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タイトル:公開特許公報(A)_洗浄剤の水分測定方法、および洗浄剤の水分測定装置
出願番号:2014014637
年次:2015
IPC分類:G01N 21/41,C11D 7/00,C11D 3/00


特許情報キャッシュ

青柳 功 大塚 博栄 甲斐 幸一路 吉田 瑞穂 JP 2015141125 公開特許公報(A) 20150803 2014014637 20140129 洗浄剤の水分測定方法、および洗浄剤の水分測定装置 JX日鉱日石エネルギー株式会社 000004444 酒井 宏明 100089118 青柳 功 大塚 博栄 甲斐 幸一路 吉田 瑞穂 G01N 21/41 20060101AFI20150707BHJP C11D 7/00 20060101ALN20150707BHJP C11D 3/00 20060101ALN20150707BHJP JPG01N21/41 ZC11D7/00C11D3/00 5 1 OL 19 2G059 4H003 2G059AA01 2G059BB04 2G059CC09 2G059EE20 2G059MM01 4H003AA01 4H003BA12 4H003DA11 4H003DA14 4H003EB02 4H003ED02 本発明は、洗浄剤の水分測定方法、および洗浄剤の水分測定装置に関し、特に、自動車、機械、精密機器、電気、電子、光学等の各種工業分野において扱われる部品に付着した、極性の低い汚れと極性の高い汚れが複合した汚れを洗浄して除去することができる洗浄剤の水分測定方法、および洗浄剤の水分測定装置に関する。 自動車、機械、精密機器、電気、電子、光学等の各種工業分野において扱われる部品(以下、「部品」とする)は、その加工の際に、(i)鉱物油等を主体とする油性加工油、鉱物油等に界面活性剤を加えて水に乳化させた水溶性加工油等、極性の低いものから極性の高いものまで様々な加工油、(ii)微粒子、などが使用される。特に、切削や研削加工などを中心に水溶性加工油が多く使用されており、また、複数の加工工程を経て製造される部品には、工程毎に使用される加工油も異なるため、極性の低いものから極性の高いものまで様々な汚れが複合して付着する場合が多い。また、切断、研削、研磨等の機械加工を行う際には、前記部品を冶具に固定するための仮止め用接着剤としてワックスが使用される。そして、前記部品の機械加工が終了すると、前記部品に付着したワックスは除去される。前記ワックスは用途に応じて、極性の低いものから極性の高いものまで種々のものが使用される。 このような極性の低いものから極性の高いものまで様々な汚れが複合して付着した部品を洗浄する場合には、水と溶剤、または、水と溶剤と界面活性剤から成る洗浄剤等が使用されている(例えば、特許文献1及び2)。 特許文献1および2に記載されるような洗浄剤等において、複数の成分から構成される汚れに対して高い洗浄力を維持するためには、洗浄剤中の水分量を適正に管理することが重要である。洗浄剤中の水分管理方法としていくつか提案されている。 最も一般的でJIS等でも定められている水分測定法はカールフィッシャー法(以下、KF法)であるが、現場での測定法には適さない。KF法は滴定分析であり、作業に熟練度が必要とされるからである。 洗浄剤と平衡状態にある洗浄装置内の空気の湿度と洗浄剤の電気伝導度によって洗浄剤の水分を管理する方法や(特許文献3)、静電容量センサーを用いて油中の水分量を測定する方法が提案されているが(特許文献4及び5)、様々な汚れが持ち込まれた洗浄剤中の水分量の定量法への適用は困難である。洗浄剤に持ち込まれる可能性のある極性の低いものから極性の高いものまで多種多様な汚れの影響度を全て網羅することは困難であるためである。 また、赤外線吸光度と濁度を併用することによって、洗浄剤の水分濃度を一定範囲内に制御する方法や(特許文献6及び7)、近赤外線吸光度を測定することによって洗浄剤の水分濃度を管理する方法が提案されているが(特許文献8及び9)、赤外領域において水と吸収帯が重なる物質には適用できないために、極性の低いものから極性の高いものまで多種多様な汚れ物質が持ち込まれる可能性のある洗浄剤への適用は困難である。 さらに、洗浄剤の比重を測定することによって洗浄剤の水分濃度を適正レベルに維持する方法や(特許文献10)、洗浄剤の比抵抗を測定することによって洗浄剤の水分濃度を適正レベルに維持する方法も提案されているが(特許文献11)、いずれの方法においても洗浄剤に持ち込まれた汚れ物質による測定誤差は考慮されていない。特開平6−346094号公報特開2013−117008号公報特開2000−51577号公報特開平8−136492号公報特開2012−145438号公報特開平7−280728号公報特開平7−248299号公報特開平5−45280号公報特開平7−151676号公報特開平7−147265号公報特開平2−53899号公報 本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易かつ正確に洗浄剤中の水分量を測定できる洗浄剤の水分測定方法および洗浄剤の水分測定装置を提供することである。 上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を行った結果、洗浄剤の物理的特性のうち屈折率と密度とを測定し、検量線作成の際、測定した屈折率と密度とを併用することによって、洗浄剤中に極性の低いものから極性の高いものまで多種多様な汚れ物質が持ち込まれた場合においても、洗浄剤の水分量を正確に算出しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。 即ち、本発明の洗浄剤の水分測定方法は、水を1質量%以上50質量%未満の割合で含む洗浄剤(A)、または水を実質的に含まないが、汚れ成分由来の水分を洗浄剤中に混和可能な洗浄剤(B)中の水分測定方法であって、前記洗浄剤(A)または(B)の屈折率を測定する工程と、前記洗浄剤(A)または(B)の密度を測定する工程と、予め作成された前記洗浄剤(A)または(B)の水分量と屈折率および密度の相関関係に基づく検量線により水分量を算出する算出工程と、を含むことを特徴とする。 また、本発明の洗浄剤の水分測定装置は、水を50質量%未満の割合で含む洗浄剤(A)、または水を実質的に含まないが、汚れ成分由来の水分を洗浄剤中に混和可能な洗浄剤(B)中の水分測定装置であって、前記洗浄剤(A)または(B)の屈折率を測定する屈折率測定部と、前記洗浄剤(A)または(B)の密度を測定する密度測定部と、予め作成された前記洗浄剤(A)または(B)の水分量と屈折率および密度の相関関係に基づく検量線を記憶する記憶部と、前記屈折率測定部および前記密度測定部により測定された前記洗浄剤(A)または(B)の屈折率および密度を使用し、前記記憶部に記憶された検量線に基づき水分量を算出する水分算出部と、を備えることを特徴とする。 本発明は、前記洗浄剤中に持ち込まれる汚れ成分を考慮して、前記洗浄剤の密度、屈折率および水分量の相関関係に基づき検量線を作成するため、水分量を測定したい洗浄剤の密度と屈折率を測定するだけで、洗浄剤中の汚れ成分の有無にかかわらず正確な水分量を簡易に測定できるという効果を奏する。図1は、本発明の実施の形態にかかる洗浄剤の水分測定装置の概略を示すブロック図である。図2は、本発明の実施の形態にかかる洗浄剤の水分測定方法によって算出した水分量とKF法で求めた水分量との関係を示すグラフである。図3は、屈折率のみから作成した検量線に基づき算出した水分量とKF法で求めた水分量との関係を示すグラフである。図4は、密度のみから作成した検量線に基づき算出した水分量とKF法で求めた水分量との関係を示すグラフである。 従来、洗浄剤の静電容量、比重、または赤外線吸光度等により洗浄剤中の水分量が測定されているが、汚れ成分の洗浄剤中への持ち込みに起因する水分量の誤差については何ら考慮されていないか、考慮されていても正確な数値を算出できるものではなかった。 本発明者らは、洗浄剤中の水分量を測定するに当たり、洗浄剤中の主成分である水と溶剤、および洗浄剤中に持ち込まれる汚れ成分の物性値であって、水、汚れ成分および溶剤の各物性値が重なり合わず、かつ、洗浄剤中の水と汚れ成分の物性値が増減により異なる挙動を示すもの、すなわち、屈折率と密度に着目した。本発明者らは、汚れ成分非存在下、および/または存在下での洗浄剤の屈折率および密度と、水分量の相関関係に基づいて検量線を作成し、洗浄剤の密度と屈折率を測定するだけで、汚れ成分の洗浄剤中への持ち込みの有無にかかわらず、洗浄剤中の正確な水分量を簡易に測定可能であることを見出したものである。 洗浄剤の密度は、洗浄剤中の水分量が多くなると上昇し、また、汚れ成分が多くなっても上昇する。一方、洗浄剤の屈折率は、洗浄剤中の水分量が多くなると低下し、汚れ成分が多くなると上昇する。したがって、本発明にかかる洗浄剤の水分測定方法において、水分量および汚れ成分の増減により、洗浄剤の密度および屈折率が異なる挙動を示すため、洗浄剤の密度と屈折率、および対応する水分量から検量線を作成した場合、精度よく水分量を算出することができるものである。 以下に、本発明の実施の形態にかかる洗浄剤の水分測定方法および洗浄剤の水分測定装置について詳細に説明する。 本発明の実施の形態にかかる洗浄剤の水分測定方法は、水を1質量%以上50質量%未満の割合で含む洗浄剤(A)、または水を実質的に含まないが、汚れ成分由来の水分を洗浄剤中に混和可能な洗浄剤(B)中の水分測定方法であって、前記洗浄剤(A)または(B)の屈折率を測定する工程と、前記洗浄剤(A)または(B)の密度を測定する工程と、予め作成された前記洗浄剤(A)または(B)中に持ち込まれる汚れ成分の非存在下、および/または存在下における、水分量と屈折率および密度の相関関係に基づく検量線により水分量を算出する算出工程と、を含むことを特徴とする。 本発明の実施の形態において、洗浄剤(A)または(B)に使用する溶剤の密度は、水および洗浄する汚れ成分より低く、洗浄剤に使用する溶剤の屈折率は、水より大きく、洗浄する汚れ成分より小さいことが好ましい。洗浄剤(A)または(B)に使用する溶剤が混合物である場合は、混合溶剤の密度が、水および洗浄する汚れ成分より低く、混合溶剤の屈折率が水より大きく、洗浄する汚れ成分より小さければよい。 洗浄剤(A)または(B)に使用する溶剤の20℃における屈折率は、1.35〜1.46が好ましく、1.37〜1.44がより好ましい。前記溶剤の20℃における屈折率が1.35未満であると溶剤と水との屈折率の差が小さくなるために、洗浄液に各種の汚れ物質が混入したときの測定誤差が大きくなる。一方、前記溶剤の20℃における屈折率が1.46を超えると溶剤と汚れ物質との屈折率の差が小さくなるために、洗浄液に各種の汚れ物質が混入したときの測定誤差が大きくなる。 洗浄剤(A)または(B)に使用する溶剤の15℃における密度は、0.70〜0.95g/mLが好ましく、0.72〜0.93g/mLがより好ましい。前記溶剤の15℃における密度が0.70g/mL未満であると溶剤の引火点が低くなって危険となることがあり、0.95g/mLを超えると溶剤と汚れ物質との密度の差が小さくなるために、洗浄液に各種の汚れ物質が混入したときの測定誤差が大きくなる。 洗浄剤(A)の水分量は、1.0質量%〜50.0質量%である限り、本発明の水分測定方法により水分量を測定可能である。洗浄剤(A)の水分量は、使用により各種汚れ成分が持ち込まれた後においても、1.0質量%〜50.0質量%の範囲であることが好ましく、本発明の水分測定方法の対象となる洗浄剤(A)の水分量は、5.0質量%〜20.0質量%であるものが好ましく適用され、5.0質量%〜15.0質量%がより好ましく、5.0質量%〜10.0質量%が特に好ましく適用される。 水を1質量%以上50質量%未満の割合で含む洗浄剤(A)は、水および水と溶解可能な極性溶剤から主としてなる洗浄剤(A1)、または水、非極性溶剤および界面活性剤から主としてなる洗浄剤(A2)であることが好ましい。 洗浄剤(A1)に使用される水と溶解可能な極性溶剤としては、たとえば、アルコール、エステル、グリコールエーテル、ケトン、アミドなど工業用洗浄剤の基材として使用されている有機溶剤から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、シクロヘキサノール酢酸−n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸−2−エチルヘキシル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ−ブチルラクトン、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−i−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−i−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。これらを1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、上記の水と溶解可能な極性溶剤は、水と任意な割合で溶解すれば、水と溶解しない非極性溶剤と混合物であってもよい。 水および水と溶解可能な極性溶剤から主としてなる洗浄剤(A1)の市販品としては、例えば、“ファイントップ”(登録商標)J210((株)クラレ)が例示される。 水および水と溶解可能な極性溶剤から主としてなる洗浄剤(A1)において、水分量が所定値以下となった場合には引火の危険性があり、水分量が所定値以上となった場合には洗浄力が低下する。本発明により洗浄剤(A1)中の水分量を簡易、かつ正確に測定することにより、水分量が所定値以下となった場合には、洗浄剤(A1)中に水分を添加して引火の危険性を回避できるとともに、水分量が所定値以上となった場合には、洗浄剤(A1)の交換等により洗浄不良を防止することができる。 水、非極性溶剤および界面活性剤を主として含む洗浄剤(A2)は、W/Oエマルション、またはW/Oマイクロエマルションを形成するものであることが好ましい。洗浄剤(A2)は、W/Oエマルション、またはW/Oマイクロエマルションを形成するものであれば、水の配合量は問わないが、1質量%以上50質量%未満の割合で含むものであることが好ましい。 洗浄剤(A2)に使用される非極性溶剤としては、たとえば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、テルペンなど工業用洗浄剤の基材として使用されている有機溶剤から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ノルマルオクタン、ノルマルノナン、ノルマルデカン、ノルマルウンデカン、ノルマルドデカン、イソオクタン、イソノナン、イソデカン、イソウンデカン、イソドデカン、メチルシクロヘキサン、インデン、インダン、デカリン、テトラリン、炭素数8〜18のオレフィン、アルキルシクロペンタン、アルキルシクロヘキサン、アルキルベンゼン、炭素数10〜18のアルキルインデン、アルキルインダン、炭素数11〜18のアルキルデカリン、アルキルテトラリン、アルキルナフタレン、ミルセン、セレン、オシメン、ピネン、リモネン、カンフェン、テルピノーレン、トリシクレン、テルピネン、フェンチェン、フェランドレン、シルベストレン、サピアン、p−メンテン−1、p−メンテン−3、p−サイメン、p−メンタン、ナフサ、ケロシンなどが挙げられる。これらを1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、W/Oエマルション、またはW/Oマイクロエマルションを安定して形成できれば、非極性溶剤に極性溶剤を配合して使用してもよい。 洗浄剤(A2)に使用される界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪酸モノカルボン酸塩、N−アシロイルグルタミン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物、スルホこはく酸ジアルキルエステル、硫酸アルキル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、リン酸アルキル塩、アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、N,N−ジメチル−N−アルキルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド等の界面活性剤が挙げられる。これらを1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。洗浄剤(A2)中の界面活性剤の配合量は、W/Oエマルション、またはW/Oマイクロエマルションを形成するものであれば制限されるものではないが、20質量%以下であることが好ましい。 水、非極性溶剤および界面活性剤を主として含む洗浄剤(A2)の市販品としては、例えば、W/Oマイクロエマルション型洗浄剤の“NSクリーン”(登録商標)100M、220M(JX日鉱日石エネルギー(株))が例示される。 水、非極性溶剤および界面活性剤を主として含む洗浄剤(A2)において、水分量が所定範囲外となった場合、洗浄力が低下する。本発明により洗浄剤(A2)中の水分量を簡易、かつ正確に測定することにより、水分量が所定値以下となった場合には、洗浄剤(A1)中に水分を添加して洗浄力を回復するとともに、水分量が所定値以上となった場合には、洗浄剤(A2)の交換、洗浄剤(A2)の静置や加熱等による水分除去により洗浄不良を防止することができる。 また、本発明は、水を実質的に含まないが、汚れ成分由来の水分を洗浄剤中に混和可能な洗浄剤(B)の水分量の測定にも適用可能である。ここで、「汚れ成分由来の水分を洗浄剤中に混和」とは、洗浄剤中に水が溶解するか、または洗浄剤中に水が安定して分散している状態を意味する。 水を実質的に含まないが、汚れ成分由来の水分を洗浄剤中に混和可能な洗浄剤(B)としては、たとえば、極性溶剤と非極性溶剤から主としてなる洗浄剤(B1)、非極性溶剤と界面活性剤から主としてなる洗浄剤(B2)が例示される。洗浄剤(B)で使用する極性溶剤、非極性溶剤、界面活性剤は、洗浄剤(A)で使用する極性溶剤、非極性溶剤、界面活性剤と同様のものを使用することができる。 洗浄剤(B)の市販品としては、例えば、“NSクリーン”(登録商標)100R、100W、220W(JX日鉱日石エネルギー(株))が例示される。 また、本発明の実施の形態にかかる洗浄剤(A)または(B)には、上記した成分から主としてなるものであれば、各種の添加剤などを含有しても良い。なお、本明細書において、「主としてなる」とは、洗浄剤中の例示した成分の割合が、90.0質量%以上であることを意味する。 添加剤としては、防錆剤、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤、アルカリ剤、漂白剤、着臭剤等が挙げられる。防錆剤は、例えば、ペンタエリスリトールモノエステル、ソルビタンモノオレート等の脂肪酸エステル系防錆剤、アミン、アミン塩等のアミン系防錆剤、芳香族カルボン酸、アルケニルコハク酸、ナフテン酸塩等のカルボン酸系防錆剤、石油スルホネート等の有機スルホン酸系防錆剤、有機リン酸エステル系防錆剤、酸化パラフィン系防錆剤等が例示される。 洗浄剤(A)または(B)の屈折率の測定は、温度補償機能を有していれば、市販のいずれの屈折計も使用可能である。 洗浄剤(A)または(B)の密度の測定は、差圧式、浮子式、振動式、放射線式等いずれの原理を利用した密度計を使用してもよいが、洗浄装置においてオンラインで測定する場合には、差圧式または振動式の密度計が好ましい。本発明で使用する密度計も、屈折計と同様に、温度補償機能を有しているものが好ましい。 検量線は、慣用の手法を用いて作成することができる。すなわち、洗浄剤の屈折率と密度を測定するとともに、洗浄剤中への水分の配合量またはKF法による水分量との相関関係を表す、下記(1)式(回帰式)を作成すればよい。 W=A×R+B×D+C ・・・(1)(式(1)において、Wは水分量(質量%)、Rは屈折率、Dは密度(g/mL)、A、B及びCは定数である)においてA、B及びCを決定する。式(1)の検量線(回帰式)を用いれば、水分量が未知の洗浄剤の屈折率と密度から水分量を正確かつ簡易に求めることができる。なお、屈折率の測定温度は特に限定されないが、式(1)の検量線で水分量を算出する場合、正確な水分量を算出する観点から、所定の温度(例えば、20℃)における換算値を使用することが望ましい。密度の測定温度も特に限定されないが、正確な水分量を算出する観点から、式(1)の検量線では所定の温度(例えば、15℃)における換算値を使用することが望ましい。また、式(1)の検量線には静電容量、電気伝導度、赤外線吸光度、濁度等の項を含めることもできる。 本発明にかかる洗浄剤の水分量は、各種の屈折計、密度計等を用いてマニュアルで測定することも可能であるが、図1に示すような測定装置により測定することも可能である。図1は、本発明の実施の形態にかかる洗浄剤の水分測定装置100の概略をブロック図に示したものである。図1に示すように、水分測定装置100は、洗浄剤の屈折率を測定する屈折率測定部1と、洗浄剤の密度を測定する密度測定部2と、予め作成された洗浄剤の水分量と屈折率および密度の相関関係に基づく検量線を記憶する記憶部3と、屈折率測定部1および密度測定部2により測定された洗浄剤の屈折率および密度を使用し、記憶部3に記憶された検量線に基づき水分量を算出する水分算出部4と、水分算出部4が算出した洗浄剤の水分量を出力する出力部5と、各部を制御する制御部6とを備える。 記憶部3に記憶される検量線は、クライアントの洗浄条件(洗浄する汚れ成分)に合わせて作成された検量線であることが望ましいが、汚れ成分による補正がされない検量線、すなわち、汚れ成分非存在下で作成した検量線を記憶し、その後、ランニングの際に取得した、屈折率、密度および対応する水分値により検量線を補正して使用することもできる。 また、洗浄装置のライン上に水分測定装置100を取り付けることにより、水分算出部4が算出した水分値に基づき、水分値が所定値以下と算出された場合には、洗浄装置に接続された水分供給ラインから水分を洗浄装置に供給したり、水分値が所定値以上と算出された場合には、洗浄装置内の洗浄液の入れ替えや、洗浄液からの水分除去を自動的に行うようにすることもできる。 以下に実施例により本発明の実施態様を例示するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。(実施例1) 脂肪族炭化水素に界面活性剤と水(10質量%)とを配合したW/Oマイクロエマルション型洗浄剤である“NSクリーン”(登録商標)100M(JX日鉱日石エネルギー(株)製、試料No.1)、“NSクリーン”(登録商標)100Mと界面活性剤量は同一で、水分の配合量が5質量%である試料No.2に、表1に示す各種汚れ成分を添加した試料(No.3〜No.12)を調製し、20℃における屈折率と15℃における密度とKF法による水分量を測定した。各試料(No.3〜No.12)の汚れ成分濃度および水分量は、試料No.1および/または試料No.2に、各種汚れ成分と必要に応じて水分を添加することにより調整した。*1 スーパーマルパスDX150、JX日鉱日石エネルギー(株)製*2 ユニソルブルEM、JX日鉱日石エネルギー(株)製*3 ユニソルブルCS、JX日鉱日石エネルギー(株)製*4 ダフニーサーミックオイル32、出光興産(株)製 実施例1で測定した屈折率、密度および水分量の相関関係を表す検量線(回帰式)を作成し、作成した検量線と屈折率および密度を用いて水分量を算出した。表2に“NSクリーン”(登録商標)100Mをベースとした試料の屈折率、密度および水分量の相関関係を表す検量線から得た水分量とKF法で測定した水分量を示す。また、図2は、本発明にかかる水分測定方法によって算出した洗浄剤の水分量と、KF法で求めた水分量との関係を示すグラフである。図2中の×印が“NSクリーン”(登録商標)100Mをベースとした試料である。図2に示すように、本発明にかかる水分測定方法によって算出した洗浄剤の水分量と、KF法で求めた水分量とは相関がとれていることがわかる。本発明にかかる水分測定方法から得た洗浄剤(NSクリーン100M)の水分量と、KF法により測定した水分量との重相関は、0.9742であった。(実施例2) 脂肪族炭化水素に界面活性剤と水(10質量%)とを配合したW/Oマイクロエマルション型洗浄剤である“NSクリーン”(登録商標)220M(JX日鉱日石エネルギー(株)製、試料No.13)、“NSクリーン”(登録商標)220Mと界面活性剤量は同一で、水分の配合量が5質量%である試料No.14に、表3に示す各種汚れ成分を添加した試料(No.15〜No.23)を調製し、20℃における屈折率と15℃における密度とKF法による水分量を測定した。各試料(No.15〜No.23)の汚れ成分濃度および水分量は、試料No.13および/または試料No.14に、各種汚れ成分と必要に応じて水分を添加することにより調整した。*1 スーパーマルパスDX150、JX日鉱日石エネルギー(株)製*2 ユニソルブルEM、JX日鉱日石エネルギー(株)製*3 ユニソルブルCS、JX日鉱日石エネルギー(株)製*4 ダフニーサーミックオイル32、出光興産(株)製 実施例2で測定した屈折率、密度および水分量の相関関係を表す検量線(回帰式)を作成し、作成した検量線と屈折率および密度を用いて水分量を算出した。表4に“NSクリーン”(登録商標)220Mをベースとした試料の屈折率、密度および水分量の相関関係を表す検量線から得た水分量とKF法で測定した水分量を示す。また、図2は、本発明にかかる水分測定方法によって算出した洗浄剤の水分量と、KF法で求めた水分量との関係を示すグラフである。図2中の○印が“NSクリーン”(登録商標)220Mをベースとした試料である。図2に示すように、本発明にかかる水分測定方法によって算出した洗浄剤の水分量と、KF法で求めた水分量とは相関がとれていることがわかる。本発明に係る水分測定方法から得た洗浄剤(NSクリーン220M)の水分量と、KF法により測定した水分量との重相関は、0.9774であった。(比較例1) 実施例1で測定した屈折率および水分量の相関関係を表す検量線(回帰式)を作成し、作成した検量線と屈折率とを用いて水分量を算出した。表5に“NSクリーン”(登録商標)100Mをベースとした試料の屈折率および水分量の相関関係を表す検量線から得た水分量とKF法で測定した水分量を示す。また、図3は、屈折率のみから作成した検量線に基づき算出した水分量とKF法で求めた水分量との関係を示すグラフである。図3中の×印が“NSクリーン”(登録商標)100Mをベースとした試料である。図3に示すように、屈折率のみから作成した検量線に基づき算出した水分量は、KF法で求めた水分量とは相関がとれていないことがわかる。屈折率と水分量の相関関係による検量線から得た洗浄剤(NSクリーン100M)の水分量と、KF法により測定した水分量との重相関は、0.3709であった。(比較例2) 実施例1で測定した密度および水分量の相関関係を表す検量線(回帰式)を作成し、作成した検量線と密度とを用いて水分量を算出した。表6に“NSクリーン”(登録商標)100Mをベースとした試料の密度および水分量の相関関係を表す検量線から得た水分量とKF法で測定した水分量を示す。また、図4は、密度のみから作成した検量線に基づき算出した水分量とKF法で求めた水分量との関係を示すグラフである。図4中の×印が“NSクリーン”(登録商標)100Mをベースとした試料である。図4に示すように、密度のみから作成した検量線に基づき算出した水分量は、KF法で求めた水分量とは相関がとれていないことがわかる。密度と水分量の相関関係による検量線から得た洗浄剤(NSクリーン100M)の水分量と、KF法により測定した水分量との重相関は、0.3942であった。(比較例3) 実施例2で測定した屈折率および水分量の相関関係を表す検量線(回帰式)を作成し、作成した検量線と屈折率とを用いて水分量を算出した。表7に“NSクリーン”(登録商標)220Mをベースとした試料の屈折率および水分量の相関関係を表す検量線から得た水分量とKF法で測定した水分量を示す。また、図3は、屈折率のみから作成した検量線に基づき算出した水分量とKF法で求めた水分量との関係を示すグラフである。図3中の○印が“NSクリーン”(登録商標)220Mをベースとした試料である。図3に示すように、屈折率のみから作成した検量線に基づき算出した水分量は、KF法で求めた水分量とは相関がとれていないことがわかる。屈折率と水分量の相関関係による検量線から得た洗浄剤(NSクリーン220M)の水分量と、KF法により測定した水分量との重相関は、0.3965であった。(比較例4) 実施例2で測定した密度および水分量の相関関係を表す検量線(回帰式)を作成し、作成した検量線と密度とを用いて水分量を算出した。表8に“NSクリーン”(登録商標)220Mをベースとした試料の密度および水分量の相関関係を表す検量線から得た水分量とKF法で測定した水分量を示す。また、図4は、密度のみから作成した検量線に基づき算出した水分量とKF法で求めた水分量との関係を示すグラフである。図4中の○印が“NSクリーン”(登録商標)220Mをベースとした試料である。図4に示すように、密度のみから作成した検量線に基づき算出した水分量は、KF法で求めた水分量とは相関がとれていないことがわかる。密度と水分量の相関関係による検量線から得た洗浄剤(NSクリーン220M)の水分量と、KF法により測定した水分量との重相関は、0.4519であった。 以上のように、本発明にかかる洗浄剤の水分測定方法および洗浄剤の水分測定装置は、汚れ成分が持ち込まれる洗浄剤の水分測定に有用であり、特に、洗浄剤の水分量により洗浄性能が変動するW/Oマイクロエマルション型洗浄剤の水分測定に適している。 1 屈折率測定部 2 密度測定部 3 記憶部 4 水分算出部 5 出力部 6 制御部 100 水分測定装置 水を1質量%以上50質量%未満の割合で含む洗浄剤(A)、または水を実質的に含まないが、汚れ成分由来の水分を洗浄剤中に混和可能な洗浄剤(B)中の水分測定方法であって、 前記洗浄剤(A)または(B)の屈折率を測定する工程と、 前記洗浄剤(A)または(B)の密度を測定する工程と、 予め作成された前記洗浄剤(A)または(B)の水分量と屈折率および密度の相関関係に基づく検量線により水分量を算出する算出工程と、 を含むことを特徴とする洗浄剤の水分測定方法。 前記洗浄剤(A)は、水および水と溶解可能な極性溶剤から主としてなる洗浄剤(A1)、または水、非極性溶剤および界面活性剤から主としてなる洗浄剤(A2)であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄剤の水分測定方法。 前記極性溶剤および前記非極性溶剤の密度は、水および洗浄する汚れ成分より低く、前記極性溶剤および前記非極性溶剤の屈折率は、水より大きく、洗浄する汚れ成分より小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄剤の水分測定方法。 前記洗浄剤(A)で洗浄する汚れ成分は、油性および/または水性の加工油であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の洗浄剤の水分測定方法。 水を1質量%以上50質量%未満の割合で含む洗浄剤(A)、または水を実質的に含まないが、汚れ成分由来の水分を洗浄剤中に混和可能な洗浄剤(B)中の水分測定装置であって、 前記洗浄剤(A)または(B)の屈折率を測定する屈折率測定部と、 前記洗浄剤(A)または(B)の密度を測定する密度測定部と、 予め作成された前記洗浄剤(A)または(B)の水分量と屈折率および密度の相関関係に基づく検量線を記憶する記憶部と、 前記屈折率測定部および前記密度測定部により測定された前記洗浄剤(A)または(B)の屈折率および密度を使用し、前記記憶部に記憶された検量線に基づき水分量を算出する水分算出部と、 を備えることを特徴とする洗浄剤の水分測定装置。 【課題】簡易かつ正確に洗浄剤中の水分量を測定できる洗浄剤の水分測定方法および洗浄剤の水分測定装置を提供する。【解決手段】洗浄剤の水分測定方法は、水を1質量%以上50質量%未満の割合で含む洗浄剤(A)、または水を実質的に含まないが、汚れ成分由来の水分を洗浄剤中に混和可能な洗浄剤(B)中の水分測定方法であって、前記洗浄剤(A)または(B)の屈折率を屈折率測定部1により測定する工程と、前記洗浄剤(A)または(B)の密度を密度測定部2により測定する工程と、予め作成された前記洗浄剤(A)または(B)の水分量と屈折率および密度の相関関係に基づく検量線により水分量を水分算出部4により算出する算出工程と、を含むことを特徴とする。【選択図】図1


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