生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_ゲルベ反応によるアルコールの製造方法
出願番号:2013509340
年次:2013
IPC分類:C07C 29/34,C07C 31/12,C07C 31/125,C07B 61/00


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吉岡 徹也 土田 敬之 久保 純 佐久間 周治 JP 2013540690 公表特許公報(A) 20131107 2013509340 20110914 ゲルベ反応によるアルコールの製造方法 株式会社サンギ 000130776 廣田 雅紀 100107984 小澤 誠次 100102255 ▲高▼津 一也 100120086 堀内 真 100131093 吉岡 徹也 土田 敬之 久保 純 佐久間 周治 JP 2010206803 20100915 C07C 29/34 20060101AFI20131011BHJP C07C 31/12 20060101ALI20131011BHJP C07C 31/125 20060101ALI20131011BHJP C07B 61/00 20060101ALN20131011BHJP JPC07C29/34C07C31/12C07C31/125C07B61/00 300 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA JP2011005191 20110914 WO2012035772 20120322 19 20130222 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC25 4H006AC41 4H006BA02 4H006BA03 4H006BA06 4H006BA35 4H006BA69 4H006BA71 4H006BC11 4H006DA15 4H006FE11 4H039CA12 4H039CA60 4H039CL25 本発明は、減圧・気相下でのゲルベ反応によるアルコールの製造に関する。 アルコールを合成する方法としては、原料アルコール2分子を縮合して二量化されたアルコールを合成するゲルベ反応が知られている(特許文献1〜12参照)。これらのゲルベ反応の多くは、液相反応であり、常圧又は加圧状態で行なわれていた。また、気相反応で行われる場合は、通常常圧で行なわれていた。例えば、特許文献8においては、2種以上の原料アルコールガスをハイドロキシアパタイト(カルシウム水酸アパタイト)に常圧で接触させる反応が開示されており(段落[0036])、特許文献12においては、エタノールガスをリン酸ストロンチウムアパタイト(ストロンチウム水酸アパタイト)に常圧で接触させる反応が開示されている(段落[0025])。特開平5−17381号公報特開平9−227424号公報特表2004−509156号公報特表2004−523472号公報特表2007−527938号公報特開2008−303160号公報特開2009−29712号公報特開2009−51760号公報特開2009−167129号公報特開2009−167183号公報特開2009−173611号公報特開2009−220105号公報 本発明の課題は、気相下でのゲルベ反応によるアルコールの収率を高め、製造コストを低減することにある。 上記特許文献に記載のように、ゲルベ反応は、通常、常圧下で行われ、場合によっては加圧下にて行なわれている。また、実際のプラントエンジニアにおいても、易運転性と製造コスト低減等の観点から、常圧から加圧下で反応を行なうことが通例である。例えば、プラント配管を加圧にしておけば、配管の微少隙間あるいは傷穴から原料や生成物が多少もれても、触媒や生成物選択率に影響を与えないが、プラントのリアクター周辺の配管を減圧にすると、配管つなぎ目などの微少隙間あるいは傷穴から配管へ空気の混入が起きる場合があり、空気の混入がリアクターより前であれば、原料によっては酸化反応が起きて生成物選択率及び収率の低下を招き、また、触媒によっては酸化されて予想よりも早く失活する原因になる。 ところで、ルシャトリエ(Le Chatelier)の原理によると、加圧下では気相にある粒子数を減少させようとその圧力増加を最小にするように反応が調節される一方、減圧下ではその逆の調節が働く。すなわち、ルシャトリエの原理によると、下記(式1)のように、原料系が2モル、生成系が1モルの反応の場合、加圧により多くの“D”が生成され、減圧では反応が進行しづらい。 A + B → D (式1) 一方、ゲルベ反応(式2)においては、原料系と生成系でモル数が変化しない反応であるため、圧力の変化が起こっても反応の調節によって気相にある粒子数は増減しないことから、転化率や収率は圧力に依存しないと予想される。 2C2H5OH → C4H9OH + H2O (式2) このように減圧で反応を行なうことによるメリットが見い出せない状況下、本発明者らはあえて減圧下にてゲルベ反応を行なってみたところ、意外にも、高い原料アルコールの転化率(収率)を得ることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、(1)ゲルベ反応によりアルコールを製造する方法であって、1種又は2種以上の原料アルコールを用いて、気相かつ全圧が1気圧未満で反応を行うことを特徴とするアルコールの製造方法や、(2)全圧が0.01〜0.9気圧であることを特徴とする前記(1)記載のアルコールの製造方法や、(3)全圧が0.01〜0.8気圧であることを特徴とする前記(1)記載のアルコールの製造方法や、(4)全圧が0.01〜0.5気圧であることを特徴とする前記(1)記載のアルコールの製造方法に関する。 また、本発明は、(5)塩基性触媒を使用することを特徴とする前記(1)〜(4)記載のアルコールの製造方法や、(6)塩基性触媒が、アパタイト構造化合物を含むことを特徴とする前記(5)記載のアルコールの製造方法や、(7)塩基性触媒が、カルシウム水酸アパタイト、ストロンチウム水酸アパタイト、ハイドロタルサイト、MgO、Mg(OH)2、アルカリ金属担持ゼオライトから選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする前記(5)記載のアルコールの製造方法や、(8)原料アルコールが、エタノールを含むことを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか記載のアルコールの製造方法や、(9)原料アルコールが、エタノールであることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか記載のアルコールの製造方法や、(10)製造されるアルコールが、1−ブタノールを含むことを特徴とする前記(9)記載のアルコールの製造方法に関する。 本発明のアルコールの製造方法によれば、ゲルベ反応によるアルコールの収率を高め、製造コストを低減することができる。 本発明のアルコールの製造方法としては、ゲルベ反応によりアルコールを製造する方法であって、1種又は2種以上の原料アルコールを用いて、気相かつ全圧が1気圧未満で反応を行う方法であれば特に制限されるものではなく、本発明の方法は、気相かつ全圧が1気圧未満の環境下で反応を行うことを特徴とする。具体的に、本発明の方法においては、ガス化した1種又は2種以上の原料アルコールを反応系に導入し1気圧未満で反応させることが好ましい。 反応系の圧力(全圧)としては、前述のように、1気圧未満であればよいが、油回転型真空ポンプ(ロータリーポンプ)等の安価な真空装置を用いることが可能であることから、0.01〜0.9気圧であることが好ましく、0.01〜0.8気圧であることがより好ましい。また、より高い収率を得るという観点からは、0.01〜0.5気圧であることが好ましい。より減圧することにより、接触時間(W/F)をより短くして生産性を向上させることができる。また、1−ブタノールを合成する場合には、より減圧することにより、反応温度をより低くして1−ブタノールの選択率を向上させることができる。 原料アルコールとしては、直鎖アルコールでも分岐鎖アルコールでもよく、飽和アルコールであっても不飽和アルコールであってもよい。また、その炭素数も特に制限されないが、入手の容易さの点から、炭素数1〜22のアルコールであることが好ましく、炭素数1〜8のアルコールであることがより好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノールが好ましい。また、原料アルコールとしては、少なくとも1種のアルコールがエタノールであることが好ましく、エタノールを用いることにより、ゲルベアルコールをより高い収率で製造することができる。また、原料アルコールをエタノール単独で用いる場合には、1−ブタノール等の炭素数が4以上かつ偶数の直鎖アルコールをより高い収率で製造することができる。なお、本願においてゲルベアルコールなる用語は、ゲルベ反応により生成するアルコールをいう。 2種の原料アルコールを用いる場合、用いられる各アルコールの割合(混合比)としては特に制限されるものではないが、アルコールをより高い収率で合成するためには、原料とした2種のアルコールの転化率がほぼ同じ場合、混合比は等モル近傍(1:0.9〜1.1程度)であることが好ましく、2種のアルコールの転化率が異なる場合、転化率が低いほうのアルコールを転化量が同程度になるように多く混合することが好ましい。 本発明のアルコールの製造方法においては、塩基性を具備する塩基性触媒(塩基触媒又は酸塩基触媒)を使用することが好ましい。かかる塩基性触媒としては、アパタイト構造化合物、ハイドロタルサイト類化合物、MgO、Mg(OH)2、アルカリ金属担持ゼオライト、カオリン族粘土鉱物、パイロフィライト族粘土鉱物、スメクタイト族粘土鉱物、珪酸カルシウム、フッ化カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、酸化チタン、水酸化カルシウム、セピオライトを例示することができる。 上記アパタイト構造化合物は、一般式Ma(M’Ob)cX2で表すことができる。Mは、Ca、Sr、Mg、Ba、Pb、Cd、Fe、Co、Ni、Zn、H等を表し、M’は、P、V、As、C、S等を表し、Xは、OH、F、Cl、Br等を表し、それぞれ1種又は2種以上であってもよい。aが10、bが4、cが6であり、a/cが1.67であるM10(M’O4)6X2が基本的なアパタイト化合物である。固溶体の場合や、a/cが1.67からずれる場合、Mに2価以外の元素が含まれる場合、M’にCやS等の5価以外の元素が含まれる場合は、上記基本的なアパタイト化合物とは異なる化学式となる。a/cは1.5〜1.8の間が一般的であるが、その限りではない。なお、M、M’及びXが、2種以上の元素の組み合わせである場合、aやcは、各元素の価数の合計となる。 上記ハイドロタルサイト類化合物は、一般式[M2+1−xM3+x(OH)2]x+[An−x/n・mH2O]x-で表すことができる。M2+は、Mg2+、Fe2+、Zn2+、Ca2+、Li2+、Ni2+、Co2+、Pt2+、Pd2+、Cu2+等の2価の金属イオンを表し、M3+は、Al3+、Fe3+、Cr3+、Mn3+等の3価の金属イオンを表し、An−は、CO32−及びOH−等、n価のアニオンを表し、それぞれ1種又は2種以上であってもよい。mは0以上の値をとり、xは0.2〜0.4の間が一般的であるが、その限りではない。 上記触媒の中でも、上記アパタイト構造化合物においてMとしてCaを含み、M’がPであるカルシウム水酸アパタイト、上記アパタイト構造化合物においてMとしてSrを含み、M’がPであるストロンチウム水酸アパタイト、上記ハイドロタルサイト類化合物においてM2+としてMg2+を含み、M3+としてAl3+を含み、An−がCO32−であるハイドロタルサイト、MgO、Mg(OH)2、アルカリ金属担持ゼオライトが好ましく、カルシウム水酸アパタイトが特に好ましい。アルカリ金属担持ゼオライトにおけるアルカリ金属としては、具体的にLi,Na,K,Rb,Csを例示することができ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。 上記カルシウム水酸アパタイトは、リン酸カルシウムの1種であり、化学量論的にはCa10(PO4)6(OH)2からなる組成で示されるが、Ca/Pモル比が1.67にならない非化学量論的なものであっても、カルシウム水酸アパタイトの性質を示すと共にアパタイト構造をとることができ、Ca/Pモル比1.4〜1.8程度の合成カルシウム水酸アパタイトも本発明におけるカルシウム水酸アパタイトに含まれる。特に、本発明のアルコールの製造方法においては、Ca/Pモル比が1.60〜1.80のカルシウム水酸アパタイトが好ましい。カルシウム水酸アパタイトの形状は、顆粒、球体、ペレット、ハニカム等任意のものを使用することができる。なお、上記のように、本発明のカルシウム水酸アパタイトには、Caの一部が他の金属に置換された組成のものを含む。 上記ストロンチウム水酸アパタイトは、上記カルシウム水酸アパタイトのカルシウム原子(Ca)をストロンチウム原子(Sr)に置換したものとして説明することができる。すなわち、化学量論的にはSr10(PO4)6(OH)2からなる組成で示されるが、Sr/Pモル比が1.67にならない非化学量論的なものであっても、ストロンチウム水酸アパタイトの性質を示すと共にアパタイト構造をとることができ、Sr/Pモル比1.4〜1.8程度のストロンチウム水酸アパタイトも本発明におけるストロンチウム水酸アパタイトに含まれる。カルシウム水酸アパタイトの場合と同様、本発明のアルコールの製造方法においては、Sr/Pモル比が1.60〜1.80のストロンチウム水酸アパタイトが好ましく、その形状としては、顆粒、球体、ペレット、ハニカム等任意のものを使用することができる。なお、上記のように、本発明のストロンチウム水酸アパタイトには、Srの一部が他の金属に置換された組成のものを含む。 また、上記ハイドロタルサイトは、一般式〔Mg1-x Alx (OH)2 〕x+〔(CO3 )x/2 ・yH2 O〕x-からなる組成で示される粘土鉱物であり、代表的なものとして、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O、Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O、Mg4.5Al2(OH)13CO3、Mg4.3Al2(OH)12.6CO3・3.5H2O等を例示することができる。その形状としては、カルシウム水酸アパタイトの場合と同様、顆粒、球体、ペレット、ハニカム等を使用することができる。なお、上記のように、本発明のハイドロタルサイトには、Mg及び/又はAlの一部が他の金属に置換された組成のものを含む。 カルシウム水酸アパタイト、ストロンチウム水酸アパタイト、ハイドロタルサイト等は、必要に応じて、アルカリ金属、遷移金属、貴金属等のゲルベ反応に寄与する物質を担持或いは置換させてもよい。ゲルベ反応に寄与する物質としては、例えば、アルカリ金属、Ni、Zn、Cu、Pd、Pt等を挙げることができる。また、相乗効果或いは耐久性向上のため、複数の金属を共存担持させてもよい。共存担持金属としては、例えば、Zn、Co、Cr、Mo、W、Fe、Ni、Cu、Mn、Ti、V、Ga、Zr、Nb、Cd、In、Sn、Sb、Pb、La、Ce、Eu、Y等の遷移金属、Pt、Pd、Rh、Au、Ir、Ru、Ag等の貴金属、及びBa、Na、K、Li、Sr、Ca、Mg、Cs、Rb等のアルカリ又はアルカリ土類金属を挙げることができ、場合によりこれらの金属の酸化物または硫化物も使用することができる。なお、アルカリ金属担持ゼオライトもアルカリ金属以外の物質を担持することができる。 アルカリ金属等を担持させる方法としては、イオン交換法、含浸法、物理的混合法など従来から担持法として一般に使用されている方法が使用することができる。また、カルシウム水酸アパタイト等を合成する際に、アルカリ金属等を共存させてもよい。 本発明の方法においては、工業的な経済性の点から連続方式であることが好ましい。反応器へのガスの導入は、原料アルコールガスのみを導入してもよいし、窒素ガスやヘリウムガスのような不活性なキャリアガスと共に導入してもよいが、本発明の方法によれば、原料アルコールガスのみを導入する場合であっても、高い収率でゲルベアルコールを製造することができ、工業的に有利である。すなわち、従来のキャリアガスを用いる方法では、原料及び生成物の不必要な滞留を抑制して収率を向上させることができる一方で、キャリアガスの価格、キャリアガスを再利用するための処理施設、キャリアガスの加熱に要するエネルギー等を考慮すると製造コストが増加するという問題があるところ、本発明の減圧方法では、キャリアガスを用いることに起因するコストよりも少ないコストで実施可能であり、また、収率の増加効果も非常に大きく、非常に優れた方法である。 2種以上のアルコールを気相反応させる場合、アルコール混合液を気化させることが好ましく、また、アルコール同士を反応させることなく素早く気化することが好ましい。したがって、気化温度としては、高沸点の方のアルコールの沸点より高い温度、かつ低沸点の方のアルコールが反応しない温度が好ましい。具体的に、好ましい温度は、メタノール及びエタノールの場合には、150〜200℃であり、エタノール及び1−オクタノールの場合には、200〜250℃である。また、1種の気化させたアルコールを先に導入し、他のアルコールを気体で導入することにより反応させることもできる。エタノールを用いる場合には、他の原料ガスよりエタノールを最優先して導入することが好ましい。 また、本発明の反応における接触時間(W/F)としては、減圧の程度にもよるが、0.01〜200hであることが好ましく、0.05〜50hであることがより好ましい。また、反応温度としては、200℃〜600℃であることが好ましく、200℃〜450℃であることがより好ましい。[触媒](1)カルシウム水酸アパタイト触媒 カルシウム水酸アパタイト触媒(CaHAP触媒)は沈殿法にて調製した。原料は全て和光純薬工業株式会社の試薬特級を用いた。調製手順は以下の通りである。 アンモニア水でpH10に調整した硝酸カルシウム・四水和物の0.60mol/l水溶液及びアンモニア水でpH10に調整したリン酸水素二アンモニウムの0.40mol/l水溶液を出発原料とし、蒸留水中に、所定のCa/Pモル比のカルシウム水酸アパタイトが合成されるように送液速度を調整した原料液を、それぞれ別々に送液ポンプで滴下させた。所定量滴下後24時間よく攪拌させ、ろ過、水洗、140℃で乾燥させた。得られた粉末にイオン交換水を加えてカルシウム水酸アパタイト濃度10wt%の懸濁液とし、その後懸濁液を140℃の乾燥機内で熟成及び乾燥させ、乳鉢で粉砕後、大気中600℃で2時間焼成して粉末状のカルシウム水酸アパタイト触媒を得た。 合成したカルシウム水酸アパタイト触媒は、粉末X線回折で特定し、比表面積(BET)値を測定した。触媒のCa/Pモル比は、蛍光X線による検量線法より求めた。いずれも粉末X線回折から触媒がカルシウム水酸アパタイトの単一相で構成されており、比表面積(BET)値は46m2/gで、Ca/Pモル比は1.67であった。アルコール変換反応には、カルシウム水酸アパタイト粉末を打錠成型機でペレット状に成型したものを軽く粉砕し、14〜26メッシュのものを使用した。(2)ハイドロタルサイト触媒 和光純薬工業株式会社の試薬特級ハイドロタルサイト触媒を打錠成型機でペレット状に成型し、軽く粉砕し、14〜26メッシュのものを使用した。(3)Mg(OH)2触媒 MgO試薬(和光純薬工業製)を蒸留水中で煮て水和したもの(Ueda, W.; Kuwabara, T.; Ohshida, T.; Morikawa, Y. A Low-pressure Guerbet Reaction over Magnesium Oxide Catalyst. J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1990, 1558-1559. 参照)を打錠成型機でペレット状に成型し、軽く粉砕し、14〜26メッシュのものを使用した。(4)ストロンチウム水酸アパタイト触媒 ストロンチウム水酸アパタイト触媒(SrHAP触媒)は沈殿法にて調製した。原料は全て和光純薬工業株式会社の試薬特級を用いた。調製手順は以下の通りである。 アンモニア水でpH10に調整した硝酸ストロンチウムの0.60mol/l水溶液及びアンモニア水でpH10に調整したリン酸水素二アンモニウムの0.40mol/l水溶液を出発原料とし、蒸留水中に、所定のSr/Pモル比のストロンチウム水酸アパタイトが合成されるように送液速度を調整した原料液を、それぞれ別々に送液ポンプで滴下させた。所定量滴下後24時間よく攪拌させ、ろ過、水洗、140℃で乾燥させた。得られた粉末にイオン交換水を加えてストロンチウム水酸アパタイト濃度10wt%の懸濁液とし、その後懸濁液を140℃の乾燥機内で熟成及び乾燥させ、乳鉢で粉砕後、大気中600℃で2時間焼成して粉末状のストロンチウム水酸アパタイト触媒を得た。アルコール変換反応には、ストロンチウム水酸アパタイト粉末を打錠成型機でペレット状に成型したものを軽く粉砕し、14〜26メッシュのものを使用した。(5)Rb−Liイオン置換ゼオライト触媒 Rb−Liイオン置換ゼオライト触媒はイオン交換処理及び含浸法にて調製した。原料は全て和光純薬工業株式会社の試薬特級を用いた。調製手順は以下の通りである。 80℃に加熱した0.5mol/l塩化リチウム水溶液を用いて13Xゼオライトのイオン交換処理を行い、Liイオン交換ゼオライトを得、これを硝酸ルビジウム水溶液で含浸し、300℃、20時間、大気雰囲気で焼成をし、Rb−Liイオン置換ゼオライト触媒を得た。これを軽く粉砕し、14〜26メッシュのサイズにしたものを使用した。[原料] 原料エタノールとして、和光純薬工業株式会社の試薬特級エタノール(99.5)、試薬特級エタノール(95)、及び試薬特級エタノール(99.5)に蒸留水を加えて70vol%に調製したものをそれぞれ用いた。また、メタノール・エタノール混合原料は、試薬特級メタノール(99.8)及び試薬特級エタノール(99.5)をモル比1:1になるよう調製したものを用いた。また、エタノール・1−プロパノール混合原料は、試薬特級エタノール(99.5)及び試薬特級1−プロパノール(99.5)をモル比1:1になるよう調製したものを用いた。[実験] 反応装置としては、減圧条件が可能な固定床ガス流通式触媒反応装置(株式会社大倉理研製)を用いた。所定量の触媒をSUS製の反応管に充填し、原料ガス(100vol%)を導入して、表に示す圧力(atm)、W/F[gCAT/(gEthanol/h)]、反応温度(℃)で反応させた。反応圧の制御は真空ポンプを使用し、反応器入口及び出口に設けた圧力計でモニターしながら行った。また、アルコールの転化率及び合成ガスの収率・選択率測定にはオンラインのガスクロマトグラフ(GC)(検出器:FID)を用い、各成分のピーク面積値から各成分量を定量した。その結果を下記表1〜14に示す。なお、実施例D〜Fの目的生成物ゲルベアルコールとは、炭素数4,6,8,10及び12のアルコールの混合物である。 また、反応生成物収率は以下の式により求めた。 反応生成物収率(C−wt%)=(各生成物のカーボンモル数/全カーボンモル数)×100 本発明の製造方法により得られるゲルベアルコールは、化学工業原料やハイオク燃料として利用することができる。 ゲルベ反応によりアルコールを製造する方法であって、 1種又は2種以上の原料アルコールを用いて、気相かつ全圧が1気圧未満で反応を行うことを特徴とするアルコールの製造方法。 全圧が0.01〜0.9気圧であることを特徴とする請求項1記載のアルコールの製造方法。 全圧が0.01〜0.8気圧であることを特徴とする請求項1記載のアルコールの製造方法。 全圧が0.01〜0.5気圧であることを特徴とする請求項1記載のアルコールの製造方法。 塩基性触媒を使用することを特徴とする請求項1〜4記載のアルコールの製造方法。 塩基性触媒が、アパタイト構造化合物を含むことを特徴とする請求項5記載のアルコールの製造方法。 塩基性触媒が、カルシウム水酸アパタイト、ストロンチウム水酸アパタイト、ハイドロタルサイト、MgO、Mg(OH)2、アルカリ金属担持ゼオライトから選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項5記載のアルコールの製造方法。 原料アルコールが、エタノールを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載のアルコールの製造方法。 原料アルコールが、エタノールであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載のアルコールの製造方法。 製造されるアルコールが、1−ブタノールを含むことを特徴とする請求項9記載のアルコールの製造方法。 気相下でのゲルベ反応によるアルコールの収率を高め、製造コストを低減する方法を提供する。ゲルベ反応によりアルコールを製造する方法であって、1種又は2種以上の原料アルコールを用いて、気相かつ全圧が1気圧未満、好ましくは0.01〜0.5気圧で反応を行う方法である。


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特許公報(B2)_ゲルベ反応によるアルコールの製造方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ゲルベ反応によるアルコールの製造方法
出願番号:2013509340
年次:2015
IPC分類:C07C 29/34,C07C 31/12,C07C 31/125,C07B 61/00


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吉岡 徹也 土田 敬之 久保 純 佐久間 周治 JP 5786234 特許公報(B2) 20150807 2013509340 20110914 ゲルベ反応によるアルコールの製造方法 株式会社サンギ 000130776 廣田 雅紀 100107984 小澤 誠次 100102255 ▲高▼津 一也 100120086 堀内 真 100131093 吉岡 徹也 土田 敬之 久保 純 佐久間 周治 JP 2010206803 20100915 20150930 C07C 29/34 20060101AFI20150910BHJP C07C 31/12 20060101ALI20150910BHJP C07C 31/125 20060101ALI20150910BHJP C07B 61/00 20060101ALN20150910BHJP JPC07C29/34C07C31/12C07C31/125C07B61/00 300 C07C 29/34 C07C 31/10 C07C 31/12 C07C 31/125 C07B 61/00 B01J 21/10 B01J 21/16 B01J 21/18 B01J 29/70 JSTPlus(JDreamIII) 特開2009−051760(JP,A) 特開2008−088140(JP,A) 国際公開第2006/059729(WO,A1) 7 JP2011005191 20110914 WO2012035772 20120322 2013540690 20131107 15 20140825 吉田 直裕 本発明は、減圧・気相下でのゲルベ反応によるアルコールの製造に関する。 アルコールを合成する方法としては、原料アルコール2分子を縮合して二量化されたアルコールを合成するゲルベ反応が知られている(特許文献1〜12参照)。これらのゲルベ反応の多くは、液相反応であり、常圧又は加圧状態で行なわれていた。また、気相反応で行われる場合は、通常常圧で行なわれていた。例えば、特許文献8においては、2種以上の原料アルコールガスをハイドロキシアパタイト(カルシウム水酸アパタイト)に常圧で接触させる反応が開示されており(段落[0036])、特許文献12においては、エタノールガスをリン酸ストロンチウムアパタイト(ストロンチウム水酸アパタイト)に常圧で接触させる反応が開示されている(段落[0025])。特開平5−17381号公報特開平9−227424号公報特表2004−509156号公報特表2004−523472号公報特表2007−527938号公報特開2008−303160号公報特開2009−29712号公報特開2009−51760号公報特開2009−167129号公報特開2009−167183号公報特開2009−173611号公報特開2009−220105号公報 本発明の課題は、気相下でのゲルベ反応によるアルコールの収率を高め、製造コストを低減することにある。 上記特許文献に記載のように、ゲルベ反応は、通常、常圧下で行われ、場合によっては加圧下にて行なわれている。また、実際のプラントエンジニアにおいても、易運転性と製造コスト低減等の観点から、常圧から加圧下で反応を行なうことが通例である。例えば、プラント配管を加圧にしておけば、配管の微少隙間あるいは傷穴から原料や生成物が多少もれても、触媒や生成物選択率に影響を与えないが、プラントのリアクター周辺の配管を減圧にすると、配管つなぎ目などの微少隙間あるいは傷穴から配管へ空気の混入が起きる場合があり、空気の混入がリアクターより前であれば、原料によっては酸化反応が起きて生成物選択率及び収率の低下を招き、また、触媒によっては酸化されて予想よりも早く失活する原因になる。 ところで、ルシャトリエ(Le Chatelier)の原理によると、加圧下では気相にある粒子数を減少させようとその圧力増加を最小にするように反応が調節される一方、減圧下ではその逆の調節が働く。すなわち、ルシャトリエの原理によると、下記(式1)のように、原料系が2モル、生成系が1モルの反応の場合、加圧により多くの“D”が生成され、減圧では反応が進行しづらい。 A + B → D (式1) 一方、ゲルベ反応(式2)においては、原料系と生成系でモル数が変化しない反応であるため、圧力の変化が起こっても反応の調節によって気相にある粒子数は増減しないことから、転化率や収率は圧力に依存しないと予想される。 2C2H5OH → C4H9OH + H2O (式2) このように減圧で反応を行なうことによるメリットが見い出せない状況下、本発明者らはあえて減圧下にてゲルベ反応を行なってみたところ、意外にも、高い原料アルコールの転化率(収率)を得ることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、(1)ゲルベ反応によりアルコールを製造する方法であって、1種又は2種以上の原料アルコールを用いて、気相かつ全圧が1気圧未満で反応を行うことを特徴とするアルコールの製造方法や、(2)全圧が0.01〜0.9気圧であることを特徴とする前記(1)記載のアルコールの製造方法や、(3)全圧が0.01〜0.8気圧であることを特徴とする前記(1)記載のアルコールの製造方法や、(4)全圧が0.01〜0.5気圧であることを特徴とする前記(1)記載のアルコールの製造方法に関する。 また、本発明は、(5)塩基性触媒を使用することを特徴とする前記(1)〜(4)記載のアルコールの製造方法や、(6)塩基性触媒が、アパタイト構造化合物を含むことを特徴とする前記(5)記載のアルコールの製造方法や、(7)塩基性触媒が、カルシウム水酸アパタイト、ストロンチウム水酸アパタイト、ハイドロタルサイト、MgO、Mg(OH)2、アルカリ金属担持ゼオライトから選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする前記(5)記載のアルコールの製造方法や、(8)原料アルコールが、エタノールを含むことを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか記載のアルコールの製造方法や、(9)原料アルコールが、エタノールであることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか記載のアルコールの製造方法や、(10)製造されるアルコールが、1−ブタノールを含むことを特徴とする前記(9)記載のアルコールの製造方法に関する。 本発明のアルコールの製造方法によれば、ゲルベ反応によるアルコールの収率を高め、製造コストを低減することができる。 本発明のアルコールの製造方法としては、ゲルベ反応によりアルコールを製造する方法であって、1種又は2種以上の原料アルコールを用いて、気相かつ全圧が1気圧未満で反応を行う方法であれば特に制限されるものではなく、本発明の方法は、気相かつ全圧が1気圧未満の環境下で反応を行うことを特徴とする。具体的に、本発明の方法においては、ガス化した1種又は2種以上の原料アルコールを反応系に導入し1気圧未満で反応させることが好ましい。 反応系の圧力(全圧)としては、前述のように、1気圧未満であればよいが、油回転型真空ポンプ(ロータリーポンプ)等の安価な真空装置を用いることが可能であることから、0.01〜0.9気圧であることが好ましく、0.01〜0.8気圧であることがより好ましい。また、より高い収率を得るという観点からは、0.01〜0.5気圧であることが好ましい。より減圧することにより、接触時間(W/F)をより短くして生産性を向上させることができる。また、1−ブタノールを合成する場合には、より減圧することにより、反応温度をより低くして1−ブタノールの選択率を向上させることができる。 原料アルコールとしては、直鎖アルコールでも分岐鎖アルコールでもよく、飽和アルコールであっても不飽和アルコールであってもよい。また、その炭素数も特に制限されないが、入手の容易さの点から、炭素数1〜22のアルコールであることが好ましく、炭素数1〜8のアルコールであることがより好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノールが好ましい。また、原料アルコールとしては、少なくとも1種のアルコールがエタノールであることが好ましく、エタノールを用いることにより、ゲルベアルコールをより高い収率で製造することができる。また、原料アルコールをエタノール単独で用いる場合には、1−ブタノール等の炭素数が4以上かつ偶数の直鎖アルコールをより高い収率で製造することができる。なお、本願においてゲルベアルコールなる用語は、ゲルベ反応により生成するアルコールをいう。 2種の原料アルコールを用いる場合、用いられる各アルコールの割合(混合比)としては特に制限されるものではないが、アルコールをより高い収率で合成するためには、原料とした2種のアルコールの転化率がほぼ同じ場合、混合比は等モル近傍(1:0.9〜1.1程度)であることが好ましく、2種のアルコールの転化率が異なる場合、転化率が低いほうのアルコールを転化量が同程度になるように多く混合することが好ましい。 本発明のアルコールの製造方法においては、塩基性を具備する塩基性触媒(塩基触媒又は酸塩基触媒)を使用することが好ましい。かかる塩基性触媒としては、アパタイト構造化合物、ハイドロタルサイト類化合物、MgO、Mg(OH)2、アルカリ金属担持ゼオライト、カオリン族粘土鉱物、パイロフィライト族粘土鉱物、スメクタイト族粘土鉱物、珪酸カルシウム、フッ化カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、酸化チタン、水酸化カルシウム、セピオライトを例示することができる。 上記アパタイト構造化合物は、一般式Ma(M’Ob)cX2で表すことができる。Mは、Ca、Sr、Mg、Ba、Pb、Cd、Fe、Co、Ni、Zn、H等を表し、M’は、P、V、As、C、S等を表し、Xは、OH、F、Cl、Br等を表し、それぞれ1種又は2種以上であってもよい。aが10、bが4、cが6であり、a/cが1.67であるM10(M’O4)6X2が基本的なアパタイト化合物である。固溶体の場合や、a/cが1.67からずれる場合、Mに2価以外の元素が含まれる場合、M’にCやS等の5価以外の元素が含まれる場合は、上記基本的なアパタイト化合物とは異なる化学式となる。a/cは1.5〜1.8の間が一般的であるが、その限りではない。なお、M、M’及びXが、2種以上の元素の組み合わせである場合、aやcは、各元素の価数の合計となる。 上記ハイドロタルサイト類化合物は、一般式[M2+1−xM3+x(OH)2]x+[An−x/n・mH2O]x-で表すことができる。M2+は、Mg2+、Fe2+、Zn2+、Ca2+、Li2+、Ni2+、Co2+、Pt2+、Pd2+、Cu2+等の2価の金属イオンを表し、M3+は、Al3+、Fe3+、Cr3+、Mn3+等の3価の金属イオンを表し、An−は、CO32−及びOH−等、n価のアニオンを表し、それぞれ1種又は2種以上であってもよい。mは0以上の値をとり、xは0.2〜0.4の間が一般的であるが、その限りではない。 上記触媒の中でも、上記アパタイト構造化合物においてMとしてCaを含み、M’がPであるカルシウム水酸アパタイト、上記アパタイト構造化合物においてMとしてSrを含み、M’がPであるストロンチウム水酸アパタイト、上記ハイドロタルサイト類化合物においてM2+としてMg2+を含み、M3+としてAl3+を含み、An−がCO32−であるハイドロタルサイト、MgO、Mg(OH)2、アルカリ金属担持ゼオライトが好ましく、カルシウム水酸アパタイトが特に好ましい。アルカリ金属担持ゼオライトにおけるアルカリ金属としては、具体的にLi,Na,K,Rb,Csを例示することができ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。 上記カルシウム水酸アパタイトは、リン酸カルシウムの1種であり、化学量論的にはCa10(PO4)6(OH)2からなる組成で示されるが、Ca/Pモル比が1.67にならない非化学量論的なものであっても、カルシウム水酸アパタイトの性質を示すと共にアパタイト構造をとることができ、Ca/Pモル比1.4〜1.8程度の合成カルシウム水酸アパタイトも本発明におけるカルシウム水酸アパタイトに含まれる。特に、本発明のアルコールの製造方法においては、Ca/Pモル比が1.60〜1.80のカルシウム水酸アパタイトが好ましい。カルシウム水酸アパタイトの形状は、顆粒、球体、ペレット、ハニカム等任意のものを使用することができる。なお、上記のように、本発明のカルシウム水酸アパタイトには、Caの一部が他の金属に置換された組成のものを含む。 上記ストロンチウム水酸アパタイトは、上記カルシウム水酸アパタイトのカルシウム原子(Ca)をストロンチウム原子(Sr)に置換したものとして説明することができる。すなわち、化学量論的にはSr10(PO4)6(OH)2からなる組成で示されるが、Sr/Pモル比が1.67にならない非化学量論的なものであっても、ストロンチウム水酸アパタイトの性質を示すと共にアパタイト構造をとることができ、Sr/Pモル比1.4〜1.8程度のストロンチウム水酸アパタイトも本発明におけるストロンチウム水酸アパタイトに含まれる。カルシウム水酸アパタイトの場合と同様、本発明のアルコールの製造方法においては、Sr/Pモル比が1.60〜1.80のストロンチウム水酸アパタイトが好ましく、その形状としては、顆粒、球体、ペレット、ハニカム等任意のものを使用することができる。なお、上記のように、本発明のストロンチウム水酸アパタイトには、Srの一部が他の金属に置換された組成のものを含む。 また、上記ハイドロタルサイトは、一般式〔Mg1-x Alx (OH)2 〕x+〔(CO3 )x/2 ・yH2 O〕x-からなる組成で示される粘土鉱物であり、代表的なものとして、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O、Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O、Mg4.5Al2(OH)13CO3、Mg4.3Al2(OH)12.6CO3・3.5H2O等を例示することができる。その形状としては、カルシウム水酸アパタイトの場合と同様、顆粒、球体、ペレット、ハニカム等を使用することができる。なお、上記のように、本発明のハイドロタルサイトには、Mg及び/又はAlの一部が他の金属に置換された組成のものを含む。 カルシウム水酸アパタイト、ストロンチウム水酸アパタイト、ハイドロタルサイト等は、必要に応じて、アルカリ金属、遷移金属、貴金属等のゲルベ反応に寄与する物質を担持或いは置換させてもよい。ゲルベ反応に寄与する物質としては、例えば、アルカリ金属、Ni、Zn、Cu、Pd、Pt等を挙げることができる。また、相乗効果或いは耐久性向上のため、複数の金属を共存担持させてもよい。共存担持金属としては、例えば、Zn、Co、Cr、Mo、W、Fe、Ni、Cu、Mn、Ti、V、Ga、Zr、Nb、Cd、In、Sn、Sb、Pb、La、Ce、Eu、Y等の遷移金属、Pt、Pd、Rh、Au、Ir、Ru、Ag等の貴金属、及びBa、Na、K、Li、Sr、Ca、Mg、Cs、Rb等のアルカリ又はアルカリ土類金属を挙げることができ、場合によりこれらの金属の酸化物または硫化物も使用することができる。なお、アルカリ金属担持ゼオライトもアルカリ金属以外の物質を担持することができる。 アルカリ金属等を担持させる方法としては、イオン交換法、含浸法、物理的混合法など従来から担持法として一般に使用されている方法が使用することができる。また、カルシウム水酸アパタイト等を合成する際に、アルカリ金属等を共存させてもよい。 本発明の方法においては、工業的な経済性の点から連続方式であることが好ましい。反応器へのガスの導入は、原料アルコールガスのみを導入してもよいし、窒素ガスやヘリウムガスのような不活性なキャリアガスと共に導入してもよいが、本発明の方法によれば、原料アルコールガスのみを導入する場合であっても、高い収率でゲルベアルコールを製造することができ、工業的に有利である。すなわち、従来のキャリアガスを用いる方法では、原料及び生成物の不必要な滞留を抑制して収率を向上させることができる一方で、キャリアガスの価格、キャリアガスを再利用するための処理施設、キャリアガスの加熱に要するエネルギー等を考慮すると製造コストが増加するという問題があるところ、本発明の減圧方法では、キャリアガスを用いることに起因するコストよりも少ないコストで実施可能であり、また、収率の増加効果も非常に大きく、非常に優れた方法である。 2種以上のアルコールを気相反応させる場合、アルコール混合液を気化させることが好ましく、また、アルコール同士を反応させることなく素早く気化することが好ましい。したがって、気化温度としては、高沸点の方のアルコールの沸点より高い温度、かつ低沸点の方のアルコールが反応しない温度が好ましい。具体的に、好ましい温度は、メタノール及びエタノールの場合には、150〜200℃であり、エタノール及び1−オクタノールの場合には、200〜250℃である。また、1種の気化させたアルコールを先に導入し、他のアルコールを気体で導入することにより反応させることもできる。エタノールを用いる場合には、他の原料ガスよりエタノールを最優先して導入することが好ましい。 また、本発明の反応における接触時間(W/F)としては、減圧の程度にもよるが、0.01〜200hであることが好ましく、0.05〜50hであることがより好ましい。また、反応温度としては、200℃〜600℃であることが好ましく、200℃〜450℃であることがより好ましい。[触媒](1)カルシウム水酸アパタイト触媒 カルシウム水酸アパタイト触媒(CaHAP触媒)は沈殿法にて調製した。原料は全て和光純薬工業株式会社の試薬特級を用いた。調製手順は以下の通りである。 アンモニア水でpH10に調整した硝酸カルシウム・四水和物の0.60mol/l水溶液及びアンモニア水でpH10に調整したリン酸水素二アンモニウムの0.40mol/l水溶液を出発原料とし、蒸留水中に、所定のCa/Pモル比のカルシウム水酸アパタイトが合成されるように送液速度を調整した原料液を、それぞれ別々に送液ポンプで滴下させた。所定量滴下後24時間よく攪拌させ、ろ過、水洗、140℃で乾燥させた。得られた粉末にイオン交換水を加えてカルシウム水酸アパタイト濃度10wt%の懸濁液とし、その後懸濁液を140℃の乾燥機内で熟成及び乾燥させ、乳鉢で粉砕後、大気中600℃で2時間焼成して粉末状のカルシウム水酸アパタイト触媒を得た。 合成したカルシウム水酸アパタイト触媒は、粉末X線回折で特定し、比表面積(BET)値を測定した。触媒のCa/Pモル比は、蛍光X線による検量線法より求めた。いずれも粉末X線回折から触媒がカルシウム水酸アパタイトの単一相で構成されており、比表面積(BET)値は46m2/gで、Ca/Pモル比は1.67であった。アルコール変換反応には、カルシウム水酸アパタイト粉末を打錠成型機でペレット状に成型したものを軽く粉砕し、14〜26メッシュのものを使用した。(2)ハイドロタルサイト触媒 和光純薬工業株式会社の試薬特級ハイドロタルサイト触媒を打錠成型機でペレット状に成型し、軽く粉砕し、14〜26メッシュのものを使用した。(3)Mg(OH)2触媒 MgO試薬(和光純薬工業製)を蒸留水中で煮て水和したもの(Ueda, W.; Kuwabara, T.; Ohshida, T.; Morikawa, Y. A Low-pressure Guerbet Reaction over Magnesium Oxide Catalyst. J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1990, 1558-1559. 参照)を打錠成型機でペレット状に成型し、軽く粉砕し、14〜26メッシュのものを使用した。(4)ストロンチウム水酸アパタイト触媒 ストロンチウム水酸アパタイト触媒(SrHAP触媒)は沈殿法にて調製した。原料は全て和光純薬工業株式会社の試薬特級を用いた。調製手順は以下の通りである。 アンモニア水でpH10に調整した硝酸ストロンチウムの0.60mol/l水溶液及びアンモニア水でpH10に調整したリン酸水素二アンモニウムの0.40mol/l水溶液を出発原料とし、蒸留水中に、所定のSr/Pモル比のストロンチウム水酸アパタイトが合成されるように送液速度を調整した原料液を、それぞれ別々に送液ポンプで滴下させた。所定量滴下後24時間よく攪拌させ、ろ過、水洗、140℃で乾燥させた。得られた粉末にイオン交換水を加えてストロンチウム水酸アパタイト濃度10wt%の懸濁液とし、その後懸濁液を140℃の乾燥機内で熟成及び乾燥させ、乳鉢で粉砕後、大気中600℃で2時間焼成して粉末状のストロンチウム水酸アパタイト触媒を得た。アルコール変換反応には、ストロンチウム水酸アパタイト粉末を打錠成型機でペレット状に成型したものを軽く粉砕し、14〜26メッシュのものを使用した。(5)Rb−Liイオン置換ゼオライト触媒 Rb−Liイオン置換ゼオライト触媒はイオン交換処理及び含浸法にて調製した。原料は全て和光純薬工業株式会社の試薬特級を用いた。調製手順は以下の通りである。 80℃に加熱した0.5mol/l塩化リチウム水溶液を用いて13Xゼオライトのイオン交換処理を行い、Liイオン交換ゼオライトを得、これを硝酸ルビジウム水溶液で含浸し、300℃、20時間、大気雰囲気で焼成をし、Rb−Liイオン置換ゼオライト触媒を得た。これを軽く粉砕し、14〜26メッシュのサイズにしたものを使用した。[原料] 原料エタノールとして、和光純薬工業株式会社の試薬特級エタノール(99.5)、試薬特級エタノール(95)、及び試薬特級エタノール(99.5)に蒸留水を加えて70vol%に調製したものをそれぞれ用いた。また、メタノール・エタノール混合原料は、試薬特級メタノール(99.8)及び試薬特級エタノール(99.5)をモル比1:1になるよう調製したものを用いた。また、エタノール・1−プロパノール混合原料は、試薬特級エタノール(99.5)及び試薬特級1−プロパノール(99.5)をモル比1:1になるよう調製したものを用いた。[実験] 反応装置としては、減圧条件が可能な固定床ガス流通式触媒反応装置(株式会社大倉理研製)を用いた。所定量の触媒をSUS製の反応管に充填し、原料ガス(100vol%)を導入して、表に示す圧力(atm)、W/F[gCAT/(gEthanol/h)]、反応温度(℃)で反応させた。反応圧の制御は真空ポンプを使用し、反応器入口及び出口に設けた圧力計でモニターしながら行った。また、アルコールの転化率及び合成ガスの収率・選択率測定にはオンラインのガスクロマトグラフ(GC)(検出器:FID)を用い、各成分のピーク面積値から各成分量を定量した。その結果を下記表1〜14に示す。なお、実施例D〜Fの目的生成物ゲルベアルコールとは、炭素数4,6,8,10及び12のアルコールの混合物である。 また、反応生成物収率は以下の式により求めた。 反応生成物収率(C−wt%)=(各生成物のカーボンモル数/全カーボンモル数)×100 本発明の製造方法により得られるゲルベアルコールは、化学工業原料やハイオク燃料として利用することができる。 ゲルベ反応によりアルコールを製造する方法であって、 1種又は2種以上の原料アルコールを用いて、気相かつ全圧が0.01〜0.5気圧で反応を行うことを特徴とするアルコールの製造方法。 塩基性触媒を使用することを特徴とする請求項1記載のアルコールの製造方法。 塩基性触媒が、アパタイト構造化合物を含むことを特徴とする請求項2記載のアルコールの製造方法。 塩基性触媒が、カルシウム水酸アパタイト、ストロンチウム水酸アパタイト、ハイドロタルサイト、MgO、Mg(OH)2、アルカリ金属担持ゼオライトから選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項2記載のアルコールの製造方法。 原料アルコールが、エタノールを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のアルコールの製造方法。 原料アルコールが、エタノールであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のアルコールの製造方法。 製造されるアルコールが、1−ブタノールを含むことを特徴とする請求項6記載のアルコールの製造方法。


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