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タイトル:公開特許公報(A)_ICP発光分光分析装置
出願番号:2014063959
年次:2015
IPC分類:G01N 21/73


特許情報キャッシュ

中川 良知 JP 2015184267 公開特許公報(A) 20151022 2014063959 20140326 ICP発光分光分析装置 株式会社日立ハイテクサイエンス 503460323 特許業務法人栄光特許事務所 110002000 濱田 百合子 100090343 橋本 公秀 100119552 吉田 将明 100138771 中川 良知 G01N 21/73 20060101AFI20150925BHJP JPG01N21/73 4 1 OL 12 2G043 2G043AA01 2G043CA04 2G043DA05 2G043EA08 2G043GA08 2G043GB21 2G043HA01 2G043HA02 2G043JA04 2G043LA02 2G043NA11 本発明は、溶液試料に含まれる元素(例えば微量不純物元素)の分析を行うICP(Inductively Coupled Plasma;誘導結合プラズマ)発光分光分析装置に関する。 ICP発光分光分析での溶液試料を、誘導結合プラズマ(ICP)で原子化あるいはイオン化し、その際、発光する原子発光線(スペクトル線)を分光分析して微量不純物の定量分析・定性分析を行うのがICP発光分光分析装置である。そして、検出した原子発光線の波長から元素種を同定し、強度から微量元素の濃度を算出するが、原子発光線の強度は、元素種や元素含有濃度によって異なり、同じ元素でも種々の波長の原子発光線があるため、原子発光線の選択によっても強度は異なる。更に、ICP発光分光分析装置の特性として、原子発光線の波長によって検出効率が異なっている。より多くの元素に対してより広い含有濃度範囲を正確に分析できるICP発光分光分析装置が知られている(例えば特許文献1、特許文献2)。 特許文献1は、光電子増倍管の検出出力を基準値と比較し、比較出力を光電子増倍管の印加電圧にフィードバックして光電子増倍管の増幅度を変化させる手段と、印加電圧を検出し、これをあらかじめ記憶してある印加電圧と増幅度との相関データにより増幅度に変換して、検出出力と増幅度の比として測光値を算出する手段を備える発光分光分析用測光装置である。この発光分光分析用測光装置であれば、従来のように試料中の各元素の量を推定して、各元素毎にあらかじめ感度を設定しておく必要がなく、感度調整が完全に自動化できる上に、広いダイナミックレンジで良好なSN比を維持できることが開示されている。 特許文献2は、分析元素の濃度がほぼ一定の比率で変化された複数の試料を準備し、各試料をプラズマトーチに導入して発光させるとともに、発光させた各試料について、光電子増倍管に印加する負高圧を変化させて各負高圧の下でのスペクトル強度を測定し、これらのスペクトル強度の測定値に基づいて各負高圧に対するゲインの相関を求めることを特徴とするICP発光分析装置である。このICP発光分析装置であれば、分析試料の濃度を調整することによって光電子増倍管のゲイン較正曲線を精度良く求めることができるので、光源ランプを省略でき、したがって、従来よりもコストダウンが図れることが開示されている。特公平6−68467号公報特公平6−68468号公報 特許文献1および特許文献2は、光電子増倍管(検出器)に印加する電圧を変化させて、より広い光量範囲の測定を可能としている。しかしながら、光電子増倍管に印加する高電圧が変化すると倍増率は直ちに定常状態にならず、3分から5分程度の時間が掛かかるため、一時的に定量結果の精度が落ちてしまうという問題があった。 本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、予め光電子増倍管に電圧を印加して速やかに本分析に移行することができるICP発光分光分析装置を提供することにある。 本発明のICP発光分光分析装置は、分析対象の元素を誘導結合プラズマにより原子化またはイオン化し、原子発光線を得る誘導結合プラズマ発生部と、前記原子発光線を集光する集光部と、前記原子発光線を入射窓を介して取り入れた後、分光して検出する分光器と、前記分光器を通過した光を検出する検出器と、前記検出器に印加される電圧と当該電圧の印加時間を制御する検出器制御部と、前記分析対象の元素に応じた分析条件の操作入力を受け付ける入力部と、を備えるICP発光分光分析装置であって、前記検出器制御部は、前記入力部への分析条件の入力後から、分析対象の元素を含む試料の前記誘導結合プラズマ発生部への導入の前までの期間において、前記分析条件の下で前記検出器に印加される分析電圧と当該分析電圧の分析電圧印加時間から求められる想定電力量に応じた空転電圧および当該空転電圧の空転電圧印加時間に基づき、前記検出器を制御する。 本発明のICP発光分光分析装置の一態様として例えば、前記検出器制御部は、前記分析電圧および前記分析電圧印加時間から定まる電圧印加サイクルと同一の電圧印加サイクルになるよう、前記空転電圧および前記空転電圧印加時間を設定する。 本発明のICP発光分光分析装置の一態様として例えば、前記検出器制御部は、前記分析電圧における高電圧および低電圧ならびにそれぞれの印加時間割合と同一の高電圧および低電圧ならびにそれぞれの印加時間割合をもつ前記空転電圧および前記空転電圧印加時間を設定する。 本発明のICP発光分光分析装置の一態様として例えば、前記検出器制御部は、前記分析電圧および前記分析電圧印加時間から定まる平均電力量と同一の電力量となるような電圧を前記空転電圧として設定する。 本発明によれば、検出器の光電子増倍管の増幅率が一定になるまで待ってから定量分析を行うため、定量分析の精度が確保できるICP発光分光分析装置を提供できる。本発明に係るICP発光分光分析装置の一例を示す概念図。本発明に係るICP発光分光分析装置の一例を示すブロック図。本発明に係るICP発光分光分析装置の検出器の光電子増倍管を示し、(a)模式的正面図、(b)電子増倍部の模式図。本発明に係るICP発光分光分析装置の定量分析の流れを示すフローチャート図。本発明に係るICP発光分光分析装置の定量分析条件例の抜粋を示す表。図5の表に基づく定量分析条件設定の分析電圧を想定した空転電圧のサイクルを示すチャートグラフであり、(a)は定量分析条件の分析電圧と同一のサイクルをもつ空転電圧の例であり、(b)は分析電圧の高電圧と低電圧のそれぞれの印加時間の割合と同一の印加時間の割合をもつ空転電圧の例であり、(c)は分析電圧の平均電圧をもつ空転電圧の例。本発明に係るICP発光分光分析装置の試料条件例を示す表。 以下、本発明に係るICP発光分光分析装置の好適な実施形態を、図1〜図7に基づいて詳述する。 図1は、本発明に係るICP発光分光分析装置の一例を示す概念図である。 ICP発光分光分析装置1は、誘導結合プラズマ発生部10と、集光部20と、分光器30と、検出器40と、制御部60とから概略構成されている。誘導結合プラズマ発生部10は、スプレーチャンバ11と、ネブライザー12と、プラズマトーチ13と、高周波コイル14と、ガス制御部15と、高周波電源16とから概略構成されている。原子発光線を集光する集光部20は、誘導結合プラズマ発生部10と分光器30との間に配置され、入射スリット21と、集光レンズ22と、入射窓23と、を備えている。 原子発光線を分光して検出する分光器30は、回折格子、ミラー等の光学部品31と、を備えている。分光器30を通過した光を検出する検出器40には、後述する光電子増倍管70が設けられている。また、検出器40には、検出器40に印加される電圧と当該電圧の印加時間を制御する検出器制御部41と、分析対象の元素に応じた分析条件の操作入力を受け付ける入力部42とが備えられている。尚、検出器制御部41と入力部42は、コンピュータ等からなる制御部60に含まれていても良い。 ネブライザー12内に供給されたキャリアガス(アルゴンガス)は、スプレーチャンバ11内にネブライザー12の先端から噴出され、キャリアガスの負圧吸引によって試料容器17の溶液試料17aが吸い上げられ、ネブライザー12の先端から試料が噴射される。噴射された溶液試料17aは、スプレーチャンバ11内で粒子の均一化と気流の安定化が図られ、ガス制御部15でコントロールされプラズマトーチ13に導かれる。そして、高周波コイル14に高周波電源16から高周波電流を流し、溶液試料17aの試料分子(又は原子)は加熱・励起されて発光し、プラズマトーチ13の上方で誘導結合プラズマ18(以下、プラズマと述べる)を生成する。高周波電流の周波数は、27.12MHz或いは40MHzが一般的である。 溶液試料17aとは、含有元素の濃度が既知で検量線を作成する標準試料や、濃度を知りたい未知試料である。試料容器17への溶液試料17aの切り替えは、手動やオートサンプラー等を使用した自動で行うことができる。 図2は、本発明に係るICP発光分光分析装置の一例を示すブロック図である。 溶液試料17aの分析対象となる元素をプラズマ18により原子化又はイオン化された原子発光線は、原子発光線を集光する集光部20に入射し、入射スリット21および集光レンズ22を通過して、入射窓23を通過した後、分光器30内に入射する。分光器30は、ツェルニターナ型、エッシェル型、パッシェンルンゲ型などが使われる。 入射窓23を介して取り入れた原子発光線は、分光器30内の光学部品31により分光して検出され、検出器40に入射して検出器40で検出される。検出された原子発光線は、制御部60等でデータ処理して解析され、原子発光線(スペクトル線)の波長から溶液試料17aに含まれる分析対象の元素(例えば微量不純物元素)の定性分析と原子発光線(スペクトル線)の強度から元素の定量分析が行われる。 検出器40の検出器制御部41は、検出器電源43と検出器電源制御部44とを有する。検出器電源43は、検出器40に−1000V程度までの印加と、印加電圧Veに応じて0.3ミリアンペア程度までの電流を供給する。検出器電源制御部44は、検出器40で発生する電圧のオン/オフや電圧値の制御を行う。 分光器30を通過して検出器40で検出された原子発光線の信号は、増幅演算部61で増幅され制御部60に測定データとして記録される。増幅演算部61は、分光器30に対しては波長掃引制御を行い、検出器40に対しては積分時間などの制御を行う。 図3は、検出器の光電子増倍管を示し、(a)は模式的正面図、(b)は電子増倍部の模式図である。 検出器40では、光電子増倍管70が使用される。光電子増倍管70は、石英ガラス等からなる球体部71とソケット部72とからなり、球体部に電子増倍部73を備え、ソケット部72に複数の分圧抵抗r1〜rnを備える。 光電子増倍管70は、原子発光線である入射光を電子増倍部73の光電面74で光電子(e-)に変換する。変換された光電子は、ダイノード75に衝突して二次電子を放出し、複数のダイノード75で衝突しながら増倍されていく。即ち、光電子増倍管70は、ダイノード75に光電子加速用の印加電圧Veが各分圧抵抗r1〜rnを介して印加されており、ダイノード75に衝突した光電子により励起放出された光電子が順次増倍される。倍増された光電子はコレクタ76から光強度に応じた電流値が出力される。 図4は、定量分析の流れを示すフローチャート図である。 定量分析条件設定(ステップS1)は、プラズマ運転条件(高周波電力や、ガス条件など)、検出条件(検出する元素と波長、各元素の測定時間)、補正条件(内標準補正やベースライン補正)、などを設定する。 試料条件設定(ステップS2)は、測定する試料の属性(標準試料か未知試料か)、標準試料に含まれる含有元素種とその濃度、未知試料の名称、オートサンプラーを使用する自動分析の場合はサンプリング条件(試料台に並んだ試料の属性と名称、測定順序、試料を切り替えるときの切り替え時間)、などを設定する。 試料導入開始(ステップS3)は、測定する試料に切り替えてから、導入が安定したことを確認してから含有元素の強度測定を開始する(ステップS4)。尚、オートサンプラーを使用する場合は、導入が安定したことの確認に代えて一定時間待ってから含有元素の測定を開始する。 精度の良い定量分析を行う場合、検出器40に使用される光電子増倍管70の倍増率を安定させる必要がある。しかしながら、印加電圧Veが変化しても倍増率は直ちに定常状態(一定)にならない。即ち、光電子増倍管70のダイノード75には、印加電圧Veが分圧抵抗r1〜rnによって分圧された電圧が印加されるが、印加電圧Veが変わると分圧抵抗r1〜rnを流れる電流は数百マイクロアンペア程度変化する。そのため分圧抵抗r1〜rnの熱量が変わって、分圧抵抗およびダイノード75の温度が変化し、増幅率が直ぐには一定にならないためである。 換言すれば、増幅率の安定は、光電子増倍管70の分圧抵抗r1〜rnから発生する熱が安定化することに依拠する。即ち、 発熱量Q=電力P×時間t(単位時間なら1)=電流I×電圧V×t=V2/R(分圧抵抗の抵抗)×t であり、所定時間に印加する印加電圧Veによる発熱が平均してみれば一定になるようにすれば良いことになる。 図5は、定量分析条件例の抜粋を示す表である。 本発明では、図5の表に示すような本分析における定量分析条件に倣った形で予めICP発光分光分析装置1を運転(暖気運転)させておき、光電子増倍管70の分圧抵抗r1〜rnの熱量を本分析時相当にしておくことで、速やかに本分析に入れるようにしている。 検出器40(光電子増倍管70)の印加電圧Veである分析電圧は、例えば高で800V、低で300V印加する。表に基づく定量分析条件によると、分析電圧「高」で測定するのは6元素60秒、「低」で測定するのは4元素40秒となり、検出器40の分析電圧の分析印加時間の割合は高で60%、低で40%となる。本分析における1サイクル時間は100秒(=10秒×10)である。そして、定量分析条件設定後に印加する検出器40の空転電圧は1サイクルを10秒に短縮し(本分析の1サイクルの10分の1)、そのうち分析電圧「高」を6秒印加、分析電圧「低」を4秒印加する空転電圧印加時間の割合とする。このサイクルを試料導入開始まで繰り返した。 試料導入開始から含有元素測定開始までの間は、測定する元素の検出器40の空転電圧(Asを測定する場合は高)とする。含有元素測定前の検出器40への印加電圧条件が不定の従来技術では、定量測定結果のCV値(=標準偏差/平均値)が、1%程度になることがあった。本発明では、試料導入開始から含有元素測定開始までの空転電圧印加時間に於ける検出器40への空転電圧の条件が制御されているので、定量測定結果のCV値は0.2%程度まで改善している。 ここで、「分析電圧」とは、入力部42に入力された定量分析条件や試料分析条件に基づく定量分析する含有元素の検出器40に印加する電圧であり、「分析電圧印加時間」とは、定量分析中における分析電圧を印加している時間である。また、「空転電圧」とは、実際の分析電圧と分析電圧印加時間から求められる想定電力量に応じた電圧であり、「空転電圧印加時間」とは分析電圧に至るまでの空転電圧を印加している時間である。「空転電圧」および「空転電圧印加時間」は、実際の定量分析を行う前に検出器40の光電子増倍管70の発熱を予め同じ(実質同一)にしておくための、所謂、暖機運転、アイドリング運転に用いられる。光電子増倍管70の倍幅率が一定(定常)になるまで待って定量分析を行い、定量分析の精度を確保可能としている。 そして、検出器制御部41は、入力部42への分析条件の入力後から、分析対象の元素を含む溶液試料17aの誘導結合プラズマ発生部10への導入の前までの期間において、分析条件の下で検出器40に印加される分析電圧と当該分析電圧の分析電圧印加時間から求められる想定電力量に応じた空転電圧および当該空転電圧の空転電圧印加時間に基づき、検出器40を制御している。 図6は、図5の表に基づく定量分析条件設定の分析電圧を想定した空転電圧のサイクルを示すチャートグラフである。(a)は定量分析条件の分析電圧と同一のサイクルをもつ空転電圧の例であり、(b)は分析電圧の高電圧と低電圧のそれぞれの印加時間の割合と同一の印加時間の割合をもつ空転電圧の例であり、(c)は分析電圧の平均発熱量をもつ空転電圧の例である。縦軸に印加電圧、横軸に時間を取っている。 図6(a)は、定量分析条件の分析電圧と同一の電圧印加サイクルを繰り返す方法である。ただし、上述したように定量分析条件における1サイクル時間の100秒(図5参照)を10秒に短縮している。800Vと300Vの変化は、図5の表に基づいている。そして、検出器制御部41は、分析電圧および分析電圧印加時間から定まる電圧印加サイクルと同一の電圧印加サイクルになるよう、空転電圧および空転電圧印加時間を設定する。ここで述べる「同一」とは、全く同じ時間ではなく、1サイクルが本分析(100秒)と空転(10秒)で相似形になるという意味である。 図6(b)は、印加電圧の高低の割合を定量分析条件にしたがって電圧印加サイクルを繰り返している。即ち、6割が800V、4割が300Vである。そして、検出器制御部41は、分析電圧における高電圧および低電圧ならびにそれぞれの印加時間割合と同一の高電圧および低電圧ならびにそれぞれの印加時間割合をもつ空転電圧および空転電圧印加時間を設定する。 図6(c)は、定量分析条件に基づいた平均発熱量と等しくなるような暖気運転を行う一定の空転電圧を設定している。すなわち、空転電圧値は、(V2/R)=(8002/R×0.6+3002/R×0.4) から 648〔V〕となる。そして、検出器制御部41は、分析電圧および分析電圧印加時間から定まる平均電圧と同一の電圧を空転電圧として設定する。 定量分析条件設定(ステップS1)を行うと、検出器制御部41の検出器電源制御部44は、含有元素の検出を行う空転電圧値と空転電圧印加時間の割合に合わせたサイクルで検出器40に空転電圧が印加されるように、検出器電源43に制御信号を送る。例えば、定量分析を1つの試料に対して、元素1の測定を分析電圧値Aでα時間測定した後、元素2の測定を分析電圧値Bでβ時間する場合、制御信号は1サイクルの中で空転電圧値Aをα/(α+β)の空転電圧印加時間の割合で印加し、空転電圧値Bをβ/(α+β)の空転電圧印加時間の割合で印加する。そして検出器40には制御信号にしたがった電圧印加サイクルを繰り返してゆく。 図7は試料条件例を示す表である。 試料条件設定(ステップS2)では、試料名、属性、標準試料に含まれる元素の濃度を入力部42に入力する。オートサンプラーを使用する場合には、試料台に置かれた各試料位置や試料導入を切り替えるときの切り替え時間も入力する。分析電圧を変えたときに検出器40が一定になるまでの時間が5分程度なので、検出器40の安定時間を5分とする。試料条件を手入力で行い、設定作業に5分掛かったとする。この場合、定量分析設定から含有元素測定までの分析電圧印加時間は検出器40の安定時間以上になるので、そのまま含有元素測定を行ことができる。 試料条件設定を予め作成したファイルを読み出す場合は、設定作業は短時間で済む。この場合、定量分析設定から含有元素測定までの分析電圧印加時間が検出器40の安定時間より短くなるので、実際の測定は検出器安定時間が経過した後に実行する。従来は定量測定結果のCV値が1%程度になることがあったが、本発明では、定量測定結果のCV値は0.2%程度まで改善している。 試料条件設定(ステップS2)の設定時間は一定ではない。測定する標準試料数や未知試料数が多くて、1試料あたりに測定する元素数が多いときには、入力に時間が掛かって試料条件の設定時間が長くなる。また、予め作成しておいた試料条件に従って分析する場合には、試料条件を呼び出すだけなので設定時間が短い。もし試料条件の設定を短時間で終えて直ぐに測定を開始すると、光電子増倍管70の増幅率が一定に達していない状態で測定することになり、定量分析精度が損なわれてしまう。 本発明では光電子増倍管70の空転電圧印加時間を設定して、試料条件を短時間で設定した場合には、定量分析条件設定から含有元素測定開始までの空転電圧印加時間が光電子増倍管70の安定時間以上になるように待ってから含有元素測定を開始する。即ち、定量分析条件設定(ステップS1)から含有元素の強度測定(ステップS4)までの時間は、検出器40の安定時間以上とすると良い。 尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。 本発明に係るICP発光分光分析装置は、検出器の光電子増倍管の増幅率が一定になるまで待ってから定量分析を行い定量分析の精度が確保できる用途に適用可能である。 1:ICP発光分光分析装置 10:誘導結合プラズマ発生部 18:誘導結合プラズマ 20:集光部 23:入射窓 30:分光器 40:検出器 41:検出器制御部 42:入力部 43:検出器電源 44:検出器電源制御部 60:制御部 70:光電子増倍管 73:電子増倍部 74:光電面 75:ダイノード r1〜rn:分圧抵抗 Ve:印加電圧(分析電圧) 分析対象の元素を誘導結合プラズマにより原子化またはイオン化し、原子発光線を得る誘導結合プラズマ発生部と、 前記原子発光線を集光する集光部と、 前記原子発光線を入射窓を介して取り入れた後、分光して検出する分光器と、 前記分光器を通過した光を検出する検出器と、 前記検出器に印加される電圧と当該電圧の印加時間を制御する検出器制御部と、 前記分析対象の元素に応じた分析条件の操作入力を受け付ける入力部と、 を備えるICP発光分光分析装置であって、 前記検出器制御部は、前記入力部への分析条件の入力後から、分析対象の元素を含む試料の前記誘導結合プラズマ発生部への導入の前までの期間において、前記分析条件の下で前記検出器に印加される分析電圧と当該分析電圧の分析電圧印加時間から求められる想定電力量に応じた空転電圧および当該空転電圧の空転電圧印加時間に基づき、前記検出器を制御する、ICP発光分光分析装置。 請求項1に記載のICP発光分光分析装置であって、 前記検出器制御部は、前記分析電圧および前記分析電圧印加時間から定まる電圧印加サイクルと同一の電圧印加サイクルになるよう、前記空転電圧および前記空転電圧印加時間を設定する、ICP発光分光分析装置。 請求項1に記載のICP発光分光分析装置であって、 前記検出器制御部は、前記分析電圧における高電圧および低電圧ならびにそれぞれの印加時間割合と同一の高電圧および低電圧ならびにそれぞれの印加時間割合をもつ前記空転電圧および前記空転電圧印加時間を設定する、ICP発光分光分析装置。 請求項1に記載のICP発光分光分析装置であって、 前記検出器制御部は、前記分析電圧および前記分析電圧印加時間から定まる平均電力量と同一の電力量となるような一定電圧を前記空転電圧として設定する、ICP発光分光分析装置。 【課題】予め光電子増倍管に電圧を印加して速やかに本分析に移行することができるICP発光分光分析装置を提供する。【解決手段】ICP発光分光分析装置1は、誘導結合プラズマ発生部10と、集光部20と、分光器30と、検出器40と、制御部60とから概略構成されている。また、検出器40には、光電子増倍管70が備えられ、検出器制御部41と入力部42とを有している。光電子増倍管70には分圧抵抗r1〜rnがあるため光電子増倍管70に印加される印加電圧Veの変化により増幅率が直ぐには一定にならないが、予め入力部42への分析条件の入力後から、分析対象の元素を含む試料の誘導結合プラズマ装置10への導入の前までの期間において、検出器制御部41が空転電圧と空転電圧印加時間を制御して、倍増率を一定にさせる。【選択図】図1


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