タイトル: | 特許公報(B2)_二日酔いの予防剤及び/又は治療剤 |
出願番号: | 2013548209 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 31/197,A61K 31/22,A61P 3/00,A61K 33/26,A61K 33/14,A61K 33/30,A61K 33/24,A61K 33/06,A61K 33/34,A61K 31/28,A61P 39/02,A61P 43/00 |
田中 徹 中島 元夫 安部 史紀 河田 聡史 JP 5809291 特許公報(B2) 20150918 2013548209 20121130 二日酔いの予防剤及び/又は治療剤 SBIファーマ株式会社 508123858 南条 雅裕 100113376 瀬田 あや子 100179394 伊波 興一朗 100185384 田中 徹 中島 元夫 安部 史紀 河田 聡史 JP 2011267841 20111207 20151110 A61K 31/197 20060101AFI20151021BHJP A61K 31/22 20060101ALI20151021BHJP A61P 3/00 20060101ALI20151021BHJP A61K 33/26 20060101ALI20151021BHJP A61K 33/14 20060101ALI20151021BHJP A61K 33/30 20060101ALI20151021BHJP A61K 33/24 20060101ALI20151021BHJP A61K 33/06 20060101ALI20151021BHJP A61K 33/34 20060101ALI20151021BHJP A61K 31/28 20060101ALI20151021BHJP A61P 39/02 20060101ALI20151021BHJP A61P 43/00 20060101ALI20151021BHJP JPA61K31/197A61K31/22A61P3/00A61K33/26A61K33/14A61K33/30A61K33/24A61K33/06A61K33/34A61K31/28A61P39/02A61P43/00 121 A61K 31/197 A61K 31/22 A61K 31/28 A61K 33/06 A61K 33/14 A61K 33/24 A61K 33/26 A61K 33/30 A61K 33/34 A61P 3/00 A61P 39/02 A61P 43/00 CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) 国際公開第2006/025286(WO,A1) Food Chem. Toxicol., 2005, Vol.43, No.9, p.1365-1371 Biomed. Res., 2009, Vol.30, No.5, p.263-269 LEE,H.S. et al,Effects of a preparation of combined glutathione-enriched yeast and rice embryo/soybean extracts on,J Med Food,2009年,Vol.12, No.6,p.1359-67 10 JP2012081080 20121130 WO2013084816 20130613 17 20140522 伊藤 清子 本発明は、二日酔いの予防剤及び/又は治療剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、ALA類を含む二日酔いの予防剤及び/又は治療剤に関する。 アルコール飲料は人間社会に於いてコミュニケーションを良好にする重要な飲料であり社会生活に不可欠なものである。このことは多くの宗教的なあるいは儀礼的な祭典にアルコール飲料が供されることからも明らかである。アルコール飲料は文化の一部であると言っても過言ではない。 しかしながら、過剰なアルコール摂取が健康や経済に負担をかけていることも明確な事実である。アルコール飲料の過剰摂取が原因となると考えられる疾病は全疾病の9%に相当し、その損失は日本で1年間に7兆円に達すると言う報告もある。この報告に対しては適度なアルコール飲料の摂取がもたらすプラスの効果が評価されてないという反論もあり、健康被害に対する定量的な評価は難しい。 一方、アルコール飲料の摂取が直接の健康被害を起こさないまでも、二日酔いにより本人の不具合や社会的損失があることは明確である。英国での研究では、二日酔いによる欠勤に限定した社会的損失を2400億円と算出している。 このような背景から、楽しくアルコール飲料を摂取し、かつ、二日酔いにならない方法は単に飲酒者の要望だけでなく社会的要請でもある。 二日酔いの防止策について、トルフェナムのような医薬品を用いた検討が行われてきた。また、二日酔いの防止策について、乾燥酵母、ウチワサボテン、ウコンなどの天然成分による検討も行われてきた。ウチワサボテンには一定の効果が認められたとの報告もあるが、その効果が不十分であることは、一向に普及しないことからも明らかである。 二日酔いの原因としては、エチルアルコール代謝の中間体であるアセトアルデヒドが主たる原因とされている。したがって、アルデヒド脱水酵素の酵素活性が低いことが二日酔いの原因であるとされている。しかし、二日酔いの症状は様々であり、また、アルコール飲料の種類によっても症状が異なること等からも、アセトアルデヒドのみによって、二日酔いの機序を説明することは出来ない。 また、薬物代謝の多くは肝臓でなされているため、二日酔いの原因は肝機能にあると考えがちであるが、二日酔いの2大症状が、悪心と頭痛であることに照らし、肝機能向上だけで二日酔い防止が可能と考えることはできない。 真に有効な二日酔いの予防剤及び/又は治療剤の開発が、愛飲家からも、また、社会的要請としても切望されてきた。 本発明の課題は、有効な二日酔いの予防剤及び/又は治療剤を提供することにある。 二日酔いは、一般に、アルコール摂取に伴うアルコールによる直接的な脳や神経に対する作用後に残る身体的な不具合全般を指し、主な症状としては、吐き気、悪心、頭痛、胃の痛み、のどの渇き、脱力感、皮膚症状の悪化などが挙げられる。 本発明者は、二日酔いの程度に個人差があることに注目し、内在物質の生産量の差が二日酔いの程度の個人差につながっているという仮説を立てた。内在物質を幅広く検索し、発明者自身もトライアルに参加し、検討に検討を重ねた結果、全く意外にもALA類に二日酔いを予防及び/又は治療する効果があることを見いだした。 本明細書において、ALAは、5−アミノレブリン酸を意味する。ALAは、δ−アミノレブリン酸ともいい、アミノ酸の1種である。ALAは、生体内の内在物質であり、ヘムの前駆体として知られている。ALAには様々な生理活性が知られており、がん等の診断や治療分野では、光動力学的治療(PDT、Photo Dynamic Therapy)や光動力学的診断(PDD、Photo Dynamic Diagnosis)において広く用いられている。ALAはヘム系化合物の共通前駆体であるが、がん細胞においては、ALAを投与してもヘムが生成されず、ヘム系化合物の前駆体であるプロトポルフィリンIX(PPIX)が蓄積することが知られている。蓄積したPPIXに光を照射すると蛍光を発するためにPDDが可能となる。また、酸素存在下では、蓄積したPPIXに光を照射すると、活性酸素を発生するのでPDTが可能となる。しかしながら、ALAとPDTやPDD効果と二日酔い予防剤及び/又は治療剤との関係は全く関連が予想できない。 また、ALAはヘムの前駆体であり貧血防止に有効であることが知られている。しかし、貧血で無い人も二日酔いになるし、貧血の人が二日酔いになりやすいと言う報告もない。 ALAは糖や脂質の代謝を向上させることが知られているが、先述の通り二日酔いの原因が不明である現在、二日酔い防止に対してALAが有効であるということは既存の情報から想像することはできない。 本発明者は、鋭意検討を重ね、ALA類を含む二日酔いの予防剤及び/又は治療剤を確立し、本発明を完成するに至った(もっとも、ALA類がなぜ二日酔いに有効なのかについての厳密な機序の解明は今後の科学上の課題である。)。また、本発明者は、さらに他の成分(薬剤である成分及び/又は薬剤ではない成分)との組合せや、投与量や投与方法等に関しても、鋭意検討を重ねた。 すなわち、本発明は、下記(式I)で示される化合物(式中、R1は、水素原子又はアシル基を表し、R2は、水素原子、直鎖若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す)又はその塩を含む二日酔いの予防剤及び/又は治療剤に関する。 本発明の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤は、前記(式I)において、 R1が、水素原子、炭素数1〜8のアルカノイル基、及び、炭素数7〜14のアロイル基からなる群から選択され、 R2が、水素原子、直鎖又は分岐状の炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、及び、炭素数7〜15のアラルキル基からなる群から選択されるものであってもよい。 本発明の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤は、前記(式I)において、 R1が、水素原子、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、及び、ブチリル基からなる群から選択され、 R2が、水素原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、及び、ペンチル基からなる群から選択されるものであってもよい。 本発明の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤は、前記(式I)において、 R1が水素原子であり、 R2が、水素原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、及び、ペンチル基からなる群から選択されるものであってもよい。 本発明の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤は、前記(式I)において、 R1が水素原子であり、 R2が水素原子であるものであってもよい。 本発明の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤は、さらに一種又は二種以上の金属を含有するものであってもよい。そして、当該金属は、鉄、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、バナジウム、銅、クロム、モリブデン、及び、コバルトからなる群から選択されるものであってもよい。また、当該金属は、とりわけ、鉄、マグネシウム、及び、亜鉛からなる群から選択されるものであってもよい。また、鉄を用いる場合には、クエン酸第一鉄ナトリウムを用いることができる。 本発明はまた、本発明の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤を投与することを特徴とする、二日酔いを予防及び/又は治療する方法に関する。 本発明は、二日酔いの予防剤及び/又は治療剤を提供する。本発明において、治療とは、二日酔いの症状を完全に除去することのみならず、二日酔いの症状を改善することをも含む。予防についても、同様に、二日酔いの症状を完全に生じさせないことのみならず、本発明の予防剤を投与しなければ生じるであろう二日酔いの症状をより穏かなものとすることを含む。本発明の薬剤を使用することにより、副作用がほとんどなく、優れた二日酔いの予防及び/又は治療効果を得ることができる。このように、本発明の薬剤は、飲酒者にとって有益であるだけではなく、二日酔いによって生ずる社会的損失も軽減できる。 本発明の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤としては、ALA類を含有する二日酔いの予防剤及び/又は治療剤であれば特に制限されない。本発明の薬剤は、実施態様に応じて、適宜、飲酒前に摂取することも、飲酒中に摂取することも、飲酒後に摂取することも、また、二日酔いが生じた後に摂取することもできる。 本発明の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤として用いる化合物は、ALA類である。本明細書において、ALA類とは、ALA若しくはその誘導体又はそれらの塩をいう。 ALA誘導体としては、下記(式I)で表される化合物を例示することができる。(式I)において、R1は、水素原子又はアシル基を表し、R2は、水素原子、直鎖若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。なお、(式I)において、ALAは、R1及びR2が水素原子の場合に相当する。 ALA類は、生体内で(式I)のALA又はその誘導体の状態で有効成分として作用すればよく、生体内の酵素で分解されるプロドラッグ(前駆体)として投与することもできる。 (式I)のR1におけるアシル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ベンジルカルボニル基等の直鎖又は分岐状の炭素数1〜8のアルカノイル基や、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル基等の炭素数7〜14のアロイル基を挙げることができる。 (式I)のR2におけるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等の直鎖又は分岐状の炭素数1〜8のアルキル基を挙げることができる。 (式I)のR2におけるシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロドデシル、1−シクロヘキセニル基等の飽和、又は一部不飽和結合が存在してもよい、炭素数3〜8のシクロアルキル基を挙げることができる。 (式I)のR2におけるアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル基等の炭素数6〜14のアリール基を挙げることができる。 (式I)のR2におけるアラルキル基としては、アリール部分は上記アリール基と同じ例示ができ、アルキル部分は上記アルキル基と同じ例示ができ、具体的には、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、ベンズヒドリル、トリチル、ナフチルメチル、ナフチルエチル基等の炭素数7〜15のアラルキル基を挙げることができる。 好ましいALA誘導体としては、R1が、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル基等である化合物が挙げられる。また、好ましいALA誘導体としては、上記R2が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基等である化合物が挙げられる。また、好ましいALA誘導体としては、上記R1とR2の組合せが、(ホルミルとメチル)、(アセチルとメチル)、(プロピオニルとメチル)、(ブチリルとメチル)、(ホルミルとエチル)、(アセチルとエチル)、(プロピオニルとエチル)、(ブチリルとエチル)の各組合せである化合物が挙げられる。 ALA類のうち、ALA又はその誘導体の塩としては、薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩等を挙げることができる。酸付加塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の各無機酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、トルエンスルホン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、グリコール酸塩、メタンスルホン酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩等の各有機酸付加塩を例示することができる。金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等の各アルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム塩等の各アルカリ土類金属塩、アルミニウム、亜鉛等の各金属塩を例示することができる。アンモニウム塩としては、アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩等のアルキルアンモニウム塩等を例示することができる。有機アミン塩としては、トリエチルアミン塩、ピペリジン塩、モルホリン塩、トルイジン塩等の各塩を例示することができる。なお、これらの塩は使用時において溶液としても用いることができる。 以上のALA類のうち、もっとも望ましいものは、ALA、及び、ALAメチルエステル、ALAエチルエステル、ALAプロピルエステル、ALAブチルエステル、ALAペンチルエステル等の各種エステル類、並びに、これらの塩酸塩、リン酸塩、硫酸塩である。とりわけ、ALA塩酸塩、ALAリン酸塩を特に好適なものとして例示することができる。 上記ALA類は、例えば、化学合成、微生物による生産、酵素による生産など公知の方法によって製造することができる。また、上記ALA類は、水和物又は溶媒和物を形成していてもよく、またALA類を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。 本発明の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤は、過剰症を生じない範囲で、さらに金属を含有するものが好ましく、かかる金属としては、本発明の効果に害を及ぼさない限り金属化合物を有利に用いることができる。本発明における金属としては、鉄、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、バナジウム、コバルト、銅、クロム、モリブデンを挙げることができるが、鉄、亜鉛が好ましい。 鉄化合物としては、クエン酸第一鉄、クエン酸第一鉄ナトリウム、クエン酸鉄ナトリウム、クエン酸鉄アンモニウム、ピロリン酸第二鉄、ヘム鉄、デキストラン鉄、乳酸鉄、グルコン酸第一鉄、ジエチレントリアミン五酢酸鉄ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸鉄アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸鉄ナトリウム、エチレンジアミン五酢酸鉄アンモニウム、トリエチレンテトラアミン鉄、ジカルボキシメチルグルタミン酸鉄ナトリウム、ジカルボキシメチルグルタミン酸アンモニウム鉄アンモニウム、ラクトフェリン鉄、トランスフェリン鉄、塩化第二鉄、三二酸化鉄、鉄クロロフィリンナトリウム、フェリチン鉄、フマル酸第一鉄、ピロリン酸第一鉄、含糖酸化鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄、コハク酸第一鉄、コハク酸クエン酸鉄ナトリウム、硫酸鉄、硫化グリシン鉄等を挙げることができ、中でもクエン酸第一鉄やクエン酸第一鉄ナトリウムが好ましい。 亜鉛化合物としては、塩化亜鉛、酸化亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸亜鉛、硫酸亜鉛、ジエチレントリアミン五酢酸亜鉛ジアンモニウム、エチレンジアミン四酢酸亜鉛ジナトリウム、亜鉛プロトポルフィリン、亜鉛含有酵母を挙げることができる。 上記金属は、それぞれ1種類又は2種類以上を用いることができ、金属の投与量としては、ALA類の投与量に対してモル比で、0.01〜10倍量、好ましくは0.1〜5倍量、より好ましくは、0.2〜2倍量を挙げることができる。 本発明の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤に含有されるALA類と金属は、ALA類と金属とを含む組成物としても、それぞれ単独でも投与することできるが、それぞれ単独で投与される場合でも同時に投与することが好ましい。しかし、厳密に、同時でなくともALA類と金属との投与が相加的効果あるいはは相乗的効果を奏することができるように、両者間で相当の間隔をおかずに行われるものであってもよい。 本発明の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤の投与経路としては、舌下投与も含む経口投与、あるいは吸入投与、点滴を含む静脈内投与、発布剤等による経皮投与、座薬、又は経鼻胃管、経鼻腸管、胃ろうチューブ若しくは腸ろうチューブを用いる強制的経腸栄養法による投与等の非経口投与などを挙げることができるが経口投与が一般的である。 本発明の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤の剤型としては、上記経路投与に応じて適宜決定することができるが、注射剤、点滴剤、錠剤、カプセル剤、細粒剤、散在、液剤、シロップ等に溶解した水剤、パップ剤、座薬剤等を挙げることができる。 本発明の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤を調製するために、必要に応じて、薬理学的に許容し得る担体、賦形剤、希釈剤、添加剤、崩壊剤、結合剤、被覆剤、潤滑剤、滑走剤、滑沢剤、風味剤、甘味剤、可溶化剤、溶剤、ゲル化剤、栄養剤等を添加することができ、具体的には、水、生理食塩水、動物性脂肪及び油、植物油、乳糖、デンプン、ゼラチン、結晶性セルロース、ガム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、グリセリンを例示することができる。なお、本発明の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤を水溶液として調製する場合には、ALA類の分解を防ぐため、水溶液がアルカリ性とならないように留意する必要があり、アルカリ性となってしまう場合は、酸素を除去することによって分解を防ぐこともできる。 本発明の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤の量・頻度・期間としては、二日酔いの予防剤を利用しようとする者の年齢、体重、症状等により異なるが、好ましい投与量の例としては、ALA・リン酸塩換算で、成人一人当たり、1mg〜3000mg、好ましくは2mg〜1000mg、より好ましくは3mg〜700mg、さらに好ましくは5〜200mgを挙げることができる。その他のALA類を用いる場合にも、モル換算をすることにより、好ましい投与量を計算することができる。もっとも、上記、好ましい投与量の範囲は、例示であって、限定するものではない。 投与タイミングとしては、飲酒前、飲酒開始時、飲酒中、飲酒後、二日酔い発生後のいずれでも良いし、これらの複数のタイミングに分けて摂取してもかまわない。飲酒前摂取の場合は飲酒前24時間以内、望ましくは12時間以内、さらに望ましくは6時間以内が望ましい。 本発明の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤は、他の既存の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤と組み合わせて使用することもできる。既存の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤の例としては、ジクロロ酢酸、アスピリン、リンゴ酸、カフェイン、うちわさぼてん抽出物、菩提樹抽出物、ウコンなどが挙げられる。これらの薬剤とALAの二日酔い予防剤及び/又は治療剤に関するメカニズムはそれぞれ根本的に異なると考えられるため、相加的な、場合によっては相乗的な効果が期待できる。 以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。<実施例1> 表1に示す10名の被験者に、アミノレブリン酸リン酸塩50mgとクエン酸第一鉄ナトリウム57.4mgとを含むカプセル剤を昼食後に摂取し、夕刻に飲酒を行った。なお、他の実施例においても、同じアルファベットのA〜Jで表される被験者は、同一の被験者を意味する。各被験者に適量と思われる量のアルコール含有飲料を飲んでいただいた上で、さらに日本酒1合を追加的に飲酒いただいた。その後、「当日飲酒後」と「飲酒の翌朝」の各被験者の状態に関する感想を、飲酒の翌日に、各被験者から聴取した。その結果を表2に示す。本発明の薬剤に二日酔いの予防効果があることが表2から明らかである。また、表2には、飲酒前の本発明の薬剤の摂取によって、アルコール摂取可能量が増加する傾向も見られる。<実施例2> 本実施例においては飲酒開始と同時にカプセル剤を摂取した点を除き、実施例1と同様に実施した場合の結果を表3に示す。表3から明らかなとおり、飲酒開始時に摂取しても明らかな二日酔い防止効果がみられる。また、本実験のみからは、飲酒開始時に摂取するとアルコール摂取量が増える傾向は特に観察されなかった。<実施例3> 本実施例においては、飲酒終了時に、アミノレブリン酸リン酸塩10mg、クエン酸第一鉄ナトリウム11.5mg、亜鉛酵母50mg(亜鉛量5mg)とを含むカプセル剤を摂取した。その結果を表4に示す。飲酒後の摂取でも明らかな二日酔い防止効果がみられる。<実施例4> 被験者Aは出張先の中国で飲みすぎて夜中に嘔吐し、飲酒の翌朝もひどい二日酔いで朝食も取れなかった。そこで、実施例1のカプセル剤1つと実施例3のカプセル剤1つを飲酒の翌朝に摂取した。そして、横になっていたところ30分程度から症状が改善しかけ、2時間後には回復した。これまでの経験では前日嘔吐するほど飲んだときには翌日は使い物にならないが、無事会議を済ませ、夕刻の飲酒を伴う会食にも耐えられた。 この事例から、本発明の薬剤に、二日酔いになってしまった後に投与すると、二日酔いを治療する効果があることが明らかとなった。すなわち、本発明の薬剤は二日酔いの治療剤としても優れていることがわかる。<実施例5> 被験者Dは同期会で羽目を外し、ひどい二日酔いとなった。とても出社できる状況ではなかったが、午後から大切な会議があるので、アスピリンを服用し無理をして出社しようとしたが悪心のため途中駅での下車を余儀なくされ、結局遅刻してしまった。出社後も二日酔いによる悪心と頭痛で仕事にならなかったが、実施例3のカプセル剤2つと共に、ALAリン酸塩5mgが配合されたドリンクである「花密ドリンク(商標)」(SBIアラプロモ株式会社)を摂取したところ、摂取30分くらいから徐々に回復し、無事午後一番の会議を主催できた。 この事例から、本発明の薬剤に、二日酔いになってしまった後に投与すると、二日酔いを治療する効果があることが明らかとなった。すなわち、本発明の薬剤は二日酔いの治療剤としても優れていることがわかる。<実施例6> 少量の飲酒で頭痛を起こすため、飲酒による爽快感を味わったことのない33歳女性にジクロロ酢酸イソプロピルアミンを有効成分とする市販の商品「リバオール(商標)」(第一三共株式会社)3錠と実施例3に示したカプセル剤2つを飲酒開始時に摂取させた。その結果、通常飲酒開始から30分程度で起こる頭痛が全く起こらず、生ビール500mlと梅酒1杯を摂取することができた。この女性は、爽快感を感じるとともに他の参加メンバーとの一体感を得て非常に満足のいく飲酒ができた。本事例は、本剤が他剤と併用できることをも示している。<実施例7> 被験者Aと被験者Cは、2人で日本酒1.5升を摂取した。そして、飲酒終了時にアミノレブリン酸リン酸塩10mg、クエン酸第一鉄ナトリウム11.5mg、亜鉛酵母50mg(亜鉛量5mg)、モリブデン酵母6mg(モリブデン12μg)、セレン酵母5mg(セレン10μg)、クエン酸1.67mg、リンゴ酸5mg、ビタミンB2 0.45mg、L−シスチン5mgを含むカプセル剤2つを、被験者Aと被験者Cが、各々摂取した。その結果、2人とも二日酔いは起こらなかった。<実施例8> カプセルの摂取無しに実施例7同様に日本酒を飲酒した被験者Aはひどい二日酔い状態となった。被験者Aがアミノレブリン酸100mgを含むカプセル1粒を摂取した。その結果、投与から30分経過後から症状が回復し始め、1.5時間後には完全に回復した。<実施例9> ALA類が、二日酔いの予防又は治療に有効であることをより定量的に測定するために、以下の試験を行った。 すなわち、下記表5に示すとおり、15名の被験者に、(1)ALA類を摂取した場合と(2)ALA類を摂取しなかった場合について、(A)「飲酒した日の飲酒後」(表5における「飲酒後(当日)」)の身体の状態、および、(B)「飲酒した日の翌日の朝」(表5における「飲酒の翌朝」)の身体の状態についてアンケートを行った。なお、本実験においては、ALA類としては、アミノレブリン酸リン酸塩を用いた。 各被験者は、(1)ALA類を摂取した場合と(2)ALA類を摂取しなかった場合のそれぞれについて、二日酔いの症状の評価を行うため、計2度、夕刻に飲酒を行った。なお、ALA類の摂取を伴う実験とALA類の摂取を伴わない実験とにおいて、いずれの実験を先に行い、残りの実験を後に行うかの順番については、被験者毎に無作為に選択した。それぞれの実験は、少なくとも数日空けて行った。 なお、飲酒総量は、被験者ごとにばらつきがある。これは、被験者ごとに、適度な量を摂取してもらったためである。また、2度目の飲酒総量は、1度目の飲酒総量と同量となるように飲酒を行った(なお例外として、下記表5における被験者1、被験者2、および、被験者12については、(1)ALA類を摂取した場合の飲酒総量と(2)ALA類を摂取しなかった場合の飲酒総量が同じではない。)。なお、下記表5中、「飲酒総量」は、摂取したビールや日本酒等に含まれるアルコール量の総量を換算した値を示す(すなわち、500mlの缶ビールの場合、アルコール度数が5%であれば、25mgとして計算される。)。 また、各被験者について、(1)ALA類を摂取した場合のALA類の摂取のタイミングは、下記表5に示されるとおり、「飲酒開始時」、および/または、「飲酒終了後」とした。ALA類(アミノレブリン酸リン酸塩)の摂取は、被験者ごとに、以下の、(A)実施例1のカプセル剤(ALA類50mgを含む。)、(B)実施例3のカプセル剤(ALA類10mgを含む。)、(C)「花密ドリンク(商標)」(ALA類5mg又は10mgを含む。なお、出願人が一般に販売する製品である。)から少なくとも1つを選択し、合計で10mg〜150mgの範囲内において、摂取した。 (A)「飲酒した日の飲酒後」(表5における「飲酒後(当日)」)の身体の状態、および、(B)「飲酒した日の翌日の朝」(表5における「飲酒の翌朝」)の身体の状態については、以下のスコアを用いて、定量化した。すなわち、各被験者について、二日酔いの症状である下記10項目(a〜j)について、5段階の評価(0:兆候なし、1:軽度、2:中等度、3:重度、4:最重度)を行った。そして、各被験者について、各項目の評価(0〜4)の値を総和した。その結果は、表5において、二日酔いの症状を示す「トータルスコア(total score)」として記載されている。 a.頭痛 b.悪心・嘔吐 c.睡眠障害 d.喉の渇き e.発汗 f.体の震え g.光過敏・音花瓶 h.集中困難 i.不安感・憂鬱感 j.疲労感・脱力感 以上の実験のまとめを、下記表5に示す。 上記表5より明らかなとおり、(i)各被験者について、飲酒総量が同じである場合は、(1)ALA類を摂取した場合には、(2)ALA類を摂取しなかった場合と比べて、「飲酒後(当日)」についても「飲酒の翌朝」についても二日酔いの症状は改善され、二日酔い防止効果がみられた(被験者4、5、7〜9、11、13、および14)。(ii)「飲酒開始時」にALA類を摂取したことにより、通常よりも多くの量の飲酒が可能となった(被験者1および2)。また、その場合に、通常よりも多くの量の飲酒をしたにもかかわらず、ALA類を摂取することなく普段の量を飲酒した場合と比べて、驚くべきことに、二日酔いの症状は、概ね軽減されていた(被験者1および2)。(iii)「飲酒開始時」のみにALA類を摂取しても(被験者1〜4、6、8〜15)、「飲酒終了後」のみにALA類を摂取しても(被験者5)、「飲酒開始時」と「飲酒終了後」の両方においてALA類を摂取しても(被験者7)概ね二日酔いの症状は改善され、二日酔い防止効果がみられた。(iv)少量のALA類(10mg)を、「飲酒開始時」および「飲酒終了後」にそれぞれ摂取した場合であっても、二日酔いの症状は改善され、二日酔い防止効果がみられた(被験者7)。(v)なお、ALA類を摂取しなくても二日酔いの症状がみられない被験者に対して、ALA類を投与した場合であっても、二日酔いの症状が現れることはなかった(被験者3、6、および15)。 本発明の薬剤は、二日酔いの予防剤及び/又は治療剤として有利に利用することができる。下記(式I)で示される化合物(式中、R1は、水素原子又はアシル基を表し、R2は、水素原子、直鎖若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す)又はその塩を含む二日酔いの予防剤及び/又は治療剤。請求項1記載の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤であって、 R1が、水素原子、炭素数1〜8のアルカノイル基、及び、炭素数7〜14のアロイル基からなる群から選択され、 R2が、水素原子、直鎖又は分岐状の炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、及び、炭素数7〜15のアラルキル基からなる群から選択されることを特徴とする予防剤及び/又は治療剤。請求項1記載の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤であって、 R1が、水素原子、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、及び、ブチリル基からなる群から選択され、 R2が、水素原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、及び、ペンチル基からなる群から選択されることを特徴とする予防剤及び/又は治療剤。請求項1記載の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤であって、 R1が水素原子であり、 R2が、水素原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、及び、ペンチル基からなる群から選択されることを特徴とする予防剤及び/又は治療剤。請求項1記載の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤であって、 R1が水素原子であり、 R2が水素原子であることを特徴とする予防剤及び/又は治療剤。請求項1に記載の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤であって、 前記予防剤及び/又は治療剤が、さらに一種又は二種以上の金属を含有することを特徴とする予防剤及び/又は治療剤。請求項6に記載の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤であって、 前記金属が、鉄、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、バナジウム、銅、クロム、モリブデン、及び、コバルトからなる群から選択されることを特徴とする予防剤及び/又は治療剤。請求項7に記載の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤であって、 前記金属が、鉄、マグネシウム、及び、亜鉛からなる群から選択されることを特徴とする予防剤及び/又は治療剤。請求項8に記載の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤であって、 前記金属が、鉄であることを特徴とする予防剤及び/又は治療剤。請求項9に記載の二日酔いの予防剤及び/又は治療剤であって、 前記鉄が、クエン酸第一鉄ナトリウムであることを特徴とする予防剤及び/又は治療剤。