タイトル: | 公開特許公報(A)_電子写真感光体、プロセスカートリッジ、電子写真装置およびイミド化合物 |
出願番号: | 2014054179 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | G03G 5/14,G03G 5/07,C07D 519/00 |
関戸 邦彦 中村 延博 奥田 篤 関谷 道代 伊藤 陽太 JP 2014224987 公開特許公報(A) 20141204 2014054179 20140317 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、電子写真装置およびイミド化合物 キヤノン株式会社 000001007 阿部 琢磨 100126240 黒岩 創吾 100124442 関戸 邦彦 中村 延博 奥田 篤 関谷 道代 伊藤 陽太 JP 2013093093 20130425 G03G 5/14 20060101AFI20141107BHJP G03G 5/07 20060101ALI20141107BHJP C07D 519/00 20060101ALI20141107BHJP JPG03G5/14 101DG03G5/07 101G03G5/07 103G03G5/07G03G5/14 101FC07D519/00 311C07D519/00 13 OL 35 2H068 4C072 2H068AA32 2H068AA44 2H068BA45 2H068BB49 2H068FA19 4C072MM02 4C072UU05 本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置、ならびにイミド化合物に関する。 プロセスカートリッジや電子写真装置に搭載される電子写真感光体として、有機光導電性物質(電荷発生物質)を含有する電子写真感光体が主として用いられている。上述の電子写真感光体は、成膜性が良く、塗工によって生産できるため、生産性が高いという利点を有している。 電子写真感光体は、一般的に、支持体および支持体上に形成された感光層を有する。また、支持体から感光層側への電荷注入を抑制し、黒点などの画像欠陥の発生を抑えることを目的として、支持体と感光層との間に下引き層が設けられることが多い。 しかしながら、下引き層を設けたことによって、電子写真感光体の特性の低下が見られる場合もある。 そこで、特許文献1〜3では、下引き層に電子輸送物質を含有させて、電子輸送層化することによって下引き層の特性を改良しようとする試みがなされている。また、下引き層に電子輸送物質を含有させる場合は、下引き層の上層である感光層の形成時に、電子輸送物質が感光層用塗布液中の溶剤によって溶出してしまわないよう、下引き層を硬化膜化する技術が提案されている。特開2007−148294号公報特開2008−250082号公報特表2009−505156号公報 近年、電荷発生物質が高感度化することに伴い、電荷の発生量が多くなることで電荷が感光層中に滞留しやすく、ポジゴーストが発生しやすくなる。また、カラー化に代表される高画質化が進むことにより、ポジゴーストをより低減させることが求められている。ポジゴーストとは、1枚の画像を形成する中で、光が照射された部分が電子写真感光体の次回転目にハーフトーン画像になる場合において、光が照射された部分のみの濃度が濃くなる現象である。 本発明者らの検討の結果、特許文献1〜3に開示された技術は、初期のポジゴーストの低減に関して、まだ改良の余地があるものであった。 本発明の目的は、初期のポジゴーストが抑制された電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。本発明の別の目的は、電子輸送能を有し、重合(硬化)することが可能なイミド化合物を提供することにある。 本発明は、支持体、支持体上形成された下引き層、および該下引き層上に形成された感光層を有する電子写真感光体であって、 該下引き層が、 下記式(1)で示される化合物の重合物、または、 下記式(1)で示される化合物を含む組成物の重合物を含有することを特徴とする電子写真感光体に関する。(式(1)中、nは0以上の整数である。R1〜R14は、それぞれ独立に、下記式(A)で示される1価の基、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つをOに置き換えて導かれる1価の基、置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つをSに置き換えて導かれる1価の基、または置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つをNR901に置き換えて導かれる1価の基を示す。R901は、水素原子、またはアルキル基である。R1〜R14の少なくとも1つは、下記式(A)で示される1価の基である。該置換アリール基の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、およびハロゲン置換アルキル基からなる群より選択される。該置換複素環基の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、およびハロゲン置換アルキル基からなる群より選択される。該置換アルキル基の置換基は、アルキル基、アリール基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、およびハロゲン原子からなる群より選択される。)(式(A)中、α、β、およびγの少なくとも1つは重合性官能基を有する。lおよびmは、それぞれ独立に、0または1であり、lとmの和は、0以上2以下である。 αは、主鎖の原子数が1〜6の置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中の炭素原子の1つをOに置き換えて導かれる主鎖の原子数が1〜6の2価の基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中の炭素原子の1つをSに置き換えて導かれる主鎖の原子数が1〜6の2価の基、または置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中の炭素原子の1つをNR19に置き換えて導かれる主鎖の原子数が1〜6の2価の基を示す。R19は、水素原子、またはアルキル基である。該置換アルキレン基の置換基は、該重合性官能基、炭素数1〜6のアルキル基、ベンジル基、アルコシキカルボニル基、およびフェニル基からなる群より選択される。 βは、置換もしくは無置換のフェニレン基を示す。該置換フェニレン基の置換基は、該重合性官能基、炭素数1〜6のアルキル基、ニトロ基、ハロゲン原子、およびアルコキシ基からなる群より選択される。 γは、水素原子、主鎖の原子数が1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つをNR902に置き換えて導かれる主鎖の原子数が1〜6の1価の基を示す。これらの基は、置換基として、重合性官能基を有していても良い。R902は、アルキル基を示す。該置換アルキル基の置換基は、該重合性官能基、および炭素数1〜6のアルキル基からなる群より選択される。) また、本発明は、上記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジに関する。 また、本発明は、上記電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置に関する。 また、本発明は、下記式(1)で示されるイミド化合物に関する。(式(1)中、nは0以上の整数である。R1〜R14は、それぞれ独立に、下記式(A)で示される1価の基、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つをOに置き換えて導かれる1価の基、置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つをSに置き換えて導かれる1価の基、または置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つをNR901に置き換えて導かれる1価の基を示す。R901は、水素原子、またはアルキル基である。R1〜R14の少なくとも1つは、下記式(A)で示される1価の基である。該置換アリール基の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、およびハロゲン置換アルキル基からなる群より選択される。該置換複素環基の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、およびハロゲン置換アルキル基からなる群より選択される。該置換アルキル基の置換基は、アルキル基、アリール基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、およびハロゲン原子からなる群より選択される。)(式(A)中、α、β、およびγの少なくとも1つは重合性官能基を有する。lおよびmは、それぞれ独立に、0または1であり、lとmの和は、0以上2以下である。 αは、主鎖の原子数が1〜6の置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中の炭素原子の1つをOに置き換えて導かれる主鎖の原子数が1〜6の2価の基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中の炭素原子の1つをSに置き換えて導かれる主鎖の原子数が1〜6の2価の基、または置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中の炭素原子の1つをNR19に置き換えて導かれる主鎖の原子数が1〜6の2価の基を示す。R19は、水素原子またはアルキル基である。該置換アルキレン基の置換基は、該重合性官能基、炭素数1〜6のアルキル基、ベンジル基、アルコシキカルボニル基、およびフェニル基からなる群より選択される。 βは、置換もしくは無置換のフェニレン基を示す。該置換フェニレン基の置換基は、該重合性官能基、炭素数1〜6のアルキル基、ニトロ基、ハロゲン原子、およびアルコキシ基からなる群より選択される。 γは、水素原子、主鎖の原子数が1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つをNR902に置き換えて導かれる主鎖の原子数が1〜6の1価の基を示す。R902はアルキル基を示す。該置換アルキル基の置換基は、該重合性官能基、および炭素数1〜6のアルキル基からなる群より選択される。) 本発明によれば、初期のポジゴーストが抑制された電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。また、本発明によれば、電子輸送能を有し、重合(硬化)することが可能なイミド化合物を提供することができる。本発明の電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す図である。ゴースト評価用画像(ゴースト評価用印字)を説明する図である。1ドット桂馬パターン画像を説明する図である。電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。 本発明の電子写真感光体は、支持体、支持体上に形成された下引き層、下引き層上に形成された感光層を有する。 下引き層は、下記式(1)で示される化合物の重合物(下記式(1)で示される化合物を重合させて得られる重合物)を含有する。または、下記式(1)で示される化合物を含む組成物の重合物(下記式(1)で示される化合物を含む組成物を重合させて得られる重合物)を含有する。 式(1)中、nは0以上の整数である。R1〜R14は、それぞれ独立に、下記式(A)で示される1価の基、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基、または、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つをOに置き換えて導かれる1価の基、置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つをSに置き換えて導かれる1価の基、または置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つをNR901に置き換えて導かれる1価の基を示す。R901は、水素原子、またはアルキル基である。R1〜R14の少なくとも1つは、下記式(A)で示される1価の基である。 該置換アリール基の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、またはハロゲン置換アルキル基である。 該置換複素環基の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、またはハロゲン置換アルキル基である。 該置換アルキル基の置換基は、アルキル基、アリール基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはハロゲン原子である。 上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基が挙げられる。上記アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基が挙げられる。上記アルコキシカルボニル基として、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルカルボニル基が挙げられる。上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が挙げられる。上記ハロゲン置換アルキルとしては、例えば、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタデカフルオロオクチル基が挙げられる。 式(A)中、α、β、およびγの少なくとも1つは重合性官能基を有する。lおよびmは、それぞれ独立に、0または1であり、lとmの和は、0以上2以下である。 αは、主鎖の原子数が1〜6の置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中の炭素原子の1つをOに置き換えて導かれる主鎖の原子数が1〜6の2価の基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中の炭素原子の1つをSに置き換えて導かれる主鎖の原子数が1〜6の2価の基、または置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中の炭素原子の1つをNR19に置き換えて導かれる主鎖の原子数が1〜6の2価の基を示す。R19は、水素原子またはアルキル基である。該置換アルキレン基の置換基は、該重合性官能基、炭素数1〜6のアルキル基、ベンジル基、アルコシキカルボニル基、およびフェニル基からなる群より選択される。 βは、置換もしくは無置換のフェニレン基を示す。該置換フェニレン基の置換基は、該重合性官能基、炭素数1〜6のアルキル基、ニトロ基、ハロゲン原子、およびアルコキシ基からなる群より選択される。 γは、水素原子、主鎖の原子数が1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つをNR902に置き換えて導かれる主鎖の原子数が1〜6の1価の基を示す。R902はアルキル基を示す。該置換アルキル基の置換基は、該重合性官能基、および炭素数1〜6のアルキル基からなる群より選択される。 上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。上記アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基が挙げられる。上記アルコキシカルボニル基として、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルカルボニル基が挙げられる。上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が挙げられる。 また、電子輸送能を有し、重合(硬化)することが可能なイミド化合物として、上記式(1)で示される化合物が挙げられる。 本発明の下引き層を有する電子写真感光体が初期のポジゴーストの抑制効果に優れる理由について、本発明者らは、以下のように推測している。 下引き層に電子輸送物質を重合(硬化)させた重合物(硬化物)を用いる場合、重合(硬化)させない場合よりも、下引き層中の電子輸送部位は溶剤に溶けにくくなる。一方で、電子輸送部位の分子構造の自由度は低下し、電荷輸送部位の向きに偏りが生じやすくなるため、分子間ホッピングによる電子の受け渡しが抑制されやすいと考えている。しかしながら、上記式(1)で示される化合物(電荷輸送物質)を用いると、電子輸送部位同士が直向した構造であることにより、電子輸送部位の向きの偏りが少なくなり、電子注入サイトが満遍なく存在することができると考えられる。これにより、電子の受け渡しが向上し、電子の滞留が原因で起こるポジゴーストに対し抑制効果が得られると推測している。 本発明の電子写真感光体は、支持体、支持体上に形成された下引き層、および該下引き層上に形成された感光層を有する電子写真感光体である。該感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と正孔輸送物質を含有する正孔輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であることが好ましい。 図4の(a)および(b)は、電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。図4の(a)および(b)中、101は支持体であり、102は下引き層であり、103は感光層であり、104は電荷発生層、105は正孔輸送層である。 〔下引き層〕 支持体または後述の導電層と感光層との間に下引き層が設けられる。 下引き層には、上記式(1)で示される化合物の重合物、または、上記式(1)で示される化合物を含む組成物の重合物を含有する。 下引き層は、上記式(1)で示される化合物、または、上記式(1)で示される化合物を含む組成物を含有する下引き層用塗布液の塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させることによって形成することができる。下引き層用塗布液の塗膜乾燥時に、上記式(1)で示される化合物が重合するが、その際に熱等のエネルギーを印加することで重合反応(硬化反応)が促進される。 上記式(1)で示される化合物は、上記式(A)で示される1価の基に重合性官能基を有する。重合性官能基としては、活性水素基、または不飽和炭化水素基であることが好ましい。活性水素基とは、活性水素(酸素、硫黄、窒素等と結合している反応性が強い水素原子)を含有する基である。不飽和炭化水素基とは、炭素骨格の炭素−炭素結合として二重結合または三重結合を含む炭化水素基のことである。 活性水素基として、好ましくは、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基からなる群より選択される少なくとも1種である。より好ましくは、ヒドロキシ基、またはカルボキシル基である。 不飽和炭化水素基として、好ましくは、アクリロイルオキシ基、およびメタクリロイルオキシ基からなる群より選択される少なくとも1種である。これらの基であると、重合膜(硬化膜)形成能が高くなりやすい。 上記式(1)中、溶解性および成膜性の観点から、nが0以上5以下の整数であることが好ましい。 下引き層中の上記式(1)で示される化合物の重合物、または、上記式(1)で示される化合物を含む組成物の重合物の含有量は、下引き層の全質量に対して50質量%以上100質量%以下であることが好ましい。さらに、80質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。 下引き層に上記式(1)で示される化合物を含む組成物を重合させて得られる重合物を含有する場合、該組成物には、さらに、架橋剤と樹脂を含有することが好ましい。 架橋剤としては、上記式(1)で示される化合物(電子輸送物質)と重合(硬化)または架橋する化合物を用いることができる。架橋剤は、例えば、イソシアネート化合物、アミン化合物が挙げられる。 イソシアネート化合物は、イソシアネート基またはブロックイソシアネート基を複数個有しているイソシアネート化合物が好ましい。例えば、トリイソシアネートベンゼン、トリイソシアネートメチルベンゼン、トリフェニルメタントリイソシアネート、リジントリイソシアネートの他、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、ノルボルナンジイソシアネート等のジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトールとのアダクト変性体等が挙げられる。これらの中でもイソシアヌレート変性体とアダクト変性体がより好ましい。 購入可能なイソシアネート化合物(架橋剤)として、例えば、旭化成社製デュラネートMFK−60B、SBA−70B、住化バイエルウレタン社製デスモジュールBL3175、BL3475、等のイソシアネート系架橋剤、三井化学社製ユーバン20SE60、220、DIC社製、スーパーベッカミンL−125−60、G−821−60等のアミノ系架橋剤、日立化成社製ファンクリルFA−129AS FA−731A等のアクリル系架橋剤等が挙げられる。 アミン化合物は、例えば、Nメチロール基またはアルキルエーテル化されたNメチロール基を複数個有しているアミン化合物が良い。例えば、メチロール化されたメラミン、メチロール化されたグアナミン、メチロール化された尿素誘導体、メチロール化されたエチレン尿素誘導体、メチロール化されたグリコールウリルおよび、メチロール部位がアルキルエーテル化されたこれら化合物および、これらの誘導体が挙げられる。 購入可能なアミン化合物(架橋剤)としては、例えば、スーパーメラミNo.90(日本油脂社製)、スーパーベッカミン(R)TD−139−60、L−105−60、L127−60、L110−60、J−820−60、G−821−60(DIC社製)、ユーバン2020(三井化学)、スミテックスレジンM−3(住友化学工業)、ニカラックMW−30、MW−390、MX−750LM(日本カーバイド社製)、”スーパーベッカミン(R)L−148−55、13−535、L−145−60、TD−126(DIC社製)、ニカラックBL−60、BX−4000(日本カーバイド社製)、ニカラックMX−280、ニカラックMX−270、ニカラックMX−290(日本カーバイド社製)、などが挙げられる。 樹脂としては、上記式(1)で示される化合物(電子輸送物質)と重合(硬化)することが可能な重合性官能基を有する樹脂を用いることができる。重合性官能基として好ましくは、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基またはメトキシ基が挙げられる。これらの重合性官能基を有する樹脂としては、例えば、ポリエーテルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリアクリルポリオール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、カルボキシル基含有樹脂、ポリアミン樹脂、ポリチオール樹脂が挙げられる。 購入可能な重合性官能基を有する樹脂としては、例えば、日本ポリウレタン工業株式会社製AQD−457、AQD−473、三洋化成工業株式会社製サンニックスGP−400、GP−700などのポリエーテルポリオール系樹脂、日立化成工業株式会社製フタルキッドW2343、DIC株式会社製ウォーターゾールS−118、CD−520、ハリマ化成株式会社製ハリディップWH−1188などのポリエステルポリオール系樹脂、DIC株式会社製、バーノックWE−300、WE−304などのポリアクリルポリオール系樹脂、株式会社クラレ製クラレポバールPVA−203などのようなポリビニルアルコール系樹脂、積水化学工業株式会社製BX−1、BM−1、KS−1、KS−5などのポリビニルアセタール系樹脂、ナガセケムテックス株式会社製トレジンFS−350などのポリアミド系樹脂、日本触媒株式会社製アクアリック、鉛市株式会社製ファインレックスSG2000などのカルボキシル基含有樹脂、DIC社製 ラッカマイドなどのポリアミン樹脂、東レ社製QE−340Mなどのポリチオール樹脂が挙げられる。 下引き層は、上述した重合物以外にも、成膜性や電気的特性を高めるために、他の樹脂(重合性官能基を有さない樹脂)、有機粒子、無機粒子、レベリング剤などを含有してもよい。ただし、下引き層におけるそれらの含有量は、下引き層の全質量に対して50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。 以下、表1に、下記式(1)で示される化合物の具体例を示すが、本発明は、これらに限定されるわけではない。 表2、4、6、8、10、12中、式(A)で示される1価の基の具体例をA1及びA2の欄に示す。表中、γが「−」である場合は、水素原子を示し、そのγの水素原子は、α又はβの欄に示す構造に含めて表示する。 上記式(1)で示される化合物は、例えば特開2007−108670号公報、日本画像学会誌45(6),521−525,(2006)に記載の公知の合成方法を用いて合成することが可能である。例えば、東京化成工業(株)、シグマアルドリッチジャパン(株)やジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から購入可能なナフタレンテトラカルボン酸二無水物とモノアミン誘導体とヒドラジンとの反応で合成する。そして、合成した化合物に重合性官能基を導入することで、式(1)で示される化合物を合成することができる。 重合性官能基(例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、チオール基、アミノ基、メトキシ基)を有するためには、以下の方法が挙げられる。1つ目は上述の合成した骨格に直接重合性官能基を導入する方法である。2つ目は重合性官能基または、重合性官能基の前駆体と成り得る官能基を有する構造を導入する方法である。3つ目は、重合性官能基または、重合性官能基の前駆体と成り得る官能基を有するナフタレンテトラカルボン酸二無水物誘導体又はモノアミン誘導体を用いる方法である。 2つ目の方法としては、ナフチルイミド誘導体のハロゲン化物を元に、パラジウム触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、官能基含有アリール基を導入する方法がある。また、ナフチルイミド誘導体のハロゲン化物を元に、FeCl3触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、官能基含有アルキル基を導入する方法がある。また、ナフチルイミド誘導体のハロゲン化物を元に、リチオ化を経た後にエポキシ化合物やCO2を作用させ、ヒドロキシアルキル基やカルボキシル基を導入する方法がある。 不飽和炭化水素基を有する重合性官能基(例えばアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、スチレン基)を有するためには、以下の方法が挙げられる。不飽和炭化水素基を有するモノアミンをナフタレンテトラカルボン酸二無水物に作用させる方法。ヒドロキシ基を有するナフチルイミド誘導体を基に、アクリレートを作用させる等、ナフチルイミド誘導体に直接官能基を導入する方法がある。 〔支持体〕 支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)であることが好ましい。例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、金、鉄などの金属または合金製の支持体を用いることができる、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ガラスなどの絶縁性支持体上にアルミニウム、銀、金などの金属の薄膜を形成した支持体。または酸化インジウム、酸化スズなどの導電性材料の薄膜を形成した支持体が挙げられる。 支持体の表面には、電気的特性の改善や半導体レーザーなどコヒーレント光照射時に発生しやすい干渉縞の抑制のため、陽極酸化などの電気化学的な処理や、湿式ホーニング、ブラスト、切削などの処理を施してもよい。 〔感光層〕 下引き層上には、感光層が設けられる。感光層には、支持体側から電荷発生物質を含有する電荷発生層と正孔輸送物質を含有する正孔輸送層をこの順に積層した積層型感光層と、電荷発生物質と正孔輸送物質を同一の層に含有させた単層型感光層がある。電荷発生層や正孔輸送層は、それぞれ複数設けてもよい。 電荷発生物質としては、例えば、アゾ顔料、ペリレン顔料、アントラキノン誘導体、アントアントロン誘導体、ジベンズピレンキノン誘導体、ピラントロン誘導体、キノン顔料、インジゴイド顔料やフタロシアニン顔料、ペリノン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンが好ましい。 感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンなどのビニル化合物の重合体および共重合体や、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールが好ましい。 電荷発生層において、電荷発生物質と結着樹脂との質量比率(電荷発生物質/結着樹脂)は、10/1〜1/10の範囲であることが好ましく、5/1〜1/5の範囲であることがより好ましい。電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤は、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤または芳香族炭化水素溶剤などが挙げられる。電荷発生層の膜厚は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましい。 正孔輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物、トリフェニルアミンなどが挙げられる。また、これらの化合物から誘導される基を主鎖または側鎖に有するポリマーも挙げられる。 感光層が積層型感光層である場合、正孔輸送層(電荷輸送層)に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸エステル、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリスチレンなどが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート、ポリアリレートが好ましい。また、これらの重量平均分子量(Mw)は、10,000〜300,000の範囲であることが好ましい。 正孔輸送層において、正孔輸送物質と結着樹脂との質量比率(正孔輸送物質/結着樹脂)は、10/5〜5/10の範囲であることが好ましく、10/8〜6/10の範囲であることがより好ましい。正孔輸送層の膜厚は、5μm以上40μm以下であることが好ましい。正孔輸送層用塗布液に用いられる溶剤は、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤または芳香族炭化水素溶剤などが挙げられる。 なお、支持体と上記下引き層との間や上記下引き層と感光層との間に、金属酸化物粒子やカーボンブラックなどの導電性粒子を樹脂中に分散してなる導電層や、本発明に係る重合体を含有しない第2の下引き層などの別の層を設けてもよい。 また、感光層(正孔輸送層)上には、導電性粒子または正孔輸送物質と結着樹脂とを含有する保護層(表面保護層)を設けてもよい。保護層には、潤滑剤などの添加剤をさらに含有させてもよい。また、保護層の樹脂(結着樹脂)自体に導電性や正孔輸送性を有させてもよく、その場合、保護層には、当該樹脂以外の導電性粒子や正孔輸送物質を含有させなくてもよい。また、保護層の結着樹脂は、熱可塑性樹脂でもよいし、熱、光、放射線(電子線など)などにより硬化させてなる硬化性樹脂であってもよい。 下引き層、電荷発生層、正孔輸送層などの電子写真感光体を構成する各層を形成する方法としては、以下の方法が好ましい。すなわち、各層を構成する材料を溶剤に溶解および/または分散させて得られた塗布液を塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を乾燥および/または硬化させることによって形成する方法である。塗布液を塗布する方法としては、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法、スピンコーティング法などが挙げられる。これらの中でも、効率性および生産性の観点から、浸漬塗布法が好ましい。 〔プロセスカートリッジおよび電子写真装置〕 図1に、電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。 図1において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。回転駆動される電子写真感光体1の表面(周面)は、帯電手段3(例えば、接触系一次帯電器、非接触系一次帯電器など)により、正または負の所定電位に帯電される。次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)からの露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。 電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、次いで現像手段5の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)6からの転写バイアスによって、転写材(紙など)Pに順次転写されていく。なお、転写材Pは、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して給送される。 トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。 トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段(クリーニングブレードなど)7によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化される。次いで、前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図1に示すように、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。 電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段7のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図1では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。 以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。まず、上記式(1)で示されるイミド化合物(電子輸送物質)の合成例を示す。 上述の化合物は、主に特開2007−108670号公報に記載の合成方法を用いて合成することができる。 (合成例) 室温下、窒素気流下300ml3つ口フラスコに、1,4,5,8―ナフタレンテトラカルボン酸二無水物26.8g(100mmol)、ジメチルアセトアミド150mlを加えた。これに、ブタノールアミン8.9g(100mmol)とジメチルアセトアミド25mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣に酢酸エチルを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。さらに、精製物を酢酸エチル/ヘキサンにより再結晶し、片側にのみブタノール構造が導入されたモノイミド体10.2gを得た。 300ml3つ口フラスコに、上述のモノイミド体6.8g(20mmol)と、ヒドラジン1水和物1g(20mmol)、p―トルエンスルホン酸10mg、トルエン50mlを入れ、5時間加熱還流させた。反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。さらに、精製物をトルエン/酢酸エチルにより再結晶し、上記式(E001)で示されるイミド化合物(電子輸送物質)を2.54g得た。 質量分析計(MALDI−TOF MS:ブルカー・ダルトニクス(株)製 ultraflex)を用い、加速電圧:20kV、モード:Reflector、分子量標準品:フラーレンC60の条件で、得られた電子輸送物質を測定した。その結果、得られたピークトップ値として674が得られ、式(E001)で示されるイミド化合物と同一である事を確認した。 上記式(E001)で示されるイミド化合物以外の本発明のイミド化合物も、その構造に対応した原料を選択し、上述の方法と同様の方法で合成することができる。 次に、電子写真感光体の製造および評価について示す。 (実施例1) 長さ260.5mmおよび直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を支持体(導電性支持体)とした。 次に、金属酸化物粒子としての酸素欠損型酸化スズ(SnO2)が被覆されている酸化チタン(TiO2)粒子214部、結着樹脂としてのフェノール樹脂(フェノール樹脂のモノマー/オリゴマー)(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分:60質量%)132部、および、溶剤としての1−メトキシ−2−プロパノール98部を、直径0.8mmのガラスビーズ450部を用いたサンドミルに入れ、回転数:2000rpm、分散処理時間:4.5時間、冷却水の設定温度:18℃の条件で分散処理を行い、分散液を得た。この分散液からメッシュ(目開き:150μm)でガラスビーズを取り除いた。 ガラスビーズを取り除いた後の分散液中の金属酸化物粒子と結着樹脂の合計質量に対して10質量%になるように、表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子を分散液に添加した。また、分散液中の金属酸化物粒子と結着樹脂の合計質量に対して0.01質量%になるように、レベリング剤としてのシリコーンオイルを分散液に添加して撹拌することによって、導電層用塗布液を調製した。この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間150℃で乾燥・熱硬化させることによって、膜厚が30μmの導電層を形成した。シリコーン樹脂粒子は、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製のトスパール120(平均粒径2μm)を用いた。シリコーンオイルは、東レ・ダウコーニング(株)製のSH28PAを用いた。 次に、例示化合物(E001)4部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BX−1、積水化学工業株式会社製)1.5部、触媒としてのオクチル酸亜鉛(II)0.0005部を、ジメチルアセトアミド100部とテトラヒドロフラン100部の混合溶媒に溶解した。この溶液に、固形分6部相当のブロックイソシアネート(商品名:BL3175、住化バイエル製)を加え、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱硬化させることによって、膜厚が1.5μmの下引き層を形成した。 次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°にピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)10部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部およびシクロヘキサノン250部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、2時間分散処理した。次に、これに酢酸エチル250部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を、下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間95℃で乾燥させることによって、膜厚が0.15μmの電荷発生層を形成した。 次に、下記式(2)で示されるアミン化合物(正孔輸送物質)8部と、下記式(3)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂10部とを、ジメトキシメタン40部およびクロロベンゼン60部の混合溶剤に溶解させて、正孔輸送層用塗布液を調製した。このポリアリレート樹脂の重量平均分子量(Mw)は100000であった。この正孔輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間120℃で乾燥させることによって、膜厚が15μmの正孔輸送層を形成した。 このようにして、支持体上に導電層、下引き層、電荷発生層および正孔輸送層を有する電子写真感光体を製造した。 製造した電子写真感光体を、温度23℃、湿度50%RHの環境下にて、キヤノン(株)製のレーザービームプリンター(商品名:LBP−2510)の改造機に装着して、表面電位の測定および出力画像の評価を行った。改造点としては、一次帯電がローラー接触DC帯電であり、プロセススピードが120mm/秒であり、レーザー露光をおこなうようにした。詳しくは以下のとおりである。 (表面電位の測定) 上記レーザービームプリンターのシアン色用のプロセスカートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(model6000B−8:トレック・ジャパン(株)製)を装着した。そして、電子写真感光体の中央部の電位を表面電位計(model344:トレック・ジャパン(株)製)を使用して測定した。ドラムの表面電位は、暗部電位(Vd)が−600V、明部電位(Vl)が−150Vになるよう、画像露光の光量を設定した。 続いて、上記レーザービームプリンターのシアン色用のプロセスカートリッジに、製造した電子写真感光体を装着して、そのプロセスカートリッジをシアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、画像を出力した。まず、ベタ白画像1枚、ゴースト評価用画像5枚、ベタ黒画像1枚、ゴースト評価用画像5枚の順に連続して画像出力を行った。 ゴースト評価用画像は図2に示すように、画像の先頭部の「白画像」中に四角の「ベタ画像」を出した後、図3に示す「1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像」を作成したものである。なお、図2中、「ゴースト」部は、「ベタ画像」に起因するゴーストが出現し得る部分である。 ポジゴーストの評価は、1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像の画像濃度と、ゴースト部の画像濃度との濃度差を測定することで行った。分光濃度計(商品名:X−Rite504/508、X−Rite(株)製)で、1枚のゴースト評価用画像中で濃度差を10点測定した。この操作をゴースト評価用画像10枚すべてで行い、合計100点の平均を算出した。結果を表13に示す。上記濃度差(マクベス濃度差)が大きいほど、ポジゴーストが強く生じていることになる。上記濃度差(マクベス濃度差)が小さいほど、ポジゴーストが抑制されたことを意味する。 (実施例2〜42) 式(1)で示される化合物、架橋剤、樹脂の種類および含有量を表13に示すように変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表13に示す。 (実施例43〜48) 実施例1で用いたブロックイソシアネートの代わりに下記式(4)で示されるアクリル系架橋剤5(商品名:A−TMPT、新中村工業社製)を用い、触媒としてのオクチル酸亜鉛(II)の代わりにAIBN0.0005部を用いた。さらに、式(1)で示される化合物と樹脂の種類および含有量を表13に示すように変更し、窒素気流下で下引き層を加熱した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作成し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表13に示す。 (実施例49〜56) 式(1)で示される化合物、架橋剤、樹脂の種類および含有量を表13に示すように変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表13に示す。 (比較例1) 以下の下引き層用塗布液を用いた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表14に示す。 特開2010−145506号公報に記載の下記式(5)で示される化合物4部、ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製、Z型ポリカーボネート、商品名:ユーピロンZ400)4.8部、ジメチルアセトアミド100部およびテトラヒドロフラン100部を混合して下引き層用塗布液を調製した。 (比較例2) 式(1)で示される化合物から比較例1に記載の式(5)で示される化合物に変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表14に示す。 (比較例3) 以下の下引き層用塗布液を用いた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表14に示す。 特開2007−108670号公報に記載の下記式(6)で示される化合物4部、アルコール可溶性ポリアミド樹脂((株)東レ製、商品名:CM8000)16部を、メタノール150部とメトキシプロパノール150部の混合溶媒に溶解し下引き層用塗布液を調製した。 (比較例4) 式(1)で示される化合物から特開2003−330209号公報に記載の下記式(7)で示される化合物に変更した以外は、実施例43と同様に感光体を作成し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表14に示す。 (比較例5) 実施例1において、例示化合物A101から、下記式で示されるブロック共重合体(特表2009−505156号公報に記載の共重合体)を用いた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、評価を行った。結果を表14に示す。 表13、14中、架橋剤1は、イソシアネート系架橋剤(商品名:デスモジュールBL3175、住化バイエル社製(固形分60%))である。架橋剤2は、イソシアネート系架橋剤(商品名:デスモジュールBL3575、住化バイエル社製(固形分60%))である。架橋剤3は、ブチル化メラミン系架橋剤(商品名:スーパーベッカミンJ821−60、DIC社製(固形分60%))である。架橋剤4は、ブチル化尿素系架橋剤(商品名:ベッカミンP138、DIC社製(固形分60%))架橋剤5は、トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:A−TMPT、新中村工業社製)である。 表13、14中、樹脂1は、1g当たりのヒドロキシ基のmol数が3.3mmol、分子量1×105のポリビニルアセタール樹脂である。樹脂2は、1g当たりのヒドロキシ基のmol数が3.3mmol、分子量2×104のポリビニアセタール樹脂である。樹脂3は、1g当たりのヒドロキシ基のmol数が2.5mmol、分子量3.4×105のポリビニアセタール樹脂である。樹脂4は、Z型ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱瓦斯化学(株)製)である。樹脂5は、アルコール可溶ポリアミド樹脂(商品名、アミランCM8000、東レ(株)製)である。 支持体、該支持体上に形成された下引き層、および該下引き層上に形成された感光層を有する電子写真感光体であって、 該下引き層が、 下記式(1)で示される化合物の重合物、または、 下記式(1)で示される化合物を含む組成物の重合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。(式(1)中、nは0以上の整数である。R1〜R14は、それぞれ独立に、下記式(A)で示される1価の基、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つをOに置き換えて導かれる1価の基、置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つをSに置き換えて導かれる1価の基、または置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つをNR901に置き換えて導かれる1価の基を示す。R901は、水素原子、またはアルキル基である。R1〜R14の少なくとも1つは、下記式(A)で示される1価の基である。該置換アリール基の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、およびハロゲン置換アルキル基からなる群より選択される。該置換複素環基の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、およびハロゲン置換アルキル基からなる群より選択される。該置換アルキル基の置換基は、アルキル基、アリール基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、およびハロゲン原子からなる群より選択される。)(式(A)中、α、β、およびγの少なくとも1つは重合性官能基を有する。lおよびmは、それぞれ独立に、0または1であり、lとmの和は、0以上2以下である。 αは、主鎖の原子数が1〜6の置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中の炭素原子の1つをOに置き換えて導かれる主鎖の原子数が1〜6の2価の基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中の炭素原子の1つをSに置き換えて導かれる主鎖の原子数が1〜6の2価の基、または置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中の炭素原子の1つをNR19に置き換えて導かれる主鎖の原子数が1〜6の2価の基を示す。R19は、水素原子またはアルキル基である。該置換アルキレン基の置換基は、該重合性官能基、炭素数1〜6のアルキル基、ベンジル基、アルコシキカルボニル基、およびフェニル基からなる群より選択される。 βは、置換もしくは無置換のフェニレン基を示す。該置換フェニレン基の置換基は、該重合性官能基、炭素数1〜6のアルキル基、ニトロ基、ハロゲン原子、およびアルコキシ基からなる群より選択される。 γは、水素原子、主鎖の原子数が1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つをNR902に置き換えて導かれる主鎖の原子数が1〜6の1価の基を示す。R902はアルキル基を示す。該置換アルキル基の置換基は、該重合性官能基、および炭素数1〜6のアルキル基からなる群より選択される。) 前記重合性官能基が活性水素基である請求項1に記載の電子写真感光体。 前記活性水素基が、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、およびチオール基からなる群より選択される少なくとも1種である請求項2に記載の電子写真感光体。 前記活性水素基が、ヒドロキシ基、およびカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも1種である請求項3に記載の電子写真感光体。前記重合性官能基が不飽和炭化水素基である請求項1に記載の電子写真感光体。 前記不飽和炭化水素基がアクリロイルオキシ基、およびメタクリロイルオキシ基からなる群より選択される少なくとも1種である請求項5に記載の電子写真感光体。前記式(1)中、nが0以上5以下の整数である請求項1から6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。 前記式(1)で示される化合物を含む組成物が、さらに、架橋剤および重合性官能基を有する樹脂を含有する請求項1から7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。 請求項1から8のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ。 請求項1から8のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置。 下記式(1)で示されるイミド化合物。(式(1)中、nは0以上の整数である。R1〜R14は、それぞれ独立に、下記式(A)で示される1価の基、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つをOに置き換えて導かれる1価の基、置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つをSに置き換えて導かれる1価の基、または置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つをNR901に置き換えて導かれる1価の基を示す。R901は、水素原子、またはアルキル基である。R1〜R14の少なくとも1つは、下記式(A)で示される1価の基である。該置換アリール基の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、およびハロゲン置換アルキル基からなる群より選択される。該置換複素環基の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、およびハロゲン置換アルキル基からなる群より選択される。該置換アルキル基の置換基は、アルキル基、アリール基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、およびハロゲン原子からなる群より選択される。)(式(A)中、α、β、およびγの少なくとも1つは重合性官能基を有する。lおよびmは、それぞれ独立に、0または1であり、lとmの和は、0以上2以下である。 αは、主鎖の原子数が1〜6の置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中の炭素原子の1つをOに置き換えて導かれる主鎖の原子数が1〜6の2価の基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中の炭素原子の1つをSに置き換えて導かれる主鎖の原子数が1〜6の2価の基、または置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中の炭素原子の1つをNR19に置き換えて導かれる主鎖の原子数が1〜6の2価の基を示す。R19は、水素原子またはアルキル基である。該置換アルキレン基の置換基は、該重合性官能基、炭素数1〜6のアルキル基、ベンジル基、アルコシキカルボニル基、およびフェニル基からなる群より選択される。 βは、置換もしくは無置換のフェニレン基を示す。該置換フェニレン基の置換基は、該重合性官能基、炭素数1〜6のアルキル基、ニトロ基、ハロゲン原子、およびアルコキシ基からなる群より選択される。 γは、水素原子、主鎖の原子数が1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中の炭素原子の1つをNR902に置き換えて導かれる主鎖の原子数が1〜6の1価の基を示す。R902はアルキル基を示す。該置換アルキル基の置換基は、該重合性官能基、および炭素数1〜6のアルキル基からなる群より選択される。) 前記重合性官能基が、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、およびチオール基からなる群より選択される少なくとも1種である請求項11に記載のイミド化合物。前記重合性官能基が、アクリロイルオキシ基、およびメタクリロイルオキシ基からなる群より選択される少なくとも1種である請求項11に記載のイミド化合物。 【課題】 ポジゴーストが抑制された電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。【解決手段】 電子写真感光体の下引き層が、特定の重合物を含有する。【選択図】 なし