生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_シリコン単結晶中の炭素濃度評価方法、及び、半導体デバイスの製造方法
出願番号:2013252981
年次:2015
IPC分類:H01L 21/66,G01N 21/00,G01N 21/66


特許情報キャッシュ

竹野 博 JP 2015111615 公開特許公報(A) 20150618 2013252981 20131206 シリコン単結晶中の炭素濃度評価方法、及び、半導体デバイスの製造方法 信越半導体株式会社 000190149 好宮 幹夫 100102532 竹野 博 H01L 21/66 20060101AFI20150522BHJP G01N 21/00 20060101ALI20150522BHJP G01N 21/66 20060101ALI20150522BHJP JPH01L21/66 LG01N21/00 BG01N21/66 6 1 OL 10 2G043 2G059 4M106 2G043AA01 2G043BA07 2G043EA01 2G043EA11 2G043FA06 2G043KA01 2G043KA09 2G043NA01 2G059AA01 2G059BB16 2G059CC20 2G059EE07 2G059GG01 2G059HH01 2G059MM01 4M106AA01 4M106BA02 4M106CA18 4M106CB01 本発明は、シリコン単結晶の製造工程から半導体デバイスの製造工程において混入する炭素の濃度を高感度で評価する方法、及び、炭素濃度が極めて低いシリコン基板を用いた半導体デバイスの製造方法に関する。 半導体デバイスの基板として広く用いられるシリコン単結晶基板には、炭素が不純物として含まれている。炭素は、シリコン単結晶の製造工程において混入し、更に、ウェーハ加工工程、エピタキシャル成長工程、デバイス製造工程においても混入する場合がある。 シリコン中の炭素は、通常の状態ではシリコンの格子位置に存在し(格子位置に存在する炭素を置換型炭素と呼ぶ)、それ自身は電気的に不活性である。しかし、デバイス工程におけるイオン注入や熱処理などにより格子間位置に弾き出されると(格子間位置に存在する炭素を格子間炭素と呼ぶ)、他の不純物と反応して複合体を形成することで電気的に活性となり、デバイス特性に悪影響を及ぼすという問題が生じる。 特に、電子線やヘリウムイオンの粒子線をシリコン基板に照射することでキャリアライフタイムを制御するパワーデバイスでは、0.05ppma以下の極微量の炭素がデバイス特性に悪影響を及ぼすことが指摘されている。 このことから、シリコン基板に含まれる炭素をできる限り低減することが重要な課題であり、そのためには、炭素濃度を高感度で評価する方法が必要である。 シリコン基板に含まれる炭素の濃度を測定する方法として、赤外吸収分光法が広く用いられている(例えば、特許文献1)。この方法では、シリコン基板に赤外線を透過させて、置換型炭素による局在振動吸収ピークの強度から炭素濃度を測定する。具体的には、シリコンの格子振動による吸収の影響を避けるため、被測定試料の赤外吸収スペクトルと、実質的に無炭素とみなせる参照試料の赤外吸収スペクトルの差を取った、差吸収スペクトルを求めて、605cm−1付近に現われる置換型炭素による局在振動吸収ピークの強度から炭素濃度を定量する。 しかし、特許文献1に記載された方法では、参照試料とするシリコン単結晶の製造工程で混入する炭素を完全に無くすことができないため、参照試料の炭素濃度は厳密にはゼロではない。そのため、実際に測定される被測定試料の炭素濃度は、参照試料に含まれる炭素濃度の値だけ低く見積もられてしまうという問題がある。 特に近年では、半導体デバイスの高性能化に伴い、極微量の炭素濃度を高感度で評価する必要があるため、この問題が顕在化している。 また、赤外吸収分光法は、試料が薄いほど測定感度が低くなり、高感度の測定を行うためには、厚い試料を用いる必要がある。また、試料の浅い領域のみを測定することができない。シリコン中の炭素は拡散速度が遅いので、例えばエピタキシャル成長工程やデバイス製造工程で混入する炭素はウェーハ表層に留まるため、赤外吸収分光法では測定ができないという問題がある。 このような問題を解決するために、試料に電子線や炭素イオンまたは酸素イオンのイオンビームを照射して複合欠陥を生成させ、その複合欠陥に起因するフォトルミネッセンス強度を測定し、その強度から炭素濃度を算出する方法が開示されている(例えば、特許文献2、非特許文献1)。 また、試料に電子線を照射した後に、フォトルミネッセンス法によりシリコンに由来する発光強度と炭素に由来する欠陥の発光強度とを取得し、それらの強度と予め用意されている検量線とを用いて、炭素濃度を測定する方法が開示されている(特許文献3、非特許文献2)。 シリコン単結晶基板に対して、高エネルギーの電子線を照射すると、格子位置のシリコン原子が弾き出されて、格子間シリコン(以下、Iと称する)とその抜け殻である空孔(以下、Vと称する)が生成される。過剰に生成されたIやVは、単体では不安定なため、再結合したり(V+I→0)、I同士やV同士がクラスタリングしたり、シリコン基板中に含まれる不純物と反応して複合体を形成する。 シリコン基板中に置換型炭素(以下、Csと称する)が存在する場合、電子線照射で生成されたIがCsを弾き出すことにより、格子間炭素(以下、Ciと称する)が生成される。更にCiは、他のCsと反応することでCiCsを形成したり、シリコン基板中に含まれる他の不純物である格子間酸素(以下、Oiと称する)と反応することでCiOiを形成する(例えば、非特許文献1)。 フォトルミネッセンス法では、Cs自体を検出することはできないが、CiCsやCiOiの複合欠陥は検出することができ、それらの発光強度から炭素濃度を測定することができる。CiCsに由来する発光線はG線、CiOiに由来する発光線はC線と呼ばれている。 フォトルミネッセンス(PL)法では、半導体にバンドギャップより高いエネルギーの光を照射することによって発生した電子と正孔が、再結合する際に放出される光(ルミネッセンス)の強度を測定する。この再結合は、バンドギャップ中に準位をもつ不純物や格子欠陥の影響を受け、それらの準位に応じて発光のエネルギーが変化する。このことにより、不純物や格子欠陥を評価することができる。また、試料に照射する光の波長を短くすることにより、試料の浅い領域のみを測定することが可能である。 ルミネッセンスを測定する他の方法として、カソードルミネッセンス(CL)法がある。CL法では、試料に電子線を照射することによって発生した電子と正孔が、再結合する際に放出される光の強度を測定する。PL法と同様に、CL法でもCiCsやCiOiの複合欠陥が検出されることが知られている。特開平06−194310号公報特開平04−344443号公報特開2013−152977号公報M.Nakamura et al.,J.Electrochem.Soc.141(1993)3576S.Nakagawa et al.,The Forum on the Science and Technology of Silicon Materials 2010,p.326 しかしながら、上述した特許文献2、非特許文献1、特許文献3、非特許文献2の従来技術では、炭素に関連した複合欠陥の濃度を測定することにより、元のシリコン基板に含まれていた炭素濃度を測定しており、この場合、炭素濃度が低いほど複合欠陥濃度は低くなるので、炭素濃度が極めて低くなると複合欠陥濃度を検出できなくなるという問題が生じる。 本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、シリコン単結晶の製造工程や半導体デバイスの製造工程において混入する炭素の濃度を高精度で評価する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、炭素濃度が極めて低いシリコン単結晶基板(以下、単にシリコン基板という場合がある)を用いて、半導体デバイスを製造する方法を提供することを目的とする。 上記目的を達成するために、本発明は、シリコン単結晶に含まれる炭素濃度を評価する方法であって、前記シリコン単結晶中に格子間シリコン(I)を導入する第1の工程と、前記第1の工程により発生するIクラスターの濃度を測定する第2の工程と、前記第2の工程により測定された前記Iクラスターの濃度から、シリコン単結晶中の炭素濃度を評価する第3の工程とを含むことを特徴とするシリコン単結晶中の炭素濃度評価方法を提供する。 このように、シリコン単結晶中に格子間シリコンを導入すると、シリコン基板に含まれる炭素の濃度が低い場合はIクラスターが発生し、炭素濃度が低いほどIクラスター濃度が高くなり、このことから、Iクラスター濃度を測定することにより、シリコン中の炭素濃度を高感度で評価することができる。さらに、炭素濃度が低いほどIクラスター濃度が高くなるので、炭素濃度が低いほど濃度が低くなる炭素関連の欠陥を測定する従来技術よりも高感度で低濃度領域の炭素濃度を評価することができる。 このとき、前記第1の工程は、電子線を照射する工程とすることができる。 このように、シリコン基板に電子線を照射すると、格子位置のシリコン原子が格子間位置に弾き出されることにより、効果的に格子間シリコンを導入することができる。 また、電子線照射は、照射線量を変えることで格子間シリコンの導入量を容易に変えることができるので、シリコン単結晶中に格子間シリコンを導入する際に好適に用いることができる。 このとき、前記電子線を照射する工程は、照射線量が3×1015/cm2以上、1×1017/cm2以下であることが好ましい。 このような照射線量の範囲で電子線を照射することで、シリコン単結晶中の炭素濃度が極微量である場合にIクラスターが形成されるので、炭素濃度を高感度で評価することができる。照射線量を3×1015/cm2以上にすることで、シリコン単結晶に導入される格子間シリコンの濃度が低くなりすぎることにより、炭素濃度が低くてもIクラスターが発生しにくくなることを防止できる。また、照射線量が1×1017/cm2を以下にすることで、炭素濃度が低くなくてもIクラスターが発生することを防止でき、さらに照射に時間がかかるために効率的でなくなることを防止できる。 このとき、前記第2の工程において、カソードルミネッセンス法、又は、フォトルミネッセンス法を用いることができる。 カソードルミネッセンス法やフォトルミネッセンス法では、Iクラスターに由来する発光線であるW線を観測することができるので、Iクラスターの濃度を測定する方法として、カソードルミネッセンス法、又は、フォトルミネッセンス法を好適に用いることができる。 このとき、前記第2の工程において、シリコン由来の発光線(TO線)の強度と、Iクラスター由来の発光線(W線)強度を測定し、W線強度/TO線強度の強度比を取得することが好ましい。 このように、W線強度/TO線強度の強度比を求めることで、発光中心となる欠陥の他に存在する非発光中心となる欠陥の影響を避けることができ、より高精度でIクラスターの濃度を測定することができる。 本発明はまた、半導体デバイスを製造する方法であって、電子線を3×1015/cm2以上、1×1016/cm2以下の照射線量で照射した際にIクラスターが検出されるシリコン基板を用いて、半導体デバイスを製造することを特徴とする半導体デバイスの製造方法を提供する。 好適な照射線量の範囲の中で最も低い3×1015/cm2の近傍でIクラスターが検出されれば、置換型炭素濃度が極めて低いと判断できる。従って、電子線を3×1015/cm2以上、1×1016/cm2以下の照射線量で照射した際にIクラスターが検出されるシリコン基板は、炭素濃度が極めて低いので、このようなシリコン基板を用いて半導体デバイスを製造することにより、特性の優れた半導体デバイスを製造することができ、特に、パワーデバイスを製造する場合に好適である。 以上のように、本発明のシリコン単結晶中の炭素濃度評価方法によれば、炭素濃度が低いほど高濃度になるIクラスターの濃度を測定することにより炭素濃度を評価するので、炭素濃度が低いほど検出しにくくなる複合欠陥を測定する従来技術に比べて、高感度で炭素濃度を評価することができる。また、本発明の半導体デバイスの製造方法によれば、確実に炭素濃度が極めて低いシリコン基板を用いることができるので、デバイス特性の優れた半導体デバイスを製造することができる。本発明のシリコン単結晶中の炭素濃度評価方法のフローを示す図である。本発明の半導体デバイスの製造方法のフローを示す図である。実施例において炭素濃度が0.01ppmaの場合のカソードルミネッセンス法により測定した発光スペクトルの例を示す図である。実施例において炭素濃度が0.2ppmaの場合のカソードルミネッセンス法により測定した発光スペクトルの例を示す図である。実施例において電子線の照射線量が3×1015/cm2の場合のW線強度/TO線強度の強度比と炭素濃度との関係を示したグラフである。実施例において電子線の照射線量が1×1016/cm2の場合のW線強度/TO線強度の強度比と炭素濃度との関係を示したグラフである。実施例において電子線の照射線量が1×1017/cm2の場合のW線強度/TO線強度の強度比と炭素濃度との関係を示したグラフである。比較例1において電子線の照射線量が3×1015/cm2の場合のG線強度/TO線強度の強度比と炭素濃度との関係を示したグラフである。比較例1において電子線の照射線量が1×1016/cm2の場合のG線強度/TO線強度の強度比と炭素濃度との関係を示したグラフである。比較例1において電子線の照射線量が1×1017/cm2の場合のG線強度/TO線強度の強度比と炭素濃度との関係を示したグラフである。 以下、本発明について、実施態様の一例として、図を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。 前述のように、従来技術では、炭素に関連した複合欠陥の濃度を測定することにより、元のシリコン単結晶に含まれていた炭素濃度を測定しており、この場合、炭素濃度が低いほど複合欠陥濃度は低くなるので、炭素濃度が極めて低くなると複合欠陥濃度を検出できなくなるという問題があった。 そこで、本発明者は、高感度で低濃度領域の炭素濃度を評価することができるシリコン基板中の炭素濃度評価方法について鋭意検討を重ねた。 その結果、本発明者は、Cs濃度が低い場合は、Csに消費されなかったI濃度が増加し、I同士がクラスタリングすることにより(I+I+…→In)、Iクラスターが発生しやすくなることを見出した。また、Cs濃度が低い場合にIクラスターを発生させるために好適なIの導入量があることを見出した。更に、最適なIの導入量を用いれば、Cs濃度が低くなるほどIクラスター濃度が高くなることを見出し、本発明のシリコン単結晶中の炭素濃度評価方法を完成させた。 さらに、本発明者は以下のように発想した。電子線の照射によりIを導入する場合、Iの導入量は電子線の照射線量に比例するので、好適なIの導入量を得るには、好適な照射線量で電子線を照射すれば良い。また、Iの導入量がより低い場合にIクラスターが発生することは、CsによるIの消費量がより少ないことを意味し、すなわち、Cs濃度がより低いことを意味する。本発明者は、これらのことから、好適な照射線量の範囲の中で最も低い3×1015/cm2の近傍である場合にIクラスターが検出されれば、Cs濃度が極めて低いと判断でき、このようにして選別したCs濃度が極めて低いシリコン基板を用いて半導体デバイスを製造すれば、特性の優れた半導体デバイスを製造することができることを見出し、本発明の半導体デバイスの製造方法を完成させた。 以下、図1を参照しながら、本発明のシリコン単結晶中の炭素濃度評価方法を説明する。 まず、評価対象となるシリコン単結晶基板を準備する。このシリコン基板を準備する方法は、本発明において特に限定されない。例えば、シリコン単結晶の育成工程で混入する炭素を評価したい場合は、該当のシリコン単結晶からウェーハを切断し、切断ダメージを取り除くために化学的エッチング処理を行うことにより準備できる。また、エピタキシャル成長工程で混入する炭素を評価したい場合には、シリコン基板をエピタキシャル成長炉内でエピタキシャル層を成長させることができる。あるいは、エピタキシャル層を成長させずに熱処理だけを施すこともできる。 次に、シリコン基板中に格子間シリコンIを導入する(図1のステップS11参照)。 具体的には、シリコン基板に、電子線を照射する。電子線の照射線量は3×1015/cm2以上、1×1017/cm2以下であることが好ましい。 このような照射線量の範囲で電子線を照射することで、シリコン単結晶中の炭素濃度が極微量である場合にIクラスターが形成されるので、炭素濃度を高感度で評価することができる。照射線量を3×1015/cm2以上にすることで、シリコン基板に導入される格子間シリコンの濃度が低くなりすぎることにより、炭素濃度が低くてもIクラスターが発生しにくくなることを防止できる。また、照射線量が1×1017/cm2を以下にすることで、炭素濃度が低くなくてもIクラスターが発生することを防止でき、さらに照射に時間がかかるために効率的でなくなることを防止できる。 また、シリコン基板中に格子間シリコンIを導入する他の方法として、イオン注入や酸化熱処理などが考えられる。 電子線照射時の電子の加速電圧は、格子位置のシリコン原子を格子間位置に弾き出すのに必要な電圧となる約250kV以上であれば良く、上限は特に問わない。 次に、格子間シリコンIを導入することにより発生したIクラスターの濃度を測定する(図1のステップS12参照)。 Iクラスター濃度の測定には、カソードルミネッセンス(CL)法、あるいはフォトルミネッセンス(PL)法を用いることができる。CL法やPL法では、発光波長が約1218nm付近にIクラスターに由来する発光線(W線)が観測される。そのW線強度を測定することにより、相対的なIクラスター濃度を測定することができる。 より精度良くIクラスター濃度を測定するためには、発光波長が約1130nm付近に観測されるシリコン由来の発光線(TO線)の強度も測定し、W線強度/TO線強度の強度比を求めることにより、相対的なIクラスター濃度を測定することができる。 CL法では電子の加速電圧を変えることにより、PL法ではレーザー光の波長を変えることにより、測定深さを変えることができるので、それらの条件を調整することで試料表面から所望の深さまでを評価することができる。 次に、測定されたIクラスターの濃度からシリコン基板中の炭素濃度を評価する(図1のステップS13参照)。 具体的には、予め取得されたIクラスターの濃度とシリコン基板中の炭素濃度との関係に基づいて、炭素濃度を評価する。 このようにして、シリコン基板中に格子間シリコンを導入した際に発生するIクラスターの濃度を測定することにより、シリコン基板に含まれる低濃度領域における炭素濃度を高感度で評価することができる。 次に、図2を参照しながら、本発明の半導体デバイスの製造方法を説明する。 まず、シリコン単結晶から炭素濃度評価用サンプルを作製する。この炭素濃度評価用サンプルを作製する方法は、本発明においては特に限定されない。 次に、炭素濃度評価用サンプルに電子線を3×1015/cm2以上、1×1016/cm2以下の照射線量で照射する(図2のステップS21参照)。 次に、Iクラスターが検出されるかどうかを調べる。ここで、Iクラスターの検出は、例えば、CL法又はPL法により行うことができる。その結果、Iクラスターが検出された場合、炭素濃度評価用サンプルを作製したシリコン単結晶に含まれる炭素濃度は極めて低いと判断し、このシリコン単結晶を特定する(図2のステップS22参照)。 次に、特定されたシリコン単結晶からシリコン基板を製造し、そのシリコン基板を用いて半導体デバイスを製造する(図2のステップS23参照)。 すなわち、この半導体デバイスの製造方法によれば、好適な照射線量の範囲の中で最も低い3×1015/cm2の近傍でIクラスターが検出されれば、置換型炭素濃度が極めて低いと判断できることに基づいて、シリコン単結晶を選別し、選別されたシリコン単結晶から作製した炭素濃度が極めて低いシリコン基板を用いて半導体デバイスを製造することにより、特性の優れた半導体デバイスを製造することができ、特に、パワーデバイスを製造する場合に好適である。 以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。(実施例) 炭素濃度が約0.01〜1ppmaの範囲で異なる6水準のシリコン単結晶基板を準備した。 シリコン基板の導電型、抵抗率、酸素濃度、直径、結晶軸方位は、以下の通りである。 導電型 :n型 抵抗率 :8〜12Ω・cm 酸素濃度 :10〜16ppma(JEIDA) 直径 :200mm 結晶軸方位:<100> 次に、準備したシリコン基板に電子線を照射した。電子線の照射線量は、3×1015、1×1016、1×1017/cm2の3水準とし、電子線の加速電圧は2MVとした。その後、カソードルミネッセンス法により、発光スペクトルを測定した。 電子線の照射線量が1×1016/cm2の場合の発光スペクトルの例を図3及び図4に示す。なお、強度が弱い範囲のピークを明確に示すため、図3では波長が1100〜1300nmの範囲の強度を元の強度の20倍に、図4では波長が1100〜1250nmの範囲の強度を元の強度の20倍にして示している。 図3は炭素濃度が約0.01ppmaの場合を示し、図4は炭素濃度が約0.2ppmaの場合を示している。 図3では、シリコンに由来するTO線(1130nm付近)、Iクラスターに由来するW線(1218nm付近)、CiCsに由来するG線(1278nm付近)、CiOiに由来するC線(1569nm付近)が観測されている。一方、図4では、TO線、G線、C線が観測されているが、W線は観測されていない。 この結果から、炭素濃度が低い場合にIクラスターが観測されることがわかる。 次に、発光スペクトルからTO線強度とW線強度を測定し、W線強度/TO線強度の強度比を求めた。W線強度/TO線強度の強度比と炭素濃度との関係を図5〜図7に示す。 図5は照射線量が3×1015/cm2の場合を示し、図6は照射線量が1×1016/cm2の場合を示し、図7は照射線量が1×1017/cm2の場合を示している。 何れの照射線量の場合も、炭素濃度が低くなるほどW線強度/TO線強度の強度比が大きくなった。W線強度/TO線強度の強度比は、相対的なIクラスター濃度を示している。このことから、炭素濃度が低くなるほどIクラスター濃度が高くなるので、Iクラスター濃度を測定することにより、炭素濃度を評価できることがわかる。また、照射線量が高くなるほどIクラスター濃度が高くなった。このことから、照射線量が高い方が低濃度領域の炭素濃度を高感度で評価できることがわかる。 なお、フォトルミネッセンス法でもカソードルミネッセンス法と同じ発光線が観測されることがわかっているので、フォトルミネッセンス法でも同様な方法により炭素濃度を評価することができる。(比較例1) 実施例と同様にシリコン単結晶基板を準備し、電子線を照射し、カソードルミネッセンス法により、発光スペクトルを測定した。 得られた発光スペクトルからTO線強度とG線強度を測定し、G線強度/TO線強度の強度比を求めた。G線強度/TO線強度の強度比と炭素濃度との関係を図8〜図10に示す。 図8は照射線量が3×1015/cm2の場合を示し、図9は照射線量が1×1016/cm2の場合を示し、図10は照射線量が1×1017/cm2の場合を示している。 何れの照射線量の場合も、炭素濃度が低くなるほどG線強度/TO線強度の強度比が小さくなった。G線強度/TO線強度の強度比は、相対的なCiCs濃度を示している。このことから、CiCs濃度を測定することにより炭素濃度を評価できるが、炭素濃度が低くなるとCiCsを観測しにくくなる、すなわち、測定精度が低くなることがわかる。 なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。 シリコン単結晶に含まれる炭素濃度を評価する方法であって、 前記シリコン単結晶中に格子間シリコン(I)を導入する第1の工程と、 前記第1の工程により発生するIクラスターの濃度を測定する第2の工程と、 前記第2の工程により測定された前記Iクラスターの濃度から、シリコン単結晶中の炭素濃度を評価する第3の工程とを含むことを特徴とするシリコン単結晶中の炭素濃度評価方法。 前記第1の工程は、電子線を照射する工程であることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶中の炭素濃度評価方法。 前記電子線を照射する工程は、照射線量が3×1015/cm2以上、1×1017/cm2以下であることを特徴とする請求項2に記載のシリコン単結晶中の炭素濃度評価方法。 前記第2の工程において、カソードルミネッセンス法、又は、フォトルミネッセンス法を用いることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコン単結晶中の炭素濃度評価方法。 前記第2の工程は、シリコン由来の発光線(TO線)の強度と、Iクラスター由来の発光線(W線)強度を測定し、W線強度/TO線強度の強度比を取得することを特徴とする請求項4に記載のシリコン単結晶中の炭素濃度評価方法。 半導体デバイスを製造する方法であって、 電子線を3×1015/cm2以上、1×1016/cm2以下の照射線量で照射した際にIクラスターが検出されるシリコン基板を用いて、半導体デバイスを製造することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。 【課題】シリコン単結晶の製造工程や半導体デバイスの製造工程において混入する炭素の濃度を高精度で評価する方法を提供する。【解決手段】シリコン単結晶中に格子間シリコン(I)を導入する第1の工程S11と、第1の工程により発生するIクラスターの濃度を測定する第2の工程S12と、第2の工程により測定されたIクラスターの濃度から、シリコン単結晶中の炭素濃度を評価する第3の工程S13とを含む。【選択図】図1


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