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タイトル:公開特許公報(A)_ポリ−γ−グルタミン酸イオンコンプレックスを含有する化粧料
出願番号:2014051644
年次:2015
IPC分類:A61K 8/88,A61K 8/34,A61K 8/41,A61Q 19/00


特許情報キャッシュ

白馬 弘文 小林 久人 JP 2015174836 公開特許公報(A) 20151005 2014051644 20140314 ポリ−γ−グルタミン酸イオンコンプレックスを含有する化粧料 東洋紡株式会社 000003160 白馬 弘文 小林 久人 A61K 8/88 20060101AFI20150908BHJP A61K 8/34 20060101ALI20150908BHJP A61K 8/41 20060101ALI20150908BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20150908BHJP JPA61K8/88A61K8/34A61K8/41A61Q19/00 11 OL 14 4C083 4C083AC101 4C083AC102 4C083AC111 4C083AC121 4C083AC122 4C083AC302 4C083AC691 4C083AC692 4C083AD071 4C083AD072 4C083AD212 4C083BB04 4C083BB07 4C083BB48 4C083CC02 4C083CC04 4C083DD27 4C083EE03 4C083EE06 4C083EE12 本発明は、ポリ−γ−グルタミン酸とカチオン性殺菌剤から形成されるイオンコンプレックスを含有する化粧料を提供する。近年、人の美容と健康の保持を目的として、化粧品分野ではスキンケアを重視する傾向がある。化粧水、乳液、アフターシェイブ剤等のスキンケア化粧品をはじめ、シャンプー、リンス剤等のスカルプケア、デオドラント、ボディーソープ、浴用剤等のボディーケアなどの化粧品には、保湿効果による潤い感と安心感を求める要望が強い。このことから、安全性が高く、スキンケア性能の高い化粧品が望まれる。人の皮膚は、表皮、真皮、下層の皮下組織の3層から構成され、表皮にある角質層が水分を保持することで、外部環境からのバリア機能を果たしている。ストレスや食生活の変化による栄養状態、あるいは気候の変化は、角質層にある水分、天然保湿因子、細胞間脂質の機能を低下させる。これにより、人の皮膚は、乾燥状態となり、肌荒れ、皮膚炎、感染症等の疾患が引き起こることがある。上記のスキントラブルを解決するため、化粧品には、様々な種類の保湿剤が含有されている。保湿剤は、人の皮膚の経表皮水分の水分喪失を防ぐことで、角質層の水分-油分-天然保湿因子のバランスを整え、潤いを与えている。化粧品に含有する保湿剤の例としては、脂肪酸エステル、ワセリン、セラミド及びその誘導体をはじめとする脂溶性のエモリエント剤、ピロリドンカルボン酸、アミノ酸、尿素、植物抽出物等の水溶性のヒューメクタント剤が挙げられる。その他には、ヒアルロン酸等の高分子型の保湿剤があり、適度な吸湿性と増粘性を有することで、皮膚との接着性に優れ、皮膚の感触を良くする化粧品素材としても用いられている。化粧品には、皮膚面を清浄に保つ目的で、保湿剤の他に、抗菌剤が配合されることがある。これは、皮膚炎、体臭の原因となる皮膚常在菌、にきびの原因菌であるアクネ菌、ふけの原因となる真菌類を抑制することで、スキントラブルを低減させるためである。抗菌剤の例としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等の第4級アンモニウム塩が挙げられる。これら抗菌剤は、高い水溶性を有していることから、化粧品成分へ容易に配合することができる。一方、脂溶性が低い故、皮膚親和性が弱く、又、汗や水に流されやすくなり、清浄状態を長く保持することは困難であるという課題がある。上記記載の問題を解決するため、抗菌性と保湿性を兼ね備えた素材が知られている。例えば、特許文献1では、キトサン誘導体を含有する皮膚外用剤として、保湿性と抗菌性を兼ね備えた素材が開示されている。キトサンは、抗菌性を有する多糖類で、皮膚親和性が高いことから、表皮面に存在する細菌類を効果的に抗菌する。特許文献2では、ポリアクリル酸の第4級アンモニウム塩を含有する皮膚外用剤が開示されている。本発明には、ポリアクリル酸と抗菌剤のベンザルコニウムとをイオン結合で形成したポリマーが記載されている。本ポリマーは、水に不溶性であるため、汗や体液により有効成分が流され難く、皮膚親和性が高いといった有用な面がある。しかし、ポリアクリル酸自体、非分解性の合成ポリマーため、化粧品にとって望ましいような、生体適合性に優れているとは言い難い。かかる現状を鑑みると、化粧品としては、安全性、皮膚親和性が高く、且つ、保湿性と抗菌性を有する素材が配合されることが望まれる。天然高分子である、ポリ−γ−グルタミン酸(以下、PGAと表記することがある)は、ここ最近、天然保湿成分として注目を集めている素材の1つである。PGAは、微生物が生産するバイオポリマーであり、グルタミン酸のα−アミノ基とγ−カルボキシル基がアミド結合で形成されたポリアミノ酸である。PGAは納豆の糸引きの主成分として知られるようになったが、その魅力的な機能性として、生分解性と皮膚親和性を兼ね備えている。特許文献3では、好塩古細菌Natrialba aegyptiacaが生産するポリ−γ−L−グルタミン酸(以下、L−PGAと表記することがある)を含有する化粧品組成物が開示されている。本発明記載のL−PGAは、L−グルタミン酸のみで構成されるキラルなホモポリマーであり、数平均分子量が130万以上の高分子量を有する。本発明では、L−PGAを第4級アンモニウム塩等の抗菌剤と併用することで、皮膚刺激性を低減した、しっとり感とかさつき難さを兼ね備えた化粧品組成物が開示されている。特許文献4においては、L−PGAと第4級アンモニウムイオン化合物から形成されるイオンコンプレックス(以下、PGAICと記載することもある)が記載されている。当該イオンコンプレックスは、L−PGAと第4級アンモニウムがイオン結合で形成され、L−PGAのような高い水溶性はなく、水に不溶性のポリマーである。上記記載のPGAICは、L−PGAの保湿性/皮膚親和性と第4級アンモニウムイオンの抗菌性を備えた化粧品素材として期待される。実際に、本発明者らが、PGAICの化粧品の配合を試みたところ、PGAICは、水に不溶であり、通常、50〜90%の水分を含む石鹸、化粧水、乳液等の一般的な化粧品へ配合することが極めて困難であることを確認している。特開2013−166709号公報特開昭64−022824号公報特開2010−18585号公報特開2010−222496号公報上述のように、化粧品としては、人体への安全性、皮膚親和性が高く、保湿性と抗菌性を備えた素材の配合が望まれる。本発明の目的は、PGAICの水溶性を改善し、抗菌効果と保湿性能を備えた、PGAICの化粧品への配合を可能とし、健康・衛生面で要求される化粧品分野で広範囲に利用することができる化粧料および皮膚外用剤を提供することである。 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、ポリ−γ−グルタミン酸のイオンコンプレックスを界面活性剤と併用することで、透明で分散安定化に優れた化粧料が得られることを見出し、本発明に至った。即ち、代表的な発明は以下の通りである。(項1) ポリ−γ−グルタミン酸とカチオン性殺菌剤から形成されるPGAイオンコンプレックス並びに非イオン性及び/又は両親媒性界面活性剤を含有することを特徴とする化粧料。 (頁2) 前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である項1記載の化粧料。 (頁3) 前記界面活性剤のHLB値が10〜20である項1又は2に記載の化粧料。 (頁4) 前記界面活性剤の前記PGAイオンコンプレックスに対する配合量が0.1倍量〜5.0倍量である項1〜3のいずれか一項に記載の化粧料。(頁5) 炭素数1〜5のアルコールを更に含む、項1〜4のいずれか一項に記載の化粧料。 (頁6) グリセリンを更に含む、項1〜5のいずれか一項に記載の化粧料。 (項7) 低級の多価アルコールを更に含む、項1〜5のいずれか一項に記載の化粧料。 (頁8) 前記カチオン性殺菌剤が第4級アンモニウム塩であることを特徴とする、項1〜7のいずれか一項に記載の水溶性化粧料。 (頁9)前記カチオン性殺菌剤が塩化セチルピリジニウム、塩化ラウリルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウムからなる群より選択される1種以上であることを特徴とする、項1〜8のいずれか一項に記載の化粧料。 (頁10) ポリ−γ−グルタミン酸を構成するグルタミン酸のうち、L−グルタミン酸の占める割合が90%以上であることを特徴とする、項1〜9のいずれかに一項に記載の化粧料。(項11) ポリ−γ−グルタミン酸を構成するグルタミン酸がL−グルタミン酸からなる、項1〜10のいずれか一項に記載の化粧料。 本発明は、保湿性と皮膚親和性に優れたポリ−γ−グルタミン酸とカチオン性殺菌剤から形成されたイオンコンプレックスを、界面活性剤と併用することで、化粧料への配合を可能とする。従って、本発明により、健康・衛生・美容面で要求される化粧品分野で広範囲に利用することができる化粧料を提供することができる。 本発明はポリ−γ−グルタミン酸とカチオン性殺菌剤から形成されたイオンコンプレックス(以下、PGAICとも言う。)を含有する化粧料を提供する。ポリ−γ−グルタミン酸(以下、単にPGAとも言う。)とは、グルタミン酸のα−アミノ基とγ−カルボキシル基とがアミド結合したポリアミノ酸である。PGAの種類は、特に制限されない。例えば、L−グルタミン酸のみからなるもの、D−グルタミン酸のみからなるもの、両方を含むものがあるが、何れも用いることができる。但し、一方の割合がより多い方が立体規則性に優れ、強度なども高くなり、また、よく乾燥すれば融点(約150℃)をも示す様になる。この融点は、イオンコンプレックスとすることで、より明確となる。さらに、L−グルタミン酸からなるものの方が生分解性に優れるので、L−グルタミン酸の含有割合が90%以上であるPGAを用いることが好ましい。 使用するPGAの分子サイズも特に制限されないが、平均分子質量で10kD以上のものが好適である。一般的に、分子サイズが大きいほど皮膚への接着性能が高くなる。一方、分子サイズが過剰に大きなPGAは製造コストが大きく、また、製造が技術的に難しい場合もあるので、通常は1,000kD以下とする。 PGAは、市販されているものがあればそれを用いてもよいし、別途製造してもよい。但し、通常の条件でグルタミン酸を重合するとポリ−α−グルタミン酸が得られるので、微生物を使って生合成させることが好ましい。PGAを生産する微生物としては、Bacillus subtilis(納豆菌)、Bacillus subtilis(戦国醤菌)、Bacillus megaterium、Bacillus anthracis、Bacillus halodurans、Natrialba aegyptiaca、Hydraなどがある。分子サイズの大きいPGAを製造できる微生物としては、枯草菌であるBacillus subtilisや超好塩古細菌であるNatrialba aegyptiacaがある。この中でも、L−グルタミン酸のみからなるPGAを生産する微生物であるNatrialba aegytiacaによって生産されたPGAを用いるのが好ましい。 本発明のPGAICに含まれるカチオン性殺菌剤は、特に制限されないが、第4級アンモニウム塩およびビグアニド系殺菌剤が好ましく、より好ましいのは第4級アンモニウム塩である。第4級アンモニウム塩としては、例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化ラウリルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。ビグアニド系殺菌剤としては、塩酸クロルヘキシジン、酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸アレキシジン、酢酸アレキシジン、グルコン酸アレキシジン等が挙げられる。この中でも、好ましくは塩化セチルピリジニウム、塩化ラウリルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウムが挙げられる。これらのカチオン性殺菌剤は1種のみでイオンコンプレックスを形成してもよいし、2種以上を含むPGAICにしてもよい。 本発明に係るPGAICとしては、PGAを構成するグルタミン酸とカチオン性殺菌剤とを等モルあるいは任意のモル比で含むものを用いることができるが、過剰な親水性などPGAの有する材料としての欠点を克服するために、カチオン性殺菌剤により十分に改質されているものが好適である。より具体的には、PGAICにおけるカチオン性殺菌剤の割合が、PGAを構成するグルタミン酸に対して0.5モル倍以上であることが好ましく、0.6モル倍以上であることがより好ましく、0.7モル倍以上であることがさらに好ましい。特に、PGAを構成するグルタミン酸とカチオン性殺菌剤とを等モルまたは略等モル含むものが好適である。ここで、略等モルとは、両者のモル数がほぼ等しいことを意味するが、具体的にはPGAを構成するグルタミン酸に対するカチオン性殺菌剤が0.8モル倍以上、1.2モル倍以下、特に0.9モル倍以上、1.1モル倍以下であることをいうものとする。 本発明のPGAICは、溶媒中、PGAと第4級アンモニウム塩もしくはビグアニド系殺菌剤等のカチオン性殺菌剤を混合するのみで、極めて容易に製造できる。 ここで使用する溶媒としては、水が好適である。原料であるPGAを良好に溶解できるからであり、また、目的化合物であるPGAICは水に対して不溶性であることから、反応後における目的物の単離精製に好都合なためである。但し、カチオン性殺菌剤の水溶性などによっては、反応液に対するそれらの溶解性を高めるために、メタノールやエタノールなどのアルコール;THFなどのエーテル;ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどのアミドなどの水溶性有機溶媒を反応液に添加してもよい。しかし、反応終了後におけるPGAICの分離を考慮すれば、溶媒としては水のみを用いることが好ましい。 原料であるPGAとしては、その塩を用いてもよい。当該塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩やマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩などを挙げることができる。また、塩を用いる場合であっても全てのカルボキシ基が塩となっている必要はなく、その一部のみが塩となっていてもよい。但し、アルカリ土類金属塩などの多価金属塩は、水に対する溶解性が低い場合があり得るので、好適にはPGAのフリー体またはPGAの一価金属塩を用いる。 第4級アンモニウム塩もしくはビグアニド系殺菌剤は、通常、ハロゲン化物塩として存在する。よって、本発明においては、反応液へ第4級アンモニウム塩もしくはビグアニド系殺菌剤を直接添加、或いは当該塩を水溶媒に溶解した上で添加すればよい。第四級アンモニウム塩もしくはビグアニド系殺菌剤は、PGAを十分に改質するため、PGAに対して十分量用いることが好ましい。 本発明のPGAICは水不溶性であることから、水溶媒から容易に分離できるため、反応液における各成分の濃度は特に制限されない。例えば、反応液におけるPGAの濃度を0.5w/v%以上、10w/v%以下程度、カチオン性殺菌剤の濃度を1.0w/v%以上、10w/v%以下程度とすることができる。 反応液は、コンプレックスの形成を促進するために適度に加熱することが好ましい。加熱温度は、例えば40℃以上、80℃以下程度とすることができる。反応時間は適宜調整すればよいが、通常、1時間以上、20時間以下程度とすることができる。 本発明のPGAICは水不溶性であることから、濾過や遠心分離などにより水溶媒から容易に分離することができる。また、分離したPGAICは、水で洗浄することにより、過剰に用いたPGAまたはカチオン性殺菌剤、その他の塩を除去することも可能である。また、水溶媒は、アセトンなどで洗浄することにより簡便に除去できる。本発明のPGAICは、グラム陽性およびグラム陰性のいずれの細菌類に対しても優れた静菌効果を発揮するのみならず、同時に真菌類に対しても優れた静菌効果を示し、健康・衛生面で抗細菌性や抗真菌性が要求される分野で広範囲に利用することができる抗細菌剤および/または抗真菌剤として利用できる。本発明のPGAICが抗菌効果を示すグラム陽性細菌の例としては、Staphylococcus属、Streptococcus属、Corynebacterium属、Bacillus属、Listeria属、Clostridium属、Lactobacillus属等が挙げられる。本発明のPGAICが抗菌効果を示す真菌の例としては、Absidia属、Mucor属、Rhizopus属等の接合菌門、Aspergillus属、Neurospora属、Penicillium属、Trichoderma属、Neosartorya属、Candida属、Pichia属、Saccharomyces属等の子嚢菌門、Trametes属、Cryptococcus等の担子菌門、Alternaria属、Fusarium属、Cladosporium属、Curvularia属、Aureobasidium属等の不完全菌類等が挙げられる。本発明のPGAICは、皮膚への刺激性が低く、肌への密着性、浸透性が高い。また、適度な吸湿性を有するとともに、角質水分の蒸散を防ぐ膜を形成し、保湿性に優れるものである。 本発明は、PGAICとともに界面活性剤を含有することによりPGAICを水溶化できることを特徴とする。前述の通りPGAICは水不溶性であり、従前70〜90%の高濃度のエタノール等の有機溶媒に溶解させていた。しかしながら、本発明により油性化粧料のみならず水性化粧料にもPGAICを使用可能となり、幅広い用途の化粧料に用いることができる。 界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、両親媒性界面活性剤が望ましく、特に非イオン性界面活性剤が望ましい。アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等のイオン性界面活性剤を併用すると、PGAICが分解する可能性がある。 水を主成分とする化粧品の場合には、親水性の非イオン性界面活性剤として、HLB値が10〜20のものが好ましく、12〜20がより好ましい。本発明における、HLBとは、親水性−親油性バランスを表し、化粧品配合に際し、乳化や可溶化を行うための界面活性剤の指標となるものである。 非イオン界面活性剤としては、多価アルコール脂肪酸エステル及び多価アルコールアルキルエーテル;プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、エチレングリコールモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、メチルグルコシド脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレンエーテル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンフィトスタノール、ポリオキシエチレンコレステロール、ポリオキシエチレンコレスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、エーテルエステル;ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンメチルグルコシド脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン動植物油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、含ヘテロ原子誘導体:ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキルジエタノールアミド、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルメルカプタンなどが挙げられる。 本発明に係わる界面活性剤の配合量としては、特に制限はないが、PGAICに対し、0.1〜5倍量が好ましく、より好ましくは、0.5〜4倍量の範囲である。PGAICの配合割合としては、効果を発現でき且つ化粧品としての機能を損なわない範囲が好ましく、具体的には0.1%〜5.0%が好ましく、0.1%〜2.0%がより好ましい。 本発明の化粧料は、PGAIC、界面活性剤に加えて炭素数1〜5のアルコールを含有することができる。より好ましくは炭素数1〜3のアルコールであり、特に好ましくは炭素数2のアルコールである。通常化粧料にはエタノールがよく用いられるが、PGAICは水不溶性であるため、エタノール濃度が0〜60%ではPGAICが溶解しなかった。しかしながら、非イオン性界面活性剤及び/又は両親媒性界面活性剤を添加することにより、0〜90%の幅広い範囲でPGAICを溶解させることができる。化粧料において炭素数1〜5のアルコールの配合量は0.001%〜50重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜20重量%である。 本発明の化粧料は、PGAIC,界面活性剤に加えてグリセリンを配合させることができる。グリセリンは前記アルコールと共に含有してもよい。グリセリンの化粧料に対する配合量は0.001重量%〜80重量%が好ましく、より好ましくは0,1重量%〜70重量%である。本発明の化粧料は、PGAIC,界面活性剤に加えて低級の多価アルコールを配合させることができる。低級の多価アルコールは前記アルコール及び/又は前記グリセリンと共に含有してもよい。低級の多価アルコールの化粧料に対する配合量は0.001重量%〜80重量%が好ましく、より好ましくは0,1重量%〜70重量%である。低級の多価アルコールとしては、二価アルコール;エタンジオール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、三価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。本発明のPGAICを含有する化粧料は、上記の添加剤を利用すれば、様々な化粧品として使用することができる。化粧品としては、化粧石鹸、シャンプー、洗顔料、リンス、アイクリーム、アイシャドウ、クリーム・乳液、化粧水、香水、おしろい、化粧油、頭髪用化粧品、染毛料、練香水、パウダー、パック、クレンジングクリーム、ひげそり用クリーム、ひげそり用ローション、日焼けオイル、日焼け止めオイル、日焼けローション、日焼け止めローション、日焼けクリーム、日焼け止めクリーム、ファンデーション、粉末香水、ほお紅、マスカラ、眉墨、爪クリーム、美爪エナメル、美爪エナメル除去液、洗毛料、浴用化粧品、口紅、リップクリーム、アイライナー、歯磨き、デオドラント剤、オーデコロン、養毛剤および育毛剤などが例示される。 本発明のPGAICを含有する化粧料としては、化粧品、医薬部外品に使用される添加剤を併用して配合することができる。添加剤としては、特に制限されていないが、油剤、香料、色素、着色料、保存剤、防腐剤、pH調整剤、増粘剤等が挙げられる。添加量としては、PGAICの機能が損なわなければ、特に制限はない。 本発明の化粧料は、化粧品に使用される衛生用品へ配合することができる。本発明の化粧料を衛生用品の基材へ配合する場合、スプレイ法、ディッピング法、浸漬法、コーティング法等の方法で処理してもよく、特に限定されない。適宜、上記記載の添加物を併用して配合してもよい。衛生用品としては、化粧用ティッシュ、美容パック、フェイスマスク、体拭きシート、ウェットティッシュなどが例示される。 以下の実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらに何ら限定されるものではない。(製造例1)PGAIC(IC100)の製造超好塩古細菌ナトリアルバ・エジプチアキア(N.aegyptiaca)由来の平均分子量1000kDのポリ−γ−L−グルタミン酸ナトリウム塩(40g)を精製水に溶解し、18w/v%の溶液とした。当該溶液へ60℃に保温した塩化セチルピリジニウム(CPC)の0.2M水溶液(1551g)を加えた。原料であるポリ−γ−L−グルタミン酸ナトリウム塩(本ポリマーの含量90%以上)の水溶液から、CPC添加直後に水不溶性材料が形成されることを確認した後、さらに60℃で4時間保温した。得られた水不溶性材料を濾別回収した後、1000mLの精製水で計3回洗浄した。さらにアセトンで洗浄することにより脱水した後、真空乾燥し、粉末としてイオンコンプレックス(93g)を回収した。得られたイオンコンプレックスの1H−NMRの結果から、L−PGAとセチルピリジニウムが100:100のモル比で結合していることが確認された。(製造例2)PGAIC(IC60)の製造 超好塩古細菌ナトリアルバ・エジプチアキア(N.aegyptiaca)由来の平均分子量1000kDのポリ−γ−L−グルタミン酸ナトリウム塩(80g)を精製水に溶解し、2w/v%の溶液とした。当該溶液へ、2.0Mの塩酸(80g)を加え、pH4に調整した後、塩化セチルピリジニウム(CPC)の0.2M水溶液(668g)を加えた。原料であるポリ−γ−L−グルタミン酸ナトリウム塩の水溶液から、CPC添加直後に水不溶性材料が形成されることを確認した後、60℃で4時間攪拌した。得られた水不溶性材料を濾別回収した後、600mLの精製水で計3回洗浄した。洗浄後、湿体の水不溶性材料を真空乾燥し、粉末としてイオンコンプレックス(67g)を回収した。得られたイオンコンプレックスの1H−NMRの結果から、L−PGAとセチルピリジニウムが100:60のモル比で結合していることが確認された。(参考例1)製造例1で製造したPGAICの化粧品への配合性を調べるため、水及びアルコール類に対する溶解性を調べた。PGAIC(1wt%)に対し、各種溶剤を全体量の100wt%になるよう添加し、常温で攪拌し、溶解性を判定した。尚、表1の評価基準は以下の通りである。 ○:PGAICが溶解したことを示す。 ×:PGAICが不溶であることを示す。(実施例1)PGAICと界面活性剤との相溶性製造例1で製造したPGAICと界面活性剤の相溶性を調べた。PGAIC(1wt%)と、界面活性剤(4wt%)、エタノール-水混合溶媒(1:1)中で混合し、常温で24時間攪拌した。尚、界面活性剤は、和光純薬製ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、ポリソルベート60、ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油、花王製ポリオキシエチレンエーテルラウリル硫酸ナトリウムをそれぞれ用いた。溶解性の結果を表2に示すが、高HLB値を示すポリオキシエチレン(20)セチルエーテルを用いた場合、透明であり、分散安定性に優れた溶液が確認された。尚、表2の評価基準は以下の通りである。 ○:PGAICが溶解したことを示す。 △:PGAICが溶解するが、24時間後、PGAICが析出したことを示す。 ▲:PGAICが一部溶解したことを示す。 ×:PGAICが分解したことを示す。(実施例2)PGAICと界面活性剤との相溶性(水−エタノール混合溶媒)製造例1で製造したPGAIC(1wt%)を、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(0〜4wt%)と併用した時の、水中のエタノール濃度(0〜90wt%)に変更した溶液に対する溶解性を調べた。室温で24時間攪拌した時の、PGAICの溶解性試験の結果を表3に示すが、広範囲のエタノール濃度にPGAICが溶解することが認められた。尚、表3のPOECEは、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテルを表し、評価基準は、以下の通りである。 ○:PGAICが溶解したことを示す。 ▲:PGAICが一部溶解したことを示す。 ×:PGAICが不溶であることを示す。(実施例3)PGAICと界面活性剤との相溶性(水−エタノール−多価アルコール混合溶媒)製造例1で製造したPGAIC(1wt%)と、ポリオキシエチレンセチルエーテル(0〜4wt%)を水:エタノール:多価アルコール混合溶媒(1.0:0.5:0.5)中で混合し、常温で24時間攪拌した。攪拌後の溶解性試験を表4に示すが、水:エタノール:多価アルコール混合溶媒中(1.0:0.5:0.5)にPGAICが溶解することが認められた。尚、表4のPOECEは、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテルを表し、評価基準は、以下の通りである。 ○:PGAICが溶解したことを示す。 ×:PGAICが不溶であることを示す。(実施例4)PGAICと界面活性剤との相溶性(水−エタノール−グリセリン混合溶媒)製造例1で製造したPGAIC(1wt%)と、ポリオキシエチレンセチルエーテル(0〜4wt%)を0〜90%のエタノール−グリセリン(1:1)水溶液溶媒中で混合し、常温で24時間攪拌した。攪拌後の溶解性試験を表5に示すが、広範囲のエタノール:グリセリン(1:1)水溶液濃度にPGAICが溶解することが認められた。尚、表5のPOECEは、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテルを表し、評価基準は、以下の通りである。 ○:PGAICが溶解したことを示す。 ▲:PGAICが一部溶解したことを示す。 ×:PGAICが不溶であることを示す。(実施例5) 化粧水の製造と評価製造例1、2で製造したPGAICを含有する化粧水を製造し、ぬり心地を評価した。配合割合、ゆり心地評価の結果は、表6に示す通りである。塗り心地評価は、20〜40代女性の5名のパネリストが左右の頬に化粧水を塗布した際、塗布中のとろみ感、伸びの良さ感、塗布3分後のもっちり感、粘着感、浸透感を比較した。ぬり心地の評価は、中屋の変法を用いたシェッフェの一対比較法を基に、以下の基準に従って判定した。 ◎:+1以上+2以下の得点 ○:0以上+1より小さな得点。 △:−1以上0より小さな得点。ぬり心地の評価の結果、実施例5記載のPGAIC(IC100)を含有する化粧水は、L−PGA、PGAICを未配合とする比較例1記載の化粧水よりも、とろみ感、伸びの良さ、粘着感が良好であった。また、実施例5では、比較例2に記載のL−PGAを含有する化粧水と比べ、同等の感触ではあるが、粘着感の良さが顕著に見られた。実施例6に記載のPGAIC(IC60)を含有する化粧水は、比較例2に記載の化粧水と比べ、ぬり心地は同等であり、L−PGA由来の化粧料の塗り心地の性質を維持した。 本発明の化粧料は、抗菌性、スキンケアが要求される化粧品分野で広範囲に利用することができる。 ポリ−γ−グルタミン酸とカチオン性殺菌剤から形成されるPGAイオンコンプレックス並びに非イオン性及び/又は両親媒性界面活性剤を含有することを特徴とする化粧料。 前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である請求項1記載の化粧料。 前記界面活性剤のHLB値が10〜20である請求項1又は2に記載の化粧料。 前記界面活性剤の前記PGAイオンコンプレックスに対する配合量が0.1倍量〜5.0倍量である請求項1〜3のいずれか一項に記載の化粧料。 炭素数1〜5のアルコールを更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化粧料。 グリセリンを更に含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化粧料。 低級の多価アルコールを更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化粧料。 前記カチオン性殺菌剤が第4級アンモニウム塩であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の水溶性化粧料。前記カチオン性殺菌剤が塩化セチルピリジニウム、塩化ラウリルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウムからなる群より選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化粧料。 ポリ−γ−グルタミン酸を構成するグルタミン酸のうち、L−グルタミン酸の占める割合が90%以上であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに一項に記載の化粧料。 ポリ−γ−グルタミン酸を構成するグルタミン酸がL−グルタミン酸からなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化粧料。 【課題】美容・健康面で抗菌性、スキンケア性が要求される化粧品分野で広範囲に利用することができる、安全性の高い、化粧料を提供する。【解決手段】ポリ−γ−グルタミン酸とカチオン性殺菌剤から形成されるPGAイオンコンプレックスを含有する化粧料。【選択図】 なし


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