生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_窒化物半導体中の炭素濃度測定方法および窒化物半導体の製造方法
出願番号:2014072250
年次:2015
IPC分類:G01N 21/65,H01L 21/66


特許情報キャッシュ

内丸 知紀 小宮山 純 江里口 健一 JP 2015194391 公開特許公報(A) 20151105 2014072250 20140331 窒化物半導体中の炭素濃度測定方法および窒化物半導体の製造方法 コバレントマテリアル株式会社 507182807 木下 茂 100101878 内丸 知紀 小宮山 純 江里口 健一 G01N 21/65 20060101AFI20151009BHJP H01L 21/66 20060101ALI20151009BHJP JPG01N21/65H01L21/66 N 3 2 OL 10 2G043 4M106 2G043AA01 2G043BA07 2G043CA05 2G043EA03 2G043FA02 2G043KA02 2G043KA09 4M106AA01 4M106AA10 4M106BA05 4M106CA21 4M106CB01 4M106DJ18 本発明は、窒化物半導体中の炭素濃度の測定方法、およびこの測定方法を用いた窒化物半導体の製造方法に関するものである。 窒化物半導体中に不純物を高濃度でドープする場合、その不純物濃度を簡易に、かつ精度よく評価する必要がある。 不純物濃度測定方法としては二次イオン質量分析法(SIMS)があるが、SIMSと同等レベルの測定精度を有する簡易な手法として、ラマン分光法が知られている。特許文献1には、炭素を導入した3−5族化合物半導体結晶を成長させるための基板が設置される反応容器と、該基板に励起光を照射するための光源と、該励起光の照射により該基板から放射される後方散乱光を集めるための集光系と、該後方散乱光のスペクトル分布において少なくともラマン散乱光のL0フォノン−プラズモンモードのピークの現れる範囲のスペクトル分布を測定するための分光光学系と、該L0フォノン−プラズモンモードのピーク強度に基づいて該3−5族化合物半導体結晶中の炭素濃度を同定するデータ処理系とを備えた半導体結晶成長装置、が記載されている。特開平5−160040号公報 特許文献1に記載の技術は、砒素ガリウム(GaAs)中の炭素濃度、特に高い濃度領域での同定方法に関するものである。ところで近年、電界効果トランジスタ等のパワーデバイスに、GaAsに代わり窒化ガリウム(GaN)が用いられるようになってきた。しかしながら、特許文献1に記載の技術をGaN中の炭素濃度測定に適用しても、精度よく濃度を測定する事ができるとは言い難いものであった。 本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、窒化物半導体中の炭素濃度の測定において、簡易かつより精度の高い評価方法と、これを用いた窒化物半導体の製造方法を提供することを目的とする。本発明に係る窒化物半導体中の炭素濃度測定方法は、AlxGa1-xN(0≦x≦0.3)で表される窒化物半導体中の炭素濃度をラマン分光法で測定する方法であって、690cm−1以上785cm−1以下の範囲に存在するピークを有するラマンスペクトルの面積強度値から前記炭素濃度を同定することを特徴とする。 かかる構成を有することで、窒化物半導体中の炭素濃度を、正確にかつ非破壊で測定する事が可能となる。 また、本発明に係る窒化物半導体中の炭素濃度測定方法は、ラマンスペクトルの面積強度値を算出するのに用いるピークを、740±5cm−1、763±5cm−1、775±5cm−1の範囲に存在する各ピークのうち少なくともいずれか1つとすると、より好ましい。 さらに、本発明に係る窒化物半導体中の不純物濃度測定方法を用いて、窒化物半導体中の炭素濃度を調節して窒化物半導体を製造する方法も提供される。本発明によれば、窒化物半導体、特にGaN中の炭素濃度を簡易かつ精度よく測定する事が可能となる。さらに、この測定方法を用いた製造方法では、所望の炭素濃度を有する窒化物半導体を効率よく製造することができる。図1は、本発明に係る測定方法を用いた測定系の概念図である。図2は、GaNを測定したときのラマンスペクトルの一例である。図3は、740±5cm−1の範囲にピークを有するラマンスペクトルの面積強度値と、SIMSで同一サンプル位置を測定した炭素濃度との相間を示した図である。図4は、775±5cm−1の範囲にピークを有するラマンスペクトルの面積強度値と、SIMSで同一サンプル位置を測定した炭素濃度との相間を示した図である。 以下、本発明についてより詳細に説明する。本発明に係る窒化物半導体中の炭素濃度測定方法は、AlxGa1-xN(0≦x≦0.3)で表される窒化物半導体中の炭素濃度をラマン分光法で測定する方法であって、690cm−1以上785cm−1以下の範囲に存在するピークを有するラマンスペクトルの面積強度値から前記炭素濃度を同定するものである。本発明に係る窒化物半導体は、化学式AlxGa1-xN(0≦x≦0.3)で示されるものである。これは、窒化物半導体のうち、13族元素としてAl、Gaの少なくともいずれかを含む窒化物半導体は、炭素が高濃度でドーピングされると、ラマンスペクトルに特徴的な傾向が見出されることを利用したものである。化学式AlxGa1-xN(0≦x≦0.3)のxが大きくなると、炭素濃度の同定に利用できるスペクトルピークへの影響が無視できなくなり、x=0.3を超えると測定精度に支障が出る怖れがある。 ラマン分光法は公知の方法を適用でき、具体的には顕微ラマン分光法で測定される。測定装置としては、例えば図1に示すような測定系を用いることができる。そして、本発明に係る窒化物半導体中の炭素濃度測定方法では、690cm−1以上785cm−1以下の範囲に存在するピークを有するラマンスペクトルの面積強度値を用いて炭素濃度を同定する。 図2は、炭素濃度5×1018cm−3のGaNを、波長488nmのレーザを照射して顕微ラマン分光装置(Horiba-Jobin-Yvon製HR-800)にて測定したときのラマンスペクトルの一例を示すグラフである。なお、縦軸は散乱強度、横軸は波数である。図2のAで示す斜線部は、一例として740±5cm−1の範囲にピークを有するラマンスペクトルの面積強度値を示す領域である。本発明では、GaN中の炭素濃度が高くなると、690cm−1以上785cm−1以下の範囲に存在するピークを有するラマンスペクトルの散乱強度も、これに比例して大きくなることを利用したものである。 ところで、特許文献1に記載の発明は、得られたスペクトルのL0ピークまたはL−ピークの「高さ」が、GaAs結晶中の正孔濃度によって変化することを利用して、炭素濃度の同定を行うものである。これは、GaAs中の炭素の活性率が100%、すなわち炭素濃度=正孔濃度であることを利用したものである。 一方、AlxGa1-xN(0≦x≦0.3)で示される窒化物半導体は、炭素等の不純物が少ない状態ではn型導電性を示し、炭素濃度が高くなると抵抗率が高くなることが知られている。すなわち、GaAsの場合とは異なり、炭素濃度と正孔濃度(GaNの場合電子濃度)の間に比例関係が成立しない。 そして、AlxGa1-xN(0≦x≦0.3)において、特定のスペクトルのピークの高さを用いて、例えばSIMSにて同じ測定対象サンプルを測定したときの炭素濃度と同定しても、相関性が低かった。これは、GaAsのGaNとでは、存在する炭素の挙動に違いがあることに起因するものと考えられる。 そこで、本発明は、炭素濃度との相関性が高いピークが690cm−1以上785cm−1以下の範囲に存在すること、さらに、スペクトルのピークの高さではなく面積強度値を適用する事で、より炭素濃度との相関性が高くなることを利用し、精度のよい炭素濃度の同定を行う方法を見出したものである。 なお、本発明では、690cm−1未満および785cm−1超の範囲では、GaNのラマンスペクトルのピークは観察されないので、該範囲は考慮する必要はない。面積強度値は、図2に示すように、対象とするスペクトルのピークの裾野にベースラインを引き、該べースラインとラマンスペクトルで囲まれた範囲を積分して得られる面積とする。なおベースラインの引き方は、公知の手法による。炭素の同定には、SIMSの測定値を用いたが、比較対象とする他の炭素濃度測定方法に、SIMS以外の公知の測定方法を、適時選択して適用してもよい。 また本発明においては、ラマンスペクトルの面積強度値を算出するのに用いるピークを、740±5cm−1、763±5cm−1、775±5cm−1の範囲に存在する各ピークのうち少なくともいずれか1つであると、より好ましい。例えば740±5cm−1の範囲にピークを有するとは、炭素濃度との相関性が高いスペクトルのピーク位置が740±5cm−1の範囲内に存在することを示す。これは、±5cm−1の範囲内ではこのピークの影響が支配的であり、炭素濃度との高い相関性が十分得られることによるものである。 図2に示すように、GaNのラマンスペクトルは、740cm−1付近と、763cm−1付近と775cm−1付近に、それぞれピークがみられる。このうち、775cm−1付近のピークは、740cm−1付近のピークに比べると強度は弱いが、炭素濃度とラマンスペクトルの面積強度値の相関性は同等以上であることが分かった。 すなわち、強度の強い740cm−1付近のピークだけでなく、763cm−1付近のピーク、775cm−1付近のピークのいずれを用いても、ほぼ同等の精度で炭素濃度を同定する事ができる。さらに、740±5cm−1、763±5cm−1、775±5cm−1の各ピークの面積強度は、測定条件や装置間で変化する。そこで、各ピークの面積強度をGaNのE2Hラマンピーク(568cm−1)の面積強度で割って各強度比を規格化してもよい。このようにすることで、各ピーク間の強度変化の影響を減らすことができる。なお、740cm−1付近のピーク、763cm−1付近のピーク、775cm−1付近のピークは、ピークの発現に寄与する因子の影響がそれぞれ若干異なっている。これは、740cm−1付近のピークは、quasiE1(LO)モードで炭素ドープにより結晶性が低下したことで、強度が大きくなることによる。なお、上記のピーク強度の増大は、炭素以外の元素、例えばマグネシウム(Mg)やシリコン(Si)のドープでも起こる可能性がある。そこで、本発明では、これら各ピークのもつ特性の違いを利用して、炭素濃度の測定精度をより向上させることや、炭素濃度以外のドーパント濃度、結晶欠陥濃度、結晶性評価にも応用する事も可能である。 その他、複数のピークを用いて炭素濃度を同定する方法がいくつか挙げられる。例えば740cm−1付近のピークにより得られた炭素濃度と同定結果と、残りのピークにより得られた炭素濃度と同定結果との平均をとってもよい。 あるいは、炭素濃度が低い領域、例えば1017cm−3から1018cm−3では、740cm−1付近のピークを用い、炭素濃度が高い領域、例えば1020cm−3超では、763cm−1付近のピーク、775cm−1付近のピークを優先して用いてもよい。なお、本発明に係る窒化物半導体中の炭素濃度測定方法は、炭素に加えてシリコンが1018cm−3以上1021cm−3以下ドーピングされている窒化物半導体でも、同様に炭素濃度の同定が精度よく行える。これは、シリコンはGaN中ではn型ドーパントとして作用するが、炭素はドーパントとして作用しないので、ラマンスペクトルのピーク発現位置に影響しないものと考えられる。これは、GaAs中の各種ドーパントの場合とは異なる挙動といえる。さらに、本発明に係る窒化物半導体中の炭素濃度測定方法を用いることで、窒化物半導体中の炭素濃度を精度よく調節することができる。従って、特にトランジスタの設計において、窒化物半導体層の炭素濃度を精密に制御して製造することができる。炭素濃度の測定は、窒化物半導体層を形成した基板を劈開して、その断面を測定して炭素濃度を得てもよい。なお、気相成長装置内に組み入れて、窒化物半導体を気相成長しながら炭素濃度を測定し、その結果を製造条件に逐次フィードバックする製造プロセスを構築することも可能である。 以上、本発明に係る窒化物半導体中の炭素濃度測定方法では、従来、十分な精度で測定する事が困難であった窒化物半導体中の炭素濃度を、簡易かつ精度よく測定することができるようになり、本測定方法を製造工程に適用することで、炭素濃度が精密に制御された、高品質の窒化物半導体基板を製造することができる。以下、本発明の好ましい実施形態を実施例に基づいて説明するが、本発明は、下記実施例により限定されるものではない。 [実験1]4インチのSi単結晶基板上に、気相成長法によって、原料としてトリメチルアルミニウム、トリメチルガリウム、アンモニアを適時選択して用い、1000℃の温度にてAlNとGaNを交互に積層して厚さ1μmのバッファ層を形成した。このバッファ層上にトリメチルガリウムとアンモニアを用いて、厚さ1μmの高炭素濃度GaN層を形成した。この時、原料ガスの流量や成膜温度等の成膜パラメータを適時制御することで、高炭素濃度GaN層中の炭素濃度を3水準(1×1018cm−3、5×1018cm−3、2×1019cm−3)になるように、それぞれサンプルを作製した。各々のサンプル表面の中央1点に対して、図1に示す構造を有する測定装置を用いて3回測定を行い、ラマンスペクトルのグラフを得た。そして、図2に示すように、740cm−1付近にピークを有するラマンスペクトルの面積強度値をグラフの領域Aを演算処理して算出した。なお、このときのピーク位置は、3回の測定と濃度3水準の計9ポイントの平均で738.1cm−1であった。また、各ピークは736.8cm−1から739.0cm−1の範囲にあり、この場合のピークの範囲は740±3.2cm−1であった。その後、各サンプルのラマンスペクトル測定位置を、SIMSで分析して炭素濃度値を得て、図3に示すように、横軸にSIMS炭素濃度値、縦軸に対応する面積強度値をプロットした。その結果、図3における相関係数は0.86と高い値を示した。これにより、炭素濃度未知のサンプルを本発明で評価すれば、炭素濃度値を精度よく同定する事が可能であることが示された。 [実験2]実験1において、740±5cm−1にあるピークの代わりに775±5cm−1にあるピークを用いて、実験1と同様に面積強度値の算出、SIMSとの相関取りを行った。なお、このときのピーク位置は、3回の測定と濃度3水準の計9ポイントの平均で775.3cm−1であった。また、各ピークは774.0cm−1から776.0cm−1の範囲にあり、この場合のピークの範囲は775±1cm−1であった。その後、各サンプルのラマンスペクトル測定位置を、SIMSで分析して炭素濃度値を得て、図4に示すように、横軸にSIMS炭素濃度値、縦軸に対応する面積強度値をプロットした。その結果、図4における相関係数は0.86であった。これにより、775±5cm−1の範囲にピークを有するスペクトルの面積強度値を用いても、740±5cm−1の範囲にピークを有するスペクトルと同様の結果を得ることができた。1 レーザ発振器2 入射レーザ光3 鏡4 散乱光5 GaN6 対物レンズ7 集光レンズ8 空間スリット9 検出器10 分光器AlxGa1-xN(0≦x≦0.3)で表される窒化物半導体中の炭素濃度をラマン分光法で測定する方法であって、690cm−1以上785cm−1以下の範囲に存在するピークを有するラマンスペクトルの面積強度値から前記炭素濃度を同定することを特徴とする窒化物半導体中の炭素濃度測定方法。 ラマンスペクトルの面積強度値を算出するのに用いるピークは、740±5cm−1、763±5cm−1、775±5cm−1の範囲に存在する各ピークのうち少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体中の炭素濃度測定方法。 請求項1または2のいずれかに記載の窒化物半導体中の不純物濃度測定方法を用いて、前記窒化物半導体中の炭素濃度を調節することを特徴とする窒化物半導体の製造方法。 【課題】窒化物半導体中の炭素濃度を、ラマン分光法で精度よく測定する。【解決手段】AlxGa1-xN(0≦x≦0.3)で表される窒化物半導体中の炭素濃度をラマン分光法で測定する方法であって、690cm−1以上785cm−1以下の範囲にピークを有するラマンスペクトルの面積強度値を用いて前記炭素濃度を同定することを特徴とする窒化物半導体中の炭素濃度測定方法であり、さらには、740±5cm−1、763±5cm−1、775±5cm−1に各ピークを有するラマンスペクトルの面積強度値を用いることで、より測定精度が向上する。【選択図】図2


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る