タイトル: | 特許公報(B2)_シラン化合物及びそれを用いた単分子層又は多分子層形成用組成物 |
出願番号: | 2013500938 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | C07F 7/18,C07C 381/12,G03F 7/11 |
岸岡 高広 佐久間 大輔 JP 5835593 特許公報(B2) 20151113 2013500938 20120207 シラン化合物及びそれを用いた単分子層又は多分子層形成用組成物 日産化学工業株式会社 000003986 萼 経夫 100068618 宮崎 嘉夫 100104145 加藤 勉 100104385 伴 知篤 100163360 岸岡 高広 佐久間 大輔 JP 2011038626 20110224 20151224 C07F 7/18 20060101AFI20151203BHJP C07C 381/12 20060101ALI20151203BHJP G03F 7/11 20060101ALI20151203BHJP JPC07F7/18 QC07F7/18 TC07C381/12G03F7/11 503G03F7/11 502 C07F 7/18 C07C 381/12 G03F 7/11 CAplus/REGISTRY(STN) 特開2007−031351(JP,A) 国際公開第2009/104748(WO,A1) 国際公開第2006/013886(WO,A1) 8 JP2012052713 20120207 WO2012114864 20120830 12 20141015 天野 皓己 本発明は、基板表面に塗布して、単分子層又は多分子層をレジスト下層に形成するための組成物に関する。特に、段差(凹凸)表面上に単分子層又は多分子層を形成するための組成物に関する。 電界効果トランジスタ等の半導体素子の製造におけるイオン注入工程は、フォトレジストパターンをマスクとして、半導体基板に、n型又はp型の導電型を付与する不純物イオンを導入する工程が採用される場合がある。多くの場合、その半導体基板は、多結晶シリコン、アルミニウム、窒化チタン等の半導体材料又はメタル材料を用いてゲート電極及びゲート配線が形成されることにより、段差又は凹凸表面を有する。その段差(凹凸)表面上にフォトレジストパターンを形成する工程において、フォトレジスト膜が部分的に厚く形成されることにより、均一な膜厚に形成することが困難である。そのため、上記フォトレジスト膜に対する露光、現像、及びリンスを経ても、厚く形成された部分は完全には除去されず残りやすい。その結果、レジストパターンのボトム形状が裾引き形状になりやすく、残渣が発生することが問題になる。 一方、半導体基板の代表例であるシリコンウェハーの表面をHMDS(ヘキサメチレンジシラザン)で処理し、当該表面を疎水性(撥水性)にする方法が従来から知られている。シリコンウェハー表面は、自然酸化膜が形成されていると親水性を示す。その親水性の表面に、フォトレジスト溶液を塗布し、プリベークして形成されるフォトレジスト膜は、シリコンウェハーとの密着性が悪いからである。 基板表面の疎水性及び親水性は、水の接触角によって評価することができる。特許文献1には、光照射の前後で接触角を大きく変化させ、光照射前は撥液性能を有し、光照射された際に撥液性能を有する基の解離により親水性能を有する置換基が生じる、光分解性カップリング剤が記載されている。特許文献2には、パターン形成工程を簡潔且つ高信頼性とするために、光照射によって選択的に表面物性を変換することのできる有機薄膜を形成する化合物が記載されている。特開2008−050321号公報特開2006−070026号公報 本発明は、たとえ段差を有する基板表面上であっても、ボトム形状が裾引き形状、又は隣接するパターンが底部で繋がった形状にならない所望のフォトレジストパターンを形成することができる、当該フォトレジストパターンを形成する基板の表面処理に使用し、当該基板上に単分子層又は多分子層を形成するための、新規な組成物を提供するものである。さらに本発明は当該組成物に用いられる新規なシラン化合物を提供するものである。 本発明に係る組成物を用いて基板上に単分子層又は多分子層を形成し、その上にフォトレジストパターンを形成することで、該フォトレジストパターンのボトム形状を調整できることを見出した。すなわち、本発明の第1態様は、下記式(1A)又は下記式(1B):[式中、R1はそれぞれ独立にメチル基又はエチル基を表し、Xはそれぞれ独立に炭素原子数1乃至10の連結基を表し、Zは置換基を少なくとも1つ有してもよい、フタル酸イミド基、マレイミド基又はコハク酸イミド基を表し、Arはそれぞれ独立にフェニル基又はナフチル基を表し、前記Xで表される連結基は少なくとも1つの酸素原子又は硫黄原子を主鎖に含んでいてもよく、前記Arがフェニル基を表す場合、該フェニル基は置換基を少なくとも1つ有してもよい。]で表されるシラン化合物である。 前記フタル酸イミド基は下記式(2)で表され、前記マレイミド基は下記式(3)で表され、前記コハク酸イミド基は下記式(4)で表される。 前記式(2)、式(3)又は式(4)で表される基の窒素原子が、前記式(1A)の酸素原子と結合する。 前記フェニル基が置換基を有する場合、該置換基として例えばメチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ヒドロキシ基、メトキシ基、フルオロ基、クロロ基が挙げられる。前記フェニル基に対するこれら置換基の置換位置は特に制限されず、前記置換基を2つ以上又は2種以上有してもよい。前記フタル酸イミド基、前記マレイミド基、前記コハク酸イミド基が置換基を有する場合も、該置換基として上記例から選択することができる。 本発明の第2態様は、上記シラン化合物及び有機溶剤を含む、単分子層又は多分子層形成用組成物である。 上記単分子層又は多分子層形成用組成物はさらに下記式(5):[式中、R2はそれぞれ独立にメチル基又はエチル基を表し、Yは置換基を少なくとも1つ有してもよい炭素原子数1乃至5のアルキル基又はフェニル基を表す。]で表されるシラン化合物を含むことができる。 前記炭素原子数1乃至5のアルキル基が置換基を有する場合、該置換基として例えばアミノ基、イミダゾリル基、ピリジル基、メルカプト基、スルホ基が挙げられる。ここで、アミノ基“−NH2”はその水素原子の少なくとも1つがアルキル基、例えばメチル基で置換されていてもよい。前記フェニル基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えばメチル基が挙げられる。 本発明の第3態様は、本発明の第2態様に係る組成物を用いて半導体基板上に単分子層又は多分子層を形成する工程、前記単分子層又は多分子層上にフォトレジスト膜を形成する工程、前記単分子層又は多分子層と前記フォトレジスト膜で被覆された半導体基板を露光する工程、及び前記露光後に前記フォトレジスト膜を現像する工程を含む、フォトレジストパターンの形成方法である。 上記半導体基板として、表面に段差が形成されている基板を使用することができる。当該段差は、例えば半導体素子のゲート電極及びゲート配線に起因する。 本発明に係る組成物は、基板の表面、特に段差が形成されている基板の表面に単分子層又は多分子層を形成することができる。この単分子層又は多分子層は、その上に形成されるフォトレジストパターンのボトム形状を調整することができ、例えば裾引き形状とならないようにすることができ、かつ隣接するパターンが底部で繋がった形状とならないようにすることができる。図1は、比較例として形成したフォトレジストパターンの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した画像を撮影した写真である。 本発明に係る組成物は、前述の式(1A)又は式(1B)で表されるシラン化合物を含む。シラン化合物がこれらの式で表される構造を有することで、露光により酸が発生するため、上層のレジスト膜へ酸を拡散させ、形成されるレジストパターンのボトム形状を変化させることができる。式(1A)又は式(1B)において、Xで表される炭素原子数1乃至10の連結基として、例えばアルキレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基が挙げられる。該連結基が炭素原子数3以上のアルキレン基である場合、その主鎖は分岐状であってもよい。 本発明に係る組成物は、式(1A)又は式(1B)で表されるシラン化合物に加えて、式(5)で表されるシラン化合物を含むことによって、基板上に形成される単分子層又は多分子層表面の疎水性を制御することができる。式(5)で表されるシラン化合物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。式(1A)又は式(1B)で表されるシラン化合物と式(5)で表されるシラン化合物との総和に対して、式(5)で表されるシラン化合物の割合は、例えば1質量%乃至99質量%、好ましくは5質量%乃至95質量%である。 本発明に係る組成物は、上記シラン化合物以外に水及び有機酸を含有することができる。水及び有機酸を含むことにより、本発明に係る組成物の保存安定性を高めると共に、当該組成物を基板上に塗布し、ベークして単分子層又は多分子層を形成する際にシラン化合物の縮合反応を促進させることができる。有機酸としては、例えば酢酸、マレイン酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸のようなカルボン酸が挙げられる。 本発明に係る組成物は界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)(旧(株)ジェムコ)製)、メガファック(登録商標)F171、同F173、同R30(DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード(登録商標)AG710、サーフロン(登録商標)S−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)を挙げることができる。これらの界面活性剤の配合量は、本発明に係る組成物の全成分中、通常0.2質量%以下、好ましくは0.1質量%以下である。これらの界面活性剤から選択された1種類を添加してもよいし、2種以上の組合せで添加することもできる。 本発明に係る組成物は、上記の各成分を適当な有機溶剤に溶解させることによって調製でき、均一な溶液状態で用いられる。そのような有機溶剤として、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンが挙げられる。これらの有機溶剤は単独又は2種以上の組合せで使用することができる。 本発明に係る組成物から有機溶剤を除いた(水及び有機酸を含む場合はこれらも除いた)固形分の割合は、例えば0.001質量%乃至10質量%、好ましくは0.1質量%乃至5質量%である。 以下、本発明に係る組成物の使用について説明する。半導体基板(例えば、ゲート電極が形成されているシリコンウェハー、該シリコンウェハーは酸化珪素膜、窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜で被覆されていてもよい。)の上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明に係る組成物を塗布し、その後、ホットプレート等の加熱手段を用いてベークする。ベーク条件としては、ベーク温度80℃乃至180℃、ベーク時間0.3分乃至10分間の中から適宜選択される。半導体基板にかえて、窒化珪素基板、石英基板、ガラス基板(無アルカリガラス、低アルカリガラス、結晶化ガラスを含む)、ITO膜が形成されたガラス基板を用いてもよい。 その後、半導体基板上に残留する過剰なシラン化合物を溶剤で除去し、乾燥させることによって、単分子層又は多分子層が形成される。ここで、本発明に係る組成物を用いて形成される層は極めて薄く、その厚さを測定することは困難である。さらに当該層が単分子層、多分子層のいずれであるか特定することも困難である。 上記過程を経て半導体基板上に形成された単分子層又は多分子層の上に、フォトレジスト膜を形成する。フォトレジスト膜の形成は一般的な方法、すなわち、フォトレジスト溶液の塗布及びベークによって行なうことができる。 フォトレジスト溶液としては、露光光に感光するものであれば特に限定はない。ノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとからなるポジ型フォトレジスト、水酸基を含むポリマー、アミノプラスト架橋剤、光酸発生剤からなる系で酸によって架橋してアルカリ溶解速度を下げるネガ型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物とアルカリ可溶性バインダーと光酸発生剤とからなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジストなどがある。電子線又はEUV(極端紫外線)に感応するレジストを用いてもよい。 フォトレジストパターンを形成する際、露光は所定のパターンを形成するためのフォトマスク(レチクル)を通して行なわれる。露光には、例えば、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV、電子線を使用することができる。露光後、必要に応じて露光後加熱(Post Exposure Bake)が行なわれる。露光後加熱の条件としては、加熱温度80℃乃至150℃、加熱時間0.3分乃至60分間の中から適宜選択される。フォトレジスト膜が形成された半導体基板に、フォトマスクを通して露光を行い、その後アルカリ性現像液により現像する。 アルカリ性現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリンなどの水酸化四級アンモニウムの水溶液、エタノールアミン、プロピルアミン、エチレンジアミンなどのアミン水溶液等のアルカリ性水溶液を例として挙げることができる。さらに、これらの現像液に界面活性剤などを加えることもできる。 現像の条件としては、現像温度5℃乃至50℃、現像時間10秒乃至300秒から適宜選択される。本発明のレジスト下層膜形成組成物から形成されるレジスト下層膜は、フォトレジストの現像に汎用されている2.38質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、室温で容易に現像を行なうことができる。 以下、本発明に係る組成物の具体例を説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。(合成例1) マグネチックスターラーを備えた1000mL四口フラスコに、N−ヒドロキシフタルイミド15.77g及びテトラヒドロフラン(THF)450gを仕込み、氷浴下、2−クロロエタンスルホニルクロリド17.33gを加えた。次に、トリエチルアミン(Et3N)21.52gをテトラヒドロフラン20gで希釈した溶液を、30分かけて滴下した。この間、内温を4〜7℃に保った。その後、5〜10℃にて2時間攪拌した。反応終了後、反応液中に析出した塩をろ過し、ろ液を酢酸エチル1000mLで希釈した。ろ液を純水200gで2回洗浄後、濃縮乾燥し、化合物1の粗物26.14gを得た。この粗物に1,2−ジクロロエタン(DCE)60gを加え、30℃で溶解させた後、氷冷下、析出した結晶をろ過乾燥し、化合物1を13.29g得た(収率54%)。(合成例2) マグネチックスターラーを備えた200mL四口フラスコに、上記合成例1で得た化合物1 7.00g、メルカプトプロピルトリエトキシシラン6.26g及び1,2−ジクロロエタン56gを仕込み、氷浴下、ピリジン0.55gを1,2−ジクロロエタン14gで希釈した溶液を、2時間かけて滴下した。その後、室温にて一晩攪拌した。反応終了後、反応液を濃縮乾燥し、化合物2の粗物を12.23g得た。この粗物をシリカゲルカラムにて精製し(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/1)、化合物2を5.63g得た(収率44%)。(合成例3) マグネチックスターラーを備えた500mL四口フラスコに、トリエチルアミン23.04g及びエタノール(EtOH)135gを仕込み、攪拌した。次に、氷浴下、2−クロロエタンスルホニルクロリド16.87gを1,2−ジクロロエタン51gで希釈した溶液を滴下し、15℃にて1時間攪拌した。反応終了後、反応液を酢酸エチル300mLで希釈し、有機相を純水100gで2回、飽和食塩水100gで1回洗浄した。前記有機相を濃縮乾燥し、化合物3を12.50g得た(収率89%)。(合成例4) マグネチックスターラーを備えた200mL四口フラスコに、上記合成例3で得た化合物3 12.50g及びジクロロメタン50gを仕込み、氷浴下、トリエチルアミン18.58gをジクロロメタン(DCM)10gで希釈した溶液を加えた。次に、メルカプトプロピルトリエトキシシラン20.79gをジクロロメタン40gで希釈した溶液を滴下した。その後、室温にて一晩攪拌した。反応終了後、反応液を濃縮乾燥し、化合物4を41.07g得た(収率99%)。(合成例5) マグネチックスターラーを備えた500mL四口フラスコに、上記合成例4で得た化合物4 10.76g、トリフェニルスルホニウムブロミド6.47g、純水160g及びクロロホルム160gを仕込み、室温にて2時間攪拌した。反応終了後、クロロホルム相を抜き取り、硫酸ナトリウムで乾燥した。その硫酸ナトリウムをろ過後、ろ液を濃縮乾燥し、化合物5を9.87g得た(収率86%)。(実施例1) 下記表1に示す、シラン化合物、水、酢酸及びPGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)を用い、溶液を作製した。その後、孔径0.03μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、単分子層又は多分子層形成用組成物を調製した。表1において、“PhTMS”はフェニルトリメトキシシラン(東京化成工業(株)製)を表し、“ImTES”はN−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール(Gelest社製)を表す。〔パターニング試験〕 実施例1で調製した組成物を、シリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上において100℃で1分間ベークした。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル70質量%及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30質量%からなるOK73シンナー(東京応化工業(株)製)にて、1分間浸漬させ、スピンドライ後、100℃で30秒間乾燥させ、シリコンウェハー上に単分子層又は多分子層を形成した。この層の上に、市販のフォトレジスト溶液(JSR(株)製、商品名:V146G)をスピナーにより回転数1050rpmで塗布し、ホットプレート上で110℃にて1分間加熱してフォトレジスト膜(膜厚0.360μm)を形成した。次いで、(株)ニコン製NSR−S205C、KrFスキャナー(波長248nm、NA:0.75、ANNULAR)を用い、現像後にフォトレジストパターンのライン幅及びそのライン間の幅が0.16μmになるよう設定されたマスクを通して、露光を行った。その後、ホットプレート上110℃で1分間露光後加熱を行なった。冷却後、現像液として0.26規定の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて現像した。 現像後、得られたフォトレジストパターンの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。その結果、フォトレジストパターンのボトム形状が裾引き形状にならず、隣接するパターンの底部が繋がった形状にもならないことが観察された。 一方、比較例として、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)によってシリコンウェハーの表面を処理し、当該表面上に、上記と同様の方法により、フォトレジスト膜(膜厚0.360μm)を形成した後フォトレジストパターンを形成した。その結果を図1に示す。比較例の場合、得られたフォトレジストパターンの形状は、隣接するパターンの底部が繋がった形状を有していることが観察された。すなわち、本発明に係る組成物を用いてシリコンウェハー上に単分子層又は多分子層を形成することによって、この層の上に形成されるフォトレジストパターンのボトム形状を変化させることができた。実施例1で調製した組成物に含まれる化合物5が、光酸発生剤としてはたらき、露光により発生した酸がフォトレジスト膜へ移行したため、フォトレジストパターンのボトム形状が変化したと考えられる。下記式(1A)又は下記式(1B):[式中、R1はそれぞれ独立にメチル基又はエチル基を表し、Xはそれぞれ独立に炭素原子数1乃至10の連結基を表し、Zは置換基を少なくとも1つ有してもよい、フタル酸イミド基、マレイミド基又はコハク酸イミド基を表し、Arはそれぞれ独立にフェニル基又はナフチル基を表し、前記Xで表される連結基は少なくとも1つの硫黄原子を主鎖に含むアルキレン基であり、該硫黄原子とスルホニル基との間のアルキレン基の炭素原子数は少なくとも2であり、前記Arがフェニル基を表す場合、該フェニル基は置換基を少なくとも1つ有してもよい。]で表されるシラン化合物。 前記硫黄原子とシリル基との間のアルキレン基の炭素原子数が3である請求項1に記載のシラン化合物。前記Xで表される連結基は下記式:で表される請求項1又は請求項2に記載のシラン化合物。請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のシラン化合物及び有機溶剤を含む、単分子層又は多分子層形成用組成物。さらに水及び有機酸を含む請求項4に記載の単分子層又は多分子層形成用組成物。さらに下記式(5):[式中、R2はそれぞれ独立にメチル基又はエチル基を表し、Yは置換基を少なくとも1つ有してもよい炭素原子数1乃至5のアルキル基又はフェニル基を表す。]で表されるシラン化合物を含む請求項4又は請求項5に記載の単分子層又は多分子層形成用組成物。請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の組成物を用いて半導体基板上に単分子層又は多分子層を形成する工程、前記単分子層又は多分子層上にフォトレジスト膜を形成する工程、前記単分子層又は多分子層と前記フォトレジスト膜で被覆された半導体基板を露光する工程、及び前記露光後に前記フォトレジスト膜を現像する工程を含む、フォトレジストパターンの形成方法。前記半導体基板は表面に段差が形成されている、請求項7に記載のフォトレジストパターンの形成方法。