生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_核酸のリアルタイム検出方法
出願番号:2014048375
年次:2015
IPC分類:C12Q 1/68,C12N 15/09


特許情報キャッシュ

鈴木 孝治 星地 彩花 小塚 ななみ 宮原 裕二 JP 2015171338 公開特許公報(A) 20151001 2014048375 20140312 核酸のリアルタイム検出方法 学校法人慶應義塾 899000079 特許業務法人谷川国際特許事務所 110001656 鈴木 孝治 星地 彩花 小塚 ななみ 宮原 裕二 C12Q 1/68 20060101AFI20150904BHJP C12N 15/09 20060101ALI20150904BHJP JPC12Q1/68 AC12N15/00 A 6 2 OL 9 4B024 4B063 4B024AA11 4B024AA20 4B024CA01 4B024CA04 4B024HA14 4B063QA01 4B063QA18 4B063QQ42 4B063QQ52 4B063QR32 4B063QR35 4B063QR62 4B063QS24 4B063QS34 4B063QS36 4B063QS39 4B063QX05 本発明は、核酸の検出方法に関する。本発明は、各種感染症や遺伝病等の診断等に有用である。 従来より、PCRに代表される核酸増幅法は、被検試料中の被検核酸の増幅に広く用いられている。PCRは、変性工程、アニーリング工程及び伸長工程から成るサイクルを、各工程ごとに大きく異なる温度で行う必要があるため、迅速な温度変更及び綿密な温度管理が必要で、そのための装置が必要になる。近年、ファージphi29由来のPhi29DNAポリメラーゼを用いて一定温度で核酸増幅を行うRCA(rolling circle amplification)法が開発され、既に実用化されている(非特許文献1)。Phi29DNAポリメラーゼは、37℃程度の温度下において高いDNAポリメラーゼ活性と鎖置換活性(鋳型DNA上でDNA伸長を行いながら二本鎖DNAに到達すると、先にある二本鎖DNAを一本鎖にし、さらにDNA伸長を行うことにより、二本鎖のうち、鋳型核酸ではない方の鎖を置換する)を有するため、37℃程度の定温下において、増幅サイクルを繰り返すことができるという優れた利点を有する。さらに、近年、RCAの改良法として、制限酵素の存在下でRCAを行うことにより、プライマーを自動生成するプライマー生成RCA(primer generating rolling circle amplification, PG-RCA)も開発された(非特許文献2)。 核酸増幅法を利用して被検試料中に含まれる被検核酸の定量を行う方法も既に実用化されている。代表的な方法として、一端にレポーター蛍光色素、他端にクエンチャー蛍光色素を結合したプローブの存在下でPCRを行い、核酸増幅反応液の蛍光強度をリアルタイムで測定し、蛍光強度が急激に立ち上がるまでのサイクル数に基づいて被検核酸である鋳型核酸を定量する方法(リアルタイム検出PCR、RTD-PCR)や、二本鎖核酸に特異的に結合するインターカレーター蛍光色素の存在下でPCRを行う方法等が知られている。また、酸化還元反応性のインターカレーターの存在下でPG-RCAを行い、増幅反応溶液を流れる電流をボルタンメトリーによりリアルタイムで測定し、増幅サイクル数とピーク電流密度との関係から鋳型核酸を定量する方法も公知である(非特許文献2)。Taku Murakami et al. Nucl. Acids Res., 2009, 37, No.3Derek Chun Lee et al. Electroanalysis, 2013, 25, 1310-1315 公知の核酸のリアルタイム検出方法では、蛍光強度の測定やボルタンメトリーによる測定が必要である。本発明の目的は、公知のリアルタイム検出方法よりも簡便な方法により核酸のリアルタイム検出が可能となる、新規な方法を提供することである。 本願発明者らは、鋭意研究の結果、イオン性のインターカレーターの存在下で核酸増幅法を行い、このイオン性インターカレーターに感応性を持つイオン選択性電極を用いて核酸増幅反応溶液の電位をリアルタイムに測定することにより、ポテンシオメトリーにより簡便に鋳型核酸をリアルタイム検出できることに想到し、これを実験的に確認して本願発明に到達した。 すなわち、本発明は、二本鎖核酸にインターカレートするイオン性インターカレーターの存在下において、鋳型核酸を増幅させると共に、該イオン性インターカレーターに感応性を持つイオン選択性電極を用いて核酸増幅反応溶液の電位をリアルタイムに測定することを含む、二本鎖増幅核酸の検出方法を提供する。 本願発明により、簡便な方法で、鋳型核酸をリアルタイム検出することが可能な、新規な核酸のリアルタイム検出方法が提供された。下記実施例において得られた、増幅反応溶液の電位の経時変化を示す図である。図1において、対照の測定値を引いた差分の経時変化を示す図である。 上記の通り、本発明の方法では、二本鎖核酸にインターカレートするイオン性インターカレーターを用いる。本発明で用いるインターカレーターは、二本鎖核酸にインターカレートすることができ、イオン性であり、それと選択的に感応するイオン性電極を構築可能なものであれば特に限定されない。このようなイオン性インターカレーターは、アンモニウムイオンやホスホニウムイオンのような陽イオンが好ましい。ここで、アンモニウムイオンは、第2級〜第4級アンモニウムイオンであり、多くの場合、第4級アンモニウムイオンである。同様に、ホスホニウムイオンは、第2級〜第4級ホスホニウムイオンであり、多くの場合、第4級ホスホニウムイオンである。第4級アンモニウムイオンを含む(水中で電離してイオンが遊離される)インターカレーターの好ましい例として、エチジウムブロマイド等のエチジウム塩、SYBR Green I等のSYBR Greenシリーズ、SYBR Gold、Pico Green、オキサゾールイエロー、チアゾールオレンジ等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。第4級ホスホニウムイオンを含むインターカレーターの好ましい例としては、テトラフェニルホスホニウムイオン、シンナミルトリフェニルホスホニウムイオン及びブチルトリフェニルホスホニウムイオン等の塩(対の陰イオンは、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲンイオン)等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。 イオン選択性電極自体は周知であり、用いるイオン性インターカレーターと選択的に感応するものであれば特に限定されないが、イオン感応膜を持つものが好ましい。イオン感応膜は、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、シリコーンゴム等のポリマーから成る膜中に、目的イオンと選択的に錯体を形成するイオノフォアや必要に応じて可塑剤を配合したものが広く用いられている。イオン選択性電極のイオン感応膜に配合するイオノフォアとしては、イオン性インターカレーターがエチジウム塩のような、上記した陽イオン性インターカレーターの場合には、脂溶性のホウ酸塩(テトラフェニルホウ酸塩、テトラキス(4-クロロフェニル)ホウ酸塩、テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸塩、テトラキス[3,5-ビス(2-メトキシヘキサフルオロ-2-プロピル)フェニル] ホウ酸塩等)が挙げられるがこれらに限定されるものではない。 本発明の方法では、上記イオン感応性電極を用いて核酸増幅反応溶液の電位をリアルタイムに測定しながら、上記インターカレーターの存在下で核酸増幅を行う。ここで、「イオン感応性電極を用いて核酸増幅反応溶液の電位をリアルタイムに測定」することは、上記したイオン感応性電極と、参照電極とを核酸増幅反応溶液中に浸漬し、これらの電極の間の電位差を電位差計で連続的に測定することにより実施することができる。 本発明の方法において行う核酸増幅法は、二本鎖核酸が増幅される方法であれば、いずれの方法であってもよく、核酸は、上記イオン性インターカレーターがインターカレートできるならばDNAでもRNAでもよい。反応溶液中のインターカレーターの濃度は、高すぎても低すぎても鋳型核酸の定量が困難となるが、適切な濃度は、インターカレーターと二本鎖核酸との親和性や、増幅条件等に応じて適宜選択可能であり、ルーチンな実験により容易に選択することができる。例えばエチジウム塩をインターカレーターとして用いる場合、増幅反応開始時の反応溶液中のエチジウム塩の濃度は、通常、10-6M〜10-3M程度である。 二本鎖核酸が増幅される核酸増幅法自体は、例えば、PCR法、RCA法、PG-RCA法等、種々の方法が周知であり、これらのいずれをも採用することができる。これらの核酸増幅法のうち、PCRのように反応温度を変化させる必要がない、上記したRCA法(非特許文献1)や、制限酵素の存在下でRCAを行うPG-RCA法(非特許文献2)が好ましい。これらの核酸増幅法を行うためのキットや装置も市販されているので、それらを用いて容易に実施することができる。なお、PCRの場合、検出すべき核酸(ターゲット核酸)は、通常、鋳型核酸である。RCAやPG-RCAの場合は、鋳型核酸は環状DNAであるが、環状DNAの一部領域に、ターゲットDNA(RCAやPG-RCAではプライマーとして機能)と相補的な塩基配列を持つ、所定濃度の環状DNAを鋳型核酸として用いることにより、ターゲットDNAを検出することができる。あるいは、DNAリガーゼを用いる周知の方法によりターゲットDNAを環状化する(環状化DNAの一部として被検核酸が組み込まれる)ことも可能であり、この場合には、環状化されたターゲットDNAが検出される。なお、RCAやPG-RCAにおける、プライマーとして機能するターゲットDNAのサイズは、通常、10〜50塩基、好ましくは14〜30塩基、さらに好ましくは18〜30塩基程度である。 核酸の増幅が起きて二本鎖核酸が増幅すると、増幅反応溶液中に存在するイオン性インターカレーターは選択的に二本鎖核酸とインターカレートするので、反応溶液中の遊離のイオン性インターカレーター濃度が減少する。このため、上記イオン選択性電極を用いて測定される反応溶液の電位が変化する。一方、反応溶液中にターゲット核酸(鋳型核酸又はプライマー)が存在しない場合には、二本鎖核酸が増幅しないので、反応溶液の電位は変化しない。増幅核酸の濃度は、初期のターゲット核酸の濃度に依存するので、上記電位をリアルタイムに測定することにより、ターゲット核酸の初期濃度に依存した電位の変化が観察される。種々の既知量のターゲット核酸を含む標準試料についての測定結果に基づき検量線を作成しておけば、未知の試料中のターゲット核酸を定量することができる。なお、ターゲット核酸の定量は、必然的にターゲット核酸の検出を伴うので、本発明における「検出」は、定量をも包含するものである。 本発明の方法により二本鎖増幅核酸を検出することにより、ターゲットDNA(PCRの場合には鋳型核酸、RCAやPG-RCAの場合はプライマーとして機能するターゲットDNA又はターゲットDNAを環状化した鋳型核酸)を検出することができる。 以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。1. 小型イオン選択性電極(ISE)の作製 内径1.0 mm、外径1.5 mmのシリコンチューブを用意した。それを約3 cmに切った。さらに、チューブの先端に膜溶液をつけ、乾燥させた。膜は、厚みをもたせるために2度漬けした。膜溶液は、テトラキス(4-クロロフェニル)ホウ酸カリウム(商品名KTpClPB、Fluka社製)、シラノール末端ポリメチルシロキサン(商品名Siloprene K1000、Sigma Aldrich社製)、及びSiloprene K1000(商品名)用架橋剤(商品名Siloprene crosslinking agent K-11 Sigma Aldrich社製)を各14 mg、302.4 mg、33.6 mg量りとり、これらを10 mlのガラススクリュー管中で無水THF(1 ml)に完全に均一に溶解したものであった。膜を乾燥させた後、チューブ内に内部溶液として飽和KClを注射針により入れた。さらに、シリコンキャップの中央にシリンジで穴を開け、塩化銀化した銀線を差し込んだ。銀線をチューブに入れ、上端をボンドで閉じた。密封性を高めるために、シリコンキャップ周辺をパラフィルム(商品名)で巻いた。最後にISEを、エチジウムブロマイド(10−5 M)を含むPG-RCAバッファー(10 mM Tris-HCl buffer(pH 7.0),10 mM NaCl,10 mM MgCl2)に半日以上浸し、コンディショニングを行った。PG-RCAバッファーに最終濃度10-3M〜10-7Mのエチジウムブロマイドを添加した標準溶液を作製し、参照電極を用いて各標準溶液の電位を測定することにより、作製したISEがエチジウムブロマイド感応性電極として機能することを確認した。2. PG-RCAにおけるリアルタイム電位測定 用いた環状化DNA(73塩基、ニッポンジーン社製)及びターゲットDNA(14塩基、ジーンデザイン社製)の塩基配列は次のとおりである。 環状化DNA 5'-phos- GTG GTT GTC TTC TCC TCA GCT CTA TCG GAT TTG TAT CTC TCC TCA GCC TAT CGG ATT TGT ATC TCT AAG CAG T-3'(配列番号1)ターゲットDNA (5'-CAA CCA CAC TGC TT-3'(配列番号2) ターゲットDNAを、10pM、100pM又は1nMの最終濃度で含むPG-RCA反応溶液を調製した。対照として、ターゲットDNAを含まない溶液も調製した。なお、用いた試薬や酵素は全て市販品である。各反応溶液の組成を下記表1〜表4に示す。 上記したISE電極と、参照電極を反応溶液に浸漬し、各電極を電位差計に接続して、増幅反応中、反応開始時から反応開始後150分までリアルタイムに反応溶液の電位(各電極間の電位差)を測定した。結果を図1に示す。ターゲットDNAの初期濃度に依存して、測定された電位が異なっていることがわかる。ターゲットDNAを含む場合の測定値から対照の測定値を引いた差分の経時変化を図2に示す。図2に示す通り、ターゲットDNAの初期濃度が大きいほど、測定された電位差が小さくなっており、本発明の方法によりターゲットDNAの定量が可能であることがわかった。 二本鎖核酸にインターカレートするイオン性インターカレーターの存在下において、鋳型核酸を増幅させると共に、該イオン性インターカレーターに感応性を持つイオン選択性電極を用いて核酸増幅反応溶液の電位をリアルタイムに測定することを含む、二本鎖増幅核酸の検出方法。 前記イオン性インターカレーターが、陽イオンである請求項1記載の方法。 前記陽イオンがアンモニウムイオン又はホスホニウムイオンである請求項2記載の方法。 前記イオン性インターカレーターがエチジウムブロマイドである請求項1記載の方法。 鋳型核酸の増幅をRCA法により行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 前記RCA法がPG-RCA法である請求項5記載の方法。 【課題】公知のリアルタイム検出方法よりも簡便な方法により核酸のリアルタイム検出が可能となる、新規な二本鎖増幅核酸の検出方法を提供すること。【解決手段】二本鎖増幅核酸の検出方法は、二本鎖核酸にインターカレートするイオン性インターカレーターの存在下において、鋳型核酸を増幅させると共に、該イオン性インターカレーターに感応性を持つイオン選択性電極を用いて核酸増幅反応溶液の電位をリアルタイムに測定することを含む。【選択図】図2配列表


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