タイトル: | 公開特許公報(A)_ゼラチンカプセル剤およびその製造方法 |
出願番号: | 2014073406 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 9/48,A61K 47/14,A61K 47/42 |
鳥井 一宏 JP 2015193579 公開特許公報(A) 20151105 2014073406 20140331 ゼラチンカプセル剤およびその製造方法 小林製薬株式会社 000186588 特許業務法人 安富国際特許事務所 110000914 鳥井 一宏 A61K 9/48 20060101AFI20151009BHJP A61K 47/14 20060101ALI20151009BHJP A61K 47/42 20060101ALI20151009BHJP JPA61K9/48A61K47/14A61K47/42 5 OL 10 4C076 4C076AA56 4C076AA58 4C076BB01 4C076DD40H 4C076DD46H 4C076EE41H 4C076EE41T 4C076EE53 4C076FF21 4C076GG16本発明は、ゼラチンカプセル剤、特に不快な口臭を効果的に除去し、かつ口腔内に清涼感を与えるととともに、呼気にも清涼感を与える口中清涼化組成物をゼラチンで被覆したゼラチンカプセル剤およびその製造方法に関する。医薬や食品の分野では、安全性や体内での速溶解性や服用感(食感)等の観点から、皮膜にゼラチンを用いたゼラチンカプセル剤が汎用されている。しかしながら、ゼラチンカプセル剤は、ゼラチン分子と充填内容物またはその分解物との相互作用による架橋等により、有効成分のバイオアベイラビリティーや服用感(食感)に繋がる皮膜の溶解性が経時的に低下しやすい(不溶化する)傾向にある。ゼラチンカプセルの不溶化という問題を解決する手段としては、例えばイノシトール6リン酸を配合したゼラチン皮膜用組成物から皮膜を形成したカプセル剤を用いる方法が知られている(特許文献1)。しかしながら、例えば香料を多量に含有する口中清涼化組成物をゼラチンで被覆したゼラチンカプセル剤では、該ゼラチン被覆用組成物を使用しても、ゼラチン皮膜の不溶化を充分に抑制することはできないことがあった。そのため、口腔内にゼラチンが残ったり、口中清涼化組成物が溶け出さない等の問題が生じた。特許第3790258号明細書本発明は、ゼラチン皮膜の不溶化を防止することができるゼラチンカプセル剤およびその製造方法を提供することを目的とする。本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、ゼラチン皮膜の不溶化は、たとえば口中清涼化組成物においては、多量に配合される香料に存在するアルデヒド類が原因であって、その濃度が高くなると不溶化が顕著となることがわかった。また、口中清涼化組成物中に含有されるジペプチド甘味料を懸濁状態にする、または口中清涼化組成物中にメントールを溶解すると、アルデヒド類を高濃度で含有したとしてもゼラチン皮膜の不溶化を防止できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、(A)中鎖脂肪酸トリグリセライド並びに(B)ジペプチド甘味料及び/又は(C)メントールを含有し、アルデヒド類が0.025重量%以上含まれ、(B)ジペプチド甘味料が懸濁状態及び/又は(C)メントールが溶解状態である組成物を、ゼラチンで被覆したゼラチンカプセル剤に関する。(B)ジペプチド甘味料の含有量が、(A)中鎖脂肪酸トリグリセライド1重量部に対し0.008〜0.125重量部であることが好ましい。(C)メントールの含有量が、(A)中鎖脂肪酸トリグリセライド1重量部に対し0.1〜0.875重量部であることが好ましい。また、本発明は、(A)中鎖脂肪酸トリグリセライドに、(B)ジペプチド甘味料を懸濁させる工程及び/又は(C)メントールを溶解させる工程、並びに、得られた組成物をゼラチンで被覆する工程を含む前記ゼラチンカプセル剤の製造方法に関する。また、本発明は、(A)中鎖脂肪酸トリグリセライド、並びに、(B)ジペプチド甘味料及び/又は(C)メントールを含有し、アルデヒド類が0.025重量%以上含まれる組成物中の(B)ジペプチド甘味料を懸濁させる工程及び/又は(C)メントールを溶解させる工程、並びに、得られた組成物をゼラチンで被覆する工程を含むゼラチンカプセル剤の不溶化防止方法に関する。本発明のゼラチンカプセル剤では、ジペプチド甘味料が懸濁状態及び/又はメントールが溶解状態であるため、香料などの成分に由来するアルデヒド類が0.025重量%以上と多量に配合される場合であっても、ゼラチン皮膜の不溶化を防止することができる。よって、特に香料を多量に配合することが求められる口中清涼化組成物において、アルデヒド類を含有する香料であっても多量に配合することが可能となる。本発明のゼラチンカプセル剤は、(A)中鎖脂肪酸トリグリセライド並びに(B)ジペプチド甘味料及び/又は(C)メントールを含有し、アルデヒド類が0.025重量%以上含まれ、(B)ジペプチド甘味料が懸濁状態及び/又は(C)メントールが溶解状態である組成物を、ゼラチンで被覆したものである。(A)中鎖脂肪酸トリグリセライドは、炭素数8〜12の飽和脂肪酸からなるグリセリンエステルであれば特に限定されず、例えばカプリル酸トリグリセライドのようなC8酸トリグリセライド、カプリン酸トリグリセライドのようなC10酸トリグリセライド、ラウリン酸トリグリセライドのようなC12酸トリグリセライド、これらの混合物であるC8酸/C10酸トリグリセライド、C8酸/C10酸/C12酸トリグリセライド等が挙げられる。なかでも、C8酸トリグリセライド、C8酸/C10酸トリグリセライドが好適に使用できる。C8酸/C10酸トリグリセライドの脂肪酸組成(C8:C10)は特に限定されないが、重量比で、好ましくは6:4〜10:0、より好ましくは7:3〜8:2である。組成物中の(A)中鎖脂肪酸トリグリセライドの含有量は特に限定されないが、好ましくは40〜97重量%、より好ましくは61.2〜86.7重量%である。40重量%未満では、(B)ジペプチド甘味料の懸濁状態又は(C)メントールの溶解状態が不安定になる傾向があり、97重量%を超える場合も同様である。(B)ジペプチド甘味料は特に限定されず、例えばアスパルテームが挙げられる。一方、(C)メントールも特に限定されず、天然品でも合成品でも使用可能であり、たとえばl−メントール、dl−メントールなどが挙げられる。ジペプチド甘味料とメントールは、それぞれ単独で用いても、併用してもよいが、併用したほうが、ゼラチン皮膜の不溶化を防止する効果が向上するため好ましい。(B)ジペプチド甘味料の含有量は、(A)中鎖脂肪酸トリグリセライド1重量部に対し0.008〜0.125重量部であるが、好ましくは0.01〜0.125重量部、より好ましくは0.015〜0.061重量部である。0.008重量部未満では、懸濁状態が不安定になる傾向があり、0.125重量部を超えると、味に不具合が生じる傾向がある。一方、組成物中の(B)ジペプチド甘味料の含有量については、好ましくは0.8〜5.0重量%、より好ましくは1.3〜2.0重量%である。(C)メントールの含有量は、(A)中鎖脂肪酸トリグリセライド1重量部に対し0.1〜0.875重量部であるが、好ましくは0.12〜0.572重量部である。0.1重量部未満では、十分な清涼感が得られなくなる傾向があり、0.875重量部を超えると、味に不具合が生じる傾向がある。一方、組成物中のメントールの含有量については、好ましくは10〜35重量%、より好ましくは15〜30重量%である。被覆される組成物において、(B)ジペプチド甘味料が懸濁状態及び/又は(C)メントールは溶解状態であることが必要である。ここで、懸濁状態とは、固体粒子が液体に分散した分散系のことであって、分散状態の下位概念であり、構成粒子や分子間の相互作用により粘性を生じる状態である。一方、非懸濁とは、(B)ジペプチド甘味料の分散状態が不均一となり、組成物の性状が目視で不均一になった状態である。具体的には、不透明な組成物を、常温で、1日以上、好ましくは14日以上、より好ましくは30日以上静置保存した場合であっても、目視で組成物の不透明度に変化がなく、ジペプチド甘味料の懸濁状態が維持される状態をいう。また、溶解状態とは、固体分子が液体に分散して均一系(溶液)を生じる状態である。溶液とは、2つ以上の物質から構成される液体状態の混合物のことである。香料は、組成物にスパイス、花、フルーツ等多様な調香をもたらすことができるものである。香料としては特に限定されず、アルデヒド類を含有する香料であっても制限なく使用できる。香料に含まれるアルデヒド類としては、例えば、Aldehyde C.8、Aldehyde C.9、Aldehyde C.10、Aldehyde C.11 undecylenic、Aldehyde C.11 undecylic、Aldehyde C.12 lauric、Aldehyde C.12 MNA、Aldehyde C.8 dimethyl acetal、Intreven aldehyde、Aldehyde C.11 MOA、Aldehyde mandarine 10%、Phenylacetaldehyde、Phenylacetaldehyde dimethyl acetal、Phenylacetaldehyde glycerine acetal、Hydrotropic aldehyde、Cyclamen aldehyde、Anisaldehyde、Aldehyde C.16、Phenyl propyl aldehyde、Pinoacetaldehyde、Cinnamic aldehyde、Cuminic aldehyde、Benzaldehyde、Hexanal、Citral、Furfural、Vanillin等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。組成物中の香料の含有量は特に限定されないが、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは2.5〜20重量%、さらに好ましくは2.5〜10重量%である。特に、口中清涼化組成物に適用する場合には、より多量に2.5〜20重量%であることが好ましい。本発明において、組成物中のアルデヒドの含有量は、0.025重量%以上であるが、好ましくは0.025〜0.4重量%である。被覆される組成物としては、(A)中鎖脂肪酸トリグリセライド、(B)ジペプチド甘味料又は(C)メントール、香料の外に、本発明の目的を損なわない範囲で、他の成分を含有していてもよい。例えば該組成物を口中清涼化組成物として使用する場合、他の成分としては、例えば、ジペプチド甘味料以外の甘味料、メントール以外の清涼化剤、乳化剤等が挙げられる。(B)ジペプチド甘味料以外の甘味料としては、例えば、アセスルファムカリウム、ステビア、サッカリン、ソーマチン、キシリトール、エリスリトール、マルチトール等が挙げられる。(C)メントール以外の清涼化剤としては、歯磨剤、洗口剤、口中清涼剤、ガム、飴などの口腔用製品で一般的に用いられている、清涼成分を放出する天然または人工の清涼化剤であれば特に限定されない。天然由来の清涼化剤としては、例えば、マスティック油、パセリ油、アニス油、ウィンターグリーン油、カシア油、レモン油、オレンジ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、ベイ油、レモングラス油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油等の天然精油が挙げられる。また、人工的に精製・単離された清涼化作用を有する物質としては、例えば、リモネン、メントン、カルボン、アネトール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オクチルアルデヒド、リナロール、リナリールアセテート、メンチルアセテート、ピネン等が挙げられる。乳化剤としては、食用に使用可能なものであれば特に限定されず、例えばプロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、シリコーン等が挙げられる。前記組成物を被覆するゼラチンは、ゼラチンを基剤とし、任意成分として可塑剤、水、および着色料等を含有する。原料のゼラチンとしては特に限定されず、例えば酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、両性処理ゼラチン、化学修飾ゼラチン等、一般のカプセル剤に使用されている公知のゼラチンが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。可塑剤としては、ゼラチンの可塑化を促し、かつ食品・医薬品用途に応用可能なものであればよい。例えば、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール等が挙げられる。着色料は、最終製品に付与する色彩に応じて、所望の色系の天然または合成食用着色料を適宜選択することができる。例えば、青色系の色彩を付与する場合には青色1号、赤色系の色彩の場合には赤色106号、黄色系の色彩の場合には黄色4号、そして、緑色系の色彩の場合には緑色3号などが好適に使用できる。被覆される組成物またはゼラチン皮膜の少なくとも一方に、調味や溶解性調整の目的で、当該技術分野で一般的に使用されている、防腐剤、酸味剤、苦味剤、調味料、酸化防止剤等を添加することもできる。防腐剤としては、例えば、安息香酸、ソルビン酸及びこれらの塩等が挙げられる。酸味剤としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、グルコン酸、コハク酸等が挙げられる。苦味剤としては、例えばカフェイン等が挙げられる。調味料としては、例えば、グルタミン酸、グリシン、アラニン、アルギニン等が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ソルビン酸(塩)等が挙げられる。また、本発明のゼラチンカプセル剤の製造方法は、(A)中鎖脂肪酸トリグリセライドに(B)ジペプチド甘味料を懸濁させる工程及び/又は(C)メントールを溶解させる工程、および、該組成物をゼラチンで被覆する工程を含み、本発明のゼラチンカプセル剤の不溶化防止方法は、(A)中鎖脂肪酸トリグリセライド、並びに、(B)ジペプチド甘味料及び/又は(C)メントールを含有し、アルデヒド類が0.025重量%以上含まれる組成物中の、(B)ジペプチド甘味料を懸濁させる工程及び/又は(C)メントールを溶解させる工程、および、得られた組成物をゼラチンで被覆する工程を含む。組成物中のジペプチド甘味料(B)を懸濁させる方法としては特に限定されず、機械的撹拌、超音波撹拌などの撹拌方法が挙げられる。撹拌時、加熱することが好ましい。加熱温度は好ましくは40〜100℃、より好ましくは45〜90℃である。加熱時間は好ましくは40〜300分、より好ましくは60〜270分である。一方、組成物中のメントール(C)を溶解させる方法としては特に限定されず、機械的撹拌、超音波撹拌などの撹拌方法が挙げられる。撹拌時の温度は特に限定されず、室温でよい。ゼラチン皮膜による組成物の被包方法としては、周知のソフトカプセルの製造方法であれば特に限定されず、例えば、ロータリー式ソフトカプセル化法や、シームレスカプセル化法等が適用可能である。ロータリー式ソフトカプセル化法では、例えば、ロータリー式ソフトカプセル充填機を用い、ゼラチン皮膜用組成物を薄膜状に加工し、これを左右両側からロール金型に供給し、所定形状に打ち抜く直前に組成物を圧入し、成形及び乾燥することで、ゼラチンカプセル剤を製造することができる。以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。実施例1〜4および比較例5〜9表1に記載した配合量の(A)中鎖脂肪酸トリグリセライド(C8/C10酸トリグリセライド(C8:C10=8:2)、花王株式会社製「ココナードMT」)に、甘味料を混合し、表1に記載した懸濁条件で攪拌した。ついで香料を加えて不透明な混合物を得た。(C)l−メントールを配合する場合は、表1に記載した(A)中鎖脂肪酸トリグリセライドを一部とり、甘味料を表1に記載の配合量で混合し、表1に記載した懸濁条件で攪拌した。次いで(A)中鎖脂肪酸トリグリセライドの残部に(C)l−メントールを溶解させて目視で固形物が確認されない一様の液体状となったものを懸濁液に加えた。その懸濁液に香料を加えて、不透明な混合物を得た。実施例5〜6および比較例1〜4表1に記載した配合量の(A)中鎖脂肪酸トリグリセライドに、香料を加えて透明な溶液を得た。l−メントールを配合する場合には、表1に記載した配合量の(A)中鎖脂肪酸トリグリセライドに(C)l−メントールを混合して目視で固形物が確認されない一様の液体状となったものを得て、次いで香料を加えて透明な溶液を得た。実施例7〜21表2に記載した(A)中鎖脂肪酸トリグリセライドを一部取り、甘味料を表2に示した配合量で混合し、表2に記載した懸濁条件で撹拌した。次いで、(A)中鎖脂肪酸トリグリセライドの残部に(C)l−メントールを溶解させて目視で固形物が確認されない一様の液体状となったものを懸濁液に加えた。当該懸濁液に香料を加えて、不透明な混合物を得た。ココナードMT:C8/C10酸トリグリセライド(C8:C10=8:2)、花王株式会社製スコレー8:C8酸トリグリセライド、日清オイリオ株式会社製O.D.O:C8/C10酸トリグリセライド(C8:C10=7:3)、日清オイリオ株式会社製スコレー64G:C8/C10酸トリグリセライド(C8:C10=6:4)、日清オイリオ株式会社製<懸濁状態>得られた組成物をそれぞれスクリュー管に移して密栓し、常温で24時間静置した。放置後の組成物を目視観察し、懸濁状態にあるか否かを、下記基準により評価した。その結果を表1〜2に示す。懸濁 :保存前の組成物の外観と比べて不透明度に変化なし非懸濁:保存前の組成物の外観と比べて透明度が増加<ゼラチン皮膜不溶化>得られた組成物4mlに、1cm×1cmのゼラチン皮膜片(50mg)(ゼラチン10g、水20g、グリセリン4gを加熱溶解し冷却して作製)を浸漬し、50℃で1週間保持した。ゼラチン皮膜片を取り出し、ヘキサンで洗浄後、60℃の温水50mlに入れてスターラーで5分間攪拌した。静止状態で目視観察し、下記基準により評価した。その結果を表1〜2に示す。判定基準− :ゼラチン皮膜片が完全に溶解し、不溶物が全く認められない± :ゼラチン皮膜片は溶解するが、不溶物が僅かに認められる+ :ゼラチン皮膜片は溶解するが、不溶物が少量認められる++ :ゼラチン皮膜片は溶解するが、不溶物が中程度認められる+++ :ゼラチン皮膜片は溶解するが、不溶物が多量に認められる++++:ゼラチン皮膜片が全く溶解せず、完全に不溶化している表1より、ココナードMTと香料からなる比較例1〜4の組成物では、アルデヒド含量が増えるにしたがいゼラチン皮膜片の不溶物が増加し、0.025重量%を超えると不溶物が多量に認められた(評価:+++)。一方、アスパルテームおよびl−メントールのいずれかを配合し懸濁または溶解させた実施例3〜6の組成物では、アルデヒド含量が0.025重量%を超えても、不溶物が僅かに認められる(評価:±)または不溶物が中程度認められる程度であった(評価:++)。さらに、アスパルテームおよびl−メントールの両成分を配合した実施例1〜2の組成物では、アルデヒド含量が0.025重量%を超えても、ゼラチン皮膜片の不溶物が全く認められなかった(評価:−)。これらの結果から、アスパルテームとl−メントールはゼラチン皮膜の不溶化防止効果に優れているといえる。一方、比較例5〜6の組成物では、アルデヒド含量が0.025重量%の場合、ゼラチン皮膜片の不溶物が多量に認められた(評価:+++)。実施例1〜2の組成物は、ココナードMTとアスパルテームを80℃で混合したため、アスパルテームが懸濁状態となったのに対し、比較例5〜6の組成物は、ココナードMTとアスパルテームを室温で混合したため、アスパルテームが非懸濁状態となった。これらの結果から、ゼラチン皮膜の不溶化防止効果を発揮させるには、アスパルテームを懸濁状態とすることが重要であるといえる。また、アスパルテームの代わりに、同じ甘味料のキシリトールおよびスクラロースのいずれかを配合した比較例7〜9の組成物では、アルデヒド含量が0.025重量%を超えるとゼラチン皮膜片が完全に不溶化し(評価:++++)、全くゼラチンの不溶化を防止することができなかった。比較例7〜9の組成物についても、キシリトールおよびスクラロースのいずれも非懸濁状態であったためと考えられる。キシリトールとスクラロースはココナードMTと80℃での混合では、懸濁状態にならなかった。表2より、中鎖脂肪酸トリグリセライドとしてC8酸トリグリセライドを配合した場合(実施例7〜8)、C8/C10酸トリグリセライドの脂肪酸組成を変えた場合(実施例9〜12)でも、実施例1〜6と同様に、ゼラチン皮膜の不溶化を抑制できた。また、実施例13〜21では、中鎖脂肪酸トリグリセライド、アスパルテームおよびl−メントールの含有量が種々異なる組成物について試験を行ったが、いずれもゼラチン皮膜の不溶化を抑制できた。特に、実施例14、実施例21では、アルデヒド含量が0.4重量%と極めて高濃度であるにもかかわらず、優れた不溶化防止効果を示した。(A)中鎖脂肪酸トリグリセライド、及び、(B)ジペプチド甘味料及び/又は(C)メントールを必須成分として含有し、アルデヒド類が0.025重量%以上含まれ、(B)ジペプチド甘味料が懸濁状態及び/又は(C)メントールが溶解状態である組成物を、ゼラチンで被覆したゼラチンカプセル剤。(B)ジペプチド甘味料の含有量が、(A)中鎖脂肪酸トリグリセライド1重量部に対し0.008〜0.125重量部である請求項1に記載のゼラチンカプセル剤。(C)メントールの含有量が、(A)中鎖脂肪酸トリグリセライド1重量部に対し0.1〜0.875重量部である請求項1又は2に記載のゼラチンカプセル剤。(A)中鎖脂肪酸トリグリセライドに、(B)ジペプチド甘味料を懸濁させる工程及び/又は(C)メントールを溶解させる工程、および、得られた組成物をゼラチンで被覆する工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載のゼラチンカプセル剤の製造方法。(A)中鎖脂肪酸トリグリセライド、及び、(B)ジペプチド甘味料又は(C)メントールを含有し、アルデヒド類が0.025重量%以上含まれる組成物中の(B)ジペプチド甘味料を懸濁させる工程及び/又は(C)メントールを溶解させる工程、および、得られた組成物をゼラチンで被覆する工程を含むゼラチンカプセル剤の不溶化防止方法。 【課題】ゼラチン皮膜の不溶化を防止することができるゼラチンカプセル剤およびその製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、(A)中鎖脂肪酸トリグリセライド、及び、(B)ジペプチド甘味料及び/又は(C)メントールを含有し、アルデヒド類が0.025重量%以上含まれ、(B)ジペプチド甘味料が懸濁状態及び/又は(C)メントールが溶解状態である組成物を、ゼラチンで被覆したゼラチンカプセル剤に関する。また、本発明は、組成物中の(B)ジペプチド甘味料を懸濁させる工程及び/又は(C)メントールを溶解させる工程、および、得られた組成物をゼラチンで被覆する工程を含む前記ゼラチンカプセル剤の製造方法に関する。【選択図】なし