タイトル: | 公開特許公報(A)_ヒドロキシチロソールの調製方法 |
出願番号: | 2014013462 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C07C 37/055,C07C 39/11 |
ベンノ・クリューガー ゲーラルト・フライシュマン ヘルマン・ペーテルゼン JP 2014172907 公開特許公報(A) 20140922 2014013462 20140128 ヒドロキシチロソールの調製方法 ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト 390008969 Wacker Chemie AG 特許業務法人川口國際特許事務所 110001173 ベンノ・クリューガー ゲーラルト・フライシュマン ヘルマン・ペーテルゼン DE 10 2013 203 753.8 20130305 C07C 37/055 20060101AFI20140826BHJP C07C 39/11 20060101ALI20140826BHJP JPC07C37/055C07C39/11 10 OL 13 4H006 4H006AA02 4H006AC42 4H006AD11 4H006AD16 4H006BB10 4H006BB11 4H006BB17 4H006BC10 4H006BC11 4H006BC16 4H006BC31 4H006FC52 4H006FE11 4H006FE13 本発明は、ヒドロキシチロソール(3,4−ジヒドロキシフェニルエタノール)の調製方法に関する。 ヒドロキシチロソールは、有効な抗酸化剤であり、健康についてのその肯定的な効果のために、近年大きな関心を呼んでいる。ヒドロキシチロソールは、地中海式ダイエットの活性成分である。欧州食品安全機関(EFSA)は、オリーブ由来のポリフェノールを肯定的な健康強調表示(Health Claim)に値するものであると確認し、少なくとも5mgのヒトロキシチロソールの日用量を推奨している。ヒドロキシチロソールの抗炎症効果もまた記載されている。さらに、インビトロでのヒドロキシチロソールは、ビブリオ(Vibrio)属、サルモネラ(Salmonella)属またはスタフィロコッカス(Staphylococcus)属の一部の菌株などの気道および消化管の病原体に対して、抗菌性を有すること、ならびに使用されるその用量は、例えばアンピシリンなどの抗生物質の抗菌性と確実に競合できることを示す研究が存在している。さらに、この物質は、神経保護効果ならびに抗増殖およびアポトーシス促進効果に属すると考えられている。これらの特性から、ヒドロキシチロソールは、非常に興味深く、研究がよくなされた物質となっており、医薬品、栄養補助食品、機能性食品に、および化粧品においても使用されている。 これまで市場で利用されてきたヒドロキシチロソールは、大部分がオリーブ、オリーブ葉または排水に由来し、オリーブオイルの製造中に生成され、抽出物の形態で供給される。これらの生成物中のヒドロキシチロソールの割合は、ほとんどの場合非常に小さい。これらの例は、12%未満のヒドロキシチロソール含有量のHIDROX(商標)または約4.5%のヒドロキシチロソールを含むOPEXTAN(商標)である。 オリーブからの天然ヒドロキシチロソールの分離に加えて、非常に多くの方法が、この物質を合成的に調製するために記載されている。例えば、WO2008/107109は、パラジウム/炭素などの触媒を利用した、4−(クロロアセチル)−1,2−ジヒドロキシベンゼン(4−(クロロアセチル)カテコール)の還元により調製する方法を記載している。しかしながら、出発化合物4−(クロロアセチル)カテコールの調製は、高い温度および長い反応時間を必要とする。 WO2007/009590A1は、3,4−ジヒドロキシマンデル酸を経たヒドロキシチロソールの調製方法を記載し、これは、パラジウム/炭素などの金属触媒により水素化されて、3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸を与える。その後、ヒドロキシチロソールへの還元が行われる。実施例によると、得られたヒドロキシチロソールは、67.9%から93.8%の間の純度を有している。再結晶による純粋な収率を明記せずに、98%の純度を有する生成物を記載した一つの実施例は別にして、3,4−ジヒドロキシマンデル酸エステルから得られた前駆体の3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸メチルは、51.2%から83.5%の間の純度を有する生成物として記載されている。 KR2007 038702Aの要約は、スチレンオキシド誘導体を介した合成を記載している。この出発物質は、活性炭上のパラジウムなどの、貴金属触媒の存在下で水素化される。エポキシドは、変異原性作用または発がん作用の点で許容されておらず、このことは、最終生成物中の微量のエポキシドが、食品分野での使用について問題があることを意味する。特定の水素化反応において、ヒドロキシチロソールのエステルまたは酸類似体は還元される。不都合なことに、ニッケルなどの貴金属触媒または毒性触媒が、この目的のために必要とされる。 WO2008/110908A1は、チロソールから開始する方法を記載している。その方法において、まずヒドロキシエチル基が、様々な試薬によって保護され、次に、第二のヒドロキシ基が、ヨード安息香酸の誘導体を用いて、ヒドロキシエチルが保護されたチロソール誘導体中の芳香環へ挿入される。出発物質チロソールおよび酸化剤は、ともに非常に高価な化合物である。反応は、供給材料が多いため複雑である。異なる方法により得られたヒドロキシチロソールの純度に関する詳細は、全く存在していない。 WO2009/153374は、サフロールから開始する調製方法を記載している。反応において使用されるサフロールおよびHMPTはともに発がん性であり、このことは、不純物の恐れがあるため、この方法が栄養補助食品の製造には不向きであることを意味している。 WO2012/003625は、低温でのオイゲノールのオゾン分解、およびその後の、得られた生成物の還元による、ヒドロキシチロソールの調製を記載している。次に、脱メチル化がルイス酸およびメルカプタンを利用して行われる。低温オゾン分解は、フェノール基の酸化などの副反応を排除することができない、高価な反応工程である。メルカプタンなどの非常に悪臭な物質を利用し、その上容易でない脱メチル化は、栄養補助食品として使用される生成物の調製を困難にする。両反応工程は、明らかに、不純物を含む生成物を生成し、これらは赤色の油状物として記載されている。 WO2012/006783A1は、フェノール基の保護後にハロゲン化される、低コストのピロカテコールから開始するヒドロキシチロソールの調製を記載している。ハロゲン化された保護ピロカテコールは、次に、マグネシウムと反応させて、対応するグリニャール化合物が得られ、これをエチレンオキシドと反応させて、ヒドロキシエチル基を芳香環へ導入する。脱メチル化は、エタンチオール(エチルメルカプタン)塩化アルミニウムを利用して、またはPd/CおよびH2を利用したベンジルエーテルの水素化分解により、行われる。 以上三つの記載された方法については、三工程のそれぞれについて精製はかなり複雑である。さらに、エトキシ化は、相当な過剰量のエチレンオキシドを用いて行われるため、オリゴマーのグリコール単位を形成する可能性が高い。保護基に応じて、脱メチル化は、問題が既に説明されているルイス酸およびエチルメルカプタン、または水素化分解により行われる。ヒドロキシチロソールの収率は、三つの記載された方法において、32%から70%である。得られた生成物は、黄色から赤色の油状物であり、相当な不純物を示唆している。微量の発がん性エチレンオキシドに起因する不純物の可能性は、栄養補助食品部門における使用にとって問題である。 CN102344344の要約は、3,4−ジアルコキシフェニル酢酸アルキルエステル(アルキルC1−C5およびベンジル)が、アルコール中のナトリウムを利用して、一工程で還元され、脱メチル化される方法を記載している。この方法の利点はワン・ポット反応であるが、アルコール中のナトリウムを利用したアリールエーテルの開裂は、酸素および芳香環の間のアリールエーテルの開裂もまた発生するため、相当な副生成物の形成を伴うことが知られている。実施例において、収率は最大50%である。全ての実施例において、カラムクロマトグラフィーによる精製が必要とされる。 CN101891595の要約は、精製の複雑さおよび不純物が不明のヒドロキシチロソールを調製する非常に複雑な四つの工程を記載している。 水素化ジイソブチルアルミニウムを利用した、2,2−ジアルキル−1,3−ベンゾジオキソール誘導体の還元的開裂が、G.Schillら、Chem.Ber.113、3697−3705頁、1980年により記載されている。カテコールアセタールの開裂について、モル比で、13倍以上の量の水素化ジイソブチルアルミニウムが使用されている。 A.Gambacorta、D.Tofani,A.Migliorini、Molecules 2007年12月、1762−1770頁は、3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸メチルから開始する、三段階のヒドロキシチロソール合成を記載している。この方法は複雑であり、3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸メチルは、標準的な市販物質ではなく、この参照文献によると、それ自体、多段法により調製しなければならない。国際公開第2008/107109号国際公開第2007/009590号韓国特許第2007 038702号明細書国際公開第2008/110908号国際公開第2009/153374号国際公開第2012/003625号国際公開第2012/006783号中国特許第102344344号明細書中国特許第101891595号明細書G.Schillら、Chem.Ber.113、3697−3705頁、1980年A.Gambacorta、D.Tofani,A.Migliorini、Molecules 2007年12月、1762−1770頁 本発明の目的は、容易にかつ高純度でヒドロキシチロソールを調製することを可能にする、効率的でかつ低コストの方法を提供することであった。 この目的は、一般式(1)の化合物(式中、XはCH2OHまたはCH2OM(M=Li、Na、K、Mg、Ca)であり、R1およびR2は、同一でありまたは異なり、1から8個の炭素原子を有するアルキル基、ベンジル基、アルキル置換もしくはハロゲン置換ベンジル基、またはアリールアルキル基であり、ここで、R1およびR2は、を介して連結することもでき、環が得られ、R3、R4、R5およびR6は、同一でありまたは異なり、水素または1から6個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、アルキル置換アリール基であり、ここで、R5およびR6は、−(CH2)4−、−(CH2)5−または(CH2)6−を介して連結することもでき、環が得られる。)が、式(2)AlR7R8R9(2)のアルミニウム化合物(式中、R7、R8およびR9は、同一でありまたは異なり、Hまたは1から8個の炭素原子を有するアルキル基である。)と反応し、次に、pH<3の透明な均質の酸性溶液が形成されるような量で、ヒドロキシカルボン酸の水溶液が加えられ、有機溶媒を利用して、この水性の透明な均質の酸性溶液からヒドロキシチロソールが抽出され、有機溶媒が除去される方法により達成される。 本発明による方法において、還元条件は、反応全体の間に行き渡っている。その結果、敏感なヒドロキシチロソールの酸化は起こらない。さらに、これらの条件下で、2−フェニルエタノール基からの水の脱離などの二次反応は起こらない。この方法から得られたヒドロキシチロソールは、無色透明な液体である。 好ましくは、XはCH2OHである。 好ましくは、R1、R2は同一でありまたは異なり、1または2個の炭素原子を有するアルキル基である。 アルキル置換ベンジル基は、好ましくは、2、3または4位においてメチル基で置換されたベンジル基である。 アリールアルキル基は、例えば、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、トリルエチル基である。 好ましくは、R3、R4、R5およびR6は、同一でありまたは異なり、水素または1または2個の炭素原子を有するアルキル基である。 アルキル置換アリール基は、好ましくは、2、3または4位においてメチル基で置換されている。 アリールアルキル基は、例えば、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、トリルエチル基である。 式(1)の化合物は、好ましくは、2−(3,4−ジアルコキシ)フェニルエタノール、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エタノール、2−(2,2−ジアルキルベンゾ[1,3]−ジオキソール−5−イル)エタノール、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)エタノール、および前述のアルコールの塩の群から選択される化合物である。 2−(3,4−ジメトキシ)フェニルエタノールまたは2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エタノールが特に好ましい。 式(2)の化合物は、好ましくは、水素化ジイソブチルアルミニウムまたはトリイソブチルアルミニウムである。 反応は、好ましくは、1013hPaの圧力に基づいて0℃から200℃の間の温度で、特に好ましくは、1013hPaの圧力に基づいて20℃から170℃の間の温度で行われる。 反応は、好ましくは、1から25時間の期間にわたって、特に好ましくは5から20時間の期間にわたって行われる。 好ましくは、式(1)の化合物および式(2)の化合物は、1:3から1:6の式(1)の化合物対式(2)の化合物のモル比で用いられる。好ましくは、1:3から1:4である。式(1)の化合物が、不足して、すなわち、1molの化合物2に基づいて、1:3mol未満の化合物1で用いられる場合、形成された反応生成物は、ヒドロキシチロソール(2−(3−ヒドロキシ−4−アルコキシ)フェニルエタノールおよび2−(4−ヒドロキシ−3−アルコキシ)フェニルエタノールの二つのモノエーテルのみでありおよび未反応ジエーテル(2−(3,4−ジアルコキシ)フェニルエタノール)である。(2−(3,4−ジメトキシ)フェニルエタノール)を反応させる場合、形成された副生成物は、2−(3−ヒドロキシ−4−メトキシ)フェニルエタノールおよび2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ)フェニルエタノールのみである。これらの化合物はまた、天然のオリーブ抽出物または天然のオリーブ油中にも存在し、ヒドロキシチロソールの代謝物として発生する。 式(1)の化合物と式(2)のアルミニウム化合物との反応は、好ましくは、有機溶媒中で起こる。反応に適した溶媒は、脂肪族または芳香族炭化水素であり、直鎖、分枝または環状であっても良い。それは、好ましくは芳香族炭化水素である。特に好ましいのは、トルエン、キシレン(全ての異性体)、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン(全ての異性体)、1,3,5−トリメチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン(クメン)、ブチルベンゼンまたはインダンなどの環状アルキルベンゼン、C1またはC2アルキルナフタレンまたは例えばテトラリンなどの部分的に水素化されたナフタレンを与えることである。 本発明による方法の一部は、複雑な精製工程もなく、純粋なヒドロキシチロソールを直接導く、生成反応混合物の単純な後処理プロセスである。驚くべきことに、得られた反応混合物をヒドロキシカルボン酸の水溶液で後処理すると、ヒドロキシチロソールは、次に有機抽出剤で通常の方法によって事実上定量的に酸性水溶液相から抽出できることが見出された。 まず、反応が完了したとき、反応混合物を、好ましくは、ヒドロキシカルボン酸の水溶液と混合する。 ヒドロキシカルボン酸の水溶液は、好ましくは、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸または酒石酸の水溶液である。 好ましくは、水溶液は、5から50%(体積/体積)の濃度で、ヒドロキシカルボン酸を含む。 ここで起こることは、ヒドロキシチロソールが有機相から水相へ移行し、疎水性不純物が有機相中に残留しているということである。 ヒドロキシチロソールを、次に、有機溶媒を使用して、水相から抽出する。その結果、アルミニウム塩は、ヒドロキシチロソールから分離される。 抽出剤は、好ましくは、エーテル、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、アセタール、ケタール、アルコールまたはアルキルアミンである。好ましいのは、エーテルまたはカルボン酸エステルである。 ここで特に好適なのは、<100℃の沸点を有する水との共沸混合物を形成する化合物であり、溶媒を蒸留する際に、有機相中に存在している水が除去されることである。 特に好ましいのは、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、特に好ましくは酢酸エチルなどのカルボン酸エステルを使用することである。 例えば、蒸留により抽出剤を除去した後、ヒドロキシチロソールは、好ましくは収率>80%、特に好ましくは収率>90%であることを意味すると理解される高収率および高純度で得られる。 式(1)の化合物は、商業的に入手可能である、または2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)酢酸、2−(3,4−ジメトキシフェニル)酢酸およびそれらのアルキルエステル(分枝したアルキルC1−C4も)ならびにベンジルエステルなどの標準的商業原料から従来の還元方法により調製できる。 式(1)の化合物は、反応フラスコ内で生成することもでき、さらに直ちに反応させて、ヒドロキシチロソールを得ることができる。この場合、本発明による方法において、式(1)の化合物の代わりに、式(3)の化合物が用いられ、式中、XはCOOR10であり、R1およびR2は、式(1)の化合物について与えられている意味を有し、R10はH、C1−C4アルキル基、ベンジル基、好ましくはH、メチル基、エチル基である。 式(3)の化合物は、好ましくは、2−(3,4−ジアルコキシ)フェニル酢酸、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)酢酸、2−(2−アルキルベンゾ[1.3]ジオキソール−5−イル)酢酸、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)酢酸、およびC1−C4アルキルまたは、前述の酸のベンジルエステルである。 2−(3,4−ジアルコキシ)フェニル酢酸またはそれらのメチルもしくはエチルエステル、および2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)酢酸またはそれらのメチルもしくはエチルエステルが、特に好ましい。 還元および脱アルキル化は、例えば水素化ジイソブチルアルミニウムなどの、基(R7、R8またはR9)の少なくとも一つがHである、式(2)の化合物を用いた一工程で、またはワン・ポットプロセスで二つの異なる試薬を順次用いるかのいずれかで行われる。上記第二の場合において、例えば、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムなどのアルコキシアルミネートなどの還元剤を用いて、還元工程が最初に起こり、式(1)の化合物が得られ、式(2)の化合物を用いて、式(1)の化合物について記載したように、脱アルキル化が起こる。 還元はまた脱アルキル化と異なる溶媒中で行うことができるが、還元および脱アルキル化は、同じ溶媒中で行うことができ、溶媒交換は、式(1)の物質または中間体として得られたそれらの塩を単離することなく可能である。上記第一の場合において、本発明による方法のために既述した溶媒が好ましくは使用され、上記第二の場合において、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル、また、例えばテトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテルのような溶媒が使用される。さらなる後処理は、既に記載したように行われる。 本発明による方法は、数少ない合成工程で、高収率の単離されたヒドロキシチロソールを生成する。これに関して、高収率とは、>80%、好ましくは>90%の収率を意味すると好ましくは理解される。 この方法において好ましく使用される全ての材料は、低コストでいつでも商業的に入手可能である。特に有利なことは、商業的に安価に入手可能な出発材料である、2−(3,4−ジメトキシフェニル)酢酸およびまた2−(3,4−ジメトキシフェニル)酢酸エステルの使用、ならびに一合成工程の反応でヒドロキシチロソールが得られることである。 以下の実施例は、本発明をさらに説明するのに役立つ。a)式(1)の化合物を、そのまま使用する。[実施例1] 三口フラスコ、撹拌器、内部温度計、計量漏斗、還流冷却器および不活性ガス接続部を備えた装置において、25g(137mmol)の2−(3,4−ジメトキシフェニル)エタノールを56gのクメン中に懸濁させ、還流温度に加熱するが、その際、クメン中の21%濃度のトリイソブチルアルミニウム溶液を481g、6時間にわたり計量して入れる。反応混合物を、合計14時間の間、還流下で加熱する。冷却後、反応混合物を41.8%濃度のクエン酸水溶液256gの中に導入する。有機相を捨て、水相を150gのペンタンで、次いで酢酸エチルで数回抽出する。ペンタン相を捨て、酢酸エチル相を合わせ、50gのリン酸緩衝液pH7で洗浄し、酢酸エチルを蒸留により除去する。ヒドロキシチロソールの収量は19.5gであり、理論値の92%である。[実施例2] 5g(27.4mmol)の3,4−ジメトキシフェニルエタノールを、13mlのクメン中に懸濁させ、クメン中の21%濃度(=116mmol)の水素化ジイソブチルアルミニウム溶液79gを、20分にわたって冷却しながら(温度<30℃)計量して入れ、透明の溶液を得る。反応混合物を5時間150℃で加熱する。サンプル収集の結果、転化率は91.8%である。150℃でさらに3.5時間の後、混合物を冷却し、氷冷しながら混合物を40%濃度のクエン酸水溶液59gに加える。相を分離し、有機相を捨て、水相を30mlのペンタンで洗浄する。ペンタン相を捨てた後、水相を、50mlの酢酸エチルで4回抽出する。酢酸エチル相を合わせ、30gの水で1回洗浄する。次いで、酢酸エチルを、蒸留により除去する。ヒドロキシチロソールの収量は3.85gであり、91.1%である。 b)式(1)の化合物を、式(3)の化合物からフラスコ内で生成する。[実施例3] 三口フラスコ、撹拌器、内部温度計、計量漏斗、還流冷却器および不活性ガス接続部を備えた装置において、4.0g(19mmol)のメチル2−(3,4−ジメトキシフェニル)アセテートを4gのキシレン中に溶解し、40.5gのキシレン中に溶解した13.5g(95mmol)の水素化ジイソブチルアルミニウムを計量して入れる。添加が完了したとき、反応混合物を還流まで加熱する。20時間の還流後、混合物を冷却し、20%濃度のクエン酸溶液105gと冷却しながら混合する。キシレン相を捨て、水相をペンタンで1回抽出し、毎回50mlの酢酸エチルで3回抽出する。ペンタン相を捨て、酢酸エチル抽出物を合わせ、酢酸エチルを真空中で除去する。これにより、無色透明の油状物として、2.95g(理論値の88%)のヒドロキシチロソールが得られる。[実施例4] 使用する溶媒がジエチルベンゼンであり、反応温度が160℃であることを除き、実施例3と同様の操作を行う。4時間後、混合物を、実施例3に記載したように後処理する。収量:無色透明の油状物として、ヒドロキシチロソールが2.8g(93%)。[実施例5] 2.1g(10mmol)のメチル2−(3,4−ジメトキシフェニル)アセテートを30mlのトルエン中に溶解し、トルエン中の水素化リチウムアルミニウム−テトラヒドロフラン錯体1M溶液を10ml加える。38℃から50℃の1.5時間の反応後、反応混合物を、40mlのジエチルベンゼンと混合し、テトラヒドロフランおよびトルエンを、150℃の沸点に達するまで、蒸留する。冷却後、ジエチルベンゼン中の30%濃度の水素化ジイソブチルアルミニウム溶液を18g加え、次に反応混合物を5.5時間150℃で加熱する。後処理は、実施例3に記載したように行う。収率82%。[比較例1] クエン酸溶液の代わりに5%濃度の塩酸を用いて後処理を行ったことを除き、実施例3と同様の操作を行う。水相は不透明なゲルを形成し、それからは、ヒドロキシチロゾールを単離することができない。 一般式(1)の化合物(式中、XはCH2OHまたはCH2OM(M=Li、Na、K、Mg、Ca)であり、R1およびR2は、同一でありまたは異なり、1から8個の炭素原子を有するアルキル基、ベンジル基、アルキル置換もしくはハロゲン置換ベンジル基、またはアリールアルキル基であり、ここで、R1およびR2は、を介して連結することもでき、環が得られ、R3、R4、R5およびR6は、同一でありまたは異なり、水素または1から6個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、アルキル置換アリール基であり、ここで、R5およびR6は、−(CH2)4−、−(CH2)5−または(CH2)6−を介して連結することもでき、環が得られる。)が、式(2)AlR7R8R9(2)のアルミニウム化合物(式中、R7、R8およびR9は、同一でありまたは異なり、Hまたは1から8個の炭素原子を有するアルキル基である。)と反応し、次に、pH<3の透明な均質の酸性溶液が形成されるような量で、ヒドロキシカルボン酸の水溶液が加えられ、有機溶媒を利用して、この水性の透明な均質の酸性溶液からヒドロキシチロソールが抽出され、有機溶媒が除去される、ヒドロキシチロソールの調製のための方法。 一般式(1)の化合物が、2−(3,4−ジアルコキシ)フェニルエタノール、2−(3,4−メチレンジオキシ−フェニル)エタノール、2−(2,2−ジアルキルベンゾ[1,3]−ジオキソール−5−イル)エタノール、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)エタノールおよび前述のアルコールの塩の群から選択される、請求項1に記載の方法。 一般式(2)の化合物が、水素化ジイソブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムの群から選択される、請求項1または2に記載の方法。 式(1)の化合物および式(2)の化合物が、1:3から1:6、好ましくは1:3から1:4の式(1)の化合物対式(2)の化合物のモル比で使用される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。 1013hPaの圧力に基づいて、0℃から200℃の間の温度で、1から25時間の期間にわたり、反応が行われる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。 一般式(1)の化合物と、一般式(2)のアルミニウム化合物との反応が、有機溶媒中で行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。 上記有機溶媒が、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ブチルベンゼン、環状アルキルベンゼンおよび部分的に水素化されたナフタレンの群から選択される、請求項6に記載の方法。 ヒドロキシカルボン酸が、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸および乳酸の群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。 抽出に使用する有機溶媒が、エーテル、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、アセタール、ケタール、アルコールおよびアルキルアミンの群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。 抽出に使用する有機溶媒の除去が、蒸留によって行われる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。 【課題】容易に高純度でヒドロキシチロソールを調製することを可能にする、効率的で低コストの方法を提供。【解決手段】式(1)の化合物(XはCH2OHまたはCH2OM(M=Li、Na、K、Mg、Ca)であり、R1およびR2は、メチル基に代表される)と、式(2)AlR7R8R9(2)のアルミニウム化合物(R7、R8およびR9は、Hまたは1から8個の炭素原子を有するアルキル基)と反応し、次に、pH<3の透明な均質の酸性溶液が形成されるような量で、ヒドロキシカルボン酸の水溶液が加えられ、有機溶媒を利用して、この水性の均質な酸性溶液からヒドロキシチロソールが抽出され、有機溶媒が除去される、ヒドロキシチロソールの調製する。【選択図】なし