タイトル: | 公開特許公報(A)_安息香酸の製造方法 |
出願番号: | 2014000157 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | C07C 51/34,C07C 63/06 |
寺田 佳宏 森本 正雄 小川 龍治 JP 2015129097 公開特許公報(A) 20150716 2014000157 20140106 安息香酸の製造方法 東レ・ファインケミカル株式会社 000187046 清流国際特許業務法人 110001368 昼間 孝良 100129252 小川 信一 100066865 野口 賢照 100066854 境澤 正夫 100155033 佐藤 謙二 100117938 平井 功 100138287 寺田 佳宏 森本 正雄 小川 龍治 C07C 51/34 20060101AFI20150619BHJP C07C 63/06 20060101ALI20150619BHJP JPC07C51/34C07C63/06 5 OL 10 4H006 4H006AA02 4H006AC46 4H006BD10 4H006BD60 4H006BE31 4H006BE32 4H006BJ50 4H006BS30 本発明は、有機化合物の合成に当たり重要な化合物である安息香酸を製造する方法に関する。 安息香酸は、防腐剤、アニリン染料、医薬品、香料、樹脂塗料原料等で広く使用されている。安息香酸の製造方法としては、(1)塩化ベンゾイルをサラシ粉の熱溶液で処理する方法、(2)トルエンを過硫酸マンガンあるいは二酸化マンガンを用いて直接酸化する方法、(3)フタル酸から脱炭酸反応によって製造する方法が一般的である。 しかし、これらの製造方法は、化石資源由来の塩化ベンゾイル、トルエン、フタル酸を原料とするものであり、大量の熱や二酸化炭素が排出され地球温暖化を招く一因となっていた。 安息香酸は重要な有機化合物であり、効率よく合成するためにいくつもの試みがされている。スチレン骨格を有する原料を使用した製造法として、例えば、桂皮酸を原料に、酸化剤として四酸化オスミウムおよびオキソンを用いることで安息香酸を高収率で合成する方法が報告されている(特許文献1,非特許文献1を参照)。 しかし、四酸化オスミウムは一般に高価で毒性が強い事が知られ、米国産業衛生専門家会議(ACGIH;American Conference of Governmental Industrial Hygienists)により許容濃度が0.0002ppmと定められ、急性毒性が極めて高く、その取扱いに注意が必要な有害無機化合物に指定されている(非特許文献2を参照)。したがって、四酸化オスミウムを酸化剤として使用するには、コスト及び取扱い性(毒性)の点から問題を有している。 一方、オキソン(商品名)は、化学式2KHSO5・KHSO4・K2SO4で表され、モノ過硫酸水素カリウムを主成分にする無機酸化剤である。オキソンを使用して桂皮酸から安息香酸を合成する場合、桂皮酸に対し、等量以上のオキソンが必要となり、さらに廃棄物として約4重量倍以上の無機塩が生成するため、この大量に発生した無機塩を処分しなければならない問題を有している(特許文献1)。 また、酸化剤として過マンガン酸カリウムを用いることで安息香酸を合成する方法も報告されている(非特許文献3を参照)。過マンガン酸塩による酸化は、公知の方法を参考に桂皮酸から安息香酸の合成をした場合、桂皮酸に対し、等量以上の過マンガン酸カリウムが必要で、さらに4重量倍以上の無機塩が廃棄物として生成すると考えられる。このため、廃棄物が大量に発生する点で問題を有している(例えば、非特許文献4参照)。 また、これらの方法はいずれも化石資源由来の原料を用いて、化学合成にて製造される桂皮酸を原料としている。このため石油価格の高騰や枯渇が懸念される近年、化石資源に依存しない原料から安息香酸を製造し、これにより有機化合物を合成する方法の創出が強く望まれている。米国特許出願公開第2003/0149299号明細書Daniel C. Whitehead, 外2名、テトラへドロン・レターズ(Tetrahedron Letters),2006,47,3797−3800後藤俊夫ら監修、「有機化学実験の手びき1−物質取扱法と分離精製法」、化学同人、p.78、表9.2J. Tercio B. Ferreira, 外3名、ジャーナル オブ オルガニック ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)、1987,52,3698−3699日本化学会編、「第5版 実験化学講座 17 有機化合物の合成V 酸化反応」、丸善株式会社、p.46 本発明の目的は、安息香酸の製造にあたって新規な合成方法および非化石資源由来の主原料を用いて、工業的に適した製造方法を提供することを課題とする。 本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明を見出すに至った。 即ち、本発明は、下記一般式(I)で表される化合物をオゾン酸化する工程を含むことを特徴とする安息香酸の製造方法である。(式中、Rはアルキル基、カルボキシ基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、酸クロリド基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基を示す。) 本発明の製造方法によれば、前記一般式(I)で表されるスチレン骨格を有する化合物をオゾン酸化することにより安息香酸を得るため、高価な物質及び/又は有毒な物質を使用することなく、安息香酸を効率的に工業的規模で製造することができる。 本発明では、オゾン酸化によりオゾニドが生成し、これを過酸化水素を用いて酸化分解をすることで安息香酸を製造できる。また、前記Rとしては、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アミド基、酸クロリド基から選ぶとよい。 本発明において、前記一般式(I)で示される化合物を、非化石資源由来の原料から発酵法または化学合成により製造することが好ましい。例えば糖源から発酵法により製造されたL−フェニルアラニンを原料に公知の技術にて化学合成した桂皮酸やその誘導体、例えば桂皮油の主成分である桂皮アルデヒドを出発原料にして、オゾン酸化を行えば、非化石資源由来の安息香酸を製造できる。 よって、非化石資源由来の原料を用いて、安息香酸を効率的な工業的に適した方法で製造することが可能である。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の安息香酸の製造方法は、出発原料が有する非芳香族炭素−炭素二重結合をオゾン酸化しオゾニド(1,2,4−トリオキソラン)を生成する工程と、得られたオゾニドを酸化分解する工程を少なくとも含む。 オゾン酸化の工程において、下記一般式(I)で表される化合物を、出発原料にする。(式中、Rはアルキル基、カルボキシ基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、酸クロリド基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基を示す。) 前記一般式(I)において、Rはアルキル基、カルボキシ基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、酸クロリド基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基であり、好ましくは、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アミド基、酸クロリド基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基である。より好ましくは、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アミド基、酸クロリド基から選ばれるカルボキシ基又はその誘導体である。 置換基Rがカルボキシ基である前記一般式(I)で表される化合物は、桂皮酸である。 置換基Rがホルミル基である前記一般式(I)で表される化合物は、桂皮アルデヒド(シンナムアルデヒド)である。 置換基Rが酸クロリド基である前記一般式(I)で表される化合物は、桂皮酸クロリド(シンナモイルクロリド)である。 アルコキシカルボニル基は、一般式-CO−OR1(R1はアルキル基を表す。)で表され、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が例示される。アルコキシカルボニル基の炭素数としては、好ましくは2〜7、より好ましくは2〜4であるとよい。置換基Rがアルコキシカルボニル基である前記一般式(I)で表される化合物として、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、桂皮酸プロピル、桂皮酸ブチル等が挙げられる。 アミド基は、一般式―CO―NR2R3(R2,R3は互いに独立して水素、アルキル基を表す。)で表される。R2,R3は、好ましくは水素、炭素数1〜3のアルキル基であるとよい。アミド基としては、例えばアミド基(−CONH2)、メチルアミド基、エチルアミド基、プロピルアミド基、ジメチルアミド基、メチルエチルアミド基、ジエチルアミド基等が例示される。置換基Rがアミド基である前記一般式(I)で表される化合物としては、例えば、シンナムアミド、N−メチルシンナムアミド、N−エチルシンナムアミド、N,N′―ジメチルシンナムアミド、N,N′―ジエチルシンナムアミド等が挙げられる。 アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基がよく、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよい。アルキル基として、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を例示することができる。置換基Rがアルキル基である前記一般式(I)で表される化合物として、例えばβ‐メチルスチレン、β‐エチルスチレン、β‐プロピルスチレンなどが例示される。 ハロゲン化アルキル基は、一般式―R4−X(R4はアルキル基、Xはハロゲンを表す。)R4は、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であるとよい。ハロゲン化アルキル基としては、例えば塩化メチレン基、塩化エチレン基、塩化プロピレン基、臭化メチレン基、臭化エチレン基、臭化プロピレン基等が例示される。置換基Rがハロゲン化アルキル基である前記一般式(I)で表される化合物としては、例えば、シンナミルクロリド、1−フェニル−4−クロロ−1−ブテン、1−フェニル−5−クロロ−1−ペンテン、シンナミルブロミド、1−フェニル−4−ブロモ−1−ブテン、1−フェニル−5−ブロモ−1−ペンテンなどが挙げられる。 ヒドロキシアルキル基は、一般式―R5−OH(R5はアルキル基、OHはヒドロキシル基を表す。)R5は、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であるとよい。ヒドロキシアルキル基としては、例えばヒドロキシメチレン基、ヒドロキエチレン基、ヒドロキプロピレン基等が例示される。置換基Rがヒドロキシアルキル基である前記一般式(I)で表される化合物としては、例えば、シンナミルアルコール、4―フェニル―3―ブテン―1―オール、5―フェニル―4―ペンテン―1―オールが挙げられる。 前記一般式(I)で表される化合物のなかでも、桂皮酸、桂皮酸アルキルエステル、シンナミルアルコール、桂皮酸ハロゲン化物(例えばシンナミルクロリド)または桂皮アルデヒドを出発原料とすることが好ましい。さらに桂皮酸または桂皮アルデヒドを出発原料とすることが好ましい。とりわけ桂皮酸を出発原料とすることが好ましい。 本発明において、前記一般式(I)で表される化合物は、非化石資源由来の原料から発酵法または化学合成により製造することができる。例えば前記一般式(I)で表される化合物として好適に用いられる桂皮酸及びその誘導体は、非化石資源由来の糖源から発酵法で製造されるL−フェニルアラニンを原料に公知の技術で製造することができる。このように非化石資源由来の化合物から得られる前記一般式(I)で表される化合物を出発原料にすることにより、二酸化炭素や大量の熱を排出するのを抑制することができる。 本発明の製造において、オゾン酸化反応に使用する溶媒としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの有機酸類、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類、水があげられ、好ましくは、ジクロロメタン、酢酸、メタノール、酢酸エチル、水が挙げられ、より好ましくは酢酸と水の混合溶媒である。この混合溶液は、酢酸と水の重量比(酢酸:水)が、好ましくは99:1〜50:50、より好ましくは99:1〜70:30であるとよい。 溶媒量は通常、好ましくは基質(前記一般式(I)で表される化合物)の2〜500倍量用いられ、より好ましくは2〜100倍量である。 オゾンは通常、酸素、酸素と二酸化炭素の混合ガス、または空気からオゾン発生器を用いて生成することができる。オゾンは、酸素、混合ガスまたは空気をキャリアーガスにして、キャリアーガス中、好ましくは0.1〜20%の濃度、より好ましくは1〜10%の濃度にしたものを使用することができる。 オゾン酸化は、基質を含む溶媒にオゾンを含むキャリアーガスを導入することにより行われる。その導入速度は、反応系の大きさや各種反応条件により適宜、決めることができる。例えば、基質1gに対する流量は好ましくは1〜200mL/分、より好ましくは1〜100mL/分にすることができる。 オゾン酸化の反応温度は、基質を含む溶媒の温度として、好ましくは−78℃〜30℃、より好ましくは−78℃〜10℃であるとよい。またオゾン酸化の時間は好ましくは0.5時間〜24時間、より好ましくは1時間〜12時間であるとよい。またオゾン酸化の終了後、系内に残るオゾンを除くため、キャリアーガスを所定時間、通気するとよい。 本発明の製造法において、前記一般式(I)で表される化合物をオゾン酸化することにより、下記一般式(II)で表されるオゾニド(1,2,4−トリオキソラン)が中間体として生成する。(式中、Rはアルキル基、カルボキシ基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、酸クロリド基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基を示す。) 上記一般式(II)において、置換基Rは、前記一般式(I)と同様である。 本発明では、オゾン酸化の工程の後に、生成したオゾニドを酸化分解する工程を行うことにより、安息香酸を得ることができる。 酸化分解の方法としては、オゾニドを安息香酸に酸化分解する限り特に限定されるものではなく、例えば過酸化水素、過酸化水素水、蟻酸―過酸化水素、クロム酸−硫酸などを添加するかまたは酢酸溶媒にて煮沸する方法などが挙げられる。好ましくは、過酸化水素、過酸化水素水を用いてオゾニドの酸化分解を行うことが好ましい。 過酸化水素水としては、入手できる過酸化水素水を使用することができるが、好ましくは過酸化水素濃度が30〜60重量%、より好ましくは30〜35重量%にするとよい。30〜35%過酸化水素水は、好ましくはオゾニドの2〜15倍モル、より好ましくは2〜10倍モル用いることができる。 過酸化水素水を用いた酸化分解において、反応温度は好ましくは0〜100℃、より好ましくは15〜100℃であるとよい。反応温度が高すぎると目的物の収率が低下する虞がある。また反応時間は好ましくは0.5〜12時間、より好ましくは0.5〜6時間であるとよい。 酸化分解の工程において、反応溶媒は、オゾニド、酸化分解の方法に応じて、適時、決めることができる。またオゾン酸化と同じ溶媒でもよいし、異なる溶媒でもよい。酸化分解の工程でオゾン酸化と異なる溶媒を使用するとき、オゾン酸化により生成したオゾニド液を減圧下で溶媒を留去して、別の溶媒を加えることができる。酸化分解の工程における溶媒としては例えば酢酸、蟻酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等を例示することができ、好ましくは酢酸である。 酸化分解の工程において、過酸化水素水をオゾニドを含む溶媒に添加することができる。或いは過酸化水素水をを含む溶媒に、オゾニドを含む溶媒に添加してもよい。例えば、オゾン酸化により生成したオゾニド液を減圧下で溶媒を留去し、酢酸に溶解し、30〜35%過酸化水素水を添加することで安息香酸が得られる。酢酸を含む脂肪族カルボン酸溶媒としてオゾニドを合成した場合ときは溶媒留去の必要はない。 以下実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。 実施例中、安息香酸の収率は以下に示す高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた方法で測定し定量した。 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析条件カラム:Inertsil ODS−3(ジーエルサイエンス株式会社)移動相 : A液 アセトニトリル100%(高速液体クロマトグラフィー用メタノール) B液 りん酸水溶液(pH2.3)グラジエント: 0〜 5分 B液/A液=10/90 5〜30分 B液/A液=10/90→90/10 30〜31分 B液/A液=90/10 35分 B液/A液=10/90流速 :1.0mlカラム温度:40℃検出器 :UV(210nm )保持時間 : 17.8分(安息香酸) 20.3分(桂皮酸) 25.6分(桂皮酸メチル) 19.9分(シンナミルアルコール) 28.7分(シンナミルクロリド) 実施例1 温度計、コンデンサー、攪拌子、およびオゾン/酸素混合ガスの導入ラインを備え付けた100mLの四つ口フラスコに桂皮酸0.8g(5.4mmol)、酢酸 18g、水 2.0gを仕込み、0〜10℃で攪拌しながら、オゾン濃度4〜5%の酸素ガスを約40mL/分の速さで2時間20分程度吹き込んだ(オゾン酸化工程)。 反応終了後、系内の残存オゾンを除くため酸素のみを15分以上通気した。 その後、15〜25℃にて30〜35%過酸化水素水 4.1gを加え、液温60〜70℃にて0.5時間加熱後、液温85〜95℃にて2.5時間加熱した(酸化分解工程)。 反応終了後、反応液を室温まで冷却し、HPLCにて定量分析して収率を算出すると安息香酸の収率は87%であった。 実施例2 温度計、コンデンサー、攪拌子、およびオゾン/酸素混合ガスの導入ラインを備え付けた100mLの四つ口フラスコに桂皮酸メチル0.9g(5.4mmol)、酢酸 18g、水 2.0gを仕込み、0〜10℃で攪拌しながら、オゾン濃度4〜5%の酸素ガスを約40mL/分の速さで2時間20分程度吹き込んだ(オゾン酸化工程)。 反応終了後、系内の残存オゾンを除くため酸素のみを15分以上通気した。 その後、15〜25℃にて30〜35%過酸化水素水 4.5gを加え、液温60〜70℃にて0.5時間加熱後、液温85〜95℃にて2.5時間加熱した(酸化分解工程)。 反応終了後、反応液を室温まで冷却し、HPLCにて定量分析して収率を算出すると安息香酸の収率は87%であった。 実施例3 温度計、コンデンサー、攪拌子、およびオゾン/酸素混合ガスの導入ラインを備え付けた100mLの四つ口フラスコにシンナミルアルコール0.7g(5.0mmol)、酢酸 18g、水 2.0gを仕込み、0〜10℃で攪拌しながら、オゾン濃度4〜5%の酸素ガスを約40mL/分の速さで2時間20分程度吹き込んだ(オゾン酸化工程)。 反応終了後、系内の残存オゾンを除くため酸素のみを15分以上通気した。 その後、15〜25℃にて30〜35%過酸化水素水 3.8g を加え、液温は60〜70℃にて0.5時間加熱後、液温85〜95℃にて2.5時間加熱した(酸化分解工程)。 反応終了後、反応液を室温まで冷却し、HPLCにて定量分析して収率を算出すると安息香酸の収率は88%であった。 実施例4 温度計、コンデンサー、攪拌子、およびオゾン/酸素混合ガスの導入ラインを備え付けた100mLの四つ口フラスコにシンナミルクロリド0.8g(5.0mmol)、酢酸 18g、水 2.0gを仕込み、0〜10℃で攪拌しながら、オゾン濃度4〜5%の酸素ガスを約40mL/分の速さで2時間20分程度吹き込んだ(オゾン酸化工程)。 反応終了後、系内の残存オゾンを除くため酸素のみを15分以上通気した。 その後、15〜25℃にて30〜35%過酸化水素水 3.8g を加え、液温は60〜70℃にて0.5時間加熱後、液温85〜95℃にて2.5時間加熱した(酸化分解工程)。 反応終了後、反応液を室温まで冷却し、HPLCにて定量分析して収率を算出すると安息香酸の収率は82%であった。 下記一般式(I)で示される化合物をオゾン酸化する工程を含むことを特徴とする安息香酸の製造方法。(式中、Rはアルキル基、カルボキシ基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、酸クロリド基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基を示す。) 前記オゾン酸化する工程の後、過酸化水素を用いて酸化分解を行う工程を含むことを特徴とする請求項1記載の安息香酸の製造方法。 前記Rがカルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アミド基、酸クロリド基から選ばれることを特徴とする請求項1または2記載の安息香酸の製造方法。 前記一般式(I)で示される化合物を、非化石資源由来の原料から発酵法または化学合成により製造したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。 前記一般式(I)で示される化合物として、発酵法で得たL−フェニルアラニンから化学合成または発酵法により得た桂皮酸およびその誘導体を使用することを特徴とする請求項4記載の製造方法。 【課題】有機化合物の合成に当たり重要な化合物である安息香酸の製造にあたって新規な合成方法および非化石資源由来の主原料を用いて、工業的に適した製造方法を提供する。【解決手段】下記一般式(I)で示される化合物をオゾン酸化する工程を含むことを特徴とする安息香酸の製造方法。(式中、Rはアルキル基、カルボキシ基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、酸クロリド基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基を示す。)【選択図】なし