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タイトル:公開特許公報(A)_2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物および合成方法
出願番号:2014001150
年次:2015
IPC分類:C07D 233/58,C07D 409/04


特許情報キャッシュ

奥村 尚登 池田 雄一 JP 2015129100 公開特許公報(A) 20150716 2014001150 20140107 2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物および合成方法 四国化成工業株式会社 000180302 奥村 尚登 池田 雄一 C07D 233/58 20060101AFI20150619BHJP C07D 409/04 20060101ALI20150619BHJP JPC07D233/58C07D409/04 2 OL 16 4C063 4C063AA01 4C063BB01 4C063CC94 4C063DD25 4C063EE05 本発明は、新規な2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物および該イミダゾール化合物の合成方法に関する。 イミダゾール化合物は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の硬化剤や硬化促進剤として、また、銅の防錆剤や電解質(イオン性液体)としての他、種々の医薬、農薬、染料等の中間原料としても有用な物質である。 このようなイミダゾール化合物は、種々の方法により合成することができるが、反応スキーム(A)に示される方法(Radziszewsk反応)が知られている(例えば、特許文献1参照)。 この合成方法においては、α,β−ジカルボニル化合物(1,2−ジカルボニル化合物と同義)、アンモニアおよびアルデヒドが原料として使用される。(式中、R1は、1〜10個特に1〜5個の炭素原子を有する分岐状または直鎖状のアルキル基もしくは6〜12個の炭素原子を有するアリール基を表す。式中、R2およびR3は、同一でも異なってもよく、1〜10個特に1〜5個の炭素原子を有する分岐状または直鎖状のアルキル基、6〜10個の炭素原子を有するアリール基または水素原子を表す。) なお、特許文献1には、α,β−ジカルボニル化合物(化学式(A-1))として、エチルグリオキサール、メチルグリオキサール、ブタンジオン(2,3)、ベンジル(ビベンゾイルと同義)が例示され、アルデヒド(化学式(A-2))のR1として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロプル基、ブチル基、イソブチル基、三級ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、フェニル基が例示されているが、R1が4−ビニルフェニル基である点の開示はない。 一方、本発明に類似する物質として、特許文献2には、化学式(IV)で示されるイミダゾール化合物が開示されている。 しかしながら、このイミダゾール化合物は、4−ビニルフェニル基とは異なる4−ビニルフェニルメチル基が、イミダゾール環の2位とは異なって、同1位に結合した構造を有するものである。(式中、RおよびR1は、水素、炭素数1から17のアルキル基、アリール基またはニトロ基を表す。) また、特許文献3には、化学式(V)で示されるベンズイミダゾール化合物が開示されている。そして、R1が水素原子である場合の2−(p−ビニルフェニル)ベンズイミダゾールが、p−ビニルベンズアルデヒド(4−ホルミルスチレンと同義)とo−フェニレンジアミンとの反応で合成された点が記載されている(実施例1)。 しかしながら、このベンズイミダゾール化合物は、イミダゾール環がベンゼン環と縮合した構造を有する点において、本発明のイミダゾール化合物とは異なる。(式中、R1は、水素または炭素数1から10の炭化水素基を表す。)特開昭61−134376号公報特開昭56−16471号公報特開昭59−175473号公報 本発明は、分子内に重合性の不飽和結合を有する、新規なイミダゾール化合物およびその合成方法を提供することを目的とする。 本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、フェニル基のパラ位にホルミル基を有するスチレン(パラ位にビニル基を有するベンズアルデヒドと同義)、アンモニアおよび1,2−ジカルボニル化合物を反応させることにより、所期の目的を達成し得ることを認め、本発明を完成するに至ったものである。 即ち、第1の発明は、化学式(I)で示される2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物である。 また、第2の発明は、化学式(II)で示される4−ホルミルスチレンと、アンモニアと、化学式(III)で示される1,2−ジカルボニル化合物を反応させる工程を含むことを特徴とする第1の発明の2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物の合成方法である。(式中、R1は水素原子、C1〜C20のアルキル基、アリル基またはベンジル基を表し、R2およびR3は、同一または異なって、水素原子、C1〜C20のアルキル基もしくはC1〜C20のアリール基を表す。)(式中、R2およびR3は、化学式(I)の場合と同様である。) 本発明の2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物は、イミダゾール環を有するスチレンの誘導体であるので、イミダゾール化合物としての機能が発揮されて、エポキシ樹脂の硬化剤や硬化促進剤として作用することが期待される。 また、スチレン系モノマーとしての機能が発揮されて、単独で重合させるか、または、他の重合可能な物質と共重合させることができる。 以下、本発明を詳細に説明するが、本発明および本発明の説明において、C1、C1、C6、C20とは、炭素数が各々1、1、6、20であることを表す。 本発明は、前記の化学式(I)で示される2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物である。 化学式(I)において、R1〜R3が表すC1〜C20のアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル等の飽和炭化水素が挙げられる。 また、R2およびR3が表すC1〜20のアリール基の例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−チエニル、3−チエニル、2−ベンゾチエニル、3−ベンゾチエニル、4−ベンゾチエニル、5−ベンゾチエニル、6−ベンゾチエニル、7−ベンゾチエニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル、4−インドリル、5−インドリル、6−インドリル、7−インドリル、2−フリル、3−フリル、2−ベンゾフリル、3−ベンゾフリル、4−ベンゾフリル、5−ベンゾフリル、6−ベンゾフリル、7−ベンゾフリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、6−キノリル、7−キノリル、8−キノリル、1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル、6−イソキノリル、7−イソキノリル、8−イソキノリル、1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、1−ベンゾイミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、4−ベンゾイミダゾリル、5−ベンゾイミダゾリル、6−ベンゾイミダゾリル、7−ベンゾイミダゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−ベンゾオキサゾリル、4−ベンゾオキサゾリル、5−ベンゾオキサゾリル、6−ベンゾオキサゾリル、7−ベンゾオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−ベンゾチアゾリル、4−ベンゾチアゾリル、5−ベンゾチアゾリル、6−ベンゾチアゾリル、7−ベンゾチアゾリル、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、5−ピラゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−ピラジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ピリミジル、3−ピリダジル、4−ピリダジル、2−トリアジル、2−キノキサリル、3−キノキサリル、5−キノキサリル、6−キノキサリル、2−キナゾリル、4−キナゾリル、5−キナゾリル、6−キナゾリル、7−キナゾリル、8−キナゾリル、3−シンノリル、4−シンノリル、5−シンノリル、6−シンノリル、7−シンノリル、8−シンノリル等の窒素原子、酸素原子や硫黄原子を有していてもよい芳香族炭化水素の基が挙げられる。 本発明の2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物の例としては、2−(4−ビニルフェニル)−1H−イミダゾール、4,5−ジメチル−2−(4−ビニルフェニル)−1H−イミダゾール、4−フェニル−2−(4−ビニルフェニル)−1H−イミダゾール、4,5−ジフェニル−2−(4−ビニルフェニル)−1H−イミダゾール、4−(チオフェン−2−イル)−2−(4−ビニルフェニル)−1H−イミダゾール、1−メチル−2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール、1−エチル−2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール、1−プロピル−2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール、1−ブチル−2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール、1−ペンチル−2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール等が挙げられる。 また、今1つの本発明は、前記の化学式(II)で示される4−ホルミルスチレンと、アンモニアと、前記の化学式(III)で示される1,2−ジカルボニル化合物を反応させる工程を含むことを特徴とする前記の化学式(I)で示される2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物の合成方法である。 本発明の2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物が合成される工程を、反応スキーム(B)に示す。 本発明の2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物の内、イミダゾール環の1位に置換基を有しない2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物(化学式(Ia)参照、1位無置換体と云うことがある)は、4−ホルミルスチレンと、アンモニアと、1,2−ジカルボニル化合物を反応させる(第1の工程)ことにより合成することができる。 また、イミダゾール環の1位に置換基を有する2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物(化学式(Ib)参照)は、1位無置換体と、後述するアルキル化剤(R4X)を、塩基性物質(塩基と略記)の存在下にて反応させる(第2の工程)ことにより、合成することができる。 なお、第1の工程および第2の工程の各反応を行う際には、重合禁止剤を使用することが好ましい。(スキーム中、R2およびR3は、同一または異なって、水素原子、C1〜C20のアルキル基もしくはC1〜C20のアリール基を表し、R4はC1〜C20のアルキル基、アリル基またはベンジル基を表す。) アンモニアは、適宜の濃度に調整した水溶液または種々の有機溶剤の溶液として使用することができ、また、ガスとして使用してもよい。 アンモニアの使用量は、4−ホルミルスチレンに対して、4倍モル〜100倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。 前記の1,2−ジカルボニル化合物の例としては、グリオキサールや、メチルグリオキサール、エチルグリオキサール、プロピルグリオキサール、ブチルグリオキサール、フェニルグリオキサール等のケトアルデヒド類;2,3−ブタンジオン(ビアセチル)、2,3−ペンタンジオン、3,4−ヘキサンジオン、ジフェニルエタンジオン(ビベンゾイル、ベンジル)、1−フェニル−1,2−プロパンジオン(アセチルベンゾイル)等のジケトン類が挙げられる。 1,2−ジカルボニル化合物の使用量は、4−ホルミルスチレンに対して、0.1〜10倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。 前記のアルキル化剤の例としては、C1〜C20のアルキル、アリル、ベンジルの各フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド、メシラート、トシラート、トリフラート、サルフェート等が挙げられる。 アルキル化剤の使用量は、1位無置換の2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物(Ia)に対して、0.1〜50倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。 前記の塩基は、副生するハロゲン化水素を捕捉する目的で使用され、この例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、ピリジン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、リン酸三リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三セシウム、リン酸水素二リチウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二セシウム、リン酸二水素リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、tert−ブトキシカリウム等が挙げられる。 塩基の使用量は、1位無置換の2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物(Ia)に対して、0.5〜20倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。 前記の重合禁止剤は、合成反応中における重合反応を抑制する目的で使用され、この例としては、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、4−メトキシ−1−ナフトール、4−tert−ブチルカテコール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、フェノチアジン、塩化銅、硫酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等が挙げられる。 第1の工程および第2の工程の各反応において使用される反応溶媒の例としては、水、C1〜C6のアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の溶剤が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて、またそれらの適宜量を使用することができる。 第1の工程における反応温度は、0〜150℃とすることが好ましく、20〜80℃とすることがより好ましい。また、同反応時間は、5分〜24時間とすることが好ましい。 第2の工程における反応温度は、−30〜180℃とすることが好ましく、0〜80℃とすることがより好ましい。また、同反応時間は、5分〜96時間とすることが好ましい。 本発明の2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物は、イミダゾール環を有するスチレンの誘導体であるので、イミダゾール化合物としての機能が発揮されて、エポキシ樹脂の硬化剤や硬化促進剤として作用することが期待される。 一方では、スチレン系モノマーとしての機能が発揮されて、単独で重合させるか、または、他の重合可能な物質と共重合させることができる。 前記の他の重合可能な物質の例としては、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のエステル、メタクリル酸のエステル、イソブテン(イソブチレン)、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、ピペリレン等が挙げられる。 前記のアクリル酸のエステルおよびメタクリル酸のエステルの例としては、メチルアクリレ−ト、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルアクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、α−アクリロキシ−ω−ヒドロポリオキシエチレン、α−メタクリロキシ−ω−ヒドロポリオキシエチレン、α−アクリロキシ−ω−メチルポリオキシエチレン、α−メタクリロキシ−ω−メチルポリオキシエチレン、α−アクリロキシ−ω−プロピルポリオキシエチレン、α−メタクリロキシ−ω−プロピルポリオキシエチレン、α−アクリロキシ−ω−ブチルポリオキシエチレン、α−メタクリロキシ−ω−ブチルポリオキシエチレン、α−アクリロキシ−ω−ペンチルポリオキシエチレン、α−メタクリロキシ−ω−ペンチルポリオキシエチレン、α−アクリロキシ−ω−ヘキシルポリオキシエチレン、α−メタクリロキシ−ω−ヘキシルポリオキシエチレン等が挙げられる。 本発明の2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物を単独で重合させるか、または、他の重合可能な物質と共重合させる際には、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の公知の重合法を採用することができるが、ラジカル重合法が簡便であり好ましい。 ラジカル重合法の場合には、バルク重合、溶液重合、乳化重合等の公知の手法を採用することができる。 また、ラジカル重合反応は、加熱や、電子線(EB)、α線、紫外線(UV)、可視光線、赤外線、γ線、X線等の活性エネルギー線照射や、ラジカル開始剤の使用により開始される。 前記のラジカル重合反応に使用し得る有機溶媒の例としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。 前記のラジカル開始剤の例としては、ジラウロイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド等の有機過酸化物や、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。 本発明の2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物は、種々のポリマーの原料として利用が期待される。 このポリマーの例としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、発泡ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体(ABSと略記)、ポリプロピレン、石油樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂が挙げられ、さらに熱可塑性樹脂を2種以上混合したポリカーボーネート−ABS、ポリフェニレンエーテル−ポリスチレン等に代表されるポリマーアロイ等も挙げられる。 本発明の2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物を原料としたポリマーは、プロトン伝導膜材料やイオン交換樹脂材料として利用される他、高い屈折率、優れた透明性や耐熱性が求められる、透明板、光学レンズ、光ディスク基板、液晶表示用プラスチック基板、カラーフィルター用基板、有機EL表示素子用プラスチック基板、太陽電池基板、タッチパネル、光学素子、光導波路やLED封止材等の光学材料としての利用が期待される。 また、液晶テレビ、パソコン、携帯電話のディスプレイやタッチパネル等のコーティング材としての利用も期待される。 以下、本発明を実施例に示した合成試験によって具体的に説明するが、合成試験において使用した主原料は、以下のとおりである。[主原料]・4−ホルミルスチレン:特開昭59−20240号公報に記載された方法に準拠して合成した・25%アンモニア水:和光純薬工業社製・40%グリオキサール溶液:同上・フェニルグリオキサール:同上・2−チオフェングリオキサール:「J.Org.Chem.1999,64,1859.」に記載された方法に準拠して合成した・2,3−ブタンジオン:和光純薬工業社製・ナトリウムメトキシド:東京化成工業社製・ジメチル硫酸:和光純薬工業社製〔実施例1〕<2−(4−ビニルフェニル)−1H−イミダゾールの合成> 100mlナスフラスコに、4−ホルミルスチレン13.22g(100.0mmol)、4−tert−ブチルカテコール0.34g(2.0mmol)およびメタノール40mlを投入して反応液を調製した。 この反応液を0℃まで冷却した後、25%アンモニア水34.06g(500.0mmol)を滴下し、60℃まで昇温した。次いで、40%グリオキサール溶液14.51g(100.0mmol)を滴下し、60℃にて3時間撹拌した。 続いて、この反応液を濃縮し、酢酸エチル200mlによる抽出操作を2回行い、それらの抽出液を混合して濃縮した。析出物を酢酸エチル10mlで洗浄し、黄色結晶4.68g(収率:27.5%)を得た。 この結晶の融点および1H−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。・融点:166.4-169.5℃・1H-NMR(d6-DMSO) δ:12.50(s,1H),7.91(d,2H), 7.54(d,2H), 7.24(s,1H), 7.03(s,1H), 6.75(dd,1H), 5.88(dd,1H),5.29(dd,1H). また、この結晶のIRスペクトルデータは、図1に示したチャートのとおりであった。 これらのスペクトルデータより、得られた生成物は、化学式(I-1)で示される標題の2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物であるものと同定した。〔実施例2〕<4,5−ジメチル−2−(4−ビニルフェニル)−1H−イミダゾールの合成> 100mlナスフラスコに、4−ホルミルスチレン6.61g(50.0mmol)、4−tert−ブチルカテコール0.17g(1.0mmol)およびメタノール20mlを投入して反応液を調製した。 この反応液を0℃まで冷却した後、25%アンモニア水17.03g(250.0mmol)を滴下し、60℃まで昇温した。次いで、2,3−ブタンジオン4.30g(50.0mmol)のメタノール溶液10ml溶液を滴下し、60℃にて3時間撹拌した。 反応液を濃縮し、酢酸エチル100mlによる抽出操作を2回行い、それらの抽出液を混合して濃縮した。析出物を酢酸エチル10mlで洗浄し、淡黄色結晶2.50g(収率:25.2%)を得た。 得られた結晶の融点および1H−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。・融点:229.8℃(分解)・1H-NMR(d6-DMSO) δ:11.98(s,1H),7.81(d,2H), 7.49(d,2H), 6.73(dd,1H), 5.84(d,1H), 5.25(d,1H), 2.16(s,3H),2.07(s,3H). また、この結晶のIRスペクトルデータは、図2に示したチャートのとおりであった。 これらのスペクトルデータより、得られた生成物は、化学式(I-2)で示される標題の2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物であるものと同定した。〔実施例3〕<4−フェニル−2−(4−ビニルフェニル)−1H−イミダゾールの合成> 100mlナスフラスコに、4−ホルミルスチレン6.61g(50.0mmol)、4−tert−ブチルカテコール0.17g(1.0mmol)およびメタノール20mlを投入して反応液を調製した。 この反応液を0℃まで冷却した後、25%アンモニア水17.03g(250.0mmol)を滴下し、60℃まで昇温した。次いで、フェニルグリオキサール7.61g(50.0mmol)のメタノール溶液35mlを滴下し、60℃にて3時間撹拌した。 反応液を濃縮し、酢酸エチル100mlによる抽出操作を2回行い、それらの抽出液を混合して濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)により精製し、淡黄色結晶5.81g(収率:47.2%)を得た。 得られた結晶の融点および1H−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。・融点:160.9-163.4℃・1H-NMR(d6-DMSO) δ:12.66(s,1H),7.98(d,2H), 7.87(d,2H), 7.78(s,1H), 7.58(d,2H), 7.38(t,2H), 7.21(t,1H),6.78(t,1H), 5.90(d,1H), 5.31(d,1H). また、この結晶のIRスペクトルデータは、図3に示したチャートのとおりであった。 これらのスペクトルデータより、得られた生成物は、化学式(I-3)で示される標題の2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物であるものと同定した。〔実施例4〕<4−(チオフェン−2−イル)−2−(4−ビニルフェニル)−1H−イミダゾールの合成> 100mlナスフラスコに、4−ホルミルスチレン6.61g(50.0mmol)、4−tert−ブチルカテコール0.17g(1.0mmol)およびメタノール20mlを投入して反応液を調製した。 この反応液を0℃まで冷却した後、25%アンモニア水17.03g(250.0mmol)を滴下し、60℃まで昇温した。次いで、2−チオフェングリオキサール7.01g(50.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液40ml溶液を滴下し、60℃にて3時間撹拌した。 反応液を濃縮し、酢酸エチル100mlによる抽出操作を2回行い、それらの抽出液を混合して濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)により精製し、茶褐色結晶4.00g(収率:31.7%)を得た。 得られた結晶の融点および1H−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。・融点:60.2-63.9℃・1H-NMR(d6-DMSO) δ:12.70(s,1H),7.65(d,2H), 7.62(d,1H), 7.57(d,2H), 7.36(d,2H), 7.07(t,1H), 6.77(dd,1H), 5.90(d,1H),5.31(d,1H). また、この結晶のIRスペクトルデータは、図4に示したチャートのとおりであった。 これらのスペクトルデータより、得られた生成物は、化学式(I-4)で示される標題の2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物であるものと同定した。〔実施例5〕<1−メチル−2−(4−ビニルフェニル)イミダゾールの合成> 100mlナスフラスコに、実施例1において合成した2−(4−ビニルフェニル)−1H−イミダゾール1.70g(10.0mmol)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン0.02g(0.1mmol)および2−プロパノール20mlを投入して反応液を調製した。 この反応液にナトリウムメトキシド1.08g(20.0mmol)を投入し、室温にて1時間撹拌した。次いで、硫酸ジメチル2.53g(20.0mmol)を滴下し、室温にて5時間撹拌した。 反応液を濃縮し、酢酸エチル50mlによる抽出操作を3回行った。それらの抽出液を混合し、水50mlで洗浄して硫酸ナトリウム20gで乾燥し、濃縮することにより、黄色粘性液体1.06g(収率:57.5%)を得た。 得られた液体の1H−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。・1H-NMR(d6-DMSO) δ:7.68(d,2H), 7.57(d,2H),7.25(s,1H), 6.98(s,1H), 6.79(dd,1H), 5.91(d,1H), 5.33(d,1H), 3.76(s,3H). また、この液体のIRスペクトルデータは、図5に示したチャートのとおりであった。 これらのスペクトルデータより、得られた生成物は、化学式(I-5)で示される標題の2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物であるものと同定した。実施例1で得られた結晶のIRスペクトルチャートである。実施例2で得られた結晶のIRスペクトルチャートである。実施例3で得られた結晶のIRスペクトルチャートである。実施例4で得られた結晶のIRスペクトルチャートである。実施例5で得られた液体のIRスペクトルチャートである。 本発明によれば、プロトン伝導膜、イオン交換樹脂等の原料や、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の硬化剤、硬化促進剤として好適なイミダゾール化合物を提供することができるので、その産業上の有用性は多大である。 化学式(I)で示される2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物。(式中、R1は水素原子、C1〜C20のアルキル基、アリル基またはベンジル基を表し、R2およびR3は、同一または異なって、水素原子、C1〜C20のアルキル基もしくはC1〜C20のアリール基を表す。) 化学式(II)で示される4−ホルミルスチレンと、アンモニアと、化学式(III)で示される1,2−ジカルボニル化合物を反応させる工程を含むことを特徴とする請求項1記載の2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物の合成方法。(式中、R2およびR3は、化学式(I)の場合と同様である。) 【課題】 分子内に重合性の不飽和結合を有する、新規なイミダゾール化合物およびその合成方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 化学式(I)で示される2−(4−ビニルフェニル)イミダゾール化合物。4−ホルミルスチレンと、アンモニアと、1,2−ジカルボニル化合物を反応させる工程を含むことを特徴とする。 【化1】【選択図】 なし


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