変位した位置に存在するため、ウエハ上に投影されるパーティクルの像はぼけ、ウエハ上に露光されない。従って、パーティクル等の異物が大気中に浮遊していても、ペリクルの存在により異物の像はウエハに投影されないため、ペリクルは、正確に露光できるようにする部材として非常に有効である。これに対して、波長が13.5nmのEUV光は、光マスク用の高分子材から成るペリクル膜を全く透過しないため、従来、EUVマスクにはペリクルを設けることができないものと考えられていた。しかしながら、厚み100nm以下の極めて薄いシリコンやジルコニウムの膜では、EUV光をある程度透過することが知られており、これらの薄膜を用いてEUVマスク用のペリクルの開発が行われるようになってきた。特に厚さ50nm程度の単結晶シリコン膜は、EUV光を90%程度も透過でき、このようなシリコン膜を用いたEUVペリクルの開発が現在行われている(例えば、特許文献1参照)。さらに、別のペリクル膜として、Si/Mo/Nb膜や多結晶シリコン膜を用いることも報告されている(例えば、非特許文献1参照)。また、非特許文献1には、ペリクル膜に形成されるしわ寄りの問題も報告されている。すなわち、ペリクル膜の結像性能に与える影響に関して、ペリクル膜のしわ寄りの大きさを振幅Aと周期Λとの比(A/Λ)を用いて表した場合、A/Λが200mradを超えないことが望ましく、200 mradを超えない場合、パターンのずれ量ΔCDUが0.1以下となることが報告されている。特開2009−116284号公報Luigi Scaccabarozzi, et al.著, “Investigation of EUV pellicle feasibility,” SPIE Vol. 8679, 867904, 2013. 従来の露光プロセスにおいては、ペリクル膜の表面に異物が付着しても、異物の像はウエハ上に投影されないことより、ペリクル膜に対する異物検査は重要視されていなかった。しかしながら、EUVL においては、ペリクル膜の表面に異物が付着した場合、EUV光が異物により吸収されるため、ウエハ上に投影されるパターンにエラーが生ずる問題が想定される。従って、EUVLにおいては、ペリクル膜について異物検査を行うことが強く望まれている。 ペリクル膜に存在する異物を検査する方法として、ペリクル膜の表面に斜めに照明ビームを照射し、異物から発生する散乱光を検出するレーザ散乱方式が有用である。この場合、EUVマスク固有の問題として、非特許文献1に示すように、ペリクル膜にしわ寄りや撓みが形成される問題が指摘されている。すなわち、単結晶シリコン膜は硬質の薄膜であり、その厚さは50nm程度の極めて薄いため、強い引っ張り力が作用すると、ペリクル膜にひび割れが生じてしまう。このため、ペリクル枠にペリクル膜を貼付する際、余裕をもたせる必要があり、ペリクル膜にしわ寄りや撓みが形成されてしまう。これらしわ寄りや撓みは様々な形態で発生する。一方、撓みが形成されたペリクル膜にレーザビームを投射する際、撓み量が局所的に閾値を超えると、ペリクル膜から出射した正反射光が対物レンズに入射し、正確な異物検査が行われない不具合が発生する。さらに、ペリクル膜に形成される撓み量やしわ寄り量は不均一に発生するため、撓みの形態によっては対物レンズにより集光される散乱光の光量が変動する不具合も発生する。すなわち、ペリクル膜に形成される撓みの方向や形態によって、異物から出射する散乱光の方向や光量が変化し、対物レンズにより集光される散乱光の強度が変化する不具合が発生する。 さらに、EUVマスク固有の問題点として、カーボンコンタミネーションの問題が指摘されている。すなわち、EUVマスクに向けてEUV光を照射した場合、ペリクル膜付近に浮遊する有機物がEUV光により分解され、ペリクル膜の表面に炭化物が堆積し、炭化物の薄い皮膜が形成される。カーボンコンタミネーションにより形成される炭化物の皮膜はEUV光に対して吸収作用を有するため、カーボンコンタミネーションが生ずると、EUV光が炭化物の皮膜に吸収されてしまい、正確なパターン描画が行われない問題が発生する。従って、ペリクル付きEUVマスクの検査においては、パーティクル等の異物だけでなく、ペリクル膜の表面に薄い膜状に形成されたコンタミネーションも検出できることが強く要請されている。 さらに、レーザ散乱光方式の異物検査の問題点として、検査光がペリクル膜を透過してマスクパターンに入射し、マスクパターンから散乱光が発生することが挙げられる。マスクパターンから散乱光が発生すると、散乱光は対物レンズにより受光されるため、欠陥検出の感度が低下すると共に疑似欠陥が発生する不具合が発生する。 本発明の目的は、EUVマスクのペリクル検査に固有の問題点が解決されたペリクル検査装置を実現することにある。さらに、本発明の目的は、EUVマスクに撓みやしわ寄りが形成されても、高精度な検査を行うことができるペリクル検査装置を実現することにある。 さらに、本発明の別の目的は、異物及びコンタミネーションの両方を検出することが可能なペリクル検査装置を提供することにある。 本発明によるペリクル検査装置は、EUVリソグラフィーに用いられるペリクル付きEUVマスクのペリクル膜を検査するペリクル検査装置であって、 検査すべきペリクル膜に向けて集束性の照明ビームを投射する照明光学系と、 ペリクル膜とほぼ直交する光軸を有する対物レンズを含み、ペリクル膜に存在する異物から出射する散乱光を集光する集光光学系と、 集光光学系により集光された散乱光を検出する検出系とを具え、 前記照明ビームの集束角(半角)をθ0とし、前記対物レンズの最大受光角(半角)をθ1とした場合に、前記照明ビームのペリクル膜に対する入射角θ2は、式 θ2−θ0>θ1+23°を満たすことを特徴とする。EUVLプロセスにおいて、ペリクル膜に撓みやしわ寄りの発生は不可避である。この場合、露光装置の結像性能の観点より、ペリクル膜面の撓み量は11.5°以内に設定することが望まく、11.5°を超えるとパターンの結像性能に悪影響を及ぼすおそれがある。この場合、レーザ散乱光方式の検査装置を用いてペリクル膜を検査する場合、照明ビームの入射角θ2は、以下の式を満たすことが望ましい。 θ2−θ0>θ1+23°上記式を満たすように照明ビームの入射角を設定すれば、ペリクル膜に撓みが形成されても、ペリクル膜からの正反射光が対物レンズに入射する不具合が回避され、高精度なペリクル検査を行うことが可能になる。本発明によるペリクル検査装置の好適実施例は、照明光学系は、前記対物レンズの光軸方向に見て、リング状の集束性照明ビームを投射することを特徴とする。EUVペリクル膜に形成される撓みやしわ寄りは様々な態様で発生する。従って、ペリクル膜を一方向だけから照明したのでは、撓みの方向等により、対物レンズにより集光される散乱光の光量が変動する可能性がある。そこで、本例では、リング状の集束性照明ビームを用いてペリクル膜を走査する。リング状の照明ビームは、ペリクル膜の照明点を全方位から照明するため、ペリクル膜に様々な撓みが形成されても、撓みによる影響が回避された検査を行うことが可能になる。本発明によるペリクル検査装置の好適実施例は、ペリクル膜は単結晶又は多結晶のシリコン膜により構成され、照明ビームは、シリコン膜をほとんど透過しない紫外域の照明光により構成されることを特徴とする。波長が紫外域の照明光を用いれば、照明光がペリクル膜を透過しないため、マスクパターンからの散乱光の発生が防止され、正確なペリクル検査を行うことができる。特に、YAGレーザの第3高調波を発生する固体レーザは、小型で高出力のレーザビームを発生することができると共に波長がほぼ355nmのレーザビームを発生し、この波長のレーザビームはシリコン膜をほとんど透過しないので、ペリクル検査装置の照明光源として有効に用いることができる。 本発明によるペリクル検査装置の別の好適実施例は、ペリクル膜と対物レンズとの間に、開口部を有する遮光手段が配置され、前記照明ビームは遮光手段の開口部を介してペリクル膜に投射され、ペリクル膜に存在する異物から出射した散乱光は前記開口部を介して対物レンズにより集光されることを特徴とする。ペリクル膜を透過する波長域の照明ビームを用いてペリクル検査を行った場合、照明ビームがペリクル膜を透過し、マスクパターンに入射する。この場合、マスクパターンから散乱光が発生し、対物レンズに入射する不具合が発生する。この問題を解決するため、本例では、ペリクル膜と対物レンズとの間にピンホール状又はスリット状の開口部を有する遮光手段を配置する。このような遮光手段を設けることにより、フォトマスクのパターン部から発生した散乱光は遮光手段により遮光されるため、対物レンズに不所望な散乱光が入射する不具合が解消される。この実施例においては、照明光の波長が制限されないため、照明光源の選択の範囲が拡がる利点が達成される。本実施例は、EUVマスクだけでなく、ArFリソグラフィーに用いられるフォトマスクのペリクル検査にも適用することができる。 本発明によるペリクル検査装置は、EUVリソグラフィーに用いられるペリクル付きEUVマスクのペリクル膜を検査するペリクル検査装置であって、 検査すべきペリクル膜に向けて集束性の照明ビームを投射する照明光学系と、 ペリクル膜に対してほぼ直交する光軸を有する対物レンズを含み、ペリクル膜に存在する異物から出射する散乱光を集光する集光光学系と、 集光光学系により集光された散乱光を検出する第1の光検出手段と、ペリクル膜から出射する反射光を検出する第2の光検出手段と、前記第1及び第2の光検出手段からの出力信号を受け取り、ペリクル膜に存在する異物及びペリクル膜の表面に薄い膜状に形成されたコンタミネーションを検出する信号処理装置とを具え、前記照明ビームの集光角(半角)をθ0とし、前記対物レンズの最大受光角(半角)をθ1とした場合に、前記照明ビームのペリクル膜に対する前記対物レンズの光軸を基準とした入射角θ2は、式 θ2−θ0>θ1+23°を満たし、前記信号処理装置は、前記第1及び第2の光検出手段からの出力信号を用いてペリクル膜に存在する異物及びコンタミネーションを検出することを特徴とする。EUVLプロセスにおいては、ペリクル膜の付近に有機物の微細粒子が浮遊している場合、有機物はEUV光により分解され、ペリクル膜上に炭化物が堆積し、薄い膜状のコンタミネーションが形成される問題点が指摘されている。このコンタミネーションはEUV光を吸収するため、パターン描画エラーの原因となる。従って、パーティクル等の異物だけでなく、コンタミネーションも検出することが強く要請されている。皮膜状のコンタミネーションは、照明光に対する反射率が低いため、ペリクル膜からの正反射光の強度を検出することによりコンタミネーションを検出することが可能である。本発明のペリクル検査装置では、散乱光検査及び正反射光検査を並行して実行しているので、照明ビームによりペリクル膜を1回走査するだけで、パーティクル等の異物と薄い膜状のコンタミネーションの両方を検出することが可能である。本発明によるペリクル検査装置の好適実施例は、信号処理装置は、前記第1の光検出手段から出力される出力信号から欠陥を検出する第1の欠陥検出手段と、前記第2の光検出手段から出力される出力信号から欠陥を検出する第2の欠陥検出手段と、第1及び第2の欠陥検出手段からの出力信号を受け取り、検出された欠陥を異物又はコンタミネーションに分類する欠陥分類手段とを含み、 前記欠陥分類手段は、第1及び第2の欠陥検出手段から同時に欠陥検出信号が出力された場合、検出された欠陥は異物として分類し、第2の欠陥検出手段からだけ欠陥検出信号が出力された場合、検出された欠陥はコンタミネーションとして分類することを特徴とする。 炭化物の皮膜は、照明光に対する反射率が低いため、正反射光の強度を検出することにより、コンタミネーションを検出することが可能である。しかしながら、異物により散乱光が発生すると、正反射光の強度も低下するため、正反射光検出だけではコンタミネーションを検出することができない。一方、異物検出の特性として、散乱光が発生すると、正反射光の強度も低下する。従って、2つの欠陥検出手段の両方から欠陥検出信号が発生した場合異物であると判定する。このように欠陥分類手段を設けることにより、発生要因の異なる欠陥を的確に分類することが可能になる。 本発明による別のペリクル検査装置は、EUVリソグラフィーに用いられるペリクル付きEUVマスクのペリクル膜を検査するペリクル検査装置であって、 検査すべきペリクル膜に向けて所定の入射角で集束性の照明ビームを投射する照明光学系と、 ペリクル膜に対してほぼ直交する光軸を有する対物レンズを含み、ペリクル膜に存在する異物から出射する散乱光を集光する集光光学系と、 前記ペリクル膜と対物レンズとの間に配置され、開口部を有する遮光手段と、 集光光学系により集光された散乱光を検出する第1の光検出手段と、ペリクル膜から出射する正反射光を検出する第2の光検出手段と、前記第1及び第2の光検出手段から出力される出力信号を受け取り、ペリクル膜に存在する異物及びペリクル膜の表面に薄い膜状に形成されたコンタミネーションを検出する信号処理装置とを具え、前記照明ビームは遮光手段の開口部を介してペリクル膜に投射され、ペリクル膜に存在する異物から出射した散乱光は前記開口部を介して対物レンズにより集光されると共にペリクル膜から出射した正反射光は前記開口部を介して前記第2の光検出手段により受光され、前記信号処理装置は、前記第1及び第2の光検出手段からの出力信号を用いてペリクル膜に存在する異物及びペリクル膜に形成された皮膜状のコンタミネーションを検出することを特徴とする。 本発明においては、照明ビームの入射角を適切に設定すると共に散乱光検出及び正反射光検出を並行して実行しているので、EUVマスクのペリクル検査に固有の問題点が解決されたペリクル検査装置を実現することができる。 特に、散乱光による欠陥検査と正反射光による欠陥検査を並行して行い、信号処理装置において、欠陥分類手段を用いて異物とコンタミネーションとを分類しているので、パーティクル等の異物と薄い膜状のコンタミネーションとを個別に検出することができ、発生要因の異なる欠陥を適切に検出することが可能になる。本発明によるペリクル検査装置の一例を示す図である。シリコン膜の照明光の波長と透過率との関係を示すグラフである。信号処理装置の一例を示す図である。照明光学系の変形例を示す図である。照明光学系の別の変形例を示す図である。本発明によるペリクル検査装置の変形例を示す図である。本発明によるペリクル検査装置の変形例を示す図である。図7に示すペリクル検査装置80の一例を示す図である。インサイチューによるペリクル検査装置の別の変形例を示す図である。発明の実施するための形態図1は本発明によるペリクル検査装置の一例を示す図である。本例では、ステージ1上に配置されたペリクル付きEUVマスク10のペリクル膜に存在するパーティクル等の異物及びペリクル膜に形成された薄い膜状のコンタミネーションを検出する。ステージ1は、XYステージにより構成され、X方向及びY方向にジッグザッグ状に移動する。本例では、ステージ移動によりペリクル膜を照明ビームにより2次元走査する。ペリクル付きEUVマスク10は、投影されるパターンが形成されたEUVマスク11と、EUVマスクのパターンエリアを覆うペリクル12とを有し、ペリクルはペリクル枠12aとペリクル膜12bにより構成される。検査されるペリクル膜は、多結晶シリコン膜、単結晶シリコン膜及びSi/Mo/Nb膜が含まれる。本例では、厚さ50nmのポリシリコン膜について検査を行う。尚、メッシュのような補強部材が設けられたペリクル膜及び補強部材の無いペリクル膜の両方について検査を行うことができる。 本例のペリクル検査装置は、検査すべきペリクル膜に向けて照明ビームを投射する照明光学系と、ペリクル膜に存在するパーティクル等の異物から出射する散乱光を集光する集光光学系と、集光された散乱光を検出する第1の検出系と、ペリクル膜から出射する正反射光を検出する第2の検出系と、第1及び第2の検出系からの出力信号を用いて異物欠陥及びコンタミネーション欠陥を検出する信号処理装置とを有する。 照明光学系は照明ビームを発生する照明光源20を有する。照明光源20として、本例では、YAGレーザの第3高調波である波長が355nmのレーザビームを発生する固体レーザを用いる。照明光源20から出射した照明ビームは、集光レンズ21により集束性ビームとなり、ペリクル膜12bに入射する。照明ビームのペリクル膜に対する入射角θ2は一例として60°に設定され、その集光半角θ0は5°に設定する。尚、ペリクル膜は撓みが形成されているため、照明ビームの入射角は、ペリクル膜が完全な平坦な平面とした場合の入射角とする。照明ビームがペリクル膜に入射すると、一部は反射光となり、ペリクル膜が透過性を有する場合一部の照明光はペリクル膜を透過する。ペリクル膜上に異物が存在する場合、照明ビームが異物を照明し、異物から散乱光が発生する。この散乱光は対物レンズ22により集光され、結像レンズ23を介して第1の光検出器24に入射する。第1の光検出器24の出力信号は、増幅器(図示せず)を介して信号処理装置25に供給される。尚、対物レンズ22は、その光軸がペリクル膜に対して直交するように配置する。本例では、一例として開口数が0.6の対物レンズを用いる。この場合、対物レンズの最大受光角(半角)は、約30°である。従って、ペリクル膜が完全な平坦な膜の場合、ペリクル膜から出射する正反射光は対物レンズにより受光されず、暗視野照明系となる。 ペリクル膜で反射した反射光は、集光レンズ26により集光され、第2の光検出器27により受光される。第2の光検出器からの出力信号は増幅器(図示せず)を介して信号処理装置25に供給する。ペリクル膜の表面にカーボンコンタミネーションによる炭化物の薄い膜が形成されている場合、炭化物の薄い膜は平坦な皮膜であるため、散乱光を発生しない。従って、薄い皮膜状のコンタミネーション欠陥は散乱光検出により検出することはできない。一方、照明ビームは炭化物の膜により吸収されるため、反射ビームの強度は正常な部位からの反射ビームの強度よりも低下する。従って、第2の光検出器からの出力信号の強度を正常な反射ビームの強度と比較することにより、薄い膜状のコンタミネーション欠陥を検出することができる。 照明光がペリクル膜に対して透過性を有する場合、ペリクル膜を透過した透過光は、マスクパターンに入射し、散乱光を発生する。この散乱光は、再びペリクル膜を透過し、その一部は対物レンズに入射する。マスクパターンからの散乱光が対物レンズに入射すると、疑似欠陥が発生する不具合が発生する。 本例では、照明光学系及び集光光学系は固定され、ステージ1のX及びY方向のジッグザッグ状の移動によりペリクル膜の表面を照明ビームにより2次元走査する。この場合、ステージの位置は位置検出器(図示せず)により検出され、照明点のアドレスは、ステージのアドレス情報として信号処理装置25に供給される。従って、異物欠陥及びコンタミネーション欠陥が検出された際、これら欠陥の位置情報も検出される。 次に、対物レンズの最大受光角と照明ビームの入射角との関係について説明する。EUVペリクル膜として、厚さ50nmの単結晶シリコン膜やポリシリコン膜のような極めて薄いEUVペリクル膜を用いる場合、ペリクル膜に撓みやしわ寄りが発生する。この場合、ペリクル膜の撓み量が大きいと、ペリクル膜からの正反射光が対物レンズに入射する不具合が発生すると共に、パターンの結像性能が低下する不具合が発生する。この場合、パターンの結像性能に関して、ペリクルの撓みの振幅と周期との観点より、ペリクル膜の撓みによる角度が200mrad以下の場合、ウエハに投影されるパターン寸法のずれ量ΔCDU が0.1以下となり、実用化することが可能であることが報告されている(例えば、前述した非特許文献1参照)。このパターン結像性能の限界を考慮すると、ペリクル膜の撓み量の上限は200mradに設定されることなる。この撓み量の上限値を角度に変換すると、11.5°となる。この解析結果に基づき、本発明では、照明ビームのペリクル膜に対する入射角を以下のように設定する。 θ2−θ0>θ1+23° 式(1)ここで、θ0は照明ビームの集光角を示し、θ1は対物レンズの最大受光角(半角)を示し、θ2は照明ビームの入射角(半角)を示す。この場合において、ペリクル膜に11.5°の傾きがあるとすれば、ペリクル膜から出射した正反射光は、(60−11.5×2)°から(60+11.5×2)°の範囲、すなわち37〜83°の範囲に亘ることになる。これに対して、対物レンズには入射角30°以下の光しか受光できないため、ペリクル膜面での正反射光が対物レンズに入ることはない。このように、照明光の入射角を対物レンズのNAの角度よりも約23°(ペリクル膜の傾きの許容角の2倍)以上大きくすることで、ペリクル膜に撓みが形成されていても、ペリクル膜から出射した正反射光が対物レンズに入射する不具合が解消される。 次に、照明ビームの波長について説明する。照明ビームがペリクル膜を透過すると、フォトマスクのパターンに入射し、マスクパターンによる散乱光が発生する。発生した散乱光は、ペリクル膜を透過して対物レンズに入射する不具合が発生する。このような不具合を解消するため、本例では、照明光として、ペリクル膜を透過しない波長光を用いる。ペリクル膜に対する透過率の低い波長光を照明光として用いれば、照明光がフォトマスクのパターン部に入射せず、不所望な散乱光の発生を有効に防止することができる。 図2はシリコン膜の照明光の波長と透過率との関係を示すグラフである。図2(A)はシリコンの複素屈折率のデータから計算した厚さが50nmのシリコン膜に対する波長が200nm以上の範囲の特性を示し、図2(B)は照明光の波長が0〜100nmの範囲の特性を示す。尚、図2(B)に示すデータは、EUVフィルタメーカーにおいて実測された厚さが約0.1μmのシリコン膜の透過データである。図2(A)に示すように、照明光の波長が500nmよりも長波長側では、透過率が90%を超えてしまう。一方、照明光の波長が500nm以下の場合、透過率が急激に低下し、紫外域において透過率はほぼ零まで低下する。特に、照明光の波長が約360nm以下になると、透過率はほぼ零となる。さらに波長が短くなって約60nm以下になると再び透過率が上昇し、波長13.5nmにおいて透過率は約90%程度まで増加する。このシリコン膜の透過率特性を考慮し、本例では、紫外域の照明光を用いる。この場合、YAGレーザの3倍高調波を発生する固体レーザは、波長が355nmのレーザビームを発生するので、極めて好適である。特に、この固体レーザは、小型で高出力のレーザビームを発生することができるので、極めて有用である。尚、355nmのレーザ光を発生するレーザ光源以外の種々の光源を用いることができ、例えば波長が325nmのレーザ光を発生するHeCdレーザを用いることも可能である。 次に、第2の検出系によるカーボンコンタミネーションの検出について説明する。前述したように、EUVマスクに向けてEUV光を照射した場合、ペリクル膜付近に浮遊する有機物がEUV光により分解され、ペリクル膜の表面に炭化物が堆積し、炭化物の薄い皮膜であるカーボンコンタミが形成される。本発明者がカーボンコンタミネーションについて種々の実験及び解析を行った結果、以下の事項が判明した。第1に、炭化物皮膜の表面は平坦な表面であるため、照明ビームを投射しても散乱光はほとんど発生しない。従って、散乱光検出方式では、パーティクルのような異物検査とは異なり、コンタミネーションを検出することはできない。第2に、炭化物皮膜の反射率は、シリコン膜の反射率よりも大幅に小さい。よって、カーボンコンタミネーションが形成された部位に照明ビームが入射した場合、正反射光の強度は相当弱くなる。従って、ペリクル膜からの反射光の強度を検出し、ペリクル膜の正常な部位からの反射光の強度と比較することにより、カーボンコンタミネーションを検出することができる。この検討結果に基づき、本発明では、第2の検出系によりペリクル膜からの正反射光を検出し、閾値比較処理を行ってコンタミネーションを検出する。 図3は異物及びコンタミネーションを検出する信号処理装置の一例を示す図である。散乱光を検出する第1の光検出器24からの出力信号は、A/D変換器30を介して第1の欠陥検出手段31に供給される。第1の欠陥検出手段31は比較器により構成され、第1の光検出器からの出力信号の強度を閾値と比較し、所定の閾値を超えた場合、すなわち所定のレベルを超える強度の散乱光が検出された場合、欠陥検出信号を発生して、欠陥分類手段32に供給する。 ペリクル膜からの正反射光を検出する第2の光検出器27からの出力信号は、A/D変換器33を介して第2の欠陥検出手段34に供給される。第2の欠陥検出手段も比較器により構成され、第2の光検出器からの出力信号の強度を閾値と比較し、所定の閾値を下回る場合、すなわち所定のレベル以下の強度の反射光が検出された場合、欠陥検出信号を発生して、欠陥分類手段32に供給する。欠陥分類手段32は、第1及び第2の欠陥検出手段から入力する欠陥検出信号を用いてパーティクル等の異物及び薄い膜状のコンタミネーションを分類する。ペリクル膜上に異物が存在する場合、異物から散乱光が発生するため、第1の欠陥検出手段31から出力される欠陥検出信号により異物欠陥が検出される。また、コンタミネーション欠陥が存在する場合、正反射光の強度が低下するため、第2の欠陥検出手段から出力される欠陥検出信号によりコンタミネーション欠陥が検出される。しかしながら、異物が検出された場合、照明光の一部が散乱光となるため、正反射光の強度も低下し、第2の欠陥検出手段からも欠陥検出信号が発生する。従って、第2の欠陥検出手段から出力される欠陥検出信号だけを用いて判定した場合、異物とコンタミネーションとが同時に検出されたものと混同する不具合が生じてしまう。このような不具合を解消するため、本例では、欠陥分類手段32を設け、第1及び第2の欠陥検出手段の両方から同時に欠陥検出信号が供給された場合、当該欠陥検出信号は異物欠陥を示す信号として分類し、第2の比較器34からの欠陥検出信号だけが入力した場合、当該欠陥検出信号はコンタミネーション欠陥による欠陥検出信号であると判定する。このように、欠陥分類手段を設ければ、異物とコンタミネーションと分離することが可能になる。欠陥分類手段32には、ステージの位置を検出する位置センサ(図示せず)から出力されるアドレス情報が入力する。欠陥分類手段は、位置センサから供給されるアドレス情報を用いて、検出された異物欠陥及びコンタミネーション欠陥の存在及びそのアドレスを示す情報を出力することができる。尚、本例では、第1及び第2の欠陥検出手段から同時に欠陥検出信号が発生した場合、異物欠陥と判定したが、検出された欠陥のアドレス情報を用いて判定することも可能である。例えば、第1及び第2の欠陥検出手段から発生した欠陥検出信号が同一のアドレスの場合、異物と判定し、アドレスが異なる場合コンタミネーションと判定することも可能である。さらに、欠陥分類手段32の出力は寿命判定手段35に供給される。寿命判定手段35は、検出された異物及びコンタミネーションの個数を算出し、所定の閾値と比較することによりペリクルの寿命を判定する。すなわち、露光回数が増えるにしたがってペリクルに形成される異物やコンタミネーションの発生量も増大する。そして、これらの量が所定量を超えると、パターン描画エラーが発生し易くなってしまう。従って、検出された欠陥の個数を所定の閾値と比較することにより、ペリクルの寿命を判定することが可能になる。そこで、本発明では、寿命判定手段35において、検出された欠陥の個数を計数し、ペリクル寿命情報として出力する。すなわち、ペリクル膜に存在する欠陥の個数とパターン描画エラーの発生率との関係を予め求めておき、検出された欠陥の個数が所定の個数を超えた場合、寿命情報を出力する。尚、ペリクルの寿命は、数段階にレベル分けし、寿命レベル情報として出力することも可能である。このようなペリクル寿命情報を用いることにより、ペリクルの交換時期を的確に判断することが可能になる。 図4は本発明による照明光学系の変形例を示す図である。EUVペリクルにおいては、照明光が照射されるペリクル膜面の傾きが、ペリクル膜面内の場所によって様々に異なることから、サイズや種類が同じ異物であっても、発生する散乱光の角度分布がペリクル膜の位置によって相違し、対物レンズにより集光される光量が相違する事態が発生する。このような不具合を解決するため、本例では、ペリクル膜を複数の角度方向から照明し、ペリクル膜の傾斜角の変化に起因する不具合を解消する。すなわち、ペリクル膜を複数の角度方向から照明すれば、ペリクル膜上のパーティクルは種々の角度方向から照明されるので、異物からから発生する散乱光の強度を均一化することができる。 図4に示す照明光学系は、ペリクル膜上の照明点を中心にして円環状に等間隔(120°)で整列した3本の照明ビームによりペリクル膜を照明する。図4を参照するに、照明光源40から平行な照明ビームを発生する。照明ビームは、第1のビームスプリッタ41により反射ビームと透過ビームとに分割する。第1のビームスプリッタの透過と反射との比率は、2:1に設定する。第1のビームスプリッタ41で反射した反射ビームは、全反射ミラー42及び43で反射し、第1の集光レンズ44により集光され、集束性の照明ビームとして照明点を照明する。第1のビームスプリッタ41を透過した透過ビームは、第2のビームスプリッタに入射し、反射ビームと透過ビームとに分割される。第2のビームスプリッタの透過と反射との比率は1:1に設定する。第2のビームスプリッタから出射した透過ビームは、第2の集光レンズ46により集光されて、照明点を照明する。第2のビームスプリッタから出射した反射ビームは、第3及び第4の全反射ミラー47及び48を経て、第3の集光レンズ49により集光され、集束性ビームとして照明点を照明する。本実施例の特徴としては、ペリクル膜面が多少傾いても、3本の照明ビームのそれぞれによって発生する異物からのそれぞれの散乱光の光量の総和は、ほぼ一定になる。従って、ペリクル膜面内の場所に依らず、同じ異物であれば同じ感度で検出できる。このように、複数本の照明ビームを用いて種々の角度方向から照明することにより、ペリクル膜の傾斜角の変化に起因する不具合が解消される。図4(B)は、ペリクル膜上の照明点を中心にして等間隔で整列した5本の照明ビームにより照明する例を示す。このように、照明ビームを5本にしてもよく、その方がペリクルに傾きがある場合の異物からの各散乱光の光量総和の変動が小さくなり、感度ムラを一層低減できる。図5は照明光学系の別の変形例を示す。本例では、リング状の集束性照明ビームを用いてペリクル膜を走査する。照明光源から、断面が円形の平行な照明ビーム50を発生する。照明ビーム50は、アキシコンメニスカスレンズ(アキシコンレンズ)51の凹側の中心部に入射する。アキシコンメニスカスレンズ51は、入射した照明ビームを断面がリング状の平行な照明ビームに変換する。リング状の照明ビーム52は、ミラー52に入射する。ミラー52は照明ビームを対物レンズの光路に結合する機能を果たし、円形の開口部52aとその周囲に形成したリング状の反射面52bを有する。ミラー52に入射したリング状の照明ビームは、反射面52bで反射し、対物レンズに入射する。本例では、対物レンズ22として高NAの対物レンズを用いる。高NA対物レンズのNAは0.95程度が好ましく、この場合、最大受光角72°であるため、半角5°のリング状照明光を入射させる場合は、ペリクル膜面から受光角30°以下(すなわちNA≦0.5程度)の散乱光のみが光検出器に入射させるように構成する。このように構成すれば、リング状の照明ビームが対物レンズを通過しても、暗視野照明で検査することができる。対物レンズは、入射したリング状の照明ビームを集束させる集束光学系として機能する。従って、リング状の照明ビームは、対物レンズ22介してペリクル12上に集光してスポット状の照明点を形成する。 ペリクル膜上に存在する異物は、360°の角度方向から照明され、散乱光を発生する。発生した散乱光は、対物レンズ22により集光され、ミラー52の開口部52aを通過し、結像レンズ23を介して光検出器24に入射する。本実施例の特徴として、ペリクル膜面の検査領域に対して、360°の全周から照明光を照射しているため、ペリクル膜面がどの向きに傾いていても、同じ異物から発生する散乱光の光量はほぼ一定になるため、安定した検出感度が得られる。 図6は本発明によるペリクル検査装置の別の変形例を示す。図6において、図1で用いた構成要素と同一の構成要素には同一符号を付して説明する。本例では、対物レンズ22とペリクル12との間にピンホール状又はスリット状の開口部60aを有する遮光手段60を配置する。照明光源から出射した照明ビームは、遮光手段60の開口部60aを介してペリクル膜に向けて投射され、ペリクル膜上に存在する異物から発生した散乱光は開口部60aを介して対物レンズにより集光する。この場合、ペリクル膜を透過する波長域の照明ビームを用いた場合、照明ビームはペリクル膜12bを透過し、EUVマスク11のマスクパターンに入射する。そして、マスクパターンから不所望な散乱光61が発生する。しかしながら、散乱光が発生しても、発生した散乱光は遮光手段60により遮光されるので、対物レンズに入射する不具合は生じない。本例では、可視光や赤外光等の種々の波長域の照明光を用いることができるので、例えば半導体レーザ等の光源を用いることができ、照明光源の選択の範囲が拡がる利点が達成される。 図7及び図8は本発明によるペリクル検査装置の別の変形例を示す。本例では、 露光装置内にペリクル検査装置が組み込まれたインサイチュー検査について説明する。EUV光源から出射した露光用のEUV光70は、ペリクル付きのEUVマスク71に向けて投射される。EUVマスク71から出射したパターン情報を含む反射ビームは投影光学系72を介してウエハ73上に結像される。投影光学系72は、例えば6枚の非球面ミラーにより構成され、EUVマスク71のパターンの像を1/4の大きさでウエハ上に縮小投影し、パターン露光が行われる。 EUVマスク71は、静電チャック74により保持され、静電チャック74はレチクルステージ75に装着する。レチクルステージ75は、固定ステージ75aと移動ステージ75bを有し、移動ステージはX方向(紙面内方向)にそって移動することができる。一方、ウエハ73はウエハテーブル76上に配置する。ウエハテーブル76は、ウエハステージ77に連結され、レチクルステージ75と同期してX方向に移動するが、Y方向(紙面と直交する方向)にも移動できるように構成され、EUVマスクのパターンの像が投影光学系72を介してウエハ上に投影されることで、ウエハ全面にパターン露光が行われる。 本例では、EUVマスク71と対向するように、ペリクル検査装置80を配置する。EUVマスク71は静電チャックに保持された状態で移動できるので、EUVマスクを紙面の右側にそってペリクル検査装置と対向する位置まで移動させる。そして、ペリクル検査装置から投射される照明ビームを用いてペリクル膜の全面を検査することができる。 図8は露光装置に搭載されるペリクル検査装置80の一例を示す図である。照明ビームを発生する照明光源として、波長が365nmの紫外光を発生する半導体レーザ81を用いる。波長が365nmの照明ビームは厚さが50nmの単結晶シリコン膜をほとんど透過しないため、マスクパターンから不所望な散乱光が生ずることが防止される。照明ビームは集光レンズ82により集光され、ペリクル膜71a上に集光する。ペリクル膜71a上にパーティクル等の異物が存在する場合、散乱光が発生し、この散乱光は対物レンズ83により集光され、リレーレンズ(図示せず)を介して第1の光検出器84により検出される。ペリクル膜で反射した正反射光は集光レンズ85により集光され、第2の光検出器86により検出される。上記光学素子はステージ上にユニット化され、単一のユニット化されたペリクル検査装置として構成することができる。また、本例では、レチクルステージの2次元移動を利用し、ペリクル膜の全面を照明ビームにより2次元走査することができる。勿論、ペリクル検査装置を移動レール上に配置してX方向に移動可能に設定し、レチクルステージのY方向移動を利用して2次元走査することも可能である。尚、本例においても、照明ビームのペリクル膜に対する入射角は、前述した式(1)を満たすように設定する。 図9は、EUV露光装置内のインサイチューによるEUVペリクル検査装置の別の実施例を示す。図9(A)は主走査方向を紙面内方向として図示し、図9(B)は主走査方向を紙面と直交する方向として図示する。本例では、照明光源90として、波長が355nmの紫外光を発生する固体レーザを用いる。照明光源90から出射した照明ビームは偏光ビームスプリッタ91及び1/4波長板92を透過してポリゴンミラー93に入射する。ポリゴンミラーは、入射する照明ビームを紙面と平行な方向に高速偏向する。ポリゴンミラー93から出射した照明ビームは、f・θレンズ94を介してペリクル付きフォトマスク95のペリクル膜95a上に集光し、ペリクル膜に垂直に入射する。ペリクル膜上において、照明光が集光される領域に異物がある場合は、散乱光が発生する。発生した散乱光は、f・θレンズ94とEUVペリクル膜95aとの間に配置された、集光レンズ96を介して細長いリニアセンサー97により受光される。集光レンズとして、例えばシリンドリカルレンズを用いることができる。 ペリクル膜95aから出射した正反射光は、入射時と同じ光路を逆に戻るため、f・θレンズを通り、ポリゴンミラー及び1/4波長板を経由して、偏光ビームスプリッタ91に入射する。そして、偏光ビームスプリッタ91で反射し、集光レンズ98を介して光検出器99により受光される。ペリクル膜上にコンタミネーションが存在する場合、正反射光の強度が低下するため、光検出器99の出力信号を用いることにより、コンタミネーション欠陥を検出することができる。本例では、ポリゴンミラーとf・θレンズの走査系による主走査とペリクル付きフォトマスクを支持するマスクステージの主走査方向と直交する方向の移動により、ペリクル膜の全面を2次元走査することができる。このEUVペリクル検査装置の特徴としては、ポリゴンミラーによる高速偏向を利用しているため、極めて高速にスキャンできる。従って、検査時間が大幅に短縮される。 1 ステージ 10 ペリクル付きEUVマスク11 EUVマスク12 ペリクル12a ペリクル枠12b ペリクル膜20 照明光源21 集光レンズ22 対物レンズ23 結像レンズ24 第1の光検出器25 信号処理装置26 集光レンズ27 第2の光検出器 EUVリソグラフィーに用いられるペリクル付きEUVマスクのペリクル膜を検査するペリクル検査装置であって、 検査すべきペリクル膜に向けて集束性の照明ビームを投射する照明光学系と、 ペリクル膜とほぼ直交する光軸を有する対物レンズを含み、ペリクル膜に存在する異物から出射する散乱光を集光する集光光学系と、 集光光学系により集光された散乱光を検出する検出系とを具え、 前記照明ビームの集束角(半角)をθ0とし、前記対物レンズの最大受光角(半角)をθ1とした場合に、前記照明ビームのペリクル膜に対する入射角θ2は、式 θ2−θ0>θ1+23°を満たすことを特徴とするペリクル検査装置。 請求項1に記載のペリクル検査装置において、前記照明光学系は、ペリクル膜上に形成される照明点を中心にして円環状に整列した複数の照明ビームを投射し、ペリクル膜上の照明点を互いに異なる角度方向から照明することを特徴とするペリクル検査装置。 請求項1に記載のペリクル検査装置において、前記照明光学系は、前記対物レンズの光軸方向に見て、リング状の集束性照明ビームを投射することを特徴とするペリクル検査装置。 請求項3に記載のペリクル検査装置において、前記照明光学系は、光ビームを発生する照明光源と、照明光源から出射した光ビームをリング状の照明ビームに変換するアキシコンレンズと、アキシコンレンズから出射したリング状の照明ビームを前記対物レンズの光路に結合する光学手段とを有し、 前記照明ビームは、前記対物レンズを介してリング状の集束性ビームとしてペリクル膜に向けて投射されることを特徴とするペリクル検査装置。 請求項1から4までのいずれか1項に記載のペリクル検査装置において、前記ペリクル膜はシリコン膜により構成され、前記照明ビームは、シリコン膜をほとんど透過しない紫外域の照明光により構成されることを特徴とするペリクル検査装置。 請求項5に記載のペリクル検査装置において、前記照明光学系は、YAGレーザの第3高調波を発生する固体レーザを含み、波長がほぼ355nmの照明ビームを発生することを特徴とするペリクル検査装置。 請求項1から6までのいずれか1項に記載のペリクル検査装置において、前記ペリクル膜と対物レンズとの間に、開口部を有する遮光手段が配置され、前記照明ビームは遮光手段の開口部を介してペリクル膜に投射され、ペリクル膜に存在する異物から出射した散乱光は前記開口部を介して対物レンズにより集光されることを特徴とするペリクル検査装置。 請求項7に記載のペリクル検査装置において、前記ペリクル膜を透過した照明ビームにより前記フォトマスクのパターン部から発生した散乱光は、前記遮光手段により遮光されて対物レンズにより集光されないように構成したことを特徴とする検査装置。 EUVリソグラフィーに用いられるペリクル付きEUVマスクのペリクル膜を検査するペリクル検査装置であって、 検査すべきペリクル膜に向けて集束性の照明ビームを投射する照明光学系と、 ペリクル膜に対してほぼ直交する光軸を有する対物レンズを含み、ペリクル膜に存在する異物から出射する散乱光を集光する集光光学系と、 集光光学系により集光された散乱光を検出する第1の光検出手段と、ペリクル膜から出射する反射光を検出する第2の光検出手段と、前記第1及び第2の光検出手段からの出力信号を受け取り、ペリクル膜に存在する異物欠陥及びペリクル膜の表面に薄い膜状に形成されたコンタミネーション欠陥を検出する信号処理装置とを具え、前記照明ビームの集光角(半角)をθ0とし、前記対物レンズの最大受光角(半角)をθ1とした場合に、前記照明ビームのペリクル膜に対する前記対物レンズの光軸を基準とした入射角θ2は、式 θ2−θ0>θ1+23°を満たし、前記信号処理装置は、前記第1及び第2の光検出手段からの出力信号を用いてペリクル膜に存在する異物欠陥及びコンタミネーション欠陥を検出することを特徴とするペリクル検査装置。 請求項9に記載のペリクル検査装置において、前記信号処理装置は、前記第1の光検出手段から出力される出力信号から欠陥を検出する第1の欠陥検出手段と、前記第2の光検出手段からの出力信号から欠陥を検出する第2の欠陥検出手段と、第1及び第2の欠陥検出手段からの出力信号を受け取り、検出された欠陥を異物欠陥又はコンタミネーション欠陥に分類する欠陥分類手段とを含み、 前記欠陥分類手段は、第1及び第2の欠陥検出手段から同時に欠陥検出信号が出力された場合、検出された欠陥は異物欠陥として分類し、第2の欠陥検出手段からだけ欠陥検出信号が出力された場合、検出された欠陥はコンタミネーション欠陥として分類することを特徴とするペリクル検査装置。 EUVリソグラフィーに用いられるペリクル付きEUVマスクのペリクル膜を検査するペリクル検査装置であって、 検査すべきペリクル膜に向けて所定の入射角で集束性の照明ビームを投射する照明光学系と、 ペリクル膜に対してほぼ直交する光軸を有する対物レンズを含み、ペリクル膜に存在する異物から出射する散乱光を集光する集光光学系と、 前記ペリクル膜と対物レンズとの間に配置され、開口部を有する遮光手段と、 集光光学系により集光された散乱光を検出する第1の光検出手段と、ペリクル膜から出射する正反射光を検出する第2の光検出手段と、前記第1及び第2の光検出手段から出力される出力信号を受け取り、ペリクル膜に存在する異物欠陥及びペリクル膜の表面に薄い膜状に形成されたコンタミネーション欠陥を検出する信号処理装置とを具え、前記照明ビームは遮光手段の開口部を介してペリクル膜に投射され、ペリクル膜に存在する異物から出射した散乱光は前記開口部を介して対物レンズにより集光されると共にペリクル膜から出射した正反射光は前記開口部を介して前記第2の光検出手段により受光され、前記信号処理装置は、前記第1及び第2の光検出手段からの出力信号を用いてペリクル膜に存在する異物欠陥及びペリクル膜に形成されたコンタミネーション欠陥を検出することを特徴とするペリクル検査装置。 請求項9、10又は11に記載のペリクル検査装置において、当該ペリクル検査装置は、EUV光によりペリクル付きEUVマスクのマスクパターンをウエハ上に投影するEUV露光装置に搭載されていることを特徴とするペリクル検査装置。 【課題】EUVマスクのペリクル検査に固有の問題点が解決されたペリクル検査装置を実現する。【解決手段】本発明によるペリクル検査装置は、検査すべきペリクル膜(12b)に向けて集束性の照明ビームを投射する照明光学系(20,21)と、ペリクル膜とほぼ直交する光軸を有する対物レンズ(22)を含み、ペリクル膜に存在する異物から出射する散乱光を集光する集光光学系と、集光光学系により集光された散乱光を検出する検出系(24)とを具える。照明ビームのペリクル膜に対する入射角θ2は、照明ビームの集束角(半角)をθ0とし、前記対物レンズの最大受光角(半角)をθ1とした場合に、式 θ2−θ0>θ1+23°を満たす。尚、ペリクル膜からの正反射光を受光する光検出器(27)を設けることにより、ペリクル膜に形成された薄い膜状のコンタミネーションを検出することも可能である。【選択図】図1