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タイトル:公開特許公報(A)_1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸の製造方法および中間体化合物
出願番号:2014077821
年次:2015
IPC分類:C07C 69/757,C07C 67/14,C07C 67/03


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邑上 健 JP 2015199674 公開特許公報(A) 20151112 2014077821 20140404 1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸の製造方法および中間体化合物 富士フイルム株式会社 306037311 渡辺 望稔 100080159 三和 晴子 100090217 伊東 秀明 100152984 三橋 史生 100148080 邑上 健 C07C 69/757 20060101AFI20151016BHJP C07C 67/14 20060101ALI20151016BHJP C07C 67/03 20060101ALI20151016BHJP JPC07C69/757 CC07C67/14C07C67/03 10 OL 27 4H006 4H006AA01 4H006AA02 4H006AA03 4H006AB20 4H006AC48 4H006BJ20 4H006BJ50 4H006BN20 4H006BP30 4H006KA14 4H006KC14 4H006KC20 本発明は、1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸の製造方法およびこの製造方法で使用される中間体化合物に関する。 近年、様々な分野で植物資源を活用する研究開発が行われている。 それらの中で、ヘルスケアの観点から、特にポリフェノールが注目されており、種々のポリフェノールが植物から抽出され、様々な用途で利用されている。例えば、甘藷由来ポリフェノールが、ガン、糖尿病、高血圧、アルツハイマー病、HIVまたはメラニン生成抑制などの疾病や美容に有効であることが知られている(非特許文献1)。 ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸類は、コーヒー豆、サツマイモの葉、ヨモギ、すいかずらまたはひまわりなどに含まれ、熱水やエタノールを用いて植物から抽出される。しかし、カフェオイルキナ類を医薬品として利用できる程度に高純度化するのは極めて困難であった。 1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸は、分子内にキナ酸と4つのカフェオイル基を有する化合物であり、コラーゲン分解酵素(コラゲナーゼ)抑制作用を示すことから、皮膚老化防止等に効果が期待されている。1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸は、キク科植物(Pluchea indica)の乾燥葉をメタノールで抽出し、ヘキサンで脱脂し、合成吸着剤によるクロマトグラフィー、有機溶媒による抽出、さらに逆相クロマトグラフィーによる精製操作を繰り返して行うことにより得られる(非特許文献2)。 しかしながら、植物などに含まれる1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸は、ごくわずかであり、高純度の1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸を得るためには、煩雑で長い精製工程が必要である。1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸は、魅力ある生理活性を有するにも拘らず、実用的な用途への適用は、困難であった。 1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸の化学合成は、今まで報告されておらず、1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸メチルエステル誘導体の合成例が報告されているのみである(非特許文献3)。食品工業、2005年、第3巻、1〜7頁(食品技術図書出版)Phytother.Res. 2008年、第22巻、264〜266頁Synlett 2009年、第9巻、1517〜1519頁 非特許文献3に記載の方法は、工程数が長く、反応収率が低い、有害な試薬を使用する、などの問題を有する。また、1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸メチルエステル誘導体までの合成法しか記載されていない。また、この1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸メチルエステル誘導体の保護基を脱保護し、目的とする1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸へ誘導するためには、極低温での反応が必要であり、反応後の後処理も非常に煩雑であるなどの様々な課題を有する。 本発明は、上記実情に鑑みて、簡便な操作で、収率良く、人体に対して安全に、1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸を製造できる、1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸の製造方法を提供することを目的とする。 また、本発明は、上記製造方法で使用される中間体化合物を提供することも目的とする。 本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸の新規な製造方法を見出し、本発明を完成させた。 すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。(1) 後述する一般式(1)で表される化合物またはその塩。(2) RaおよびRbが、アリル基である、(1)に記載の化合物またはその塩。(3) R1が、メチル基であり;R2およびR3が、一緒になって、ジメチルメチレン基であり;R4が、水素原子である、(1)または(2)に記載の化合物またはその塩。(4) R1が、メチル基であり;R2、R3およびR4が、水素原子である、(1)または(2)に記載の化合物またはその塩。(5) R1が、水素原子であり;R2、R3およびR4が、後述する式(2a)で表される基である、(1)または(2)に記載の化合物またはその塩。(6) 後述する一般式(1b)で表される化合物を、後述する一般式(5)で表される化合物と反応させ、後述する一般式(1c)で表される化合物を得た後、得られた化合物を脱保護することにより、1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸を製造する工程1を有する、1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸の製造方法。(7) 後述する一般式(3)で表される化合物と、後述する一般式(4)で表される化合物との反応、および、脱保護を実施して、後述する一般式(1b)で表される化合物を得る工程2を、工程1の前に有する、(6)に記載の製造方法。(8) 工程2が、後述する一般式(3)で表される化合物を、後述する一般式(4)で表される化合物と反応させ、後述する一般式(1a)で表される化合物を得た後、得られた化合物を脱保護し、後述する一般式(1b)で表される化合物を得る工程である、(7)に記載の製造方法。(9) R1aが、メチル基である、(6)〜(8)のいずれか1つに記載の製造方法。(10) RaおよびRbが、アリル基である、(6)〜(9)のいずれか1つに記載の製造方法。 本発明によれば、簡便な操作で、収率良く、人体に対して安全に、1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸を製造できる、1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸の製造方法を提供することができる。 また、本発明によれば、上記製造方法で使用される中間体化合物を提供することもできる。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明において、特にことわらない限り、各用語は、次の意味を有する。 ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。 C1−6アルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基などの直鎖状または分枝鎖状の炭素数1〜6のアルキル基を意味する。 C2−6アルケニル基とは、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、1,3−ブタジエニル基、ペンテニル基およびヘキセニル基などの直鎖状または分枝鎖状の炭素数2〜6のアルケニル基を意味する。 C2−6アルキニル基とは、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基およびヘキシニル基などの直鎖状または分枝鎖状の炭素数2〜6のアルキニル基を意味する。 C3−8シクロアルキル基とは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基などの炭素数3〜8のシクロアルキル基を意味する。 アリール基とは、フェニル基またはナフチル基などを意味する。 アルC1−6アルキル基とは、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基、フェネチル基およびナフチルメチル基などのアルC1−6アルキル基を意味する。 C1−6アルコキシ基とは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基およびヘキシルオキシ基などの直鎖状または分枝鎖状の炭素数1〜6のアルキルオキシ基を意味する。 アリールオキシ基とは、フェノキシ基またはナフチルオキシ基などを意味する。 C1−6アルコキシC1−6アルキル基とは、メトキシメチル基および1−エトキシエチル基などの炭素数1〜6のアルキルオキシが置換した炭素数1〜6のアルキル基を意味する。 アシル基とは、ホルミル基、C2−6アルカノイル基またはアロイル基を意味する。 C2−6アルカノイル基とは、アセチル基、プロピオニル基、バレリル基、イソバレリル基およびピバロイル基などの直鎖状または分枝鎖状の炭素数2〜6のアルカノイル基を意味する。 アロイル基とは、ベンゾイル基またはナフトイル基などを意味する。 アシルオキシ基とは、C2−6アルカノイルオキシ基またはアロイルオキシ基を意味する。 C2−6アルカノイルオキシ基とは、アセチルオキシ基およびプロピオニルオキシ基などの直鎖状または分枝鎖状の炭素数2〜6のアルカノイルオキシ基を意味する。 アロイルオキシ基とは、ベンゾイルオキシ基またはナフトイルオキシ基などを意味する。 C1−6アルコキシカルボニル基とは、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基および1,1−ジメチルプロポキシカルボニル基などの直鎖状または分枝鎖状の炭素数1〜6のアルキルオキシカルボニル基を意味する。 アリールオキシカルボニル基とは、フェニルオキシカルボニル基またはナフチルオキシカルボニル基などを意味する。 C1−6アルキルスルホニル基とは、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基およびプロピルスルホニル基などの炭素数1〜6のアルキルスルホニル基を意味する。 アリールスルホニル基とは、ベンゼンスルホニル基またはナフタレンスルホニル基などを意味する。 C1−6アルキルスルホニルオキシ基とは、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基およびプロピルスルホニルオキシ基などの炭素数1〜6のアルキルスルホニルオキシ基を意味する。 アリールスルホニルオキシ基とは、ベンゼンスルホニルオキシ基またはナフタレンスルホニルオキシ基などを意味する。 シリル基とは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基またはトリブチルシリル基などを意味する。 ジ(C1−6アルキル)ホスホリル基とは、ジメチルホスホリル基、ジエチルホスホリス基およびジブチルホスホリル基などのジ(C1−6アルキル)ホスホリル基を意味する。 ジアリールホスホリル基とは、ジフェニルホスホリル基などを意味する。 ジアリールホスフィニル基とは、ジフェニルホスフィニル基などを意味する。 脱離基とは、ハロゲン原子、C1−6アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基などを意味する。これらの基は、後述する置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。 アミノ保護基としては、通常のアミノ基の保護基として使用し得るすべての基を含み、例えば、W.グリーン(W.Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、696〜926頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載されている基が挙げられる。 具体例としては、アルC1−6アルキル基、C1−6アルコキシC1−6アルキル基、アシル基、C1−6アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1−6アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはシリル基などが挙げられる。これらの基は、置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。 カルボキシル保護基としては、通常のカルボキシル基の保護基として使用し得るすべての基を含み、例えば、W.グリーン(W.Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、533〜646頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載されている基が挙げられる。 具体例としては、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、アリール基、アルC1−6アルキル基、C1−6アルコキシC1−6アルキル基またはシリル基などが挙げられる。これらの基は、後述する置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。 ヒドロキシル保護基としては、通常のヒドロキシル基の保護基として使用し得るすべての基を含み、例えば、W.グリーン(W.Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、16〜366頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載されている基が挙げられる。 具体例としては、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、アルC1−6アルキル基、C1−6アルコキシC1−6アルキル基、アシル基、C1−6アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1−6アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ジ(C1−6アルキル)ホスホリル基、ジアリールホスホリル基、ジアリールホスフィニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基またはシリル基などが挙げられる。これらの基は、後述する置換基群Aから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。 置換基群A:ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、保護されてもよいアミノ基、保護されてもよいヒドロキシル基、保護されてもよいカルボキシル基、後述する置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいカルバモイル基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいスルファモイル基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいC1−6アルキル基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいC2−6アルケニル基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいC2−6アルキニル基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいC3−8シクロアルキル基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいアリール基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいC1−6アルコキシ基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいアリールオキシ基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいアシル基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいアシルオキシ基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいC1−6アルコキシカルボニル基、置換基群Bから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよいアリールオキシカルボニル基、オキソ基。 置換基群B:ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、保護されてもよいアミノ基、保護されてもよいヒドロキシル基、保護されてもよいカルボキシル基、C1−6アルキル基、アリール基、C1−6アルコキシ基、オキソ基。 脂肪族炭化水素類としては、ペンタン、ヘキサンまたはシクロヘキサンなどが挙げられる。 ハロゲン化炭化水素類としては、塩化メチレン、クロロホルムまたは1,2−ジクロロエタンなどが挙げられる。 アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノールまたは2−メチル−2−プロパノールなどが挙げられる。 エーテル類としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。 エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピルまたは酢酸ブチルなどが挙げられる。 ケトン類としては、アセトン、2−ブタノンまたは4−メチル−2−ペンタノンなどが挙げられる。 ニトリル類としては、アセトニトリルまたはプロピオニトリルなどが挙げられる。 アミド類としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドまたはN−メチルピロリドンなどが挙げられる。 尿素類としては、ジメチルイミダゾリジノンなどが挙げられる。 スルホキシド類としては、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。 カルボン酸類としては、酢酸などが挙げられる。 芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエンまたはキシレンなどが挙げられる。 金属アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、tert−ブトキシナトリウムまたはtert−ブトキシカリウムなどが挙げられる。 有機塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミンまたはN−メチルイミダゾールなどが挙げられる。 無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムまたはリン酸ナトリウムなどが挙げられる。 一般式(1)で表される化合物の塩としては、通常知られているアミノ基などの塩基性基、ヒドロキシル基およびカルボキシル基などの酸性基における塩を挙げることができる。 塩基性基における塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸および硫酸などの鉱酸との塩;ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸、トリクロロ酢酸およびトリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸との塩;ならびにメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メシチレンスルホン酸およびナフタレンスルホン酸などのスルホン酸との塩が挙げられる。 酸性基における塩としては、例えば、ナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属との塩;カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩;アンモニウム塩;ならびにトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N−ベンジル−β−フェネチルアミン、1−エフェナミンおよびN,N'−ジベンジルエチレンジアミンなどの含窒素有機塩基との塩などが挙げられる。<第1実施態様> 本発明の製造方法の好適態様の一つとして、以下の製造方法が挙げられる。以下の好適態様は、工程X〜工程Wを有する製造方法であるが、本発明においては少なくとも工程Z、工程Vおよび工程Wを有していればよい。言い換えれば、工程Z、工程Vおよび工程Wを有する工程1を有していればよい。 以下、各工程で使用される化合物および工程の手順について詳述する。[工程X] 工程Xは、一般式(3)で表される化合物と、一般式(4)で表される化合物とを反応させ、一般式(1a)で表される化合物を得る工程である。 まず、本工程で使用される化合物について詳述し、その後工程の手順について詳述する。(一般式(3)で表される化合物) 一般式(3)で表される化合物は、1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸の出発原料となる化合物である。 式(3)中、RaおよびRbは、同一または異なって、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基、置換基を有してもよいアルC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC1−6アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基もしくは置換基を有してもよいアシル基を示すか、または、RaおよびRbは、一緒になって、置換基を有するメチレン基を示す。なかでも、脱保護反応が容易であり、得られる1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸の収率がより優れる点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」とも称する)で、アリル基、4−メトキシベンジル基、メトキシカルボニル基、トリクロロエトキシカルボニル基およびメトキシメチル基が好ましく、アリル基がより好ましい。 C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、アルC1−6アルキル基、C1−6アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基およびアシル基は置換基を有していてもよく、置換基の種類は特に制限されないが、例えば、上述した置換基群Aから選ばれる基が挙げられる。なお、これらの基が置換基を有する場合は置換基の数は特に制限されないが、1〜3個の場合が多い。 置換基を有するメチレン基の好適態様としては、以下の式(X)で表されるメチレン基が挙げられる。式中、2つのRxは、同一または異なって、水素原子または置換基を示し、少なくとも一方は置換基を示す。2つのRxは、互いに結合して環を形成してもよい。形成される環の種類は特に制限されないが、例えば、脂肪族炭化水素基(例えば、C3−8シクロアルキル基)が挙げられる。また、置換基の種類は特に制限されないが、例えば、上述した置換基群Aから選ばれる基が挙げられる。なお、*は結合位置を示す。 R2aおよびR3aは、同一または異なって、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基、置換基を有してもよいアルC1−6アルキル基もしくは置換基を有してもよいC1−6アルコキシカルボニル基を示すか、または、R2aおよびR3aは、一緒になって、置換基を有するメチレン基を示す。C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、アルC1−6アルキル基およびC1−6アルコキシカルボニル基は置換基を有していてもよく、置換基の種類は特に制限されないが、例えば、上述した置換基群Aから選ばれる基が挙げられる。なお、これらの基が置換基を有する場合は置換基の数は特に制限されないが、1〜3個の場合が多い。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、(C1−6アルキル)メチレン、アリールメチレンおよびジ(C1−6アルキル)メチレンが好ましく、ジメチルメチレンがより好ましい。 置換基を有するメチレン基の好適態様は、上述した式(X)で表されるメチレン基が挙げられる。 一般式(3)で表される化合物は公知の方法にて製造可能であり、例えば、Journal of Mass Spectrometry, 2011, vol46, 9, 933-942に記載の方法が挙げられる。 一般式(3)で表される化合物の具体例としては、例えば、(3aR,4R,7S,8aR)−2,2−ジメチル−6−オキソヘキサヒドロ−4,7−メタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−c]オキセピン−7−イル 3−(3,4−ビス(アリルオキシ)フェニル)アクリラートが挙げられる。(一般式(4)) 一般式(4)で表される化合物は、上述した一般式(3)で表される化合物のラクトン環部に反応する化合物である。 一般式(4)中、R1aは、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基または置換基を有してもよいアルC1−6アルキル基を示す。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、メチル基、エチル基、イソプロピル基およびアリル基が好ましく、メチル基がより好ましい。 一般式(4)で表される化合物としては、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールおよびアリルアルコールが好ましく挙げられ、メタノール、エタノールおよびアリルアルコールがより好ましく、メタノールが最も好ましい。(工程の手順) 一般式(1a)で表される化合物は、一般式(3)で表される化合物と、一般式(4)で表される化合物とを反応させることにより製造することができる。 なかでも、得られる一般式(1a)で表される化合物の収率がより優れる点で、塩基の存在下で上記反応を実施することが好ましい。使用される塩基の種類は特に制限されず、いわゆる弱塩基が好ましい。塩基としては、金属アルコキシド、有機塩基および無機塩基が好適に挙げられ、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素ナトリウムが好ましく、炭酸水素ナトリウムがより好ましい。 塩基の使用量は、一般式(1a)で表される化合物の収率がより優れる点で、一般式(3)で表される化合物に対して、0.1〜10倍モルが好ましく、0.5〜1.5倍モルがより好ましい。 本工程は、上述した一般式(4)で表される化合物を溶媒として使用してもよいし、他の溶媒を使用してもよい。 他の溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に制限されないが、例えば、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、ニトリル類、アミド類、スルホキシド類、芳香族炭化水素類および水が挙げられ、これらの溶媒は混合して使用してもよい。 溶媒の使用量は特に制限されないが、一般式(3)で表される化合物に対して、1〜200倍量(v/w)であればよい。 本工程の反応温度は特に制限されないが、一般式(1a)で表される化合物の収率がより優れる点で、−20〜100℃が好ましく、0〜40℃がより好ましい。 反応時間は特に制限されないが、生産性および収率のバランスの点で、10分間〜12時間が好ましく、30分間〜4時間がより好ましい。 なお、上記反応終了後、必要に応じて、生成物である一般式(1a)で表される化合物と不純物(未反応原料、副生成物、など)との分離精製を実施してもよい。分離精製は常法により行えばよく、例えば、有機溶媒を用いた抽出操作、再結晶、貧溶媒を用いた晶析またはシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーなどが挙げられる。 なお、本明細書では、以後、上記処理を単に「分離精製処理」と称する。 また、一般式(1a)で表される化合物は、単離せずに、そのまま次の反応に使用してもよい。[工程Y] 工程Yは、一般式(1a)で表される化合物を脱保護することにより、一般式(1b)で表される化合物を得る工程である。本工程で実施される脱保護は、R2aおよびR3aを脱保護(除去)することを意図する。 脱保護の方法は特に制限されず、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、24〜363頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載された方法に準じて行えばよい。 好ましい脱保護の方法としては、陽イオン交換樹脂(好ましくは、強酸性陽イオン交換樹脂)を用いる方法または酸を用いる方法が挙げられる。 使用される陽イオン交換樹脂としては、例えば、Dowex50−W(H+)、ダイヤイオンSK104(H+)およびアンバーリスト15DRYが挙げられ、Dowex50−W(H+)が好ましい。 使用される酸としては、例えば、硫酸;メタンスルホン酸およびトリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸類;酢酸およびトリフルオロ酢酸等のカルボン酸類;ならびに塩化水素(HCl)等が挙げられ、硫酸、メタンスルホン酸および塩化水素が好ましく、硫酸および塩化水素がより好ましい。 本工程では必要に応じて溶媒が使用され、使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に制限されないが、例えば、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、アミド類、スルホキシド類、芳香族炭化水素類および水が挙げられ、これらの溶媒は混合して使用してもよい。 好ましい溶媒としては、アルコール類が挙げられ、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールまたはアリルアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、アリルアルコールがより好ましく、メタノールが最も好ましい。 溶媒の使用量は特に制限されないが、一般式(1a)で表される化合物に対して、1〜200倍量(v/w)であることが好ましい。 反応温度は特に制限されないが、一般式(1b)で表される化合物の収率がより優れる点で、−20〜100℃が好ましく、0〜50℃がより好ましい。 反応時間は特に制限されないが、生産性および収率のバランスの点で、10分間〜12時間が好ましく、30分間〜6時間がより好ましい。 なお、上記反応終了後、必要に応じて、上記分離精製処理を実施してもよい。また、一般式(1b)で表される化合物を単離せずに、そのまま次の反応に使用してもよい。[工程Z] 工程Zは、一般式(1b)で表される化合物と一般式(5)で表される化合物とを反応させて、一般式(1c)で表される化合物を得る工程である。 以下では、まず、本工程で使用される一般式(5)で表される化合物について詳述し、その後、本工程の手順について詳述する。(一般式(5)で表される化合物) 一般式(5)で表される化合物は、一般式(1b)で表される化合物と反応する化合物であり、より具体的には、一般式(1b)で表される化合物中のヒドロキシル基と反応する。 式中、X1は、ヒドロキシル基または脱離基を示す。脱離基としては、反応がより効率的に進行する点で、ハロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。 RaおよびRbの定義は、上述した通りである。 一般式(5)で表される化合物としては、例えば、(E)−3−(3,4−ビス(アリルオキシ)フェニル)アクリロイルクロリドが挙げられる。(工程の手順) 一般式(1b)で表される化合物と一般式(5)で表される化合物とを反応させる手順としては、公知の方法を採用することができる。 例えば、塩基の存在下にて、上記一般式(1b)で表される化合物と一般式(5)で表される化合物とを反応させることが好ましい。 塩基としては、例えば、有機塩基が挙げられ、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、およびN−メチルイミダゾールが好ましく、ピリジンがより好ましい。 塩基の使用量は特に制限されないが、一般式(1b)で表される化合物に対して、1〜30倍モルが好ましく、3〜10倍モルがより好ましい。 本工程では必要に応じて溶媒が使用され、使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に制限されないが、例えば、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、ニトリル類、アミド類、スルホキシド類、芳香族炭化水素類および水が挙げられ、これらの溶媒は混合して使用してもよい。 好ましい溶媒としては、ハロゲン化炭化水素類およびニトリル類が挙げられ、アセトニトリルおよび塩化メチレンが好ましく、塩化メチレンがより好ましい。 溶媒の使用量は特に制限されないが、一般式(1b)で表される化合物に対して、1〜200倍量(v/w)が好ましい。 反応温度は特に制限されないが、一般式(1c)で表される化合物の収率がより優れる点で、−30〜120℃が好ましく、−15〜80℃がより好ましい。 反応時間は特に制限されないが、生産性および収率のバランスの点で、10分間〜12時間が好ましく、30分間〜6時間がより好ましい。 なお、上記工程では、X1がヒドロキシル基の場合、必要に応じて、公知の縮合剤を使用することができ、例えば、(O)−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨウ化物、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリン塩化物および((ベンゾトリアゾール−1−イル)オキシ)(トリスピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファートなどが挙げられる。 また、本工程では、上述した方法と別の方法として、一般式(5)で表される化合物を酸ハライドと反応させて混合酸無水物に変換した後、塩基の存在下、一般式(1b)で表される化合物と反応させることによって、一般式(1c)で表される化合物を製造することもできる。 使用される酸ハライドとしては、例えば、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチルおよびクロロギ酸トリクロロエチルなどのクロロギ酸エステル類が挙げられる。 この反応は、例えば、ブルース「有機化学」第5版(下)795〜849頁、2009年、化学同人社に記載された方法に準じて行えばよい。 なお、上記反応終了後、必要に応じて、上記分離精製処理を実施してもよい。[工程V] 工程Vは、一般式(1c)で表される化合物を脱保護することにより、一般式(1d)で表される化合物を得る工程である。本工程で実施される脱保護は、R1aを脱保護(除去)することを意図する。 脱保護の方法は特に制限されず、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、538〜616頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載された方法に準じて行えばよい。 好ましい脱保護の方法としては、求核剤を用いる方法(方法M1)が挙げられる。(方法M1:求核剤を用いる方法) 本方法に使用される求核剤としては特に制限されないが、例えば、塩化リチウム、塩化リチウム/臭化ナトリウム、塩化リチウム/臭化カリウム、塩化リチウム/ヨウ化ナトリウム、塩化リチウム/ヨウ化カリウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化トリメチルシリル、塩化トリメチルシリル/ヨウ化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ナトリウムドデシルチオラート、ナトリウムヘキサデシルチオラートおよびジナトリウムチオグリコラートが挙げられ、塩化リチウム、塩化リチウム/臭化ナトリウム、塩化リチウム/臭化カリウム、塩化リチウム/ヨウ化ナトリウム、塩化リチウム/ヨウ化カリウム、臭化リチウムおよびヨウ化リチウムが好ましく、塩化リチウム/臭化ナトリウム、塩化リチウム/ヨウ化ナトリウム、臭化リチウムおよびヨウ化リチウムがより好ましい。 求核剤の使用量は、一般式(1c)で表される化合物に対して、2〜100倍モル(v/w)が好ましく、10〜50倍モル(v/w)がより好ましい。 本方法には、必要に応じて、溶媒が使用されてもよい。 使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に制限されないが、例えば、ニトリル類、アミド類、尿素類およびピリジン類が挙げられ、これらの溶媒は混合して使用してもよい。好ましい溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ピコリン、ルチジンおよびコリジンが挙げられる。 溶媒の使用量は特に制限されないが、一般式(1c)で表される化合物に対して、2〜100倍量(v/w)が好ましく、5〜60倍量(v/w)がより好ましい。 本方法における反応条件は特に限定されず、使用される化合物に応じて最適な条件が選択される。なかでも、反応温度は、反応がより効率よく進行する点で、20〜180℃が好ましく、60〜150℃がより好ましい。反応時間は、生産性および収率のバランスの点で、10分間〜12時間が好ましく、30分間〜5時間がより好ましい。 なお、上記反応終了後、必要に応じて、上記分離精製処理を実施してもよい。(工程W) 工程Wは、一般式(1d)で表される化合物を脱保護することにより、1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸を得る工程である。本工程で実施される脱保護は、RaおよびRbを脱保護(除去)することを意図する。 脱保護の方法は、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、367〜430頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載された方法に準じて行えばよい。 好ましい脱保護の方法としては、前述の求核剤を用いる方法(方法M1)およびパラジウム触媒を用いる方法(方法M2)が挙げられる。(方法M2:パラジウム触媒を用いる方法) 本方法に使用されるパラジウム触媒としては特に制限されないが、例えば、酢酸パラジウム、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ジクロロジトリフェニルホスフィンパラジウムおよびPd−Cが挙げられ、酢酸パラジウムおよびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムが好ましく、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムがより好ましい。 パラジウム触媒の使用量は、一般式(1d)で表される化合物に対して、0.01〜2倍モルが好ましく、0.1〜1倍モルがより好ましい。 本工程では、必要に応じて、溶媒が使用されてもよい。 使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に制限されないが、例えば、水、アルコール類、エーテル類、ニトリル類、アミド類およびピリジン類が挙げられ、これらの溶媒は混合して使用してもよい。好ましい溶媒としては、メタノール、エタノール、水、テトラヒドロフランおよびジオキサンが好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。 溶媒の使用量は特に制限されないが、一般式(1d)で表される化合物に対して、2〜100倍量(v/w)が好ましく、5〜60倍量(v/w)がより好ましい。 本工程には、求核種を存在させることが好ましい。求核種としては、水、アルコール類および2級アミン類などが挙げられる。求核種としては、水、メタノール、モルホリン、ジエチルアミンおよびピペジリンが好ましく、モルホリンがより好ましい。 求核種の使用量は特に制限されないが、一般式(1d)で表される化合物に対して、2〜100倍モルが好ましく、10〜80倍モルがより好ましい。 本方法における反応条件は特に限定されず、使用される化合物に応じて最適な条件が選択される。なかでも、反応温度は、反応がより効率よく進行する点で、20〜180℃が好ましく、10〜50℃がより好ましい。反応時間は、生産性および収率のバランスの点で、10分間〜12時間が好ましく、30分間〜5時間がより好ましい。 上記の製造法によって得られる化合物(1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸)は、抽出、晶出、蒸留またはカラムクロマトグラフィーなどの通常の方法によって、単離精製することができる。 上記の製造法によって得られる化合物に、結晶多形、水和物または溶媒和物が存在する場合、本発明は、すべての結晶形、水和物または溶媒和物を使用することができる。<第2実施態様> 上述した第1実施態様では、工程Xおよび工程Yにおいて、一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物との反応と、脱保護とを別々に実施したが、本発明の製造方法の他の好適態様として、上述した工程Xおよび工程Yの代わりに、一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物との反応、および、脱保護を同時に実施してもよい。 より具体的には、酸の存在下、一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物との反応、および、脱保護を実施することにより、一般式(1b)で表される化合物を得る工程を実施してもよい。 使用される酸の種類は特に制限されないが、例えば、硫酸;メタンスルホン酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸類;酢酸およびトリフルオロ酢酸等のカルボン酸類;ならびに塩化水素(HCl)等が挙げられ、硫酸、メタンスルホン酸、塩化水素が好ましく、硫酸および塩化水素がより好ましい。 本工程では必要に応じて溶媒が使用され、使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に制限されないが、例えば、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、アミド類、スルホキシド類、芳香族炭化水素類および水が挙げられ、これらの溶媒は混合して使用してもよい。 溶媒の使用量は特に制限されないが、一般式(3)で表される化合物に対して、1〜200倍量(v/w)であることが好ましい。 反応温度は特に制限されないが、一般式(1b)で表される化合物の収率がより優れる点で、−20〜100℃が好ましく、0〜50℃がより好ましい。 反応時間は特に制限されないが、生産性および収率のバランスの点で、10分間〜12時間が好ましく、30分間〜6時間がより好ましい。 なお、上記反応終了後、必要に応じて、上記分離精製処理を実施してもよい。また、一般式(1b)で表される化合物を単離せずに、そのまま次の反応に使用してもよい。 なお、一般式(1b)で表される化合物の収率の点では、上記第1実施態様のほうが好ましい。<第3実施態様> 上述した第1実施態様では、工程Vおよび工程Wにおいて、R1aの脱保護と、RaおよびRbの脱保護とを別々に実施していたが、R1a、RaおよびRbの種類によっては、上述した工程Vおよび工程Wの代わりに、R1a、RaおよびRbの脱保護を同時に実施して、一般式(1c)で表される化合物から1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸を製造してもよい。 例えば、R1a、RaおよびRbがアリル基の場合、上述した方法によりR1a、RaおよびRbの脱保護を同時に実施することができる。<中間体化合物> 上述した製造方法においては、以下一般式(1)で表される化合物またはその塩が中間体化合物として好適に使用できる。 式中、RaおよびRbの定義は、上述の通りである。RaおよびRbの好適態様として、アリル基が挙げられる。 R1、R2、R3およびR4は、次の(1)〜(3)のいずれかを示す。(1)R1は、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基または置換基を有してもよいアルC1−6アルキル基を示し;R2およびR3は、同一または異なって、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基、置換基を有してもよいアルC1−6アルキル基または置換基を有してもよいC1−6アルコキシカルボニル基を示し;または、R2およびR3は、一緒になって、置換基を有するメチレン基を示し;R4は、水素原子を示す。(2)R1は、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基または置換基を有してもよいアルC1−6アルキル基を示し;R2、R3およびR4は、水素原子を示す。(3)R1は、水素原子を示し;R2、R3およびR4は、一般式(2)(式中、*は、結合位置を示し;RaおよびRbは、上記と同様な意味を有する。)で表される基を示す。 上記(1)の態様は一般式(1a)で表される化合物に該当し、上記(2)の態様は一般式(1b)で表される化合物に該当し、上記(3)の態様は一般式(1d)で表される化合物に該当する。 上記(1)の態様において、R1としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基およびアリル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R2およびR3としては、一緒になって、ジメチルメチレン基を示すことが好ましい。 上記(2)の態様において、R1としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基およびアリル基が好ましく、メチル基がより好ましい。 上記(3)の態様において、一般式(2)中のRaおよびRbはアリル基、4−メトキシベンジル基、メトキシカルボニル基、トリクロロエトキシカルボニル基およびメトキシメチル基が好ましく、アリル基がより好ましい。より具体的には、R1が水素原子であり、R2、R3およびR4が、式(2a)で表される基であることが好ましい。 一般式(1)で表される化合物またはその塩の具体例を以下に示す。 表中、*は結合位置を示し;Phはフェニル基を示す。 以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって、何ら限定されるものではない。 1H NMRは、Avance400(Bruker)で測定を行った。ケミカルシフトは、内部標準物質として使用したTMS(テトラメチルシラン)を0ppmとした場合の値である。本文中、s=singlet,d=doublet,t=triplet,q=quartetで表される多重度を示し、またbr=broad(幅広いピーク形状)を示す。 溶離液における混合比は、容量比である。なお、「メタノール/水=60/40〜80/20」は、「メタノール:水=60:40」の溶離液を「メタノール:水=80:20」の溶離液へ変化させたことを意味する。 各実施例において各略号は、以下の意味を有する。Ac:アセチルMe:メチル<実施例1>(工程Xおよび工程Y) 上記化合物1は、Journal of Mass Spectrometry, 2011, vol46, 9, 933-942を参照して合成した。 化合物1(0.60g)、メタノール(70mL)および炭酸水素ナトリウム(0.13g)の混合物を室温で4時間攪拌した。反応混合物をサンプリングして1H NMR測定を行い、化合物2が生成していることを確認した。反応混合物にイオン交換樹脂(DOWEX、50WX2(100−200mesh)、ダウケミカル社)をpH4になるまで加えた。不溶物を濾去し、減圧下で溶媒を留去し、化合物3(0.59g)を得た。 化合物2の1H NMR測定結果を以下に示す。1H-NMR(400MHz, CDCl3): d7.62(d, J=15.9z, 1H), 7.06(brs, 2H), 6.87(d, J=8.7Hz, 1H), 6.26(d, J=15.9Hz, 1H), 6.15-6.03(m, 2H), 5.43(dq, J=1.5, 3.0, 17.3Hz, 2H), 5.31(dt, J=1.5, 10.5Hz, 2H), 4.67-4.62(m, 4H), 4.50-4.45(m, 1H), 4.14-4.07(m, 1H), 4.02(t, J=5.70Hz, 1H), 2.75-2.64(m, 1H), 2.60(d, J=3.0Hz, 1H), 2.40-2.28(m, 2H), 2.20(dd, J=9.4, 14.2Hz, 1H), 1.48(s, 3H), 1.36(s, 3H) 化合物3の1H NMR測定結果を以下に示す。1H-NMR(400MHz, methanol-d4): d7.60(d, J=15.9Hz, d), 7.22(d, J=1.9Hz, 1H), 7.15(dd, J=1.9, 8.4Hz, 1H),6.98(d, J=8.4Hz, 1H), 6.37(d, J=15.9Hz, 1H), 6.15-6.04(m, 2H), 5.43(dq, J=1.2, 2.8, 17.3Hz, 1H), 5.27(d, J=10.0Hz, 1H), 4.65-4.60(m, 4H), 4.22-4.14(m, 1H), 4.09-4.02(m, 1H), 3.70(s, 3H), 3.48(dd, J=4.5, 11.6Hz, 1H), 2.47-2.36(m, 2H), 2.29(ddd, J=3.4, 14.6, 14.6Hz, 1H), 1.86(dd, J=9.2, 14.8Hz, 1H)(工程Z) 窒素雰囲気下、化合物3(0.59g)、ピリジン(0.65mL)および塩化メチレン(15mL)の混合物に、3,4−ジ−O−アリルカフェオイルクロリド(1.46g)を−5〜0℃で添加し、同温度で1時間攪拌した。反応混合物にさらに3,4−ジ−O−アリルカフェオイルクロリド(0.37g)を−5〜0℃で加え、同温度で1時間攪拌した。反応混合物にさらに3,4−ジ−O−アリルカフェオイルクロリド(0.37g)を−5〜0℃で加え、室温まで昇温した。反応混合物を0℃まで、冷却し、酢酸エチルおよび1mol/L塩酸を加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル60N(球状、中性)(関東化学社);溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=10/90)で精製し、無色アモルファス状の化合物4(1.26g)を得た。 化合物4の1H NMR測定結果を以下に示す。1H-NMR(400MHz, CDCl3): d7.64(d, J=16.0Hz, 1H), 7.59(d, J=16.0Hz, 1H), 7.54(d, J=16.1Hz, 1H), 7.53(d, J=15.9Hz, 1H), 7.10-6.65(m, 11H), 6.53(d, J=8.4Hz, 1H), 6.35(d, J=15.9Hz, 1H), 6.23(d, J=16.0Hz, 1H), 6.18(d, J=15.9Hz, 2H), 6.15-5.85(m, 9H), 5.80-5.73(m, 1H), 5.50-5.20(m, 17H), 4.70-4.30(m, 16H), 3.76(s, 3H), 3.02(d, J=16.5Hz, 1H), 2.85(d, J=13.2Hz, 1H), 2.48(dd, J=3.5, 17.4Hz, 1H), 2.10(t, J=11.6Hz, 1H)(工程V) 窒素雰囲気下、化合物4(1.20g)、ピリジン(40mL)およびヨウ化リチウム(6.83g)の混合物を110℃で、4時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却後、酢酸エチル(200mL)および濃塩酸(100mL)を加えた。有機層を分取し、水層を酢酸エチル50mLで2回抽出した。有機層および抽出液を併せ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(充填剤:CHROMATOREX(SO3H)(富士シリシア化学社)、溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=5/6)で精製し、淡褐色固体の化合物5(1.06g)を得た。 化合物5の1H NMR測定結果を以下に示す。1H-NMR(400MHz, CDCl3): d7.66(d, J=15.9Hz, 1H), 7.59(d, J=15.9Hz, 1H), 7.59(d, J=15.9Hz, 1H), 7.54(d, J=15.9Hz, 1H), 7.08-6.90(m, 6H), 6.87-6.76(m, 3H), 6.72-6.68(m, 2H), 6.53(d, J=8.4Hz, 1H), 6.36(d, J=16.0Hz, 1H), 6.23(d, J=15.9Hz, 1H), 6.181(d, J=15.9Hz, 1H), 6.178(d, J=15.9Hz, 1H), 6.13-5.87(m, 9H), 5.80-5.70(m, 1H), 5.50-5.20(m, 17H), 4.68-4.30(m, 16H), 3.15-3.03(m, 1H), 2.95-2.85(m, 1H), 2.48(dd, J=3.0, 16.0Hz, 1H), 2.15(dd, J=11.6Hz, 13.3Hz, 1H)(工程W) 窒素雰囲気下、化合物5(1.0g)、テトラヒドロフラン(50mL)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.10g)およびモルホリン(6.0mL)の混合物を室温で1時間30分攪拌した。反応混合物に酢酸エチルおよび1mol/L塩酸を加えた。有機層を分取し、水層を酢酸エチルで2回抽出した。有機層および抽出液を併せ、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(充填剤:CHP20/P120(三菱化学社)、溶離液:メタノール/水=60/40〜80/20)で精製し、淡黄色固体の1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸(0.65g)を得た。 1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸の1H NMR測定結果を以下に示す。1H-NMR(400MHz, methanol-d4): d7.65(d, J=15.9Hz, 1H), 7.58(d, J=15.8Hz, 1H), 7.49(d, J=15.8Hz, 1H), 7.47(d, J=15.8Hz, 1H), 7.07(d, J=2.0Hz, 1H), 7.01(d, J=2.0Hz, 1H), 6.97-6.87(m, 3H), 6.83-6.72(m, 4H), 6.66(d, J=8.2Hz, 1H), 6.58(dd, J=2.0, 8.3Hz, 1H), 6.50(d, J=8.2Hz, 1H), 6.37(d, J=15.9Hz, 1H), 6.24(d, J=15.9Hz, 1H), 6.149(d, J=15.9Hz, 1H), 6.145(d, J=15.8Hz, 1H), 5.86(ddd, J=4.3, 10.7, 10.7Hz, 1H), 5.72(dd, J=3.4, 6.8Hz, 1H), 5.35(dd, J=3.6, 10.1Hz, 1H), 3.00-2.90(m, 1H), 2.77-2.67(m, 1H), 2.60(dd, J=3.2, 16.2Hz, 1H), 2.18(dd, J=1.6, 11.6Hz, 1H)<比較例1> キナ酸メチル(R−0)(0.50g)、塩化メチレン(20mL)およびピリジン(1.15mL)の混合物を−5℃まで冷却し、攪拌しながら、3,4−ジ−O−アセチルカフェ酸クロリド(2.87g)を加え、室温まで昇温した。そのまま室温で1晩放置後、1mol/L塩酸20mL、酢酸エチル40Lを加え、分液を行った。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、溶媒を留去し、残渣3.57gを得た。この残渣の1H NMR測定の結果から、主生成物は、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸メチル誘導体(R−1)であった。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=1/3)で精製し、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸メチル誘導体(R−1)を得た。得られた3,4,5−トリカフェオイルキナ酸メチル誘導体(R−1)200mg、1,2−ジクロロエタン(5mL)、ピリジン(50μL)および4−ジメチルアミノピリジン(8mg)の混合物に、室温で攪拌しながら、3,4−ジ−O−アセチルカフェ酸クロリド(150mg)を加え、80℃で4時間攪拌した。反応液の一部を取って、1H NMR測定を行ったところ、1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸メチル誘導体(R−2)の収率は5%以下であった。 この結果は、キナ酸の1位のヒドロキシル基に保護されたカフェオイル基を導入した後、3,4,5位のヒドロキシル基に保護されたカフェオイル基を導入する方法が、1,3,4,5位のヒドロキシル基に同時に保護されたカフェオイル基を導入する方法より優れていることを明らかに示している。 一般式(1)(式中、RaおよびRbは、同一または異なって、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基、置換基を有してもよいアルC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC1−6アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基または置換基を有してもよいアシル基を示し;または、RaおよびRbは、一緒になって、置換基を有するメチレン基を示し;R1、R2、R3およびR4は、次の(1)〜(3)を示す。(1)R1は、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基または置換基を有してもよいアルC1−6アルキル基を示し;R2およびR3は、同一または異なって、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基、置換基を有してもよいアルC1−6アルキル基または置換基を有してもよいC1−6アルコキシカルボニル基を示し;または、R2およびR3は、一緒になって、置換基を有するメチレン基を示し;R4は、水素原子を示す。(2)R1は、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基または置換基を有してもよいアルC1−6アルキル基を示し;R2、R3およびR4は、水素原子を示す。(3)R1は、水素原子を示し;R2、R3およびR4は、一般式(2)(式中、*は、結合位置を示し;RaおよびRbは、前記と同様な意味を有する。)で表される基を示す。)で表される化合物またはその塩。 RaおよびRbが、アリル基である、請求項1に記載の化合物またはその塩。 R1が、メチル基であり;R2およびR3が、一緒になって、ジメチルメチレン基であり;R4が、水素原子である、請求項1または2に記載の化合物またはその塩。 R1が、メチル基であり;R2、R3およびR4が、水素原子である、請求項1または2に記載の化合物またはその塩。 R1が、水素原子であり;R2、R3およびR4が、式(2a)(式中、*は、結合位置を示す。)で表される基である、請求項1または2に記載の化合物またはその塩。一般式(1b)(式中、RaおよびRbは、同一または異なって、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基、置換基を有してもよいアルC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC1−6アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基または置換基を有してもよいアシル基を示し;または、RaおよびRbは、一緒になって、置換基を有するメチレン基を示し;R1aは、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基または置換基を有してもよいアルC1−6アルキル基を示す。)で表される化合物を、一般式(5)(式中、X1は、ヒドロキシル基または脱離基を示し;RaおよびRbは、前記と同様な意味を有する。)で表される化合物と反応させ、一般式(1c)(式中、Ra、RbおよびR1aは、前記と同様な意味を有する。)で表される化合物を得た後、得られた化合物を脱保護することにより、1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸を製造する工程1を有する、1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸の製造方法。 一般式(3)(式中、RaおよびRbは、同一または異なって、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基、置換基を有してもよいアルC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC1−6アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基または置換基を有してもよいアシル基を示し;または、RaおよびRbは、一緒になって、置換基を有するメチレン基を示し;R2aおよびR3aは、同一または異なって、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基、置換基を有してもよいアルC1−6アルキル基または置換基を有してもよいC1−6アルコキシカルボニル基を示し;または、R2aおよびR3aは、一緒になって、置換基を有するメチレン基を示す。)で表される化合物と、一般式(4)(式中、R1aは、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基または置換基を有してもよいアルC1−6アルキル基を示す。)で表される化合物との反応、および、脱保護を実施して、一般式(1b)(式中、Ra、RbおよびR1aは、前記と同様な意味を有する。)で表される化合物を得る工程2を、前記工程1の前に有する、請求項6に記載の製造方法。 前記工程2が、 一般式(3)(式中、RaおよびRbは、同一または異なって、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基、置換基を有してもよいアルC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC1−6アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基または置換基を有してもよいアシル基を示し;または、RaおよびRbは、一緒になって、置換基を有してもよいメチレン基を示し;R2aおよびR3aは、同一または異なって、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基、置換基を有してもよいアルC1−6アルキル基または置換基を有してもよいC1−6アルコキシカルボニル基を示し;または、R2aおよびR3aは、一緒になって、置換基を有するメチレン基を示す。)で表される化合物を、一般式(4)(式中、R1aは、置換基を有してもよいC1−6アルキル基、置換基を有してもよいC2−6アルケニル基または置換基を有してもよいアルC1−6アルキル基を示す。)で表される化合物と反応させ、一般式(1a)(式中、Ra、Rb、R1a、R2aおよびR3aは、前記と同様な意味を有する。)で表される化合物を得た後、得られた化合物を脱保護し、一般式(1b)(式中、Ra、RbおよびR1aは、前記と同様な意味を有する。)で表される化合物を得る工程である、請求項7に記載の製造方法。 R1aが、メチル基である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の製造方法。 RaおよびRbが、アリル基である、請求項6〜9のいずれか1項に記載の製造方法。 【課題】簡便な操作で、収率良く、人体に対して安全に、1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸を製造できる、1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸の製造方法を提供する。【解決手段】一般式(1b)で表される化合物を、一般式(5)で表される化合物と反応させ、一般式(1c)で表される化合物を得た後、得られた化合物を脱保護することにより、1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸を製造する工程1を有する、1,3,4,5−テトラカフェオイルキナ酸の製造方法。【選択図】なし


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