生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_連続的フロー多段階反応による医薬品の製造方法
出願番号:2014066958
年次:2015
IPC分類:C07B 53/00,C07D 207/277,C07D 207/267,C07D 201/02,C07B 61/00,A61K 31/4015


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小林 修 坪郷 哲 JP 2015172025 公開特許公報(A) 20151001 2014066958 20140311 連続的フロー多段階反応による医薬品の製造方法 東京化成工業株式会社 591105993 小林 修 坪郷 哲 C07B 53/00 20060101AFI20150904BHJP C07D 207/277 20060101ALI20150904BHJP C07D 207/267 20060101ALI20150904BHJP C07D 201/02 20060101ALI20150904BHJP C07B 61/00 20060101ALN20150904BHJP A61K 31/4015 20060101ALN20150904BHJP JPC07B53/00 GC07D207/277C07D207/267C07D201/02C07B53/00 FC07B53/00 BC07B61/00 300A61K31/4015 4 1 書面 12 4C069 4C086 4H006 4H039 4C069AB15 4C069BA08 4C069BC12 4C069BD03 4C069CC02 4C069CC25 4C086AA04 4C086BC08 4H006AA02 4H006AC81 4H039CA42 4H039CB40 4H039CD40 この発明は、直列に接続した連続的フロー合成装置を複数接続し、原料から一度に多段階の反応を行うことで医薬品あるいはその合成中間体となる光学活性化合物を入手する方法であり、医薬品およびその中間体を非常に単純かつ簡便に提供する方法を供するものである。 有機合成的手法を用いて合成医薬品、研究用生理活性物質などを製造する基盤技術として、液相中でバッチ反応を行う手法が広く用いられている。これら有機合成に求められる条件として、工業スケールレベルでの反応の制御と、プロセスを重視した製法の構築が挙げられる。特に反応釜を用いた製造では、小スケール時の結果がスケールアップ時に再現されないことがしばしば起こる。また小スケールでは無視できた廃棄物も、スケールアップ時には処理の対応が必要となる場合もある。 廃棄物の問題は近年の触媒化学の発展により、TONやTOFの高い触媒が開発、活用されることで削減効果は著しく向上している。また、環境調和型の研究の発展により、ほとんど廃棄物が出ない反応システムも開発されている。これら技術を支える触媒は、触媒の活性向上はもちろんだが、触媒を担持する基盤の研究の発展が大きい。水に対して疎水性と親和性を示す基質を基盤とし、そこに触媒を担持させることで水中でも反応可能な固体触媒の開発が進んでいる(非特許文献1−2)。 固体触媒を用いる合成手法として、固相に触媒を固定させ、マイクロリアクターにより接触的かつ連続的に反応させる方法が注目されている。マイクロリアクターでは流路を工夫することで、多数の反応基質を順次反応させるハイスループットなスクリーニングシステムが可能になる(非特許文献3−5)。このようにフロー型の合成システムは、大スケールにおけるバッチ合成の欠点を解決する手法として、近年着目されている合成プロセスの1つである。 フロー合成システムは送液ライン上に反応場を設けることで、送液中の試料を少しずつ反応させるものである。そのため反応の温度制御がバッチ反応に比べ容易であることから、精密有機合成を行う上で非常に有効な手段となっている。また反応場のみ温度コントロールすれば良いので、バッチ合成に比べてエネルギー消費が少なくなる傾向がある。さらにバッチ合成では、反応スケールに応じた温度コントロールと攪拌効率などが求められる。これら要素は反応スケールが大きくなるに従い、局部的なムラが生じやすくなるため無視できなくなる。そのため小スケールで得られた実験結果を大スケールでも再現性よく反映させることは、精密な反応になればなるほど困難になる。 一方、フロー合成システムでは、反応スケールが変化しても送液量と反応場が一定に保てるため、反応に寄与する部分では同一条件が維持される。そのため、バッチ合成で懸念される諸問題はほとんど解決される。さらに、反応触媒を固定化させるので、反応後の触媒除去操作が不要であり、触媒を除去するためにトラップ剤などを用いる必要はなくなる。これら数多くのメリットがあるにも関わらず、フロー合成システムを活用した報告例は非常に少ない。 近年、フロー合成やバッチ反応に利用可能な固体触媒が多く開発されており、特に天然物や合成キラル化合物が配位した金属触媒、または酵素を固相担体に担持することで不斉合成に利用されている(非特許文献1−2、非特許文献6)。特に平面性キラル配位子であるBoxやPyboxは化学的に安定であり、金属との錯体を触媒として用いると優れた不斉誘導を示すことから、シリカゲルやポリスチレンなどの担体に導入されている(非特許文献6)。 本発明者はポリスチレン樹脂に導入したPS−Pyboxカルシウム錯体を発明しており、これを用いたバッチ反応による不斉合成に利用している(特許文献1)。この発明では中心金属がカルシウム塩であるので環境負荷が少ない上、カルシウム塩が各種有機溶媒に不溶であるため金属の溶出を回避することができる。さらに本発明者はPS−Pyboxカルシウム錯体を固定化し、フロー合成システムに用いて不斉合成を行わせることで、光学活性物質を効率よく得る方法を開発している(特許文献2)。 本発明者はポリ(メチルフェニル)シラン担持パラジウム/アルミナハイブリッド触媒[=Pd/(PSi−Al2O3)]を発明しており、この触媒をカラムに組み込んだ連続フローリアクターを用いて,水素気流下での炭素−炭素二重結合や三重結合の還元を可能としている(非特許文献7−8)。この反応装置はニトロベンゼンのアミノ基への還元、Cbz基の脱保護も可能であり、水を溶媒とする還元反応にも適応することができる。 光学活性な化合物を化学合成する際、大きく分けて2つの合成方法を適切に用いることで、より複雑な骨格を持つ化合物を構築することが可能になる。ひとつは高い立体依選択性をもつ合成的手法を用いて、炭素−炭素結合を構築する方法であり、もうひとつは位置選択的および官能基選択的に官能基変換を可能にする手法である。この2つの手法を組み合わせることで、より複雑な構造を持つ光学活性化合物の合成は達成されるが、バッチ反応で行う手法が一般的であり、固相合成ではDNAやペプチド合成に限られる。フロー合成システムを用いた手法では不斉合成を含まない、シンプルな構造を持つ化合物の合成方法に用いた例に過ぎない。特に、不斉合成を達成させながら連続的に官能基変換を行い、多段階合成を達成させる手法は報告されていない(非特許文献9)。 本発明者はPS−Pyboxカルシウム錯体を固定化したフロー合成システムによる、光学活性物質を効率よく得る方法を開発しており(特許文献2)、さらに水素気流下、Pd/(PSi−Al2O3)を固定化したフロー合成システムを用いることで、炭素−炭素二重結合や三重結合の還元ならびにニトロベンゼンのアミノ基への還元、Cbz基を脱保護する方法を開発している(非特許文献7−8)。この2つのフロー合成装置を適切な位置に直列で接続することで、光学活性な複雑化合物の合成を一度で達成することが可能と考え、多段階フロー合成システムの発明に至った。 特開2013−185150.特開2013−184973. R.Akiyama,S.Kobayashi,Chem.Rev.2009,109,594−642.S.Kobayashi,H.Miyamura,the Chemical Record,2010,10,271−290.B.P.Mason,K.E.Price,J.L.Steinbacher,A.R.Bogdan,D.T.McQuade.Chem.Rev.2007,107,2300−2318.C.Wiles,P.Watts,Eur.J.Org.Chem.2008,1655−1671.T.Fukuyama,Md.T.Rahman,M.Sato,I.Ryu.Synlett 2008,151−163.X.Y.Mak,P.Laurino,P.H.Seeberger.Bejlstein J.Org.Chem,2009,5,No.19.H.Oyamada,R.Akiyama,H.Hagio,T.Naito,S.Kobayashi,Chem.Commun.2006,4297−4299.H.Oyamada,T.Naito,S.Kobayashi,Beilstein J.Org.Chem.2011,7,735−739.T.Tsubogo,T.Ishiwata,S.Kobayashi,Angew.Chem.Int.Ed.2013,52,6590−6604. 本発明が解決しようとする課題は、医薬品およびその中間体の合成に必要な固相不斉合成装置を持つフロー合成システムと、官能基変換に必要な固相合成装置を持つフロー合成システムを適切な位置に直列で接続し、連続的に不斉合成および官能基変換を行わせることで、医薬品を効率よく得ることである。 課題解決のため、発明者らは、不斉合成に不可欠なPS−Pyboxカルシウム錯体を固定化したフロー合成システム、官能基変換に必要なPd/(PSi−Al2O3)を固定化したフロー合成システムをそれぞれ発明し、合成する化合物の合成ステップに応じて、2種類のフロー合成装置を、必要とする工程数に応じて直列に接続した。この連続的多段階合成装置に対し、合成に必要とされる反応基質を通過せしめることで上記課題を達成した。 以上をもって、本課題である連続的フロー多段階反応による、医薬品の製造方法に関する発明がなされたものとする。すなわち上記課題を解決する手段となるフロー合成システムの構成は、図(1)で示される2つのタイプのフロー合成システムから構成される。 上記(0017)において限定されるわけではないが、図(2)に示すような固相酸触媒、あるいは固相塩基触媒を担持させたカラムCを、図(1)に示したフロー合成装置の流路内に導入することも可能である。なお、カラムCの導入位置は流路内の特定の位置に限定されず、所望する合成計画に従い任意の位置で接続することが可能である。また1本のカラムでは反応が十分に進行しない場合には、複数のカラムを連続して接続しても良い。 上記(0017)、(0018)で説明されるフロー合成装置において、溶媒に含まれる水を取り除く必要がある場合、図(3)に示すような乾燥カラムを導入することが可能である。 上記(0017)、(0018)、(0019)で説明されるフロー合成装置において、カラムAにはPyBox配位子をはじめとする、固相担体として適用可能なキラル不斉配位子が用いられる。またこれら触媒と組み合わせる金属種として、パラジウム、カルシウム、スカンジウム、バリウム、銅から選択され、また相当する水和物を用いても良い。好ましくはPS−Pybox配位子が選択されるのが良く、組み合わせるカルシウム塩類は、CaCl2、CaF2、CaBr2、CaI2、Ca(OTf)2、CaCO3のいずれかのカルシウム塩、またはそれらの水和体から選択され、好ましくはCaCl2あるいはその2水和物が挙げられる。 上記(0017)〜(0019)で説明されるフロー合成装置において、カラムBには官能基変換に必要な固相担体として適用可能な固相触媒が用いられる。例えばパラジウム、ルテニウム、白金、ロジウムを固相上に担持した触媒が挙げられ、好ましくはパラジウム/アルミナハイブリッド触媒[=Pd/(PSi−Al2O3)]が適している。 上記(0017)〜(0019)で説明されるフロー合成装置において、カラムCには固相酸触媒、あるいは固相塩基触媒が用いられる。例えばアンバーライトなどのイオン樹脂が選択可能であり、シリカゲルやアルミナゲル等のシリカゲル類、塩化カルシウムや炭酸カリウム等の無機塩が挙げられる。 上記(0017)〜(0019)で説明されるフロー合成装置において、乾燥カラムの充填剤は溶媒に含まれる水分を除去する作用がある化合物が用いられる。例えば塩化カルシウムや、モレキュラーシーブス、シリカゲルやアルミナゲル等のシリカゲル類が挙げられる。 上記(0017)〜(0019)で説明されるフロー合成システムにおいて、有機溶媒を用いることができる。限定するものではないが一例としてトルエンを使うことができる。無水である必要はないが、必要に応じて(0019)、(0023)で説明される乾燥カラムを使用するのが望ましい。 上記(0017)〜(0019)で説明されるフロー合成システムにおいて、反応は−20℃から150℃の間から適宜選択され、恒温槽で温度調整ができるシステムの使用が望ましい。また、用いる反応カラムの数に応じて、任意の温度設定が可能であり、それぞれの反応カラムに応じて適切な温度設定が適宜選択される。 上記(0017)〜(0019)で説明されるフロー合成システムにおいて、時間あたりの送液量は効率よく反応を進行させる限りにおいて限定されない。流路内に組み込むカラムの内径、セライトなどの量や粒径により異なり、適宜選択される。 上記(0017)〜(0026)で説明されるフロー合成システムにおいて、システムを安定化させるため、(0024)で説明される溶媒系を、(0026)で説明される送液量にて安定するまで行う。安定化を判断する基準は特にないが、圧力が一定になることが1つの目安である。 具体的な例として、医薬品骨格として多く見られるγ−アミノ酸誘導体を立体選択的に得る方法として、図(4)に示した多段階フロー合成システムを設計した。その結果、一連の連続反応により光学活性なγ−アミノ酸誘導体が得られることを確認した。 連続的フロー多段階合成装置 カラムAはキラル化合物の合成に必要な固相担体を充填したカラム、カラムBは官能基変換に必要な固相担体を充填したカラムであり、必要に応じてガス溶液を混入させながら通すことも可能である。なお、装置のカラムの結合順は図1に限定されず、逆の順番で結合させてもよい。また1本のカラムでは反応が不十分な場合には、複数のカラムを直列に接続しても良い。酸・塩基触媒フロー反応装置 カラムCに用いられる各種固相担体は、酸あるいは塩基により触媒される縮合反応、加水分解反応、環化反応等に用いられるが、これら反応例に限定されるわけではなく、酸あるいは塩基により進行する有機合成反応に対して用いることができる。フロー合成乾燥カラム装置 乾燥カラムの導入位置は流路内の特定の位置に限定されず、所望する反応計画に従い任意の位置に接続することが可能である。また1本のカラムでは乾燥が十分でない場合には、複数の乾燥カラムを連続して接続しても良い。フロー多段階反応による光学活性γ−アミノ酸誘導体合成概略図 Flow1ではアミノ基を担持したシリカゲルと塩化カルシウムを詰めたカラムによるニトロアルドール反応、Flow2ではPS−Pyboxカルシウム錯体を固相触媒とする触媒的不斉Michael反応、Flow3ではパラジウム/アルミナハイブリッド触媒[=Pd/(PSi−Al2O3)]をカラムに詰めた水素添加還元反応、および環化反応を経るγ−アミノ酸誘導体の合成を行う。ニトロアルカン合成フロー反応装置 両端にガラスフィルターを付したガラス製のカラム(φ1.0cm x 30cm)に、(450mg、0.7mmol/g)のシリカ−アミン触媒(フジシリシア製Chromatorex DM1020)と、粉末状に砕いた無水塩化カルシウム(和光純薬製>95%)1.35gをよく混ぜ合わせから充填する(Column1とする)。これにトルエンを1.0mL/minの流速で送液してスラリー状に触媒を調製する。不斉1,4−付加反応フロー反応装置 ガラス製のカラム(φ1.0cm x 10cm)を2本用意し、セライト(1.4g)、無水塩化カルシウム(375mg)とポリマー担持Pybox(0.85mmol/g、750mg)を混ぜたものを2本のカラム管に充填する(それぞれColumn3、Column4とする)。乾燥用のカラム(φ0.5cm x 5cm)には活性化したモレキュラーシーブス4Aを(500mg)充填する(Column2とする)。これをValve1とColumn3の間に接続する。Column4はColumn3と直列で接続し、Valve2に接続する。接触還元フロー反応装置 SUS製のカラム(φ1.0cm x 10cm)を用い、セライト(1.2g)、Pd/(PMPSi−C)(4.8g)を充填する(Column6とする)。またセライト(423mg)を(φ1.0cm x 10cm)のカラム管に充填したカラムを用意する(Column5とする)。Column5をValve2とColumn6の間に接続する。光学活性γ−アミノ酸誘導体合成フロー多段階反応装置 図(5)〜(7)の各装置を接続して図(8)に示すような装置を組み立てる。受け器1(Reserver1)にベンズアルデヒド(60mmol)とニトロメタン(50mmol)とトルエン(<200mL)を混ぜた溶液を用意する。受け器2(Reserver2)にはマロン酸エチル(0.22M)とトリエチルアミン(0.016M)のトルエン溶液を用意する。受け器3(Reserver3)にはエタノールを用意する。フロー合成的脱炭酸装置 Chromatorex ACD(COOH)9gをSUSカラム(φ10mm x 200mm)に充填する(Column8とする)。二液を混合するミキサーとしてCelite(ca.350mg)が詰まったガラスカラム(φ5mm x 50mm)を接続する(Column7とする)。(S)−Rolipram合成連続的フロー多段階反応装置 図(8)を参考にFlow1〜Flow3までの装置を組みあげ、Flow3の流路の先にはValve3を接続し、さらに図(9)で示されるFlow4装置を、Valve3に接続する。 以下に実施例を用いて本発明を明らかにするが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。 芳香族アルデヒドとニトロメタンを出発物質とする、連続的フロー多段階反応装置を用いた光学活性γ−アミノ酸誘導体の合成 式(1)に示した反応(Ar=Ph)について、連続的フロー多段階反応を行うため、図(8)で説明される連続的フロー多段階反応装置の組み以下の操作により反応を行う。50℃に加温したColumn1に受け器1(Reserver1)より0.05mL/minの流速で送液を開始する。はじめの12時間は流路Aで送液を行い、その後、Valve1を流路Bに切り替え、Column2への送液を開始する。同時に受け器2(Reserver2)からもColumn2に0.05mL/minの流速で送液を開始する。Column3と4は0〜10℃の温度範囲になるよう調整しておいた状態で送液する。この時、Column2〜4の間の流速は0.1mL/minにする。Valve2を流路Cにした状態で1時間送液を行った後、Valve2を流路Dに切り替えて、Column5への送液を開始する。同時に受け器3(Reserver3)から流速0.10mL/minでエタノールをColumn5へ送液して混合させ、流速0.2mL/minとする。80℃に加熱させたColumn6に、水素ガスと共に導入して反応させる。送液開始から18時間後、表(1)に示すように、いくつかのフラクションに分けながら回収を行い、溶媒を除去した後、NMR分析とpTLCによる精製を行うことで、(3R,4S)−ethyl 4−(phenyl)−2−oxopyrrolidine−3−carboxylateが光学純度94%eeで得られる1H NMR(CDCl3,600MHz)δ:7.32−7.18(m,5H),4.19(q,2H,J=7.1Hz),4.05(q,1H,J=8.7Hz),3.77(t,1H,J=8.9),3.51(d,1H,J=9.6Hz),3.38(dd,1H,J=9.6,8.3Hz),1.23(t,3H,J=6,9Hz).13C NMR(CDCl3,124.51MHz)δ:172.9,169.2,139.9,128.9,127.5,126.9,61.7,55.3,47.7,44.3,14.1.HPLC Daicel Chiralcel AD3 x 2,hexane/iPrOH=9/1,flow rate=0.35mL/min,Detection wavelength=220nm:tR=83.9min(minor),tR=94.1min(major). 連続的フロー多段階反応装置を用いる(S)−Rolipram前駆体の合成 上記(実施例1)の方法に従い、3−(cyclopentyloxy)−4−methoxybenzaldehydeとmethyl malonateを用いて、図(8)に示すFlow1〜Flow3まで計18時間、連続的にフロー多段階反応を行った後、送液を回収すると(3R,4S)−methyl4−[3−(cyclopentyloxy)−4−methoxyphenyl]−2−oxopyrrolidine−3−carboxylateが得られる。HPLC Daicel Chiralcel OJ3 + Chiralpac AD3,hexane/EtOH=9/1,flow rate=0.5mL/min,25℃,Detection wavelength=210nm:tR=82.7min(R),tR=93.9min(S).1H NMR(CDCl3,500MHz)δ:6.80(d,1H,J=8.5Hz),6.75−6.74(m,2H),6.58(bs,1H),4.75−4.1(m,1H),4.03(q,1H,J=8.7Hz),3.81(s,3H),3.78−3.75(m,4H),3.52(d,1H,J=9.6Hz),3.38(t,1H,J=9.1Hz),1.94−1.77(m,6H),1.63−1.55(m,2H).13C NMR(CDCl3,125MHz)δ:172.3,169.7,149.5,147.9,132.0,118.9,113.9,112.2,80.5,56.1,55.3,52.9,47.7,44.0,32.8,24.0. バッチ処理による(S)−Rolipramの合成 20mLフラスコに(3R,4S)−methyl4−[3−(cyclopentyloxy)−4−methoxyphenyl]−2−oxopyrrolidine−3−carboxylate(66.7mg、0.2mmol)とCromatorex ACD(SO3H、loading 0.4mmol/g、50mg、フジシリシア製)を入れる。その後、o−キシレン(2mL)と水(0.2mL)を入れ120℃にて24時間撹拌する。反応溶液を室温に戻した後、エタノールにて希釈し、Celiteと無水硫酸ナトリウムのパットにてろ過後、減圧下溶媒を留去する。pTLC(展開溶媒:酢酸エチル)にて単離精製を行うことで(S)−Rolipramが77%で得られる。エナンチオ選択性は、HPLCにて決定する。HPLC Daicel Chiralpac AD3,hexane/EtOH=9/1,flow rate=1.0mL/min,25℃,Detection wavelength=220nm:tR=15.2min(R),tR=21.2min(S).1H NMR(CDCl3,500MHz)δ:6.80(d,1H,J=7.9Hz),6.76−6.73(m,2H),6.46(bs,1H),4.76−4.72(m,1H),3.80(s,3H),3.73(t,1H,J=8.8Hz),3.63−3.56(m,1H),3.36(dd,1H,J=9.4,7.7Hz),2.68(q,1H,J=8.5Hz),2.45(q,1H,J=8.5Hz),1.92−1.77(m,6H),1.61−1.56(m,2H).13C NMR(CDCl3,125MHz)δ:177.7,149.1,147.9,134.5,118.8,113.8,112.1,80.6,56.1,49.7,40.0,38.0,32.8,24.0. フロー合成システムを用いる(S)−Rolipramの合成 図(9)に従い、基質の入ったo−キシレン溶液は、200μL/minで、水は、15μL/minにてHPLCポンプを用いて送液する。二液を混合するためColumn7の下部より二液を導入し上部より溶出させる。その後、Column8の上部より溶液を導入し下部より反応溶液を採取する。基質(0.05M、8mL)を40分かけて導入後、o−キシレンおよび水にて24時間、反応用カラムを洗浄する。反応用カラムは、132.5℃に保つ。その後、水を分液にて取り除き、溶媒を留去しpTLC(展開溶媒:酢酸エチル)にて単離精製を行うことで(S)−Rolipramが62%で得られる。 連続的フロー多段階反応装置を用いる(S)−Rolipramの合成 上記(実施例2)を参考に、図(10)で説明される連続的フロー多段階反応を用いて反応を行う。(実施例2)の方法に従い、3−(cyclopentyloxy)−4−methoxybenzaldehydeをFlow1〜Flow3まで計18時間、連続的にフロー多段階反応を行った後、送液を回収すると(3R,4S)−methyl4−[3−(cyclopentyloxy)−4−methoxyphenyl]−2−oxopyrrolidine−3−Carboxylateが得られる(Receiver4で回収する)。これを(実施例4)の方法に従い、Flow4装置に送液し132.5℃に加熱したColumn8にて反応させた後、回収、精製することで(S)−Rolipramが得られる。 以上のように本発明は、連続的にフロー多段階合成システムを用いた医薬品あるいはその合成中間体となる光学活性化合物の入手方法に関するもので、医薬品合成において求められている効率的な合成システムを供するものである。複雑な立体を持つ医薬品の製造への利用が期待される。 図(1)に示した流路内部に不斉合成あるいは官能基変換に用いられるカラムを複数直列に設け、これに二成分以上の基質を通過せしめるフロー合成に用いることで、不斉合成反応および官能基変換反応等の複数の反応を多段階連続的に行うことで、医薬品あるいはその中間体となる光学活性化合物を入手する方法。 [図1] (但しカラムAはキラル化合物の合成に必要な固相担体を充填したカラム、カラムBは官能基変換に必要な固相担体を充填したカラムであり、必要に応じてガス溶液を混入させながら通すことも可能であり、それぞれのカラムの結合順は図(1)に限定されず、逆の順番で結合させてもよく、また1本のカラムでは反応が不十分な場合には、複数のカラムを直列に接続しても良い。) 複数以上の工程を含むフロー合成において、必要な数の不斉合成カラム、および必要な数の官能基変換カラムを複数、適切な位置に接続された多段階フロー合成装置を用いる請求項1記載の方法。 複数以上の工程を含むフロー合成において、下記図(2)に示した酸触媒あるいは塩基触媒カラム、もしくは両方のカラムを、適宜必要とする反応工程に応じて適切な位置に接続された、多段階フロー合成装置を用いる請求項1あるいは2記載の方法。 [図2] (但し、カラムCに用いられる各種固相担体は、酸あるいは塩基により触媒される縮合反応、加水分解反応、環化反応等に用いられるが、これら反応例に限定されるわけではなく、酸あるいは塩基により進行する有機合成反応に対して用いることができ、1本のカラムでは反応が不十分な場合には、複数のカラムを直列に接続しても良い。) 複数以上の工程を含むフロー合成において、脱水条件が必要な工程に応じて下記図(3)に示した乾燥カラムを、適宜必要とする反応工程に応じて適切な位置に接続された、多段階フロー合成装置を用いる請求項1〜3記載の方法。 [図3] (但し、1本の乾燥カラムでは溶媒の水分除去が不十分な場合には、複数の脱水カラムを直列に接続しても良い。) 【課題】医薬品あるいはその合成中間体となる光学活性化合物の合成に必要な固相合成装置を持つカラムと、官能基変換に必要な固相合成装置を持つカラムを多段階フロー合成システムに組み込むことで、光学活性化合物を効率よく得ることである。【解決手段】 下図に示す多段階フロー合成装置において、カラムAに光学活性化合物を得る為のキラル配位子および金属塩を充填し、官能基変換に必要なカラムBには水素添加反応を行う固相触媒を充填した2種類のフロー合成カラムを、必要とする工程数に応じて直列に接続した多段階合成装置を用い、反応基質を通過せしめることで上記課題を達成した。【選択図】図1


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