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タイトル:公開特許公報(A)_非水電解液用添加剤、非水電解液、及び、蓄電デバイス
出願番号:2014068815
年次:2015
IPC分類:H01M 10/0567,H01M 10/0569,H01M 10/0568,H01M 10/052,H01G 11/64,H01G 11/06,C07C 321/28,C07C 321/30,H01G 11/60,C07D 303/34


特許情報キャッシュ

藤田 浩司 高井 恭幸 河野 佑軌 JP 2015191808 公開特許公報(A) 20151102 2014068815 20140328 非水電解液用添加剤、非水電解液、及び、蓄電デバイス 住友精化株式会社 000195661 特許業務法人 安富国際特許事務所 110000914 藤田 浩司 高井 恭幸 河野 佑軌 H01M 10/0567 20100101AFI20151006BHJP H01M 10/0569 20100101ALI20151006BHJP H01M 10/0568 20100101ALI20151006BHJP H01M 10/052 20100101ALI20151006BHJP H01G 11/64 20130101ALI20151006BHJP H01G 11/06 20130101ALI20151006BHJP C07C 321/28 20060101ALI20151006BHJP C07C 321/30 20060101ALI20151006BHJP H01G 11/60 20130101ALI20151006BHJP C07D 303/34 20060101ALN20151006BHJP JPH01M10/0567H01M10/0569H01M10/0568H01M10/052H01G11/64H01G11/06C07C321/28C07C321/30H01G11/60C07D303/34 9 OL 14 4C048 4H006 5E078 5H029 4C048AA01 4C048BB17 4C048CC02 4C048UU10 4C048XX01 4H006AA01 4H006AA03 4H006AB91 4H006TA04 5E078AA01 5E078AA03 5E078AA05 5E078AB06 5E078DA03 5E078DA06 5E078DA14 5H029AJ03 5H029AJ05 5H029AJ06 5H029AJ07 5H029AK01 5H029AK03 5H029AL02 5H029AL06 5H029AL07 5H029AL08 5H029AL11 5H029AL12 5H029AM02 5H029AM03 5H029AM04 5H029AM05 5H029AM07 5H029HJ02本発明は、非水電解液用添加剤に関する。また、本発明は、該非水電解液用添加剤を含む非水電解液、及び、該非水電解液を用いた蓄電デバイスに関する。近年、環境問題の解決、持続可能な循環型社会の実現に対する関心が高まるにつれ、リチウムイオン電池に代表される非水電解液二次電池の研究が広範囲に行われている。なかでも、リチウムイオン電池は高い使用電圧とエネルギー密度から、ノート型パソコン、携帯電話等の電源として用いられている。これらのリチウムイオン電池は、鉛電池やニッケルカドミウム電池と比較してエネルギー密度が高く、高容量化の実現が期待されている。しかしながら、リチウムイオン電池には、充放電サイクルの経過に伴って電池の容量が低下するという問題がある。これは、長期間の充放電サイクルの経過に伴い、電極反応による電解液の分解や電極活物質層への電解質の含浸性の低下、更にリチウムイオンのインターカレーション効率の低下が生じること等が要因に挙げられる。充放電サイクルの経過に伴う電池の容量の低下を抑制する方法として、電解液に各種添加剤を加える方法が検討されている。添加剤は、最初の充放電時に分解され、電極表面上に固体電解質界面(SEI)と呼ばれる被膜を形成する。SEIは、充放電サイクルの最初のサイクルにおいて形成するため、電解液の分解に電気が消費されることはなく、リチウムイオンはSEIを介して電極を行き来することができる。すなわち、SEIの形成は充放電サイクルを繰り返した場合の非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの劣化を防ぎ、電池特性、保存特性又は負荷特性等を向上させることに大きな役割を果たすと考えられている。SEIを形成する電解液用添加剤として、例えば、特許文献1〜3には、環状モノスルホン酸エステル、特許文献4には、含硫黄芳香族化合物、特許文献5にはジスルフィド化合物、特許文献6〜9にはジスルホン酸エステルがそれぞれ開示されている。また、特許文献10〜13には、ビニレンカーボネートやビニルエチレンカーボネートを含有する電解液が開示されており、特許文献14、15には、1,3−プロパンスルトンやブタンスルトンを含有する電解液が開示されている。特開昭63−102173号公報特開2000−003724号公報特開平11−339850号公報特開平05−258753号公報特開2001−052735号公報特開2009−038018号公報特開2005−203341号公報特開2004−281325号公報特開2005−228631号公報特開平04−87156号公報特開平05−74486号公報特開平08−45545号公報特開2001−6729号公報特開昭63−102173号公報特開平10−50342号公報非水電解液二次電池等の電極における電気化学的還元に対する非水電解液用添加剤の適応性の指標として、例えば、「Geun−Chang,Hyung−Jin kim,Seung−ll Yu,Song−Hui Jun,Jong−Wook Choi,Myung−Hwan Kim.Journal of The Electrochemical Society,147,12,4391(2000)」には、非水電解液用添加剤を構成する化合物のLUMO(最低空分子軌道)エネルギーのエネルギー準位を用いる方法が報告されている。このような文献では、LUMOエネルギーが低い化合物ほど優れた電子受容体であり、非水電解液二次電池等の電極表面上に安定なSEIを形成することができる非水電解液用添加剤になるとされている。従って、化合物のLUMOエネルギーを測定することにより、該化合物が非水電解液二次電池等の電極表面上に安定なSEIを形成する性能を有するかどうかを容易に評価することができ、この方法が現在では非常に有用な手段となっている。一方で、特許文献1〜9に開示されている化合物は、LUMOエネルギーが高く、非水電解液用添加剤としての性能が不充分であったり、LUMOエネルギーが低くても化学的に不安定であったりする等の問題があった。とりわけ、ジスルホン酸エステル化合物は低いLUMOエネルギーを示すものの、水分に対する安定性が低く容易に劣化するため、長期間保管する場合には、厳密な水分含有量及び温度の管理が必要であった。更に、例えば、一般的にリチウムイオン電池としては約60℃、リチウムイオンキャパシタとしては約80℃の耐熱温度が求められていることから、蓄電デバイスに用いられる非水電解液用添加剤の高温での安定性の向上は重要な課題の1つであった。また、電極表面に形成されるSEIの性能は、用いる添加剤によって異なり、サイクル特性、充放電容量、内部抵抗等、多くの電池特性に深く関与している。しかしながら、従来の添加剤を用いた場合では、充分な性能を持つSEIを形成させ、長期に亘ってその電池特性を高く維持し続けることは困難であった。例えば、特許文献10〜15に記載されているビニレンカーボネート系化合物や1,3−プロパンスルトン等のスルトン系化合物を添加剤として用いた電解液は、負極表面上に電気化学的還元分解を生じて生成したSEIによって、不可逆的な容量低下を抑制することが可能となっている。しかし、これらの添加剤によって形成されたSEIは電極を保護する性能に優れるものの、リチウムイオンのイオン伝導性が低いため、内部抵抗を低下させる性能は小さかった。更に、形成されたSEIは、長期間の使用に耐える強度がなく、使用中にSEIが分解したり、SEIに亀裂が生じたりすることによって負極表面が露出し、電解液の分解が生じて電池特性が低下するといった問題点があった。このように、従来の非水電解液用添加剤は、電極を保護する性能や内部抵抗を低下させる等の性能において、長期に亘って充分な性能を有するものではなく、改善の余地があった。即ち、電極表面上に安定で、かつ、サイクル特性、充放電容量、内部抵抗等を向上させるSEIを形成させ、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの電池特性を向上させる新規な電解液用添加剤の開発が求められていた。本発明は、保存安定性に優れ、蓄電デバイスに用いた場合に、電極表面上に安定なSEIを形成してサイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性を改善することができる非水電解液用添加剤を提供することを目的とする。また、本発明は、該非水電解液用添加剤を用いた非水電解液、及び、該非水電解液を用いた蓄電デバイスを提供することを目的とする。本発明は、下記式(1)で表される含硫黄ジフェニレン化合物(以下、「本発明にかかる含硫黄ジフェニレン化合物」ともいう)を含有する非水電解液用添加剤である。なお、本発明の非水電解液用添加剤は、本発明にかかる含硫黄ジフェニレン化合物のみを含有するものに限定されず、本発明の目的を損なわない範囲で、他の成分を含有してもよい。式(1)中、X1及びX2は、ビニル基、アリル基、又は、グリシジル基を示し、Yは、硫黄原子又は−SO2−基を示す。以下に本発明を詳細に説明する。本発明者らは、前記式(1)で表される含硫黄ジフェニレン化合物は、硫黄原子を3個有することで、電気化学的還元を受けやすい低いLUMOエネルギーを示し、かつ、化学的に安定であることを見出した。そこで本発明者らは、該含硫黄ジフェニレン化合物を含有する非水電解液用添加剤を非水電解液に含有させ、更に該非水電解液を非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電極表面上に安定なSEIを形成してサイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性を改善することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明にかかる含硫黄ジフェニレン化合物が、非水電解液用添加剤として、サイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性を改善する理由は詳らかではないが、次のように考えられる。本発明にかかる含硫黄ジフェニレン化合物は、重合性の高い化合物であり、電気化学的還元を受けた際に直ちに重合し、硫黄原子を含む極性基を多数含有するSEIを形成すると考えられる。この被膜に含有する硫黄原子は非共有電子対を持つためリチウムイオンとの相互作用性が高く、硫黄原子を含む極性基を多数含有するSEIは、優れたイオン伝導度を示すことができることから、非常に高性能なSEIであると考えられる。このSEIが形成した結果、内部抵抗の増加を抑制し、サイクル特性、充放電容量等の電池特性を改善させることができるものと思われる。前記式(1)中、X1及びX2は、ビニル基、アリル基、又は、グリシジル基を示し、Yは、硫黄原子、又は、−SO2−基を示す。X1及びX2は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよいが、製造が容易である等の観点から、同一の基であることが好ましい。本発明にかかる含硫黄ジフェニレン化合物としては、例えば、ビス(4−エテニルチオフェニル)スルフィド、ビス(4−プロペニルチオフェニル)スルフィド、ビス(4−グリシジルチオフェニル)スルフィド、ビス(4−エテニルチオフェニル)スルホン、ビス(4−プロペニルチオフェニル)スルホン、及び、ビス(4−グリシジルチオフェニル)スルホン等が挙げられる。これらのなかでも、保存安定性の観点等からビス(4−グリシジルチオフェニル)スルフィド、ビス(4−グリシジルチオフェニル)スルホンが好ましい。本発明にかかる含硫黄ジフェニレン化合物を製造する方法としては、例えば、対応するジチオール化合物にハロゲン化物を反応させる方法等が挙げられる。具体的には例えば、前記式(1)における、Yが硫黄原子であり、X1及びX2が共にビニル基である化合物(ビス(4−エテニルチオフェニル)スルフィド)を製造する場合は、ジチオール化合物にジハロエタンを反応させた後、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒中で、脱ハロゲン化水素をする方法や、ジチオール化合物とハロゲン化ビニルとを塩基の存在下に反応させる方法等を用いることができる。本発明にかかる含硫黄ジフェニレン化合物は、電気化学的還元を受けやすい低いLUMOエネルギーを示すため、本発明にかかる含硫黄ジフェニレン化合物を含有する本発明の非水電解液用添加剤は、非水電解液に含有されて非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電極表面上に安定なSEIを形成してサイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性を改善することができる。また、本発明にかかる含硫黄ジフェニレン化合物は、水分や温度変化に対して安定であるため、本発明にかかる含硫黄ジフェニレン化合物を含有する本発明の非水電解液用添加剤は、長期間、室温で保存することが可能である。したがって、該非水電解液用添加剤を含有する非水電解液も、長期間の保存及び使用に耐えることができる。本発明の非水電解液用添加剤、非水溶媒、及び、電解質を含有する非水電解液もまた、本発明の1つである。本発明の非水電解液における本発明の非水電解液用添加剤の含有量の好ましい下限は0.005質量%、好ましい上限は10質量%である。本発明の非水電解液用添加剤の含有量が0.005質量%未満であると、非水電解液二次電池等に用いた場合に電極表面での電気的分解によって安定なSEIを充分に形成できないおそれがある。本発明の非水電解液用添加剤の含有量が10質量%を超えると、溶解しにくくなるだけでなく非水電解液の粘度が上昇し、イオンの移動度を充分に確保できなくなるため、電解液の導電性等を充分に確保することができず、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に充放電特性等に支障をきたすことがある。本発明の非水電解液用添加剤の含有量のより好ましい下限は0.01質量%である。なお、本発明の非水電解液用添加剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本発明の非水電解液用添加剤を2種以上用いる場合の合計の含有量は、好ましい下限が0.005質量%、好ましい上限が10質量%である。本発明の非水電解液は、必要に応じて、本発明の非水電解液用添加剤と共に、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、1,3−プロパンスルトン(PS)等の一般的な添加剤を含有してもよい。前記非水溶媒としては、得られる非水電解液の粘度を低く抑える等の観点から、非プロトン性溶媒が好適である。なかでも、環状カーボネート、鎖状カーボネート、脂肪族カルボン酸エステル、ラクトン、ラクタム、環状エーテル、鎖状エーテル、スルホン、及び、これらのハロゲン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。なかでも、環状カーボネート、鎖状カーボネートがより好ましく用いられる。前記環状カーボネートとしては、例えば、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン等が挙げられる。前記鎖状カーボネートとしては、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸エチルメチル等が挙げられる。前記脂肪族カルボン酸エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル等が挙げられる。前記ラクトンとしては、例えば、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。前記ラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が挙げられる。前記環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン等が挙げられる。前記鎖状エーテルとしては、例えば、1,2−ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン等が挙げられる。前記スルホンとしては、例えば、スルホラン等が挙げられる。前記ハロゲン誘導体としては、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン等が挙げられる。これらの非水溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの非水溶媒は、例えば、リチウムイオン電池等の非水電解液二次電池や、リチウムイオンキャパシタ等の電気二重層キャパシタ等に好ましく用いられる。前記電解質としては、リチウムイオンのイオン源となるリチウム塩が好ましい。なかでも、LiAlCl4、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、及び、LiSbF6からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでも、解離度が高く電解液のイオン伝導度を高めることができ、さらには耐酸化還元特性により長期間使用による蓄電デバイスの性能劣化を抑制する作用がある等の観点から、LiBF4及び/又はLiPF6であることがより好ましい。これらの電解質は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、前記LiBF4、LiPF6が用いられる場合、非水溶媒としては、環状カーボネート及び鎖状カーボネートをそれぞれ1種以上混合することが好ましく、炭酸エチレン及び炭酸ジエチルを混合することがより好ましい。本発明の非水電解液における前記電解質の濃度の好ましい下限は0.1mol/L、好ましい上限は2.0mol/Lである。前記電解質の濃度が0.1mol/L未満であると、非水電解液の導電性等を充分に確保することができず、蓄電デバイスに用いた場合に放電特性及び充電特性等に支障をきたすことがある。前記電解質の濃度が2.0mol/Lを超えると、粘度が上昇し、イオンの移動度を充分に確保できなくなるため、非水電解液の導電性等を充分に確保することができず、蓄電デバイスに用いた場合に放電特性及び充電特性等に支障をきたすことがある。前記電解質の濃度のより好ましい下限は0.5mol/L、より好ましい上限は1.5mol/Lである。本発明の非水電解液、正極、及び、負極を備えた蓄電デバイスもまた、本発明の1つである。蓄電デバイスとしては、非水電解液二次電池や電気二重層キャパシタ等がある。これらの中でもリチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタが好適である。図1は、本発明の蓄電デバイスの一例を模式的に示した断面図である。図1において、本発明の蓄電デバイスにかかる非水電解液二次電池1は、正極集電体2の一方面側に正極活物質層3が設けられてなる正極板4、及び、負極集電体5の一方面側に負極活物質層6が設けられてなる負極板7を有する。正極板4と負極板7とは、本発明の非水電解液8と非水電解液8中に設けたセパレータ9を介して対向配置されている。なお、図1では、蓄電デバイスとして非水電解液二次電池を示したが、本発明の蓄電デバイスはこれに限定されることはなく、その他の電気二重層キャパシタ等の蓄電デバイスにも適用できる。前記正極集電体2及び前記負極集電体5としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属からなる金属箔を用いることができる。前記正極活物質層3に用いる正極活物質としては、リチウム含有複合酸化物が好ましく用いられ、例えば、LiMnO2、LiFeO2、LiCoO2、LiMn2O4、Li2FeSiO4、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、LiFePO4等のリチウム含有複合酸化物が挙げられる。前記負極活物質層6に用いる負極活物質としては、例えば、リチウムを吸蔵、放出することができる材料が挙げられる。このような材料としては、黒鉛、非晶質炭素等の炭素材料や、酸化インジウム、酸化シリコン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化リチウム等の酸化物材料等が挙げられる。また、負極活物質として、リチウム金属、及び、リチウムと合金を形成することができる金属材料を用いることもできる。前記リチウムと合金を形成することができる金属としては、例えば、Cu、Sn、Si、Co、Mn、Fe、Sb、Ag等が挙げられ、これらの金属とリチウムを含む2元又は3元からなる合金を用いることもできる。これらの負極活物質は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記セパレータ9としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂等からなる多孔質フィルムを用いることができる。本発明によれば、保存安定性に優れ、蓄電デバイスに用いた場合に、電極表面上に安定なSEIを形成してサイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性を改善することができる非水電解液用添加剤を提供することができる。また、本発明によれば、該非水電解液用添加剤を用いた非水電解液、及び、該非水電解液を用いた蓄電デバイスを提供することができる。本発明の蓄電デバイスの一例を模式的に示した断面図である。以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。(実施例1)炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として表1に示した化合物1を、含有割合が0.5質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。(実施例2)化合物1の含有割合を1.0質量%となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製した。(実施例3)化合物1に代えて、表1に示した化合物2を含有割合が1.0質量%となるように添加したこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製した。(実施例4)化合物1に代えて、表1に示した化合物3を含有割合が1.0質量%となるように添加したこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製した。(実施例5)化合物1に代えて、表1に示した化合物4を含有割合が1.0質量%となるように添加したこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製した。(実施例6)化合物1に代えて、表1に示した化合物5を含有割合が1.0質量%となるように添加したこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製した。(実施例7)化合物1に代えて、表1に示した化合物6を含有割合が1.0質量%となるように添加したこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製した。(比較例1)化合物1を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製した。(比較例2)化合物1に代えて、1,3−プロパンスルトンを含有割合が1.0質量%となるように添加したこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製した。(比較例3)化合物1に代えて、ビニレンカーボネート(VC)を含有割合が1.0質量%となるように添加したこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製した。(比較例4)ビニレンカーボネート(VC)の含有割合を2.0質量%となるようにしたこと以外は、比較例3と同様にして非水電解液を調製した。(比較例5)化合物1に代えて、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を含有割合が1.0質量%となるように添加したこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製した。(比較例6)フルオロエチレンカーボネート(FEC)の含有割合を2.0質量%となるようにしたこと以外は、比較例5と同様にして非水電解液を調製した。(比較例7)化合物1における式(1)のYの部分を硫黄原子から酸素原子に変えた化合物(ビス(4−エテニルチオフェニル)エーテル)を含有割合が1.0質量%となるように添加したこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製した。(比較例8)化合物2における式(1)のYの部分を硫黄原子から酸素原子に変えた化合物(ビス(4−プロペニルチオフェニル)エーテル)を含有割合が1.0質量%となるように添加したこと以外は、実施例3と同様にして非水電解液を調製した。(比較例9)化合物3における式(1)のYの部分を硫黄原子から酸素原子に変えた化合物(ビス(4−グリシジルチオフェニル)エーテル)を含有割合が1.0質量%となるように添加したこと以外は、実施例4と同様にして非水電解液を調製した。<評価>(LUMOエネルギーの測定)実施例で用いた化合物1〜6について、LUMO(最低空分子軌道)エネルギーを測定するため、Gaussian03ソフトウェアにより、半経験的分子軌道計算を行った。軌道計算により得られた化合物1〜6のLUMOエネルギーを表1に示した。(安定性)実施例で用いた化合物1〜6、及び、比較例5、6で用いたフルオロエチレンカーボネート(FEC)について、温度40±2℃、湿度75±5%の恒温恒湿環境下で90日間の保存試験を行い、1H−核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定し、保存前後の各化合物のピークを確認し、保存前後で1H−NMRのピーク変化がなかった場合を「○」、保存前後で1H−NMRのわずかなピーク変化が確認された場合を「△」、保存前後で1H−NMRの明らかなピーク変化が確認された場合を「×」として安定性を評価した。結果を表2に示した。表2に示したように、比較例5、6で用いたフルオロエチレンカーボネート(FEC)は、一部加水分解されていると考えられ、安定性が劣るものであった。一方、実施例で用いた化合物1〜6は、ほとんど変化が見られず、安定性に優れるものであった。(放電容量維持率及び内部抵抗比の評価)正極活物質としてLiMn2O4、及び、導電性付与剤としてカーボンブラックを乾式混合し、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させ、スラリーを作製した。得られたスラリーを正極集電体となるアルミ金属箔(角型、厚さ20μm)上に塗布後、NMPを蒸発させることにより正極シートを作製した。得られた正極シート中の固形分比率は、質量比で、正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10とした。一方、負極シートとして、市販の黒鉛塗布電極シート(宝泉社製)を用いた。実施例及び比較例で得られた各非水電解液中にて、負極シートと正極シートとを、ポリエチレンからなるセパレータを介して積層し、円筒型二次電池を作製した。得られた各円筒型二次電池に対して、25℃において、充電レートを0.3C、放電レートを0.3C、充電終止電圧を4.2V、及び、放電終止電圧を2.5Vとして充放電サイクル試験を行った。200サイクル後の放電容量維持率(%)と200サイクル後の内部抵抗比を表3に示した。なお、「200サイクル後の放電容量維持率(%)」とは、200サイクル試験後の放電容量(mAh)を、10サイクル試験後の放電容量(mAh)で割った値に100をかけたものである。また、「200サイクル後の内部抵抗比」とは、サイクル試験前の抵抗を1としたときの、200サイクル試験後の抵抗を相対値で示したものである。表3から、本発明にかかる含硫黄ジフェニレン化合物である化合物1〜6を含む各実施例の非水電解液を用いた円筒型二次電池は、比較例の非水電解液を用いた円筒型二次電池と比較して、サイクル試験時における放電容量維持率が高いことが分かる。従って、本発明にかかる含硫黄ジフェニレン化合物を非水電解液用添加剤として含む実施例の非水電解液を非水電解液二次電池に用いた場合、比較例の非水電解液を用いた場合と比較して、非水電解液二次電池の電極表面上に充放電サイクルに対して安定なSEIを形成していることがわかる。また、実施例の非水電解液は、内部抵抗比が小さいことから、サイクル時による内部抵抗の増加を抑制できることが分かる。本発明によれば、保存安定性に優れ、蓄電デバイスに用いた場合に、電極表面上に安定なSEIを形成してサイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性を改善することができる非水電解液用添加剤を提供することができる。また、本発明によれば、該非水電解液用添加剤を用いた非水電解液、及び、該非水電解液を用いた蓄電デバイスを提供することができる。1 非水電解液二次電池2 正極集電体3 正極活物質層4 正極板5 負極集電体6 負極活物質層7 負極板8 非水電解液9 セパレータ下記式(1)で表される含硫黄ジフェニレン化合物を含有することを特徴とする非水電解液用添加剤。式(1)中、X1及びX2は、ビニル基、アリル基、又は、グリシジル基を示し、Yは、硫黄原子又は−SO2−基を示す。請求項1記載の非水電解液用添加剤、非水溶媒、及び、電解質を含有する非水電解液。非水溶媒は、非プロトン性溶媒である請求項2記載の非水電解液。非プロトン性溶媒は、環状カーボネート、鎖状カーボネート、脂肪族カルボン酸エステル、ラクトン、ラクタム、環状エーテル、鎖状エーテル、スルホン、及び、これらのハロゲン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種である請求項3記載の非水電解液。電解質は、リチウム塩を含有する請求項2、3又は4記載の非水電解液。リチウム塩は、LiAlCl4、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、及び、LiSbF6からなる群より選択される少なくとも1種である請求項5記載の非水電解液。請求項2、3、4、5又は6記載の非水電解液、正極、及び、負極を備えた蓄電デバイス。蓄電デバイスがリチウムイオン電池である、請求項7記載の蓄電デバイス。蓄電デバイスがリチウムイオンキャパシタである、請求項7記載の蓄電デバイス。 【課題】保存安定性に優れ、蓄電デバイスに用いた場合に、電極表面上に安定な固体電解質界面を形成してサイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性を改善することができる非水電解液用添加剤を提供する。また、該非水電解液用添加剤を用いた非水電解液、及び、該非水電解液を用いた蓄電デバイスを提供する。【解決手段】下記式(1)で表される含硫黄ジフェニレン化合物を含有する非水電解液用添加剤。[化1]式(1)中、X1及びX2は、ビニル基、アリル基、又は、グリシジル基を示し、Yは、硫黄原子又は−SO2−基を示す。【選択図】なし


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