タイトル: | 特許公報(B2)_吸収性物品の体液吸収形態の表示・解析方法 |
出願番号: | 2013272253 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | G01N 23/04,A61F 13/15 |
中山 敏 陶山 淑子 藤井 香織 岸本 淳一 酒匂 敏雄 大島 彩 JP 5822908 特許公報(B2) 20151016 2013272253 20131227 吸収性物品の体液吸収形態の表示・解析方法 国立大学法人鳥取大学 504150461 大王製紙株式会社 390029148 永井 義久 100082647 中山 敏 陶山 淑子 藤井 香織 岸本 淳一 酒匂 敏雄 大島 彩 20151125 G01N 23/04 20060101AFI20151105BHJP A61F 13/15 20060101ALI20151105BHJP JPG01N23/04 320A41B13/02 Z G01N 23/00−23/227 A61B 6/00− 6/14 A41B 13/00−13/10 A61F 13/00−13/84 JSTPlus(JDreamIII) 米国特許出願公開第2012/0321040(US,A1) 特開2011−212043(JP,A) 再公表特許第2010/074031(JP,A1) 6 2015133999 20150727 16 20140623 比嘉 翔一 本発明は、吸収性物品の体液吸収形態の表示・解析方法に関する。 吸収性物品、たとえば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、吸収パッドなどにおける、たとえば尿や経血などの体液の排液が、当該吸収性物品において、どのように吸収されるのかを知ることは、当該吸収性物品の開発や改良を行ううえできわめて重要である。 このために、実際に使用に供され、排液がなされた吸収性物品を収集して、排液の吸収及び拡散状態を目視観察することにより、吸収性物品の体液吸収形態の解析する方法がある。 しかし、これでは吸収性物品の供試及び回収に多大な手間及び時間がかかるばかりでなく、開発へのフィードバックが円滑でない。 かかる現状を知るための解析体制では、標準的な排液の結果を得られるものの、極端な排液は望めないので、そのことをも想定した開発へのフィードバックはできない。 また、排液量の変化による排液の吸収及び拡散状態への影響評価をできない。 さらに、排液時の姿勢の変化による排液の吸収及び拡散状態への影響評価を行うこともできない。 しかも、排液の経時変化による漏れ状況の把握も実際的にできない。 そこで、吸収性物品を装着する人体型ダミー人形に体液供給手段を付加した、排液人形ダミーを使用した吸収性物品の体液吸収形態の解析する方法がある。 これは、人体の胴体から上肢までの形状を模した、たとえばシリコンゴムなどの柔軟材からなる排液ダミー(さらには、胴体と上肢との角度が可変な排液ダミー人形、胴体に対して脚が前後に歩くように交互に振れるものなど体位を変形可能なダミー人形なども含む)を使用して、たとえば人工尿や人工経血を、排液ダミー人形中の排液径路に注入し、最終的に、人間の排出局部から吸収性物品への排液を行なわせた吸収結果を、吸収性物品の体液吸収形態として解析するものである。 かかるダミー人形については、種々のものが知られている(特許文献1を例示する)。特許第5058526号公報 しかし、従来の吸収性物品の体液吸収形態の解析は、排液が完了した後に、排液ダミーから当該吸収性物品を外し、その使用面側を展開した状態で、排液の状況を評価するのが主流である。 したがって、基本的に排液の経時的な吸収・拡散状況を知ることはできず、漏れについても、不正確にならざるを得ない。後者の漏れに関し、漏れの開始時点は到底把握することができず、製品の外部に、実際に排液が漏出した時点で始めて漏れの有無を知ることができるだけである。 また、排液の注入量と経時的な吸収・拡散状況との関係も把握することができない。 そこで、本発明の主たる課題は、排液の経時的な吸収・拡散状況を知ることができる吸収性物品の体液吸収形態の表示・解析方法を提供することにある。 上記課題を解決した本発明は、次記のとおりである。 予め、本発明の「表示・解析」の意義を明らかにしておく。すなわち、本発明の「表示・解析」とは、(1)吸収性物品の体液吸収形態を表示手段に表示する形態、(2)吸収性物品の体液吸収形態を、表示手段に表示しないが、最終判断者としての人間が知覚できるようにする形態、たとえば体液吸収形態そのものではなく、その形態の解析または評価などの結果を出力する形態、(3)吸収性物品の体液吸収形態を、表示手段に表示するとともに、その形態の解析または評価などの結果を、最終判断者としての人間が知覚できるようにする、ことなどを含む意味である。 また、「体液」とは、人体から排出される尿及び経血を含み、実際のもののほか人工尿及び人工経血を含む意味である。さらに、この人工体液には、画像の改善にために現像剤を添加したものも含む。生理食塩水などに現像剤を添加したものも含む。「排液」とは、これらの体液のうち特に、ダミー人形から排泄された又は流出した液を言う。 <請求項1記載の発明> 体液供給手段を備えた人体型ダミー人形に吸収性物品を装着した状態で、X線CT装置を用いて前記ダミー人形から排液させた後の吸収性物品を撮影し、撮影した画像に基づいて、前記ダミー人形に装着した状態における排液後の吸収性物品への排液の吸収・拡散状況の経時的な変化の表示・解析方法において、 前記体液供給手段から供給される人工尿は、人体を模した前記ダミー人形に形成された通路を通り、前記ダミー人形の局部から流出され、 前記ダミー人形のCT値を、−60HU〜−45HUに選定し、 前記吸収性物品のCT値を、−920HU〜−920HUに選定し、 前記人工尿のCT値を、5HU〜40HUに選定し、 前記ダミー人形を、前記X線CT装置の撮影位置に向かって前進する寝台上に、仰向け状態、坐位状態、及び横向き状態から選ばれる一つの体位にして設置し、 前記寝台が前記撮影位置に進入れした後に、前記X線CT装置のX線源と検出器を、前記ダミー人形の周囲に回転させると共に、前記体液供給手段を駆動して前記ダミー人形に人工尿を注入し、 前記X線CT装置によって前記吸収性物品における人工尿の吸収と拡散の全過程を測定し、 前記X線CT装置のウインドウ機能を用いて、前記吸収性物品と前記人工尿のみを表示させることを特徴とする吸収性物品の体液吸収形態の表示・解析方法。 <作用効果> 吸収性物品における排液(尿や経血など)の経時的な排液の吸収・拡散状況を知るために、X線CT装置を用いる。さらに、体液供給手段を備えた人体型ダミー人形を使用する。そして、ダミー人形に吸収性物品を装着した状態で、X線CT装置を用いてダミー人形から排液させた後の(もちろん、排液前から撮影を開始しておくことは可能であり、この形態も当然に含まれる。)吸収性物品を撮影する。 その結果、排液後の吸収性物品への排液の吸収形態、及び、その吸収形態の経時的な変化、すなわち吸収性物品における排液の「吸収動態」を知ることができる。 そこで、撮影した画像をそのまま表示するほか、撮影した画像を再構成して観察・解析者が解り易く3次元化又は動画化(アニメーション化)する、白黒画像ではなく色彩化する、注目部分のみを抽出する(区別すべき他の部分を可能な限り削除する)、注目部分を彩色する、3次元画像の視点の変換を行ったものを表示手段、たとえばモニター画面、記録装置の再生画面により表示することができる。 さらに、一旦情報(生データ情報又は再構成化した情報)を記録装置に記録し、後に表示又は解析する、情報を処理し、たとえば強調した情報とするなどの各種の解析処理をするなどの解析操作を含んでいてもよい。また、本発明の解析は、観察者が行うものと、情報処理機器が行うものとの両者が含まれる。 かかる本発明によれば、基本的に排液の経時的な吸収・拡散状況を知ることができる。漏れについても、漏れの開始部位や時点を把握することができる。 さらに、従来の吸収性物品の体液(排液)の吸収形態の解析は、排液が完了した後に、排液ダミー人形から当該吸収性物品を外し、その使用面側を展開した状態で、排液の状況を評価するのが主流であったが、本発明によれば、吸収性物品を展開することなく、装着状態での吸収・拡散形態を知ることができ、きわめて適確な判断に資する。 また、X線CT装置での撮像が、吸収性物品を装着した人体ではなくダミー人形であるから、X線被爆の問題が生じ難い。しかも、種々の体位を取らせたうえでの撮像が可能であり、入手可能な情報量として膨大なものとなる。 何がともあれ、排液の吸収・拡散状況の経時的な変化を捉えることができるようになることは嚆矢と考えられ、吸収性物品の品質改良や開発を飛躍的に発展させる足場になるものと思われる。 ダミー人形は、その体液供給手段が、試供液を人体型ダミー人形の内部を通し、人体を模した局部から流出させるようにしてあると、人体により実際の排液との相関性が高く、適確な排液の吸収・拡散状況を把握できる。 おむつは、ポリエチレン、不織布、綿状パルプ、クレープ紙などを主材料とする。おむつのCT値は−940HU〜−920HU程度である。 他方、ダミー人形は柔軟性や成形性などの観点から、材質としてシリコンゴム、ウレタンなどが使用され、そのCT値は−60HU〜−45HU(平均−52HU)程度である。人工尿のCT値は5HU〜40HU(平均20HU)程度である。 空気のCT値は−1000HUであり、おむつのCT値と近いため、おむつを描画することがきわめて難しい。 しかるに、本発明者らは、撮像情報の情報処理、またさらに画像処理を行うことにより、おむつを描画するが可能であることを知見し、そのおむつに対する排液(人工尿)については、CT値が相違するので、排液(人工尿)の吸収・拡散状況を顕著化した表示を行うことができることを知見した。 <請求項2記載の発明> X線CT装置が、ヘリカルスキャン撮影手段及びX線の多列検出器を有する請求項1記載の吸収性物品の体液吸収形態の表示・解析方法。 <作用効果> X線CT装置が、ヘリカルスキャン撮影手段及びX線の多列検出器を有するものであると、細かい情報を得ることができ、画像処理において3次元化が容易に行うことができ、注目部位の表示も精緻化できる。 <請求項3記載の発明> 撮影したCT画像を3次元画像として再構成する再構成画像処理を行ない、その処理後の画像を表示手段に表示する請求項1記載の吸収性物品の体液吸収形態の表示・解析方法。 <作用効果> 撮影したCT画像を3次元画像として再構成する再構成画像処理を行ない、その処理後の画像を表示手段に表示すると、知覚が容易であり、判断及び解析が正確なものとなる。 <請求項4記載の発明> 排液状態を経過的に撮影したCT画像を3次元画像として再構成する再構成画像処理を行ない、その処理後の経時的な変化画像を動画として表示手段に表示する請求項1記載の吸収性物品の体液吸収形態の表示・解析方法。 <作用効果> 3次元画像として再構成する再構成画像処理を行ない、その経時的な変化画像を動画として表示手段に表示すれば、より一層、排液の吸収・拡散状況の経時的変化を明確に把握できる。 <請求項5記載の発明> 体液供給手段を備えた人体型ダミー人形の体位を変更して、体位の変更に伴う尿の吸収形態変化を表示・解析する請求項1記載の吸収性物品の体液吸収形態の表示・解析方法。 <作用効果> 従来、体位の変更に伴う尿の吸収形態変化を知ることができた限界は、特定の姿勢であると、より漏れやすいと判断する程度のものであるのに対し、本発明にしたがって、人体型ダミー人形の体位を変更して、表示・解析することは、人体型ダミー人形の体位の変更が容易であるから、多くの体位の下で、尿の吸収形態変化を知ることができるようになることを意味しており、解析を適確に行うことができるようになる。 <請求項6記載の発明> 既知のダミー人形の形状とこれに装着した状態における既知の吸収性物品の形状との関係を予め知っておき、前記撮影した画像におけるダミー人形に、当該撮像に供した吸収性物品の形状を当て嵌め、その吸収性物品と撮像した排液との関係を把握し、前記吸収性物品への排液の吸収・拡散状況の経時的変化を把握する請求項1記載の体液吸収形態の表示・解析方法。 <作用効果> 前述のように、空気のCT値は−1000HUであり、おむつあるいは同種の材料を使用する生理用ナプキンのCT値と近いため、おむつあるいは生理用ナプキンを描画することがきわめて難しい。しかるに、本発明者らは、撮像情報の情報処理、またさらに画像処理を行うことにより、おむつを描画するが可能であることを知見したのである。 しかし、これには、多大な手間を要する。そこで、簡易的な方策をも探求したところ、近年のCAD技術を応用すればよいことに知見を得た。 すなわち、既知のダミー人形の形状とこれに装着した状態における既知の吸収性物品の形状との関係(関係1)は、写真撮影などを経て容易に3次元(CAD)情報として予め知っておくことができる。しかるに、撮影した画像におけるダミー人形に、関係1に基づき、当該撮像に供した吸収性物品の形状を当て嵌め、その吸収性物品と撮像した排液との関係(関係2)を把握し、当該吸収性物品における排液の形状などを、画像上またはCAD画面上で把握することにより、体液の吸収形態を把握することができるのである。 本発明によれば、排液の経時的な吸収・拡散状況を知ることができる吸収性物品の体液吸収形態の表示・解析を行うことができる。本発明を実施するための装置構成概要説明図である。体位を異ならせ坐位状態のダミー人形例の斜視図である。体位を異ならせ横向き状態のダミー人形例の斜視図である。既存品における排液の吸収・拡散状況の3次元表示結果図である。改良品における排液の吸収・拡散状況の3次元表示結果図である。既存品における排液の吸収・拡散状況の視点を変えた3次元表示結果図である。改良品における排液の吸収・拡散状況の視点を変えた3次元表示結果図である。 以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら詳説する。 X線CT(Computed Tomography)装置1は、X線源と検出器との間に被検体を介在させ、介在させた被検体によるX線の減弱を原因とする信号を画像化するものである。 図示例のX線CT装置1内には、X線源及び検出器を内蔵している(図示せず)。そして、検知対象の被検体周囲をX線源と検出器が回転し、被検体はX線を全方位から受け、照射されたX線は検査対象を通過し、対象に一部吸収されて減衰した後、線源の反対側に位置するX線検出器に到達し、そのデータが記録される。それぞれの方向でどの程度吸収されたかを記録したのち、コンピュータで画像をフーリエ変換で再構成する。 再構成に際しては、1断面を格子状に分割し、各部位の吸収率を未知数とし、その合計が実際の吸収量と等しくなるように連立方程式を立て、これを解くのである。 X線CT装置1には、X線源と検出器の回転駆動手段10が設けられ、その起動情報11が与えられ、駆動タイミングなどの駆動情報12が後述する画像処理系に与えられる。 寝台1Aには、体液供給手段を備えた人体型ダミー人形20に吸収性物品2を装着させた状態の被検体が設置される。図示例では、ダミー人形20に使い捨ておむつを装着させ、これを仰向け状態で設置して形態を図示してある。 ダミー人形20は体液供給手段を備えている。体液供給手段は、人工尿21の貯留器22からの試供液としての人工尿を、ポンプ23により、ダミー人形20に形成された通路内を通し、人体を模した局部(排尿口;図示せず)から流出させるようにしてものである。排液の供給・注入量及び供給タイミング、累積供給量などの情報は、後述する解析手段34などにおける基礎情報として与えられる。24は流量調整弁である。 本発明の好適なX線CT装置1は、ヘリカルスキャン型で、X線の多列検出器を有するものである。 ヘリカルスキャンとしては、シングルヘリカルスキャン撮影手段でもよいが、マルチヘリカルスキャン型のものが好ましい。 かかるX線CT装置1のX線源及び検出器からの撮影信号情報は、検知したい目的や解析項目に応じて、適宜処理され、解析される。 この例を説明すると以下のとおりである。 たとえば、信号処理手段30により、投影による検出器からの生データ(デジタルデータ)を、デジタル信号に変換し、画像の再構成を行う。この画像の再構成に際しては、たとえば畳込み逆投影法(convolution backprojection:CBP法)を用いることができる。このCBP法は、コンボリューション(畳込み)とバックプロジェクション(逆投影)を行うものである。 生データにより、コンボリューション(畳込み)する「画像再構成関数」を変化させることにより、種々の空間分解能、コントラスト分解能を有する画像を作成することができる。ヘリカルスキャンでの生データがあれば画像再構成間隔を変化させて作り直すこともできる。 画像再構成法として、「逐次近似法」は有効であり、特にGE社のASiR法(逐次近似法を応用したもので、空間分解能を劣化させることなく、統計的なノイズパターンを逐次再計算することによりノイズ成分を削減する方法。「Veo(ヴェオ)」法。)もきわめて有効である。 焦点サイズ、検出器セルサイズ、再構成画像素子サイズ、及びそれらを通過するX線束などのCT装置そのものが持つX線の幾何学的情報、更にはX線光子のゆらぎも考慮した逐次近似再構成法である。すなわち、従来のCTでは除外されていた患者の位置やX線焦点の大きさ、X線検出器のセルサイズ、画像ボクセルサイズ、そしてそれらをつなぐX線の幾何学的陰影など、撮影時に発生する物理現象を数学的にモデル化し、逐次近似再構成の演算プロセスに組み込み、さらに様々なノイズモデルを加味して精緻に再構成するものである。 ところで、CT特有の単位としてCT値がある、CT値は下式で表わされ、物体のX線吸収の程度を示す、CT装置としては水をスキャンした場合の吸収係数を0と決める。 CT値=(μt−μw)/μw×1000・・・(1)ここでμtは当該物体のX線吸収係数、μwは水のX線吸収係数である。空気のCT値は−1、000である、 CT装置ではX線量(管電圧、管電流、スキャン時間)を変化させたとしてもCT値は変化しない。 ダミー人形は柔軟性や成形性などの観点から、材質としてシリコンゴム、ウレタンなどが使用され、そのCT値は−60HU〜−45HU(平均−52HU)程度である。人工尿のCT値は5HU〜40HU(平均20HU)程度である。おむつのCT値は−940HU〜−920HU程度であり、−1000HUである空気のCT値と近似している。その結果、おむつを描画することがきわめて難しい。 そこで、表示手段32における画像表示の際に「ウィンド機能」(CT画像の持つCT値の情報を部分的に輝度表示するための機能)を利用するのが好ましく、画像の濃度、コントラストを調節する。すなわち、目的のCT値の範囲のみを選択し、その幅を256階調で表示することにより、微小なCT値差を十分なコントラストをもって表現するものである。 「ウィンド機能」におけるウィンド幅(window width)は選択されるCT値の範囲、ウィンド値(window level)は選択されるCT値範囲の中央値であり、これらを適切に選択する。 ウィンド幅、ウィンド値を変化させることにより表示されるCT画像は変化するが、一般的に、ウィンド値を操作することによりCT画像の濃淡が変化する。ウィンド値を上げることにより画像濃度は黒くなり、ウィンド値を下げることにより画像濃度は白くなる。ウィンド幅を広くすることにより画像の視覚的なノイズは低下する。しかし、微小なCT値差を十分なコントラストで表現できなくなる。逆に、ウィンド幅を狭くすることにより画像の視覚的なノイズは増加する、しかし、微小なCT値差を十分なコントラストで表現できるようになる。 再構成した画像データは、画像処理手段31において、3次元表示技術によって3次元表示するのが望ましい。この3次元表示技術としては、サーフェイスレンダリング法、ボリュームレンダリング法のほか、多断面変換表示法(MPR:multi planar reconstruction)や最大値投影表示法(MIP:maximum intensity projection)なども使用できる。 この3次元表示データは、さらに、動画(アニメーション)データとして変換することが望ましい。また、3次元表示データ又は動画(アニメーション)データは、CRT表示装置などの表示手段32にそのまま表示させるほか、一旦、記憶装置33にデータを記憶させ、必要時にその記憶データを取出し、解析手段34において、当該吸収性物品の評価などを行うために解析処理することができる。 さて、使い捨ておむつ2の評価などの場合におけるX線CT装置1の利用の具体例について説明する。 まず、人体型ダミー人形20に評価しようとする吸収性物品2を装着し、所定の姿勢を取らせ、図示例では仰向け状態にして寝台1A上に設置する。このとき、予め寝台1A上に汚染防止用の非透液シートを敷設しておくのが好ましい。 ダミー人形20には体液供給手段を連結する。続いて寝台1Aを移動させ、ダミー人形20を投影位置に進入させる。 この状態で、駆動手段10に起動指令11信号を与えて、撮影を開始する。また、ポンプ23を起動し、設定した単位時間当たりの注入量で、人工尿21を貯留器22からのダミー人形20の注入径路内に送り、ダミー人形20の排尿口から流出させる。流出した人口尿は、使い捨ておむつ2に吸収され、経時に伴って拡散する。 かかる人工尿の吸収及び拡散の過程全体の全時間にわたり、CT情報を取り込んで、前述の信号処理を行う。 さらに、ダミー人形20の姿勢を、図2のように、人間が椅子に座っている状態を模した坐位にしたり、図3のように横向きなどに変更して、同様の検査を行うことができる。しかも、必要ならば、ダミー人形20の脚部を交差している状態に紐などで拘束した上で、同様の検査を行うこともできる。 その他の検査項目としては、流量調整弁24を調整する人工尿の流出量がある。ダミー人形20のサイズや体形を変えて試験することもできる。 ダミー人形としては、体形の部分的ダミー人形のほか、全体ダミーでもよい。特許文献1のように、別体の胴体と脚部とを連結したものでもよい。 本発明は、生理用ナプキンにおける体液吸収形態の表示・解析にも当然に応用できる。生理用ナプキンの場合には、当該生理用ナプキンをダミー人形にあてがい、その上からショーツを着用させた状態でX線CT装置1に供し、検査することができる。この場合、人工経血を使用するか、経血を模した適宜の液を使用することができる。 X線CT装置として、GE社製の64列の検出器を有するマルチヘリカルスライス装置(型式「Discovery CT750 HD」)を使用した。 実験は、ほぼ図1概略構成で行った。ダミー人形の姿勢は、図1に示す姿勢ではなく、左下に20度傾かせた側臥姿勢である。それぞれの使い捨ておむつにについて、人工尿を1回当たり150mlの注入量、10ml/秒の注入速度で注入する過程で、CT画像を得て解析を行った。 ここに使用した人工尿の成分組成は、尿素20%、塩化ナトリウム8%、塩化カルシウム0.30%、硫酸マグネシウム0.80%、イオン交換水70.90%、色素微量からなり、CT値は20HUである。 CT画像は、モニターで観察したほか、3次元画像及びアニメーション画像(4次元画像)として観察者の判断に供した。 その結果、図4及び図6に示すように、既存品の場合には、腹側の排尿の拡散が大きく、そのために漏れが生じる確率が高いことが判明した。 そこで、製品の構造を改良して同様の実験を行った。その結果、改良品の場合には、図5及び図7に示すように、腹側の排尿の拡散が少なく、逆に、背側の拡散量が大きくなった。しかし、腹側の排尿の拡散が少なくなった関係で、漏れが生じる確率が格段と低いことが判明した。 生理用ナプキンについて、実験を、ほぼ図1概略構成で行った。 人工経血を1回当たり30mlの注入量、1ml/秒の注入速度で注入する過程で、CT画像を得て解析を行った。 ここに使用した人工経血の成分組成は、グリセリン、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、精製水、色素からなり、そのCT値は−136HUであり、他の材料との区別が容易である。 CT画像は、モニターで観察したほか、3次元画像及びアニメーション画像(4次元画像)として観察者の判断に供した。 その結果、既存品の場合には、サイドシートまでの拡散が大きく、そのために横漏れが生じる確率が高いことが判明した。 そこで、製品の構造を改良して同様の実験を行った。その結果、改良品の場合には、漏れが生じる確率が格段と低いことが判明した。このように、使い捨ておむつのほか、生理用ナプキンについても本発明が適用できることが判った。 上記各実施例のように、本発明に係る吸収性物品の体液吸収形態の表示・解析方法によると、排液の漏れが少ないなどの改良された製品の開発を容易に行うことができる。1…X線CT装置2…使い捨ておむつ10…駆動手段20…ダミー人形21…人工尿31…画像処理手段32…表示手段34…解析手段 体液供給手段を備えた人体型ダミー人形に吸収性物品を装着した状態で、X線CT装置を用いて前記ダミー人形から排液させた後の吸収性物品を撮影し、撮影した画像に基づいて、前記ダミー人形に装着した状態における排液後の吸収性物品への排液の吸収・拡散状況の経時的な変化の表示・解析方法において、 前記体液供給手段から供給される人工尿は、人体を模した前記ダミー人形に形成された通路を通り、前記ダミー人形の局部から流出され、 前記ダミー人形のCT値を、−60HU〜−45HUに選定し、 前記吸収性物品のCT値を、−920HU〜−920HUに選定し、 前記人工尿のCT値を、5HU〜40HUに選定し、 前記ダミー人形を、前記X線CT装置の撮影位置に向かって前進する寝台上に、仰向け状態、坐位状態、及び横向き状態から選ばれる一つの体位にして設置し、 前記寝台が前記撮影位置に進入れした後に、前記X線CT装置のX線源と検出器を、前記ダミー人形の周囲に回転させると共に、前記体液供給手段を駆動して前記ダミー人形に人工尿を注入し、 前記X線CT装置によって前記吸収性物品における人工尿の吸収と拡散の全過程を測定し、 前記X線CT装置のウインドウ機能を用いて、前記吸収性物品と前記人工尿のみを表示させることを特徴とする吸収性物品の体液吸収形態の表示・解析方法。 X線CT装置が、ヘリカルスキャン撮影手段及びX線の多列検出器を有する請求項1記載の吸収性物品の体液吸収形態の表示・解析方法。 撮影したCT画像を3次元画像として再構成する再構成画像処理を行ない、画像処理後の画像を表示手段に表示する請求項1記載の吸収性物品の体液吸収形態の表示・解析方法。 排液状態を経過的に撮影したCT画像を3次元画像として再構成する再構成画像処理を行ない、その処理後の経時的な変化画像を動画として表示手段に表示する請求項1記載の吸収性物品の体液吸収形態の表示・解析方法。 体液供給手段を備えた人体型ダミー人形の体位を変更して、体位の変更に伴う尿の吸収形態変化を表示・解析する請求項1記載の吸収性物品の体液吸収形態の表示・解析方法。 既知のダミー人形の形状とこれに装着した状態における既知の吸収性物品の形状との関係を予め知っておき、前記撮影した画像におけるダミー人形に、当該撮像に供した吸収性物品の形状を当て嵌め、その吸収性物品と撮像した排液との関係を把握し、前記吸収性物品への排液の吸収・拡散状況の経時的変化を把握する請求項1記載の体液吸収形態の表示・解析方法。