生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_精製ウイルス液の製造方法およびウイルス検出方法
出願番号:2014075358
年次:2015
IPC分類:C12N 7/02,C12Q 1/70


特許情報キャッシュ

中熊 大英 JP 2015195756 公開特許公報(A) 20151109 2014075358 20140401 精製ウイルス液の製造方法およびウイルス検出方法 DIC株式会社 000002886 河野 通洋 100124970 中熊 大英 C12N 7/02 20060101AFI20151013BHJP C12Q 1/70 20060101ALI20151013BHJP JPC12N7/02C12Q1/70 7 2 OL 25 4B063 4B065 4B063QA01 4B063QA19 4B063QQ10 4B063QR62 4B063QR83 4B063QR90 4B063QS12 4B063QS20 4B063QS25 4B065AA95X 4B065AA98X 4B065BD14 4B065CA46 本発明は、精製ウイルス液の製造方法およびウイルス検出方法に関する。 近年、安全志向の高まりから、我々を取り巻く環境に対する安全性を担保することが重要視されている。特に、河川水や海水といった環境水、水道水等が各種ウイルスによって汚染されると、近隣住民への感染が爆発的に拡大し、甚大な健康被害を生じる虞がある。このため、環境水等のウイルス汚染を恒常的に監視することは、人々の安全安心を維持していく上で非常に重要である。このようなウイルス汚染の恒常的な監視を実現するためには、簡便で正確にウイルスを検出、定量等できる方法を確立することが必要となる。 しかしながら、環境水等の試料中に含有されるウイルス量は微量であり、また、当該試料中には数多くの夾雑物が含まれていることから、環境水等から入手した試料からウイルスを検出することは容易ではない。 これに対し、ウイルス量が微量である点に対しては、従来、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)やリガーゼ連鎖反応(LCR)等によりウイルスの核酸を増幅することで、試料中のウイルスの検出等を行うことが可能となることが知られている。例えば、核酸増幅検査(NAT)法は、ウイルスに含まれる核酸を人工的に増幅して高感度に検出する方法である。NAT法においては、ウイルスに特異なプライマーを利用した検出、ウイルス核酸を増幅させた後にハイブリダイゼーションを利用する検出等が行われる。 一方、試料中に含有される夾雑物に対しては、当該夾雑物がPCR反応を阻害しうることから、一般に、試料から夾雑物を分離して精製することが行われる。例えば、特許文献1には、夾雑物を吸着させて試料を精製する方法が記載されている。より詳細には、特許文献1には、細孔容積が0.2〜2.5ml/g、比表面積が20〜900m2/g、平均細孔径が1〜1000nmであるシリカゲルを含むノロウイルス検出用材料に係る発明が記載されている。特許文献1によれば、ノロウイルスおよびPCR反応を阻害する夾雑物を含む試料に対し、試料中の夾雑物の吸着に適した特定のシリカゲルを用いて試料を精製することにより、ノロウイルスの検出率を5倍以上に高めることができることが記載されている。 ところで、環境水等の中には、一般に、夾雑物として腐植物質の一種であるフミン質が含有される。フミン質とは、植物残渣や微生物、プランクトンの遺骸が微生物による分解を受け、その分解生成物から化学的、生物的に合成された高分子有機酸の混合物である。この際、フミン質は、動植物由来物質であることから、土壌・海水・河川湖沼水や排水・廃棄物等の環境中のあらゆる場所に存在する。当該フミン質は、一般に、アルカリ溶液に可溶であるが、酸性溶液では沈殿を形成するフミン酸;どのpHでも可溶な性質を有するフルボ酸;およびアルカリに不溶なヒューミン(またはフムス質)に分類される。特開2011−155919号公報 環境水等から入手した試料中のウイルスを検出するに際し、試料に含有される夾雑物を分離する場合において、夾雑物のうち、特にフミン質の1種であるフミン酸については、例えば、特許文献1に記載のノロウイルス検出用材料を適用したとしても、ウイルスとの分離が困難であることが判明した。その結果、残存するフミン酸によるPCR反応の阻害等によりウイルスの増幅を好適に行うことができず、ウイルスの検出等が困難となる。 そこで、本発明は、ウイルスおよびフミン酸を含む試料(サンプル液)から、フミン酸を選択的に分離することができる手段を提供することを目的とする。 本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、ウイルスおよびフミン酸を含むサンプル液を、カチオン性基を有する所定の粒子および負の表面電荷を有する所定の粒子に接触させることで、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。 すなわち、上記課題は、以下の手段により達成される。 1.ウイルスおよびフミン酸を含むサンプル液を、カチオン性基を有し平均粒径が1〜3000μmである粒子(A)および負の表面電荷を有し平均粒径が10〜100nmである粒子(B)に接触させることを含む、精製ウイルス液の製造方法; 2.前記粒子(A)が、カチオン性基を有するアガロースゲル、カチオン性基を有するセルロースゲル、およびカチオン性基を有するデキストランゲルからなる群から選択される少なくとも1つを含む、1に記載の製造方法; 3.前記カチオン性基が、アミノ基である、1または2に記載の製造方法; 4.前記粒子(B)が、負の表面電荷を有するポリスチレン、負の表面電荷を有するポリウレタン、負の表面電荷を有するポリアクリル、負の表面電荷を有するポリエポキシ、負の表面電荷を有するシリカ、および負の表面電荷を有するアルミナからなる群から選択される少なくとも1つを含む、1〜3のいずれか1つに記載の製造方法; 5.前記粒子(B)が、カルボキシ基、スルホン基、リン酸基、およびシラノール基からなる群から選択される少なくとも1つのアニオン性基を含む、1〜4のいずれか1つに記載の製造方法; 6.前記接触が、塩を含む溶液中で行われ、前記溶液の塩濃度が、50mM以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法; 7.1〜6のいずれか1つの方法により精製ウイルス液を製造する工程(1)と、前記精製ウイルス液中のウイルスを検出する工程(2)と、を含む、ウイルス検出方法。 本発明によれば、フミン酸およびウイルスを含むサンプル液からフミン酸を選択的に分離することができる。これにより、ウイルスの検出等を好適に行うことができる。本発明の一形態に係るサンプル液、粒子(A)、および粒子(B)の模式図である。本発明の一形態に係るサンプル液を、粒子(A)および粒子(B)に接触させた場合の模式図である。 以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。 <精製ウイルス液の製造方法> 本発明に係る精製ウイルス液の製造方法は、ウイルスおよびフミン酸を含むサンプル液を、カチオン性基を有し平均粒径が1〜3000μmである粒子(A)およびアニオン性基を有し平均粒径が10〜100nmである粒子(B)に接触させることを含む。 以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみに制限されない。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。 図1は、本発明の一形態に係るサンプル液、粒子(A)、および粒子(B)の模式図である。図1によると、本形態に係るサンプル液1は、ウイルス2およびフミン酸3を含む。この際、ウイルス2は、表面電荷として正電荷および負電荷を有する。一方、フミン酸3は、表面電荷として負電荷を有する。また、本形態に係る粒子(A)4はカチオン性基を有することから、表面電荷として正電荷を有する。この際、粒子(A)4の平均粒径は1〜3000μmである。さらに、本形態に係る粒子(B)5は負の表面電荷を有する。この際、粒子(B)5の平均粒径は10〜100nmである。 図2は、本発明の一形態に係るサンプル液を、粒子(A)および粒子(B)に接触させた場合の模式図である。図2によると、粒子(A)4は表面電荷として正電荷を有することから、表面電荷として負電荷を有するウイルス2、フミン酸3、および粒子(B)5は、粒子(A)4に吸着しうる。この際、ウイルス2は、表面電荷として正電荷をも有しうることから、フミン酸3および粒子(B)5よりも相対的に吸着しにくい傾向がある。その結果、ウイルス2は粒子(A)4に吸着されず、フミン酸3は粒子(A)4に吸着されるという状況を形成することができる。そうすると、フミン酸3の吸着後、粒径が大きく容易に分離することができる粒子(A)4をサンプル液から分離することにより、粒子(A)4に吸着されたフミン酸3(および粒子(B)5)も併せてサンプル液から分離することができる。その結果、フミン酸が除去された精製ウイルス液を得ることができる。 なお、粒子(B)5は、ウイルス2の粒子(A)4への吸着と競合し、ウイルス2の粒子(A)4への吸着を阻害することで、ウイルス2がサンプル液から除去されることを防止しており、ウイルス2の回収率の向上に寄与している。この際、粒子(B)5は、ウイルスと同程度の平均粒径を有し、仮に精製ウイルス液に残存してもRNA抽出工程で除去されるためPCR反応の阻害等を起こさない、またはほとんど起こさないことから、ウイルスの検出等に悪影響を及ぼさない。 したがって、粒子(A)4および粒子(B)5により、サンプル液からフミン酸4を選択的に除去することができる。 なお、上記ウイルス精製のメカニズムは、あくまで推定のものであり、上記メカニズム以外のメカニズムによって本発明の効果が得られる場合であっても、本発明の技術的範囲に含まれる。 以下、本発明に係る精製ウイルス液の製造方法の各構成ついて、詳細に説明する。 [サンプル液] サンプル液は、ウイルス、フミン酸、および溶媒を含む。その他、必要に応じて、塩、不純物等を含んでいてもよい。 サンプル液は、通常、河川水、湖沼水、海水、雨水等の環境水;井戸水、水道水、ボトルドウォーター等の飲料水;下水、排水、プール水、農業用水、工業用水、冷媒水等の産業用水;食品;血液等の動植物成分等の自然界から採取したものを用いる。この際、自然界のサンプルをそのままサンプル液として使用してもよいが、必要に応じて、公知の手法により採取したサンプルを適宜精製したものをサンプル液として使用してもよい。このうち、フミン酸を好適に分離する観点から、採取したサンプルを精製したものをサンプル液として使用することが好ましい。 サンプル液のpHは、3〜10であることが好ましく、4〜9であることがより好ましい。サンプル液のpHが上記範囲内であると、ウイルスへの悪影響を防止できることから好ましい。 (ウイルス) ウイルスとしては、特に制限されず、公知のウイルスが適用されうる。 ウイルスの具体例としては、2本鎖DNAウイルス、1本鎖DNAウイルス、2本鎖RNAウイルス、1本鎖RNAウイルス、1本鎖RNA逆転写ウイルス、2本鎖DNA逆転写ウイルス等が挙げられる。 前記2本鎖DNAウイルスとしては、アデノウイルス、ポドウイルス等が挙げられる。 前記1本鎖DNAウイルスとしては、パルボウイルス等が挙げられる。 前記2本鎖RNAウイルスとしては、ロタウイルス、レオウイルス等が挙げられる。 前記1本鎖RNAウイルスとしては、エンテロウイルス、A型肝炎ウイルス(HAV)、C型肝炎ウイルス(HCV)ノロウイルス、ネコカリシウイルス等のmRNAとして作用する1本鎖RNAウイルス;麻疹ウイルス、狂犬病ウイルス、マールブルグウイルス、エボラウイルス、インフルエンザウイルス等のmRNAの相補鎖として作用する1本鎖RNAウイルスが挙げられる。 前記1本鎖RNA逆転写ウイルスとしては、ヒト免疫不全ウイルス、泡沫状ウイルス等が挙げられる。 前記2本鎖DNA逆転写ウイルスとしては、B型肝炎ウイルス等が挙げられる。 これらのうち、本形態に適用されうるウイルスは、水中に存在し、ヒトに感染しうるアデノウイルス、ポリオーマウイルス、A型肝炎ウイルス(HAV)、ノロウイルス、エンテロウイルス、ポリオウイルス、E型肝炎ウイルス(HEV)、ロタウイルス、アイチウイルス、パレコウイルス、レオウイルスであることが好ましく、ノロウイルス、HAV、HEV、エンテロウイルス、ロタウイルスであることがより好ましい。 上述のウイルスは単独で適用しても、2種以上が混合されて適用されてもよい。 サンプル液中のウイルス濃度は、2×102PFU/mL以上であることが好ましく、1×103〜1×1014PFU/mLであることがより好ましい。サンプル液中のウイルス濃度が2×102PFU/mL以上であると、濃縮なしで容易にPCRを測定できることから好ましい。 (フミン酸) フミン酸は、上述のようにフミン質のうち、アルカリ溶液に可溶であるが、酸性溶液では沈殿を形成するものである。 フミン酸は、一般に芳香族環を多数有し、三次元網目状構造を形成するものが多い。なかでもフミン酸は、水酸基、カルボキシ基等の酸性基をそれぞれ1以上有するポリフェノール型カルボン酸であるものが多い。 本形態に係るフミン酸は、自然界に存在するものだけでなく、化学構造の少なくとも一部が自然界のフミン酸と異なるフミン酸誘導体であってもよい。 なお、サンプル液において、フミン酸は単独で含まれていても、2種以上が混合して含まれていてもよい。 フミン酸の構造は非常に複雑であるが、吸光度の測定により検出、評価を行うことができる。一般には、波長465nmの吸光度(E4)と、波長665nmの吸光度(E6)との比(E4/E6)によりフミン酸の検出、評価を行うことができる。なお、サンプル液に含有されたフミン酸が既知である場合、または事前に構造決定をする場合等には、そのフミン酸を検出、評価をするのに適当な波長の吸光度を測定することにより、フミン酸の検出、評価を行うこともできる。 サンプル液中のフミン酸濃度は、10000ppm以下であることが好ましく、1〜5000ppmであることがより好ましい。サンプル液中のフミン酸濃度が10000ppm以下であると、フミン酸を選択的に除去できることから好ましい。 (溶媒) 溶媒としては、採取するサンプル液または採取したサンプルを精製してサンプル液を得る工程で使用する溶媒等によっても異なるが、水および有機溶媒が挙げられる。 前記有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。 これらのうち、環境面、操作の簡便性等の観点から、用いられる溶媒成分は水であることが好ましい。 (塩) サンプル液に含有されうる塩としては、特に制限されず、公知の無機塩および有機塩が挙げられる。 前記無機塩としては、特に制限されないが、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸等の無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、アンモニウム塩等が挙げられる。より詳細には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化アンモニウム等の塩化物;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸アンモニウム等の硫化物;硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸アルミニウム、硝酸亜鉛、硝酸アンモニウム等の硝酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸化物;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のリン酸化物が挙げられる。 前記有機塩としては、有機酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。より詳細には、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム等が挙げられる。 これらのうち、塩としては、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムであることが好ましく、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムであることがより好ましく、リン酸ナトリウムであることがさらに好ましい。 上述の塩は単独で含まれていても、2種以上が混合して含まれていてもよい。 サンプル液の塩濃度は、50mM以下であることが好ましく、1〜50mMであることがより好ましく、1〜10mMであることがさらに好ましい。サンプル液の塩濃度が50mM以下であると、ウイルスとフミン酸との疎水性相互作用による凝集を防止しやすくなり、フミン酸をより選択的に分離できることから好ましい。 (不純物) 不純物は、通常、採取したサンプルに含まれているものである。当該不純物の具体例としては、V、Sr、Cd、Ce、Cr、Co、Ge、Cd、Pb等の金属成分;大腸菌、ブドウ球菌等の細菌類;クリプトスポリジウム、ジアルジア等の原虫類;カビ、酵母等の真菌類が挙げられる。これらの不純物は単独で含まれていても、2種以上が混合されて含まれていてもよい。 サンプル液中の不純物の含有量は、1000ppm以下であることが好ましく、1〜100ppmであることがより好ましく、含まれないことが最も好ましい。不純物の含有量が1000ppm以下であると、PCR反応への阻害がかかりにくいことから好ましい。 [粒子(A)] 粒子(A)は、カチオン性基を有する。粒子(A)が、カチオン性基を有することにより、主としてフミン酸を吸着し、サンプル液からフミン酸を分離することができる。なお、本明細書において、「カチオン性基」とは、pH1〜7の溶液中において、少なくとも一部がカチオン性を有する基を意味する。 また、粒子(A)の平均粒径は、1〜3000μm、好ましくは30〜1000μm、より好ましくは30〜200μmである。粒子(A)の平均粒径が1μm未満であると、サンプル液から分離することができない。一方、粒子(A)の平均粒径が3000μm超であると、所望の表面積を得るための粒子量が多くなるため、ウイルスを高収率で回収することができない。なお、本明細書において、「平均粒径」の値は、顕微鏡法によって算出された体積平均粒径の値を採用するものとする。 粒子(A)は、通常、カチオン性基を有する第1の粒子状材料を含む構成を有する。 (第1の粒子状材料) 前記第1の粒子状材料としては、特に制限されないが、アガロースゲル、セルロースゲル、デキストランゲル、ポリアクリルアミドゲル、ポリビニルゲル、グルコマンナンゲル、およびこれらの誘導体等が挙げられる。これらのうち、第1の粒子状材料としては、アガロースゲル、セルロースゲル、デキストランゲルを用いることが好ましい。すなわち、本発明の一実施形態において、粒子(A)が、カチオン性基を有するアガロースゲル、カチオン性基を有するセルロースゲル、およびカチオン性基を有するデキストランゲルからなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。 上述の第1の粒子状物質は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 第1の粒子状材料の平均粒径は、通常、粒子(A)と同様であり、好ましくは1〜3000μm、より好ましくは30〜1000μm、さらに好ましくは30〜200μmである。 (カチオン性基) カチオン性基としては、特に制限されないが、アミノ基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。 前記アミノ基は、通常、「−N(R1)2」で表される。この際、前記R1は、それぞれ独立して、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基等のC1−C12アルキル基;ビニル基、1−プロピレニル基、2−プロピレニル基、1−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基等のC2−C12アルケニル基;エチニル基、プロパルギル基等のC2−C12アルキニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のC3−C8シクロアルキル基;シクロブテニル基、シクロへキセニル基等のC3−C8シクロアルケニル基;フェニル基、ベンジル基、トシル基、ナフチル基、アントラセニル基等のC6−C20アリール基等である。この際、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基を構成する水素原子の少なくとも1つは、置換基で置換されていていてもよい。当該置換基としては、ハロゲン原子;ヒドロキシ基;チオール基;ニトロ基;スルホ基;メトキシ基、エトキシ基、プロピル基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等のアルキルカルボニル基;メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等のエステル基が挙げられる。具体的なアミノ基としては、アミノ基(−NH2)、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ビニルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、エチルプロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、クロロメチルアミノ基、ブロモエチルアミノ基、クロロプロピルアミノ基、ヒドロキシアミノ基等が挙げられる。なお、アミノ基は、通常、pH1〜9の溶液中において、少なくとも一部は窒素原子がプロトン化されてカチオン性を示しうる。 前記アンモニウム基は、通常、「−N(R2)3+」で表される。この際、前記R2は、それぞれ独立して、R1と同様である。アンモニウム基の具体例としては、トリメチルアンモニウム基、エチルジメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基等が挙げられる。 前記スルホニウム基は、通常、「−S(R4)2+」で示される。この際、前記R4は、それぞれ独立して、R1と同様である。スルホニウム基の具体例としては、ジメチルスルホニウム基、ジエチルスルホニウム基等が挙げられる。 前記ホスホニウム基は、通常、「−P(R5)4+」で示される。この際、前記R5は、それぞれ独立して、R1と同様である。ホスホニウム基の具体例としては、トリフェニルホスホニウム基等が挙げられる。 上述のカチオン性基のうち、アミノ基であることが好ましく、「−N(R1’)2」基(この際、R1’はそれぞれ独立して、水素原子、C1−C12アルキル基である)であることがより好ましく、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ヒドロキシアミノ基であることがさらに好ましく、アミノ基、ジエチルアミノ基であることが特に好ましい。 上述のカチオン性基は、粒子(A)において単独で存在していても、2種以上が存在していていもよい。 粒子(A)が有するカチオン性基のpKaとしては、7〜14であることが好ましく、9〜14であることがより好ましい。粒子(A)が有するカチオン性基のpKaが7以上であると、中性条件で粒子(A)がアニオン性を有することからサンプル溶液のpH調整が容易であるため好ましい。一方、粒子(A)が有するカチオン性基のpKaが14以下であると、カチオン性基の調製が容易であることから好ましい。なお、本明細書において、「粒子(A)が有するカチオン性基のpKa」の値は、粒子(A)を酸で滴定した際の滴定値から、ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式により算出された計算値を採用するものとする。 カチオン性基の官能基量としては、特に制限されないが、1〜3000μmol/mLであることが好ましく、5〜1500μmol/mLであることがより好ましい。カチオン性基の官能基量が1μmol/mL以上であると、フミン酸の捕集効率が高まることから好ましい。一方、カチオン性基の官能基量が3000μmol/mL以下であると、ウイルスの回収率が高まることから好ましい。なお、本明細書において、官能基量の値は、滴定法により測定された値を採用するものとする。 (介在基) 粒子(A)において、カチオン性基は、介在基を介して第1の粒子状材料に結合していてもよい。 介在基を介することにより、第1の粒子状材料に好適にカチオン性基を導入することができる。 当該介在基としては、特に制限されないが、メチレン(−CH2−)、エチレン(−CH2CH2−)等のC1−C12アルキレン;−CH2−O−CH2−、−O−CH2−CH2−、−O−CH2−CH2−CH2−、−O−CH2−CH2−CH2−CH2−、−O−C(CH3)(CH3)−CH2−CH2−等のC1〜C4アルキレンオキシ;−(CH2−O)2−、−(CH2−CH2−O)2−、−(CH2−CH2−CH2−O)2−、−(CH2−O)4−、−(CH2−CH2−O)4−、−(CH2−CH2−CH2−O)4−、−(CH2−O)10−、−(CH2−CH2−O)10−、−(CH2−CH2−CH2−O)10−、−(CH2−O)30−、−(CH2−CH2−O)30−、−(CH2−CH2−CH2−O)30−等のC1−C100ポリアルキレンオキシ;−CH2−S−CH2−、−S−CH2−CH2−、−S−CH2−CH2−CH2−、−S−CH2−CH2−CH2−CH2−、−S−C(CH3)(CH3)−CH2−CH2−等のC1−C4アルキレンチオ;−O−CH2−O−、−O−CH2−CH2−O−、−O−CH2−CH2−CH2−O−等のC1−C3アルキレンジオキシ;−S−CH2−S−、−S−CH2−CH2−S−、−S−CH2−CH2−CH2−S−等のC1−C3アルキレンジチオ;−O−CH2−NH−、−O−CH2−CH2−NH−等のC1−C2オキシアルキレンアミノ;−O−CH2−S−、−O−CH2−CH2−S−等のC1−C2オキシアルキレンチオ;−NH−CH2−CH2−、−NH−CH2−CH2−CH2−等のC2−C3アルキレンアミノ;−NH−CH2−NH−、−NH−CH2−CH2−NH−等のC1−C2アルキレンジアミノ;−S−CH2−NH−、−S−CH2−CH2−NH−等のC1−C2チオアルキレンアミノ;−CH2−CH=CH−、−CH2−CH2−CH=CH−、−CH2−CH=CH−CH2−等のC3−C6アルケニレン等が挙げられる。この際、アルキレン、アルキレンオキシ、ポリアルキレンオキシ、アルキレンチオ、アルキレンジオキシ、アルキレンジチオ、オキシアルキレンアミノ、オキシアルキレンチオ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ、チオアルキレンアミノ、アルケニレンを構成する水素原子の少なくとも1つは、上述の置換基で置換されていていてもよい。これらのうち、介在基としては、メチレン、エチレン、−CH(OH)CH2−、−CH2CH(OH)−等のアルキレンであることが好ましく、−CH(OH)CH2−であることがより好ましい。 上述の介在基は、粒子(A)中に単独で有していても、2種以上を有していてもよい。 (粒子(A)の製造方法) 粒子(A)は、第1の粒子状材料がカチオン性基を有する場合には、そのまま使用することができる。 第1の粒子状材料がカチオン性基を有さない場合には、第1の粒子状材料にカチオン性基を導入することで、粒子(A)を製造することができる。 一実施形態において、第1の粒子状材料がアガロースゲルのようなヒドロキシ基等の官能基を有する場合には、活性化剤により当該官能基を活性化し、次いでカチオン性基前駆体化合物を反応させることで、粒子(A)を製造することができる。なお、カチオン性基(a)を有する第1の粒子状材料に活性化剤、カチオン性基前駆体化合物を反応させて、前記カチオン性基(a)とは異なるカチオン性基(b)をさらに導入してもよい。これにより、2種以上のカチオン性基を有する粒子(A)を製造することができる。 前記活性化剤としては、特に制限されないが、上述の介在基を誘導する化合物であることが好ましい。当該化合物の具体例としては、例えば、エピクロロヒドリン等のハロヒドリン;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等のビスエポキシド;グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等のポリエポキシド等が挙げられる。これらの活性化剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 また、カチオン性基前駆体化合物としては、上述のカチオン性基を誘導する化合物であることが好ましい。当該化合物の具体例としては、例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ヒドロキシルアミン等が挙げられる。これらのカチオン性基前駆体化合物は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 第1の粒子状材料にカチオン性基を導入する際の反応については、特に制限はなく、適宜公知の技術により行うことができる。 [粒子(B)] 粒子(B)は、負の表面電荷を有する。粒子(B)が、負の表面電荷を有することにより、相対的に負の表面電荷を有するウイルスの粒子(A)への吸着を防止または抑制し、ウイルスの回収率を向上させることができる。なお、本明細書において、「負の表面電荷を有する」とは、負のゼータ電位を有することを意味する。なお、ゼータ電位は、電気泳動光散乱測定法によって、Smoluchowskiの式を用いることで測定することができる。 粒子(B)のゼータ電位は、好ましくは−5〜−100mV、より好ましくは−10〜−50mVである。粒子(B)のゼータ電位が−5mV以上であると、ウイルスの粒子(A)の吸着を防止しやすいため好ましい。粒子(B)のゼータ電位が−100mV以下であると、粒子(B)の調製が容易であるため好ましい。 また、粒子(B)の平均粒径は、10〜100nm、好ましくは20〜80nm、より好ましくは40〜70nmである。粒子(B)の平均粒径が10nm未満であると、溶液中で凝集しうることから、粒子(B)としての機能を発揮することができない。また、粒子(B)の平均粒径が100nm超であると、ウイルスの粒子(A)への吸着を阻害する効果が低下するため、粒子(B)としての機能を発揮することができない。 粒子(B)の平均粒径は、動的光散乱法によって測定することができる。 粒子(B)は、通常、アニオン性基を有する第2の粒子状材料を含む構成を有する。なお、本明細書において、「アニオン性基」とは、pH8〜14の溶液中において、少なくとも一部がアニオン性を有する基を意味する。アニオン性基の種類、官能基量を適宜調整することにより、粒子(B)の表面電荷を制御することができる。 (第2の粒子状材料) 第2の粒子状材料としては、特に制限されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミドポリエステル、ポリエチレンテレフタート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン、ポリアクリル、ポリエポキシ、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、シリカ、アルミナが挙げられる。これらにうち、第2の粒子状材料としては、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアクリル、ポリエポキシ、シリカ、アルミナを用いることが好ましい。すなわち、本発明の一実施形態において、粒子(B)が、アニオン性基を有するポリスチレン、アニオン性基を有するポリウレタン、アニオン性基を有するポリアクリル、アニオン性基を有するポリエポキシ、アニオン性基を有するシリカ、およびアニオン性基を有するアルミナからなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。 上述の第2の粒子状物質は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 第2の粒子状材料の平均粒径は、通常、粒子(B)と同様であり、好ましくは10〜100nm、より好ましくは20〜80nm、さらに好ましくは40〜70nmである。 (アニオン性基) アニオン性基としては、特に制限されないが、カルボキシ基、スルホン基、スルホンアミド基、リン酸基、シラノール基等が挙げられる。 前記カルボキシ基は、「−COOH」で表される。 前記スルホン基は、「−SO3H」で表される。 前記スルホンアミド基は、通常、「−SO2NR62」で表される。この際、前記R6は、それぞれ独立して、R1と同様である。スルホンアミド基の具体例としては、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基等が挙げられる。ただし、スルホンアミド基を好適にアニオン化させる観点から、R6の少なくとも1つは水素原子またはハロゲン原子であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。なお、スルホンアミド基は、通常、pH8〜14の溶液中において、少なくとも一部は前記R6が脱離(例えば、脱プロトン化)されることにより、窒素原子がアニオン性を示しうる。 前記リン酸基は、「−OP(O)(OH)2」で表される。 前記シラノール基は、「−SiOH」で表される。 上述のアニオン性基のうち、アニオン性基は、カルボキシ基、スルホン基、リン酸基、およびシラノール基からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、カルボキシ基、スルホン基であることがより好ましい。 粒子(B)が有するアニオン性基のpKaとしては、1〜7であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。粒子(B)が有するアニオン性基のpKaが1以上であると、アニオン性基の調製が容易であることから好ましい。一方、粒子(B)が有するアニオン性基のpKaが7以下であると、中性条件で粒子(B)がアニオン性を有することから、サンプルのpH調整が容易であるため好ましい。なお、本明細書において、「粒子(B)が有するアニオン性基のpKa」の値は、粒子(B)を塩基で滴定した際の滴定値から、ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式により算出された計算値を採用するものとする。 アニオン性基の官能基量としては、特に制限されないが、10〜5000μmol/mLであることが好ましく、100〜3000μmol/mLであることがより好ましい。アニオン性基の官能基量が10μmol/mL以上であると、粒子(B)の安定性が高まることから好ましい。一方、アニオン性基の官能基量が5000μmol/mL以下であると、粒子(B)の粒子径制御が容易であることから好ましい。 (介在基) 粒子(B)においても、アニオン性基は、介在基を介して第2の粒子状材料に結合していてもよい。 介在基を介することにより、第2の粒子状材料に好適にアニオン性基を導入することができる。 当該介在基としては、特に制限されないが、上述のものが挙げられる。 上述の介在基は、粒子(B)中に単独で有していても、2種以上を有していてもよい。 (粒子(B)の製造方法) 粒子(B)は、第2の粒子状材料がアニオン性基を有する場合には、そのまま使用することができる。 アニオン性基を有する第2の粒子状材料の製造法としては、乳化重合法やミニエマルション重合法、マイクロエマルション重合法、懸濁重合法といった水系での各種ラジカル重合法や、溶剤中でアニオン性基を有するアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を合成した後、水系溶媒に転相乳化させることによって製造する方法などがある。 第2の粒子状材料がアニオン性基を有さない場合には、第2の粒子状材料にアニオン性基を導入することで、粒子(B)を製造することができる。 一実施形態において、第2の粒子状材料がポリスチレンのような反応性基を有する場合には、例えば、硫酸溶液中でパラホルムアルデヒドを適量添加し、加熱することでアニオン性基であるスルホン酸基を直接導入することができる。また、別の一実施形態において、第2の粒子状材料がポリエチレンのような反応性基を有しない場合には、反応性モノマーの導入等することで、所望のアニオン性基を導入することができる。 前記反応性モノマーとしては、特に制限されないが、スチレン、グリシジルメタクリレート、スチレン、クロロメチルスチレン、アクロレイン、ビニルピリジン、アクリロニトリル等が挙げられる。これらの反応性モノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 また、第2の粒子状材料の表面にアニオン性基を有する界面活性剤を疎水性相互作用によって物理吸着させることによっても、前期アニオン性基を導入することが可能である。このようなアニオン性基を有する界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどがある。 [接触] 本発明の一形態に係る精製ウイルス液の製造方法によれば、サンプル液を、粒子(A)および粒子(B)に接触させることを含む。 接触方法は、特に制限されず、(1)サンプル液に、粒子(A)および粒子(B)を投入して接触を行ってもよいし、(2)粒子(A)を含む溶液および粒子(B)を含む溶液をそれぞれ調製し、これらをサンプル液と混合して接触を行ってもよいし、(3)粒子(A)および粒子(B)を含む混合液を調製し、これをサンプル液と混合して接触を行ってもよい。 サンプル液と、粒子(A)および粒子(B)との接触順序も特に制限されず、粒子(A)を先にサンプル液と接触させてもよいし、粒子(B)を先にサンプル液と接触させてもよいし、粒子(A)および粒子(B)を交互に接触させてもよいし、粒子(A)および粒子(B)を同時に接触させてもよい。これらのうち、サンプル液中におけるウイルスの粒子(A)への過度な吸着を防止する観点から、粒子(B)を先に接触させる方法、粒子(A)および粒子(B)を同時に接触させる方法を適用することが好ましく、粒子(A)および粒子(B)を同時に接触させる方法を適用することがより好ましい。 サンプル液を粒子(A)および粒子(B)と好適に接触させる観点から、サンプル液と、粒子(A)、粒子(B)が混合された状態で、転倒混和、撹拌、超音波処理等により、接触機会を増加させることが好ましい。 また、より簡便にサンプル液を粒子(A)および粒子(B)に接触させる観点から、粒子(A)および粒子(B)を充填したカラムに、サンプル液を通液することにより接触を行うこともできる。 サンプル液並びに粒子(A)および粒子(B)の接触時間は、30分以下であることが好ましく、1〜10分であることがより好ましい。接触時間が30分以下であると、環境水等の迅速な検査が可能となることから好ましい。 また、接触時の温度は、4〜40℃であることが好ましく、10〜30℃であることがより好ましい。接触時の温度が上記範囲にあると、ウイルスの死滅等を防止または抑制できることから好ましい。 さらに、接触時における溶媒中の塩濃度は、50mM以下であることが好ましく、1〜30mMであることがより好ましく、1〜10mMであることがさらに好ましい。溶媒における塩濃度が50mM以下であると、ウイルスとフミン酸の凝集を防止または抑制できることから好ましい。 また、接触時における溶媒中のpHは、3〜10であることが好ましく、4〜9であることがより好ましい。溶媒のpHが上記範囲にあると、ウイルスの死滅等を防止または抑制できることから好ましい。 [分離] 本発明の一実施形態において、精製ウイルス液の製造方法は、サンプル液と、粒子(A)と、粒子(B)とを接触させて得られる混合液から、少なくとも粒子(A)およびフミン酸を分離する工程を有する。これにより、混合液中からフミン酸を分離することができ、精製ウイルス液を製造することができる。 なお、前記分離においては、接触条件等に応じて、ウイルス、フミン酸、および粒子(B)の粒子(A)への吸着状態が異なることから、フミン酸とともに、ウイルス、粒子(B)の少なくとも一部が併せて混合液から分離されることがある。 分離方法としては、特に制限されず、公知の方法によって行うことができる。具体的な分離方法としては、例えば、ろ過、デカンテーション、遠心分離、上澄み液の回収等が挙げられる。 なお、必要に応じて、分離に使用した器具、分離した溶液等は、溶媒で洗浄し、得られた洗浄液を精製ウイルス液に混合してもよい。 上述の接触および分離は、2度以上繰り返してもよい。接触および分離を2度以上繰り返すことにより、さらに精製された精製ウイルス液を得ることができる。 接触および分離を2度以上行う場合には、それぞれ異なる条件、方法で接触および分離を行ってもよい。サンプル液または接触および分離によって得られた溶液中の夾雑物の種類、含有量等の状況に応じて適した接触および分離を行うことで、効率的な精製が可能となりうる。 <ウイルス検出方法> 本発明の一形態によれば、精製ウイルス液を製造する工程(1)と、前記精製ウイルス液中のウイルスを検出する工程(2)と、を含むウイルス検出方法が提供される。 [工程(1)] 工程(1)は、精製ウイルス液を製造する工程である。当該工程においては、上述の方法を適用することによりサンプル液から精製ウイルス液を製造することができる。 その他、必要に応じて、公知の精製方法をさらに組み合わせてもよい。 [工程(2)] 工程(2)は、工程(1)で得られた精製ウイルス液中のウイルスを検出する工程である。 一実施形態において、精製ウイルス液は、工程(1)で得られた精製ウイルス液は環境水等により採取されたサンプルをサンプル液として使用し、これを精製して得られたものであることから、精製ウイルス液中のウイルス量は微量である。よって、好ましい一実施形態において、工程(2)は、NAT法を適用することによりウイルスを検出することが好ましい。より詳細には、工程(2)は、好ましくは、精製ウイルス液を濃縮する濃縮工程、精製ウイルス液から核酸を抽出する抽出工程、抽出した核酸を精製する精製工程、精製した核酸を用いてウイルスを検出するウイルス検出工程を含む。なお、必要に応じて、上記工程の少なくとも1つを省略しても、公知の技術を組み合わせてもよい。 (濃縮工程) 濃縮工程は、工程(1)で得られた精製ウイルス液を濃縮し、ウイルス濃度を増加させる工程である。 濃縮方法としては、特に制限されず、公知の技術を適用することができる。例えば、陽電荷膜法、陰電荷膜法、ポリエチレングリコール沈殿法、限外ろ過法等が挙げられる。これらの技術は、単独で適用しても、2種以上を組み合わせて適用してもよい。 (抽出工程) 抽出工程としては、特に制限はなく、公知の技術が適用されうる。核酸の抽出方法の具体例としては、フェノール・クロロホルム抽出法、界面活性剤やプロテアーゼを併用した抽出法等が挙げられる。これらの技術は、単独で適用しても、2種以上を組み合わせて適用してもよい。 (精製工程) 精製工程についても特に制限はなく、例えば、液相抽出法、エタノール沈殿法、スピンカラム法等により抽出した核酸を精製することができる。これらの技術は、単独で適用しても、2種以上を組み合わせて適用してもよい。 (ウイルス検出工程) NAT法では、通常、ウイルスに特異なプライマーを利用した検出、ウイルス核酸を増幅させた後にハイブリダイゼーションを利用する検出等が行われる。 ウイルスに特異的なプライマーを利用した検出の場合、ウイルスに特異的なプライマーを用いて核酸増幅を行い、増幅が認められればウイルスが存在することが判明する。 また、ウイルス核酸を増幅させた後にハイブリダイゼーションを利用する検出の場合、核酸増幅を行い、増幅した核酸について、酵素免疫法(EIA)、蛍光抗体法(FA)、サザンブロットハイブリダイゼーション等を適用することにより、ウイルスの存在を判断することができる。 この際、上述のウイルス検出工程においては、核酸の増幅を含む。当該核酸増幅法としては、特に制限されないが、上述のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)やリガーゼ連鎖反応(LCR)を用いた方法の他、転写媒介増幅(TMA)法、鎖置換反応(LAMP)法、等温遺伝子増幅(ICAN)法、核酸配列増幅(NASBA)法等が挙げられる。 一実施形態において、工程(1)で得られた精製ウイルス液にはフミン酸が含まれていない、またはほとんど含まれていないため、ウイルス検出工程における核酸増幅が阻害されず、またはほとんど阻害されないため、結果として、好適にウイルス検出を行うことができる。 <実施例1> [工程(1)] 以下の方法により精製ウイルス液を調製した。 (サンプル液) 精製水に、フミン酸(NBRC20012)およびQβファージ(ナカライテスク株式会社)を、終濃度がそれぞれ5×1010PFU/mLおよび500ppmとなるように添加し、サンプル液(pH7)を調製した。 (粒子(A)) Sepharose 6B FF DEAE(単に「DEAE」と称する)(GE healthcare社製)を粒子(A)として準備した。DEAEの材料はアガロースゲルであり、アガロースゲルにカチオン基である−NH(C2H5)2が結合した構造を有する。なお、DEAEは、平均粒径が90μmであり、アミノ基量が135μmol/mLであり、排除限界分子量が1000kDaである。 なお、粒子(A)は、0.1M塩酸水溶液に浸漬させてアミノ基を中和させた後、十分な量の精製水で洗浄水のpHが中性になるまで洗浄した後に使用した。 (粒子(B)) SIZE STANDARD PARTICLES SC-0050-D(以下、単に「SC-0050-D」と称する)(JSR株式会社製)を粒子(B)として準備した。SC-0050-Dの材料はポリスチレンである。なお、SC-0050-Dのゼータ電位は−43.1mVであり、平均粒径は48nmである。 (サンプル液と、粒子(A)および粒子(B)との接触) 洗浄処理を行った粒子(A)であるDAEA 200μLと、粒子(B)であるSC-0050-Dの1%水溶液0.02mL(粒子(B)の添加量:200ppm)と、リン酸緩衝液(pH7.0、1mM)0.78mLと、を混合し、ボルデックスにて30秒間混合することで、混合液(pH7.0)を調製した。 得られた混合液に、サンプル液(ウイルス濃度:5×1010PFU/mL、フミン酸濃度:500ppm)0.2mLを添加し、10分間転倒混和することで接触を行った。なお、接触時のウイルス濃度は1×1010PFU/mLであり、フミン酸濃度は100ppmである。 (精製) 上記で接触させた溶液から、粒子(A)および粒子(B)を分離することで、精製ウイルス液を調製した。 より詳細には、転倒混和して得られた溶液について、粒子(A)および粒子(B)をスピンダウンし、上澄み液を回収することにより、0.8mLの精製ウイルス液を調製した。 [工程(2)] 得られた精製ウイルス液中のウイルスを検出した。 (ファージ残存率) PCR法を用いて精製前後におけるファージ残存率を求めた。 より詳細には、QIAGEN MinElute Virus Spinキット(株式会社キアゲン製)を用いてファージRNAを抽出した。次いで、Journal of Virological Methods 149(2008),p123-128に従って、プライマーおよびプローブを作製し、StepOnePlusリアルタイムPCRシステム(ライフテクノロジーズジャパン株式会社製)を用いて、抽出したRNAを測定することで精製ウイルス液中のファージ量を求めた。 得られたファージ量から、下記式により、精製ウイルス液中のファージ残存率(%)を算出した。 その結果、ファージ残存率は92%であった。 [他の評価] (ファージ残存率(希釈)) 精製ウイルス液中に残存しうるフミン酸のPCR阻害を防止する観点から、精製水を用いて精製ウイルス液を100倍に希釈して、希釈精製ウイルス液を調製した。当該希釈精製ウイルス液を用いて、上記精製ウイルス液と同様の方法で、ファージ残存率(希釈)を求めた。その結果、ファージ残存率(希釈)は87%であった。 (フミン酸除去率) 吸光度法を用いて精製前後におけるフミン酸除去率を求めた。 より詳細には、サンプル液の400nmにおける吸光度(Absサンプル)と、精製ウイルス液の400nmにおける吸光度(Abs精製ウイルス)と、を測定し、下記式により、フミン酸除去率(%)を算出した。 その結果、フミン酸除去率は93%であった。 <実施例2> 粒子(A)をcelfine−Amino(JNC株式会社製)に変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 なお、celfine−Aminoの材料はセルロースゲルであり、当該セルロースゲルは−OCH2CH(OH)CH2基を介してカチオン性基であるアミノ基(−NH2)を有している。celfine−Aminoは、平均粒径が165μmであり、アミノ基量が17.5μmol/mLである。 なお、粒子(A)は、0.1M塩酸水溶液に浸漬させてアミノ基を中和させた後、十分な量の精製水で洗浄水のpHが中性になるまで洗浄した後に使用した。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は80%であった。また、ファージ残存率(希釈)は83%であり、フミン酸除去率は88%であった。 <実施例3> 粒子(A)をEAに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 なお、EAは、Epoxy-activated Sepharose 6B (GE healthcare社製)を28%アンモニア水溶液に浸漬し、室温にて一晩振とうし、次いで、精製水で洗浄水のpHが中性になるまで洗浄することで調製したアミノ基(−NH2)が導入されたアガロースゲルである。この際、EAの平均粒径は105μmであり、アミノ基量は18μmol/mLである。 なお、粒子(A)は、0.1M塩酸水溶液に浸漬させてアミノ基を中和させた後、十分な量の精製水で洗浄水のpHが中性になるまで洗浄した後に使用した。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は42%であった。また、ファージ残存率(希釈)は90%であり、フミン酸除去率は70%であった。 <実施例4> 粒子(A)をDEAに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 なお、DEAは、Epoxy-activated Sepharose 6B (GE healthcare社製)を20%エタノールアミン水溶液に浸漬し、40℃にて一晩振とうし、次いで、精製水で洗浄水のpHが中性になるまで洗浄することで調製したヒドロキシエチルアミノ基(−NHC2H4OH)が導入されたアガロースゲルである。この際、DEAの平均粒径は105μmであり、アミノ基量は19μmol/mLである。 なお、粒子(A)は、0.1M塩酸水溶液に浸漬させてアミノ基を中和させた後、十分な量の精製水で洗浄水のpHが中性になるまで洗浄した後に使用した。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は50%であった。また、ファージ残存率(希釈)は93%であり、フミン酸除去率は82%であった。 <実施例5> 粒子(A)の投与量を30μLに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は30%であった。また、ファージ残存率(希釈)は90%であり、フミン酸除去率は60%であった。 <実施例6> 粒子(A)および粒子(B)の混合液を調製する際に使用するリン酸緩衝液として、リン酸緩衝液(pH7.0、10mM)に変更したことを除いては、実施例5と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は39%であった。また、ファージ残存率(希釈)は83%であり、フミン酸除去率は71%であった。 <実施例7> 粒子(A)および粒子(B)の混合液を調製する際に使用するリン酸緩衝液として、クエン酸緩衝液(pH5.0、10mM)に変更したことを除いては、実施例5と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は35%であった。また、ファージ残存率(希釈)は70%であり、フミン酸除去率は80%であった。 <実施例8> 混合液およびサンプル液の転倒混和の時間を15時間に変更したことを除いては、実施例5と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は56%であった。また、ファージ残存率(希釈)は76%であり、フミン酸除去率は86%であった。 <実施例9> サンプル液中のフミン酸の終濃度を5ppmに変更して接触時のフミン酸濃度は1ppmとなるようにしたことを除いては、実施例1と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は100%であった。また、ファージ残存率(希釈)は100%であり、フミン酸除去率は100%であった。 <実施例10> サンプル液中のフミン酸の終濃度を5ppmに変更して接触時のフミン酸濃度は1ppmとなるようにしたことを除いては、実施例8と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は100%であった。また、ファージ残存率(希釈)は100%であり、フミン酸除去率は100%であった。 <実施例11> [工程(1)] 以下の方法により精製ウイルス液を調製した。 (サンプル液) リン酸緩衝液(pH7.0、1mM)に、フミン酸(NBRC20012)およびQβファージ(ナカライテスク株式会社)および粒子(B)であるSC-0050-Dの1%を、終濃度がそれぞれ1×1010PFU/mLおよび200ppmとなるように添加し、サンプル液(pH7)を調製した。 (粒子(A)) DEAEを粒子(A)として準備した。 (粒子(B)) SC-0050-Dを粒子(B)として準備した。 (サンプル液と、粒子(A)および粒子(B)との接触) 洗浄処理を行った粒子(A)であるDAEA 200μLを直径2mmのカラムに充填した後、粒子(B)であるSC-0050-Dの200ppm水分散液を1mL流した。次いで、DAEA充填したカラムに、調製したサンプル液1mlを通し、その後精製水1mLでカラムを洗浄して、精製ウイルス液を調製した。 [工程(2)] 実施例1と同様の方法で、精製ウイルス液中のファージ残存率(%)、ファージ残存率(希釈)、およびフミン酸除去率を測定した。 その結果、ファージ残存率(%)は50%であった。また、ファージ残存率(希釈)は69%であり、フミン酸除去率は84%であった。 <実施例12> サンプル液の溶媒を精製水に変更したことを除いては、実施例11と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は50%であった。また、ファージ残存率(希釈)は70%であり、フミン酸除去率は82%であった。 <実施例13> サンプル液中のフミン酸の終濃度を1ppmとなるように変更したことを除いては、実施例12と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は90%であった。また、ファージ残存率(希釈)は90%であり、フミン酸除去率は100%であった。 <実施例14> サンプル液の溶媒をリン酸緩衝液(pH7.0、10mM)に変更し、かつ、DAEAの投与量を50μLに変更したことを除いては、実施例11と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は69%であった。また、ファージ残存率(希釈)は71%であり、フミン酸除去率は72%であった。 <実施例15> 粒子(B)を、STADEX SC-0030-A(JSR株式会社製)に変更したことを除いては、実施例11と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 なお、SC-0030-Aの材料はポリスチレンである。また、SC-0030-Aのゼータ電位は−45mVであり、平均粒径は29nmである。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は47%であった。また、ファージ残存率(希釈)は80%であり、フミン酸除去率は72%であった。 <実施例16> 粒子(B)を、STADEX SC-0100-D(JSR株式会社製)に変更したことを除いては、実施例11と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 なお、SC-0100-Dの材料はポリスチレンである。また、SC-0100-Dのゼータ電位は−38mVであり、平均粒径は100nmである。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は38%であった。また、ファージ残存率(希釈)は50%であり、フミン酸除去率は85%であった。 <実施例17> SC-0050-Dの投与量を、添加量が1000ppmとなるように変更したことを除いては、実施例11と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は48%であった。また、ファージ残存率(希釈)は78%であり、フミン酸除去率は77%であった。 <比較例1> 粒子(B)を添加しなかったことを除いては、実施例11と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は18%であった。また、ファージ残存率(希釈)は21%であり、フミン酸除去率は85%であった。 <比較例2> 粒子(A)の代わりに、シリカゲル(平均粒径:90μm)1000μLを使用し、かつ、粒子(B)を混合しなかったことを除いては、実施例1と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は14%であった。また、ファージ残存率(希釈)は99%であり、フミン酸除去率は1%であった。 <比較例3> 粒子(B)を添加せず、かつ、サンプル液中のフミン酸の終濃度を5ppmに変更して接触時のフミン酸濃度は1ppmとなるようにしたことを除いては、実施例1と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は1%であった。また、ファージ残存率(希釈)は1%であり、フミン酸除去率は100%であった。 <比較例4> 混合液およびサンプル液の転倒混和の時間を15時間に変更したことを除いては、比較例3と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は0%であった。また、ファージ残存率(希釈)は0%であり、フミン酸除去率は100%であった。 <比較例5> 粒子(B)の代わりに、ポリアクリル酸(ゼータ電位:測定不可、平均粒径:測定条件において溶解、重量平均分子量(Mw):5000)を、添加量が500ppmとなる量で使用したことを除いては、実施例11と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は7%であった。また、ファージ残存率(希釈)は28%であり、フミン酸除去率は96%であった。 <比較例6> 粒子(B)を、STADEX SC-034-S(JSR株式会社製)に変更したことを除いては、実施例11と同様の方法で精製ウイルス液を調製した。 なお、SC-034-Sの材料はポリスチレンである。また、SC-034-Sのゼータ電位は−35mVであり、平均粒径は352nmである。 得られた精製ウイルス液中のファージ残存率(%)は14%であった。また、ファージ残存率(希釈)は23%であり、フミン酸除去率は83%であった。 実施例1〜17および比較例1〜6で得られた結果を下記表1および表2に示す。 表2のファージ残存率の結果から、実施例1〜17で調製された精製ウイルス液は、比較例1〜6で調製された精製ウイルス液と対比して、ウイルスの増幅を好適に行うことができることがわかる。 そして、表2のファージ残存率(希釈)およびフミン酸除去率の結果から、実施例1〜17では、フミン酸およびウイルスを含むサンプル液から、フミン酸を選択的に分離することができていることが分かる。 ウイルスおよびフミン酸を含むサンプル液を、カチオン性基を有し平均粒径が1〜3000μmである粒子(A)および負の表面電荷を有し平均粒径が10〜100nmである粒子(B)に接触させることを含む、精製ウイルス液の製造方法。 前記粒子(A)が、カチオン性基を有するアガロースゲル、カチオン性基を有するセルロースゲル、およびカチオン性基を有するデキストランゲルからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の製造方法。 前記カチオン性基が、アミノ基である、請求項1または2に記載の製造方法。 前記粒子(B)が、負の表面電荷を有するポリスチレン、負の表面電荷を有するポリウレタン、負の表面電荷を有するポリアクリル、負の表面電荷を有するポリエポキシ、負の表面電荷を有するシリカ、および負の表面電荷を有するアルミナからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。 前記粒子(B)が、カルボキシ基、スルホン基、リン酸基、およびシラノール基からなる群から選択される少なくとも1つのアニオン性基を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。 前記接触が、塩を含む溶液中で行われ、 前記溶液の塩濃度が、50mM以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。 請求項1〜6のいずれか1項の方法により精製ウイルス液を製造する工程(1)と、 前記精製ウイルス液中のウイルスを検出する工程(2)と、を含む、ウイルス検出方法。 【課題】 環境水等の試料(サンプル液)中に含まれるウイルスを検出する場合において、サンプル液中に含まれるにフミン酸等の夾雑物はPCR反応を阻害することから、サンプル液中のウイルスの検出等が困難となる。そこで、ウイルスおよびフミン酸を含むサンプル液から、フミン酸を選択的に分離することができる手段を提供することを課題とする。【解決手段】 ウイルスおよびフミン酸を含むサンプル液を、カチオン性基を有し平均粒径が1〜3000μmである粒子(A)および負の表面電荷を有し平均粒径が10〜100nmである粒子(B)に接触させることを含む、精製ウイルス液の製造方法。【選択図】 図2


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