タイトル: | 公開特許公報(A)_チオール化合物及びスルフィド化合物の定量方法 |
出願番号: | 2014051923 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | G01N 30/88,G01N 30/06,G01N 30/72 |
高澄 耕次 JP 2014211433 公開特許公報(A) 20141113 2014051923 20140314 チオール化合物及びスルフィド化合物の定量方法 サッポロビール株式会社 303040183 長谷川 芳樹 100088155 清水 義憲 100128381 坂西 俊明 100176773 高澄 耕次 JP 2013077815 20130403 G01N 30/88 20060101AFI20141017BHJP G01N 30/06 20060101ALI20141017BHJP G01N 30/72 20060101ALI20141017BHJP JPG01N30/88 AG01N30/88 CG01N30/06 ZG01N30/88 201XG01N30/06 EG01N30/72 A 12 OL 21 本発明は、チオール化合物及びスルフィド化合物の定量方法に関する。 チオール化合物及びスルフィド化合物は、飲食品中の香気成分の一種である。飲食品には多種多様な成分が含まれており、香気成分等は極めて微量(例えば、ng/Lレベル)な成分である。このような、多種多様な成分を含む検体中に微量にしか含まれていない成分を定量しようとした場合、検出対象となる成分を特異的に又は選択的に精製又は濃縮する必要がある。 例えば、非特許文献1には、チオール化合物とp−ヒドロキシ水銀安息香酸(p−hydroxymercuribenzoate)との可逆的な結合により形成させた複合体をジクロロメタンで抽出し、ワイン中の揮発性のチオール化合物を精製したこと、及びシステインにより当該チオール化合物を遊離させ、ガスクロマトグラフ質量分析法によりチオール化合物の濃度を測定したことが記載されている。Tominaga T.,et al.,J.Agric.Food Chem.1998年,46巻,pp.1044−1048. 非特許文献1に記載の方法では、毒物であるp−ヒドロキシ水銀安息香酸を含む大量の廃液及び廃棄物(樹脂等)が発生するため、その処理が煩雑であるという問題がある。また、そもそもの操作が煩雑なうえ、微量成分を検出するために、例えば、数百mLの検体を数十μLまで濃縮する必要が生じることが多く、1日に処理できる検体数が限られることから、多点数の分析を行うことができない等の問題もある。このように、これまで、検体中の微量のチオール化合物及びスルフィド化合物を、再現性よく、かつ簡便な操作で定量できる方法はなかった。 そこで、本発明は、検体中の微量のチオール化合物及びスルフィド化合物を、再現性よく、かつ簡便な操作で定量できる方法を提供することを目的とする。 本発明は、金属原子を担持させた担体と検体とを接触させて、該検体からチオール化合物又はスルフィド化合物を分離することを含む精製工程を備える、チオール化合物及びスルフィド化合物の定量方法を提供する。 本発明によれば、検体中の微量のチオール化合物及びスルフィド化合物を、再現性よく、かつ簡便な操作で定量することができる。上記精製工程では、金属原子を担持させた担体の当該金属原子にチオール化合物又はスルフィド化合物を硫黄原子を介して結合させることにより、これらの化合物を検体から分離することができる。金属原子を担持させた担体を用いているため、非特許文献1に記載の方法に比べて、格段に操作が簡便である。また、廃液中に多量の金属原子が含まれることがなく、廃液の処理も容易になる。 上記定量方法において、上記金属原子は、周期律表の第4〜15族に属する金属元素から選ばれるものであってもよい。また、上記金属原子は、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、クロム(Cr)及びビスマス(Bi)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これにより、検体中のチオール化合物又はスルフィド化合物をより一層効率よく分離することができる。さらに、上記金属原子は、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)及び水銀(Hg)から選ばれる少なくとも1種であってもよい。この場合、検体中のスルフィド化合物をより一層効率よく分離することができるため、精製工程において、スルフィド化合物を分離する場合に好ましく用いることができる。 上記定量方法では、上記精製工程の前に、検体中のチオール化合物と下記一般式(1)で表されるマレイミド化合物とを反応させてチオール化合物誘導体を得る工程を更に備えることが好ましい。 一般式(1)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数5〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアリールアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基を示す。 上記マレイミド化合物はチオール化合物との反応性が高いため、定量的にチオール化合物誘導体を得ることができる。また、チオール化合物誘導体にすることにより、反応性の高いチオール基を保護することができ、チオール化合物がプラスチック等に吸着することを抑制することができるため、より一層再現性よく定量することができる。また、吸着が抑制されるため、担体、容器等の材質による影響を低減することができ、例えば、市販されている担体、容器等を使用することができる。さらに、チオール化合物誘導体とすることで、分子量が大きくなり沸点が上昇するため、揮発性の高いチオール化合物もより一層再現性よく定量することができる。 上記チオール化合物誘導体を得る工程を行う場合、チオール化合物をマレイミド化合物と反応させつつチオール化合物誘導体を有機溶媒で抽出することもできるため、検出対象となる成分の濃縮をより効率よく行うことができる。 加えて、上記チオール化合物誘導体を得る工程を行う場合、ガスクロマトグラフ質量分析等により分析する場合の内部標準物質を容易に準備することができるという利点もある。例えば、内部標準物質として測定対象となるチオール化合物の同位体を用いる場合、測定対象となるチオール化合物それぞれについて安定同位体を調製する必要があり、容易ではない。一方、チオール化合物誘導体を得る工程を行う場合は、測定対象となるチオール化合物とマレイミド化合物の安定同位体を反応させることにより、容易に内部標準物質を作製することができる。 上記定量方法は、検体中に微量しか含まれていないチオール化合物及びスルフィド化合物の定量に特に適しているため、検体中のチオール化合物又はスルフィド化合物の濃度が、1000ng/L以下であってもよい。 上記定量方法において、上記金属原子を担持させた担体は、支持体に支持されていることが好ましい。これにより操作が簡便になる。また、上記金属原子を担持させた担体は、カラムに充填されていることがより好ましい。これにより、より一層操作が簡便になる。 上記定量方法は、上記精製工程の後に、ガスクロマトグラフ質量分析によりチオール化合物又はスルフィド化合物を定量する工程を更に備えていてもよい。 また、上記定量方法は、多種多様な成分を含む検体中に微量しか含まれていないチオール化合物及びスルフィド化合物の定量に特に適しているため、上記検体が飲食品であってもよく、また飲料であってもよい。 本発明により、検体中の微量のチオール化合物及びスルフィド化合物を、再現性よく、かつ簡便な操作で定量できる方法を提供することができる。実施例1で使用した2次元ガスクロマトグラフ質量分析装置の構成を示す模式図である。実施例1において得られた検量線である。試験例3における2次元ガスクロマトグラフ質量分析により得られたクロマトグラムである。実施例3において得られた検量線である。実施例4における2次元ガスクロマトグラフ質量分析により得られたクロマトグラムである。 以下、本発明を実施するための形態について説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではない。 本実施形態に係るチオール化合物及びスルフィド化合物の定量方法は、金属原子を担持させた担体と検体とを接触させて、検体からチオール化合物又はスルフィド化合物を分離することを含む精製工程を備える。 金属原子としては、チオール化合物及びスルフィド化合物と、これらの分子中の硫黄原子を介して結合(例えば、配位結合、水素結合、イオン結合、共有結合、吸着)可能なものであればよく、周期律表の第4〜15族に属する金属元素から選ばれるものであってよい。 金属原子としては、より具体的には、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、クロム(Cr)及びビスマス(Bi)が好ましい。これらの金属原子は、チオール化合物及びスルフィド化合物の吸着能が高いため、より効率よくチオール化合物及びスルフィド化合物を分離することが可能となる。また、スルフィド化合物の分離効率を向上させる観点から、金属原子としてパラジウム(Pd)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)及び水銀(Hg)を用いてもよい。担体に担持される金属原子は1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。 担体としては、金属原子を担持させることができるものであればよく、例えば、シリカ、カーボン、アルミナ、フロリジル、合成樹脂、デキストラン及びアガロース等の親水性ポリマー、並びにセルロース等のカラムクロマトグラフィー用担体として通常用いられるものが挙げられる。これらは1種のみであってもよく、2種以上を組み合わせてもよい。また、金属原子を担持させるために、表面を改質したものであってもよい。 金属原子を担持させた担体は、検体と接触した際の金属原子の溶出が抑制されるように、上記金属原子を上記担体に担持させたものであればよい。具体的には、例えば、金属原子が直接担体となるイオン交換樹脂に結合(例えば、配位結合、イオン結合、水素結合等)したもの、キレート化合物が結合した担体上の当該キレート化合物に金属原子が結合したもの等が挙げられる。 上記金属原子を担持させた担体は、例えば、陽イオン交換樹脂に金属イオンを含む溶液を接触させ、金属原子を直接陽イオン交換樹脂に結合させる方法、担体の表面にキレート化合物を結合(例えば、共有結合、イオン結合、水素結合、吸着)させた後、これに金属イオンを含む溶液を接触させキレート化合物に金属原子をキレート結合させる方法等により得ることができる。なお、これらの方法においては、金属原子を担持させる前の担体が、後述する支持体に支持された状態であってもよい。 検出対象となるチオール化合物は−SH基を含有する化合物であれば特に制限されないが、上記定量方法は微量のチオール化合物を定量するのに特に適しているため、検体中に低濃度で含まれるチオール化合物であることが好ましい。検出対象となるチオール化合物としては、これに制限されるものではないが、例えば、4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノン、2−フルフリルメルカプタン(フルフリルチオール)、3−メルカプトヘキシルアセテート、3−メルカプト−1−ヘキサノールなどを挙げることができる。 検出対象となるスルフィド化合物は、二価の硫黄が2個の有機基で置換された化合物であれば特に制限されないが、上記定量方法は微量のスルフィド化合物を定量するのに特に適しているため、検体中に低濃度で含まれるスルフィド化合物であることが好ましい。検出対象となるスルフィド化合物としては、これに制限されるものではないが、例えば、チオール化合物誘導体(チオール化合物と上記一般式(1)で表されるマレイミド化合物との反応物)、メチオナール、ジメチルスルフィド等を挙げることができる。 上記定量方法によれば、低濃度のチオール化合物又はスルフィド化合物を再現性よく定量することができるため、検体中のチオール化合物又はスルフィド化合物の濃度は、1000ng/L以下であってもよい。また、これらの濃度は、例えば、300ng/L以下、100ng/L以下又は50ng/L以下であってもよい。検体中のチオール化合物又はスルフィド化合物の濃度の下限には特に制限はなく、0ng/Lであってもよい。 検体としては特に制限されることなく、任意の検体を用いてもよい。また、上記定量方法によれば、多種多様な成分が含まれる検体であっても低濃度のチオール化合物又はスルフィド化合物を再現性よく定量することができるため、検体として飲食品を用いてもよい。飲食品には多種多様な成分が含まれており、飲食品に含まれるチオール化合物及びスルフィド化合物は極微量(例えば、ng/Lレベル)であることが多い。上記定量方法によれば、検体として飲食品を用いてもチオール化合物又はスルフィド化合物を再現性よく定量することができる。 検体とする飲食品としては、例えば、ビール、ビールテイスト飲料、ワイン等の果実酒、甘味果実酒、焼酎、チューハイ、カクテル、コーヒー、牛乳及び果汁飲料等の飲料、果物及びその加工品等が挙げられる。飲食品が固形物である場合には、例えば水等の液体中ですりつぶし、液体の形状にしたうえで上記定量方法を適用するとよい。飲食品が飲料である場合には、基本的にそのまま上記定量方法を適用することができる。 上記精製工程は、金属原子を担持させた担体と検体とを接触させて、チオール化合物又はスルフィド化合物に含まれる硫黄原子と金属原子との結合を利用して、検体からチオール化合物又はスルフィド化合物を分離することにより行われる。 金属原子を担持させた担体と検体とを接触させる前に、例えば、ジクロロメタン、エーテル、ペンタン、酢酸エチル及びクロロホルム等の有機溶媒で検体を抽出し、検体中のチオール化合物又はスルフィド化合物を有機溶媒相に抽出する工程を備えていてもよい。これにより、検体中のチオール化合物又はスルフィド化合物を選択的に濃縮することができる。この場合、上記有機溶媒相を検体として、上記精製工程を行えばよい。 金属原子を担持させた担体と検体とを接触させる際、担体が支持体に支持されていると操作が簡便であるため好ましい。支持体としては、担体と検体との接触の際、担体を保持できるものであればよく、例えば、カラム及びカートリッジ等の容器、並びにディスク等が挙げられる。中でも、担体がカラムに充填されているとより一層操作が簡便であるため好ましい。すなわち、カラムに検体を通す操作により、チオール化合物又はスルフィド化合物に含まれる硫黄原子と金属原子とを結合させることができる。また、カラムを通して排出される廃液の取り扱いも容易である。 金属原子に結合した検出対象であるチオール化合物又はスルフィド化合物は、例えば、チオール化合物又はスルフィド化合物よりも金属原子への親和性が高い化合物を含む溶出液と接触させることで、担体から溶出させることもできる。溶出液としては、検出対象であるチオール化合物又はスルフィド化合物の種類、金属原子の種類等に応じて適宜選択すればよいが、例えば、システイン溶液、メルカプトコハク酸及びチオグリセロール等が挙げられる。 溶出に先だち、適切な洗浄液で洗浄してチオール化合物及びスルフィド化合物を担体に結合させたまま不純物を除去してもよい。洗浄液としては、検出対象であるチオール化合物又はスルフィド化合物の種類、金属原子の種類等に応じて適宜選択すればよいが、例えば、ジクロロメタン、メタノール、超純水、システイン等のチオール化合物溶液等が挙げられる。洗浄方法の一例として、ジクロロメタン、メタノール及び超純水を洗浄液として、この順で洗浄する方法を挙げることができる。 上記定量方法は、検体中のチオール化合物と下記一般式(1)で表されるマレイミド化合物とを反応させてチオール化合物誘導体を得る工程を更に備えることが好ましい。 一般式(1)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数5〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアリールアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基である。 本明細書中、アルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。また、アリールアルキル基中のアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。 Rにおける炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、ラウリル基が挙げられる。また、Rにおける炭素数1〜12のアルキル基は、置換基を有していてもよい。 Rにおける炭素数5〜12のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデシル基、ビシクロオクチル基、トリシクロドデシル基、イソボルニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基が挙げられる。また、Rにおける炭素数5〜12のシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。 Rにおける炭素数7〜12のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、6−フェニルヘキシル基、が挙げられる。また、Rにおける炭素数7〜12のアリールアルキル基は、置換基を有していてもよい。 Rにおける炭素数6〜12のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、が挙げられる。また、Rにおける炭素数6〜12のアリール基は、置換基を有していてもよい。 上述の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、メチルオキシ基、エチルオキシ基等が挙げられる。 上記マレイミド化合物は、測定対象とするチオール化合物の種類に応じて適切なものを選択すればよい。例えば、測定対象とするチオール化合物の分子量に応じてマレイミド化合物の分子量を適切に設定することにより、チオール化合物誘導体の沸点を制御することができる。これにより、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析を再現性よくかつ容易に行うこともでき、また測定対象とするチオール化合物が揮発性のものである場合は、揮発を抑制して再現性のよい定量が可能となる。また、例えば、測定対象とするチオール化合物の疎水性度に応じてマレイミド化合物の疎水性度を適切に設定することにより、チオール化合物誘導体の疎水度を制御することもできる。これにより、例えば、有機溶媒を用いて検体からチオール化合物誘導体を抽出する場合、その抽出効率を向上させることができる。検出対象となるチオール化合物が、2−フルフリルメルカプタン(フルフリルチオール)、3−メルカプト−1−ヘキサノール、3−メルカプトヘキシルアセテート等である場合には、チオール化合物誘導体を得る工程を備えることによる効果が顕著である。 上記一般式(1)で表されるマレイミド化合物の具体例としては、例えば、N−エチルマレイミド(下記式(3))、N−フェニルマレイミド(下記式(5))、N−トリクロロフェニルマレイミド(下記式(6))が挙げられる。 例えば、N−エチルマレイミドは構造が単純であり、取り扱いがより容易になる。また、N−フェニルマレイミドは分子量が高いため、検出対象のチオール化合物が低分子量の場合、誘導体化により揮発を抑制し易くなることに加え、誘導体化により疎水性の度合いが高くなり、有機溶媒による抽出効率がより高くなる。さらに、N−トリクロロフェニルマレイミドは、負イオン化学イオン化法(NCI)で検出することができるため、検出感度がより高くなる。 検体中のチオール化合物と上記マレイミド化合物との反応は、例えば、チオール化合物が2−フルフリルメルカプタン(フルフリルチオール)(下記式(2))であり、マレイミド化合物がN−エチルマレイミド(下記式(3))である場合を例にとると、下記式のように進むと考えられる。この場合、得られる反応生成物(下記式(4))は、スルフィド化合物となる。 チオール化合物とマレイミド化合物との反応は容易に進むため、任意の条件で反応を行ってもよい。一方、反応効率をより高める観点から、例えば、5%(w/v)のマレイミド化合物溶液を検体に対して、0.5%(v/v)〜5%(v/v)となるように添加することが好ましく、0.5%(v/v)〜2%(v/v)となるように添加することがより好ましい。反応時間は、例えば、0.5時間〜5時間とすることができ、0.5時間〜2時間とすることが好ましく、0.5時間〜1時間とすることがより好ましい。反応温度は特に制限されず、例えば、室温であってもよい。 検体中のチオール化合物とマレイミド化合物との反応は、上述した、検体中のチオール化合物又はスルフィド化合物を有機溶媒相に抽出する工程と同時に行うことができる。すなわち、検体中のチオール化合物とマレイミド化合物とを反応させながら有機溶媒で抽出することにより、マレイミド化合物により誘導体化されたチオール化合物(チオール化合物誘導体)を有機溶媒相に抽出しながら反応を行うこともできる。 チオール化合物をマレイミド化合物により誘導体化することにより、チオール基を保護してチオール化合物の挙動の安定性を向上させることができる。また、沸点を上昇させることにより、ガスクロマトグラフへの大容量注入が可能となる。これにより、上記の精製工程における最終液量を100μLとしても、そのうち50μLを注入できるため、10000倍濃縮する場合でも、試料量を20mLまで減らすことが可能となる。これにより、更に作業効率を高めることができる。 精製工程で得られたチオール化合物又はスルフィド化合物は、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析装置、ガスクロマトグラフ化学発光硫黄検出器、ガスクロマトグラフ炎光光度検出器等を使用して定量することができる。これらの中でも、特異的に検出できるという利点があることから、ガスクロマトグラフ質量分析により定量することが好ましい。 以下、実施例等に基づいて本発明をより詳細に説明する。〔試験例1:チオール化合物及びスルフィド化合物吸着能の評価(1)〕 各種金属原子のチオール化合物及びスルフィド化合物吸着能を評価した。(処理方法) 20mLのヘッドスペースバイアルに8mLの超純水又は50ppmの金属溶液を加え、これにフルフリルチオール(チオール化合物)及びメチオノール(スルフィド化合物)をそれぞれ1ppmになるように添加し、密栓した。密栓したバイアルを40℃で15分間振とうした後、SPME用ファイバー(Polydimethylsiloxane/Divynylbenzene 65μm:スペルコ社製)をバイアル中のヘッドスペースに露出させた。40℃で15分間揮発性成分をファイバーに吸着させた後、注入口で3分間脱着させGC/MSにより分析した。なお、金属溶液は市販(和光純薬)の1000ppm溶液を超純水で希釈したものを使用した。(GC/MS分析) GC/MS分析の測定条件は以下のとおりである。・分析機器 6890N GC、5973N MSD(Agilent Technologies)・カラム HP−1MS、30m(長さ)×0.25mm(内径)、1.0μm(膜厚)(Agilent Technologies)・注入モード スプリットレス注入・流量 1mL/分(定流量)・注入口温度 270℃・オーブン温度 40℃(3分)→5℃/分→200℃(0分:達温)→10℃/分→320℃(3分)・MS検出器 SIM m/z 114(フルフリルチオール)、106(メチオノール)(結果) 各種金属原子を含む金属溶液でのフルフリルチオール又はメチオノールの定量結果(面積値)を、超純水(金属原子は含まない)でのフルフリルチオール又はメチオノールの定量結果(面積値)を100とした相対値で求めた。結果を表1に示す。 金属原子にフルフリルチオール(チオール化合物)又はメチオノール(スルフィド化合物)が吸着すると、ヘッドスペースに移行するフルフリルチオール又はメチオノール量が減少する。したがって、定量結果(相対値)が小さいほど吸着能が高いことを示す。フルフリルチオール(チオール化合物)に対しては、Cu、Cr、Ag、Au、Pt、Pd、Hg及びBiの吸着能が高かった(表1)。メチオノール(スルフィド化合物)に対しては、Au、Pd、Ag、Pt及びHgの吸着能が高かった(表1)。〔試験例2:チオール化合物及びスルフィド化合物吸着能の評価(2)〕 金属原子を固定化したカラムを用い、チオール化合物及びスルフィド化合物吸着能を評価した。(金属原子を固定化したカラムの調製) 金属原子を固定化したカラム(金属固定化カラム)を以下のように調製した。・Ag固定化カラム 市販品(MetSEP IC−Ag:ジーエルサイエンス社)を使用した。・Cu固定化カラム 1000ppmの硫酸銅水溶液をキレート樹脂を充填した固相(MetaSEP IC−ME:ジーエルサイエンス社)に50mL通液して調製した。・Bi固定化カラム及びFe固定化カラム 市販(和光純薬)の1000ppm溶液を超純水で10倍希釈したものをキレート樹脂を充填した固相MetaSEP IC−ME:ジーエルサイエンス社)に50mL通液して調製した。(処理方法) 超純水10mL、メタノール5mL及びジクロロメタン5mLでコンディショニングした金属固定化カラムに、フルフリルチオール、メチオノールをそれぞれ1ppm含むジクロロメタン溶液を10mL負荷した。負荷したものをそのまま回収し、GC/MSにより分析した。(GC/MS分析) GC/MS分析の測定条件は以下のとおりである。・分析機器 6890N GC、5973N MSD(Agilent Technologies)・カラム HP−5MS、30m(長さ)×0.25mm(内径)、0.25μm(膜厚)(Agilent Technologies)・注入モード スプリットレス注入・流量 1mL/分(定流量)・注入口温度 250℃・オーブン温度 50℃(1分)→25℃/分→325℃(0分:達温)・MS検出器 SIM m/z 114(フルフリルチオール)、106(メチオノール)(結果) 定量結果(面積値)をカラム負荷前の定量結果(面積値)を100とした相対値で求めた。結果を表2に示す。 表1及び表2から明らかなように、金属原子のチオール化合物及びスルフィド化合物吸着能は、金属原子を固定化しても変化はなかった。また、Cu及びAgは試薬(それぞれ硫酸銅及び硝酸銀)の水への溶解性が高いため、固定化操作が容易に行える点でより好ましい。〔実施例1:チオール化合物の定量〕 標準液中の4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノン(4MMP)を簡易標準添加法により定量して検量線を作成し、定量法の妥当性を評価した。(試薬類) チオール化合物として4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノン(1%プロピレングリコール溶液、INTERCHIM)を用いた。 システインは東京化成のものを使用した。ジクロロメタン、メタノールは和光純薬の残留農薬用を、それ以外の試薬は特級グレードのものを用いた。内部標準物質としては、1−ペンタデカノール(100μg/L、東京化成社)を用いた。チオール化合物の精製には、銀を担持した担体として、Discovery Ag−ION(SUPELCO社)を用いた。(試料の調製) ビール飲料(以下、「試験醸造品X1」という。)20mLを6gの塩化ナトリウムを入れた50mLガラス製遠沈管に採り、ジクロロメタン20mL加えた。これを1試料に付き3本用意し、15分間振とうして抽出後、3000rpmで15分間遠心した。3本分の抽出液を200mLの分液ロートに界面を壊さないようにゆっくりと移し、下層を100mLの三角フラスコに採取した。さらにエマルジョンからも分液ろ紙を使用してジクロロメタン層を回収した。ジクロロメタン層を硫酸ナトリウムで脱水した後、50mLをターボバップを使用して、窒素気流下5mLまで濃縮した。これをジクロロメタン5mLでコンディショニングしたDiscovery Ag−ION(商品名、SUPELCO社)に全量負荷し、ジクロロメタン10mL、メタノール10mL、超純水50mLで洗浄し、1%システイン溶液20mLで溶出した。溶出液を50mLガラス製遠沈管に移し、ジクロロメタン25mLを加えて15分間振とうして抽出後、3000rpmで15分間遠心した。下層を50mL三角フラスコに採り、硫酸ナトリウムで脱水後、20mLを濃縮容器に採り、1mLの内部標準物質(100μg/L、1−ペンタデカノール)を添加後、ターボバップで窒素気流下200μLまで濃縮し測定に供した。(検量線の作成) 検量線は、試験醸造品X1に25ng/L、50ng/L、100ng/Lになるよう4MMPを添加したものを、上記試料の調製と同様に処理したものを測定して作成した。(2次元ガスクロマトグラフ質量分析) 調製した測定用検体を2次元ガスクロマトグラフ質量分析(以下、「2D−GC−MS」という場合がある。)により分析した。また、調製した標準液についても同様に分析し、検量線を作成した。2次元ガスクロマトグラフ質量分析装置は図1に示すようにセットアップし、下記の測定条件で分析を行った。・分析機器 7890N GC、 5975C MSD(Agilent Technologies)・カラム 1次元目(1D)DB−WAX、30m(長さ)×0.25mm(内径)、0.25μm(膜厚)(Agilent Technologies): 2次元目(2D)DB−5、10m(長さ)×0.18mm(内径)、0.4μm(膜厚)(Agilent Technologies)・注入口 PTV注入口、シングルバッフル ガラスウール入り: ソルベントベント、0kPa(0.35分)、パージ流量50mL/分: スプリットベント流量 50mL/分(2分): 10℃(0.65分)→600℃/分→300℃(3分)・注入口圧力 252.28kPa・注入量 10μL(注入速度3000μL/分)・オーブン温度 40℃(1分)−10℃/分−180℃−25℃/分−250℃(13分)・LTM温度 40℃(15分)−25℃/分−140℃(6分)−25℃/分−300℃(2分)・AUX温度 250℃・Deans圧力 100kPa(0.35分)−208.37kPa・Deansバルブ バルブ1 ON(13分)−OFF(13.7分)−ON(23分)−OFF(24分)・FID検出器 250℃、H240mL/分、Air 450mL/分、Make up He 45mL/min・MS検出器 ゲイン係数2、SIM m/z 132(4MMP)、182(内部標準物質)、dwell 100(結果) 2次元ガスクロマトグラフ質量分析により標準液の測定を実施した。得られたm/z132の面積値とm/z182の面積値との比{内部標準比:(m/z132面積値)/(m/z182面積値)}に対する4MMP濃度をプロットし検量線を作成した(図2)。その結果、検量線の直線性は非常に良好であった(R2値 0.99)。〔試験例3:定量法の評価〕(回収率の評価) 4MMPを含まない市販飲料品X1に50ng/L、100ng/Lになるよう4MMPを添加したものを、上記試料の調製と同様の操作を行い、精製濃縮した検体を測定用検体とした。得られた測定用検体について測定を行い、図2の検量線の傾きを使用して定量を行い、回収率を求めた。結果を表3に示す。表3に示したように検体中の4MMPを60%近くの回収率で抽出することができた。(併行精度の評価) 試験醸造品X1に対して、上記試料の調製と同様の操作を行い、精製濃縮した検体を測定用検体とした。得られた測定用検体について、独立に4回定量を行い(n=4)、併行精度を求めた。表4に結果を示す。表4に示すように、併行精度(変動係数、CV)は4.0%と非常に良好であった。なお、図3は、2D−GC−MSにより得られたクロマトグラムであるが、この結果から選択性が良好であることが確認された。〔実施例2:試験醸造品及び市販飲料品の分析〕 試験醸造品及び市販飲料品中の4MMPを定量した。試験醸造品としては、互いに異なるビール飲料(以下、それぞれ「試験醸造品X1」〜「試験醸造品X5」という。)を用いた。 試料の調整、検量線の作成は、実施例1と同様にして調製した。2D−GC−MSの測定条件も実施例1と同様である。結果を表5に示す。〔実施例3:チオール化合物の誘導体化による定量〕 標準液及び検体中のフルフリルチオールを定量して検量線を作成し、定量法の妥当性を評価した。(試薬類) チオール化合物として2−フルフリルメルカプタン(フルフリルチオール)(東京化成)を用い、マレイミド化合物として、N−エチルマレイミド(東京化成、下記式(3))を用いた。 システインは東京化成から、N−エチルマレイミド−d5(ETHYL−D5、98%)はCambridge Isotope Laboratories,Incから購入したものを用いた。ジクロロメタン、メタノールは和光純薬の残留農薬用を、それ以外の試薬は特級グレードのものを用いた。チオール化合物誘導体の精製には、銀を担持した担体として、Discovery Ag−ION(SUPELCO社)を用いた。(内部標準の調製) 10mLのガラス製遠沈管に、超純水2mL、塩化ナトリウム0.6g、1% N−エチルマレイミド−d5 エタノール溶液0.2mL、1000mg/Lフルフリルチオール エタノール溶液20μLを加えて軽く攪拌した。ジクロロメタン2mLを加えて30分間振とうして抽出後、3000rpmで15分間遠心分離して、下層を採取した。採取した下層をジクロロメタンで50倍希釈したものを内部標準原液、さらにジクロロメタンで100倍に希釈したものを内部標準液として使用した。(検体の誘導体化処理) 市販のビール(以下、「市販品A」という。)及び市販品Aに50ng/L、100ng/Lのフルフリルチオールを添加したものそれぞれ20mLを6gの塩化ナトリウムを入れた50mLガラス製遠沈管にとり検体とした。検体に400μLの誘導体化試薬(5%(w/v)N−エチルマレイミド エタノール溶液)を加えて軽く攪拌した。ジクロロメタン20mLを加え30分間振とうして抽出後、3000rpmで15分間遠心分離した。下層18mLを予め2mLの内部標準液を入れた20mLメスフラスコに回収した。ジクロロメタン5mLでコンディショニングしたDiscovery Ag−ION(商品名、SUPELCO社)に、回収した検体18mLを負荷し、ジクロロメタン10mL、メタノール10mL、超純水50mLで洗浄し、1%システイン溶液40mLで溶出した。溶出液を20mLずつ2本の50mLガラス製遠沈管に移し、6g塩化ナトリウム、ジクロロメタン20mLを加えて15分間振とうして抽出後、3000rpmで15分間遠心分離した。遠心管2本分の下層を50mL三角フラスコにとり、硫酸ナトリウムで脱水し、窒素気流下100μLまで濃縮した。このようにして得られた誘導体化処理を施した検体を測定用検体とした。(標準液の調製) 50mLの遠沈管に1mg/Lフルフリルチオール水溶液20mLに400μLの誘導体化試薬(5%N−エチルマレイミド エタノール溶液)を加えて軽く攪拌した。ジクロロメタン20mLを加え30分間振とうして抽出後、3000rpmで15分間遠心分離した。下層を回収し、ジクロロメタンで希釈して、1μg/L、2.5μg/L、5μg/L、10μg/L溶液を作製し、これら9mLと内部標準原液1mLを混和したものを標準液とした。(2次元ガスクロマトグラフ質量分析) 調製した測定用検体を2D−GC−MSにより分析した。また、調製した標準液についても同様に分析し、検量線を作成した。2D−GC−MSの測定条件は以下のとおりである。・分析機器 6890N GC、5973N MSD(Agilent Technologies)・カラム 1次元目(1D)DB−5MS、15m(長さ)×0.25mm(内径)、0.25μm(膜厚)(Agilent Technologies): 2次元目(2D)HP−INNOWAX、30m(長さ)×0.25mm(内径)、0.25μm(膜厚)(Agilent Technologies)・注入口 PTV注入口、マルチバッフルライナー: ソルベントベント、0psi(0.6分)、パージ流量150mL: スプリットベント流量50mL/分(2分): 40℃(0.6分)→600℃/分→320℃(3分)・注入口圧力 44.1psi・注入量 50μL(注入速度100μL/分)・オーブン温度 50℃→6℃/分→182℃(1分)→15℃/分→250℃(13分)・AUX温度 250℃・FID検出器 250℃、H2 40mL/分、Air 450mL/分、Make up He 45mL/分・MS検出器 SIM m/z 239(フルフリルチオール誘導体)、244(内部標準物質)、dwell 50: MS OFF(36分)(結果) 2次元ガスクロマトグラフ質量分析により標準液の測定を実施した。得られたm/z239の面積値とm/z244の面積値との比{(m/z239面積値)/(m/z244面積値)}に対するフルフリルチオール濃度をプロットし、検量線を作成した(図4)。その結果、検量線の直線性は非常に良好であった。さらに測定用検体についても同様に測定を実施し、内部標準法によりフルフリルチオールの定量値を求めた。その結果、表6に示したように検体にN−エチルマレイミドを用いて誘導体化処理を施すことにより、検体中のフルフリルチオールをほぼ100%の回収率で抽出することができた。〔試験例4:定量法の評価〕 市販の黒ビールテイスト飲料に20ng/Lのフルフリルチオールを添加したものを検体とし、独立に5回定量を行い(n=5)、併行精度及び回収率を求めた。(併行精度及び回収率の評価) 表7に結果を示す。表7に示すように、併行精度(変動係数、CV)は2.9%と非常に良好であった。〔実施例4:市販飲料の分析〕 市販飲料(黒ビール又は黒ビールテイスト飲料)中のフルフリルチオールを定量した。市販飲料としては、市販の黒ビールテイスト飲料(以下、「市販品B」という。)、市販の黒ビール(以下、「市販品C」という。)、及び市販品Cとは異なる市販の黒ビール(以下、「市販品D」という。)を用いた。また、標準液(10ng/L)についても同様に定量した。 フルフリルチオールの定量は、以下のようにして行った。検体に対する5%(w/v)N−エチルマレイミド エタノール溶液の添加量を1%(v/v)とし、反応時間を0.5時間という条件で検体の誘導体化処理を行ったこと以外は、実施例3と同様の方法により、検体の誘導体化処理を行い、測定用検体を調製した。測定用検体を、実施例3と同様の方法により、2D−GC−MSにより分析し、各条件におけるフルフリルチオール誘導体に由来するピーク面積値を比較した。 図5に2D−GC−MSの結果を示す。図5(a)は、標準液の2D−GC−MSのクロマトグラムである。図5(b)、(c)及び(d)は、それぞれ、市販品B、市販品C及び市販品Dの2D−GC−MSのクロマトグラムである。図5に示したとおり、市販の飲料は、夾雑ピークが認められるものの、フルフリルチオールの定量値への影響は大きくないと考えられた。市販品B、市販品C及び市販品Dに含まれるフルフリルチオールは、それぞれ6ng/L、7ng/L及び13ng/Lであった。 金属原子を担持させた担体と検体とを接触させて、該検体からチオール化合物又はスルフィド化合物を分離することを含む精製工程を備える、チオール化合物及びスルフィド化合物の定量方法。 前記金属原子が、周期律表の第4〜15族に属する金属元素から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の定量方法。 前記金属原子が、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、クロム(Cr)及びビスマス(Bi)から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の定量方法。 前記金属原子が、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)及び水銀(Hg)から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の定量方法。 前記精製工程において、前記検体からスルフィド化合物を分離する、請求項4に記載の定量方法。 前記精製工程の前に、前記検体中のチオール化合物と下記一般式(1)で表されるマレイミド化合物とを反応させてチオール化合物誘導体を得る工程を更に備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の定量方法。[一般式(1)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数5〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアリールアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基を示す。] 前記検体中の前記チオール化合物又は前記スルフィド化合物の濃度が、1000ng/L以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の定量方法。 前記金属原子を担持させた担体が、支持体に支持されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の定量方法。 前記金属原子を担持させた担体が、カラムに充填されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の定量方法。 前記精製工程の後に、ガスクロマトグラフ質量分析によりチオール化合物又はスルフィド化合物を定量する工程を更に備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載の定量方法。 前記検体が飲食品である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の定量方法。 前記検体が飲料である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の定量方法。 【課題】検体中の微量のチオール化合物及びスルフィド化合物を、再現性よく、かつ簡便な操作で定量できる方法を提供する。【解決手段】金属原子を担持させた担体と検体とを接触させて、検体からチオール化合物又はスルフィド化合物を分離する。担体から目的成分を回収し、溶媒抽出により精製、さらに濃縮を行い、ガスクロマトグラフ質量分析装置等で定量する。【選択図】なし