タイトル: | 特許公報(B1)_ゲラニルゲラニルアセトンを含む眼科用組成物 |
出願番号: | 2013510416 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 31/121,A61P 27/02,A61K 9/08,A61K 9/06 |
宮野 貴之 黒瀬 孝弘 加藤 万里代 高井 良宏 JP 5358748 特許公報(B1) 20130906 2013510416 20130225 ゲラニルゲラニルアセトンを含む眼科用組成物 ロート製薬株式会社 000115991 岩谷 龍 100077012 宮野 貴之 黒瀬 孝弘 加藤 万里代 高井 良宏 JP 2012040779 20120227 20131204 A61K 31/121 20060101AFI20131114BHJP A61P 27/02 20060101ALI20131114BHJP A61K 9/08 20060101ALI20131114BHJP A61K 9/06 20060101ALI20131114BHJP JPA61K31/121A61P27/02A61K9/08A61K9/06 A61K 31/121 A61K 9/06 A61K 9/08 A61P 27/02 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特開2000−319170(JP,A) 特開平08−133967(JP,A) 特開平06−192073(JP,A) MURAKAMI, M. et al.,Japan. J. Pharmacol.,1983年,Vol.33,p.549-556 18 JP2013054779 20130225 40 20130305 高橋 樹理 本発明は、ゲラニルゲラニルアセトンを含む眼科用組成物に関する。 テプレノン(エーザイ社)は、5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンと5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンとを、重量比3:2で含む混合物である。テプレノンは、経口投与用の消化性潰瘍治療剤として広く使用されている。 また、テプレノンを、眼科領域で使用することも提案されている。例えば、特許文献1は、テプレノンをドライアイ、疲れ目、又は乾き目の予防若しくは治療剤の有効成分として使用することを教えている。また、特許文献2は、テプレノン、リン脂質、合成界面活性剤、及び水からなる澄明な点眼剤を開示している。 また、シス−トランス異性体比を特定していないゲラニルゲラニルアセトン(エーザイ社)が網膜疾患の治療剤の有効成分として有用であることも知られている。 例えば、特許文献3は、糖尿病性網膜症、又は緑内障などの眼性疾患患者にゲラニルゲラニルアセトンを投与して眼組織で熱ショックタンパク質の発現又は活性を上昇させ、その眼組織に幹細胞を補充することで眼性疾患を改善する方法を教えている。 また、非特許文献1は、網膜剥離を導入した動物にゲラニルゲラニルアセトンを腹腔内投与したところ、ヒートショックタンパク質70の発現が誘導され、視細胞のアポトーシスが有意に減少したことを教えている。 また、非特許文献2は、緑内障モデルラットにゲラニルゲラニルアセトンを腹腔内投与したところ、ヒートショックタンパク質72の発現が誘導され、網膜神経節細胞死が減少し、視神経障害が改善されたことを教えている。 また、非特許文献3は、光照射により視細胞に損傷を与えたマウスにゲラニルゲラニルアセトンを経口投与したところ、網膜色素上皮においてチオレドキシン及びヒートショックタンパク質72を誘導したことを教えている。また、網膜色素上皮からのチオレドキシンの放出が視細胞を維持するのに重要な役割を果たしていることを教えており、ゲラニルゲラニルアセトンが光損傷からの視細胞の保護に役立つことを示している。 また、非特許文献4は、虚血による網膜損傷を与えたマウスにゲラニルゲラニルアセトンを経口投与したところ、網膜神経の生存数が有意に増加したこと、及びゲラニルゲラニルアセトンが虚血を伴う網膜障害疾患の治療に有用であることを教えている。 また、非特許文献5は、多発性硬化症モデルマウスにゲラニルゲラニルアセトンを経口投与したところ、視覚機能を改善し、視神経の障害軸索数を減少させ、神経節の細胞数の減少を抑制したことを教えている。 エーザイ社から市販されているテプレノンは、5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンと5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンとを、重量比3:2で含むものである(WO2004/047822、特開平9-169639、特許第4621326、特開2006-89393、第16改正日本薬局方、セルベックス添付文書)。従って、特許文献3、及び非特許文献1〜5に記載のゲラニルゲラニルアセトンは、5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンと5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンとを、重量比3:2で含むものである。なお、エーザイ社以外から市販されているテプレノンも、5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンと5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンとを、重量比3:2で含むものである(例えば、試薬MSDS(202-15733);和光純薬)。 しかし、5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンと5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンとを、重量比3:2で含むテプレノンによる網膜疾患の改善効果は、実用上十分ではない。特開平8−133967特開2000−319170特開2009−507770The American Journal of Pathology, Vol.178, No.3, March 2011, 1080-1090Investigative Ophthalmology & Visual Science, May 2003, Vol.44, No.5, 1982-1992The Journal of Neuroscience, March 2, 2005, 25(9), 2396-2404Molecular vision, 2007, 13, 1601-1607Neuroscience Letters, 462, 2009, 281-285 本発明は、ゲラニルゲラニルアセトンを含み、実用上十分に有効な眼科用組成物を提供することを課題とする。 本発明者は上記課題を解決するために研究を重ね、以下の予測外の知見を得た。(i) ゲラニルゲラニルアセトンは、網膜細胞の保護作用を有し、網膜疾患の予防、改善、又は治療に極めて有効である。その効果は、5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトン(以下、「オールトランス体」と称することがある)、及び5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトン(以下、「5Zモノシス体」と称することがある)で高く、両者の混合物は低い。(ii) オールトランス体の網膜細胞の保護効果は、オールトランス体と5Zモノシス体とを重量比3:2で含む混合物であるテプレノンに比べて格段に優れる。(iii) オールトランス体と5Zモノシス体との混合物において、オールトランス体の比率が80重量%以上になると、網膜細胞の保護効果が格段に高くなる。(iv) ゲラニルゲラニルアセトンを含む組成物は、低温保存すると白濁し易いが、オールトランス体と5Zモノシス体との混合物において、オールトランス体の比率が80重量%以上になると、低温保存した場合に、格段に白濁し難くなる。(v) オールトランス体と5Zモノシス体との混合物において5Zモノシス体の比率が非常に高い場合も、優れた網膜細胞保護効果を示す。 本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の眼科用組成物を提供する。項1. ゲラニルゲラニルアセトンを含む眼科用組成物であり、このゲラニルゲラニルアセトンは、(a) 5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンと5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンとの混合物であって、この混合物が5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンを80重量%以上含むか、(b) 5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンのみからなるか、又は(c) 5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンのみからなるものである組成物。項2. さらに、リン酸緩衝剤を含む項1に記載の眼科用組成物。項3. pHが6〜8である項1又は2に記載の眼科用組成物。項4. ゲラニルゲラニルアセトンを、組成物の全量に対して、0.00001〜10重量%含む項1〜3の何れかに記載の眼科用組成物。項5. 点眼剤、眼内注射剤、眼軟膏、又は洗眼剤である項1〜4の何れかに記載の眼科用組成物。項6. ゲラニルゲラニルアセトンを含む眼科用組成物において、ゲラニルゲラニルアセトンとして、(a) 5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンと5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンとの混合物であって、この混合物が5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンを80重量%以上含むか、又は(b) 5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンのみからなるものを用いることにより、低温下での眼科用組成物の白濁を抑制する、低温下での眼科用組成物の白濁の抑制方法。項7. ゲラニルゲラニルアセトンを含む眼科用組成物において、ゲラニルゲラニルアセトンとして、(a) 5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンと5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンとの混合物であって、この混合物が5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンを80重量%以上含むか、又は(b) 5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンのみからなるものを用いることにより、眼科用組成物の白濁を抑制する、眼科用組成物の白濁の抑制方法。項8. 下記(a)、(b)、又は(c)のゲラニルゲラニルアセトンの眼科用剤の製造のための使用。(a) 5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンと5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンとの混合物であって、この混合物が5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンを80重量%以上含む。(b) 5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンのみからなる。(c) 5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンのみからなる。項9. 下記(a)、(b)、又は(c)のゲラニルゲラニルアセトンの眼科用剤としての使用。(a) 5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンと5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンとの混合物であって、この混合物が5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンを80重量%以上含む。(b) 5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンのみからなる。(c) 5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンのみからなる。 オールトランス体の比率が80重量%以上であるゲラニルゲラニルアセトン(以下、「GGA」と略称することがある)を含む本発明の眼科用組成物は、各種網膜細胞を変性、障害、又は死滅から保護し、その生存を著しく促進する。このため、各種網膜疾患の予防、改善、又は治療に著効を示す。 オールトランス体の比率が80重量%以上であるGGAは、少量で網膜細胞に対する保護作用を示すため、本発明の組成物は高濃度のGGAを含まなくてもよい。一般に、眼科用製剤の成分は眼球への移行性が低いため、比較的高濃度で使用されている。従って、本発明の組成物がGGA濃度を低くできることは、眼科用組成物として優れたメリットである。 また、従来の網膜疾患治療剤が、例えば眼圧を低下させることで眼圧上昇による網膜神経細胞死を抑制する等、間接的に網膜細胞を保護するのに対して、本発明の眼科用組成物は、網膜細胞の細胞死を直接抑制するため、網膜疾患を根本的に予防、改善、又は治療することができ、網膜疾患の治療に極めて有用なものである。 また、GGAは、広く使用され、安全性が確立されている薬物であるため、本発明の組成物は安全なものである。 また、本発明により、重篤な網膜疾患の患者が自宅で使用し易い眼科用組成物が提供されたことは、医療上非常に有意義なことである。 また、オールトランス体と5Zモノシス体とを重量比3:2で含む混合物であるテプレノンを含む液剤は、保存時、特に低温保存した場合に、白濁し易い。このため、特に、寒冷地での流通、及び保存時に製剤が白濁してしまい、商品価値が低い。 この点、オールトランス体の比率が80重量%以上であるGGAを含む本発明の眼科用組成物は、保存による白濁が抑制されており、さらに低温保存しても白濁し難い。このため、どのような地域にも流通させることができ、商品価値が高い。 また、オールトランス体の比率が80重量%以上であるGGAを含む本発明の眼科用組成物は、眼への刺激が抑制されている。 モノシス体、及びオールトランス体とモノシス体との混合物であってモノシス体の比率が非常に高いGGAも、網膜細胞の保護作用を有し、網膜疾患の予防、改善、又は治療に極めて有効である。その効果は、オールトランス体と5Zモノシス体とを重量比3:2で含む混合物であるテプレノンに比べて格段に優れる。低酸素、低グルコース誘導性虚血様細胞死からのGGAによる細胞保護作用を示す図である。ラットRGCにおけるGGAによる神経突起伸長誘導作用を示す図である。ラットRGCにおけるGGAによる神経突起伸長誘導作用を示す写真である。酸化ストレスからのGGAによる細胞保護作用を示す図である。GGAの、TNF−αによるIL−8産生抑制作用を示す図である。オールトランス体、及び5Zモノシス体による、NMDA誘発緑内障モデルラットの眼の神経保護作用を示す図である。オールトランス体による、NMDA誘発緑内障モデルラットの眼の神経保護作用を示す図である。オールトランス体が、NMDA誘発緑内障モデルラットの網膜の内網状層の厚さを増大させたことを示す図である。オールトランス体による、NMDA誘発緑内障モデルラットの眼の神経保護作用を示す図である。GGA含有眼科用組成物における、低温保存時の白濁抑制効果を示す図である。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の眼科用組成物は、GGAを有効成分として含む。 このGGAは、オールトランス体であるか、モノシス体であるか、オールトランス体とモノシス体との混合物であってオールトランス体を80重量%以上含むか、又はオールトランス体とモノシス体との混合物であってモノシス体の比率が非常に高いものである。ゲラニルゲラニルアセトン(1)幾何異性体の種類 GGAには、8種類の幾何異性体が存在する。具体的には、(5E,9E,13E)-6,10,14,18-テトラメチル-5,9,13,17-ノナデカテトラエン-2-オン(5E,9E,13EGGA)(オールトランス体)、(5Z,9E,13E)-6,10,14,18-テトラメチル-5,9,13,17-ノナデカテトラエン-2-オン(5Z,9E,13EGGA)(5Zモノシス体)、(5Z,9Z,13E)-6,10,14,18-テトラメチル-5,9,13,17-ノナデカテトラエン-2-オン(5Z,9Z,13EGGA)(13Eモノトランス体)(5Z,9Z,13Z)-6,10,14,18-テトラメチル-5,9,13,17-ノナデカテトラエン-2-オン(5Z,9Z,13ZGGA)(オールシス体)、(5E,9Z,13E)-6,10,14,18-テトラメチル-5,9,13,17-ノナデカテトラエン-2-オン(5E,9Z,13EGGA)(9Zモノシス体)、(5E,9Z,13Z)-6,10,14,18-テトラメチル-5,9,13,17-ノナデカテトラエン-2-オン(5E,9Z,13ZGGA)(5Eモノトランス体)(5E,9E,13Z)-6,10,14,18-テトラメチル-5,9,13,17-ノナデカテトラエン-2-オン(5E,9E,13ZGGA)(13Zモノシス体)、及び(5Z,9E,13Z)-6,10,14,18-テトラメチル-5,9,13,17-ノナデカテトラエン-2-オン(5Z,9E,13ZGGA)(9Eモノトランス体)の8種である。 本発明において、GGAは、オールトランス体のみからなるか、モノシス体のみからなるか、オールトランス体とモノシス体との混合物である。モノシス体は、5Zモノシス体、9Zモノシス体、及び13Zモノシス体の何れであってもよい。また、これらのモノシス体の2種以上の組み合わせであってもよい。 モノシス体は5Zモノシス体であるのが好ましい。 オールトランス体とモノシス体(特に5Zモノシス体)との混合物である場合、オールトランス体の比率は80重量%以上であり、82重量%以上が好ましく、84重量%以上がより好ましく、86重量%以上がさらにより好ましく、88重量%以上がさらにより好ましく、90重量%以上がさらにより好ましく、92重量%以上がさらにより好ましく、94重量%以上がさらにより好ましく、96重量%以上がさらにより好ましく、98重量%以上がさらにより好ましい。オールトランス体のみからなるのが特に好ましい。上記範囲であれば、網膜疾患の予防、改善、又は治療に著効を示すようになり、かつ、低温保存した場合に白濁し難くなる。 また、オールトランス体とモノシス体(特に5Zモノシス体)との混合物である場合、モノシス体(特に5Zモノシス体)の比率が非常に高いものも、網膜疾患の予防、改善、又は治療に著効を示すようになるため、好ましい。(2)オールトランス体・5Zモノシス体 5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトン(オールトランス体)は、以下の構造式で表される化合物である。 オールトランス体は、例えば、Rionlon社から購入できる。 また、市販テプレノン(エーザイ社、和光純薬、陽進堂)を、例えば、n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1の移動相を用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより5Zモノシス体と分離することによっても得られる。市販テプレノンの5Zモノシス体とオールトランス体との分離は、例えば、神戸天然物化学社に依頼して行うこともできる。 市販テプレノンの分離により5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトン(5Zモノシス体)も得られる。5Zモノシス体は、以下の構造式で表される化合物である。 さらに、オールトランス体は、例えば、Bull. Korean Chem. Soc., 2009, Vol.30, No.9, 215-217に記載の方法で合成できる。同文献には、例えば、下記合成スキームに示す方法が記載されている。 具体的には、上記反応式において、ゲラニルリナロール1と化合物2とアルミニウムイソプロポキシドとを混合し、この混合物を徐々に130℃まで昇温して反応させる。反応終了後、残渣の化合物2を除去し、反応混合物を5%炭酸ナトリウムで希釈して、残渣のアルミニウムプロポキシドをクエンチングする。これにより、オールトランス体が得られる。さらに、ジクロロメタンを溶出液として用いたシリカゲルクロマトグラフィー等でオールトランス体を精製すればよい。(3)オールトランス体と5Zモノシス体との混合物 オールトランス体と5Zモノシス体との混合物は、市販テプレノンに、オールトランス体、又は5Zモノシス体を添加することにより得られる。(4)GGAの含有量 眼科用組成物が、固形製剤以外の、例えば、液体状、流動状、ゲル状、又は半固形状などの製剤である場合、眼科用組成物中のGGAの含有量は、組成物の全体量に対して、0.00001重量%以上が好ましく、0.0001重量%以上がより好ましく、0.001重量%以上がさらにより好ましい。また、0.01重量%以上であってもよく、0.1重量%以上であってもよく、1重量%以上であってもよい。上記範囲であれば、網膜疾患の予防、改善、又は治療効果が十分に得られる。 また、眼科用組成物が、固形製剤以外の、例えば、液体状、流動状、ゲル状、又は半固形状などの製剤である場合、眼科用組成物中のGGAの含有量は、組成物の全体量に対して、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、3重量%以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、網膜疾患の予防、改善、又は治療効果が十分に得られると共に、より澄明で、霧視が生じ難い製剤となる。 眼科用組成物が、固形製剤以外の、例えば、液体状、流動状、ゲル状、又は半固形状などの製剤である場合、眼科用組成物中のGGAの含有量としては、組成物の全体量に対して、約0.00001〜10重量%、約0.00001〜5重量%、約0.00001〜3重量%、約0.0001〜10重量%、約0.0001〜5重量%、約0.0001〜3重量%、約0.001〜10重量%、約0.001〜5重量%、約0.001〜3重量%、約0.01〜10重量%、約0.01〜5重量%、約0.01〜3重量%、約0.1〜10重量%、約0.1〜5重量%、約0.1〜3重量%、約1〜10重量%、約1〜5重量%、約1〜3重量%が挙げられる。 徐放性眼内埋植製剤、又はコンタクトレンズにGGAを含有させた徐放性コンタクトレンズ製剤のような固形製剤中のGGAの含有量については、後述する。製剤 眼科用組成物の性状は特に限定されず、例えば、液体状、流動状、ゲル状、半固形状、又は固形状などの何れの性状であってもよい。 眼科用組成物の種類は特に限定されない。例えば、点眼剤、洗眼剤、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズ用液(洗浄液、保存液、消毒液、マルチパーパスソリューション、パッケージソリューション)、移植用の角膜等の摘出眼組織の保存剤、手術時潅流液、眼軟膏(水溶性眼軟膏、油溶性眼軟膏)、及び眼内注射剤(例えば、硝子体内注射剤)などが挙げられる。 また、固形状以外の液体状、流動状、ゲル状、半固形状、又は固形状などの眼科用組成物は、水性組成物であってもよく、軟膏剤などのように油性組成物であってもよい。 眼科用製剤の調製方法は良く知られている。GGAを、薬学的に許容される基剤又は担体、必要に応じて、薬学的に許容される眼科用組成物用の添加剤、及びその他の有効成分(GGA以外の生理活性成分又は薬理活性成分)と混合することにより調製できる。<基剤又は担体> 基剤又は担体として、例えば、水;極性溶媒のような水性溶媒;多価アルコール;植物油;油性基剤などが挙げられる。眼内注射剤の基剤又は担体としては、注射用蒸留水または生理用食塩水が挙げられる。 基剤又は担体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。<添加剤> 添加剤としては、例えば、界面活性剤、香料又は清涼化剤、防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤、pH調節剤、等張化剤、キレート剤、緩衝剤、安定化剤、抗酸化剤、及び粘稠化剤などが挙げられる。眼内注射剤には、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤、安定化剤、及び防腐剤などが含まれていてもよい。 添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。 添加剤の具体例を以下に例示する。 界面活性剤:例えば、ポリオキシエチレン(以下、「POE」ということもある)−ポリオキシプロピレン(以下、「POP」ということもある)ブロックコポリマー(例えば、ポロクサマー407、ポロクサマー235、ポロクサマー188)、エチレンジアミンのPOE-POPブロックコポリマー付加物(例えば、ポロキサミン)、POEソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80(TO−10等))、POE硬化ヒマシ油(例えば、POE(60)硬化ヒマシ油(HCO−60等))、POEヒマシ油、POEアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル)、及びステアリン酸ポリオキシルのような非イオン性界面活性剤; グリシン型両性界面活性剤(例えば、アルキルジアミノエチルグリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン)、及びベタイン型両性界面活性剤(例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン)のような両性界面活性剤;並びに アルキル4級アンモニウム塩(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム)のような陽イオン界面活性剤など。 なお、括弧内の数字は付加モル数を示す。 香料又は清涼化剤:例えば、カンフル、ボルネオール、テルペン類(これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい)、ハッカ水、ユーカリ油、ベルガモット油、アネトール、オイゲノール、ゲラニオール、メントール、リモネン、ハッカ油、ペパーミント油、及びローズ油のような精油など。 防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:例えば、塩化ポリドロニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、ポリヘキサメチレンビグアニド又はその塩酸塩など)、及びグローキル(ローディア社製)など。 pH調節剤:例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、硫酸、及びリン酸など。 等張化剤:例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、グリセリン、及びプロピレングリコールなど。 キレート剤:例えば、アスコルビン酸、エデト酸四ナトリウム、エデト酸ナトリウム、及びクエン酸など。 緩衝剤:例えば、リン酸緩衝剤;クエン酸、クエン酸ナトリウムのようなクエン酸緩衝剤;酢酸、酢酸カリウム、酢酸ナトリウムのような酢酸緩衝剤;炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムのような炭酸緩衝剤;ホウ酸、ホウ砂のようなホウ酸緩衝剤;タウリン、アスパラギン酸及びその塩類(カリウム塩など)、イプシロン−アミノカプロン酸のようなアミノ酸緩衝剤など。 中でも、リン酸緩衝剤を用いてpHを調整するのが好ましく、それにより、容器壁へのGGAの吸着、ひいては組成物中のGGAの含有率の低下が抑制される。また、低温保存時の白濁が抑制され、コンタクトレンズへのGGAの吸着が抑制され、熱及び光に対する安定性が良好なものとなるという効果も得られる。 リン酸緩衝剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。 リン酸緩衝剤は、特に限定されないが、例えば、リン酸;リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、及びリン酸三カリウムのようなリン酸のアルカリ金属塩;リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸一マグネシウム、リン酸二マグネシウム(リン酸水素マグネシウム)、リン酸三マグネシウムのようなリン酸のアルカリ土類金属塩;リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウムのようなリン酸のアンモニウム塩などが挙げられる。リン酸緩衝剤は、無水物又は水和物のいずれでもよい。 中でも、リン酸、及びリン酸のアルカリ金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を使用するのが好ましく、リン酸、及びリン酸のナトリウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を使用するのがより好ましい。 リン酸緩衝剤の好ましい組み合わせとして、リン酸とリン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムとリン酸三ナトリウムとの組み合わせ、リン酸とリン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムとの組み合わせ、リン酸とリン酸水素二ナトリウムとリン酸三ナトリウムとの組み合わせ、リン酸とリン酸二水素ナトリウムとリン酸三ナトリウムとの組み合わせ、リン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムとリン酸三ナトリウムとの組み合わせ、リン酸とリン酸水素二ナトリウムとの組み合わせ、リン酸とリン酸二水素ナトリウムとの組み合わせ、リン酸とリン酸三ナトリウムとの組み合わせ、リン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムとの組み合わせ、リン酸水素二ナトリウムとリン酸三ナトリウムとの組み合わせ、リン酸二水素ナトリウムとリン酸三ナトリウムとの組み合わせが挙げられる。 中でも、リン酸とリン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムとの組み合わせ、リン酸とリン酸水素二ナトリウムとの組み合わせ、リン酸とリン酸二水素ナトリウムとの組み合わせ、リン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムとの組み合わせが好ましく、リン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムとの組み合わせがより好ましい。 リン酸緩衝剤の含有量は、無水物に換算して、組成物の全量に対して、0.001重量%以上が好ましく、0.005重量%以上がより好ましく、0.01重量%以上がさらにより好ましく、0.05重量%以上がさらにより好ましい。上記範囲であれば、リン酸緩衝剤添加による、GGAの安定化効果、低温白濁抑制効果、GGAの容器壁及びコンタクトレンズへの吸着抑制効果が十分に得られる。 また、眼科用組成物中のリン酸緩衝剤の含有量は、無水物に換算して、組成物の全量に対して、10重量%以下が好ましく、7重量%以下がより好ましく、5重量%以下がさらにより好ましく、3重量%以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、眼への刺激が少ない。 リン酸緩衝剤の含有量としては、無水物に換算して、眼科用剤の全量に対して、約0.001〜10重量%、約0.001〜7重量%、約0.001〜5重量%、約0.001〜3重量%、約0.005〜10重量%、約0.005〜7重量%、約0.005〜5重量%、約0.005〜3重量%、約0.01〜10重量%、約0.01〜7重量%、約0.01〜5重量%、約0.01〜3重量%、約0.05〜10重量%、約0.05〜7重量%、約0.05〜5重量%、約0.05〜3重量%が挙げられる。 また、リン酸緩衝剤の含有量は、無水物に換算して、GGAの1重量部に対して、0.0005重量部以上が好ましく、0.001重量部以上がより好ましく、0.005重量部以上がさらにより好ましく、0.01重量部以上がさらにより好ましい。上記範囲であれば、リン酸緩衝剤添加による、GGAの安定化効果、低温白濁抑制効果、GGAの容器壁及びコンタクトレンズへの吸着抑制効果が十分に得られる。 また、眼科用組成物中のリン酸緩衝剤の含有量は、無水物に換算して、GGAの1重量部に対して、5000重量部以下が好ましく、1000重量部以下がより好ましく、500重量部以下がさらにより好ましく、200重量部以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、眼への刺激が少ない。 リン酸緩衝剤の含有量としては、無水物に換算して、GGAの1重量部に対して、約0.0005〜5000重量部、約0.0005〜1000重量部、約0.0005〜500重量部、約0.0005〜200重量部、約0.001〜5000重量部、約0.001〜1000重量部、約0.001〜500重量部、約0.001〜200重量部、約0.005〜5000重量部、約0.005〜1000重量部、約0.005〜500重量部、約0.005〜200重量部、約0.01〜5000重量部、約0.01〜1000重量部、約0.01〜500重量部、約0.01〜200重量部が挙げられる。 安定化剤:トロメタモール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウム、及びモノステアリン酸グリセリンなど。 抗酸化剤:アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体(アスコルビン酸-2-硫酸2ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸-2-リン酸マグネシウム、アスコルビン酸-2-リン酸ナトリウムなど)、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤。 眼科用組成物には、脂溶性抗酸化剤が含まれていてもよく、これにより、眼科用容器壁への眼科用組成物の吸着、ひいては組成物中のGGAの含有率の低下が抑制される。また、コンタクトレンズへのGGAの吸着が抑制され、GGAの熱及び光に対する安定性も向上する。 脂溶性抗酸化剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)のようなブチル基含有フェノール;ノルジヒドログアヤレチック酸(NDGA);アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ステアレート、アスコルビン酸リン酸アミノプロピル、アスコルビン酸リン酸トコフェロール、アスコルビン酸トリリン酸、アスコルビン酸リン酸パルミテートのようなアスコルビン酸エステル;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールのようなトコフェロール;酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールのようなトコフェロール誘導体;没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシルのような没食子酸エステル;プロピルガラート; 3-ブチル-4-ヒドロキシキノリン-2オン;大豆油、菜種油、オリーブ油、ゴマ油のような植物油;ルテイン、アスタキサンチンのようなカロテノイド類;アントシアニン類、カテキン、タンニン、クルクミンなどのポリフェノール類;レチノール、レチノールエステル(酢酸レチノール、プロピオン酸レチノール、酪酸レチノール、オクチル酸レチノール、ラウリル酸レチノール、ステアリン酸レチノール、ミリスチン酸レチノール、オレイン酸レチノール、リノレン酸レチノール、リノール酸レチノール、パルミチン酸レチノールなど)、レチナール、レチナールエステル(酢酸レチナール、プロピオン酸レチナール、パルミチン酸レチナールなど)、レチノイン酸、レチノイン酸エステル(レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール、レチノイン酸トコフェロールなど)、レチノールデヒドロ体、レチナールデヒドロ体、レチノイン酸デヒドロ体、プロビタミンA(α-カロチン、β-カロチン、γ-カロチン、δ-カロチン、リコピン、ゼアキサンチン、β-クリプトキサンチン、エキネノンなど)、ビタミンAなどのビタミンA類;CoQ10などが挙げられる。これらの化合物は市販されている。 中でも、ブチル基含有フェノール、NDGA、アスコルビン酸エステル、トコフェロール、トコフェロール誘導体、没食子酸エステル、プロピルガラート、及び3-ブチル-4-ヒドロキシキノリン-2オン、植物油、ビタミンA類が好ましい。中でも、ブチル基含有フェノール、トコフェロール、トコフェロール誘導体、植物油、ビタミンA類が好ましく、ブチル基含有フェノール、植物油、レチノール又はレチノールエステルがより好ましく、BHT、BHA、ゴマ油、パルミチン酸レチノールがさらにより好ましい。 脂溶性抗酸化剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。 眼科用組成物中の脂溶性抗酸化剤の含有量は、組成物の全量に対して、0.00001重量%以上が好ましく、0.00005重量%以上がより好ましく、0.0001重量%以上がさらにより好ましく、0.0005重量%以上がさらにより好ましい。上記範囲であれば、脂溶性抗酸化剤の添加による容器壁へのGGAの吸着抑制効果(GGAの含有率低下の抑制効果)、コンタクトレンズへのGGAの吸着抑制効果、並びにGGAの熱及び光に対する安定性向上効果が十分に得られる。 また、眼科用組成物中の脂溶性抗酸化剤の含有量は、組成物の全量に対して、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、2重量%以下がさらにより好ましく、1重量%以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、眼の刺激も少ない。 眼科用剤中の脂溶性抗酸化剤の含有量としては、眼科用剤の全量に対して、約0.00001〜10重量%、約0.00001〜5重量%、約0.00001〜2重量%、約0.00001〜1重量%、約0.00005〜10重量%、約0.00005〜5重量%、約0.00005〜2重量%、約0.00005〜1重量%、約0.0001〜10重量%、約0.0001〜5重量%、約0.0001〜2重量%、約0.0001〜1重量%、約0.0005〜10重量%、約0.0005〜5重量%、約0.0005〜2重量%、約0.0005〜1重量%が挙げられる。 また、眼科用組成物中の脂溶性抗酸化剤の含有量は、GGAの1重量部に対して、0.0001重量部以上が好ましく、0.001重量部以上がより好ましく、0.005重量部以上がさらにより好ましく、0.01重量部以上がさらにより好ましい。上記範囲であれば、脂溶性抗酸化剤の添加による容器壁へのGGAの吸着抑制効果(GGAの含有率低下の抑制効果)、コンタクトレンズへのGGAの吸着抑制効果、並びにGGAの熱及び光に対する安定性向上効果が十分に得られる。 また、眼科用組成物中の脂溶性抗酸化剤の含有量は、GGAの1重量部に対して、100重量部以下が好ましく、50重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさらにより好ましく、5重量部以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、眼への刺激も少ない。 眼科用剤中の脂溶性抗酸化剤の含有量としては、GGAの1重量部に対して、約0.0001〜100重量部、約0.0001〜50重量部、約0.0001〜10重量部、約0.0001〜5重量部、約0.001〜100重量部、約0.001〜50重量部、約0.001〜10重量部、約0.001〜5重量部、約0.005〜100重量部、約0.005〜50重量部、約0.005〜10重量部、約0.005〜5重量部、約0.01〜100重量部、約0.01〜50重量部、約0.01〜10重量部、約0.01〜5重量部が挙げられる。 粘稠化剤:グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース系高分子化合物、アラビアゴム、カラヤガム、キサンタンガム、寒天、アルギン酸、α−シクロデキストリン、デキストリン、デキストラン、ヘパリン、ヘパリノイド、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩(ナトリウム塩など)、コンドロイチン硫酸ナトリウム、デンプン、キチン及びその誘導体、キトサン及びその誘導体、カラギーナン、ソルビトール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメタアクリレートのようなポリビニル系高分子化合物、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、及びカリウム塩など)、ポリアクリル酸のアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩など)、ポリアクリル酸のアンモニウム塩のようなカルボキシビニルポリマー、カゼイン、ゼラチン、コラーゲン、ペクチン、エラスチン、セラミド、流動パラフィン、グリセリン、ポリエチレングリコール、マクロゴール、ポリエチレンイミンアルギン酸塩(ナトリウム塩など)、アルギン酸エステル(プロピレングリコールエステルなど)、トラガント末、並びにトリイソプロパノールアミンなど。<その他の網膜疾患の予防、改善、又は治療成分> 本発明の眼科用組成物は、GGAに加えて、GGAとは異なる作用機序で網膜疾患を予防又は治療する成分を含むことが好ましい。即ち、本発明の眼科用組成物は、網膜疾患の予防、改善、又は治療の有効成分として、GGAとその他の成分との組み合わせを含むことが好ましい。 GGA以外の網膜疾患の予防、改善、又は治療成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。 このような組み合わせとして、それには限定されないが、例えば、GGAとプロスト系薬剤との組み合わせ(GGAとラタノプロスト、GGAとトラボプロスト、GGAとタフルプロストなど)、GGAとプロスタマイド系薬剤との組み合わせ(GGAとビマトプロストなど)、GGAとプロストン系薬剤との組み合わせ(GGAとイソプロピルウノプロストン)のようなGGAとプロスタグランジンF2α誘導体との組み合わせ;GGAとβ遮断薬との組み合わせ(GGAとマレイン酸チモロール、GGAとゲル化チモロール、GGAと塩酸カルテオロール、GGAとゲル化カルテオロールなど)、GGAとβ1遮断薬との組み合わせ(GGAと塩酸ベタキソロールなど)、GGAとαβ遮断薬との組み合わせ(GGAと塩酸レボブノロール、GGAとニプラジロール、GGAと塩酸ブナゾシンなど)、GGAとα2遮断薬との組み合わせ(GGAとブリモニジン酒石酸塩)のようなGGAと交感神経遮断薬との組み合わせ;GGAと塩酸ピロカルピン、GGAと臭化ジスチグミンのようなGGAと副交感神経作動薬との組み合わせ;GGAとエピネフリン、GGAと酒石酸水素エピネフリン、GGAと塩酸ジピベフリンのようなGGAと交感神経作動薬との組み合わせ;GGAとドルゾラミド塩酸塩、GGAとブリンゾラミドのようなGGAと炭酸脱水素酵素阻害剤との組み合わせ;GGAとSNJ-1656、GGAとK-115のようなGGAとROCK(Rho-associated coiled coil forming protein kinase)の特異的阻害剤との組み合わせ;GGAとロメリジン塩酸塩のようなGGAとカルシウム拮抗剤との組み合わせ;GGAとDE-117のようなGGAとEP2アゴニストとの組み合わせ;GGAとOPA-6566のようなGGAとアデノシンA2a受容体作動薬との組み合わせ;GGAとVEGFアプタマーとの組み合わせ(GGAとペガプタニブナトリウム)、GGAとVEGF阻害剤との組み合わせ(GGAとラニビズマブ、GGAとベバシズマブ)のようなGGAと加齢黄斑変性症治療剤との組み合わせなどが挙げられる。 中でも、網膜疾患の予防、改善、治療効果が非常に高くなる点で、GGAとプロスタグランジンF2α誘導体との組み合わせ、及びGGAと交感神経遮断薬との組み合わせ(特に、GGAとβ遮断薬との組み合わせ)が好ましい。<その他の薬理活性成分又は生理活性成分> また、本発明の眼科用組成物には、網膜疾患の予防、改善、又は治療成分以外の薬理活性成分又は生理活性成分を配合することができる。このような薬理活性成分又は生理活性成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。 このような薬理活性成分や生理活性成分として、その他にも、例えば、神経栄養因子、充血除去成分、眼筋調節薬成分、抗炎症薬成分又は収斂薬成分、抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分、ビタミン類、アミノ酸類、抗菌薬成分又は殺菌薬成分、糖類、高分子化合物、セルロース又はその誘導体、及び局所麻酔薬成分などが挙げられる。これらの薬剤の具体例を以下に例示する。 神経栄養因子:神経栄養因子(NGF:Nerve growth factor)、脳由来神経栄養因子(BDNF:brain-derived nerve growth factor)、及びグリア細胞由来神経栄養因子(GDNF:glial cell line-derived neurotrophic factor)など。 また、血清は神経栄養因子を始めとする栄養因子を含むため、患者から採取した血清を添加してその患者に用いる製剤にすることもできる。 充血除去成分:例えば、α−アドレナリン作動薬、具体的にはエピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸メチルエフェドリン、酒石酸水素エピネフリン、及び硝酸ナファゾリンなど。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。 眼筋調節薬成分:例えば、アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害剤、具体的にはメチル硫酸ネオスチグミン、トロピカミド、ヘレニエン、及び硫酸アトロピンなど。 抗炎症薬成分又は収斂薬成分:例えば、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、アラントイン、イプシロン−アミノカプロン酸、インドメタシン、塩化リゾチーム、硝酸銀、プラノプロフェン、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二アンモニウム、ジクロフェナクナトリウム、ブロムフェナクナトリウム、塩化ベルベリン、及び硫酸ベルベリンなど。 抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分:例えば、アシタザノラスト、ジフェンヒドラミン又はその塩酸塩などの塩、マレイン酸クロルフェニラミン、フマル酸ケトチフェン、レボカバスチン又はその塩酸塩など、アンレキサノクス、イブジラスト、タザノラスト、トラニラスト、オキサトミド、スプラタスト又はそのトシル酸塩などの塩、クロモグリク酸ナトリウム、及びペミロラストカリウムなど。 ビタミン類:例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、リン酸ピリドキサール、シアノコバラミン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、アスコルビン酸、酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウム、及びユビキノン誘導体など。 アミノ酸類:例えば、アミノエチルスルホン酸(タウリン)、グルタミン酸、クレアチニン、アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム・カリウム混合物、グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸マグネシウム、イプシロン−アミノカプロン酸、グリシン、アラニン、アルギニン、リジン、γ−アミノ酪酸、γ−アミノ吉草酸、及びコンドロイチン硫酸ナトリウムなど。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。 抗菌薬成分又は殺菌薬成分:例えば、アルキルポリアミノエチルグリシン、クロラムフェニコール、スルファメトキサゾール、スルフイソキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソキサゾールジエタノールアミン、スルフイソキサゾールモノエタノールアミン、スルフイソメゾールナトリウム、スルフイソミジンナトリウム、オフロキサシン、ノルフロキサシン、レボフロキサシン、塩酸ロメフロキサシン、及びアシクロビルなど。 糖類:例えば、単糖類、二糖類、具体的にはグルコース、マルトース、トレハロース、スクロース、シクロデキストリン、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなど。 高分子化合物:例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、デキストリン、デキストラン、ペクチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリビニルアルコール(完全、または部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、マクロゴールおよびその薬学的に許容される塩類など。 セルロース又はその誘導体:例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシエチルセルロース、ニトロセルロースなど。 局所麻酔薬成分:例えば、クロロブタノール、塩酸プロカイン、塩酸リドカインなど。pH 本発明の眼科用組成物が水分を含む製剤である場合の組成物のpHは、4以上が好ましく、5.5以上がより好ましく、6以上がさらにより好ましく、6.5以上がさらにより好ましい。上記範囲であれば、GGAの熱及び光に対する安定性が良好な製剤になる。 また、9以下が好ましく、8.5以下がより好ましく、8以下がさらにより好ましく、7.5以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、眼への刺激が抑えられる。徐放性眼内埋植剤 また、眼科用剤としては、徐放性眼内埋植剤も挙げることができる。徐放性眼内埋植剤の調製方法は種々知られている。例えば、GGAを高分子物質を含む担体と混合して成型したマトリックス製剤、GGAを含む核を高分子膜で被覆した製剤、高分子物質からなる微小なカプセルにGGAを封入したカプセル製剤などが挙げられる。 高分子としては、徐放性眼内埋植剤に使用される高分子を制限なく使用でき、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、プルラン、ゼラチン、コラーゲン、アテロコラーゲン、ヒアルロン酸、カゼイン、寒天、アラビアゴム、デキストリン、エチルセルロース、メチルセルロース、キチン、キトサン、マンナン、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、セルロースアセテート、ポリビニルピロリドン、シリコーン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アルブミン、及び乳酸・グリコール酸共重合体などが挙げられる。 高分子は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。 徐放性眼内埋植剤は、GGAとその他の網膜疾患の予防、改善、又は治療成分を含むことが好ましい。この組み合わせとしては、例えば上記例示したものが挙げられる。徐放性眼内埋植剤は、さらに、その他の薬理活性成分又は生理活性成分を含むことができる。この成分は、例えば上記例示したものを使用できる。 徐放性眼内埋植剤中のGGAの含有量は、製剤の全量に対して、約0.001mg以上が好ましく、約0.01mg以上がより好ましく、約0.1mg以上がさらにより好ましい。また、約1000mg以下が好ましく、約100mg以下がより好ましく、約10mg以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、網膜疾患の予防、改善、又は治療効果が十分に得られる。 徐放性眼内埋植剤中のGGAの含有量としては、製剤の全量に対して、約0.001〜1000mg、約0.001〜100mg、約0.001〜10mg、約0.01〜1000mg、約0.01〜100mg、約0.01〜10mg、約0.1〜1000mg、約0.1〜100mg、約0.1〜10mgが挙げられる。徐放性コンタクトレンズ製剤 また、眼科用剤としては、コンタクトレンズ自体にGGAを含ませた徐放性コンタクトレンズ製剤も挙げられる。このような徐放性製剤は、例えば、コンタクトレンズに、GGAを含有したコンタクトレンズ用液、例えば、洗浄液、保存液、消毒液、マルチパーパスソリューション、パッケージソリューションなどにコンタクトレンズを浸漬させることにより調製できる。または、コンタクトレンズ製造原料、例えば、コンタクトレンズポリマーの構成モノマー(ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ビニルピロリドン、ジビニルベンゼン、メタクリル酸、エチレングリコールジメタクリレート、ベンゾインメチルエーテルなど)、着色剤、又は紫外線吸収剤などにGGAを含浸させた後、それらを用いてコンタクトレンズを製造することにより調製できる。 徐放性コンタクトレンズ製剤中のGGAの含有量は、製剤の全量に対して、約0.001mg以上が好ましく、約0.01mg以上がより好ましく、約0.1mg以上がさらにより好ましい。また、約1000mg以下が好ましく、約100mg以下がより好ましく、約10mg以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、網膜疾患の予防、改善、又は治療効果が十分に得られる。 徐放性コンタクトレンズ製剤中のGGAの含有量としては、製剤の全量に対して、約0.001〜1000mg、約0.001〜100mg、約0.001〜10mg、約0.01〜1000mg、約0.01〜100mg、約0.01〜10mg、約0.1〜1000mg、約0.1〜100mg、約0.1〜10mgが挙げられる。 徐放性コンタクトレンズ製剤は、GGAとその他の網膜疾患の予防、改善、又は治療成分を含むことが好ましい。この組み合わせとしては、例えば上記例示したものが挙げられる。徐放性コンタクトレンズ製剤は、さらに、GGA以外の薬理活性成分又は生理活性成分を含むことができる。この成分は、例えば上記例示したものを使用できる。 本発明の眼科用組成物の剤型は、患部への移行性が良好である点で、点眼剤、眼内注射剤、眼軟膏、及び洗眼剤が好ましく、点眼剤がより好ましい。キット 本発明の組成物は、全成分を含む1剤型の組成物からなるものであってもよく、GGAを含む組成物と、GGA以外の薬理活性成分又は生理活性成分を含む組成物とを別々に備えるキットであってもよい。また、特定の添加剤を含む組成物を、GGAを含む組成物とは別に備えるキットであってもよい。キットである場合、各組成物は別容器に充填されていてもよく、又は用時混合できる容器に充填されている用時調製型組成物であってもよい。キットの場合、2剤型、又は3剤型など任意のタイプを採用できる。 本発明の組成物がGGAを含む組成物とその他の成分を含む組成物とのキットであるときは、各組成物が別容器に充填されたキットの場合も、用時調製型のキットの場合も、上記説明した各製剤のGGA含有量は、各組成物を混合した後の全体量に対する比率である。対象疾患 本発明の眼科用組成物は、網膜疾患を対象とすることができ、網膜疾患としては、網膜を構成する細胞の変性、障害、若しくは細胞死が生じる疾患、又は網膜を構成する細胞の変性、障害、若しくは細胞死に起因する疾患であればよく、例えば、緑内障、網膜色素変性、加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、網膜剥離、糖尿病性黄斑症、高血圧性網膜症、網膜血管閉塞(網膜動脈閉塞;網膜中心静脈閉塞、網膜中心静脈分枝閉塞のような網膜静脈閉塞等)、網膜動脈硬化症、網膜裂孔、網膜円孔、黄斑円孔、眼底出血、後部硝子体剥離、色素性傍静脈網脈絡膜萎縮、脳回状網脈絡膜萎縮、コロイデレミア、クリスタリン網膜症、白点状網膜症、角膜ジストロフィー、錐体ジストロフィー、中心性輪紋状脈絡膜ジストロフィー、ドインハチの巣状網膜ジストロフィー、卵黄状黄斑ジストロフィー、嚢腫状組織黄斑浮腫、オカルト黄斑ジストロフィー、スターガルト病、網膜分離症、中心性しょう液性網脈絡膜症(中心性網膜症)、脊髄小脳変性症7型、家族性滲出性硝子体網膜症、S錐体増強症候群、網膜色素線条、常染色体優性視神経萎縮、常染色体優性ドルーゼン、家族性ドルーゼン、急性帯状潜在性網膜外層症、癌関連網膜症、光損傷、虚血性網膜症、炎症誘導性レチナール変性疾患などが挙げられる。 中でも、緑内障、網膜色素変性、加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症が好適な対象疾患であり、緑内障がより好適な対象疾患である。 また、本発明の眼科用組成物は、網膜を構成する何れの細胞が障害を受けている疾患、又は網膜を構成する何れの細胞の障害が原因となる疾患でも対象とできる。網膜構成細胞としては、網膜神経節細胞、アマクリン細胞、水平細胞、ミュラーグリア細胞、双極細胞、網膜視細胞(錐体、桿体)、及び網膜色素上皮細胞などが挙げられる。特に網膜神経節細胞、若しくは網膜色素上皮細胞の障害が認められる、又はこれらの細胞の障害に起因する疾患が好適である。 また、本発明の眼科用組成物は、網膜を構成する層、即ち、内境界膜、神経線維層、神経節細胞層、内網状膜、内顆粒層、外網状層、外顆粒層、外境界膜、視細胞層、及び網膜色素上皮層の何れが障害を受けている疾患、又はこれらの何れの層の障害が原因となる疾患でも対象となる。特に、神経節細胞層、内顆粒層、又は外顆粒層の障害疾患が好適な対象となる。 本発明において、「予防」は、発症の回避、遅延、又は発症率の低下を包含し、「改善」及び「治療」は、症状の軽快、症状の進行抑制、及び治癒ないしは完快を包含する。使用方法 本発明の眼科用組成物は、例えば、網膜疾患患者に投与される。 本発明の組成物が点眼剤である場合、上記濃度でGGAを含む点眼剤を、例えば、1回当たり、約1〜2滴、1日約1〜5回、好ましくは約1〜3回点眼すればよい。 また、本発明の組成物が洗眼剤である場合、上記濃度でGGAを含む洗眼剤を、例えば、1回当たり、約1〜20mL用いて、1日約1〜10回、好ましくは約1〜5回洗眼すればよい。 また、本発明の組成物が眼軟膏である場合、上記濃度でGGAを含む眼軟膏を、例えば、1回当たり、約0.001〜5g、1日約1〜5回、好ましくは約1〜3回眼に塗布すればよい。 また、本発明の組成物が眼内注射剤である場合、上記濃度でGGAを含む注射剤を、1回当たり、約0.005〜1mL、1〜14日に約1〜3回、好ましくは1回注入すればよい。 また、本発明の組成物が、コンタクトレンズ用液(洗浄液、保存液、消毒液、マルチパーパスソリューション、パッケージソリューション)、移植用の角膜等の摘出眼組織の保存剤、又は手術時潅流液である場合、上記濃度でGGAを含む組成物を、これらの製剤の通常の用法用量で使用すればよい。 また、本発明の組成物が徐放性コンタクトレンズ製剤である場合、上記量のGGAを含むコンタクトレンズを、例えば、1〜14日に約1〜3回、好ましくは1回新たなものに交換すればよい。 また、本発明の組成物が徐放性眼内埋植剤である場合、上記量のGGAを含む埋植剤を埋植してから、約1〜14日後に、必要であれば、新たな埋植剤を埋植すればよい。 本発明の眼科用組成物を投与するに当たり、GGAの1日投与量は、50ng以上が好ましく、500ng以上がより好ましく、5μg以上がさらにより好ましい。また、GGAの1日投与量は、50mg以下が好ましく、20mg以下がより好ましく、10mg以下がさらにより好ましい。 GGAの1日投与量としては、約50ng〜50mg、約50ng〜20mg、約50ng〜10mg、約500ng〜50mg、約500ng〜20mg、約500ng〜10mg、約5μg〜50mg、約5μg〜20mg、約5μg〜10mgが挙げられる。 投与期間は、疾患の種類やステージ、年齢、体重、性別、投与経路などによって異なるが、例えば、約1日〜30年の範囲で適宜選択できる。例えば、緑内障、網膜色素変性、加齢黄斑変性、及び糖尿病性網膜症などの網膜疾患であるとき、約1〜20年、特に約1〜10年という短い投与期間で、網膜疾患を予防、改善、又は治療できる場合がある。本発明の眼科用組成物が、網膜保護作用により網膜疾患の進行を抑制するときは、投与し続ける場合もある。その他 本発明は、ゲラニルゲラニルアセトンを含む眼科用組成物において、ゲラニルゲラニルアセトンとして、(a)5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンと5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンとの混合物であって、この混合物が5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンを80重量%以上含むか、又は(b)5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンのみからなるものを用いることにより、低温下での眼科用組成物の白濁を抑制する、低温下での眼科用組成物の白濁の抑制方法(第1の方法)を包含する。 本発明方法における「低温」は、例えば、10℃以下、特に6℃以下、中でも4℃以下であり得る。また、「低温」の下限値は、組成物が凍結しない温度であればよいが、例えば、−10℃以上、特に、−5℃以上、中でも、0℃以上であり得る。 また、本発明は、ゲラニルゲラニルアセトンを含む眼科用組成物において、ゲラニルゲラニルアセトンとして、(a)5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンと5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンとの混合物であって、この混合物が5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンを80重量%以上含むか、又は(b)5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンのみからなるものを用いることにより、眼科用組成物の白濁を抑制する、眼科用組成物の白濁の抑制方法(第2の方法)を包含する。 第2の方法では、眼科用組成物が置かれる環境温度は制限されない。例えば、常温(約15〜25℃)ないしは室温(約1〜30℃)が挙げられる。 本発明の第1及び第2の方法は、眼科用組成物の経時的な白濁を抑制する方法である。また、眼科用組成物の保管、流通、使用時を問わず、保存時の白濁を抑制する方法である。 本発明の第1及び第2の方法において、眼科用組成物の成分、その使用量、組成物の性状、剤型などは、本発明の眼科用組成物について説明した通りである。 以下、本発明を実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。(1)ゲラニルゲラニルアセトンの調製 市販のテプレノン(オールトランス体:5Zモノシス体=重量比3:2)(和光純薬社)を入手して、シリカゲルクロマトグラフィーによりオールトランス体を精製した。 具体的な条件としては、シリカゲル(PSQ60B 富士シリシア化学製)をガラス製管に充てんして、移動相(n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1)により分取精製を行った。分取後、各フラクションを濃縮及び減圧乾燥して、さらにオールトランス体の精製度及び構造をそれぞれGC及び1H−NMR(溶媒:重クロロホルム、内部標準:テトラメチルシラン)で確認した(収率約20%)。<GC測定条件>カラム:DB−1(J&Wscientific、0.53mm×30m、膜厚1.5μm)カラム温度:200℃→5℃/min→300℃(10分間)気化室温度:280℃検出器温度:280℃キャリアーガス:ヘリウム水素圧:60kPaAir圧:50kPaメイクアップガス圧:75kPa(窒素ガス)全流量:41mL/minカラム流量:6.52mL/min線速度:58.3cm/secスプリット比:5:1注入量:0.1g/100mL(エタノール溶液)の試料を1μL注入 市販のテプレノンと、上記のようにして精製したオールトランス体とを任意の比率で混和することで、各重量比(オールトランス体:5Zモノシス体=重量比7:3、8:2、9:1など)のGGAを調製した。混和による安定性を確認できていないため、用時調製とした。(2)低酸素・低グルコース誘導性の虚血様細胞死からの網膜神経細胞保護効果の評価 緑内障における視野障害の進行は、視神経近傍の血流不全による視神経節細胞(RGC)死が関与している(日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)128,255〜258(2006))。ラット副腎髄質クロム親和性細胞腫から樹立された、代表的な神経細胞株でありRGCの機能評価のモデル細胞としても使われる(J Neurosci Res. 2000 May 15;60(4):495-503.)PC12を用いて、低酸素、低グルコース誘導性の虚血様細胞死からのGGAの細胞保護効果を試験した。(評価方法) 被験物質を以下のようにして調製した。即ち、被験物質は、オールトランス体と5Zモノシス体を重量比10:0、8:2、6:4および0:10で含む4種類のGGAとした。それぞれのGGAを100mg、抗酸化物質として酢酸DL−α−トコフェロール(和光純薬工業)を0.25mg秤量し、100%のエタノール789mgに溶解し、GGAを含まない他は同様にして調製したものを基剤とした。100%のエタノール789mgに溶解した10:0、8:2および6:4のGGAは、10%(v/v)ウマ血清(DSファーマバイオメディカル)、5%(v/v)牛胎仔血清(第一化学薬品)を添加した高グルコース濃度(4.5g/L)のダルベッコ改変イーグル基礎培地(DMEM )にオールトランス体が実質的に30μM含まれるように補正した濃度で希釈し、5Zモノシス体のみを含有する0:10のGGAは、30μMになるように希釈した。基剤は、オールトランス体と5Zモノシス体との重量比6:4のGGAを調製する際と同様の希釈倍率で希釈した。 PC12(DSファーマバイオメディカルより入手)をコラーゲンIVコート96穴マイクロプレート(IWAKI)に、1ウェルあたり2.0×104cellsになるように100μLずつ細胞を播種し、上記DMEMにて37℃、5%CO2の条件で48時間培養した。 培養48時間後に、細胞培養上清除去し、先に調製したGGAを含むDMEMに交換し、37℃、5%CO2の条件で2時間培養した。培養2時間後に、2%ウマ血清、1%牛胎仔血清を添加した低グルコース濃度(1.0g/L)のDMEMに交換し、37℃、5%CO2、低酸素条件としてアネロパック5%(三菱ガス化学)を使用して0%O2に変更し、8時間培養した。2%(v/v)ウマ血清、1%(v/v)牛胎仔血清を添加した高グルコース濃度(4.5g/L)のDMEMにて、37℃、5%CO2、通常の酸素濃度下で8時間培養したものを未処理群とした。(試験結果) 培養8時間後に、生細胞検出試薬Cell Titer-Glo(Promega)とPBSを等量混合したものを、各ウェルに対して100μLずつ添加し、生細胞内ATPと反応して生成した発光量をルミノメーター(GloMax;Promega製)にて測定した。過酸化水素による酸化ストレスからのGGAによる細胞保護効果は、実測された発光量をもとに、細胞生存率を以下の式で計算し評価した。細胞生存率(%)=100×〔(基剤もしくはGGA処理群の発光量)/(未処理群の発光量)〕 結果を図1に示す。図1から明らかなように、GGA処理群はいずれの重量比においても、基剤処理群よりも顕著に高い細胞生存率を示した。さらに、オールトランス体と5Zモノシス体との重量比10:0、8:2および0:10のGGAはいずれも、6:4のGGAよりも有意に高い細胞保護効果を有した(n=10、*P<0.05、**P<0.01、Tukey-kramer検定による。なお、8:2、10:0および0:10の間には有意差は認められない。)。(3)ラット由来網膜神経節細胞(RGC)の培養系を用いた神経突起伸長誘導効果の評価 緑内障における視野障害の進行は、視神経近傍の血流不全による視神経節細胞(RGC)死が関与している(日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)128,255〜258(2006))。そこで、緑内障等の視神経疾患を研究するツールの1つとして汎用される、ラット由来網膜神経培養系(Current protocols in Neuroscience 3.22. 1-3.22.10, October 2010)を用いて、GGAの神経突起伸長誘導効果を試験した。(評価方法) 4日齢Wistarラット(日本エスエルシー株式会社)を頚椎脱臼にて安楽死させ眼球を摘出した。摘出した眼球を70%エタノールに10秒浸漬した後、100U/mLのペニシリンと100μg/mLのストレプトマイシン含有ハンクス平衡塩溶液に移し、実体顕微鏡下で手術用剪刀および鑷子を用いて、角膜、虹彩、水晶体および硝子体を除去し網膜組織を摘出した。摘出した網膜組織を、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、神経細胞培養用添加物(B27TM−Supplement、Invitrogen製)、1μM L−システイン(協和発酵バイオ)および15U/mLのパパイン(シグマアルドリッチ)含有神経細胞培養用基礎培地(Neurobasal、Invitrogen製)が5mL入った遠沈管に移し、37℃にて30分間インキュベートした。30分後に、上清を除去し、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、B27TM−Supplement含有Neurobasalで2回洗浄した。洗浄後、2mLのNeurobasalを加えて、乾熱滅菌済みパスツールピペット(ヒルゲンベルグ)でピペッティングを行うことで組織を小細胞塊にし、予め用意した50mLのNeurobasalに移した。900×g、5分間遠心し上清を除去した後、6mLのNeurobasalで再度懸濁し、細胞懸濁液を調製した。細胞懸濁液を40μmナイロンメッシュのセルストレイナー(日本BD)に通して、凝集した細胞塊を除去した後、ポリ-D-リシン/ラミニンコーティング6ウェルプレート(日本BD)に細胞を播種し、37℃、5%CO2の条件で培養した。 被験物質は、オールトランス体、及びオールトランス体と5Zモノシス体を重量比6:4で含む2種類のGGAとした。それぞれのGGAを100mg、抗酸化物質として酢酸DL−α−トコフェロール(和光純薬工業)を0.25mg秤量し、100%のエタノール789mgに溶解し、GGAを含まない他は同様にして調製したものを基剤とした。100%のエタノール789mgに溶解した10:0および6:4のGGAは、オールトランス体が実質的に3μM含まれるように補正した濃度で、基剤は6:4のGGAを調製する際と同様の希釈倍率になるように、細胞播種から2時間後に細胞培養上清中に添加し37℃、5%CO2の条件で48時間培養した。(結果) 培養48時間後に細胞培養上清を除去し、4%パラホルムアルデヒド・りん酸緩衝液(和光純薬工業)および100%メタノール(和光純薬工業)を用いて、細胞を室温で30分間固定した。りん酸緩衝液(PBS、コージンバイオ製)で細胞を洗浄した後、2%(w/v)牛血清アルブミン(シグマアルドリッチ)、0.05%(v/v)Tween20(シグマアルドリッチ)含有PBSにて、室温で30分間ブロッキングした。30分後に、βIII tubulin抗体(Promega)の1000倍希釈液をPBSにて調製し、それぞれのウェルに1mLずつ添加後、室温で2時間インキュベートした。2時間後に抗体希釈液を除去し、PBSで3回洗浄した後、Alexa Fluor 488 Goat Anti-mouse抗体(Invitrogen)の1000倍希釈をPBSにて調製し、それぞれのウェルに1mLずつ添加後、室温で1時間インキュベートした。1時間後に抗体希釈液を除去し、PBSで3回洗浄した後、それぞれのウェルに3mLずつPBSを添加し、イメージングサイトメーター(In Cell Analyzer 1000、GEヘルスケアバイオサイエンス製)にて、それぞれのウェルの任意の4点を観察(励起波長475nm、蛍光波長535nm)し、蛍光染色されたRGCの神経突起の長さ(μm)の平均値を算出した。 結果を図2に示す。図2から明らかなように、オールトランス体と5Zモノシス体の重量比が10:0のGGA処理群は、オールトランス体と5Zモノシス体の重量比6:4のGGA処理群、および基剤処理群よりも有意な神経突起誘導効果を示した(n=4、*P<0.05、**P<0.01、Tukey-kramer検定による)。 また、図3には、蛍光染色されたラットRGCの代表的な観察画像を示す。10:0のGGA処理群は、6:4のGGAの処理群と比べて顕著な神経突起誘導効果を有することがわかる。(4)過酸化水素による酸化ストレスからの網膜色素上皮細胞の保護効果の評価 酸化ストレスと眼科疾患との関わりは広く報告されており、緑内障、白内障の他、網膜においては、糖尿病、高血圧、高脂血症などによる網膜疾患、加齢黄斑変性、未熟児網膜症、網膜血管閉塞症、網膜光障害などとの関係が指摘されている(日眼会誌 112,22-29(2008))。網膜の中でも、網膜色素上皮は活性酸素の発生しやすい環境にある(Invest Opthalmol Vis Sci. 2006 July 47(7):3164-3177.)。ヒト由来網膜色素上皮細胞株ARPE−19を用いて、過酸化水素による酸化ストレスからのGGAの細胞保護効果を試験した。(評価方法) 以下のようにして、オールトランス体と5Zモノシス体を重量比10:0、8:2および6:4で含む3種類のGGAを被験物質として調製した。即ち、それぞれのGGAを100mg、抗酸化物質として酢酸DL−α−トコフェロール(和光純薬工業)を0.25mg秤量し、100%のエタノール789mgに溶解し、GGAを含まない他は同様にして調製したものを基剤とした。100%のエタノールに溶解した10:0、8:2および6:4のGGAは、10%(v/v)牛胎仔血清(第一化学薬品)を添加したダルベッコ改変イーグル基礎培地/ハムF12等比混合液体培地(DMEM/F−12、Invitrogen製)にオールトランス体が実質的に280μM含まれるように補正した濃度で希釈した。基剤は、6:4のGGAを調製する際と同様の希釈倍率で希釈した。以上の希釈液を被験液とした。 ARPE−19(ATCCより入手)は、96穴マイクロプレート(CORNING)に、1ウェルあたり1.5×104cellsになるように100μLずつ細胞を播種し、上記DMEM/F−12にて37℃、5%CO2の条件で48時間培養した。 培養48時間後に細胞培養上清を除去し、先に調製した被験液に交換し、37℃、5%CO2の条件で14時間培養した。培養終了直前に、精密分析用過酸化水素(和光純薬工業)をDMEM/F−12に添加して、750μM過酸化水素添加DMEM/F−12を調製した。培養14時間後に細胞培養上清を除去し、りん酸緩衝液(PBS、コージンバイオ製)を200μLずつ添加した。直ちにPBSを除去し、先に調製した過酸化水素添加DMEM/F−12に交換し、37℃、5%CO2の条件で2時間培養した。過酸化水素を含まないDMEM/F−12に交換したものを未処理群とした。(結果) 培養2時間後に細胞培養上清を除去し、PBSを200μLずつ添加し、直ちにPBSを除去した。生細胞検出試薬Cell Titer-Glo(Promega)とPBSを等量混合したものを、各ウェルに対して100μLずつ添加し、生細胞内ATPと反応して生成した発光量をルミノメーター(GloMax;Promega製)にて測定した。過酸化水素による酸化ストレスからのGGAによる細胞保護効果は、実測された発光量をもとに、細胞生存率を以下の式で計算し評価した。細胞生存率(%)=100×〔(基剤又はGGA処理群の発光量)/(未処理群の発光量)〕 結果を図4に示す。図4から明らかなように、GGA処理群はいずれの重量比においても、基剤処理群よりも高い細胞生存率を示した。さらに、10:0および8:2のGGAはいずれも、基剤処理群よりも有意に高い細胞生存率であった(n=3、*P<0.05、***P<0.001、Tukey-kramer検定による)。(5)網膜色素上皮細胞からのIL-8産生抑制効果の評価 加齢黄斑変性においては網膜色素上皮下にドルーゼンが蓄積することが知られており、ドルーゼンはマクロファージを引き寄せる。マクロファージはTNF−αを分泌し、TNF−αが網膜色素上皮や周辺組織に作用すると、細胞がさらに種々のサイトカインを産生して炎症を起こす(Mol Vis. 2008 14:2292-303.)。インターロイキン−8(IL-8)は好中球の遊走に関わり、炎症を拡大させる代表的なサイトカインである。ヒト由来網膜色素上皮細胞株ARPE−19を用いて、TNF−αによるIL-8産生におけるGGAの抑制効果を試験した。(評価方法) 以下のようにして、オールトランス体、及びオールトランス体と5Zモノシス体を重量比6:4で含む2種類のGGAを被験物質として調製した。即ち、それぞれのGGAを100mg、抗酸化物質として酢酸DL−α−トコフェロールを0.25mg秤量し、100%のエタノール789mgに溶解し、GGAを含まない他は同様にして調製したものを基剤とした。100%のエタノール789mgに溶解したオールトランス体およびオールトランス体と5Zモノシス体の重量比6:4のGGAは、DMEM/F−12にオールトランス体が実質的に50μM含まれるように補正した濃度で希釈した。基剤は、オールトランス体と5Zモノシス体の重量比6:4のGGAを調製する際と同様の希釈倍率で希釈した。以上の希釈液を被験液とした。 ARPE−19は、96穴マイクロプレート(CORNING)に、1ウェルあたり2.5×104cellsになるように100μLずつ細胞を播種し、10%(v/v)牛胎仔血清を添加したDMEM/F−12にて37℃、5%CO2の条件で24時間培養した。 培養24時間後に細胞培養上清を除去し、先に調製した被験液を各ウェルに200μLずつ添加し、37℃、5%CO2の条件で16時間培養した。未処理群はDMEM/F−12を同様に添加し、培養した。培養終了直前に、Recombinant Human TNF−α(R&D Systems)を10ng/mlになるようにDMEM/F−12にて調製した。培養16時間後に、先に調製したTNF−αを含むDMEM/F−12を2μLずつ、各ウェルの被験液に添加し、37℃、5%CO2の条件で4時間培養した。未処理群はTNF−αを添加せず、同様に培養した。(結果) 培養4時間後に細胞培養上清を150μLずつ回収し−80℃で保存した。残りの細胞培養上清を除去し、PBSを200μLずつ添加し、直ちにPBSを除去した。生細胞検出試薬Cell Titer-GloとPBSを等量混合したものを、各ウェルに対して100μLずつ添加し、生細胞内ATPと反応して生成した発光量をルミノメーターにて測定した。実測された発光量をもとに、細胞生存率を以下の式で計算した。細胞生存率(%)=100×〔(GGA処理群の発光量)/(基剤処理群の発光量)〕 細胞培養上清を室温に戻し、Human CXCL8/IL-8 Quantikine ELISA Kit(R&D Systems)を用いて、IL−8濃度を定量した。操作は、キットに付属の説明書に従って行い、測定された吸光値は細胞生存率で除して補正した。吸光度の測定には、測定波長を450nm、補正波長を540nmに設定したマイクロプレートリーダー装置(モレキュラーデバイス社製VersaMax)を用いた(装置内温度20〜25℃)。補正された測定値に対応したIL−8濃度を計算し、未処理群のIL−8濃度をバックグラウンドとして引いた値を、各処理群のIL−8濃度とした。 結果を図5に示す。図5から明らかなように、オールトランス体と5Zモノシス体の重量比10:0のGGA(オールトランス体)処理群は、オールトランス体と5Zモノシス体の重量比6:4のGGA処理群と比較して有意なIL-8の産生抑制効果を示した(n=3、*P<0.05、Tukey-kramer検定による)。(6)NMDAによる神経障害誘発作用からの網膜神経節細胞の保護効果の評価 近年、グルタミン酸の類似物質であるNMDA(N−メチル−D−アスパラギン酸)がアルツハイマー病を始めとする神経変性疾患の原因物質の一つであるという報告が多くされている。眼科領域では、NMDAは緑内障で認められる視神経障害に関与していると考えられている(Brain Research Bulletin, 81 (2010) 349?358)。そこで今回、NMDA誘発緑内障モデルラットを用いて、GGAの神経保護効果を評価した。試験方法 Sprague−Dawley(SD)ラットに対し、経口投与(試験例1)、硝子体内投与(試験例2)、点眼投与(試験例3)により、オールトランス体、5Zモノシス体、又はテプレノンを前投与した後、NMDAを硝子体内に5μL投与することで、神経障害を誘発させた。また、試験例2では、ポジティブコントロールとして、市販の緑内障治療用点眼剤であるアイファガン(商品名)を1日1回、5日間、硝子体内投与した。また、各試験例で、GGA又はアイファガンを含まない基剤を、コントロールとして、同様にして投与した。 試験例1〜3の用法及び用量を表1に示し、各試験で使用した基剤の組成を表2に記す。 NMDAの投与3日後に眼球を摘出し、Half Karnovsky固定液にて24時間固定後、パラフィン包埋、薄切し、ヘマトキシリン−エオジン(HE)で染色した病理組織切片を作製した。組織切片を光学顕微鏡で観察して網膜の内網状層(IPL)の厚み(μm)を測定し、被験製剤による神経保護効果を、網膜の内網状層(IPL)の厚みを指標に評価した。結果 試験例1の結果を図6に示す。図6から明らかなように、経口投与した場合、オールトランス体、及び5Zモノシス体は、NMDAによる神経障害に対し、基剤と比較してそれぞれ有意な神経保護効果(*p<0.05、**<0.01、dunnett多重比較検定による)を示した。一方、テプレノン(オールトランス体:5Zモノシス体の重量比が6:4)は、有意な神経保護効果を示さなかった。 試験例2の結果を図7に示す。図7から明らかなように、硝子体内投与した場合、オールトランス体、及び5Zモノシス体は、NMDAによる神経障害に対し、基剤と比較して有意な神経保護効果(***p<0.001、Tukey-kramer多重比較検定による)を示した。また、オールトランス体は、神経保護効果を有すると言われるアイファガン(商品名)点眼液0.1%(千寿製薬)と比較しても、有意に優れた神経保護効果(*p<0.05、Tukey-kramer多重比較検定による)を示した。 また、試験例2の組織切片の顕微鏡写真を図8に示す。 試験例3の結果を図9に示す。図9から明らかなように、点眼投与した場合、オールトランス体は、NMDAによる神経障害に対し、基剤と比較して有意な神経保護効果(*p<0.05 、t検定による)を示した。(7)低温保存時の白濁の抑制試験点眼液の調製 市販のテプレノン、各重量比(オールトランス体:5Zモノシス体=重量比7:3、8:2、9:1など)のGGA、及び上記方法により精製したオールトランス体を、それぞれ含んだ点眼剤を、以下のようにして調製した。 具体的には、65℃に加温した界面活性剤(ポリソルベート80)に、GGA、又はオールトランス体を投入して65℃の湯浴中で2分間撹拌溶解させ、さらに65℃の水を加えた後、各緩衝液を混和撹拌して均一溶液とし、塩酸及び/又は水酸化ナトリウムによりpH及び浸透圧を調整した。この液を孔径0.2μmのメンブレンフィルター(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製ボトルトップフィルター)でろ過して、澄明な無菌点眼剤とした。 各点眼剤の組成を後掲の表3〜表8に示す。 なお、各操作において、GGAが器具などに吸着して含量低下しないことを、後述するHPLCにより予め確認した後に無菌点眼剤を調製した。GGA濃度の確認方法 日本薬局方「テプレノン標準品(オールトランス体:5Zモノシス体=重量比約6:4、一般財団法人 医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団製)」、又はテプレノン(和光純薬社)を標準品として、薬食審査発第0412007号「テプレノン100mg/g細粒」に記載された溶出試験の測定条件に準じて、以下のHPLC測定条件にて、5Zモノシス体の面積値(Ac)、及びオールトランス体の面積値(At)から、各点眼剤に含まれるGGAの濃度を測定した。なお、テプレノン(オールトランス体:5Zモノシス体=重量比3:2)についてはオールトランス体及び5Zモノシス体の総量をGGA含量として計算した。<HPLC測定条件>検出器:紫外吸光光度計(測定波長:210nm)カラム:YMC−Pack ODS-A(内径4.6mm、長さ15cm、粒径3μm)カラム温度:30℃移動相:90%アセトニトリル溶液流量:1.2〜1.3mL/min(5Zモノシス体、オールトランス体の順に溶出される)注入量:0.05g/100mLの試料を5μL注入低温下での保存 調製した点眼剤を、10mL容量透明ガラス製容器(日電理化硝子製)に満量(空隙が無いように)充填して、密栓した後に4℃で保存した。調製直後、及び4℃3日間保存品について、96wellプレート(平底、ポリスチレン製)に0.2mLずつガラス製メスピペットで分注して、マイクロプレートリーダー装置(モレキュラーデバイス社製VersaMax)にて、660nm(装置内温度20〜25℃)の吸光度を測定した。JIS K0101(工業用水試験方法 透過光濁度測定)を参考にして、各試料の660nmにおける吸光度を白濁の指標(濁度)とした。 なお、試験操作は速やかに行い、4℃保管中及び吸光度測定中にGGAの含量低下がないことを予め確認した後に試験を実施した。 濁度を、下記表3〜表6に併せて示す。 表3〜表6から、オールトランス体の比率が80重量%以上であることにより、4℃保存した場合の白濁が顕著に抑制されたことが分かる。 また、調製した点眼剤を10mL容量透明ガラス製容器(日電理化ガラス製)に満量(空隙が無いように)充てんして、密栓した後に4℃で保存した。4℃6日間又は14日間保存品について、上記の方法で660nmの吸光度を測定して、濁度とした。各試料につきn=4又はn=5で測定を行い、Dunnett法によりコントロール(水)との比較を行った。 濁度及び検定の結果を以下の表7に併せて示す。また、4℃14日間保管品の写真を図10に示す(左:比較例10、右:実施例13)。 表7から、オールトランス体の比率が80重量%以上であることにより、4℃保存した場合の白濁が有意に抑制されたことが分かる。 表5及び表6から実施例7〜12の結果を抜粋して、表8に示す。 リン酸緩衝剤を含む方が、ホウ酸緩衝剤を含むより、明らかに低温保存時の白濁が抑制された。(8)常温保存時の白濁抑制試験 点眼液の調製、及びGGA濃度の確認は、「(7)低温保存時の白濁抑制試験」と同様にして行った。但し、GGA濃度が高いため、点眼液の調製時に、ろ過は行わなかった。点眼剤の組成を表9に示す。 調製した点眼剤を、10mL容量透明ガラス製容器(日電理化硝子製)に満量(空隙が無いように)充填して、密栓した後に室温(約25℃)で保存した。3日間保存品について、96wellプレート(平底、ポリスチレン製)に0.2mLずつガラス製メスピペットで分注して、マイクロプレートリーダー装置(モレキュラーデバイス社製VersaMax)にて、660nm(装置内温度20〜25℃)の吸光度を測定した。JIS K0101(工業用水試験方法 透過光濁度測定)を参考にして、各試料の660nmにおける吸光度を白濁の指標(濁度)とした。 各試料につきn=4で測定を行い、t-検定法により比較例11と実施例13との対比、比較例12と実施例14との対比を行った。結果を表9に示す。 表9から明らかなように、オールトランス体は、比較的高濃度の場合に、テプレノン(オールトランス体:5Zモノシス体の重量比が6:4)に比べて、有意に、白濁を抑制したことが分かる。(9)官能試験 65℃に加温した界面活性剤(ポリソルベート80、POEヒマシ油)に、テプレノン、又はオールトランス体を投入して65℃の湯浴中で2分間撹拌溶解させ、さらに65℃の水を加えた後、各緩衝液を混和撹拌して均一溶液とし、塩酸及び/又は水酸化ナトリウムによりpH及び浸透圧を調整した。この液を孔径0.2μmのメンブレンフィルター(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製ボトルトップフィルター)でろ過して、澄明な無菌点眼剤とした。各点眼剤の組成を後掲の表10に示す。これらの点眼剤を、ポリエチレンテレフタレート製容器(8mL)に無菌充てんした。 これらの点眼剤を、刺激感に敏感な健常ボランティア9名(年齢33.8±6.6歳:男性8名、女性1名)に点眼剤を、コンタクレンズ非装用状態で約30μL点眼して、点眼直後及び点眼3分後に感じた「しみ」の程度をVAS法(Visual Analogue Scale:視覚的評価スケール)にて評価した(二重盲検試験)。 結果を表10に示す。 表10から、オールトランス体はテプレノンに比べて、点眼直後、及び点眼3分後の双方において、「しみ」が顕著に抑制されたことが分かる。(10)熱安定性試験 65℃に加温した界面活性剤(ポリソルベート80、POEヒマシ油)に、オールトランス体を投入して65℃の湯浴中で2分間撹拌溶解させ、さらに65℃の水を加えた後、各緩衝液を混和撹拌して均一溶液とし、塩酸及び/又は水酸化ナトリウムによりpH及び浸透圧を調整した。この液を孔径0.2μmのメンブレンフィルター(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製ボトルトップフィルター)でろ過して、澄明な無菌点眼剤とした。各点眼剤の組成を後掲の表11に示す。これらの点眼剤を、ポリエチレンテレフタレート製容器(ロート製薬、ロート ドライエイドEX用容器)に満量の8mL無菌充てんした。 これらの点眼剤について、40℃、50℃又は60℃で、10日間又は20日間正立静置することにより、安定性試験を実施した。日本薬局方「テプレノン標準品(オールトランス体:モノシス体=重量比約6:4、一般財団法人 医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団製)」を標準品として、各試料中のオールトランス体含量を定量し、残存率(%)を算出した。ただし、標準品中のオールトランス体及びモノシス体総量をGGAとして計算した。 残存率(%)=100×〔所定期間静置後のオールトランス体含量(g/100mL)/製造直後のオールトランス体含量(g/100mL)〕 結果を表11に示す。 リン酸緩衝剤を含む方が、ホウ酸緩衝剤を含むより、明らかに、オールトランス体の残存率が高く、熱安定性に優れていた。また、pH5.7〜7.5の範囲では、pHが高い方が、オールトランス体の残存率が高く、熱安定性に優れていた。(11)光安定性試験 65℃に加温した界面活性剤(ポリソルベート80、POEヒマシ油)に、オールトランス体を投入して65℃の湯浴中で2分間撹拌溶解させ、さらに65℃の水を加えた後、各緩衝液を混和撹拌して均一溶液とし、塩酸及び/又は水酸化ナトリウムによりpH及び浸透圧を調整した。この液を孔径0.2μmのメンブレンフィルター(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製ボトルトップフィルター)でろ過して、澄明な無菌点眼剤とした。各点眼剤の組成を後掲の表12に示す。これらの点眼剤を、ポリエチレンテレフタレート製容器(ロート製薬、ロート ドライエイドEX用容器)に満量の8mL無菌充てんした。 各点眼剤について以下の条件で光照射を行い、製造直後及び照射後の試料中のオールトランス体含量を定量して、残存率(%)を算出した。 照射装置:LTL−200A−15WCD(ナガノサイエンス製) 光源:D−65ランプ 総照射量及び温湿度:130万lx・h(4000lx×325時間)、25℃60%RH 光照射方向:容器を器内回転盤に正立させた状態で上方向から照射 残存率(%)=100×〔光照射後のオールトランス体含量(g/100mL)/製造直後のオールトランス体含量(g/100mL)〕 結果を表12に示す。 リン酸緩衝剤を含む方が、ホウ酸緩衝剤を含むより、明らかに、オールトランス体の残存率が高く、光安定性に優れていた。(12)コンタクトレンズへの吸着抑制試験 65℃に加温した界面活性剤(ポリソルベート80)に、オールトランス体、又はオールトランス体と5Zモノシス体との混合物(重量比8:2)を投入して65℃の湯浴中で2分間撹拌溶解させ、さらに65℃の水を加えた後、各緩衝液を混和撹拌して均一溶液とし、塩酸及び/又は水酸化ナトリウムによりpH及び浸透圧を調整した。この液を孔径0.2μmのメンブレンフィルター(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製ボトルトップフィルター)でろ過して、澄明な無菌点眼剤とした。各点眼剤の組成を後掲の表13に示す。これらの点眼剤を、4mL容量透明ガラス製容器(日電理化硝子製)に4mL充てんした。 各点眼剤4mLにつき1枚のソフトコンタクトレンズ(以下SCL:アキュビュー オアシス(ジョンソン・エンド・ジョンソン製、承認番号21800BZY10252000、ベースカーブ8.4mm、直径14.0mm、パワー−3.00D))を浸漬し、25℃で14時間正立静置保存した(浸漬液)。なお、SCLはパッケージ液から取り出した後、SCL1枚あたり生理食塩液(大塚生食注)10mLに一晩浸漬して初期化したものを使用した。 SCLを浸漬していない点眼剤(ブランク液)4mLをSCLを浸漬した点眼剤(浸漬液)と同様条件で操作を行った。ブランク液と浸漬液中のそれぞれのオールトランス体含量又はオールトランス体と5Zモノシス体との混合物をHPLCにて定量して、その含量の差からSCLへの吸着量(μg/枚)を算出した(各n=2)。 吸着量(μg/枚)=〔(ブランク液中のオールトランス体、又はオールトランス体と5Zモノシス体との混合物(重量比8:2)含量(g/100mL)−浸漬液中のオールトランス体、又はオールトランス体と5Zモノシス体との混合物(重量比8:2)含量(g/100mL))/100〕×4×1000×1000 結果を表13に示す。 リン酸緩衝剤を含む方が、ホウ酸緩衝剤を含むより、明らかに、コンタクトレンズへのGGAの吸着が抑制された。 本発明の眼科用組成物は、網膜疾患の予防、改善、又は治療効果に優れると共に、低温白濁が抑制される等、製剤としても優れたものである。 ゲラニルゲラニルアセトンを含む眼科用組成物であり、このゲラニルゲラニルアセトンは、(a) ゲラニルゲラニルアセトンの幾何異性体の混合物であって、この混合物が5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンを80重量%以上含むか、(b) 5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンのみからなるか、又は(c) 5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンのみからなるものである組成物。 (a)のゲラニルゲラニルアセトンの幾何異性体の混合物が、5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンと、5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトン、5E,9Z,13Eゲラニルゲラニルアセトン、及び5E,9E,13Zゲラニルゲラニルアセトンからなる群より選ばれる少なくとも1種との混合物である請求項1に記載の眼科用組成物。 さらに、薬学的に許容される基剤、薬学的に許容される担体、添加剤、ゲラニルゲラニルアセトン以外の生理活性成分、及びゲラニルゲラニルアセトン以外の薬理活性成分からなる群より選択される1種以上を含む請求項1又は2に記載の眼科用組成物。 点眼剤、眼内注射剤、眼軟膏、洗眼剤、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズ用液、移植用の角膜の摘出眼組織の保存剤、手術時潅流液、徐放性眼内埋植剤、又は徐放性コンタクトレンズ製剤である請求項1〜3の何れかに記載の眼科用組成物。 眼科用組成物が、水性組成物又は油性組成物である請求項1〜4の何れかに記載の眼科用組成物。 pHが6〜8である請求項1〜5の何れかに記載の眼科用組成物。 眼科用組成物が、液体状、流動状、ゲル状、又は半固形状である請求項1〜6の何れかに記載の眼科用組成物。 ゲラニルゲラニルアセトンを、組成物の全量に対して、0.00001〜10重量%含む請求項1〜7の何れかに記載の眼科用組成物。 眼科用組成物が、固形状である請求項1〜6の何れかに記載の眼科用組成物。 ゲラニルゲラニルアセトンを、製剤の全量に対して、0.001〜1000mg含む請求項9に記載の眼科用組成物。 低温下での保存による白濁が抑制されている請求項1〜10の何れかに記載の眼科用組成物。 眼にしみる性質が抑制されている請求項1〜11の何れかに記載の眼科用組成物。 ゲラニルゲラニルアセトンを含む眼科用組成物において、ゲラニルゲラニルアセトンとして、(a) ゲラニルゲラニルアセトンの幾何異性体の混合物であって、この混合物が5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンを80重量%以上含むか、又は(b) 5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンのみからなるものを用いることにより、低温下での保存による該眼科用組成物の白濁を抑制する方法。 ゲラニルゲラニルアセトンを含む眼科用組成物に、ゲラニルゲラニルアセトンとして、(a) ゲラニルゲラニルアセトンの幾何異性体の混合物であって、この混合物が5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンを80重量%以上含むか、又は(b) 5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンのみからなるものを用いることにより、保存による該眼科用組成物の白濁を抑制する方法。 (a)のゲラニルゲラニルアセトンの幾何異性体の混合物が、5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンと、5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトン、5E,9Z,13Eゲラニルゲラニルアセトン、及び5E,9E,13Zゲラニルゲラニルアセトンからなる群より選ばれる少なくとも1種との混合物である請求項14に記載の方法。 ゲラニルゲラニルアセトンを含有する眼科用組成物において、ゲラニルゲラニルアセトンとして、(a) ゲラニルゲラニルアセトンの幾何異性体の混合物であって、この混合物が5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンを80重量%以上含むか、又は(b) 5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンのみからなるものを用いることにより、ゲラニルゲラニルアセトンを含む眼科用組成物に眼にしみる性質を抑制する作用を付与する方法。 ゲラニルゲラニルアセトンを含有する眼科用組成物において、ゲラニルゲラニルアセトンとして、(a) ゲラニルゲラニルアセトンの幾何異性体の混合物であって、この混合物が5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンを80重量%以上含むか、又は(b) 5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンのみからなるものを用いることにより、ゲラニルゲラニルアセトンを含む眼科用組成物の眼にしみる性質を抑制する方法。 (a)のゲラニルゲラニルアセトンの幾何異性体の混合物が、5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンと、5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトン、5E,9Z,13Eゲラニルゲラニルアセトン、及び5E,9E,13Zゲラニルゲラニルアセトンからなる群より選ばれる少なくとも1種との混合物である請求項17に記載の方法。 下記(a)、(b)、又は(c)のゲラニルゲラニルアセトンを含む眼科用組成物は、各種網膜細胞を変性、障害、又は死滅から保護し、その生存を著しく促進する。このため、各種網膜疾患の予防、改善、又は治療に著効を示す。また、保存時に白濁し難い。(a) 5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンと5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンとの混合物であって、この混合物が5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンを80重量%以上含む。(b) 5E,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンのみからなる。(c) 5Z,9E,13Eゲラニルゲラニルアセトンのみからなる。