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タイトル:公開特許公報(A)_炭酸飲料の脱気方法および炭酸飲料用脱気装置
出願番号:2014040867
年次:2015
IPC分類:G01N 1/10


特許情報キャッシュ

柿沼 秀男 JP 2015166692 公開特許公報(A) 20150924 2014040867 20140303 炭酸飲料の脱気方法および炭酸飲料用脱気装置 アサヒビール株式会社 311007202 森 哲也 100066980 田中 秀▲てつ▼ 100103850 廣瀬 一 100105854 柿沼 秀男 G01N 1/10 20060101AFI20150828BHJP JPG01N1/10 J 4 1 OL 12 2G052 2G052AA06 2G052AD07 2G052AD27 2G052AD46 2G052FD00 本発明は、炭酸飲料の化学分析を行う前処理として、炭酸飲料の試料中の炭酸ガスを脱気する方法および炭酸飲料用脱気装置に関する。 例えば工場で生産されるサイダー等の炭酸飲料の品質管理のために、炭酸飲料の化学分析(例えば酸度測定等)を行うに際し、精度の高い分析を行うために、前処理として炭酸飲料中の炭酸ガスの除去が必要である。従来は、炭酸飲料の試料に対して吸引(減圧)法等の脱気方法により試料中の炭酸ガスを除去している。 吸引(減圧)法の具体例としては、図4に示すように、枝付きフラスコ110を脱気処理用容器とし、このフラスコ110に所定量の試料Sを採取する(同図(a))。そして、フラスコ110の開口部をキャピラリ付きゴム栓111で蓋をし(同図(b))、次いで、不図示のアスピレータに接続されたチューブ112をフラスコ110の枝部113に接続し、フラスコ110を温浴(H)しつつフラスコ内を減圧する(同図(c))。これにより、フラスコ内が減圧されるので、試料S中から炭酸ガスの気泡が発生し炭酸ガスが除去される。次いで、炭酸ガスが除去された試料Sをフラスコ110からビーカ等の測定容器104に移し替えて必要な化学分析(酸度測定等)を行う(同図(d))。 また、脱気方法の他の例として、例えば特許文献1には、二つの脱気処理用容器を用い、第一の脱気処理用容器で炭酸ガスが溶解している炭酸飲料を加圧状態においてフィルタを通過させ、次いで、この液体と大気との接触面積を増大させた第二の脱気処理用容器にて飲料中の脱気を促進させる、という炭酸ガスの除去方法が開示されている。特開平08−173136号公報 しかしながら、この種の品質管理のための化学分析は、同一または異なる多数の試料に対して同時並行して繰返し行うものなので、上記吸引(減圧)法の例であると、減圧脱気を一度に多数の試料に対して同時並行して行うと、個々の試料の減圧強度が互いに異なってしまい、炭酸ガスを平均的に且つ確実に除去できないという問題がある。また、炭酸ガスを確実に除去しようとすると脱気処理に多くの時間を要することになる。また、測定時にフラスコ等の脱気処理用容器からビーカ等の測定容器に試料を移し替える手間を要する。さらに、減圧脱気を行うための機材として、キャピラリ、枝付きフラスコ等の破損し易いガラス容器を使用するため、作業中の破損により思いがけず負傷するおそれもある。 また、特許文献1の技術においても、脱気処理用容器から測定容器に試料を移し替える手間を要するし、二つの脱気処理用容器を用いるので、一度に多数の試料に対して脱気処理を同時並行的に行うことが困難であり、特に第一の脱気処理用容器等を洗浄後でなければ、他の試料を連続的に脱気することができないため、作業効率が悪いという問題がある。 そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、同一または異なる多数の試料に対して同時並行して酸度測定等の化学分析を行う場合であっても、炭酸飲料の試料中の炭酸ガスを容易且つ短時間に除去し得る炭酸飲料の脱気方法および炭酸飲料用脱気装置を提供することを目的とする。 上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る炭酸飲料の脱気方法は、炭酸飲料の化学分析を行う前処理として、前記炭酸飲料の試料中の炭酸ガスを脱気する方法であって、前記試料を大気解放状態の測定容器に入れ、該測定容器内の試料にエアバブリングを行うと同時にスターラで撹拌して試料中の炭酸ガスを大気中に放出させることを特徴とする。 また、本発明の一態様に係る炭酸飲料用脱気装置は、炭酸飲料の化学分析を行う前処理工程に用いられ、炭酸飲料の試料中の炭酸ガスを脱気する炭酸飲料用脱気装置であって、前記試料を大気解放状態で収容する測定容器と、前記測定容器内の試料にエアバブリングを行うエアバブリング装置と、前記測定容器内の試料を撹拌するスターラとを備え、前記エアバブリング装置でのエアバブリングと前記スターラでの撹拌とを同時に行って前記測定容器内の試料中の炭酸ガスを大気中に放出させることを特徴とする。 本発明によれば、試料を大気解放状態の測定容器に入れ、この測定容器内の試料にエアバブリングを行うと同時にスターラで撹拌して試料中の炭酸ガスを大気中に放出させるので、一度に多数の脱気処理を同時並行して行った場合であっても、個々の試料のスターラの撹拌制御およびエアバブリングによる供給エアの流量制御が、減圧脱気での減圧強度制御に比べて極めて容易である。また、エアバブリングと同時にスターラ撹拌を併用して炭酸飲料の試料中の炭酸ガスを大気中に放出させるので、比較的短時間で確実に試料中の炭酸ガスを脱気することができる。さらに、試料を測定容器に入れた状態のままで脱気処理を行うので、化学分析時に試料の移し替えも不要なので、効率良く後工程の化学分析を行うことができる。 ここで、本発明の一態様に係る炭酸飲料の脱気方法において、前記エアバブリングに用いるエア供給配管はフッ素樹脂製であってその先端開口部が前記ビーカ内壁面に沿って且つ底面から5mm以内の位置に配置されていることは好ましい。 このような構成であれば、エア供給配管はフッ素樹脂製なので、炭酸飲料の試料に濡れないため、同一または異なる多数の試料の移し替えを行う際の清掃が容易であり、また、エア供給配管の先端開口部がビーカ内壁面に沿って且つ底面から5mm以内の位置に配置されているので、ビーカ内壁面に沿って底面からバブリングを行うことにより、スターラの撹拌によってビーカの周方向に沿って旋回する渦流との協働効果が生じ、より効率良く試料中の炭酸ガスを大気中に放出させることができる。 また、本発明の一態様に係る炭酸飲料の脱気方法において、前記測定容器はプラスチック製のビーカであり、前記エアバブリングのエアを800ml/min以上で供給するとともに前記スターラでの撹拌速度を100rpm以上として、前記エアバブリングおよび前記スターラでの撹拌を少なくとも10分間行うことは好ましい。 このような構成であれば、上記吸引(減圧)法の例のように、減圧脱気を行うための機材としてガラス容器(キャピラリ、枝付きフラスコ等)を使用するものであると作業中に破損のおそれがあるのに対し、測定容器としてプラスチック製のビーカを用いるので、ガラス容器のように破損するおそれもない。そして、前記エアバブリングのエアを800ml/min以上で供給するとともに前記スターラでの撹拌速度を100rpm以上として、前記エアバブリングおよび前記スターラでの撹拌を少なくとも10分間行うので、炭酸飲料の試料中の炭酸ガスを容易且つ短時間に除去する上で好適である。 上述のように、本発明によれば、同一または異なる多数の試料に対して同時並行して化学分析を行う場合であっても、炭酸飲料の試料中の炭酸ガスを容易且つ短時間に除去することができる。本発明の一態様に係る炭酸飲料の脱気方法を用いる炭酸飲料用脱気装置の一実施形態を説明する模式的斜視図である。本発明に係る炭酸飲料の脱気方法を説明する模式図((a)〜(d))である。本発明脱気条件を設定するための、エア供給量と酸度測定の結果との関係を示すグラフである。吸引(減圧)法の一例を説明する模式図((a)〜(d))である。 以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。 図1に示すように、この炭酸飲料用脱気装置10は、複数(同図の例では3つ)の脱気部20を有し、常温常圧雰囲気下において、同一または異なる多数の試料S中の炭酸ガスを各脱気部20で同時並行して大気中に放出させるものである。なお、各脱気部20の構成は、試料Sに応じて個別制御(エア流量、撹拌速度)を行う以外は装置構成が同じである。 詳しくは、同図に示すように、各脱気部20は、試料Sを大気解放状態で収容する測定容器であるビーカ4と、このビーカ4内の試料Sにエアバブリングを行うエアバブリング装置6と、ビーカ4内の試料Sを撹拌するスターラ1とを備えている。スターラ1は、スターラ本体2および撹拌子3を有して構成される。そして、この例では、3つの脱気部20は、支持筐体5によって区画されて所定間隔で整列されている。 支持筐体5は、ステンレス製の線材で形成された枠体である。支持筐体5の下部は、スターラ本体2を囲むととともに、隣り合うビーカ4の間を区画するように形成された収容枠5aとなっている。収容枠5aの後ろ側且つ左右両側には、支柱5bが立設されている。左右の支柱5bは、上下に二段の支持腕5c、5dをそれぞれ有し、配管支持棒6aは、ステンレス製の線材で形成され、二段の支持腕5c、5dそれぞれに架け渡し可能に設けられている。上段の支持腕5dおよび下段の支持腕5cには、後述するエア供給配管8の主管路8aを水平に支持するように配管支持棒6aの両端部が所定の高さで架け渡される。 ビーカ4は、上記支持筐体5の収容枠5aで区画された範囲内に位置決めされるとともにスターラ本体2上に載置される。本実施形態のビーカ4はプラスチック製である。ビーカ4内の底部に上記撹拌子3が入れられる。撹拌子3はフッ素樹脂で被覆した鉄製の棒状体あり、スターラ本体2には、回転速度を調整可能なマグネットが内蔵されている。これにより、スターラ1は、スターラ本体2のマグネットの回転に応じてビーカ4底部の撹拌子3を回転させ、ビーカ4内の試料Sを撹拌可能になっている。なお、スターラ1での攪拌速度は撹拌子3の原形を目視で確認できる速度程度(例えば100rpm以上)でよいが、本実施形態では、スターラでの撹拌速度を400rpm以上として設定した。 エアバブリング装置6は、支持筐体5の外部に設けたエアポンプ7と、これに接続されたエア供給配管8とを備えている。エア供給配管8は、エアポンプ7のエア吐出口に接続された径大のチューブからなる接続管路8dと、この接続管路8dに接続されるとともに上記配管支持棒6aの中央部に配管支持棒6aに沿って装着された主管路8aと、主管路8aから各脱気部20に対して分岐された細径の分岐管路8bとを有する。この例では、接続管路8dは主管路8aの中央に接続され、主管路8aは左右に水平に延設されている。 各分岐管路8bはフッ素樹脂製である。各分岐管路8bは、流量制御バルブ9を介して主管路8aに接続され、エアポンプ7から各分岐管路8bへのエア流量は各流量制御バルブ9のバルブ開度を調整することにより各脱気部20を個別に制御可能とされている。本実施形態の例では、エア供給配管8はエアバブリング用のエアを800ml/min以上の流量で供給する。なお、本実施形態の例では、分岐管路8bは、主管路8a側の基端部管路8eと、基端部管路8eの先端に接続されて基端部管路8eよりも更に細径の先端部管路8fとから構成されている。 脱気時には、各分岐管路8bは、その先端開口部8cがビーカ内壁面に沿ってビーカ4の底面から5mm以内の位置に配置される。本実施形態においては、支持筐体5の支柱5bに設けられた二段の支持腕5c、5dの高さによって各分岐管路8bの先端開口部8cのビーカ4内での位置が所望の位置に規制されるようになっている。つまり、下段の支持腕5cに配管支持棒6aの両端部を架け渡したときには、各分岐管路8bは、その先端開口部8cがビーカ内壁面に沿ってビーカ4の底面から5mm以内となる所定の脱気位置に配置される。これに対し、上段の支持腕5dに配管支持棒6aの両端部を架け渡したときには、各分岐管路8bは、その先端開口部8cがビーカ4の上端部より上方に離隔した作業位置に位置するようになっている。 そして、このエアバブリング装置6は、ビーカ4内の試料Sに対して、上記スターラ1での撹拌と同時にエアバブリングを行う。つまり、エアバブリング装置6は、エアポンプ7からエア供給配管8を介して各脱気部20のビーカ4内にエアを供給することによって試料S中に気泡を発生させる。 これにより、ビーカ4下部に供給された気泡の上昇力や破裂によりビーカ4内の試料Sに振動を与えるとともに上記スターラ1での撹拌との協働により試料Sに対する撹拌がより効果的に生じる上、エアバブリングによる空気中の窒素が試料Sに広い面積で接触することにより、ヘンリーの法則から自明なように、炭酸ガスを大気中に効率良く放出させることができる。本実施形態の例では、エアバブリング装置6でのエアバブリングおよびスターラ1での撹拌を少なくとも10分間行うこととしている。 ここで、エアバブリングのエアを800ml/min以上で供給するとともにスターラ1での撹拌速度を100rpm以上とし、エアバブリングおよびスターラでの撹拌を10分間行うという脱気条件を設定した根拠について説明する。 脱気条件の設定に際しては、まず、エアバブリングのエアを800ml/minに仮設定した。そして、これを変更しないでスターラ1での撹拌時間と撹拌強度を変更した。最初の試験では、3つの試料(サンプル)を用意して、撹拌時間を5、7.5、10分間とし、また、撹拌強度は、スターラ本体2の強度調整目盛りに基づき、強度の弱い順から目盛り1、3、5として各サンプルに対して脱気を行い、その後、酸度測定を行った。なお、撹拌強度は、撹拌子3の回転数が目盛り1では200rpm、目盛り3では300rpm、目盛り5では400rpmである。 酸度測定の結果を表1に示す。同表において、測定値は、単位体積あたりのクエン酸の質量(単位:g/100ml)である(以下、同じ)。なお、上記吸引(減圧)法(以下、これを「従来法」ともいう)を適用したときの酸度測定の結果の平均値(表3に示す、0.08478(g/100ml))を判断の目安とした。 表1の平均値を見ると、判断の目安(従来法での中心値:0.08478(g/100ml))と比較して、撹拌時間が7.5分間以下であると、いずれのサンプルにおいても判断の目安よりも酸度が高く、撹拌時間が10分間であると、判断の目安と同等以上の結果が得られていることがわかる。この結果を鑑み、2つの試料(サンプル)を用意して、撹拌時間を10分間、撹拌強度は目盛り5とし、エアバブリングのエア供給量のみを480、700、800、1300ml/minにそれぞれ変えて各サンプルに対して脱気を行い、その後、酸度測定を行った。酸度測定の結果を表2および図3に示す。 表2および図3を見ると、上記判断の目安(0.08478(g/100ml))と比較して、エアバブリングのエア供給量が800ml/min以上であると、判断の目安と同等以上の結果が得られていることがわかる。以上より、「エアバブリングのエアを800ml/min以上で供給するとともにスターラ1での撹拌強度を目盛り5とし、エアバブリングおよびスターラでの撹拌を10分間行うという脱気条件を設定した。なお、目盛り5における撹拌子3の回転速度は400rpm(以上)である(以下、「本発明脱気条件」による脱気方法を「新規法」ともいう)。 この本発明脱気条件による新規法の信頼性を確認すべく、3つの試験を更に行った。第一の試験は、6つの試料(サンプル)を用意して、本発明脱気条件を適用した新規法の酸度測定の結果と上記「従来法」の結果とを比較した。酸度測定の結果を表3に、表3の測定結果に基づくF検定(2標本を使った分散の検定:片側5%)の結果を表4に示す。 表3に示すように、本発明脱気条件を適用した新規法の結果は、「従来法」の結果に対して標準偏差の値が小さく、表4に示すF検定(片側5%)の結果からは相互に有意差がない。よって、本発明脱気条件であれば、「従来法」と同等以上の信頼性をもって安定した酸度測定が行えることがわかる。 第二の試験は、6つの試料(サンプル)を用意して、異なる日(6日間)で上記第一の試験同様の試験を行った。酸度測定の結果を表5に、表5の測定結果に基づくt検定(等分散を仮定した2標本による検定:両側5%)の結果を表6に示す。 表5に示すように、本発明脱気条件を適用した新規法の結果は、「従来法」の結果に対して標準偏差の値が小さく、表6に示すt検定(両側5%)の結果からは相互に有意差がない。よって、本発明脱気条件であれば、「従来法」と同等以上の信頼性をもって安定した酸度測定が行えることがわかる。 次に、第三の試験として、上述した試料(サンプル)よりも酸度が高い炭酸飲料(中濃度、高濃度)の試料を5つ用意し、上記第一の試験同様の試験を行った。酸度測定の結果を表7に、表7の測定結果に基づくt検定(等分散を仮定した2標本による検定:両側5%)の結果を表8に示す。 表3,5に示すように、本発明脱気条件を適用した新規法の結果は、「従来法」の結果に対して標準偏差の値が小さく、表8に示すt検定(両側5%)の結果からは相互に有意差がない。よって、以上の各試験に基づく検討結果から判断して、本発明脱気条件であれば、「従来法」と同等以上の信頼性をもって安定した酸度測定が行えることがわかる。 次に、上記炭酸飲料用脱気装置10を用いた炭酸飲料の脱気方法およびその作用効果について説明する。上記炭酸飲料用脱気装置10を用いた炭酸飲料の脱気方法は、炭酸飲料の酸度測定の前処理として、炭酸飲料の試料中から炭酸ガスを脱気するものである。 この前処理に際しては、まず、試料中の炭酸ガスを予め粗抜きしておく。なお、本実施形態では、試料をフラスコ等の容器に入れ、それを人間の手作業で振ることで試料中の炭酸ガスを予め粗抜きした。 次いで、炭酸ガスを粗抜きした試料から、ホールピペット、メスシリンダー等の計量器で所定量を量り取り、図2(a)に示すように、その所定量の試料を上記ビーカ4に移し替えるとともに、ビーカ4内に撹拌子3を入れる。所定量は、タイトレーターの仕様や各内容成分に応じて最適量を採取する。 次いで、同図(b)に示すように、大気解放状態下にて、スターラ本体2上に、所定量の試料Sを採取したビーカ4をセットする。セット位置は支持筐体5の収容枠5a内に位置決めされる。なお、試料Sへのコンタミが問題となったり、試料Sの飛散が見られたりする場合は、必要に応じてビーカ4に蓋(通気を確保した状態のもの)をしてもよい。なお、この作業時には、上段の支持腕5dに配管支持棒6aを架け渡した状態とされており、これにより、セット位置へビーカ4をセットする作業性がよい。 次いで、同図(b)に示すように、エア供給配管8の分岐管路8bを各ビーカ4に挿入する。その際、下段の支持腕5cに配管支持棒6aを架け渡すことで、分岐管路8bの先端開口部8cをビーカ内壁面に沿って且つ底面から5mm以内の位置に配置する。本実施形態においては、支持筐体5の支柱5bに設けられた二段の支持腕5c、5dの位置によって各分岐管路8bの先端開口部8cの位置が所望の位置に規制されるので、ビーカ4内に分岐管路8bの先端開口部8cをセットする作業性についても優れている。 次いで、スターラ1およびエアポンプ7の電源を入れ、同図(c)に示すように、ビーカ4内の試料Sにエアバブリングを行うと同時にスターラ1(撹拌子3)で撹拌してその状態で所定時間稼動させ、これにより、試料S中の炭酸ガスを大気中に放出させた。このとき、分岐管路8bの先端開口部8cから気泡が出ていること、および撹拌子3が回転していることを確認する。本実施形態では、上述した本発明脱気条件を適用して脱気処理を行った。すなわち、各脱気部20に対し、流量制御バルブ9の開度をそれぞれ調整して、エアの流量を800ml/min以上として供給し、また、スターラでの撹拌速度を100rpm以上として、ビーカ4内の試料Sにエアバブリングと同時にスターラ1での撹拌を10分間行った。 10分間稼動後に上段の支持腕5dに配管支持棒6aを架け渡し、スターラ1およびエアポンプ7の電源を切り、ビーカ4から分岐管路8bを抜き出す。分岐管路8bに付着した試料Sを洗い流し、または必要に応じて紙製のウエス等でふき取る。これにより、炭酸飲料の酸度測定の前処理を終える。以降、同図(d)に示すように、前処理が終了した試料Sを収容したビーカ4をそのまま測定用試料として次工程の酸度測定を行う。 このように、上記炭酸飲料用脱気装置を用いた炭酸飲料の脱気方法によれば、試料Sを大気解放状態のビーカ4に入れ、このビーカ4内の試料Sにエアバブリングを行うと同時にスターラ1で撹拌して試料S中の炭酸ガスを大気中に放出させるので、一度に多数の脱気処理を同時並行して行った場合であっても、個々の試料Sのスターラ1の撹拌制御およびエアバブリングによる供給エアの流量制御が、減圧脱気での減圧強度制御に比べて極めて容易である。また、エアバブリングと同時にスターラ1の撹拌を併用して炭酸飲料の試料S中の炭酸ガスを大気中に放出させるので、比較的短時間で確実に試料中の炭酸ガスを脱気することができる。さらに、試料Sをビーカ4に入れた状態のままで脱気処理を行うので、次工程の化学分析時に試料Sの移し替えも不要であり、効率良く後工程の酸度測定を行うことができる。 特に、上記炭酸飲料用脱気装置を用いた炭酸飲料の脱気方法では、エアバブリングに用いるエア供給配管(各分岐管路8b)がフッ素樹脂製であってその先端開口部8cがビーカ内壁面に沿って且つ底面から5mm以内の位置に配置されているので、エア供給配管が炭酸飲料の試料Sに濡れない。そのため、同一または異なる多数の試料の移し替えを行う際の清掃が容易であり、また、エア供給配管の先端開口部8cがビーカ内壁面に沿って且つ底面から5mm以内の位置に配置されているので、ビーカ内壁面に沿って底面からバブリングを行うことにより、スターラ1の撹拌によってビーカ4の周方向に沿って旋回する渦流との協働効果が生じ、より効率良く試料中の炭酸ガスを大気中に放出させることができる。 また、上記炭酸飲料用脱気装置を用いた炭酸飲料の脱気方法によれば、ビーカ4がプラスチック製なので、減圧脱気を行うための機材としてガラス容器(キャピラリ、枝付きフラスコ等)を使用するものであると作業中に破損のおそれがあるのに対し、測定容器としてプラスチック製のビーカ4を用いるので、ガラス容器のように破損するおそれもない。 また、上記炭酸飲料用脱気装置を用いた炭酸飲料の脱気方法によれば、エアバブリングのエアを800ml/min以上で供給するとともにスターラでの撹拌速度を100rpm以上として、エアバブリングおよびスターラ1での撹拌を少なくとも10分間行うので、炭酸飲料の試料中の炭酸ガスを容易且つ短時間に除去する上で好適である。 なお、本発明に係る炭酸飲料の脱気方法および炭酸飲料用脱気装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。 例えば、上記実施形態では、脱気部20を3つ有する例で説明したが、これに限らず、脱気部は一または複数(例えば上記実施形態の構成を二列として6つ)有する構成とすることができる。脱気部20を複数有する構成とすれば、同一または異なる多数の試料に対して同時並行して化学分析を行う場合により好適である。 また、例えば上記実施形態では、測定容器としてプラスチック製のビーカ4を用いた例で説明したが、これに限定されず、種々の形状の容器を測定容器として使用できるし、材質についてもプラスチック製に限らずガラス製であってもよい。しかし、プラスチック製のビーカは、ガラス容器のように破損するおそれもなく、また、スターラ本体2上での安定性も良く、円筒形で開口部が広いので上記前処理の作業性にも優れているため、本発明における測定容器として好適である。 また、例えば上記実施形態では、エアポンプ7によってエアバブリングを行う例で説明したが、これに限らず、エアバブリングを行う装置として、例えばコンプレッサーを用いることもできる。しかし、安価且つ簡素な構成でエアバブリングを効率良く行う上では、上記実施形態のように、エアポンプ7を用いてエアバブリングを行うことが好ましい。また、供給するガスとして例えば窒素ガスを用いることもできるが、安価且つ取扱いも容易である空気を供給ガスとして用いることが好ましい。 また、例えば上記実施形態では、ビーカ4は支持筐体5の収容枠内に位置決めされる例を示したが、これに限らず、例えば支持筐体5を用いることなく炭酸飲料用脱気装置を構成しても、本発明を実施可能である。しかし、前処理の作業性をより良くする上では、上記実施形態のように、支持筐体5を用いる構成は好適である。 1 スターラ 2 スターラ本体 3 撹拌子 4 ビーカ(測定容器) 5 支持筐体 6 エアバブリング装置 7 エアポンプ 8 エア供給配管 9 流量制御バルブ 10 炭酸飲料用脱気装置 20 脱気部 S 試料(炭酸飲料) 炭酸飲料の化学分析を行う前処理として、前記炭酸飲料の試料中の炭酸ガスを脱気する方法であって、 前記試料を大気解放状態の測定容器に入れ、該測定容器内の試料にエアバブリングを行うと同時にスターラで撹拌して試料中の炭酸ガスを大気中に放出させることを特徴とする炭酸飲料の脱気方法。 前記エアバブリングに用いるエア供給配管はフッ素樹脂製であってその先端開口部が前記ビーカ内壁面に沿って且つ底面から5mm以内の位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の炭酸飲料の脱気方法。 前記測定容器はプラスチック製のビーカであり、前記エアバブリングのエアを800ml/min以上で供給するとともに前記スターラでの撹拌速度を100rpm以上として、前記エアバブリングおよび前記スターラでの撹拌を少なくとも10分間行うことを特徴とする請求項1または2に記載の炭酸飲料の脱気方法。 炭酸飲料の化学分析を行う前処理工程に用いられ、炭酸飲料の試料中の炭酸ガスを脱気する炭酸飲料用脱気装置であって、 前記試料を大気解放状態で収容する測定容器と、前記測定容器内の試料にエアバブリングを行うエアバブリング装置と、前記測定容器内の試料を撹拌するスターラとを備え、 前記エアバブリング装置でのエアバブリングと前記スターラでの撹拌とを同時に行って前記測定容器内の試料中の炭酸ガスを大気中に放出させることを特徴とする炭酸飲料用脱気装置。 【課題】同一または異なる多数の試料に対して同時並行して化学分析を行う場合であっても、炭酸飲料の試料中の炭酸ガスを容易且つ短時間に除去し得る炭酸飲料の脱気方法を提供する。【解決手段】炭酸飲料の試料Sを大気解放状態のビーカ4に入れ、ビーカ4内の試料Sにエア供給配管8でエアバブリングを行いつつスターラ1で撹拌して試料中の炭酸ガスを大気中に放出させる。【選択図】図1


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