生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_放線菌におけるタンパク質生産用ベクター
出願番号:2014064149
年次:2014
IPC分類:C12N 15/09,C12N 1/21,C12P 21/02


特許情報キャッシュ

原園 幸一 曽田 匡洋 佐古田 昭子 JP 2014207898 公開特許公報(A) 20141106 2014064149 20140326 放線菌におけるタンパク質生産用ベクター ナガセケムテックス株式会社 000214250 長瀬産業株式会社 000214272 進藤 卓也 100163647 中道 佳博 100182084 大平 和幸 100123489 原園 幸一 曽田 匡洋 佐古田 昭子 JP 2013067352 20130327 C12N 15/09 20060101AFI20141010BHJP C12N 1/21 20060101ALI20141010BHJP C12P 21/02 20060101ALI20141010BHJP JPC12N15/00 AC12N1/21C12P21/02 C 15 OL 21 4B024 4B064 4B065 4B024AA03 4B024AA20 4B024CA04 4B024CA20 4B024DA08 4B024EA04 4B024GA11 4B064AG01 4B064CA02 4B064CA19 4B064CC24 4B065AA50X 4B065AA50Y 4B065AB01 4B065AC14 4B065BA02 4B065CA24 本発明は、放線菌におけるタンパク質生産用ベクターに関する。 ストレプトマイセス(Streptomyces)属細菌は、抗生物質などの多様な二次代謝産物を生産する放線菌群として工業的に広く利用されており、極めて重要な菌群である。ストレプトマイセス属細菌での有用物質生産の重要性を考慮すると、放線菌においてタンパク質の大量発現技術の開発が望まれる。 ストレプトマイセス属細菌を利用した発現系では、ストレプトマイセス属細菌の内因性の野生型プラスミドであるpIJ101に由来するプラスミドベクターが用いられている(非特許文献1)。このようなプラスミドベクターは、pIJ101の一部分を切り出して構築され得るが、その構築段階において「sti」と称される領域が削除される。pIJ702(非特許文献2)、pIJ350(非特許文献3)などの現在使用されているストレプトマイセス属細菌用ベクターのほぼすべてが、sti領域を欠いたものである(非特許文献1および2)。 「sti」とは、「強い不和合性(strong incompatibility)」を引き起こすことから命名された遺伝子の名称であり、pIJ101の必須複製領域部分ではない約200bpのDNAセグメント上に位置すると報告された(非特許文献4)。pIJ101の制限酵素地図(非特許文献1、4および5)およびpIJ101におけるsti領域の位置(非特許文献1および4)は知られている。 pIJ101およびその誘導体のいくつかのコピー数は、40〜300の間で変動することが見出されている(非特許文献4)。sti領域を欠くプラスミドは、上記範囲の下方である平均して50〜100の間のコピー数を有した(非特許文献4)。sti領域を含む断片をpIJ101由来プラスミドに正しい向きに挿入することにより得られたプラスミドベクターの1つであるpIJ2743は、約0.6kbの挿入片を有しており、このコピー数は約1000であり、その親株である、sti領域を含まないpIJ452と比べて10倍多く、sti領域を含むpIJ101、pIJ355またはpIJ649(これらのコピー数は約300である)と比べて3倍多かった(非特許文献4)。 このように、stiを含むプラスミド自体の放線菌宿主におけるコピー数について検討されているが、そのようなプラスミドについて、放線菌宿主用の発現ベクターとしての有用性、特にタンパク質の発現および生産量との関係は明らかではない。PRACTICAL STREPTOMYCES GENETICS (Streptomyces Manual), D.A. Hopwoodら著, John Innes Centre Ltd, Chapter 11. Plasmids and their use for gene cloningMurookaら, Appl. Environ. Microbiol., 1986年, 52巻, 1382-1385頁Kollerら, J. Bacteriol., 1989年, 171巻, 4953-4957頁Dengら, Mol. Gen. Genet., 1988年, 214巻, 286-294頁Kieserら, Mol. Gen. Genet., 1982年, 185巻, 223-238頁 本発明は、放線菌においてタンパク質の生産量を増加させる方法およびそのためのベクターを提供することを目的とする。 本発明は、放線菌においてタンパク質を発現するためのプラスミドベクターを提供し、このプラスミドベクターは、プロモーター、該タンパク質をコードするDNA断片を挿入するためのクローニングサイト、ターミネーター、およびsti含有断片を含む。 1つの実施形態では、上記sti含有断片は、配列番号1の27位〜226位までの塩基配列を含むDNA断片;配列番号1の27位〜226位までの塩基配列と少なくとも80%の配列同一性を有する塩基配列を含み、かつ上記ベクターのコピー数を増大し得る、DNA断片;または配列番号1の27位〜226位までの塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るDNAを含み、かつ上記ベクターのコピー数を増大し得るDNA断片である。 1つの実施形態では、上記プロモーターが、ホスホリパーゼD遺伝子のプロモーター、メタロエンドペプチダーゼ遺伝子のプロモーターおよびキシロース・イソメラーゼ遺伝子のプロモーターからなる群より選ばれる少なくとも1のプロモーターである。 1つの実施形態では、上記プラスミドベクターは、上記クローニングサイトに挿入された上記タンパク質をコードするDNA断片をさらに含む。 1つの実施形態では、上記タンパク質は、ホスホリパーゼA2、スフィンゴミエリナーゼまたはキトビアーゼである。 本発明はまた、上記タンパク質をコードするDNA断片をさらに含む上記プラスミドベクターが組み込まれている組換え放線菌を提供する。ここで、組み込まれている、とはプラスミドベクターが放線菌の染色体DNAにインテグレートしている状態、細胞質中に遊離のプラスミド状態で含まれている状態、およびその両方が併存している状態を含む意味である。 本発明はさらに、放線菌においてタンパク質を生産する方法を提供し、この方法は、 上記タンパク質をコードするDNA断片をさらに含む上記プラスミドベクターで放線菌を形質転換する工程、 形質転換された該放線菌を培地中で培養する工程、および 得られた培養物から、該タンパク質を回収する工程を含む。 本発明はまた、上記プラスミドが導入された組換え放線菌である。導入された、とは、プラスミドベクターが放線菌の染色体DNAにインテグレートしている状態、細胞質中に遊離のプラスミド状態で含まれている状態、およびその両方が併存している状態を含む意味である。 本発明によれば、放線菌においてタンパク質の生産量を増加させる方法およびそのためのベクターが提供される。pIJ702の構造を示す模式図である。(a)pIJ702PLDおよび(b)pPLDHの構造を示す模式図である。(a)pIJ702SSMPおよび(b)pSSMPHの構造を示す模式図である。(a)pIJ702XYLおよび(b)pXYLHの構造を示す模式図である。pPLDHminiの構造を示す模式図である。sti,mini stiを保持するプラスミドで形質転換した放線菌のPLA2活性を示す図である。 本発明は、タンパク質を放線菌において発現するためのプラスミドベクターを提供する(以下、単に「本発明のプラスミドベクター」とも称する)。本発明のベクターは、プロモーター、タンパク質をコードするDNA断片を挿入するためのクローニングサイト、およびターミネーター、ならびにsti含有断片を含む。以下、ベクターを構成する各要素について説明する。 本発明のプラスミドベクターは、sti含有断片を含む。sti含有断片は、自律複製可能な領域(以下に説明する)に対して特定方向でベクター内に含まれる。「sti」は、ストレプトマイセス属細菌の内因性の野生型プラスミドであるpIJ101の必須複製領域部分ではない約200bpのDNAセグメントとしてそもそも見出された(非特許文献1および4)。「sti」は、例えば、配列番号1に記載の塩基配列の27位〜226位までの領域からなる。sti含有断片は、この「sti」領域を含む任意の断片であり得、例えば、配列番号1の27位〜226位までの塩基配列またはその変異型を含むDNA断片である。DNA断片の大きさは、例えば、160bp〜1300bp、好ましくは、180bp〜1250bp、より好ましくは、200bp〜1230bp、さらに好ましくは、200bp〜500bpである。sti含有断片の「sti」領域以外の領域は、好ましくは、配列番号1に記載の塩基配列に由来する。「配列番号1の27位〜226位までの塩基配列を含む断片」は、配列番号1の塩基配列の全長(配列番号1の1位〜1223位)を含む断片を包含する。 変異型は、宿主に導入されてベクターのコピー数を増大し得る限り、限定されない。宿主導入によるベクターのコピー数の増大は、例えば、以下の実施例に記載の手順に基づいて、コピー数もしくはその指標となり得る発現タンパク質の活性を調べることにより確認することができる。1つの実施形態では、このような変異型は、ベクターのコピー数を増大し得る限り、配列番号1の27位〜226位、1位〜411位または1位〜1223位までの塩基配列のうち1個または複数個の塩基が欠失、置換、付加および/または挿入された配列であってもよい。例えば、sti含有断片は、配列番号1の27位〜226位までの塩基配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する塩基配列を有し、かつベクターのコピー数を増大し得るDNAを含むDNA断片であり得る。1つの実施形態では、sti含有断片は、配列番号1の1位〜1223位までの塩基配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する塩基配列を有し、かつベクターのコピー数を増大し得るDNAを含むDNA断片であり得る。「配列同一性」について、例えばSWISS−PROT、PIR、DADなどのタンパク質のアミノ酸配列に関するデータベース、またはDDBJ、EMBL、あるいはGene−BankなどのDNA配列に関するデータベース、DNA配列を元にした推定アミノ酸配列に関するデータベースなどを対象に、BLAST、FASTAなどのプログラムを利用して、例えば、インターネットを通じて配列の検索および配列同一性の決定を行うことができる。その際の条件、例えば、期待値、Wordsize、Gapなどの設定は、当該技術分野で一般的な手法で行われ得る。また、sti含有断片は、配列番号1の27位〜226位または1位〜411位までの塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るDNAを含み、かつベクターのコピー数を増大し得るDNA断片であり得る。1つの実施形態では、sti含有断片は、配列番号1の1位〜1223位までの塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るDNAを含み、かつベクターのコピー数を増大し得るDNA断片であり得る。「ストリンジェントな条件でハイブリダイズし得るDNA」とは、ハイブリダイゼーション目的の塩基配列中の任意の少なくとも20個、好ましくは少なくとも30個、例えば40個、60個または100個の連続した配列を一つまたは複数選択してプローブを設計し、例えばECL direct nucleic acid labeling and detection system(Amersham Biosciences社製)を用いて、マニュアルに記載の条件において、ハイブリダイズするポリヌクレオチドを指す。「ストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイズさせた後の洗浄条件を意味し、例えば、塩(ナトリウム)濃度が150〜900mMであり、温度が55〜75℃、好ましくは塩濃度が600〜900mMであり、温度が60〜70℃での条件が挙げられるが、これらの条件に特に制限されない。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては、温度や塩濃度など複数の要素があり、当業者であればこれら要素を適宜選択することで最適なストリンジェンシーを実現することが可能である。変異の導入は、Kunkel法やGappedduplex法などの公知の手法により、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット、例えば、TaKaRa Site-Directed Mutagenesis System(Mutan-K、Mutan-Super Express Km等(タカラバイオ社製))、Quik ChangeTM Site-Directed Mutagenesis Kit(ストラタジーン社製)、Gene TailorTM Site-Directed Mutagenesis System(インビトロジェン社製)などを用いて行うことができる。 本発明のプラスミドベクターは、放線菌の宿主において自律複製可能な領域を含み得る。放線菌の宿主において自律複製可能な領域は、該領域を含むプラスミドを宿主に導入したときに、プラスミドが複製できる最小限の領域を含みさえすればよく、特に制限されない。自律複製可能な領域としては、例えば、ストレプトマイセス属細菌の内因性の野生型プラスミドであるpIJ101またはpIJ101に由来するプラスミドベクターに由来する自律複製領域(複製起点(「ori」)および複製タンパク質「rep」を含む領域)が挙げられる。 本発明のベクターは、放線菌の菌体内でベクターの複製が可能になり、放線菌の増殖によってベクターが落ちてしまうことを抑制することができる。また、放線菌の菌体内でのベクターのコピー数を増加させることができる。 本発明のプラスミドベクターは、プロモーター、タンパク質をコードするDNA断片を挿入するためのクローニングサイト、およびターミネーターを含む。クローニングサイトは、プロモーターの下流に設けられる。ターミネーターは、クローニングサイトの下流に連結されている。下流側とは、転写されるポリヌクレオチド鎖の3’側のことであり、上流側とは、転写されるポリヌクレオチド鎖の5’側のことである。 プロモーターは、プロモーター活性を有していればよく、「プロモーター活性」とは、プロモーター領域に転写因子が結合し、転写を惹起する活性をいう。プロモーターは、所望のプロモーター領域を保有する菌体、ファージなどから、制限酵素を用いて切り出し得る。必要に応じて制限酵素認識部位を設けたプライマーを用い、PCRで所望のプロモーター領域を増幅することによりプロモーター領域のDNA断片を得ることができる。また、既に判明しているプロモーター領域の塩基配列情報をもとにして、所望のプロモーターを化学合成してもよい。 プロモーターは、宿主菌中で活性を発揮し得るものであればいずれの遺伝子に由来するプロモーターを用いてもよい。例えば、ストレプトマイセス・シンナモネウス(Streptomyces cinnamoneus)由来のホスホリパーゼD(PLD)遺伝子のプロモーター、ストレプトマイセス・セプタタス(Streptomyces septatus)由来メタロエンドペプチダーゼ(SSMP)遺伝子のプロモーター、ストレプトマイセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor)由来のキシロース・イソメラーゼ(XylA)遺伝子のプロモーターなどを用いることができる。ストレプトマイセス・シンナモネウス(Streptomyces cinnamoneus)由来のホスホリパーゼD(PLD)遺伝子のプロモーター、ストレプトマイセス・セプタタス(Streptomyces septatus)由来メタロエンドペプチダーゼ(SSMP)遺伝子のプロモーターおよびストレプトマイセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor)由来のキシロース・イソメラーゼ(XylA)遺伝子のプロモーターの塩基配列をそれぞれ、配列番号2(1位〜1366位)、配列番号3(1位〜412位)および配列番号21(1位〜155位)に示す。プロモーター活性を有する限り、プロモーターの変異体(変異型プロモーター)を使用することも可能である。このような変異型プロモーターとしては、以下の(a)および(b)のいずれかのものを含む:(a)所望のプロモーターの塩基配列(例えば、配列番号2、3および21)のうち1個または数個(例えば1個〜10個程度、好ましくは1個〜5個程度、より好ましくは1個〜4個、特に好ましくは1個〜3個である)の塩基が欠失、置換、付加および/または挿入された変異型プロモーターDNAであって、プロモーター活性を有するDNA;または(b)所望のプロモーターの塩基配列(例えば、配列番号2および3)または上記(a)のDNAの塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得、かつ、プロモーター活性を有するDNA。「ストリンジェントな条件」とは、上述したとおりである。 本発明のプラスミドベクターは、タンパク質をコードするDNA断片を挿入するためのクローニングサイトを含む。クローニングサイトは、プロモーターの下流に設けられている。このクローニングサイトは、特定の種類の制限酵素(またはその組合せ)によって、ユニークに切断されるサイトである。その特定の種類の制限酵素(またはその組合せ)で切断した箇所に、タンパク質をコードするDNA断片を挿入することができる。 クローニングサイトは、マルチクローニングサイト(MCS)としてもよい。MCSは、複数種類の制限酵素部位を有するDNA断片であり、発現の目的遺伝子をMCSに連結してベクターに挿入するために使用される。例えば、MCSは、NdeI、EcoRI、XbaI、HindIII、BglII、BamHIなどの制限酵素部位(少なくとも1個)を有する。 ターミネーターは、ターミネーター活性を有していればよく、「ターミネーター活性」とは、ターミネーター領域において転写を終結させる活性をいう。ターミネーターは、ターミネーター活性を有しさえすればよく、所望のターミネーター領域を保有する菌体、ファージなどから、制限酵素を用いて切り出し得る。必要に応じて制限酵素認識部位を設けたプライマーを用い、PCRで所望のターミネーター領域を増幅することによりターミネーター領域のDNA断片を得ることができる。また、既に判明しているターミネーター領域の塩基配列情報をもとにして、所望のターミネーターを化学合成してもよい。 ターミネーターは、宿主菌中で活性を発揮し得るものであればいずれの遺伝子に由来するターミネーターを用いてもよい。例えば、TH−3 collターミネーター、ストレプトマイセス・シンナモネウス由来のホスホリパーゼD(PLD)遺伝子のターミネーター、fdファージのターミネーター(fd−ter)、T4ターミネーター(T4−ter)などを用いることができる。好ましくは、上記PLDターミネーターが用いられ得る。この塩基配列を配列番号4(1位〜200位)に示す。 本発明においては、タンパク質をコードするDNA断片(構造遺伝子)を上記ベクターのクローニングサイトに組み込んで用いることができる。発現させるべきタンパク質をコードするDNA断片(構造遺伝子)は、本発明のプラスミドベクターにおいてプロモーターの下流に設けられたクローニングサイトに挿入される。 本発明において、発現させるべきタンパク質は、宿主菌で発現可能なタンパク質であれば特に制限されない。タンパク質としては、所望の酵素、構造タンパク質、調節因子などであってよく、天然のタンパク質、変異タンパク質、人工的に作り出したタンパク質などであってもよい。タンパク質をコードする遺伝子の由来は、例えば、動物由来遺伝子、植物由来遺伝子、微生物由来遺伝子、ウイルス由来遺伝子および化学合成した遺伝子から任意に選択することができ、限定されない。所望の構造遺伝子保有生物からの遺伝子のクローニングは、公知の任意の手法により行われ得る。必要に応じて制限酵素認識部位を設けたプライマーを用い、PCRで増幅することにより、構造遺伝子のDNA断片を得ることができる。例えば、ホスホリパーゼA2、スフィンゴミエリナーゼ、キトビアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、エステラーゼ、プロテアーゼなどが挙げられる。以下、ホスホリパーゼA2(PLA2)、スフィンゴミエリナーゼ(SM)およびキトビアーゼ(CTB)について説明する。 PLA2構造遺伝子は、PLA2活性を有する任意の生物から得ることができる。PLA2構造遺伝子を有する生物としては、ストレプトマイセス・エバメチルス(Streptomyces avermitilis)、ストレプトマイセス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)、ベルコシスポラ・マリス(Verrucosispora maris)、ミクロモノスポラ・オーランシアカ(Micromonospora aurantiaca)、アクチノプラネス・ミズリエンシス(Actinoplanes missouriensis)、アミコラトプシス・メディテラネイ(Amycolatopsis mediterranei)などが挙げられる。SM構造遺伝子は、SM活性を有する任意の生物から得ることができる。SM構造遺伝子を有する生物としては、ストレプトマイセス・シンナモネウス、ストレプトマイセス・ロゼオスポラス(Streptomyces roseosporus)、キタサトスポトラ・セタエ(Kitasatospora setae)、サリニスポラ・トロピカ(Salinispora tropica)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)などが挙げられる。CTB構造遺伝子は、CTB活性を有する任意の生物から得ることができる。CTB構造遺伝子を有する生物としては、ストレプトマイセス・シンナモネウス、ストレプトマイセス・エバメチルス、ストレプトマイセス・コエリカラー、ストレプトマイセス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)などが挙げられる。 ストレプトマイセス・エバメチルス由来PLA2の構造遺伝子の塩基配列を配列番号5に示し、そのアミノ酸配列を配列番号6に示す。ストレプトマイセス・シンナモネウス由来SMの構造遺伝子の塩基配列を配列番号7に示し、そのアミノ酸配列を配列番号8に示す。ストレプトマイセス・コエリカラー由来CTBの構造遺伝子の塩基配列を配列番号24に示し、そのアミノ酸配列を配列番号25に示す。これらの酵素遺伝子の変異体(変異型遺伝子)を使用することも可能である。このような変異型遺伝子としては、以下の(a)〜(d)のいずれかのものを含む:(a)上記酵素のアミノ酸配列(PLA2、SMおよびCTBについてそれぞれ配列番号6、8および25)において1個または数個(例えば1個〜10個程度、好ましくは1個〜5個程度)のアミノ酸が欠失、置換、付加および/または挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ、当該酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;(b)上記酵素のアミノ酸配列(PLA2、SMおよびCTBについてそれぞれ配列番号6、8および25)と少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、なおより好ましくは少なくとも95%、さらになおより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、当該酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;(c)上記酵素遺伝子の塩基配列(PLA2、SMおよびCTBについてそれぞれ配列番号5、7および24)のうち1個または数個(例えば1個〜10個程度、好ましくは1個〜5個程度)の塩基が欠失、置換、付加および/または挿入された変異型遺伝子であって当該酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;または(d)上記酵素遺伝子の塩基配列(PLA2、SMおよびCTBについてそれぞれ配列番号5、7および24)または上記(a)から(c)のいずれかの遺伝子の塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得、かつ、当該酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。「配列同一性」および「ストリンジェントな条件」は、上述したとおりである。 PLA2、SMおよびCTBの酵素活性は、それぞれ以下の参考例3、4および実施例15に記載の手順に準じて測定および確認され得るが、活性の確認手段はこれらに限定されない。 本発明のベクターは、挿入された遺伝子がコードするタンパク質を分泌するように、予めベクター中に分泌シグナル配列をコードしていてもよい。例えば、分泌タンパク質を本発明のベクターを利用して発現させれば、このタンパク質を培養液中に分泌させることができる。天然には分泌されないタンパク質であっても、分泌シグナルを付加した融合タンパク質として発現させることで、そのタンパク質を菌体外に分泌させることができる。分泌シグナル配列をコードするDNA断片は、通常、タンパク質をコードするDNA断片の上流に「機能的に」連結され得る。「機能的に」とは、DNA断片が発現または機能するように、という意味であり、宿主に導入したときにそれぞれの遺伝子が発現し得る状態を意味する。 本発明のベクターは、これを保持した宿主を選択できるように、適切な薬剤耐性遺伝子または代謝酵素などの選択用マーカー遺伝子を含むことが好ましい。選択用マーカー遺伝子としては、チオストレプトン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子などが挙げられ、これらはいずれも当業者には周知である。薬剤マーカーが抗生物質耐性遺伝子である場合には、対応する抗生物質を含む培地で放線菌を培養することにより、放線菌の菌体内からベクターが落ちてしまうことを抑制し得る。好ましくは、チオストレプトン耐性遺伝子が用いられる。pIJ101に由来する汎用プラスミドベクターのpIJ350、pIJ702はチオストレプトン耐性遺伝子を有するので、骨格プラスミドとして好適に用いられ得る。本発明のベクターは、必要に応じて他のエレメント(例えば、転写活性化配列、発現調節配列(オペレーター、エンハンサー、SD配列など)を含んでいてもよい プラスミドベクターの骨格として、放線菌宿主に対して通常用いられるプラスミドを使用し得る。例えば、pIJ101に由来する汎用プラスミドベクターおよび他の放線菌に適した公知のプラスミドベクターが用いられ得る。例えば、pIJ350、pIJ702、およびpIJ487が挙げられる。pIJ350、pIJ702はチオストレプトン耐性遺伝子およびpIJ101に由来する自律複製領域(複製起点(「ori」)および複製タンパク質「rep」を含む領域)を有するので、骨格プラスミドとして好適に用いられ得る。 pIJ702(図1)を骨格プラスミドとして用いた場合の本発明のベクターの例を図2(b)、図3(b)および図4に示す。図1、図2(b)、図3(b)および図4中の各領域は以下の通りである:「sti」、sti含有断片;「rep pIJ101」、pIJ101に由来する自律複製領域(複製起点(「ori」)および複製タンパク質「rep」を含む領域);「PLDp」、ストレプトマイセス・シンナモネウス由来のPLD遺伝子のプロモーター;「SSMPp」、ストレプトマイセス・セプタタス由来SSMP遺伝子のプロモーター;「PLDter」、ストレプトマイセス・シンナモネウス由来のPLD遺伝子のターミネーター;「tsr」、チオストレプトン耐性遺伝子;「melC1」および「melC2」、ストレプトマイセス・アンチビオチクス(Streptomyces antibioticus)由来チロシナーゼ遺伝子;「XylAp」、キシロース・イソメラーゼ遺伝子のプロモーター。図2(b)、図3(b)および図4(b)に見られるように、sti含有断片は、「プロモーターおよびターミネーター」とpIJ101に由来する自律複製領域との間に配置され得る。タンパク質をコードするDNA断片を挿入するためのクローニングサイトは、図2(b)のベクターでは、例えば、「PLDp」と「PLDter」との間の制限酵素Aor51HIおよびEcoT22Iの切断サイト、そして図3(b)のベクターでは、例えば、「SSMPp」と「PLDter」との間の制限酵素StuIおよびEcoT22Iの切断サイト、図4(b)のベクターでは、例えば、「XylAp」と「PLDter」との間の制限酵素Aor51HIおよびEcoT22Iの切断サイトに設けられる。 ベクターを構成する各要素の連結は、当業者が通常用い得る技術で行われ得る。結合は、適切な制限酵素、リンカー、DNAリガーゼなどを用いて行うことができる。 本発明において使用される宿主は、放線菌である。本明細書において、放線菌とは、放線菌目(order Actinomycetales)に属する菌をいう。放線菌は、グラム陽性細菌に所属する一分類群であり、主に土壌などに生息する。原核生物であるが、多くの放線菌は分岐を伴う糸状の生育を示し、多様な形態を呈する。また、一般的に胞子を形成し、中には胞子嚢や運動性胞子を形成する種も存在する。また、放線菌からは種々の抗生物質および他の生物学的に重要な化合物が発見されている。 放線菌目には、フランキア科(Frankiaceae)、ミクロモノスポラ科(Micromonosporaceae)、プロピオニバクトリウム科(Propionibacteriaceae)、シウドノカルジア科(Psuodonocardiaceae)、ストレプトマイセス科(Streptomyceae)、ストレプトスポランギウム科(Streptosporanguaceae)、テルモモノスポラ科(Thermomonosporaceae)、コリネバクテリウム科(Corynebacteriaceae)、マイコバクテリウム科(Mycobacteriuaceae)、およびノカジア科(Nocaudiaceae)が含まれる。好ましくは、ストレプトマイセス科、より好ましくはストレプトマイセス属(Streptomyces)に属する菌である。ストレプトマイセス属に属する菌としては、例えば、ストレプトマイセス・セプタタス(Streptomyces septus)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)、ストレプトマイセス・ラベンデュラエ(Streptomyces lavendulae)、ストレプトマイセス・バージニア(Streptomyces virginia)、およびストレプトマイセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor)が挙げられる。本発明においては、宿主菌体として、特にストレプトマイセス・リビダンスが好適に用いられる。 このようなストレプトマイセス属に属する放線菌やその他の放線菌は、IFOカタログ、ATCCカタログ、JCMカタログなどの種々のカタログに記載されており、例えば、微生物寄託分譲機関から分譲を受けることによって当業者であれば容易に入手可能である。 宿主放線菌について、突然変異を導入するように処理を行うこともできる。このような処理としては、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)による変異株の作製が挙げられ、NTG変異株の作製は、例えば、Mutation research/fundamental and molecular mechanisms of mutagenesis (1970) vol.9, 167-182に記載の手順に準じて行われ得る。 宿主への発現ベクターの導入(形質転換)は、公知の方法により行うことができる。また、放線菌宿主の形質転換法としては、プロトプラスト/PEG法が挙げられるが、これに限定されない。宿主にベクターDNAが導入されたことの確認は、選択マーカー遺伝子(例えば、チオストレプトン耐性遺伝子)を用いて行うことができる。 本発明において、発現産物としての目的のタンパク質は、宿主に当該タンパク質をコードする目的遺伝子が導入された形質転換体を培養し、その培養物から採取することにより得ることができる。「培養物」とは、培養上清、培養細胞、培養菌体、又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。形質転換体を培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。 本発明の形質転換体を培養する培地は、宿主菌が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、グルコース、ガラクトース、フラクトース、キシロース、スクロース、ラフィノース、デンプン等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が挙げられる。窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩又はその他の含窒素化合物が挙げられる。その他、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー、各種アミノ酸等を用いてもよい。無機物としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等が挙げられる。また、必要に応じて植物油、界面活性剤、シリコンなどの消泡剤を添加してもよい。 培養条件は、培地の種類、培養方法などにより適宜選択すればよく、宿主菌が増殖し、目的のタンパク質を産生できる条件であれば特に制限はない。通常、液体培地中で振盪培養または通気攪拌培養などの好気的条件下で、10℃〜40℃、好ましくは28℃で12〜120時間行われる。pHは、4から10、好ましくは6から8に調節される。pHの調整は、無機酸または有機酸、アルカリ溶液などを用いて行うことができる。 遺伝子発現が誘導されるプロモーターを用いる場合には、使用するプロモーターおよび発現させるタンパク質の性質に応じて、培養初期から誘導物質(例えば、キシロース等)を添加するか、一定程度増殖してから誘導物質を添加して発現を誘導する、または、集菌して誘導物質を含有する培地に移植して遺伝子発現を誘導する方法等を選択することができる。毒性を有するタンパク質を発現させる場合等には誘導物質無しで培養後、誘導する条件が好ましく用いられる。 タンパク質が宿主菌体内に蓄積する場合には、培養終了後、遠心分離によって形質転換細胞を回収し、得られた菌体を超音波処理などによって破砕した後、遠心分離などによって無細胞抽出液を得る。これを出発材料とし、塩析法や、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどの各種クロマトグラフィーなどの一般的なタンパク質精製法により精製することができる。発現したタンパク質が細胞外に分泌される場合には、培養上清から同様に精製することができる。 本発明のプラスミドベクターを用いて放線菌宿主を形質転換することにより、放線菌宿主に導入された目的とするタンパク質をコードする遺伝子のコピー数を増大させ、そしてそのタンパク質の発現および生産量を増大させることができる。本発明のプラスミドベクターは、宿主放線菌において安定に保持され得る。 以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。 (実施例1および比較例1) ストレプトマイセス・シンナモネウス由来ホスホリパーゼD(PLD)遺伝子のプロモーター断片(配列番号2の1位〜1366位)およびターミネーター断片(配列番号4の1位〜200位)を、鋳型としてストレプトマイセス・シンナモネウスから抽出したDNAを用いてそれぞれ、フォワードプライマー(配列番号9)およびリバースプライマー(配列番号10)のプライマー対、フォワードプライマー(配列番号11)およびリバースプライマー(配列番号12)のプライマー対を用いるPCRにより取得した。PLDプロモーター断片取得のためのPCR反応条件は、(98℃にて2分)を1サイクル後、(98℃にて10秒,55℃にて10秒,68℃にて90秒)を30サイクル行った。PLDターミネーター断片取得のためのPCR反応条件は、(98℃にて2分)を1サイクル後、(98℃にて10秒,55℃にて10秒,68℃にて30秒)を30サイクル行った。PLDプロモーター断片をPstIおよびEcoT22Iで処理し、そしてPLDターミネーター断片をEcoT22IおよびKpnIで処理した。pIJ702(図1)をPstIおよびKpnIで切断し、この切断後のプラスミドに、PstIおよびEcoT22I処理PLDプロモーター断片と、EcoT22IおよびKpnI処理PLDターミネーター断片とをDNAリガーゼで結合し、pIJ702PLD(stiなしのプラスミド:比較例1、図2(a))を完成した。 sti含有断片(配列番号1の1位〜1223位)を、鋳型としてpIJ101を用いて、フォワードプライマー(配列番号13)およびリバースプライマー(配列番号14)のプライマー対を用いるPCRにより取得した。PCR反応条件は、(98℃にて2分)を1サイクル後、(98℃にて10秒,55℃にて10秒,68℃にて60秒)を30サイクル行った。得られたsti含有断片をKpnIで処理し、pIJ702PLDをKpnIで処理後、アルカリホスファターゼで処理し、これにKpnI処理sti含有断片をDNAリガーゼで結合し、pPLDH(sti保有プラスミド:実施例1、図2(b))を完成した。 (実施例2および比較例2) ストレプトマイセス・セプタタス由来メタロエンドプロテアーゼ(SSMP)遺伝子のプロモーター断片(配列番号3の1位〜412位)を、鋳型としてストレプトマイセス・セプタタスから抽出したDNAを用いて、フォワードプライマー(配列番号15)およびリバースプライマー(配列番号16)のプライマー対を用いるPCRにより取得した。PCR反応条件は、(98℃にて2分)を1サイクル後、(98℃にて10秒,55℃にて10秒,68℃にて30秒)を30サイクル行った。このSSMPプロモーター断片および上記PLDターミネーター断片、ならびにpIJ702を実施例1と同様にして連結し、pIJ702SSMP(stiなしのプラスミド:比較例2、図3(a))を完成した。 上記sti含有断片、およびpIJ702SSMPを、実施例1と同様にして連結し、pSSMPH(sti保有プラスミド:実施例2、図3(b))を完成した。 (実施例3および比較例3:実施例1または比較例1の放線菌用プラスミドベクターを用いたPLA2発現用ベクターの構築) ストレプトマイセス・エバメチルス由来PLA2遺伝子(塩基配列を配列番号5に示し、そのアミノ酸配列を配列番号6に示す)を、鋳型としてストレプトマイセス・エバメチルスから抽出したDNAを用いてフォワードプライマー(配列番号17)およびリバースプライマー(配列番号18)のプライマー対を用いるPCRにより取得した。PCR反応条件は、(98℃にて2分)を1サイクル後、(98℃にて10秒,55℃にて10秒,68℃にて30秒)を30サイクル行った。取得したPLA2遺伝子をEcoT22Iで処理し、実施例1のpPLDHをAor51HIおよびEcoT22Iで処理し、これらをDNAリガーゼで連結し、pPLDH−PLA2(実施例3)を得た。 他方、PLA2発現用コントロールプラスミドベクターpIJ702PLD−PLA2(比較例3)を、実施例1のpPLDHを比較例1のpIJ702PLDに代えた以外は、上記と同様にして調製した。 (実施例4および比較例4:実施例2または比較例2の放線菌用プラスミドベクターを用いたPLA2発現用ベクターの構築) 上記PLA2遺伝子をEcoT22Iで処理し、pSSMPHをStuIおよびEcoT22Iで処理し、これらをDNAリガーゼで連結し、pSSMPH−PLA2(実施例4)を得た。 他方、PLA2発現用コントロールプラスミドベクターpIJ702SSMP−PLA2(比較例4)を、実施例2のpSSMPHを比較例2のpIJ702SSMPに代えた以外は、上記と同様にして調製した。 (実施例5および比較例5:実施例1または比較例1の放線菌用プラスミドベクター1を用いたスフィンゴミエリナーゼ発現用ベクターの構築) ストレプトマイセス・シンナモネウス由来スフィンゴミエリナーゼ遺伝子(塩基配列を配列番号7に示し、そのアミノ酸配列を配列番号8に示す)を、鋳型としてストレプトマイセス・シンナモネウスから抽出したDNAを用いてフォワードプライマー(配列番号19)およびリバースプライマー(配列番号20)のプライマー対を用いるPCRにより取得した。PCR反応条件は、(98℃にて2分)を1サイクル後、(98℃にて10秒,55℃にて10秒,68℃にて60秒)を30サイクル行った。取得したスフィンゴミエリナーゼ遺伝子をEcoT22Iで処理し、pPLDHをAor51HIおよびEcoT22Iで処理し、これらをDNAリガーゼで連結し、pPLDH−SM(実施例5)を得た。 他方、スフィンゴミエリナーゼ発現用コントロールプラスミドベクターpIJ702PLD−SM(比較例5)を、実施例1のpPLDHを比較例1のpIJ702PLDに代えた以外は、上記と同様にして調製した。 (参考例1) 実施例1または比較例1の放線菌用プラスミドベクターをベースにした酵素発現用ベクターを用いた形質転換放線菌の調製の手順および本形質転換に用いた各培地の組成を以下に示す: TSB培地:トリプチックソイブロス 3%含有(ベクトン・ディッキンソン製) 発現用培地:グルコース2%、K2HPO40.8%、ポリペプトン(日本製薬製)0.5%、イーストエキストラクト(Difco製)0.5%、pH7.0。 活性測定に供するまでの形質転換放線菌の調製手順は以下のとおりである: ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)1326株(独立行政法人 製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部 生物遺伝資源部門(NBRC):NBRC番号15675)を各プラスミドで形質転換した。放線菌の形質転換は、放線菌に関する遺伝子操作技術についての「Genetic Manupulation of Streptomyces」(Hopwood,D.A.ら、1985年、Genetic Manupulation of Streptomyces: a Laboratory Manual,the John Innes Foundation,Norwich)に記載の方法に従って行った。TSBプレート(チオストレプトン50μg/mL含む)で得られたコロニーを6mLのTSB培地に移植し、試験管培養(28℃にて72時間)し、50mLの発現用培地に試験管培養液を0.4%植菌し、バッフルフラスコ培養(28℃にて48時間)した。その後、1mLの培養液を分取し、遠心分離(14,000rpm、10分、4℃)により上清を回収し、この上清を活性測定に供する。 (参考例2) 実施例2または比較例2の放線菌用プラスミドベクターをベースにした酵素発現用ベクターを用いた形質転換放線菌の調製の手順を以下に示す。なお、本形質転換に用いた各培地の組成は参考例1と同様である。 活性測定に供するまでの形質転換放線菌の調製手順は以下のとおりである: ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)1326株を参考例1と同様にして各プラスミドで形質転換し、TSBプレート(チオストレプトン50μg/mL含む)で得られたコロニーを6mLのTSB培地に移植し、試験管培養(28℃にて72時間)し、50mLの発現用培地に試験管培養液を3%植菌し、バッフルフラスコ培養(28℃にて120時間)した。1mLの培養液を分取し、遠心分離(14,000rpm、10分、4℃)により上清を回収し、この上清を活性測定に供する。 (参考例3:ホスホリパーゼA2(PLA2)活性測定) レシチン1.0gを正確に量り、4%ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(トリトンX−100)溶液50mLに攪拌しながら、徐々に加えて溶かし、基質溶液とする。試験管に基質溶液0.5mL、0.2mol/L酢酸緩衝液(pH4.0)0.25mLおよび0.1mol/L塩化カルシウム溶液0.05mLを正確に入れ、37±0.5℃で約5分間予熱する。1mol/L塩酸0.1mLを正確に加えてよく振り混ぜ、試料液0.1mLを正確に加えてよく混ぜた後、この液0.03mLを別の試験管に正確に量り、発色試液3mLを正確に加えてよく混ぜ、覆いをして、37±0.1℃で10分間放置する。この液について、水を対照として660nmにおける吸光度を測定した。その酵素活性の単位は、操作法の条件で試験をするとき、1分間に1μmolの脂肪酸を遊離する酵素量を1単位とした。 (参考例4:スフィンゴミエリナーゼ(SM)活性測定) 0.5mLの10mMp−ニトロフェニルホスホリルコリン(Sigma製)に、50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH9.0)、2mM塩化マグネシウム、0.2%牛血清アルブミンおよび0.2%TritonX−100からなる溶液を0.4mL加え、35℃で5分間インキュベートした。次いで、酵素溶液を0.1mL加え、35℃で30分間インキュベート後、5%トリクロロ酢酸を0.1mL加えることにより上記酵素を失活させた。さらに、1mLの0.08N水酸化ナトリウムを加えて遊離したp−ニトロフェノールを発色させ、波長400nmの吸光度を測定した。スフィンゴミエリナーゼについては、上記条件において1時間に1nmolのp−ニトロフェノールを生成する酵素量を1ユニットとした。 (実施例6および比較例6) 実施例3のpPLDH−PLA2または比較例3のpIJ702PLD−PLA2を用いて、参考例1に記載の手順に従ってストレプトマイセス・リビダンスを形質転換して、pPLDH−PLA2形質転換株(実施例6)またはpIJ702PLD−PLA2形質転換株(比較例6)を作出し、各形質転換株について参考例3に記載の手順に従ってPLA2活性を測定した。 pPLDH−PLA2形質転換株(実施例6)およびpIJ702PLD−PLA2形質転換株(比較例6)の平均活性はそれぞれ3212ユニット/mLおよび2190ユニット/mL(n=4)であり、pPLDH−PLA2形質転換株のpIJ702PLD−PLA2株に対する活性比は1.5であった。 (実施例7および比較例7) 実施例4のpSSMPH−PLA2または比較例4のpIJ702SSMP−PLA2を用いて、参考例2に記載の手順に従ってストレプトマイセス・リビダンスを形質転換して、pSSMPH−PLA2形質転換株(実施例7)またはpIJ702SSMP−PLA2形質転換株(比較例7)を作出し、各形質転換株について参考例3に記載の手順に従ってPLA2活性を測定した。 pSSMPH−PLA2形質転換株(実施例7)およびpIJ702SSMP−PLA2形質転換株(比較例7)の平均活性はそれぞれ5167ユニット/mLおよび4352ユニット/mL(n=6)であり、pSSMPH−PLA2形質転換株のpIJ702SSMP−PLA2形質転換株に対する活性比は1.2であった。 (実施例8および比較例8) 実施例5のpPLDH−SMまたは比較例5のpIJ702PLD−SMを用いて、参考例1に記載の手順に従ってストレプトマイセス・リビダンスを形質転換して、pPLDH−SM形質転換株(実施例8)またはpIJ702PLD−SM形質転換株(比較例8)を作出し、各形質転換株について参考例4に記載の手順に従ってSM活性を測定した。 pPLDH−SM形質転換株(実施例8)およびpIJ702PLD−SM形質転換株(比較例8)の平均活性はそれぞれ3203ユニット/mLおよび2462ユニット/mL(n=8)であり、pPLDH−SM形質転換株のpIJ702PLD−SM形質転換株に対する活性比は1.2であった。 (実施例9) 実施例6のpPLDH−PLA2形質転換株および比較例6のpIJ702PLD−PLA2形質転換株について発現されたプラスミドのDNA量をNanoDrop 1000分光光度計を用いて測定したところ、それぞれ154.0ng/μLおよび104.9ng/μL(平均:n=4)であった。pPLDH−PLA2とpIJ702PLD−PLA2とのプラスミドのDNAサイズ比は1.16:1であるので、このDNAサイズ比と上記DNA量とに基づいてそれぞれのコピー数を算出したところ、pPLDH−PLA2形質転換株のpIJ702PLD−PLA2形質転換株に対するコピー数比は1.27であった。 (実施例10) 実施例3のpPLDH−PLA2または比較例3のpIJ702PLD−PLA2を参考例1に記載の手順に従ってpPLDH−PLA2形質転換放線菌株またはpIJ702PLD−PLA2形質転換放線菌株を作出し、各形質転換放線菌株を含むバッフルフラスコ培養の培養液1mLに対し50%グリセロールを250μL添加し、−80℃にてグリセロールストックとして各2本保存した。 50mL 参考例1の発現用培地(500mL整流フラスコ)に、試験菌株(pPLDH−PLA2形質転換株またはpIJ702PLD−PLA2)のグリセロールストックを0.2mL植菌し、28℃にて72時間、振とう培養した後、培養液のPLA2活性を参考例3に記載の手順に従って測定した(1継代目)。 次いで、50mL 参考例1の発現用培地(500mLバッフルフラスコ)に、上記72時間培養後の培養液を0.15mL植菌し、28℃にて24時間、振とう培養した後、培養液のPLA2活性を上記と同様に測定した(2継代目)。 さらに、50mL 参考例1の発現用培地(500mLバッフルフラスコ)に、上記24時間培養後の培養液を1.5mL植菌し、28℃にて48時間、振とう培養した後、培養液のPLA2活性を上記と同様に測定した(3継代目)。この結果を以下の表1に示す。 表1から分かるように、実施例3のプラスミドおよび比較例3のプラスミドのどちらの場合においても、PLA2活性は3継代にわたって低下しなかった。本実施例におけるpPLDH−PLA2形質転換放線菌株の3代目菌株のpIJ702PLD−PLA2形質転換放線菌株の3代目菌株に対するPLA2活性比は、実施例6の比較例6に対するPLA2活性比と同様、1.5であった。よって、実施例3のpPLDH−PLA2は、宿主放線菌に安定に保持されていることが確認された。 (実施例11) ストレプトマイセス・リビダンス1326株について、Mutation research/fundamental and molecular mechanisms of mutagenesis (1970) vol.9, 167-182に記載の手順に準じて、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)による変異株(「NTG変異株」)を作出した。このNTG変異株を宿主に、実施例3のpPLDH−PLA2または比較例3のpIJ702PLD−PLA2を用いて、参考例1に記載の手順に従って形質転換して、pPLDH−PLA2形質転換NTG変異株またはpIJ702PLD−PLA2形質転換NTG変異株を作出し、各形質転換株について参考例3に記載の手順に従ってPLA2活性を測定した。この結果、pPLDH−PLA2形質転換NTG変異株では、pIJ702PLD−PLA2形質転換NTG変異株に比べて約2倍程度高いPLA2活性が観察された。 (実施例12pXYLHの構築) キシロース・イソメラーゼ(XylA)遺伝子のプロモーターを含むDNAは、ストレプトマイセス・コエリカラーの全DNAを用いて、フォワードプライマー(配列番号22)およびリバースプライマー(配列番号23)を用い、PCRにより取得した。PCR反応条件は、(98℃にて2分)を1サイクル後、(98℃にて10秒,55℃にて10秒,68℃にて30秒)を30サイクル行った。増幅されたXylAプロモーターを含むDNA断片をPstIとEcoT22Iで処理し、PLDターミネーター断片をEcoT22IおよびKpnIで処理した。pIJ702(図1)をPstIおよびKpnIで切断し、この切断後のプラスミドに、PstIおよびEcoT22I処理XylAプロモーター断片と、EcoT22IおよびKpnI処理PLDターミネーター断片とをDNAリガーゼで結合し、pIJ702XYL(図4(a))を完成した。 sti含有断片(配列番号1の1位〜1223位)を、鋳型としてpIJ101を用いて、フォワードプライマー(配列番号13)およびリバースプライマー(配列番号14)のプライマー対を用いるPCRにより取得した。PCR反応条件は、(98℃にて2分)を1サイクル後、(98℃にて10秒,55℃にて10秒,68℃にて60秒)を30サイクル行った。得られたsti含有断片をKpnIで処理し、pIJ702XYLをKpnIで処理後、アルカリホスファターゼで処理し、これにKpnI処理sti含有断片をDNAリガーゼで結合し、pXYLH(sti保有プラスミド:実施例1、図4(b))を完成した。(実施例13:酵素活性測定用ベクターの構築) キトビアーゼ(Chitobiase、CTB)遺伝子を含むDNAは、ストレプトマイセス・コエリカラーの全DNAを用いて、フォワードプライマー(配列番号26)およびリバースプライマー(配列番号27)を用い、PCRにより取得した。PCR反応条件は、(98℃にて2分)を1サイクル後、(98℃にて10秒,55℃にて10秒,68℃にて120秒)を30サイクル行った。CTB遺伝子をEcot22Iで処理し、断片1を得た。pIJ702XYLとpXYLHを、それぞれ、Aor51HとEcoT22Iで処理し、断片2と断片3を得た。 断片1と2、および断片1と3をDNA Ligaseで結合し、pIJ702XYL−CTBおよびpXYLH−CTBを得た。(実施例14:培養方法) ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)1326株を各プラスミドで形質転換した。形質転換は参考例1と同様にして行った。得られたコロニーをTSBプレート(チオストレプトン50μg/ml含む)に移植し、プレートから、6mlのTSB培地に移植し、28℃で72時間試験管培養した。試験管培養液0.2mlを50mlの発現用培地(表2)に移植し、バッフルフラスコで28℃、120時間培養した。1mlの培養液を分取し、遠心分離(14000rpm、10分、4℃)により上清を回収し、活性測定に用いた。(実施例15:キトビアーゼ活性測定)<キトビアーゼ活性測定法>0.75mlの0.5mM p-ニトロフェニル N-アセチル-β-D-グルコサミニド(Sigma製)に、20mM リン酸二水素カリウムを0.2ml加え、37℃で5分間インキュベートした。次いで、酵素溶液を0.05ml加え、37℃で10分間インキュベート後、0.5M 炭酸ナトリウムを1.4ml加えることにより上記酵素を失活させた。さらに、遊離したp-ニトロフェノールを定量するため、波長400nmの吸光度を測定した。本キトビアーゼについては、上記条件において1分間に1μmolのp-ニトロフェノールを生成する酵素量を1ユニットとした。表3に測定結果を示す。表中のキトビアーゼ活性の平均値を比較すると、sti領域を含むプラスミドpXYLHを用いた場合、sti領域を含まないpIJ702XYL−CTBに比べ、平均1/平均2=1.96倍と約2倍に活性が上昇していた。(実施例16:mini stiの増幅とpPLDHminiの構築) mini sti含有断片(配列番号1の1位〜411位)を、鋳型としてpIJ101を用いて、フォワードプライマー(配列番号28:TTTTGGTACCAGTCATCCTGACCGACTGTG)およびリバースプライマー(配列番号29:TTTTGGTACCGCGGCAGCAGGTGCTCCCCA)のプライマー対を用いるPCRにより取得した。PCR反応条件は、(98℃にて2分)を1サイクル後、(98℃にて10秒,55℃にて10秒,68℃にて60秒)を30サイクル行った。得られたmini sti含有断片をKpnIで処理し、pIJ702PLDをKpnIで処理後、アルカリホスファターゼで処理し、これにKpnI処理mini sti含有断片をDNAリガーゼで結合し、pPLDHmini(mini sti保有プラスミド:図5)を完成した。(実施例17:酵素活性測定用ベクターの構築) PLA2遺伝子を段落0057と同様にしてPCRにより増幅し、EcoT22Iで処理したDNA断片と、pPLDHminiをAor51HIとEcoT22Iで処理したDNA断片とをDNA Ligaseで結合することにより、pPLDHmini−PLA2を構築した。同様に、PLA2遺伝子を段落0057と同様にしてPCRにより増幅し、EcoT22Iで処理したDNA断片と、pPLDHをAor51HIとEcoT22Iで処理したDNA断片とをDNA Ligaseで結合することにより、pPLDH−PLA2(sti)を構築した。(実施例17:mini sti含有プラスミド保持放線菌の酵素活性測定) 1326株のプロトプラストを、プラスミドpIJ702PLD−PLA2(コントロール),pPLDH−PLA2(sti)およびpPLDHmini−PLA2(mini sti)を用いてそれぞれ形質転換した。形質転換株を釣菌し、TSB(ts50)プレートに移植し培養した。増殖した菌をPLD培地7mlに植菌し、培養した(各4株ずつ)。定常期に達した培養物0.2mlをPLD培地50mlを含むバッフルフラスコで培養した。72時間培養後にPLA2の活性測定を行った。その結果を表4および図6に示す。表4に示すように、stiおよびmini stiを挿入したプラスミドで形質転換した放線菌は、非形質転換体のコントロールに比べ約1.5倍の活性を示した。このことは、stiまたはmini stiを挿入することにより、プラスミドの細胞あたりのコピー数が増加し、タンパク質生産性を向上させたことを示していると考えられた。 本発明によれば、放線菌においてタンパク質の発現量を増加させることができる。したがって、本発明のプラスミドベクターを用いることにより、所望のタンパク質を大量に発現させることが可能になる。特に、放線菌は、有用な酵素の生産において非常に重要な微生物であるため、本発明の方法により、酵素などのタンパク質をより効率よく提供できるようになる。 放線菌においてタンパク質を発現するためのプラスミドベクターであって、プロモーター、該タンパク質をコードするDNA断片を挿入するためのクローニングサイト、ターミネーター、およびsti含有断片を含む、プラスミドベクター。 前記sti含有断片が、配列番号1の27位〜226位までの塩基配列を含むDNA断片;配列番号1の27位〜226位までの塩基配列と少なくとも80%の配列同一性を有する塩基配列を含み、かつ上記ベクターのコピー数を増大し得る、DNA断片;または配列番号1の27位〜226位までの塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るDNAを含み、かつ上記ベクターのコピー数を増大し得るDNA断片である、請求項1に記載のプラスミドベクター。 前記プロモーターが、ホスホリパーゼD遺伝子のプロモーター、メタロエンドペプチダーゼ遺伝子のプロモーターおよびキシロース・イソメラーゼ遺伝子のプロモーターからなる群より選ばれる少なくとも1のプロモーターを含む断片である、請求項1または2のいずれかに記載のプラスミドベクター。 前記クローニングサイトに挿入された前記タンパク質をコードするDNA断片をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載のプラスミドベクター。 前記タンパク質が、ホスホリパーゼA2、スフィンゴミエリナーゼまたはキトビアーゼである、請求項1から4のいずれかに記載のプラスミドベクター。 請求項4または5に記載のプラスミドベクターが組み込まれている組換え放線菌。 放線菌においてタンパク質を生産する方法であって、 請求項4または5に記載のプラスミドベクターで放線菌を形質転換する工程、 形質転換された該放線菌を培地中で培養する工程、および 得られた培養物から、該タンパク質を回収する工程を含む、方法。 請求項4または5に記載のプラスミドベクターが導入された組換え放線菌。 前記sti含有断片が、配列番号1の1位〜411位までの塩基配列を含むDNA断片;配列番号1の1位〜411位までの塩基配列と少なくとも80%の配列同一性を有する塩基配列を含み、かつ上記ベクターのコピー数を増大し得る、DNA断片;または配列番号1の1位〜411位までの塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るDNAを含み、かつ上記ベクターのコピー数を増大し得るDNA断片である、請求項1に記載のプラスミドベクター。 前記プロモーターが、ホスホリパーゼD遺伝子のプロモーター、メタロエンドペプチダーゼ遺伝子のプロモーターおよびキシロース・イソメラーゼ遺伝子のプロモーターからなる群より選ばれる少なくとも1のプロモーターを含む断片である、請求項1または9のいずれかに記載のプラスミドベクター。 前記クローニングサイトに挿入された前記タンパク質をコードするDNA断片をさらに含む、請求項1、9または10のいずれかに記載のプラスミドベクター。 前記タンパク質が、ホスホリパーゼA2、スフィンゴミエリナーゼまたはキトビアーゼである、請求項1、9〜11のいずれかに記載のプラスミドベクター。 請求項11または12に記載のプラスミドベクターが組み込まれている組換え放線菌。 放線菌においてタンパク質を生産する方法であって、 請求項11または12に記載のプラスミドベクターで放線菌を形質転換する工程、 形質転換された該放線菌を培地中で培養する工程、および 得られた培養物から、該タンパク質を回収する工程を含む、方法。 請求項11または12に記載のプラスミドベクターが導入された組換え放線菌。 【課題】放線菌におけるタンパク質生産用ベクターを提供すること。【解決手段】放線菌においてタンパク質を発現するためのプラスミドベクターであって、該プラスミドベクターは、プロモーター、該タンパク質をコードするDNA断片を挿入するためのクローニングサイト、およびターミネーター、ならびにstiまたはmini sti含有断片を含む。【選択図】なし配列表


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