生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_芳香族アシル化合物の製造方法
出願番号:2014036432
年次:2014
IPC分類:C07C 45/46,C07C 49/788,C07D 209/86,C07B 61/00


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佐伯 崇史 井上 奈緒子 菅野 英生 JP 2014208604 公開特許公報(A) 20141106 2014036432 20140227 芳香族アシル化合物の製造方法 田岡化学工業株式会社 000216243 佐伯 崇史 井上 奈緒子 菅野 英生 JP 2013063690 20130326 C07C 45/46 20060101AFI20141010BHJP C07C 49/788 20060101ALI20141010BHJP C07D 209/86 20060101ALI20141010BHJP C07B 61/00 20060101ALN20141010BHJP JPC07C45/46C07C49/788C07D209/86C07B61/00 300 3 OL 8 4C204 4H006 4H039 4C204CB25 4C204DB01 4C204EB01 4C204FB03 4C204GB15 4H006AA02 4H006AC44 4H006BA53 4H006BA64 4H006BA67 4H006BB18 4H006BB61 4H006BC11 4H006BD20 4H039CA62 4H039CL25本発明は、芳香族アシル化合物の製造方法として知られるフリーデルクラフツアシル化反応の改良に関する。ルイス酸存在下、芳香環を有する化合物とカルボン酸ハロゲン化物を反応させ芳香族アシル化合物を得る反応はフリーデルクラフツアシル化反応と呼ばれ様々な芳香族アシル化合物の製造法に応用されている。例えば、非特許文献1にはルイス酸として塩化アルミニウムを使用し、ビフェニルと塩化アセチルとを反応させ4−アセチルビフェニルを得る反応例が記載されている。このように、フリーデルクラフツアシル化反応で用いられるルイス酸としては塩化アルミニウムが典型的に使用されるが、塩化アルミニウムはその反応性が高く、カルボン酸ハロゲン化物や芳香環を有する化合物に不安定な置換基がある場合、これら置換基に対する副反応が起こり、目的の化合物を得ることが出来ない場合がある。一方、反応性の高い塩化アルミニウムを、比較的反応性が低い塩化亜鉛や三フッ化ホウ素等に変えこのような副反応を抑制する検討も種々試されているが、これら反応性の低いルイス酸を使用した場合、反応中に生成する何らかの副生物により触媒活性が低下し、その結果、反応が完結しなかったり、反応速度が大幅に低下する等といった問題が発生しうる場合があることが判明した。「クラム有機化学」<II>第3版 694−695頁本発明は、特に反応性の低いルイス酸を用いてフリーデルクラフツアシル化反応を実施した際の触媒活性の低下に伴う反応速度の低下等といった諸問題を解決する、新たなフリーデルクラフツアシル化反応の促進方法を提供することにある。本願発明者らはフリーデルクラフツアシル化反応を実施する際、液相中に気流を発生させながら反応させることにより上述のような問題が解決可能であることを見出した。具体的には以下の発明を含む。〔1〕ルイス酸存在下、芳香環を有する化合物とカルボン酸ハロゲン化物とを反応させる際、液相中に気流を発生させながら反応させることを特徴とする芳香族アシル化合物の製造方法。〔2〕液相中に不活性ガスを吹き込むことにより液相中に気流を発生させることを特徴とする〔1〕に記載の芳香族アシル化合物の製造方法。〔3〕反応系を減圧とすることにより液相中に気流を発生させることを特徴とする〔1〕記載の芳香族アシル化合物の製造方法。本発明によれば、従来公知のフリーデルクラフツアシル化反応を行う際、反応中に生成する何らかの副生物により触媒活性が低下し、その結果、反応が完結しなかったり、反応速度が大幅に低下する等といった問題が回避可能となるので、反応に使用するルイス酸の使用量削減が可能となる。また、反応性の低いルイス酸を本反応で使用可能となるので、従来、ルイス酸の反応性により副生物が生成し有利に本反応を適用できなかった不安定な置換基を有する化合物に対しても安価で簡便なフリーデルクラフツアシル化反応が適用可能となる。本発明で使用する芳香環を有する化合物及びカルボン酸ハロゲン化物は、一般的にフリーデルクラフツアシル化反応が適用可能な化合物であれば特に限定されない。フリーデルクラフツアシル化反応とは、例えば前述の非特許文献に記載される通り、カルボン酸ハロゲン化物がルイス酸の働きによりカルボカチオンとなり、このカルボカチオンが芳香環に求電子置換反応をする結果、芳香族アシル化合物が得られる反応のことを示す。以下にフリーデルクラフツアシル化反応の一般式を示す。(Sub1及びSub2は置換基を、Xはハロゲン原子を、nは0〜5の整数を表す。)本発明で使用する、フリーデルクラフツアシル化反応が適用可能な芳香環を有する化合物とは、フリーデルクラフツ反応をする部位が少なくとも1つ以上残っている芳香環又は複素環を有する化合物のことである。具体的には、ベンゼン、ナフタレン、フルオレンなどの炭化水素系芳香族化合物や、非ベンゼン系芳香族化合物であるピロール、チオフェン、インドール、フラン、カルバゾールなど複素環式化合物をも包含する拡張された芳香族化合物が例示される。これら芳香環を有する化合物は、芳香族化合物骨格に置換基を有していても良く、これら置換基の例として、アルキル基、ニトロ基、アルコキシ基、アセチル基、ハロゲン、ハロゲン含有基などが例示される。本発明で使用する、フリーデルクラフツアシル化反応が適用可能なカルボン酸ハロゲン化物とは一般的にカルボン酸の−OH部分をハロゲン元素に置換した化合物のことを示す。カルボン酸としては脂肪族カルボン酸でも芳香族カルボン酸でも良く、これらカルボン酸はアルキル基、ニトロ基、アルコキシ基、アセチル基、ハロゲン、ハロゲン含有基のような置換基を有していても良い。これらカルボン酸ハロゲン化物の使用量は特に限定されないが、通常、芳香環を有する化合物1モルに対し0.8〜5モル倍使用し、好ましくは1〜3モル倍使用する。本発明で使用されるルイス酸は一般的にフリーデルクラフツアシル化反応に使用されるルイス酸であれば特に限定されない。このようなルイス酸として例えば、塩化アルミニウム、塩化鉄(III)、臭化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化錫、三フッ化ほう素、三フッ化ほう素ジエチルエーテル錯体等が挙げられる。これらルイス酸触媒の中でも、本発明の効果が顕著に発揮される塩化亜鉛、三フッ化ほう素または三フッ化ほう素ジエチルエーテル錯体が好ましい。これらルイス酸の使用量は特に限定されないが、通常、芳香環を有する化合物1モルに対し0.1〜5モル倍使用し、好ましくは0.5〜3モル倍使用する。本発明は通常溶媒存在下に実施される。本発明で使用される溶媒は反応で使用するルイス酸やカルボン酸ハロゲン化物、芳香環を有する化合物と反応しないものであれば特に限定されないが、例えば1,1,2,2−テトラクロロエチレン、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類、ニトロメタン、ニトロベンゼンのようなニトロ基を有する炭化水素類や芳香族炭化水素類、ジクロロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、テトラフルオロベンゼン、トリフルオロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素類等が例示される。これら溶媒の使用量は特に限定されず、反応で使用するルイス酸やカルボン酸ハロゲン化物、芳香環を有する化合物の溶解度によって適宜選択される。本発明の特徴である「液相中に気流を発生させながら反応させる」とは、反応器の液相部分から気相部分へと気体の流れを発生させることの意味である。具体的には、液相中に不活性ガスを吹き込むことにより液相に気体が導入され、この気体が気相へと上昇する作用により気流を発生させる方法や、反応系を減圧とすることにより、液相中の溶媒等を揮発させ、その揮発する溶媒が気体となり液相から気相へと上昇する作用により気流を発生させる方法や、これらの方法を組み合わせて実施する方法等が例示される。この中でも、液相中に不活性ガスを吹き込む方法が簡便であることから好ましい。液相中に不活性ガスを吹き込む場合、使用される不活性ガスは特に限定されないが、例えばヘリウムやアルゴン等の希ガスや窒素が例示される。この不活性ガスの吹き込み量は通常限定されず、反応器の容量や、反応で使用するルイス酸やカルボン酸ハロゲン化物、芳香環を有する化合物の使用量により適宜調整されるが、例えば芳香環を有する化合物1gに対し、2mL/min以上吹き込めば本発明の効果が十分発現する。また、不活性ガスの吹き込み位置は液相上部より液相下部の方がより本発明の効果が発現するので好ましい。反応系を減圧とする場合その減圧度は特に限定されず反応で使用する溶媒やカルボン酸ハロゲン化物、芳香環を有する化合物に応じて適宜設定されるが、通常内圧を53.2〜80.0kPaとする。反応系を減圧とする場合、液相に気体導入管を設け、反応系を減圧としつつ、気体導入管から不活性ガスのような気体を吸引させ、液相に気流を発生させながら反応を行っても良い。液相中に気流を発生させながら反応させることにより、本発明の課題である、特に反応性の低いルイス酸を使用した場合、反応中に生成する何らかの副生物によりその触媒活性が低下し、その結果、反応が完結しなかったり、反応速度が大幅に低下する等といった問題が解決可能となるという事象に対し、その事象が発現すると考えられる理由は次の通りである。反応時に副生する、ルイス酸と相互作用することによりその触媒活性を低下、あるいは不活化させる物質、例えばハロゲン化水素のようなものを、液相中に気流を発生させることにより、反応系外へと除去し、その結果触媒活性の低下や不活化が発現しにくくなるといった理由が推定される。そのため、本発明はルイス酸存在下、芳香環を有する化合物とカルボン酸ハロゲン化物とを用いたフリーデルクラフツアシル化反応に対し一般的に適用可能であると考えられる。これら反応を実施する温度は反応で使用するルイス酸やカルボン酸ハロゲン化物、芳香環を有する化合物によって適宜選択されるが、通常0〜200℃、好ましくは30℃〜100℃で実施される。また、これら反応を実施する時間も同様に適宜調整され、その反応進行を例えば高速液体クロマトグラフィーにて分析し、原料の消失を確認するといった方法で決定することが可能である。こうして得られた芳香族アシル化合物は水洗・蒸留・晶析・カラムクロマトグラフィー等の定法を適用することにより容易に芳香族アシル化合物を取り出し・精製することが可能である。以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本実施例及び比較例における各測定値は、次の方法、測定条件に従った。〔1〕分析条件<高速液体クロマトグラフィー>分析装置:島津製作所(株)製LC−2010C測定波長:240nm展開液:水/アセトニトリル逆相カラム:(株)住化分析センター社製 SUMIPAX ODS A−212(5μm、6.0mmφ×150mm))カラム温度:40℃流量1.0mL/min〔2〕反応率本実施例及び比較例において記載される反応率は特に断りのない限り、反応生成物を上述の条件にて高速液体クロマトグラフによる分析を行い、得られた芳香族アシル化合物の面積百分率を反応率と仮定した。<実施例1>攪拌器、冷却器、温度計及び気体吹き込み管を備えた500mlのガラス製反応容器に、カルボン酸ハロゲン化物としてベンゾイルクロライド34.6g(0.25モル)、ルイス酸として三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体64.0g(0.45モル)、溶媒としてオルトジクロロベンゼン100gを投入した。投入後、攪拌を開始し、芳香環を有する化合物としてn−エチルカルバゾール40.0g(0.21モル)をあらかじめオルトジクロロベンゼン200gに溶解させた溶液を10分かけて滴下した。気体吹き込み管から窒素を1分間に170mLの流量で液相に流通させながら75℃まで昇温し、75〜80℃で表1に示す時間攪拌を継続した。攪拌後の反応率を表1に示す。<実施例2、比較例1>実施例2では窒素流量を430mL/minに、比較例1では窒素を液相に流通させない以外は実施例1と同様に実験を行った。結果を表1に示す。<実施例3>気体吹き込み管の上部を密封とし、反応時の内圧を66.7kPaとした以外は実施例1と同様に実験を行った。結果を表1に示す。<実施例4>ルイス酸触媒を三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体から塩化亜鉛に変更し、その使用量を14.0g(0.10モル)とする以外は実施例2と同様に反応を行った。結果を表1に示す。<実施例5>ルイス酸触媒を三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体から塩化亜鉛に変更し、その使用量を14.0g(0.10モル)とする以外は実施例3と同様に反応を行った。結果を表1に示す。<比較例2>反応時の内圧を大気圧とする以外は実施例5と同様に反応を行った。結果を表1に示す。表1に示す通り、液相中に気流を発生させることにより、ルイス酸として三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を用いた場合でも、塩化亜鉛を用いた場合でもその反応速度に差が生じることが判明した。<実施例6>攪拌器、冷却器、温度計及び気体吹き込み管を備えた100mlのガラス製反応容器に、カルボン酸ハロゲン化物としてベンゾイルクロライド2.3g(0.016モル)、ルイス酸として三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体4.9g(0.035モル)、溶媒としてニトロベンゼン5.0gを投入した。投入後、攪拌を開始し、芳香環を有する化合物としてナフタレン2.0g(0.016モル)をあらかじめニトロベンゼン10gに溶解させた溶液を5分かけて滴下した。気体吹き込み管から窒素を1分間に170mLの流量で液相に流通させながら75℃まで昇温し、75〜80℃で表2に示す時間攪拌を継続した。攪拌後の反応率を表2に示す。<比較例3>窒素を液相に流通させない以外は実施例6と同様に実験を実施した。結果を表2に示す。表2に示す通り、液相中に気流を発生させることにより、芳香環を有する化合物としてナフタレンを用いても同様にその反応速度に差が生じることが判明した。<実施例7>攪拌器、冷却器、温度計及び気体吹き込み管を備えた100mlのガラス製反応容器に、芳香環を有する化合物としてn−エチル−3−ニトロカルバゾール10.0g(0.042モル)、溶媒としてニトロベンゼン80gを投入後、攪拌を開始し、あらかじめ溶解させた後、カルボン酸ハロゲン化物として4−メトキシベンゾイルクロライド7.45g(0.044モル)、ルイス酸として三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体12.40g(0.087モル)を投入した。気体吹き込み管から窒素を1分間に60mLの流量で液相に流通させながら75℃まで昇温し、75〜80℃で表3に示す時間攪拌を継続した。攪拌後の反応率を表3に示す。<比較例4>窒素を液相に流通させない以外は実施例7と同様に実験を行った。結果を表3に示す。ルイス酸存在下、芳香環を有する化合物とカルボン酸ハロゲン化物とを反応させる際、液相中に気流を発生させながら反応させることを特徴とする芳香族アシル化合物の製造方法。液相中に不活性ガスを吹き込むことにより液相中に気流を発生させることを特徴とする請求項1記載の芳香族アシル化合物の製造方法。反応系を減圧とすることにより液相中に気流を発生させることを特徴とする請求項1記載の芳香族アシル化合物の製造方法。 【課題】芳香族アシル化合物の製造方法として著名なフリーデルクラフツ反応の改良、とりわけ触媒として使用するルイス酸の触媒活性の低下に着眼した改良法を提供する。【解決手段】フリーデルクラフツ反応を実施する際、液相中に気流を発生させながら反応させることにより触媒として使用するルイス酸の活性低下が抑制可能となる。液相中に気流を発生させるための具体的な方法としては、液相中に不活性ガスを吹き込む方法や、反応系を減圧とする方法が例示される。【選択図】なし


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