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タイトル:特許公報(B1)_水溶性大豆多糖類およびその製造法
出願番号:2013501555
年次:2013
IPC分類:C08B 37/00,A23L 1/035,A61K 8/06,A61K 8/73,A61K 9/107,A61K 47/36,B01F 17/56,B01J 13/00,A23L 1/09,C12G 3/04


特許情報キャッシュ

吉田 靖彦 佐藤 みなみ 中村 彰宏 JP 5246387 特許公報(B1) 20130419 2013501555 20121018 水溶性大豆多糖類およびその製造法 不二製油株式会社 000236768 吉田 靖彦 佐藤 みなみ 中村 彰宏 JP 2011230413 20111020 20130724 C08B 37/00 20060101AFI20130704BHJP A23L 1/035 20060101ALI20130704BHJP A61K 8/06 20060101ALI20130704BHJP A61K 8/73 20060101ALI20130704BHJP A61K 9/107 20060101ALI20130704BHJP A61K 47/36 20060101ALI20130704BHJP B01F 17/56 20060101ALI20130704BHJP B01J 13/00 20060101ALI20130704BHJP A23L 1/09 20060101ALI20130704BHJP C12G 3/04 20060101ALI20130704BHJP JPC08B37/00 QA23L1/035A61K8/06A61K8/73A61K9/107A61K47/36B01F17/56B01J13/00A23L1/09C12G3/04 C08B 37/00 A23L 1/035 A23L 1/09 A61K 8/06 A61K 8/73 A61K 9/107 A61K 47/36 B01F 17/56 B01J 13/00 C12G 3/04 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開平5−262802(JP,A) 特開平11−279203(JP,A) 国際公開第2008/149738(WO,A1) 国際公開第2007/139057(WO,A1) 国際公開第2010/044255(WO,A1) 7 JP2012076895 20121018 15 20130115 伊藤 幸司 本発明は、改質された水溶性大豆多糖類に関する。詳細には、従来の水溶性大豆多糖類と比較して乳化力及び乳化安定化力に優れた水溶性大豆多糖類に関する。特に本発明により得られた、高い乳化力,乳化安定化力を発揮するのに適した、メチルエステル含有量が低く、酢酸エステルを適度に含有する事を特長とする水溶性大豆多糖類、さらに有効成分として水溶性大豆多糖類を含有する乳化剤、その乳化剤を用いてなる水中油型乳化物、また、水溶性大豆多糖類の乳化剤および水中油型乳化物の調製のための利用に関するものである。 高分子乳化剤は、乳化物を高度に希釈しても、乳化状態が破壊されずに保持されるうえ、加熱での安定性、酸性下での安定性に優れているため、飲料のフレーバリングに代表される乳化香料に利用される。高分子乳化剤の例として、アラビアガムに代表されるガム質やカゼインのような天然物、或いはアクリル酸塩やポリビニルアルコールのような合成品がある。さらに、乳化力を付与するために両親媒性を付与したオクテニルコハク酸架橋澱粉等がある。 アラビアガムは、アラビアガム中の糖鎖が親水基として、糖鎖に結合したポリペプチドが疎水基として機能することにより、水中油型(O/W型)乳化物を安定化している(非特許文献1)。アラビアガムを用いて調製した乳化物は、糖鎖が油滴界面に厚い親水層を形成し、高度に希釈した場合でもアラビアガムが油滴界面に分離することが少なく、乳化香料用の優れた乳化剤として利用されている。しかしながら、安定な乳化状態の乳化香料を得るには、油相20重量%の場合一般的に系中12重量%以上(油分1部に対し0.6重量部以上)の高濃度での使用が必要な上、生産国の気候により供給量が変動し、市場価格が一定でない為、安定供給可能な高分子乳化剤が望まれている(非特許文献2)。 Acacia Senegal種に属するアラビアガムを加熱することによって得られる重量平均分子量が90万以上の水溶性改質アラビアガムは、乳化力,乳化安定化力に優れている。しかし、直径1μm未満の乳化粒子径を有する乳化物を調製するには、ホモジナイザーによる均質化が必要である (特許文献1) 。 また、合成のポリアクリル酸塩やポリビニルアルコール等は、乳化力に優れるものの、粘度が高いため、使用用途が限られる場合が多い。 一方、化工澱粉は、エーテル化澱粉,エステル化澱粉,架橋澱粉,グラフト化澱粉 等、様々な化工澱粉が存在する。その中で、エステル化澱粉の一つであるオクテニルコハク酸エステル化澱粉は、乳化力には優れているが、高度に希釈した系では乳化安定性が極めて低く、長期間の保存には向かない。また、澱粉に酢酸エステルが結合した、酢酸エステル化澱粉も販売されているが、乳化安定性は無く、老化耐性,粘度安定性といった用途で使用されるのみである。 脱メトキシル処理を行うことにより、酸性下の蛋白粒子に対する高い分散安定能を有し、且つ比較的低粘度の物性を有する水溶性大豆多糖類が報告されている(特許文献2)。しかし、強い乳化力を得るには添加量が多く必要であり、更なる改良が望まれている。特表2006-522202号公報特開平5-262802号公報Glicksman, Food Hydrocolloids. Boca Raton, Fla.: CRC Press. P 7-30, 1983食品多糖類 乳化・増粘・ゲル化の知識 幸書房p77-84 これまでの水溶性大豆多糖類は、高い乳化力,乳化安定化力を得るために、大量の添加が必要だったが、それにより粘度が上昇する問題があった。そこで、本発明は少量の添加にも関わらず水中油型乳化物の乳化粒子径が小さく、粒度分布が均一で、かつ加熱や長期保存や経時変化等によっても、乳化粒子同士が凝集したり、合一したりする事が抑制された、所謂「乳化力」の改善された天然の高分子乳化剤を提供する事を目的とした。 アラビアガムが使用された従来の乳化香料は、アルコール飲料に賦香した場合に、濁度を保持しつつ油浮きも抑制する機能が不足していた。これらの機能に加え、通常のアラビアガムよりも少量の添加量で乳化粒子を安定化させる機能を水溶性大豆多糖類に付与することも目的とした。加えて、乳化物の安定性を得るため、高圧ホモゲナイザーによる均質化処理を行うことなく、緩やかな攪拌のみで粒子径を小さく出来る乳化剤機能を水溶性大豆多糖類に付与することも目的とした。 本発明は前記の目的を達成すべく種々検討した結果、水溶性大豆多糖類を脱メチルエステル処理した後、酢酸エステル化処理を行う事で、デンプンをエステル化した場合とは異なり、意外にも水溶性大豆多糖類に強い乳化力を付与できる事を見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、(1)ウロン酸に対するメチルエステル含量が30%以下であり、かつ水溶性大豆多糖類に対する酢酸エステル含量が、遊離酢酸換算で1重量%以上である、水溶性大豆多糖類。(2)脱メチルエステル処理が行われた水溶性大豆多糖類に、酢酸エステル化処理を行う、(1)記載の水溶性大豆多糖類の製造法。(3)有効成分として(1)記載の水溶性大豆多糖類を含有する乳化剤。(4)(3)記載の乳化剤を用いて、疎水性物質を親水性溶媒に分散安定化する事によって得られる水中油型乳化物。(5)疎水性物質1重量部に対し、(3)記載の乳化剤を0.3重量部以上7重量部以下使用する、(4)記載の水中油型乳化物。(6)(1)記載の水溶性大豆多糖類の、乳化剤の調製のための使用。(7)(1)記載の水溶性大豆多糖類の、エマルジョンの調製のための使用。である。 本発明の水溶性大豆多糖類は、既存の水溶性大豆多糖類よりも少量で乳化力、乳化安定化力が得られ、粘度も低く、乳化粒子径も小さくする事が可能で、風味に及ぼす影響も少なく、最終製品の配合の幅が拡がる。 本発明の水溶性大豆多糖類は、ウロン酸に対するメチルエステル含量が30%以下であり、かつ水溶性大豆多糖類に対する酢酸エステル含量が、遊離酢酸換算で1重量%以上である事を特長とする水溶性大豆多糖類である。また、水溶性大豆多糖類を脱メチルエステル処理した後、酢酸エステル化処理を行うことにより得ることができる。 以下、本発明の構成につき詳細に説明する。(水溶性大豆多糖類) 本発明に原料として使用する水溶性大豆多糖類とは、種々の方法で得られる大豆多糖類を用いることができるが、例えば、特許第2599477号公報に記載された様な水溶性大豆多糖類を用いることができる。以下に、水溶性大豆多糖類の製造の一例を示す。(水溶性大豆多糖類原料) 水溶性大豆多糖類の原料は大豆が適しており、特に大豆子葉部が好ましく、豆腐や分離大豆蛋白質の製造過程で副生する、いわゆるオカラが多糖類を豊富に含むのでより好ましい。また、これらの原料を予め蛋白分解酵素やアルカリ溶液で処理しておくことで、原料中に残存する蛋白質等を抽出除去し、原料中の多糖類を濃縮することができる。なお、原料として豆腐オカラを用いた場合は、水溶性画分が予め除去されており好ましく、分離大豆蛋白質製造工程で副生するオカラを用いた場合は水溶性画分に加えて脂溶性成分も除去されているので、原料として更に好ましい。(水溶性大豆多糖類の製造方法) 上記の原料からの加熱抽出を行う。水溶性大豆多糖類の抽出は水系下で蛋白質の等電点付近である弱酸性域で高温抽出する。抽出温度は100℃ を超えると抽出効率が高く好ましい。100℃未満では、抽出に時間を要し、歩留まりが低下する等実用性の面でも好ましいとは言えず、その上、十分な物性を持つ水溶性大豆多糖類が得られない場合もある。なお、加熱温度の上限は特に規定されないが、極度に高温で行うと副反応が起き、着色し易くなり好ましくない。通常180℃以下、好ましくは150℃以下で行うと良い。 加熱抽出後は、ろ過,遠心分離等の常法により固形物と抽出液とを分離する。この際、加熱後の反応液を中性〜弱酸性域に中和しておくと、食品への利用に好適な場合もある。抽出濾液はそのまま、または乾燥後に、以下の脱メチルエステル反応、及び酢酸エステル化反応を行なう。(脱メチルエステル処理) 以上に例示された方法、または他の方法により得られた水溶性大豆多糖類を用いて、本発明の水溶性大豆多糖類を調製する。 本発明は、ウロン酸に対するメチルエステル含量が30%以下の水溶性大豆多糖類が必須である。すなわち、水溶性大豆多糖類の構成糖であるウロン酸のメチルエステル化されたカルボキシル基を脱メチルエステルする必要がある。脱メチルエステル法として、酸,アルカリ,もしくは酵素を使用してもよいが、簡便性やコストの点から酸もしくはアルカリを用いることが好ましく、効率の点でアルカリを用いることが最も好ましい。この脱メチルエステル処理は水溶性大豆多糖類の抽出前でも問題ないが、抽出後に行う方が好ましい。 水溶性大豆多糖類抽出後に脱メチルエステルを行う場合は、水溶性大豆多糖類の抽出液、または乾燥後の水溶性大豆多糖類の水溶液について、まずアルカリを用いてpHを9〜14、好ましくは11〜13に調整する。使用するアルカリは、例えば、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化カルシウム,及びアンモニア等が挙げられる。pH調整後、この水溶液を常温以上、好ましくは40℃以上に加熱する。処理pH及び処理温度は高いほど本工程の効果が高い。ただし、pHが高く、加熱温度が高いほど着色される傾向がある。 次に遠心分離,遠心脱水もしくは圧搾濾過等により固体−液体分離を行う。この分離工程は上記のアルカリ性状態で行っても、弱酸〜中性のpHで行っても良い。後者の場合、アルカリにより原料から溶出した蛋白質が等電点沈澱することで、大豆多糖類中の蛋白質を低減させることができる。脱メチルエステルした水溶性大豆多糖類についてウロン酸当たりのメチルエステル含量は、30%以下が必須であり、好ましくは20%以下である。30%を超えると、乳化力が弱まる場合がある。(酢酸エステル化処理) 酢酸エステル化方法としては、水溶性大豆多糖類の水溶液または、同水溶液とアルコールやアセトン等の極性有機溶媒との混合溶液に、水酸基と酢酸エステルを形成する物質、例えば無水酢酸,酢酸ビニル,氷酢酸,塩化アセチル,ケテン等を添加して行う。これらの中で、無水酢酸,酢酸ビニルが生産する上での安全性から望ましい。氷酢酸の場合、安全性は高いが、反応性が弱い場合がある。塩化アセチルの場合、水と激しく反応する危険性がある。ケテンの場合、有毒な気体のため、取り扱いが難しい等の課題がある。 反応は、中性からアルカリ条件を維持しながら撹拌下に行われる。この際に添加するアルカリ剤としては、例えば水酸化カリウム,水酸化ナトリウム,水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸リチウム,炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、クエン酸ナトリウム,シュウ酸ナトリウム等のアルカリ金属の有機酸塩、リン酸三ナトリウム等のアルカリ金属の無機酸塩、更に、水酸化カルシウム,水酸化マグネシウム等の2価金属の水酸化物、アンモニア等を用いることができる。 反応中も反応溶液のpHは低下するので、pHを維持するために上記のアルカリ剤を固体であるいは溶液の形態で添加する。反応pHは、好ましくはpH6〜10、より好ましくはpH7〜9である。pH6より低いと水溶性大豆多糖類の酢酸エステル化が十分に行えない場合がある。また、pH10より高くても水溶性大豆多糖類が脱離して、酢酸エステル化が十分に行えない場合がある。また、反応温度は、反応液中で無水酢酸または酢酸ビニルが溶解する温度に適宜調整すれば良いが、好ましくは0℃以上60℃以下、より好ましくは10℃以上50℃以下である。60℃より高い温度になると、無水酢酸の加水分解が早まり、水溶性大豆多糖類と反応しないまま酢酸に分解するものが増える場合がある。一方0℃より低い場合は、水の融点以下であり現実性が低い。 本発明の水溶性大豆多糖類は、多糖類に酢酸エステルが結合したものである。多糖類の水酸基の数に応じて導入される酢酸エステルの最大数は決定されるが、すべての水酸基に導入しないものでも所望の効果を達成される。具体的には、水溶性大豆多糖類に対する酢酸エステル含量を、遊離酢酸換算で表すと、1重量%以上含有していることが必要であり、望ましくは2重量%以上、より望ましくは5重量%以上である。このような組成の水溶性大豆多糖類が目的の物性に好適である。また、10重量%を超えても、機能に大きな変化はないため、10重量%未満が好ましい。(精製処理) 得られた水溶性大豆多糖類を含む反応液はそのまま、または中和後に、必要に応じて精製処理を施す。精製処理する方法として、メタノール,エタノール,イソプロパノール,アセトン等の極性有機溶媒を用いて行う再沈殿法,活性炭処理,樹脂吸着処理,限外濾過法,逆浸透法,ゲル濾過法,透析法,イオン交換樹脂法,電気透析法およびイオン交換膜法等が例示でき、これらの一法又は二法以上の組み合わせにより行うことができる。特に、極性有機溶媒を用いる再沈殿法,限外濾過,逆浸透法,ゲル濾過法あるいは透析法を用いると、種々の低分子をも取り除くことができるので有利である。脱塩を伴う精製処理を行う場合は、処理後の多糖類の灰分が15重量%以下、好ましくは5〜10重量%になるように処理するのが好ましい。 上記の精製時に於いて予め原料の除蛋白を行っていない場合、中和の際に蛋白質の等電点近辺で蛋白質が沈殿するため、この沈殿を濾過あるいは遠心分離にて除去することが好ましい。これら精製処理の後、濃縮を行い、あるいは行わず、噴霧乾燥,凍結乾燥またはドラム乾燥等により水分を除去することで水溶性大豆多糖類の乾燥品を得ることができる。(メチルエステル化度の定量方法) 通常のペクチンのメチルエステル化度を測定する方法に準じる。即ち、アルカリで脱メチルエステルする前後の試料液を用い、滴定値より以下の計算式によって求める。 メチルエステル化度(DE)= V2/(V1+V2)×100 上式中、V1は、塩酸を含むイソプロピルアルコールを用いて試料のウロン酸をフリーにし、さらにイソプロピルアルコールで洗浄し、塩酸を除去した試料を作成し、この試料水溶液を用いて、フェノールフタレインを指示薬として赤変した点を終点とする滴定における0.1N水酸化ナトリウムの滴定量(ml)である。また、V2は、上記の滴定された試料水溶液に終濃度0.5Nになる様に水酸化ナトリウムを加えて強アルカリ性とし、攪拌下に40℃, 20分間加温して完全に脱メチルエステルし、次いで脱メチルエステルに用いた水酸化ナトリウム量と当量の塩酸を加え、V1と同様にして滴定した時の0.1N水酸化ナトリウムの滴定量(ml)である。(酢酸エステルの定量方法) 酢酸エステル化の程度は、水溶性大豆多糖類にエステル結合した酢酸を水解し、遊離する酢酸をイオンクロマトグラフィーによって定量し、以下の計算式により水溶性大豆多糖類に対する酢酸エステル含量として求める。 酢酸量=1.4×V2−V1 上中の式、V1は試料である水溶性大豆多糖類の0.3重量%溶液の5mlを分子量1万カットのフィルターに通過させた液を試料とし、この試料溶液に含まれる酢酸量をイオンクロマトグラフィーによって測定する。また、V2は同試料の0.3重量%溶液5mlに、0.5N水酸化ナトリウム1mlを加え、40℃, 20分間、エステル分解処理を行った後、等量の0.5N塩酸1mlを添加する。中和後に分子量1万カットのフィルターに通過させた液を試料とし、この試料溶液に含まれる酢酸量を上と同様に測定する。上記の計算式により、水溶性大豆多糖類に含まれる酢酸量が求められる。 イオンクロマトグラフィーはコンパクトIC 861(メトロームジャパン製)を用い、カラムはShodex RS Pak KC-811(φ8mm×300mm),50℃,溶離液は1mM過塩素酸(流量1ml/min),検出器に電気伝導度検出器,標準物質に酢酸ナトリウムを用いる。(用途) 本発明の水溶性大豆多糖類は、従来の技術レベルでは解決が困難であった少ない配合量での乳化力と乳化物の分散安定性を有する。また、高圧ホモゲナイザー等の高度のシェアをかける機器を使用しなくても緩やかな撹拌だけで乳化力を発揮でき、さらに、風味に及ぼす影響が少ないため、従来以上に広い種類の水中油型(O/W型)乳化物またはW/O/W型乳化物を調製するための乳化剤として、使用することができる。 さらに、乳化物の分散安定性に優れるために、医薬品、医薬部外品、化粧品などにおいて、水中油型乳化物またはW/O/W型乳化物を調製するための乳化剤として用いる事が可能である。 本発明の水溶性大豆多糖類の具体的な用途としては、食品としては、清涼飲料,乳飲料,大豆飲料,果汁飲料,お茶,スポーツ飲料,粉末飲料,アルコール飲料等の飲料、キャンディー,グミ,ゼリー,チューイングガム等の菓子、アイスクリーム等の冷菓、ドレッシング,マヨネーズ,ベーカリー製品,水産加工品,畜産加工品,レトルト食品等の飲食品等についての乳化、油性香料の乳化並びに、油性色素等の乳化について、乳化剤として用いることができる。また、後述する乳化香料としてこれら飲食品に加えることも有効である。 非食品用途としては、シャンプー,リンス等の頭髪洗浄料、ヘアトリートメント,ヘアローション,ワックス等の頭髪化粧料、口紅,化粧水,クレンジングクリーム,シェービングフォーム,洗顔料,乳液,ハンドソープ,ファンデーション,保湿エッセンス,ボディーシャンプー,メイク落とし等の各種皮膚用化粧料、医薬品、医薬部外品、化成品、飼料、農薬、印刷物等の、これらの乳化について、乳化剤として用いることができる。 上記水溶性大豆多糖類は、溶液の状態のまま、または乾燥し粉末にして乳化剤として用いる事も出来るが、他の担体や添加剤を配合して乳化製剤とする事も可能である。この場合、使用する担体や添加剤は乳化剤を用いる製品の種類や用途により、適宜選択できる。例えば、水溶性大豆多糖類をグリセリン等の多価アルコールまたはデキストリン若しくは乳糖等の糖類と混合して使用する事も可能である。(乳化香料) 本発明の水溶性大豆多糖類の特に有利な用途として、乳化香料等への使用が例示される。乳化香料は、精製した精油や調合香料を植物油に溶解した疎水性物質からなる相を、アラビアガム等の乳化剤を用いて乳化した水中油型(O/W型)乳化物である。 例えば、乳化香料に本発明の水溶性大豆多糖類を使用する場合、その添加量は、含まれる疎水性物質(油分)1重量部に対して、水溶性大豆多糖類を0.2〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部を添加する。油相を20重量%含む通常の乳化香料の場合、水溶性大豆多糖類の4〜100重量%の添加に相当する。これに対して従来のアラビアガムでは同油相について12重量%を超える量(油分1重量分に対し0.6重量部以上)を添加しなければ、乳化力不十分により乳化粒子径が経時的に増大し、長期の乳化安定性が損なわれる傾向にある。従って、本願発明は油分1重量部に対して、水溶性大豆多糖類を0.2重量部以上0.6重量部未満、好ましくは0.5重量部以上0.6重量部未満で、アラビアガムに比較し顕著な効果を示す。尚、後述するアルコール飲料用に用いる乳化香料の場合は、さらに乳化剤を高濃度に使用する場合でもアラビアガムに比較し顕著な効果を有する。 分散安定化する為の乳化装置としての機器は種々が使用でき、目的とする水中油型乳化物の粒子の大きさや粘度等に応じて適宜選択する事が出来る。高圧ホモゲナイザー,超音波ホモジナイザー等の乳化機はもちろん、コロイドミル,ディスパーミル,ホモミキサー,プロペラ攪拌機等の混合機だけでも目的を達成できる場合がある。例えば、アラビアガム等による従来の乳化では、予めホモミキサー等で予備乳化し、ある程度の粒子径を持つものに調製した後、高価な装置である高圧ホモゲナイザーによる均質化処理が必要なケースでも、本発明の水溶性大豆多糖類を使用することで、高圧ホモゲナイザーを用いることなく、緩やかな攪拌だけで、微細で均一な水中油型乳化物を得る事が出来、省力化に繋がる場合がある。 乳化香料中に乳化される疎水性物質は、通常水中油型乳化物の分散相に使用されるものであれば、特に制限は無い。具体的な油性着香料としては、例えばオレンジ,グレープフルーツ,夏みかん,ベルガモット,ライム,レモン,ユズ等の柑橘類精油、花精油,スペアミント油,ペパーミント油等の植物精油、オニオン,ガーリック,カルダモン,クミン,クローブ,ジンジャー,セロリ,ナツメグ,バジル,パセリ,パプリカ,ブラックペッパー,ローズマリー,ローレル等のスパイス類の精油またはオレオレジン類、コーラナッツエキストラクト,コーヒーエキストラクト,ココアエキストラクト,紅茶エキストラクト,スパイス類エキストラクト,ワニラエキストラクト等の油性のエキストラクト及びこれらのオレオレジン類、オイゲノール,ゲラニオール,酢酸,ジアセチル,シトラール,バニリン,プロピオン酸エチル,メントール,酪酸,リモネン等のフレーバー物質、合成香料化合物,油性調合香料組成物及びこれらの任意の混合物等が挙げられる。 上記の油性着香料に添加する、動植物油脂類としては、例えば、オリーブ油,カカオ脂,コーン油,胡麻油,小麦胚芽油,米油,米糠油,サフラワー油,大豆油,ツバキ油,菜種油,パーム油,ヒマワリ油,綿実油,ヤシ油,落花生油,牛脂,豚脂,鶏油,魚油,バター等が挙げられる。中鎖飽和脂肪酸トリグリセライドとしては,カプロン酸トリグリセリド,カプリル酸トリグリセリド,カプリン酸トリグリセリド,ラウリン酸トリグリセリド等の炭素数6〜12のもので加工食用油として用いられるものが挙げられる。油溶性色素類としては、例えば、アナトー色素,クロロフィル,β-カロチン,パプリカ色素等の油溶性天然色素類等が挙げられる。油溶性ビタミン類としては、例えば、肝油,ビタミンA,ビタミンA油,ビタミンB2酪酸エステル,ビタミンD3,天然ビタミンE混合物等が挙げられる。天然樹脂としては、例えば、エレミ,エステルガム,コーバル,ダンマル,ロジン等の植物性樹脂類が挙げられる。 これら、可食性油性材料はそれぞれ単独で使用することができ、あるいは2種以上の混合物の形で用いることができる。 以上に説明した乳化香料は、アルコール飲料用として特に有効である。アルコール飲料とは、エチルアルコールを3〜50容量%、好ましくは20〜35容量%含むものであり、従来の乳化香料では、保存中に乳化粒子による濁度を保持しつつ、油浮きを抑制する機能が不足しており、特に20容量%以上のエチルアルコールを含む系で顕著である。本発明の水溶性大豆多糖類を用いた乳化香料は、通常用いられるアラビアガムに比較し、これらアルコール飲料に用いた場合に、その乳化安定性が著しく高く、アルコール飲料用として最適である。 以下、実施例及び比較例を例示して本発明をより具体的に説明する。尚、例中、「部」「%」は何れも重量基準を意味する。(実施例1)−脱メチルエステル処理(pH12)、酢酸エステル化処理(20%)− 分離大豆蛋白質製造時に生ずるオカラを原料とし、これに加水し、塩酸にてpHを5に調整した。次いで加圧釜を用いて125℃,2時間加熱し、水溶性大豆多糖類の抽出を行った。抽出後、遠心分離(5,000×g,10分間)し、水溶性大豆多糖類を主に含む上澄と沈澱に分離した。この上澄に水酸化ナトリウムを加え、pH12に調整した。その後、60℃で60分間加熱し、脱メチルエステル処理を行った。加熱して生じた沈殿を取り除き、塩酸を用いて、pH5.0に調整後に沈殿を除去した。その後、電気透析による脱塩処理を行い、水溶性大豆多糖類水溶液が10Bxになるまで濃縮し、水酸化ナトリウム溶液にてpH8.5に調整した。 40℃を保持した状態で、pH自動滴定装置にてpHを8.5に保持しつつ、無水酢酸を対固形分あたり20重量%となるよう少量ずつ、30分かけて添加し、pH8.5を保持したまま、さらに1時間反応させた。反応後、エタノールで溶剤沈殿、洗浄を行い、室温にて乾燥し、「水溶性大豆多糖類A」を得た。得られた水溶性大豆多糖類について、メチルエステル化度およびエステル結合した酢酸量について、前述の方法にて測定した。(実施例2) −脱メチルエステル処理(pH11)、酢酸エステル化処理(10%)− 実施例1と同様に、水溶性大豆多糖類を抽出し、脱メチルエステル処理および酢酸エステル化処理を行った。但し、脱メチルエステル処理はpHを11とし、酢酸エステル化処理は、無水酢酸を対固形分あたり10重量%用いた。得られた「水溶性大豆多糖類B」について実施例1と同様に分析を行った。(実施例3) −脱メチルエステル処理(pH10)、酢酸エステル化処理(5%)− 実施例1と同様に、水溶性大豆多糖類を抽出し、脱メチルエステル処理および酢酸エステル化処理を行った。但し、脱メチルエステル処理はpHを10とし、酢酸エステル化処理は、無水酢酸を対固形分あたり5重量%用いた。得られた「水溶性大豆多糖類C」について実施例1と同様に分析を行った。(比較例1) −脱メチルエステル処理無し、酢酸エステル化処理無し− 実施例1と同様に、水溶性大豆多糖類を抽出した。脱メチルエステル処理および酢酸エステル化処理を行うことなく、得られた「水溶性大豆多糖類D」について実施例1と同様に分析を行った。(比較例2) −脱メチルエステル処理(pH12)、酢酸エステル化処理無し− 実施例1と同様に、水溶性大豆多糖類を抽出し、脱メチルエステル処理を行った。酢酸エステル化処理は行わず得られた「水溶性大豆多糖類E」について実施例1と同様に分析を行った。(比較例3) −脱メチルエステル処理無し、酢酸エステル化処理(20%)− 実施例1と同様に、水溶性大豆多糖類を抽出し、酢酸エステル化処理を行った。但し、酢酸エステル化処理は、無水酢酸を対固形分あたり20重量%用いた。脱メチルエステル処理は行わず得られた「水溶性大豆多糖類F」について実施例1と同様に分析を行った。 実施例1,実施例2,実施例3,比較例1,比較例2及び比較例3で得られた水溶性大豆多糖類溶液の品質評価の結果を表1に示した。(表1)各水溶性多糖類の分析値 以上の結果から、脱メチルエステル処理は開始時のpHが高いほど、残存メチルエステルは低下する傾向が、酢酸エステル化処理は、添加する無水酢酸の量が多いほど、エステル結合した酢酸量が増加する傾向が明確に判明した。尚、比較例1では、脱メチルエステル処理および酢酸エステル化処理を施していないために、水溶性大豆多糖類が元々エステルとして含有している酢酸が検出され、一方比較例2では、脱メチルエステル処理によって、酢酸エステルが切断されたと考えられた。(応用例A) −乳化組成物の調製− 上記方法でそれぞれ得られた水溶性大豆多糖類A〜Fを使用し、下記手順により各乳化組成物を調製した。 蒸留水100gにグリセリン16.0gを加え、攪拌しながら、水溶性大豆多糖類A〜Fを各々21.4g溶解させ、50%クエン酸溶液でpH4.0に調整した。次に、レモンオイル,MCT(中鎖脂肪酸トリグリセライド)及びSucrose diacetate hexaisobutyrate(ショ糖二酢酸六イソ酪酸エステル)を2:3:5の重量比となるよう予め混合したもの(比重d 1.010)を水溶性大豆多糖類A〜Fの水溶液に40g添加し、更に全量を200gになるまで水を添加した後に、45℃で保温した。保温した溶液をホモジナイザー「Polytron」(KINEMATICA社製)で、10,000rpmの条件下で10分間予備攪拌し、さらに高圧ホモゲナイザー「ミニラボ8.30H型」(RANNIE社製)を用い、圧力150kgf/cm2(14.71MPa)で2回均質化を行い、乳化組成物を得た(応用例1〜3、比較応用例1〜3)。各乳化組成物を冷蔵保管し、調製直後,及び7日目の粒子径をレーザ回折式粒度分布測定装置「SALD2000A」(島津製作所)で測定し、結果を表2に示した。(表2)各乳化物の保存後粒子径 表2から明らかなように、油相を20重量%,水溶性大豆多糖類の添加量を10.7重量%配合した乳化系に於いては、脱メチルエステル処理および、酢酸エステル化処理を行った応用例1〜3の場合、いずれも粒子径が0.6μm以下と、比較応用例1〜2(水溶性大豆多糖類D,E)で使用した従来の水溶性大豆多糖類より良好な乳化力を有していた。特に応用例1,応用例2では粒子径が0.5μm以下と非常に良好で、粒度分布も均一であった。また7日間の冷蔵保管後でも、乳化組成物の安定性は良好であった。対して、従来品の水溶性大豆多糖類である比較応用例1〜2、および酢酸エステル化処理のみを行った比較応用例3の場合、その乳化特性は、粒子径が0.7μm程度と応用例1〜3より大きいものだった。尚、その後の7日間の冷蔵保管に於ける粒径変化は少なく、特に比較応用例2および3での乳化組成物の安定性は良好であった。 アラビアガムの場合、安定な乳化状態を得るには、油相20重量%の場合一般的に系中12重量%以上の高濃度での使用が必要である事から、水溶性大豆多糖類が10.7重量%の添加で、乳化粒子径を小さくでき乳化力に優れる上に、乳化安定化力も高いことが判った。(応用例B) −コンクシロップの調製− 応用例1〜3および比較応用例1〜3の乳化組成物について、酸度とアルコール濃度が高い条件(アルコール飲料のコンクシロップ段階)での評価を行った。水60gにクエン酸1.14g、クエン酸ナトリウム 0.33g、異性化糖11.8gを溶解し、エタノール21mlを加え、水で100mlにメスアップし、コンクシロップとした。このコンクシロップに応用例1〜3および比較応用例1〜3の乳化組成物を0.3g添加し、室温で保管したものについて、調製直後および3日目の、油浮き,濁度(OD 680),粒子径(レーザ回折式粒度分布測定装置)を測定した(応用例4〜6および比較応用例4〜6)。結果を表3に示した。(表3)コンクシロップの保存後粒子径 表3から明らかなように、応用例4〜6の場合、いずれも粒子径が0.6μm以下と比較応用例4〜5(水溶性大豆多糖類D,E)で使用した従来の水溶性大豆多糖類より良好な乳化力を有していた。特に応用例4〜5(水溶性大豆多糖類A,B)は粒子径が0.5μm以下と非常に良好であった。また3日間の室温保管でも、応用例4〜5は油浮きも無く、乳化組成物の安定性は良好であり、応用例6の場合は、油浮きが僅かに見られる程度であった。対して、従来品の水溶性大豆多糖類である比較応用例4〜5、および酢酸エステル化処理のみを行った比較応用例6では、粒子径も0.7μm以下であり、一般的なアラビアガムの粒子径0.8μmと比較すると低いものの、室温保管1日目から油浮きが多く生じており、乳化安定性に欠けるものだった。(応用例C) −乳化組成物の低シェア調製(I)− 応用例1〜3で得られた乳化組成物は、高圧ホモゲナイザーによる150kgf/cm2(14.71MPa)での均質化を2回行う事で、粒子径を0.4〜0.7μm程度にまで小さくしている。そこで、実施例1及び比較例1の方法で得られた水溶性大豆多糖類AおよびDを使用し、下記手順により高圧ホモゲナイザーを使用することなく各乳化組成物を調製した。 蒸留水48gにグリセリン8gを加え、攪拌しながら、水溶性大豆多糖類Aまたは水溶性大豆多糖類Dの16gを溶解させ、50重量%クエン酸溶液でpH4.0に調整した。次に、レモンオイル,MCT(中鎖脂肪酸トリグリセライド)及びSucrose diacetate hexaisobutyrate(ショ糖二酢酸六イソ酪酸エステル)を2:3:5の重量比となるよう予め混合したもの(比重d 1.010)を、水溶性大豆多糖類Aまたは水溶性大豆多糖類D溶液に16g添加し、更に全量を100gになるまで水を添加した後に、氷冷した。氷冷した溶液を攪拌機「Polytron」(KINEMATICA社製)で、7,500rpmの条件下で60分間攪拌し、乳化組成物を得た(応用例7,比較応用例7)。その際、攪拌20分時での乳化状態を確認するため、粒子径の測定に必要な最低限のサンプルを採取した。 また、攪拌の回転数を7,500rpm から5,000rpmに変更し、その他の処方は上記と同様にして乳化組成物を得た(応用例8,比較応用例8)。さらに、攪拌の回転数を7,500rpm から2,500rpmに変更し、その他の処方は上記と同様にして乳化組成物を得た(応用例9,比較応用例9)。 応用例7〜9および比較応用例7〜9の乳化組成物について、各乳化組成物を冷蔵保管し、直後および7日目の粒子径をレーザ回折式粒度分布測定装置「SALD2000A」(島津製作所)で測定した。まとめた結果を表4に示した。(表4)低シェア調製乳化物の保存後粒子径 以上の結果より、水溶性大豆多糖類Aは水溶性大豆多糖類Dと比較して、同じ回転数、同じ攪拌時間での乳化力が強く、高圧ホモゲナイザーを用いない低シェアの調製でも、20分間の攪拌時間で、7日間冷蔵保管しても、7,500rpmでは1.5μm以下、5,000rpmでは2μm以下、2,500pmでは3μm以下の粒子径を維持できた。さらに、60分間の攪拌では、7日間冷蔵保管しても7,500rpmでは1μm以下、5,000rpmでは1.5μm以下、2,500pmでは2μm以下と粒子径を維持できた。(応用例D) −乳化組成物の低シェア調製(II)− 応用例7〜9で得られる乳化組成物は、攪拌の回転数を2,500rpm 〜7,500rpmと比較的少ない回転数でも、2μm以下の粒子径になる事が分かったが、より緩やかな攪拌を行った場合の粒子径を確認してみた。 蒸留水48gにグリセリン8gを加え攪拌しながら、水溶性大豆多糖類A,水溶性大豆多糖類Dまたはアラビアガム(「アラビックコールSS」三栄薬品貿易(株)製)) 16gを溶解させ、50%クエン酸溶液でpH4.0に調整した。次に、レモンオイル,MCT(中鎖脂肪酸トリグリセライド)及びSucrose diacetate hexaisobutyrate(ショ糖二酢酸六イソ酪酸エステル)を2:3:5の重量比となるよう予め混合したもの(比重d 1.010)を、上記の各水溶液に16g添加し、更に全量を100gになるまで水を添加した後に、氷冷した。氷冷した溶液を攪拌機「MAZELA Z」 (東京理化器械株式会社製)で、1,000rpmの条件下で60分間攪拌し、乳化組成物を得た(応用例10、比較応用例10,11)また、攪拌20分時での乳化状態を確認するため、粒子径の測定に必要な最低限のサンプルを採取した。 また、攪拌の回転数を1,000rpm から500rpmに変更し、その他の処方は上記と同様にして乳化組成物を得た(応用例11、比較応用例12,13)。 応用例10〜11,比較応用例11〜13の乳化組成物について、各乳化組成物を冷蔵保管し、直後および7日目の粒子径をレーザ回折式粒度分布測定装置「SALD2000A」(島津製作所)で測定した。まとめた結果を表5に示した。(表5)低シェア調製乳化物の保存後粒子径 以上の結果より、水溶性大豆多糖類Aは水溶性大豆多糖類Dと比較して、同じ回転数、同じ攪拌時間での乳化力が強く、高圧ホモゲナイザーを用いない低シェアの調製でも、20分間の攪拌時間で、7日間冷蔵保管して、1,000rpmでは4μm以下、500rpmでは7μm以下の粒子径を維持できた。また、アラビアガムは1,000rpmでは10μm付近、500rpmでは27μm付近の粒子径となり乳化力が弱く、攪拌だけの低シェアでは粒子径を小さく出来なかった。 水溶性大豆多糖類Aは、さらに60分間の攪拌時間で、7日間冷蔵保管しても1,000rpmでは4μm以下、500rpmでは6μm以下の粒子径を維持できた。また、アラビアガムは1,000rpmでは6μm付近になるものの、長い攪拌時間を要した。500rpmでは長い攪拌時間でも20μm付近にまでしかならず、乳化力が弱い。低シェアの攪拌だけでは粒子径を小さく出来なかった。(応用例E) −透明タイプシャンプーの調製− 水溶性大豆多糖類A,水溶性大豆多糖類Dまたは応用例Cで用いたアラビアガムを、表6に示す配合にて、攪拌・混合して水中油型乳化物を作製し、シャンプーを調製した(応用例13、比較応用例14,15)。(表6)シャンプー配合 水溶性大豆多糖類Aを配合した応用例13のシャンプーは、髪の滑らかさ、しっとり感の良さで著しく性能の向上が見られた。対して、比較応用例15の通常のアラビアガムを用いたシャンプーの場合、皮膚や毛髪に塗布した際にべたつき、皮膚や毛髪上で乾燥した際に突っ張り感や硬さを与えるなど感触面で満足できるものではなかった。比較応用例14の通常の水溶性大豆多糖類Dを用いたシャンプーでも、髪の滑らかさ、しっとり感の良さがあるものの、応用例13には及ばないものであった。(応用例F) −皮膚用化粧量の調製− 水溶性大豆多糖類Aの25部、ヒドロキシプロピルセルロース1部、水74部を攪拌・混合して得られる水中油型乳化物を水酸化ナトリウム水溶液でpH6に調整し、皮膚用化粧料を得た(応用例12)。 本発明の水溶性大豆多糖類を用いれば、通常のアラビアガムよりも少量の添加量で乳化粒子を安定化させることができる。また、アルコール系飲料中での耐性の高い乳化香料を調製することができる。さらに、また高圧ホモゲナイザーを用いることなく、蛍光塗料やトナーを予備乳化処理だけで粒子径を1〜3μmで安定でき、あるいはサラダなどに使用されるドレッシング類について、手で振ってからも暫く安定した粒子径を保持することができる。 また、本発明の製造方法によれば、既存の水溶性大豆多糖類をそのまま溶解し、産業上用いられる一般的なタンク内で容易に脱メチルエステル処理及び酢酸エステル化処理ができ、歩留まりも良いため、製造コストが抑えられ、製造工程の効率化を図る事ができる。ウロン酸に対するメチルエステル含量が30%以下であり、かつ水溶性大豆多糖類に対する酢酸エステル含量が、遊離酢酸換算で1重量%以上である、水溶性大豆多糖類。脱メチルエステル処理が行われた水溶性大豆多糖類に、酢酸エステル化処理を行う、請求項1記載の水溶性大豆多糖類の製造法。有効成分として請求項1記載の水溶性大豆多糖類を含有する乳化剤。請求項3記載の乳化剤を用いて、疎水性物質を親水性溶媒に分散安定化する事によって得られる水中油型乳化物。疎水性物質1重量部に対し、請求項3記載の乳化剤を0.3重量部以上7重量部以下使用する、請求項4記載の水中油型乳化物。請求項1記載の水溶性大豆多糖類の、乳化剤の調製のための使用。請求項1記載の水溶性大豆多糖類の、エマルジョンの調製のための使用。 【課題】少量添加で乳化粒子径が小さく、粒度分布が均一で、かつ加熱や長期保存、経時変化等により、乳化粒子同士が凝集したり、合一したりする事が抑制された水中油型乳化物を得る、所謂「乳化力」の改善された天然の高分子乳化剤を提供する事を目的とした。 【解決手段】ウロン酸に対するメチルエステル含量が30%以下であり、かつ水溶性大豆多糖類に対する酢酸エステル含量が、遊離酢酸換算で1重量%以上である、水溶性大豆多糖類を用いる。該水溶性大豆多糖類は、脱メチルエステル処理が行われた後に、酢酸エステル化処理を行うことにより製造することができる。【選択図】なし


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