生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_二酸化炭素によるコンクリートの中性化の解析方法
出願番号:2014017878
年次:2015
IPC分類:G01N 33/40,G01N 33/38


特許情報キャッシュ

福島 敏夫 JP 2015145794 公開特許公報(A) 20150813 2014017878 20140131 二酸化炭素によるコンクリートの中性化の解析方法 福島 敏夫 514028318 奈良 武 100069420 福島 敏夫 G01N 33/40 20060101AFI20150717BHJP G01N 33/38 20060101ALI20150717BHJP JPG01N33/40G01N33/38 9 OL 54 特許法第30条第2項適用申請有り 社団法人日本建築学会発行の2013年度日本建築学会大会学術講演梗概集(北海道)第389〜390頁 2013年度日本建築学会大会(北海道)での平成25年9月1日発表 本発明は、コンクリートを中性化させる二酸化炭素のコンクリート内への拡散を解析する解析方法に関する。 コンクリート構造物中の鉄筋は、アルカリ性雰囲気下では不動態被膜に覆われているため腐食しにくい状態となっているが、大気中の二酸化炭素のコンクリート内への浸透によってコンクリートが中性化し、この中性化によって不動態被膜が破壊されて腐食し易くなる。コンクリートの中性化は、コンクリート中のCa(OH)2等のセメント水和生成物がセメント内に拡散した大気中の二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムCaCO3を生成することによりなされる。このようなコンクリートの中性化とそれに伴う鉄筋腐食の進行は、鉄筋コンクリート(RC)部材や建築・土木構造物等のコンクリート構造物の寿命設定の基礎となっている。 従来、コンクリートの中性化は非特許文献1に記載されるように、二酸化炭素のコンクリートへの1次元1方向の拡散による経過時間に関する放物線則(√t則)によって解析されている。 すなわちコンクリートの中性化深さをxとし、そのときの中性深さの時間変化dx/dt がそのときまでの中性深さに反比例すると考えると、次の常微分方程式が成り立つ( kは、比例定数)。 これを変数分離して積分すると、 すなわち となり、これから、次のコンクリートの中性化進行に関する経過時間の放物線則(√t則)が得られる(Aは、中性化進行速度係数([距離/時間1/2]の次元を持つ)と呼ばれ、セメントの種類、水−セメント比、温・湿度、二酸化炭素濃度等の色々な外的・内的因子が影響する)。X=A√t 非特許文献2には、以上の放物線則に基づき、水−セメント60%の普通ポルトランドセメントコンクリートの日本の屋外の雨の降りかかる状態でのコンクリートの中性化進行に関する以下の浜田則が記載されている。X=0.37√t 特許文献1には、コンクリート中の二酸化炭素の短期における拡散状態に基づいて長期にわたる拡散状態を予測する方法が記載されている。この方法は、コンクリートを二酸化炭素に短期間さらして二酸化炭素が浸透した浸透距離を呈色反応によって測定し、浸透距離及び浸透期間を変数に用いたフィックの第2法則に基づく拡散方程式の解を用いることにより任意の距離及び時間における二酸化炭素の濃度を予測するものである。特開2012−202731号公報R. Kondo, K. Daimon, and T. Akiba: Mechanisms and Kinetics on Carbonation of Hardened Cement, Proceedings of the 5th International Symposium on Chemistry of Cement, Tokyo, Japan, 3 , pp.402-409(1968)M. Hamada: Neutralization (Carbonation) of Concrete and Corrosion of Reinforcing Steel, ibid, pp. 343-369(1968) 非特許文献1、2及び特許文献1に記載されている従来の二酸化炭素のコンクリート内への拡散の解析は、コンクリート内への1次元1方向の拡散に関するものである。このような1次元1方向の拡散だけでは、コンクリート構造物が地上に施工されるという現実を考慮したものではない。すなわち地上に独立して施工されたコンクリート構造物に対しては、大気中の二酸化炭素は1方向だけなく全周囲から浸透するものである。又、貯水池(例えば、ダム)の場合や他の構造物と接触して施工されているコンクリート構造物においては、大気との非接触面からは二酸化炭素が浸透しないのに対し、大気との非接触面を除く他の複数の露出面から二酸化炭素が浸透する。従って、二酸化炭素のコンクリートへの拡散を1次元1方向で解析する従来の方法は、中性化の進行に対してある程度の示唆が可能であるとしても現実的とはかけ離れた解析となっている。 本発明は1次元1方向の拡散に対して視点を変えてなされたものであり、コンクリート構造物の実際の施工状況を考慮し、二酸化炭素の浸透によるコンクリート中性化の進行をコンクリートへの多方向拡散に基づいて解析する新たな解析方法を提供することを目的としている。 本発明は、四角柱形状のコンクリート構造物の相対する2つの面から二酸化炭素がコンクリート構造物の内部に拡散する2方向拡散によるコンクリートの中性化を解析する方法であって、 前記二酸化炭素のコンクリートの中性化の進行を二酸化炭素の擬1次炭酸化反応とし、二酸化炭素がコンクリート内に拡散する二階偏微分方程式(a)を設定し、前記二階偏微分方程式(a)を変換条件(b)、(c)によって変数変換して基礎方程式(d)とした後、前記基礎方程式(d)をフーリエ級数又はラプラス変換によって解析することを特徴とする。 また、本発明は、四角柱形状のコンクリート構造物の1つの面が遮断され、他の3つの面から二酸化炭素がコンクリート構造物の内部に拡散する3方向拡散によるコンクリートの中性化を解析する方法であって、 前記二酸化炭素のコンクリートの中性化の進行を二酸化炭素の擬1次炭酸化反応とし、二酸化炭素がコンクリート内に拡散する二階偏微分方程式(e)を設定し、前記二階偏微分方程式(e)を変換条件(f)、(g)によって変数変換して基礎方程式(h)とした後、前記基礎方程式(h)をフーリエ級数又はラプラス変換によって解析することを特徴とする。 また、本発明は、四角柱形状のコンクリート構造物の全ての4つの面から二酸化炭素がコンクリート構造物の内部に拡散する4方向拡散によるコンクリートの中性化を解析する方法であって、 前記二酸化炭素のコンクリートの中性化の進行を二酸化炭素の擬1次炭酸化反応とし、二酸化炭素がコンクリート内を拡散する二階偏微分方程式(i)を設定し、前記二階偏微分方程式(i)を変換条件(j)、(k)によって変数変換して基礎方程式(m)とした後、前記基礎方程式(m)をフーリエ級数又はラプラス変換によって解析することを特徴とする。 本発明は、以上の解析における有効拡散係数及び擬1次炭酸化反応速度定数の数値を設定して中性化進行状況を3次元プロットにより表示することを特徴とする。 また、本発明は、以上の解析における有効拡散係数及び擬1次炭酸化反応速度定数の数値を設定して中性化進行状況を2次元プロットにより表示することを特徴とする。 本発明によれば、二酸化炭素の拡散浸透によるコンクリート中性化の進行をコンクリートへの多方向拡散に基づいて解析するため、コンクリート構造物の実際の施工状況に良好に対応することができる。本発明の解析の対象となるコンクリート構造物の形状を示す斜視図である。2方向拡散を3次元プロットによって表示したグラフである。2方向拡散を2次元の濃度分布プロットによって表示したグラフである。2方向拡散を2次元の等高線プロットによって表示したグラフである。3方向拡散を3次元プロットによって表示したグラフである。3方向拡散を2次元の濃度分布プロットによって表示したグラフである。3方向拡散を2次元の等高線プロットによって表示したグラフである。4方向拡散を3次元プロットによって表示したグラフである。4方向拡散を2次元の濃度分布プロットによって表示したグラフである。4方向拡散を2次元の等高線プロットによって表示したグラフである。 コンクリートの中性化の進行が起こる状況は、建築物の外壁の屋外・屋内側、建築物/土木構造物の屋外の角柱、促進中性化試験における角柱試験体など、様々なものがある。本発明においては、図1に示す1辺が2aの正方形の四角柱形状のコンクリート構造物に基づいて解析するものである。 2方向拡散におけるコンクリート中性化の解析においては、四角柱形状の2端部が遮断されて二酸化炭素との接触がなく、相対する2つの面から双方向で二酸化炭素が拡散する状況である。3方向拡散におけるコンクリート中性化の解析においては、四角柱形状の1端部が遮断されて二酸化炭素との接触がなく、他の3つの面から二酸化炭素が拡散する状況である。4方向拡散におけるコンクリート中性化の解析においては、四角柱形状の全ての4つの面から二酸化炭素が拡散する状況である。 まず、本発明の基礎となる炭酸化反応を伴う二酸化炭素の1次元一方向における拡散方程式を示す。 コンクリートの中性化では、数学的定式化は、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)との炭酸化反応を伴う二酸化炭素(CO2)の内層部への非定常拡散過程に帰着する。コンクリートの中性化に関連した二酸化炭素(CO2)と水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の炭酸化反応は、次の様に表せる。CaCO3は、炭酸化反応の生成物である炭酸化カルシウム、H2Oは、副生成物の水である。 Ca(OH)2+CO2=CaCO3+H2O 炭酸化反応はCa(OH)2とCO2の2次反応になるが,コンクリートの炭酸化フロント近傍では、CO2濃度に比して、Ca(OH)2の濃度が圧倒的に大きく、事実上、CO2濃度に関する擬1次反応と見なしてよい。また、炭酸化反応はCO2濃度の減少になるので、この反応は、負となる。すなわち、炭酸化反応速度をRA、コンクリート中のCO2濃度をCA(x,t)、Ca(OH)2濃度をCB、コンクリート中のCa(OH)2の初濃度をCB0、2次反応速度定数をk2、擬1次反応速度定数をk1’CAとすると、 RA=−k2CACB=−k2CACBO=−k1’CACBO 従って、擬1次炭酸化反応を伴う二酸化炭素の1次元一方向拡散の場合の2階偏微分方程式は、次のようになる。 式(1)に対し、半無限固体近似で、次のような初期条件と境界条件を設定する。 また、このとき、境界条件(3)から、 式(10)にラプラス逆変換を行うと、次の数学的解析解が得られる。 この式で、コンクリート表面からの距離をパラメータとして、その時間変化を表したものと、浜田則との比較により、 のときのxが中性化深さXに対応することが、明らかとなった。 また、〔表1〕に示されるように、各種のコンクリートにおいて、CO2の拡散係数は、水―セメントと指数関数の関係がある。 他方、大気中の二酸化炭素濃度の増大傾向に見られるように、コンクリート表面の二酸化炭素濃度が一定値でなく、次のように、時間的に変化する関数φ(t)で与えられる場合には、[第1実施形態] 本発明の第1実施形態では、図1に示す四角柱形状のコンクリート構造物に対して相対する2つの面から二酸化炭素が内部に拡散する2方向拡散のコンクリートの中性化を解析する。上述したように二酸化炭素によるコンクリートの中性化の進行を二酸化炭素の擬1次炭酸化反応とするものである。フィックの拡散方程式からコンクリート内に拡散する二酸化炭素の二階偏微分方程式を下記のように設定し、コンクリートの中性化の進行を解析する。 次に、式(15)を以下の変数変換によって簡略化する。と変数変換すると、 従って、変数変換により次のように簡略化した基礎方程式を得ることができる。 次に、基礎方程式をフーリエ級数によって数学的解析解を導出する。 式(21)の基礎方程式において、 従って、 式(32)が恒等的に成り立つためには、式(32)の左辺及び右辺の1番目の式が定数でなければならない。 −α2を分離定数とすると、 すなわち、 このときの境界条件は、 式(35)、(37)の一般解は、A、B、C、を積分定数として、次のように与えられる。 また、 境界条件(39)、(40)から また、境界条件(42)から、 式(48)から、 よって、解は、 重ね合わせの原理により、 初期条件で、 とフーリエ級数に展開すると、 よってu(ρ、t)のフーリエ級数による数学的解析解は、次のように得られる。 従って、CA(x,t)のフーリエ級数による数学的解析解は、次のようになる。 一方、ラプラス変換法による数学的解析解は以下のように導出される。 式(21)の基礎方程式にラプラス変換を行い、 とおくと、 であるが、 初期条件(22−a)から、u(ρ、0)だから よって、 すなわち、 この2階常微分方程式の一般解は、D、Eを係数として、次のように与えられる。 また、 境界条件(23)、(24)、(25)から、 式(74)より、D=E…(75) であり、 これを、式(72)、(73)に代入すると、 よって、 式(77)について、ラプラス逆変換に関するヘビサイドの展開定理に基づいて、留数を求め、ラプラス逆変換により、数学的解析解を求める。 とおくと、 とすると、双曲三角関数と三角関数について、次の関係がある。 よって、q(ρ、s)=0となるのは、 で、いずれも単極である。 ヘビサイド(Heaviside)の展開定理により、 (1)s=0(単極)での留数は、次のように得られる。 (2)一方、下記式 (単極)での留数は、次のように得られる。 だから、 よって、S=Snにおける留数は、 従って、u(ρ、t)のラプラス変換法による数学的解析解は、次の形で得られる。 また、CA(x、t)のラプラス変換法による数学的解析解は、次の形で得られる。 式(64−b)のフーリエ級数による数学的解析解と式(91−b)のラプラス変換法による数学的解析解は、一見すると、違う形であるが、本質的には、同じものである。 次に、可視化について、説明する。可視化は数学演算ソフトMathematicaのプログラムであるNDSolveによる数値解法とそのグラフ表示のプログラムである3DPlot、DensityPlot, ContourPlot、Showなどに基づいて行うものである。 数学演算ソフトMathematicaのNDSolveによる2階偏微分方程式の数値解法(有効係数拡散DAと擬1次炭酸化反応速度定数k1’の数値の設定) 拡散係数DAは、普通ポルトランドセメントコンクリートの水セメント比60%に対応する数値として3.1536mm2/yearを用いた(ただ、可視化の便宜上拡散係数を100倍に設定した)。擬1次炭酸化反応速度定数k1’ は、0.01year-1を用いた。 (数値解法) 次の式は、Mathemaicaによる2方向拡散の二階偏微分方程式の表現である。 次の式がNDSolveによる数値解法である。2つめの式は、二酸化炭素と接触する2端部での初期条件を与えている。数学的解析解を求める場合と異なり、井戸型の不連続の設定でなく、滑らかだが急激に減衰する指数関数を用いるのがポイントである。また、3つめの式が、両辺80cmの正4角形の境界条件の設定であり、その次が、関数u[t,x,y]の定義領域を定めている。 式(92)、(93)を解くと、関数u[t,x,y]は、具体的な数式では、明示されないが、その特性の詳細は、コンピュータに内蔵された形になる。 次のプログラムにより、二酸化炭素の2方向拡散によるコンクリートの中性化進行状況を3次元プロットによって可視化することができる。図2はこの可視化のグラフを示す。 図2において、tは拡散時間を年数で示しており、t=10は10年後の状況、t=20は20年後の状況、t=30は30年後の状況であり、図2では10〜90年後の状況を示している。なお、以下の図3〜図7におけるtも同様の年数である。図2の3次元プロットによりコンクリート中に拡散する二酸化炭素の濃度分布の経時変化を可視化することができる。なお、図2はモノクロのグラフとなっているが、二酸化炭素の濃度をカラー表示することにより、より鮮明に濃度分布の経時変化を可視化することが可能となる。 同様に、次のプログラムによる2次元プロットによって、上から眺めた濃度分布の経時変化の可視化ができる。(96−a)は、濃度分布の2次元プロット、(96−b)は、等高線分布の2次元プロットの手法であり、図3−aは濃度分布による可視化のグラフ、図3−bは等高線分布による可視化のグラフである。 図3−aおよび図3−bに示す2次元プロットを行うことにより、コンクリート中に拡散する二酸化炭素の濃度分布の経時変化を上から眺めた状態で可視化することができる。これらの図3においても、モノクロのグラフとなっているが、二酸化炭素の濃度をカラー表示することにより、より鮮明に濃度分布の経時変化を可視化することが可能となる。通常の1次元1方向拡散の場合と比較すると、中性化が、両端部から、内層部に向かって徐々に進行してゆく状況をよく理解できる。特に、図3−bのt==30のグラフ(右上隅のグラフ)では、等高線表示により、両端からの濃度が区切り線で明確に示されているCA(x、t)/CA0=0.1のときの両端からの距離a-x、x+aが、中性化深さxに対応することが明らかとなっている。[第2実施形態] 第2実施形態では、図1に示す四角柱形状のコンクリート構造物に対し、1つの面が遮断され、他の3つの面から二酸化炭素が内部に拡散する2方向拡散のコンクリートの中性化を解析する。この実施形態においても、二酸化炭素によるコンクリートの中性化の進行を二酸化炭素の擬1次炭酸化反応とするものである。フィックの拡散方程式からコンクリート内に拡散する二酸化炭素の二階偏微分方程式を下記のように設定し、コンクリートの中性化の進行を解析する。式(97−1)を変数変換によって3方向拡散の数学的モデルに簡略化する。と変数変換すると、この変数変換により、3方向拡散の基礎方程式は次のようになる。 (フーリエ級数による3方向拡散の二階偏微分方程式の数学的解析解の導出) 式(104)〜(112)に対して、2方向拡散の場合と同様に、フーリエ級数を用いて解くと、次の解析解が得られる(式の導出過程は、2方向拡散の場合と重複する場合もあるので省略する)。 (ラプラス変換法による3方向拡散の二階偏微分方程式の数学的解析解の導出) 式(104)〜(112)に対して、2方向拡散の場合と同様に、ラプラス変換法を用いて解くと、次の解析解が得られる(式の導出過程は、2方向拡散の場合と重複する場合もあるので省略する)。 式(113−b)のフーリエ級数による数学的解析解と式(114−b)のラプラス変換法による数学的解析解は、一見すると、違う形であるが、本質的には、同じものである。 数学演算ソフトMathematicaのNDSolveによる二階偏微分方程式の数値解法 (有効係数拡散DAと擬1次炭酸化反応速度定数k1’の数値の設定) 拡散係数DAは、普通ポルトランドセメントコンクリートの水セメント比60%に対応する数値として3.1536mm2/yearを用いた(ただ、可視化の便宜上拡散係数を100倍に設定した)。擬1字炭酸化反応速度定数k1’ は、0.01year-1を用いた。 (数値解法) 次の式は、Mathemaicaによる3方向拡散の二階偏微分方程式の表現である。 次の式がNDSolveによる数値解法である。2つめの式は、二酸化炭素と接触する3端部での初期条件を与えている。数学的解析解を求める場合と異なり、井戸型の不連続の設定でなく、滑らかだが急激に減衰する指数関数を用いるのがポイントである。また、3つめの式が、両辺80cmの正4角形の境界条件の設定であり、その次が、関数u[t,x,y]の定義領域を定めている。 式(115)、(116)を解くと、関数u[t、x、y]は、具体的な数式では、明示されないが、その特性の詳細は、コンピュータに内蔵された形になる。 図4は3方向拡散を3次元プロットによって可視化したグラフ、図5−aおよび図5−bは、2次元プロットによって可視化したグラフを示す。可視化は2方向拡散と同様にして行うことができるため説明を省略する。図4及び図5においてもモノクロのグラフとなっているが、二酸化炭素の濃度をカラー表示することにより、より鮮明に濃度分布の経時変化を可視化することが可能となる。特に、図5−bで示すように、偶角部に曲線的な濃度分布および等高線分布が表れ、3方向拡散における特徴を可視化により容易に理解することができる。[第3実施形態] 第3実施形態では、図1に示す四角柱形状のコンクリート構造物の全ての面から二酸化炭素が内部に拡散する2方向拡散のコンクリートの中性化を解析する。この実施形態においても、二酸化炭素によるコンクリートの中性化の進行を二酸化炭素の擬1次炭酸化反応とするものである。フィックの拡散方程式からコンクリート内に拡散する二酸化炭素の二階偏微分方程式を下記のように設定し、コンクリートの中性化の進行を解析する。 4方向拡散に対し、3方向拡散は縦方向の一端が絶縁されており、その部分の拡散流速がないという場合に対応する。このため、4方向拡散は3方向拡散とほとんど同じ式、同じ変数で取り扱うことができる。ただ、以下のように初期条件、境界条件の一部が異なる。 初期条件においては、3方向拡散が、であるのに対し、4方向拡散では、となり、 境界条件においては、3方向拡散がであるのに対し、4方向拡散では、となる。 式(118−1)を変数変換によって4方向拡散の数学的モデルに簡略化する。と変数変換すると、この変数変換により、4方向拡散の基礎方程式は次のようになる。 (フーリエ級数による4方向拡散の二階偏微分方程式の数学的解析解の導出) 式(130)〜(137)に対して、2方向拡散の場合と同様に、フーリエ級数を用いて解くと、次の解析解が得られる(式の導出過程は、2方向拡散の場合と重複する場合もあるので省略する)。(ラプラス変換による4方向拡散の二階偏微分方程式の数学的解析解の導出) 式(130)〜(137)に対して、2方向拡散の場合と同様に、ラプラス変換を用いて解くと、次の解析解が得られる(式の導出過程は、2方向拡散の場合と重複する場合もあるので省略する。 数学演算ソフトMathematicaのNDSolveによる二階偏微分方程式の数値解法 (有効係数拡散DAと擬1次炭酸化反応速度定数k1’の数値の設定) 拡散係数DAは、普通ポルトランドセメントコンクリートの水セメント比60%に対応する数値として3.1536mm2/yearを用いた(ただ、可視化の便宜上拡散係数を100倍に設定した)。擬1次炭酸化反応速度定数k1’ は、0.01year-1を用いた。 (数値解法) 次の式は、Mathemaicaによる4方向拡散の二偏微分方程式の表現である。 次の式がNDSolveによる数値解法である。2つめの式は、二酸化炭素と接触する4端部での初期条件を与えている。数学的解析解を求める場合と異なり、井戸型の不連続の設定でなく、滑らかだが急激に減衰する指数関数を用いるのがポイントである。また、3つめの式が、両辺80cmの正4角形の境界条件の設定であり、その次が、関数u[t,x,y]の定義領域を定めている。 式(140)、(141)を解くと、関数u[t、x、y]は、具体的な数式では、明示されないが、その特性の詳細は、コンピュータに内蔵された形になる。 図6は4方向拡散を3次元プロットによって可視化したグラフ、図7−aおよび図7−bは、2次元プロットによって可視化したグラフを示す。可視化は2方向拡散と同様にして行うことができるため説明を省略する。図6及び図7においても、モノクロのグラフとなっているが、二酸化炭素の濃度をカラー表示することにより、より鮮明に濃度分布の経時変化を可視化することが可能となる。特に、図7−bで示すように、偶角部に曲線的な濃度分布および等高線分布が表れ、4方向拡散における特徴を可視化により容易に理解することができる。 四角柱形状のコンクリート構造物の相対する2つの面から二酸化炭素がコンクリート構造物の内部に拡散する2方向拡散によるコンクリートの中性化を解析する方法であって、 前記二酸化炭素のコンクリートの中性化の進行を二酸化炭素の擬1次炭酸化反応とし、二酸化炭素がコンクリート内に拡散する二階偏微分方程式(a)を設定し、前記二階偏微分方程式(a)を変換条件(b)、(c)によって変数変換して基礎方程式(d)とした後、前記基礎方程式(d)をフーリエ級数又はラプラス変換によって解析することを特徴とする。 請求項1記載の解析における有効拡散係数及び擬1次炭酸化反応速度定数の数値を設定して中性化進行状況を3次元プロットにより表示することを特徴とする二酸化炭素によるコンクリートの中性化の解析方法。 請求項1記載の解析における有効拡散係数及び擬1次炭酸化反応速度定数の数値を設定して中性化進行状況を2次元プロットにより表示することを特徴とする二酸化炭素によるコンクリートの中性化の解析方法。 四角柱形状のコンクリート構造物の1つの面が遮断され、他の3つの面から二酸化炭素がコンクリート構造物の内部に拡散する3方向拡散によるコンクリートの中性化を解析する方法であって、 前記二酸化炭素のコンクリートの中性化の進行を二酸化炭素の擬1次炭酸化反応とし、二酸化炭素がコンクリート内に拡散する二階偏微分方程式(e)を設定し、前記二階偏微分方程式(e)を変換条件(f)、(g)によって変数変換して基礎方程式(h)とした後、前記基礎方程式(h)をフーリエ級数又はラプラス変換によって解析することを特徴とする。 請求項4記載の解析における有効拡散係数及び擬1次炭酸化反応速度定数の数値を設定して中性化進行状況を3次元プロットにより表示することを特徴とする二酸化炭素によるコンクリート中性化の解析方法。 請求項4記載の解析における有効拡散係数及び擬1次炭酸化反応速度定数の数値を設定して中性化進行状況を2次元プロットにより表示することを特徴とする二酸化炭素によるコンクリート中性化の解析方法。 四角柱形状のコンクリート構造物の全ての4つの面から二酸化炭素がコンクリート構造物の内部に拡散する4方向拡散によるコンクリートの中性化を解析する方法であって、 前記二酸化炭素のコンクリートの中性化の進行を二酸化炭素の擬1次炭酸化反応とし、二酸化炭素がコンクリート内を拡散する二階偏微分方程式(i)を設定し、前記二階偏微分方程式(i)を変換条件(j)、(k)によって変数変換して基礎方程式(m)とした後、前記基礎方程式(m)をフーリエ級数又はラプラス変換によって解析することを特徴とする二酸化炭素によるコンクリート中性化の解析方法。 請求項7記載の解析における有効拡散係数及び擬1次炭酸化反応速度定数の数値を設定して中性化進行状況を3次元プロットにより表示することを特徴とする二酸化炭素によるコンクリートの中性化の解析方法。 請求項7記載の解析における有効拡散係数及び擬1次炭酸化反応速度定数の数値を設定して中性化進行状況を2次元プロットにより表示することを特徴とする二酸化炭素によるコンクリートの中性化の解析方法。 【課題】二酸化炭素の多方向拡散によるコンクリートの中性化進行過程の数学的定式化と可視化を行う。【解決手段】ラプラス変換法やフーリエ級数による展開法を利用して、擬1次炭酸化反応を伴う二酸化炭素のフィックの拡散の二階偏微分方程式の数学的解析解を求める。2方向拡散、3方向拡散、4方向拡散の場合も含めて、中性化進行状況を、数学的に理解できるようにする。数学演算ソフトMathematicaのプログラムであるNDSolveによる数値解法とそのグラフ表示のプログラムである3DPlot、DensityPlot, ContourPlot、Showなどに基づいてコンクリートの中性化の可視化を行う。【選択図】 なし20140827A1633001003 (ラプラス変換法による3方向拡散の二階偏微分方程式の数学的解析解の導出) 式(104)〜(112)に対して、2方向拡散の場合と同様に、ラプラス変換法を用いて解くと、次の解析解が得られる(式の導出過程は、2方向拡散の場合と重複する場合もあるので省略する)。A1633001183


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