タイトル: | 公開特許公報(A)_光老化抑制剤 |
出願番号: | 2014031214 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 8/97,A61P 17/00,A61P 39/06,A61K 36/28,A61K 36/00,A61K 36/18,A61P 43/00,A61Q 17/04,A61Q 19/08 |
井沼 正美 石野 雅弘 林 悠里子 JP 2015155394 公開特許公報(A) 20150827 2014031214 20140221 光老化抑制剤 佐藤製薬株式会社 592142670 辻居 幸一 100092093 熊倉 禎男 100082005 箱田 篤 100084663 浅井 賢治 100093300 山崎 一夫 100119013 市川 さつき 100123777 藤代 昌彦 100183379 井沼 正美 石野 雅弘 林 悠里子 A61K 8/97 20060101AFI20150731BHJP A61P 17/00 20060101ALI20150731BHJP A61P 39/06 20060101ALI20150731BHJP A61K 36/28 20060101ALI20150731BHJP A61K 36/00 20060101ALI20150731BHJP A61K 36/18 20060101ALI20150731BHJP A61P 43/00 20060101ALI20150731BHJP A61Q 17/04 20060101ALI20150731BHJP A61Q 19/08 20060101ALI20150731BHJP JPA61K8/97A61P17/00A61P39/06A61K35/78 TA61K35/78 WA61K35/78 CA61P43/00 121A61Q17/04A61Q19/08A61P43/00 105 3 OL 11 4C083 4C088 4C083AA072 4C083AA082 4C083AA111 4C083AA112 4C083AA122 4C083AC012 4C083AC022 4C083AC072 4C083AC102 4C083AC122 4C083AC132 4C083AC182 4C083AC352 4C083AC442 4C083AC472 4C083AC482 4C083AD282 4C083AD432 4C083AD512 4C083AD642 4C083AD662 4C083CC04 4C083CC05 4C083CC06 4C083CC19 4C083DD23 4C083DD27 4C083DD30 4C083DD31 4C083EE11 4C083EE17 4C088AB26 4C088AB89 4C088AC03 4C088AC05 4C088BA08 4C088CA08 4C088MA07 4C088NA05 4C088NA14 4C088ZA89 4C088ZC21 4C088ZC41 4C088ZC75 本発明は、有効成分として、カミツレエキスおよびラン科植物エキスを含有する皮膚光老化抑制剤、皮膚内糖酸化抑制剤、光老化防止用皮膚外用剤に関する。 近年、老化の原因としてフリーラジカルや活性酸素がとりあげられ、生体成分の酸化による機能低下が大きな問題となっている。なかでも紫外線に常にさらされている皮膚は、このような酸化ストレスのダメージが最も大きな器官の一つであり、紫外線により発生した種々の活性酸素が、皮脂や脂質の過酸化、蛋白変性、酵素阻害等を引き起こし、皮膚の炎症などの原因となる。また、紫外線により真皮のヒアルロン酸やコラーゲンの産生が低下すると共に、コラーゲンの変性が生じ、肌の弾力やハリが低下し、シワ、タルミの原因になる。 かかる状況の中で、肌の弾力やハリ、艶の維持や皮膚の保湿機能の改善等を含む皮膚の老化防止・改善を目的として、皮膚のコラーゲン量を増加させる化粧料の開発が進められてきた。例えば、天然物由来の抽出物が、1型コラーゲン産生促進作用を有することが報告され(特許文献1〜2)、またエラスチンを分解し、たるみ、しわなどの皮膚の老化に関与するエラスターゼの阻害剤(特許文献3〜7)としての天然物由来の抽出物の利用、真皮細胞外マトリクスを構成するコラーゲン合成を刺激する作用を有する成分として、アスコルビン酸等を含有させたものなどが報告されている(特許文献5)。しかしながらその皮膚の老化防止効果は、未だ満足されるものではなかった。 さらに、表皮細胞が紫外線に照射されると各種のサイトカインを産生し、メラニン産生を増大させる。例えばエンドセリンや、チオレドキシンなどのサイトカインは紫外線照射により表皮細胞から産生されメラノサイトに働きかけてメラニン産生を促進させ光老化によるシミの原因になっている。これら紫外線が原因となる光老化により生じるシワ・シミを防ぐ方法の一つにフリーラジカルや活性酸素を除去する抗酸化剤を配合する方法が知られている。 元来、生体は活性酸素種を除去する自己防御機構としてSODなどの抗酸化機構を有しているものの、生体組織の防御能力を超えた活性酸素が生体組織の老化の原因となる。フリーラジカルを捕捉する能力を備える抗酸化剤は、ラジカル連鎖反応を抑制・停止させることができるので、このような抗酸化剤を配合した皮膚外用剤は、光酸化ストレスによる皮膚老化、例えば、シミ、シワ、タルミなどの予防・改善効果が期待できる。このため従来より、光老化によるシワ防止を目的として用いられるフリーラジカル消去剤としてアスコルビン酸またはその誘導体、トコフェロール、3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)等が用いられてきた。 しかし、皮膚の光老化防止又は抗酸化を目的として用いられるSODは不安定であり、製剤化が難しく、トコフェロールも効果が充分であるとは言えない。また、合成化合物であるBHT等は安全性に問題があり、配合量に制限があることから、化学合成品ではなく、安定でかつ副作用が少ないとともに、より効果の高い天然原料が望まれてきた。特開2007−186471号公報特開2007−302607号公報特開2006−104117号公報特開2006−104118号公報特開2004−075646号公報特開2004−262852号公報特開2004−339142号公報 本発明は、紫外線を受けることによって皮膚表皮細胞(ケラチノサイト)内に発現する老化遺伝子(p21Cip1)、および同細胞内たんぱく質で生じる糖酸化現象(指標:カルボキシメチルリジンの生成)に着目して評価した天然成分による有用な皮膚光老化抑制剤、皮膚内糖酸化抑制剤、光老化防止用皮膚外用剤を提供することを課題とする。 皮膚表皮細胞(ケラチノサイト)内では、老化につれて自然老化関連遺伝子(p16INK4a)の発現量が顕著に増加する。本発明者らは、この老化が進んだ成人皮膚表皮細胞に外的ストレスとなる紫外線(UVA)を照射すると、光老化に関連するとみられる老化遺伝子(p21Cip1)の発現量の増加が認められることを確認した。また、これと同時に、同皮膚表皮細胞内では、糖酸化たんぱく質(指標:カルボキシメチルリジン)の生成量が増加することについても確認した。この系を用いて様々な天然成分の光老化抑制効果を評価していたところ、それぞれ単独ではp21Cip1の発現抑制活性を示さなかったカミツレエキス、ラン科植物エキスであったが、ある偶然による事情でこれらの2種類を併用した評価系では、著しいp21Cip1の発現抑制効果が認められること、および糖酸化たんぱく質の生成がより強く抑制されることを知見し、本発明を完成した。 本発明は、以下の項を含む。[1]有効成分として、カミツレエキスおよびラン科植物エキスを含有する皮膚光老化抑制剤。[2]有効成分として、カミツレエキスおよびラン科植物エキスを含有する皮膚内糖酸化抑制剤。[3]有効成分として、カミツレエキスおよびラン科植物エキスを含有する光老化防止用皮膚外用剤。 本発明で使用するカミツレエキスとは、キク科シカギク属カミツレ Matricaria chamomilla L.(Compositae)からの抽出物であり、好ましくは花からの抽出物である。抽出に使用する溶媒は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、又はこれらから選択される任意の混合液を使用することができる。カミツレに上記抽出溶媒を加えて、カミツレエキスを得ることができる。溶媒を加えた後に、ろ過してもよい。例えば、カミツレに抽出溶媒を加え、ろ過して得たろ液に水を加えて混合し、再びろ過して、カミツレエキスを得ることができる。前記ろ液に水を加えて混合する工程の後、冷暗所に静置してからろ過してもよい。あるいは、カミツレに抽出溶媒を加えて浸漬した後、圧搾分離して得られる抽出液と、前記圧搾分離後の残渣に抽出溶媒を加え、同様の方法で浸漬、分離した後、溶媒を蒸発除去した軟エキスとを混合してろ過し、そのろ液に抽出溶媒を加えてろ過し、カミツレエキスを得ることもできる。カミツレは、前もって細切されていてもよく、乾燥されていてもよい。 ラン科植物エキスとは、ラン科カトレア属(Cattleya)、ブラッソカトレア属(Brassocattleya)、ブラッサボラ属植物(Brassavola)、ブラッソレリオカトレア属(Brassolaeliocattleya)、レリオカトレア属(Laeliocattleya)、レリオカトニア属(Laeliocatonia)、カトレイオプシス属(Cattleyopsis)、カトレイトニア属(Cattleytonia)、レリア(Laelia)属、デンドロビウム属植物(Dendrobium)等のラン科に属する植物又はこれらの交配種によりできた人工種からの抽出物であり、好ましくは葉及び茎からの抽出物である。 例えば、カトレア属植物としては、カトレア ビコロル(C.bicolor)、カトレア アクランディアエ(C.aclandiae)、カトレア アウランティアカ(C.aurantiaca)、カトレア ボーリンギアナ(C.bowringiana)、カトレアレオポルディー(C.leopoldii)、カトレア メンデリー(C.mendelii)、カトレア ポーフィログロッサ(C.porphyroglossa)、カトレア スキンネリ(C.skinneri)、カトレア ウオーケリアナ(C.walkeriana)、カトレア フォーブシー(C.forbesii)、カトレア ローレンセアナ(C.lawrenceana)、カトレアインテルメディア(C.intermedia)、カトレア ベルティナ(C.velutina)、カトレア ワーネリ(C.warneri)、カトレア エルドラド(C.eldorado)、カトレア モシアエ(C.mossiae)、カトレア ガスケリアナ(C.gaskelliana)、カトレア パーシヴァリアナ(C.percivalliana)、カトレア イヴァリアナ(C.ivaliana)、カトレア ルーデマニアナ(C.lueddemanniana)、カトレア ジェンマニー(C.jenmanii)、カトレア イアナ(C.eana)、カトレア トリアナエ(C.trianae)、カトレア チョコエンシス(C.chocoensis)、カトレア シュレーデラエ(C.schroederae)、カトレア ヴァルセヴィチー(C. warscewiczii)、カトレア ドーウィアナ(C.dowiana)、カトレア レックス(C.rex)、カトレア マクシマ(C.maxima)、カトレア オロル(C.olor)、カトレア ルテオラ(C.luteora)、カトレア ムーレアナ(C.mooreana)、カトレア ケリー(C.kerrii)、カトレア アラグアイエンシス(C.araguaiensis)、カトレアエロンガータ(C.elongata)、カトレア ビオラセア(C.violacea)、カトレア グラヌロサ(C.granulosa)、カトレア グッタタ(C.guttata)、カトレアイリコロル(C.iricolor)、カトレア ロディギシー(C.loddigesii)、カトレア シレリアナ(C.schilleriana)、カトレア ラビアタ(C.labiata)等が挙げられる。 レリア属植物としては、レリア アルビダ(L.albida)、レリア アンセプス(L.anceps)、レリア オータムナリス(L.autumnalis)、レリア カナリエンシス(L.canariensis)、レリア シンアバリア(L.cinnabarina)、レリア クリスパ(L.crispa)、レリア エサルクエアナ(L.esalqueana)、レリア フルフラセア(L.furfuracea)、レリア グランディス(L.grandis)、レリア ジョンゲアナ(L.jongheana)、レリア ロバタ(L.lobata)、レリア ロンギピア(L.longipea)、レリア ルンディー(L.lundii)、レリアペリーニー(L.perrinii)、レリア プミラ(L.pumila)、レリア プルプラタ(L.purpurata)、レリア レジナエ(L.reginae)、レリア ルベセンス(L.rubescens)、レリア シンコラナ(L.sincorana)、レリア スペシオサ(L.speciosa)、レリア テネブロサ(L.tenebrosa)、レリア ジップ(L.zip)等が挙げられる。 カトレイオプシス属植物としては、カトレイオプシス リンデニー(C.lindenii)等が挙げられる。 なお、ブラッソカトレア属(Brassocattleya)、ブラッソレリオカトレア属(Brassolaeliocattleya)、レリオカトレア属(Laeliocattleya)、レリオカトニア属(Laeliocatonia)、カトレイトニア属(Cattleytonia)、レリオカトニア属(Laeliocatonia)等は、カトレア属とその近縁種との交配によりできた人工種である。 これらラン科に属する植物またはその交配種より任意に選択された植物から、水、メタノール、エタノール、プロパノール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、又はこれらから選択される任意の混合液を使用して抽出したエキスを好適に使用することができる。例えば、ラン科植物に抽出溶媒を加えて抽出及びろ過して、ラン科植物エキスを得ることができる。 本発明による皮膚光老化抑制剤、皮膚内糖酸化抑制剤、光老化防止用皮膚外用剤は、紫外線(UVA)を受けることによって亢進する皮膚表皮細胞の光老化を抑制する。したがって、化粧料などの皮膚外用剤として使用し、紫外線によって肌の弾力やハリが低下するのを抑制し、シワ、タルミの発生を防止する。UVAを照射した成人皮膚表皮細胞(継代数10)における老化遺伝子(p21Cip1)の発現量を示す。UVAを照射した成人皮膚表皮細胞(継代数9)における老化遺伝子(p21Cip1)の発現量を示す。UVAを照射した成人皮膚表皮細胞(継代数10)における糖酸化たんぱく質(指標:カルボキシメチルリジン)の生成量を示す。 本発明の皮膚光老化抑制剤、又は皮膚内糖酸化抑制剤は、有効成分としてカミツレエキスおよびラン科植物エキスを含有する。両者の混合比率は、それぞれの乾燥固形分濃度を指標とするとき、カミツレエキス:ラン科植物エキス=8:1〜2:1となる程度が好ましい。 また本発明の光老化防止用皮膚外用剤では、皮膚外用剤が一般的に含有する成分、例えば、油分、界面活性剤、アルコール類、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、増粘剤、色素類、香料、紫外線吸収剤、美白剤、しわ改善剤、保湿剤、皮脂分泌抑制剤、柔軟剤、角質保護剤、薬効剤、酸化防止剤、溶剤、感触向上剤、ゲル化剤、噴射剤、還元剤、酸化剤、抗菌剤、ビタミン類、ビタミン誘導体類、血行促進剤、抗老化剤、引きしめ剤、収斂剤、冷感剤、温感剤、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、植物エキス、動物エキス、微生物エキス、鎮痒剤、角質剥離剤、角質溶解剤、ピーリング剤、制汗剤、清涼剤、酵素、核酸、水をさらに含有していてもよい。上記成分以外にも、必要に応じて、化粧料、医薬品、医薬部外品などで一般的に使用される成分を含有していてもよい。 形態としては、例えば、洗顔料、クレンジングフォーム、洗粉、洗顔パウダー、クレンジングローション、クレンジングジェル、クレンジングクリーム、クレンジングミルク、クレンジングオイル、クレンジングマスク、化粧水、柔軟化粧水、収斂化粧水、洗浄用化粧水、多層式化粧水、乳液、エモリエントローション、モイスチャーローション、ミルキーローション、ナリシングローション、ナリシングミルク、サンプロテクト、サンプロテクター、紫外線(UV)ケアミルク、サンスクリーン、メーキャップローション、メーキャップクリーム、ハンドローション、ハンドクリーム、ボディーローション、ボディークリーム、エモリエントクリーム、モイスチャークリーム、栄養クリーム、ベースクリーム、プレメーキャップクリーム、サンスクリーンクリーム、サンタンクリーム、除毛クリーム、デオドラントクリーム、シェービングクリーム、石鹸、化粧石鹸、薬用石鹸、薬用石鹸、液状石鹸、ひげそり石鹸、合成石鹸、ボディーシャンプー、ボディーリンス、ボディーパウダー、パック、マスク、エッセンス、保湿エッセンス、美白エッセンス、紫外線防止エッセンス、美容液、基礎化粧料、白粉、打粉類、ファンデーション類、口紅類、リップクリーム、リップグロス、頬紅類、アイライナー、マスカラ、アイシャドー、眉墨、アイブロー、ネイルエナメル、エナメルリムーバー、ネイルトリートメント、防臭化粧料、虫除けスプレー、軟膏剤、貼付剤、ローション剤、浴剤類が挙げられる。好ましくは、サンスクリーンなどの日焼け止め、化粧水、乳液、ローション、クリーム、美容液である。(製造例1:カミツレエキス) カミツレ Matricaria chamomilla L. (Compositae)の花を細切し、自然乾燥した。この乾燥品10kgに30%エタノール溶液を加えて浸漬した後、圧搾分離し、抽出液を得た。一方、残渣に30%エタノール溶液を加え、同様の方法で浸漬、分離した後、溶媒を減圧下で蒸発除去した軟エキスを、先に得られた抽出液に加えてよく撹拌した後、これをろ過し、そのろ液に1,3−ブチレングリコール(2L)を加えてよく撹拌し、静置、ろ過してカミツレエキス(乾燥固形分約1.0重量%)を得た。このエキスにはタンニンが確認された。(製造例2:カミツレエキス) カミツレ Matricaria chamomilla Linne (Compositae) の花に70%1,3−ブチレングリコール溶液を加えて抽出し、ろ過して得たろ液に水を加えて混合し、冷暗所にて静置した後、ろ過してカミツレエキス(乾燥固形分約0.8重量%)を得た。このエキスにはタンニンが確認された。(製造例3:ラン科植物エキス) ラン科デンドロビウム属植物(Dendrobium)の交配種 Dendrobium HYBRID の茎、レリア属植物(Laelia)とカトレヤ属植物(Cattleya)の交配種 Laeliocattleya Drumbeat の葉及び茎並びにブラッサボラ属植物(Brassavola)とカトレヤ属植物(Cattleya)の交配種 Brassocattleya Marcella Koss の葉及び茎に、50%1,3−ブチレングリコール溶液を加えて抽出し、ろ過してラン科植物エキス(乾燥固形分約0.2重量%)を得た。このエキスには、アミノ酸および糖(グルコース)が確認された。安全性試験(皮膚一次刺激性試験) 本発明のカミツレエキスおよびラン科植物エキスの混合物(2:1〜1:1)を乾燥固形分濃度が1.0重量%となるように調製し、背部を剃毛した日本白色家兎(雌性、1群3匹、体重2.1kg前後)の皮膚に適用した。適用の24、48、72時間後にドレイズの判定基準に基づき紅斑及び浮腫を指標として評価を行った。その結果は、全ての動物において、何等、紅斑及び浮腫を認めず、皮膚一次刺激性に関して問題がないことを確認した。(皮膚累積刺激性試験) 本発明のカミツレエキスおよびラン科植物エキスの混合物(2:1〜1:1)を乾燥固形分濃度が1.0重量%となるように調製し、背部を剃毛したハートレー系モルモット(雌性、1群3匹、体重320g前後)の皮膚に1日1回、週5回、0.5mL/匹を塗布した。塗布は2週に渡って行い、剃毛は各週の最終塗布日に行った。各塗布日及び最終塗布日の翌日にドレイズの判定基準に基づき紅斑及び浮腫を指標として評価を行った。その結果は、全ての動物において、2週間に渡って何等、紅斑及び浮腫を認めず、皮膚累積刺激性に関して問題がないことを確認した。(光老化抑制試験) UVAを照射していない新生児包皮由来ケラチノサイト(継代数7)及び成人腹部皮膚由来ケラチノサイト(継代数9及び10)における、p16INK4a遺伝子の発現量を測定した。結果は表1に示され、成人腹部皮膚由来ケラチノサイトにおいて、老化関連遺伝子p16INK4aの強い発現が認められた。 新生児包皮由来ケラチノサイトよりも自然老化が進んでいる、すなわちUVA照射による影響を受けやすいと考えられる、成人腹部皮膚由来ケラチノサイト(継代数9及び10)を用いて、UVA照射によるp21Cip1の発現量の増加及び本発明によるp21Cip1の発現の抑制の効果を確認するために、以下の光老化抑制試験を行なった。[試料](1):製造例2のカミツレエキス(終濃度0.002%)(2):製造例2のカミツレエキス(終濃度0.001%)+製造例3のラン科植物エキス(終濃度0.0005%)(3):対照として、70%ブチレングリコール[方法] 5×104個の成人腹部皮膚由来ケラチノサイト(TOYOBO)をφ35mm細胞培養用ディッシュに播種しサブコンフルエントになるまで培養し、これに試料を添加後更に一晩培養した。培養後培地をEpiLife Medium(Calcium-and Phenol Red-Free)に置換し、ケラチノサイトに照射量;5J/cm2になるようUVA照射を行った。再度試料を添加した培地に交換して一晩培養した後細胞を回収し、リアルタイムPCR法にてp21Cip1遺伝子発現量を測定した。[結果] p21Cip1遺伝子発現量は、図1及び図2のとおりであった。これら結果に見られるとおり、老化関連遺伝子p16INK4aの強い発現が認められる成人皮膚由来ケラチノサイトにおいて(表1)、UVA照射によりp21Cip1の発現量の増加が認められた(図1及び図2)。このUVA照射によるp21Cip1の発現上昇はカミツレエキス単独添加では抑えられなかったが、カミツレエキスおよびラン科植物エキスを併用することで優位に相乗的に抑制された(図1及び図2)。(糖酸化抑制試験)[試料](1):製造例2のカミツレエキス(終濃度0.002%)(2):製造例2のカミツレエキス(終濃度0.001%)+製造例3のラン科植物エキス(終濃度0.0005%)(3):対照として、70%ブチレングリコール[方法] 5×104個の成人腹部皮膚由来ケラチノサイト(継代数10)(TOYOBO)をφ35mm細胞培養用ディッシュに播種しサブコンフルエントになるまで培養し、試料添加後更に一晩培養した。培養後培地をEpiLife Medium(Calcium-and Phenol Red-Free)に置換し、ケラチノサイトに照射量;5J/cm2になるようUVA照射を行った。再度試料を添加した培地に交換して一晩培養した後細胞を回収し、Western Blot法にてカルボキシメチルリジンを有する(糖酸化した)たんぱく質を検出した。[結果] 糖酸化たんぱく質生成量は、図3のとおりであった。UVA照射により成人皮膚由来ケラチノサイトにおいて、カルボキシメチルリジンを有する(糖酸化した)たんぱく質の生成が認められる。糖酸化たんぱく質の生成については、カミツレエキス単独添加でも抑制効果が認められるが、ラン科植物エキスを併用することでより更に強く生成が相乗的に抑制されることが判明した。(光老化防止用皮膚外用剤の製造) 本発明による皮膚光老化抑制剤、または皮膚内糖酸化抑制剤を使用して、各種皮膚外用剤を製造した。その処方例は以下のとおりである。エタノールはEtOH、1,3−ブチレングリコールは1,3−BGと略記する。(光老化防止用ローションの処方例) 重量%・ソルビット 2・ポリオキシエチレンオレイルエーテル(25E.O.付加物)2・EtOH 20・1,3−BG 2・アスコルビン酸2−グルコシド 0.2・製造例1のカミツレエキス 1.0・製造例3のラン科植物エキス 0.5・pH調整剤 適量・精製水 100とする量(光老化防止用乳液の処方例) 重量%・スクワラン 3・ワセリン 1・ステアリルアルコール 0.3・ソルビタンモノステアレート 1.5・ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート 3・1,3−BG 10・製造例2のカミツレエキス 1.0・製造例3のラン科植物エキス 1.0・アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩 0.1・アセロラ30%1,3−BG抽出液 1.0・豚コラーゲン抽出液 2.0・防腐剤(パラオキシ安息香酸エステル) 適量・精製水 100とする量(光老化防止用化粧オイルの製造) 質量%・流動パラフィン 30.0・スクワラン 20.0・オリーブ油 20.0・パルミチン酸イソプロピル 10.0・オリーブ油 1.0・液状シア脂 1.0・ブチルヒドロキシアニソール 0.1・DL−α−トコフェロール誘導体 0.1・ビルベリー30%1,3−BG抽出液 1.0・防腐剤(パラオキシ安息香酸エステル) 適量・香料 適量・製造例2のカミツレエキス 0.5・製造例3のラン科植物エキス 0.5・1,3−BG 100とする量(日焼け防止クリームの製造) 質量%・サラシミツロウ 11.0・流動パラフィン 22.0・ラノリン 10.0・オリーブ油 5.0・パーム油 5.0・カチオン性界面活性剤 3.0・アロエベラ葉50%1,3−BG抽出液 2.0・豚プラセンター抽出液 0.1・アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩 0.1・製造例1のカミツレエキス 1.0・製造例3のラン科植物エキス 0.5・液状シア脂 1.0・ヒドロキシプロピルセルロース 2.0・精製水 100とする量 本発明によれば、天然成分を有効成分として含有する安全性の高い皮膚光老化抑制剤、皮膚内糖酸化抑制剤を提供することができる。本発明のこれら抑制剤は、化粧料、医薬品、医薬部外品など光老化防止用皮膚外用剤に用いることにより、肌の弾力やハリが低下するのを抑制し、シワ、タルミの発生を防止する。本発明は、紫外線による表皮細胞死の抑制、シワ、タルミや落屑の抑制、紫外線による表皮細胞障害の抑制に有効である。 有効成分として、カミツレエキスおよびラン科植物エキスを含有する皮膚光老化抑制剤。 有効成分として、カミツレエキスおよびラン科植物エキスを含有する皮膚内糖酸化抑制剤。 有効成分として、カミツレエキスおよびラン科植物エキスを含有する光老化防止用皮膚外用剤。 【課題】紫外線を受けることによって皮膚表皮細胞(ケラチノサイト)内に発現する老化遺伝子(p21Cip1)、および同細胞内たんぱく質で生じる糖酸化現象(指標:カルボキシメチルリジンの生成)に着目して評価した、天然成分による安全かつ有用な皮膚光老化抑制剤、皮膚内糖酸化抑制剤、光老化防止用皮膚外用剤を提供する。【解決手段】皮膚光老化抑制剤、皮膚内糖酸化抑制剤、光老化防止用皮膚外用剤は、カミツレエキスおよびラン科植物エキスを有効成分として含有する。【選択図】なし