生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_水性医薬組成物
出願番号:2014074350
年次:2015
IPC分類:A61K 31/4166,A61P 27/02,A61K 31/4415,A61K 33/00


特許情報キャッシュ

三戸 靖子 JP 2015196652 公開特許公報(A) 20151109 2014074350 20140331 水性医薬組成物 小林製薬株式会社 000186588 稲葉 良幸 100079108 大貫 敏史 100109346 江口 昭彦 100117189 内藤 和彦 100134120 佐藤 睦 100126480 三戸 靖子 A61K 31/4166 20060101AFI20151013BHJP A61P 27/02 20060101ALI20151013BHJP A61K 31/4415 20060101ALI20151013BHJP A61K 33/00 20060101ALI20151013BHJP JPA61K31/4166A61P27/02A61K31/4415A61K33/00 12 OL 13 4C086 4C086AA01 4C086BC18 4C086BC38 4C086HA09 4C086HA24 4C086MA02 4C086MA03 4C086MA04 4C086MA17 4C086NA05 4C086NA14 4C086ZA33 本発明は、アラントインが安定化された水性医薬組成物に関する。 アラントインは、細胞の増殖力の強化作用、創傷の修復促進作用、結膜の鎮炎作用、抗アレルギー作用などを示すことが知られる化合物であり、医薬品や化粧品に配合されている。しかしながら、アラントインは水に対する溶解度が極めて低く、高温での安定性にも欠ける。さらに、pH5付近から分解が進み、pH6ではほとんど分解してしまうことが知られているため(例えば非特許文献1)、配合できる製品が限られていた。 特に、洗眼剤は、医薬品製造販売承認基準でpH5.5以上と定められているため、アラントインを配合することは難しいと考えられていた。薬学雑誌 113(7) 515-524 (1993) アラントインによる細胞の増殖力の強化作用、創傷の修復促進作用、結膜の鎮炎作用、抗アレルギー作用は、点眼剤や洗眼剤をはじめとする眼科用水性組成物、外皮用殺菌消毒剤、皮膚炎治療薬、痔疾用薬、口腔内殺菌剤、点鼻剤、洗鼻剤など各種医薬組成物としても有用であると考えられる。そこで、本発明は、アラントインを配合した安定な水性医薬組成物を提供することを課題とする。 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アラントインを配合した水溶液に塩化水素を加えることにより、アラントインの安定性が著しく向上することを見出した。 さらに、アラントインが特に安定化される塩化水素の添加量やpH、他の添加物を特定して、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明は、〔1〕アラントイン及び塩化水素を含有する水性医薬組成物;〔2〕前記塩化水素の含有量が、0.18mg/100mL〜2.19mg/100mLである、上記〔1〕に記載の水性医薬組成物;〔3〕さらに塩酸ピリドキシンを含有する、上記〔1〕又は〔2〕に記載の水性医薬組成物;〔4〕前記水性医薬組成物のpHが、5.5〜6.3である、上記〔1〕から〔3〕のいずれか1項に記載の水性医薬組成物;〔5〕前記水性医薬組成物が、眼科用水性組成物である、上記〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載の水性医薬組成物;〔6〕前記眼科用水性組成物が、洗眼剤である、上記〔5〕に記載の水性医薬組成物;〔7〕水性医薬組成物におけるアラントインの安定化方法であって、前記水性医薬組成物に塩化水素を加える工程を含む、方法;〔8〕前記塩化水素の添加量が、0.18mg/100mL〜2.19mg/100mLである、上記〔7〕に記載の方法;〔9〕前記水性医薬組成物に塩酸ピリドキシンを加える工程をさらに含む、上記〔7〕又は〔8〕に記載の方法;〔10〕前記水性医薬組成物のpHを5.5〜6.3に調整することを含む、上記〔7〕から〔9〕のいずれか1項に記載の方法;〔11〕前記水性医薬組成物が、眼科用水性組成物である、上記〔7〕から〔10〕のいずれか1項に記載の方法;及び〔12〕前記眼科用水性組成物が、洗眼剤である、上記〔11〕に記載の方法に関する。 本発明よれば、水性組成物にアラントインが安定に配合されるので、細胞の増殖力の強化作用、創傷の修復促進作用、結膜の鎮炎作用、抗アレルギー作用などを有する水性医薬組成物を得ることができる。本発明に係る水性医薬組成物は、アラントインの作用を生かした眼科用水性組成物、外皮用殺菌消毒剤、虫さされ薬、痒み止め、皮膚炎治療薬、痔疾用薬、口腔内殺菌剤、点鼻剤、洗鼻剤等として有用である。さらに、本発明に係る水性医薬組成物は、pHが高くてもアラントインが安定であるため、洗眼剤としても有用である。図1は、塩化水素の量を変えてアラントイン含有眼科用水性組成物を調製し、60℃で1週間保存した後のアラントイン量の分析結果(残存率)を示す。図2は、眼科用水性組成物によく用いられる種々の成分を加えてアラントイン含有眼科用水性組成物を調製し、60℃で1週間保存した後のアラントイン量の分析結果(残存率)を示す。 本発明に係る水性医薬組成物は、アラントイン及び塩化水素を含有する。本明細書において「水性医薬組成物」とは、水性の医薬組成物を意味し、その適用対象は特に限定されない。水性医薬組成物としては、例えば、眼科用水性組成物、外皮用殺菌消毒剤、虫さされ薬、痒み止め、皮膚炎治療薬、痔疾用薬、口腔内殺菌剤、点鼻剤、洗鼻剤等が挙げられるがこれらに限定されない。 アラントインは、CAS番号97−59−6の化合物であり、細胞の増殖力の強化作用、創傷の修復促進作用、結膜の鎮炎作用、抗アレルギー作用等を有することが知られている。本発明に係る水性医薬組成物におけるアラントインの配合量は、目的とするアラントインの有する作用が得られ、且つアラントインが安定に配合される限り特に限定されないが、例えば、0.006w/v%(=g/100mL)以上、0.01w/v%以上、0.02w/v%以上、0.025w/v%以上、0.03w/v%以上としてもよく、0.3w/v%以下、0.15w/v%以下、0.08w/v%以下、0.06w/v%以下としてもよい。 本発明に係る水性医薬組成物における塩化水素の配合量は、アラントインが安定化される限り特に限定されないが、例えば、0.09mg/100mL以上、0.12mg/100mL以上、0.15mg/100mL以上、0.18mg/100mL以上としてもよく、2.92mg/100mL以下、2.56mg/100mL以下、2.19mg/100mL以下、1.83mg/100mL以下としてもよい。本発明の水性医薬組成物に含まれるアラントイン1重量部に対する塩化水素の割合は、例えば、0.001以上、0.005以上、0.006以上としてもよく、0.097以下、0.085以下、0.073以下、0.061以下としても良い。また、好ましくは0.001〜0.097重量部、更に好ましくは0.005〜0.85重量部、よりいっそう好ましくは0.005〜0.073重量部、特に好ましくは0.005〜0.061重量部、最も好ましくは0.006〜0.061重量部の範囲に設定することが好ましい。 本発明に係る水性医薬組成物は、さらに塩酸ピリドキシンを含有してもよい。塩酸ピリドキシンの配合量は、アラントインが安定化される限り特に限定されず、通常水性医薬組成物に配合される量としてもよい。塩酸ピリドキシンの配合量は、例えば、0.001w/v%以上、0.002w/v%(=g/100mL)以上、0.003w/v%以上、0.004w/v%以上、0.005w/v%以上としてもよく、0.1w/v%以下、0.09w/v%以下、0.08w/v%以下、0.07w/v%以下、0.06w/v%以下、0.05w/v%以下としてもよい。 本発明に係る水性医薬組成物は、アラントインが安定化されるため、pHを高く調節することができ、例えば、pH5.5以上、pH5.6以上、pH5.7以上、pH5.8以上としてもよく、pH6.3以下、pH6.2以下、pH6.1以下、pH6.0以下としてもよい。 pHの調節は公知の方法に従って行うことができ、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、トリエタノールアミン、又はモノエタノールアミンを適量加えることにより、所望のpHに調節してもよい。 本発明に係る水性医薬組成物には、必要に応じて、水性医薬組成物に使用可能な他の成分を添加してもよい。添加する他の成分は、アラントインが安定化され、得られる水性組成物が水性医薬組成物として使用できる限り特に限定されないが、例えば、抗炎症成分、収斂成分、抗ヒスタミン成分、抗アレルギー成分、ビタミン類、アミノ酸類、抗菌成分、殺菌成分、糖類、多糖類及びその誘導体、セルロース及びその誘導体、水溶性高分子、局所麻酔成分、ステロイド成分が挙げられる。 抗炎症薬成分又は収斂薬成分としては、例えば、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、イプシロン−アミノカプロン酸、インドメタシン、塩化リゾチーム、硝酸銀、プラノプロフェン、グリチルリチン酸二カリウム、ジクロフェナクナトリウム、ブロムフェナクナトリウム、サリチル酸メチルなどが挙げられる。 抗ヒスタミン成分としては、フマル酸クレマスチン、塩酸ジフェンヒドラミン、ラウリル硫酸ジフェンヒドラミン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸プロメタジン、メチレンジサリチル酸プロメタジン、パモ酸ヒドロキシジン、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸アゼラスチン、オキサトミド、パモ酸オキサトミド、フマル酸ケトチフェン、フマル酸エメダスチン、塩酸フェキソフェナジン、塩酸プソイドエフェドリン、塩酸エピナスチン、塩酸オロパタジン、エバスチン、塩酸セチリジン、ベシル酸ベポタスチン、及び塩酸レボセチリジン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンなどが挙げられる。 ビタミン類としては、例えば、ビタミンA類、ビタミンB類(ビタミンB12類以外)、ビタミンC類、ビタミンD類、ビタミンE類、及びその他のビタミン類からなる群より選択される少なくとも1種のビタミン類を含有することができる。ビタミンA類としては、例えば、レチナール、レチノール、レチノイン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピン及びその薬理学的に許容される塩類などが挙げられる。ビタミンB類としては、例えば、チアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、フルスルチアミン、リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド、ピリドキシン、ピリドキサール、葉酸、テトラヒドロ葉酸、ジヒドロ葉酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチニックアルコール、パントテン酸、パンテノール、ビオチン、コリン、イノシトール及びその薬理学的に許容されるこれらの塩類が挙げられる。ビタミンC類としては、例えば、アスコルビン酸及びその誘導体、エリソルビン酸及びその誘導体及びその薬理学的に許容される塩類などが挙げられる。ビタミンD類としては、例えば、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロール及びその薬理学的に許容される塩類などが挙げられる。ビタミンE類としては、例えば、トコフェロール及びその誘導体、ユビキノン誘導体及びその薬理学的に許容される塩類などが挙げられる。その他のビタミン類としては、例えば、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロチン酸、ルチン、エリオシトリン、ヘスペリジン及びその薬理学的に許容される塩類などが挙げられる。 アミノ酸類としては、例えば、アミノエチルスルホン酸(タウリン)、グルタミン酸、クレアチニン、グルタミン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、アスパラギン酸、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウムなどが挙げられる。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。 抗菌薬成分又は殺菌薬成分としては、例えば、硫酸アミノデオキシカナマイシン、硫酸カナマイシン、硫酸ゲンタマイシン、硫酸シソマイシン、硫酸ストレプトマイシン、トブラマイシン、硫酸ミクロノマイシン、アルキルポリアミノエチルグリシン、クロラムフェニコール、塩酸テトラサイクリン、塩酸オキシテトラサイクリン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、レボフロキサシン、塩酸ロメフロキサシン、スルベニシンナトリウム、塩酸セフメノキシム、ベンジルペニシリンカリウム、コリスチンメタスルホン酸ナトリウム、エリスロマイシン、ラクトビオン酸エリスロマイシン、キタサマイシン、スピラマイシン、硫酸フラジオマイシン、硫酸ポリミキシン、ジベカシン、アミカシン、硫酸アミカシン、アシクロビル、イオドデオキシサイチジン、イドクスウリジン、シクロサイチジン、シトシンアラビノシド、トリフルオロチミジン、ブロモデオキシウリジン、ポリビニルアルコールヨウ素、ヨウ素、アムホテリシンB、イソコナゾール、エコナゾール、クロトリマゾール、ナイスタチン、ピマリシン、フルオロシトシン、ミコナゾールなどが挙げられる。 糖類としては、例えば、単糖類、二糖類、具体的にはグルコース、トレハロース、ラクトース、フルクトースなどが挙げられる。 多糖類又はその誘導体としては、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウムなどが挙げられる。 セルロース又はその誘導体又はそれらの塩としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースなどが挙げられる。 前述以外の水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、デキストリン、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。 局所麻酔薬成分としては、例えば、リドカイン、オキシブプロカイン、ジブカイン、プロカイン、アミノ安息香酸エチル、メプリルカイン、及びそれらの塩などが挙げられる。 ステロイド成分としては、例えば、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、及びそれらの塩などが挙げられる。 本明細書に係る水性医薬組成物が眼科用水性組成物である場合、上記成分に加えてさらに、眼科用水性組成物に使用可能な他の成分を添加してもよい。添加する他の成分は、アラントインが安定化され、得られる水性組成物が眼科用水性組成物として使用できる限り特に限定されないが、例えば、充血除去成分、眼調節成分、緑内障治療成分、並びに白内障治療成分等が挙げられる。 なお、本明細書において「眼科用水性組成物」とは、眼、眼に直接装着するもの、又は摘出した眼の組織に適用する水性組成物を意味する。眼科用水性組成物の具体例としては、点眼剤、洗眼剤、人工涙液、眼軟膏、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用剤(洗浄剤、保存液、すすぎ液、消毒液等を含む)、摘出した眼組織の保存剤、及び眼内注射剤が挙げられるが、これらに限定されない。 充血除去成分としては、例えば、α−アドレナリン作動薬、具体的にはエピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、硝酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸メチルエフェドリン、酒石酸水素エピネフリンなどが挙げられる。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。 眼筋調節薬成分としては、例えば、アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害剤、具体的にはメチル硫酸ネオスチグミンなどの第4級アンモニウム化合物及びそれらの薬理学的に許容される塩類などが挙げられる。 緑内障治療成分としては、例えば、レボブノロール、チモロール、及びそれらの塩などが挙げられる。 白内障治療成分としては、例えば、ピレノキシンなどが挙げられる。 本発明の水性医薬組成物において、これらの成分の含有割合は、用途及び含有成分の種類等に応じて適宜決定される。例えば、眼科用水性組成物の場合、組成物全体に対して、例えば0.0001〜50w/v%、0.0001〜25w/v%、0.001〜10w/v%等とすることができる。 また、本発明の水性医薬組成物には、必要に応じて、それぞれの医薬の効果を損なわない範囲で、当該分野において通常用いられる添加剤を更に含有させることができる。このような成分としては、例えば、防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤、増粘剤、可溶化剤又は溶解補助剤、pH調節剤、等張化剤、香料、清涼化剤、キレート剤、緩衝剤、安定化剤、基剤等が挙げられる。 防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤としては、例えば、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物、アクリノールなどが挙げられる。 増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストラン、ポリエチレングリコール、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール(完全、又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、コンドロイチン硫酸ナトリウムなどが挙げられる。 可溶化剤又は溶解補助剤としては、例えば、アルキルジアミノエチルグリシンなどのグリシン型両性界面活性剤、アルキルエーテルカルボン酸塩、テトラデセンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、N−ココイルメチルタウリンナトリウムなどのN−アシルタウリン塩、POE(10)ラウリルエーテルリン酸ナトリウムなどのPOEアルキルエーテルリン酸及びその塩、ラウロイルメチルアラニンナトリウムなどのN−アシルアミノ酸塩、POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのPOEアルキルエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などの陰イオン界面活性剤などが挙げられる。具体的にはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンオレイン酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル40、ショ糖ステアリン酸エステル、モノステアリン酸デカグリセリル、ラウリルグルコシド、マクロゴール4000。なお、括弧内の数字は付加モル数を示す。 pH調整剤としては、例えば、アミノエチルスルホン酸、イプシロン−アミノカプロン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなどが挙げられる。 等張化剤としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グリセリン、プロピレングリコールなどが挙げられる。 香料又は清涼化剤としては、例えば、テルペン類(具体的には、アネトール、オイゲノール、カンフル、ゲラニオール、シネオール、ボルネオ−ル、メントール、リモネン、リュウノウなど。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。)精油(具体的には、ウイキョウ油、クールミント油、ケイヒ油、スペアミント池、ハッカ水、ハッカ油、ペパーミント油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油など)などが挙げられる。 キレート剤としては、例えば、アスコルビン酸、エデト酸四ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸などが挙げられる。 緩衝剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂などが挙げられる。 安定剤としては、例えば、シクロデキストリン、ジブチルヒドロキシトルエン、トロメタモール、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウムなどが挙げられる。 基剤としては、例えば、オクチルドデカノール、オリブ油、ゴマ油、酸化チタン、臭化カリウム、ダイズ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パラフィン、ヒマシ油、プラスチベース、ラッカセイ油、ラノリン、ワセリンなどが挙げられる。 本発明に係る水性医薬組成物は、必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧比に調節する。生理食塩液に対する浸透圧比は、0.3〜4.0、0.5〜2.0、0.5〜1.4等としてもよい。浸透圧比の調節は前記pH調整剤の他に、緩衝剤、等張化剤、及び塩類等を適宜用いて行うことができる。 本発明に係る水性医薬組成物は、公知の方法により製造できる。例えば、点眼薬、洗眼剤などの場合は、先ず各成分を混合してから、更に必要によりろ過滅菌処理を行い、最後に容器へと充填することにより調製できる。 本発明はまた、水性医薬組成物におけるアラントインの安定化方法も提供する。本発明に係る水性医薬組成物におけるアラントインの安定化方法は、水性医薬組成物に塩化水素を加える工程を含む。 発明に係る水性医薬組成物におけるアラントインの安定化方法で使用する用語のうち、上述した本発明に係る水性医薬組成物でも使用される用語は、特に断りがない限り、水性医薬組成物の場合と同義で用いられる。 塩化水素の添加量は、アラントインが安定化される限り特に限定されず、本発明に係る水性医薬組成物と同一の量としてもよい。 本発明に係る水性医薬組成物におけるアラントインの安定化方法は、水性医薬組成物に塩酸ピリドキシンを加える工程をさらに含んでもよい。水性医薬組成物に、アラントイン、塩化水素、塩酸ピリドキシン及びその他の成分を加える順序は特に限定されない。 本発明に係る水性医薬組成物におけるアラントインの安定化方法は、水性医薬組成物のpHを5.5〜6.3に調節する工程を含んでいてもよい。pHの調節は、最終的に得られる水性医薬組成物のpHが5.5〜6.3に調節される限り、どの段階で行ってもよい。 本明細書において引用されるすべての特許文献及び非特許文献の開示は、全体として本明細書に参照により組み込まれる。 以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。当業者は、本発明の意義を逸脱することなく様々な態様に本発明を変更することができ、かかる変更も本発明の範囲に含まれる。[実験例1] 以下の配合量で、眼科用水性組成物を調製した。pHは水酸化ナトリウムで調整し、滅菌精製水で全量を100mLとした。塩化水素は1Nの塩酸を用いて表中の濃度になるように調製した。 60℃で1週間保存した後の配合例1〜6のアラントイン分析値を図1に示す。アラントインは、高速液体クロマトグラフィー(株)島津製作所製を用いて常法により分析した。塩化水素を適量加えると、アラントインの分解が著しく軽減されることが確認された。[実験例2] 塩化水素に代えて塩化ナトリウムを用いて実験例1と同様に眼科用水性組成物を調製し、60℃で1週間保存した後、アラントイン量を分析した。各配合例の組成と、アラントイン量の分析結果を下表に示す。 表に示されるとおり、塩化ナトリウムを加えてもアラントインは安定化されなかった。このことから、アラントインの安定化効果は、塩化物イオンによるものではなく、塩化水素によるものと考えられた。[実験例3] pHを変えて、実験例1と同様に眼科用水性組成物を調製し、60℃で1週間保存した後、アラントイン量を分析した。各配合例の組成と、アラントイン量の分析結果を下表に示す。 pH6.0でもアラントインは安定であることが確認された。[実験例4] 眼科用水性組成物によく用いられる成分を加えて、実験例1と同様に眼科用水性組成物を調製し、60℃で1週間保存した後、アラントイン量を分析した。各配合例の組成と、アラントイン量の分析結果を下表に示す。 配合例16〜18のアラントイン量の分析結果を配合例4の結果とともに図2に示す。塩酸ピリドキシンを加えたときに、アラントインの安定性が著しく向上することが確認された。[製剤例] 実験例1と同様に、表5に示す組成の眼科用医薬組成物を調製した。 アラントイン及び塩化水素を含有する水性医薬組成物。 前記塩化水素の含有量が、0.18mg/100mL〜2.19mg/100mLである、請求項1に記載の水性医薬組成物。 さらに塩酸ピリドキシンを含有する、請求項1又は2に記載の水性医薬組成物。 前記水性医薬組成物のpHが、5.5〜6.3である、請求項1から3のいずれか1項に記載の水性医薬組成物。 前記水性医薬組成物が、眼科用水性組成物である、請求項1から4のいずれか1項に記載の水性医薬組成物。 前記眼科用水性組成物が、洗眼剤である、請求項5に記載の水性医薬組成物。 水性医薬組成物におけるアラントインの安定化方法であって、 前記水性医薬組成物に塩化水素を加える工程を含む、方法。 前記塩化水素の添加量が、0.18mg/100mL〜2.19mg/100mLである、請求項7に記載の方法。 前記水性医薬組成物に塩酸ピリドキシンを加える工程をさらに含む、請求項7又は8に記載の方法。 前記水性医薬組成物のpHを5.5〜6.3に調整することを含む、請求項7から9のいずれか1項に記載の方法。 前記水性医薬組成物が、眼科用水性組成物である、請求項7から10のいずれか1項に記載の方法。 前記眼科用水性組成物が、洗眼剤である、請求項11に記載の方法。 【課題】本発明は、アラントインを配合した安定な水性医薬組成物を提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、アラントイン及び塩化水素を含有する水性医薬組成物等を提供する。本発明に係る水性医薬組成物は、高いpHでもアラントインが安定であり、洗眼剤等にも有用である。【選択図】なし


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