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タイトル:公開特許公報(A)_水性組成物および加水分解抑制方法
出願番号:2013234439
年次:2015
IPC分類:A61K 8/34,A61K 8/85,A61K 8/49,A61Q 19/00,A61Q 19/10,A61Q 17/04,A61Q 9/02,A61Q 5/12,A61Q 5/00,A61Q 5/02,A61Q 7/00,A61Q 5/10


特許情報キャッシュ

島田 健一郎 小林 史典 佐藤 浩幸 JP 2015093854 公開特許公報(A) 20150518 2013234439 20131112 水性組成物および加水分解抑制方法 株式会社クレハ 000001100 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK 110000338 島田 健一郎 小林 史典 佐藤 浩幸 A61K 8/34 20060101AFI20150421BHJP A61K 8/85 20060101ALI20150421BHJP A61K 8/49 20060101ALI20150421BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20150421BHJP A61Q 19/10 20060101ALI20150421BHJP A61Q 17/04 20060101ALI20150421BHJP A61Q 9/02 20060101ALI20150421BHJP A61Q 5/12 20060101ALI20150421BHJP A61Q 5/00 20060101ALI20150421BHJP A61Q 5/02 20060101ALI20150421BHJP A61Q 7/00 20060101ALI20150421BHJP A61Q 5/10 20060101ALI20150421BHJP JPA61K8/34A61K8/85A61K8/49A61Q19/00A61Q19/10A61Q17/04A61Q9/02A61Q5/12A61Q5/00A61Q5/02A61Q7/00A61Q5/10 12 OL 15 4C083 4C083AC101 4C083AC102 4C083AC111 4C083AC121 4C083AC122 4C083AC171 4C083AC211 4C083AC471 4C083AC841 4C083AC842 4C083AD091 4C083AD092 4C083CC02 4C083CC03 4C083CC17 4C083CC19 4C083CC21 4C083CC23 4C083CC33 4C083CC36 4C083CC37 4C083CC38 4C083DD23 4C083DD27 4C083EE01 4C083EE10 本発明は、ポリグリコール酸、グリコール酸オリゴマーおよびグリコリドから選択される少なくとも1つのエステル化合物を含む水性組成物、および、当該エステル化合物の水性組成物における加水分解を低減する方法等に関するものである。本発明は、例えば、シワ・ハリ対策、シミ・ソバカス対策、毛穴ケア、ニキビケア、頭皮ケア、または美白ケア等を訴求するトイレタリー用品およびその中間原料において有用であり得る。 従来、リンゴ酸、グリコール酸、乳酸、およびクエン酸等のフルーツ酸は、皮膚の角質層の結合力を弱める角質柔軟化作用あるいはピーリング作用を有しており、種々のトイレタリー用品に用いられてきた。またグリコール酸は、上記効果に加えて、表皮再生の促進、表皮構造の改善、角質層の菲薄化、真皮の肥厚化、脱色、毛孔の収縮、および血管壁の強化等の効果があることが知られている。 一方で、上記フルーツ酸を含むトイレタリー用品は、肌への刺激性が強く、赤疹、瘢痕、色素沈着、および色素脱失等の一時的あるいは長時間の炎症および副作用が発生するケースが報告されており、その改良が求められていた。この課題を解決すべく、特許文献1および特許文献2では、フルーツ酸を無水物にして使用する方法が記載されている。フルーツ酸無水物は皮膚への塗布および皮膚との連続接触に際しフルーツ酸まで経時的に加水分解し、いわば遅効性フルーツ酸として作用することにより、皮膚に優しくマイルドであり、且つ、効果に持続性があるトイレタリー用品とすることができる旨が提案されている。具体的には、乳酸無水物の環状エステルであるラクチド、グリコール酸無水物の環状エステルであるグリコリドなどが提案されている。しかしながら、上記フルーツ酸無水物からなるトイレタリー剤は、多量の水を配合するようなジェル処方剤、化粧水、化粧液、エマルジョン、または石鹸などとして調製される場合には皮膚に接触する以前にフルーツ酸無水物の加水分解が生じ、実際に使用する際には、上記遅効性フルーツ酸としての効果が十分に得られないケースがあり、フルーツ酸無水物などエステル化合物の加水分解を任意に制御できる方法が求められていた。 エステル化合物の経時での加水分解を抑える方法としては、例えば、特許文献3には、グリセリンが、テトラカイン等のエステル化合物の水性処方中での加水分解を阻害し得ることが記載されている。 さらに、特許文献4には、親油性基と親水性基とからなる(モノ)エステル、即ち両親媒性のエステル化合物において、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、または水溶性溶剤を併用することにより、エステル化合物の水性組成物中または水懸濁液中における加水分解を抑制できることが記載されている。特開2002−179528号公報(2002年6月26日公開)特開平7−309717号公報(1995年11月28日公開)特開2012−246315号公報(2012年12月13日公開)特開平11−140490号公報(1999年5月25日公開) 上記のように、環状エステル化合物であるラクチドおよびグリコリドは、トイレタリー用品への使用が示唆されている。しかしながら、グリコリドは、易加水分解性のエステル化合物であるため、高湿度雰囲気下および水溶液中での利用が困難である。したがって、産業上の使用および使用方法には実際には大きな制限がある。 特許文献3では、グリセリンは他の加水分解阻害効果を有する物質と共に用いられている。また、特許文献3に記載の技術は、テトラカインに対して用いたものであり、高分子量ポリエステルおよび環状エステルへの適用は想定されていなかった。 また、特許文献4に記載の界面活性剤は両親媒性エステル等の限定された組成において効果を発揮する。そのため、特許文献4に記載の方法には、使用上の制限がある。また、特許文献4に記載の技術は、界面活性剤または漂白活性化剤などの両親媒性の(モノ)エステル化合物に対して用いたものであり、高分子量ポリエステルおよび環状エステルへの適用は想定されていなかった。 本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ポリグリコール酸、グリコール酸オリゴマーおよびグリコリドから選択される少なくとも1つのエステル化合物を含む水性組成物において、当該エステル化合物の加水分解が制御された水性組成物を提供すること、および、当該エステル化合物の水性組成物における加水分解を抑制する方法を提供することにある。 上記の課題を解決するために、本願発明者らは鋭意検討を行った。その結果、ポリグリコール酸、グリコール酸オリゴマーまたはグリコリドと水とを含む水性組成物において、ある種の水溶性溶剤を共存させることによって、これらエステル化合物の加水分解が低減されることを見出し、本願発明に到達するに至った。 即ち、本発明に係る水性組成物は、水と、ポリグリコール酸、グリコール酸オリゴマーおよびグリコリドから選択される少なくとも1つのエステル化合物と、少なくとも1つの水溶性溶剤とを含み、当該少なくとも1つの水溶性溶剤は23℃において水に可溶であることを特徴としている。 本発明に係る水性組成物は、上記構成において、上記少なくとも1つの水溶性溶剤が、アルコール類、フェノール類、ケトン類、エーテル類およびエステル類から選択されることが好ましい。 本発明に係る水性組成物は、上記構成において、上記少なくとも1つの水溶性溶剤が、炭素数1〜6の1価のアルコール、炭素数1〜8の2価のアルコールおよびフェノール類から選択されることがより好ましい。 本発明に係る水性組成物は、上記構成において、上記少なくとも1つの水溶性溶剤が、炭素数1〜5の1価のアルコールおよび炭素数1〜7の2価のアルコールから選択されることがさらに好ましい。 本発明に係る水性組成物は、上記構成において、上記少なくとも1つの水溶性溶剤が、炭素数1〜4の1価のアルコールおよび炭素数1〜6の2価のアルコールから選択されることがよりさらに好ましい。 本発明に係る水性組成物は、上記構成において、上記少なくとも1つの水溶性溶剤が、エタノールおよび1,3−ブタンジオールから選択されることが特に好ましい。 本発明に係る水性組成物は、上記構成において、上記少なくとも1つのエステル化合物がグリコリドであることが好ましい。 本発明はまた、本発明の水性組成物を含むトイレタリー用品を提供する。 また、本発明に係るエステル化合物の加水分解性を抑制する方法は、ポリグリコール酸、グリコール酸オリゴマーおよびグリコリドから選択される少なくとも1つのエステル化合物と、水とを含む水性組成物において、当該少なくとも1つのエステル化合物の加水分解を抑制する方法であって、当該水性組成物中に、23℃において水に可溶である少なくとも1つの水溶性溶剤を含ませることを特徴としている。 本発明に係るエステル化合物の加水分解を抑制する方法は、上記方法において、上記少なくとも1つの水溶性溶剤が、炭素数1〜6の1価のアルコール、炭素数1〜8の2価のアルコールおよびフェノール類から選択されることが好ましい。 本発明に係るエステル化合物の加水分解を抑制する方法は、上記方法において、上記少なくとも1つの水溶性溶剤が、エタノールおよび1,3−ブタンジオールから選択されることがより好ましい。 また、本発明に係るエステル化合物の加水分解速度を制御する方法は、ポリグリコール酸、グリコール酸オリゴマーおよびグリコリドから選択される少なくとも1つのエステル化合物と、水とを含む水性組成物において、当該少なくとも1つのエステル化合物の加水分解の速度を制御する方法であって、当該水性組成物中に、23℃において水に可溶である少なくとも1つの水溶性溶剤を含ませることを特徴としている。 本発明によれば、水性組成物に含まれるエステル化合物の加水分解を抑制することができる。 以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。 〔1.水性組成物〕 本発明の水性組成物は、水と、エステル化合物と、水溶性溶剤とを含んで構成されている。以下、水性組成物を構成する各成分について説明する。 (エステル化合物) 本発明に係る水性組成物に含まれるエステル化合物は、ポリグリコール酸、グリコール酸オリゴマーおよびグリコリドから選択されるエステル化合物である。エステル化合物は、水性組成物中に、1種のみが含まれていてもよいし、2種以上が混合されて含まれていてもよい。例えば、ポリグリコール酸、グリコール酸オリゴマーおよびグリコリドを適宜組み合わせて使用し、目的に応じたグリコール酸徐放性を発現させることができる。 本明細書において、ポリグリコール酸は、グリコール酸が250分子以上重合した重合体である。ポリグリコール酸の分子量は、例えば重量平均分子量(Mw)30,000〜1,000,000のポリグリコール酸を挙げることができ、好ましくは、Mw50,000〜500,000のポリグリコール酸である。なお、本明細書において、Mwはヘキサフルオロイソプロパノール溶媒を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により得られた分子量値をPMMA換算した値である。 また、本明細書において、グリコール酸オリゴマーは、グリコール酸が2分子以上かつ250分子未満重合した化合物である。グリコール酸オリゴマーとしては、グリコール酸単量体単位を3〜249含むものであることが好ましい。 また、本明細書において、グリコリドはグリコール酸の2分子間環状エステルである。ヒドロキシカルボン酸の1種であるグリコリドの製造方法は、特に限定されないが、一般的には、グリコール酸オリゴマーを熱解重合することにより得ることができる。グリコール酸オリゴマーの熱解重合法として、例えば、溶融解重合法、固相解重合法、または溶液解重合法などを採用することができ、また、クロロ酢酸塩の環状縮合物として得られるグリコリドも用いることができる。 本実施形態に係る水性組成物では、ポリグリコール酸、グリコール酸オリゴマーおよびグリコリドのうち、グリコリドにおいて特に優れた加水分解抑制効果が得られる。したがって、本発明に係る水性組成物の好適な例としては、エステル化合物としてグリコリドを含む水性組成物が挙げられる。 水性組成物におけるエステル化合物の含有量に特に制限はなく、例えば、1〜500g/Lであり、好ましくは、10〜300g/Lであり、より好ましくは、20〜200g/Lである。水性組成物に2種以上のエステル化合物が含まれている場合には、エステル化合物の総量が上記範囲にあればよい。 エステル化合物は水性組成物において溶解していてもよいし、溶解していなくてもよい。例えば、一実施形態において、グリコリドは水性組成物中で溶解している。他の実施形態において、ポリグリコール酸またはグリコール酸オリゴマーは水性組成物中で溶解せずに懸濁物となっている。したがって、水性組成物は、水性溶液または水性懸濁液であり得る。 (水溶性溶剤) 本発明に係る水性組成物に含まれる水溶性溶剤は、23℃において水に可溶である性質を有する水溶性溶剤である。 水溶性溶剤としては、例えば、アルコール類、フェノール類、ケトン類、エーテル類およびエステル類などが挙げられる。アルコール類としては、1価のアルコール、2価のアルコール、および3価のアルコールなどが挙げられる。1価のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどが挙げられる。2価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1、4ブタンジオールなどが挙げられる。3価のアルコールとしては、例えば、グリセリンなどが挙げられる。アルコール類としては、1価のアルコールおよび2価のアルコールが好ましく、炭素数1〜6の1価のアルコールおよび炭素数1〜8の2価のアルコールがより好ましく、炭素数1〜5の1価のアルコールおよび炭素数1〜7の2価のアルコールがさらに好ましく、炭素数1〜4の1価のアルコールおよび炭素数1〜6の2価のアルコールがよりさらに好ましく、エタノールおよび1,3−ブタンジオールが特に好ましい。フェノール類としては、例えば、フェノール、サリチル酸、サリチル酸メチル、クロロクレゾール等が挙げられる。ケトン類としては、例えば、アセトン、ダイアセトンアルコール等が挙げられる。エーテル類としては、例えば、ジオキサン、ジオキサノン、テトラヒドロフラン、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、ハイドロキノンモノベンジエルエーテル、ポリオキソエチレンラウリルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。エステル類としては、γ−ブチロラクトン、酢酸メチル、エチルジグリコールアセテート、乳酸エチル、γ−バレロラクトンなどが挙げられる。 本発明に係る水溶性溶剤は、23℃において少なくとも4週間ポリグリコール酸、グリコール酸オリゴマー、および/またはグリコリドと反応性がない水溶性溶剤であることが好ましい。これらエステル化合物と反応性がない水溶性溶剤を用いる場合、意図したグリコール酸の徐放がより正確に行われるため、意図した効果をより正確に得ることができるからである。 本発明に係る水性組成物に含まれる水溶性溶剤は、アルコール類、フェノール類、ケトン類、エーテル類およびエステル類から選択されることが好ましく、アルコール類およびフェノール類から選択されることがより好ましい。 また、明確な機構は定かではないが、本発明に係る水性組成物に含まれるこれら水溶性溶剤は、加水分解に必要な水とエステル化合物との接触を制限して、この様な阻害剤として作用している可能性がある。本発明に係る水性組成物に含まれる水溶性溶剤は、加水分解抑制効果の高さの観点から、1価のアルコール、2価のアルコールおよびフェノール類から選択されることが好ましく、炭素数1〜6の1価のアルコール、炭素数1〜8の2価のアルコールおよびフェノール類から選択されることがより好ましく、炭素数1〜5の1価のアルコールおよび炭素数1〜7の2価のアルコールから選択されることがさらに好ましく、炭素数1〜4の1価のアルコールおよび炭素数1〜6の2価のアルコールから選択されることがよりさらに好ましい。なかでも、エタノールおよび1,3−ブタンジオールから選択されることが好ましく、エタノールが特に好ましい。 水溶性溶剤は、水性組成物中に、1種のみが含まれていてもよいし、2種以上が混合されて含まれていてもよい。 水性組成物における水溶性溶剤の含有量に特に制限はないが、水溶性溶剤の含有量が多いほど、エステル化合物の加水分解をより抑制することができる。水性組成物における水溶性溶剤の含有量としては、例えば、水性組成物に占める割合(水と水溶性溶剤との合計を100体積%とした場合)が、1体積%以上、3体積%以上、5体積%以上、10体積%以上、15体積%以上、20体積%以上、25体積%以上、30体積%以上、40体積%以上、50体積%以上、60体積%以上、70体積%以上、80体積%以上、90体積%以上、95体積%以上、99体積%以上、または99.995体積%以上であり得、100%未満、99.995体積%以下、99体積%以下、95体積%以下、90体積%以下、または80体積%以下であり得る。また、他の実施形態において、例えば、水との体積比(水/水溶性溶剤)が0.005/99.995〜80/20の範囲であり得る。水性組成物に2種以上の水溶性溶剤が含まれている場合には、総量が上記範囲にあればよい。 一方、水溶性溶剤の含有量を調整することによって(すなわち、水と水溶性溶剤との割合を調整することによって)、エステル化合物の加水分解速度を任意に制御することが可能である。要求される加水分解速度に応じて、水と水溶性溶剤との割合を上記範囲から任意に選択することができる。また、所定量の水を含ませることにより、ポリグリコール酸、グリコール酸オリゴマーおよびグリコリドの加水分解を任意に進行させ、任意量のグリコール酸を生成させることができる。したがって、水の含有量の調整によって、任意量のグリコール酸を含む水性組成物を調製することができる。このような水性組成物をトイレタリー用途で皮膚または頭髪など身体に塗布もしくは噴霧、または洗浄等の為に使用する場合には、使用時に制御された量のグリコール酸が含まれているため、使用直後からグリコール酸が皮膚または頭髪など身体へ有効な作用を示し且つ、肌へのダメージが小さく、より長期にわたって効果を持続することができる。 (他の添加剤) 本実施形態における水性組成物は、エステル化合物の加水分解抑制作用が損なわれない範囲で、他の成分を含んでいてもよい。含み得る他の成分は、水性組成物の用途、使用目的に応じて異なる。 他の成分としては、上記必須成分の他に、調製するべき剤において通常配合される原料、例えば、界面活性剤、油分、保湿剤、増粘剤、賦形剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、芳香剤、着色剤、紫外線吸収・散乱剤、アミノ酸類等を配合することができる。 上記添加剤については、調製するべき剤において通常配合される材料であれば特に限定はない。具体的には、界面活性剤としては、親油型グリセリンモノステアレート、自己乳化型グリセリンモノステアレート、ポリグリセリンモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン化ステロール、ポリオキシエチレン化ラノリン、ポリオキシエチレン化蜜ロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のノニオン界面活性剤、ステアリルリン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、セチル硫酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、パルミチン酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルリン酸ナトリウム、N−アシルグルタミン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤、塩化アルキルアミノエチルグリシン液、レシチン等の両性界面活性剤等が挙げられる。 油分としては、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ油、椿油、ヤシ油、木ロウ、ホホバ油、グレープシード油、アボガド油等の植物油脂類、ミンク油、卵黄油等の動物油脂類、蜜ロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等のロウ類、流動パラフィン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、ワセリン等の炭化水素類、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸等の天然および合成脂肪酸類、セタノール、ステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール等の天然および合成高級アルコール類、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、コレステロールオレート等のエステル類等が挙げられる。 保湿剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、イソソルビド類、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、アミノ酸、乳酸ナトリウム等のNMF成分、ヒアルロン酸、コラーゲン、ムコ多糖類、コンドロイチン硫酸等の水溶性高分子物質等が挙げられる。 増粘剤としては、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウム、マルメロ種子抽出物、トラガントガム、デンプン等の天然高分子物質、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、可溶性デンプン、カチオン化セルロース等の半合成高分子物質等が挙げられる。 キレート剤としては、エデト酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸塩、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、クエン酸、酒石酸、グルコン酸等が挙げられる。 pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂、リン酸水素カリウム等が挙げられる。 紫外線吸収・散乱剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルパラメトキシサイナメート等のパラアミノ酸系、ヒドロキシベンゾフェノン系、ベンゾフラン系、サリチルサン系、クマリン系、アゾール系等の有機紫外線吸収剤0.001〜10mol/Lを併用することができ、酸化チタン、カオリン、タルク等を併用することもできる。 アミノ酸類としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、ヒスチジン、リジンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。 (製造方法) 本実施形態の水性組成物の製造方法は特に限定されない。例えば、上記した水溶性溶剤の水溶液を予め準備しておき、そこにエステル化合物を溶解または分散させることにより、エステル化合物を含む水性組成物中に水溶性溶剤が共存した状態を作り出すことができる。あるいは、初めに、エステル化合物を水に溶解または分散させ、そこに上記した水溶性溶剤を添加するものであってもよい。また、他の成分を含む場合、任意のタイミングで添加してもよいし、その目的に応じた適切なタイミングで添加してもよい。 (加水分解の抑制) まず、グリコリドにおける加水分解について説明する。 グリコリドは、2つのエステル結合を有する環状エステル化合物である。そのため、グリコリドが加水分解される場合、下記のスキーム1に示したように2段階の加水分解が含まれる。第1段階の加水分解では、2つあるエステル結合のうちの一方が加水分解される。これにより、グリコリドが開環し、グリコール酸二量体が生成される。さらに、第2段階の加水分解において、グリコール酸二量体のエステル結合が加水分解されることで、グリコール酸が生成される。 本実施形態の水性組成物にグリコリドが含まれている場合、このグリコリドは、第1段階および第2段階の両方の加水分解が抑制されている。特に、グリコリドにおける第1段階の加水分解が顕著に抑制されている。 ここで、ある時点における「加水分解率(%)」を、[(ある時点における水性組成物中のグリコール酸の量)/(水性組成物中のエステル化合物が全てグリコール酸にまで分解された場合のグリコール酸の量)]×100と定義する。エステル化合物としてグリコリドを含む水性組成物では、例えば、23℃における2週間後の加水分解率は、60%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは5%以下であり得る。本実施形態に係る水性組成物において、エステル化合物としてグリコリドを用いた場合には、ポリグリコール酸およびグリコール酸オリゴマーに比べて、特に優れた加水分解抑制効果が得られる。 次いで、ポリグリコール酸およびグリコール酸オリゴマーにおける加水分解について説明する。 ポリグリコール酸およびグリコール酸オリゴマーにおける加水分解では、各分子の末端または内部のエステル結合が加水分解を受ける。これにより、下記のスキーム2に示したように、ポリグリコール酸またはグリコール酸オリゴマーから、重合度のより低いポリグリコール酸またはグリコール酸オリゴマーが生成される。なお、スキーム2中、mはnよりも小さい数字である。加水分解が完全に進んだ場合には、最終的にはグリコール酸まで加水分解される。 本実施形態の水性組成物では、何れの重合度のポリグリコール酸およびグリコール酸オリゴマーにおいても、加水分解が効果的に抑制されている。すなわち、エステル化合物がポリグリコール酸である場合には、本実施形態における水性組成物では、一定時間経過後の(i)ポリグリコール酸の重量平均分子量の低下が抑えられているとともに、(ii)水性組成物中に生成されるグリコール酸の量が低く抑えられている。また、エステル化合物がグリコール酸オリゴマーである場合には、一定時間経過後のグリコール酸の生成量が低く抑えられている。 エステル化合物としてグリコール酸オリゴマーを含む水性組成物では、23℃における2週間後の加水分解率は、7%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下であり得る。また、エステル化合物としてポリグリコール酸を含む水性組成物では、23℃における4週間後の加水分解率は、0.5%以下、好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.1%以下であり得る。なお、「加水分解率(%)」は上記で定義したとおりである。 (用途) 本発明に係る水性組成物は、エステル化合物の加水分解が抑制されているため、トイレタリー用品として好適に用いることができる。トイレタリー用品には、ボディケア(石鹸、ボディソープ、ハンドソープなど)、スキンケア(リップクリーム、ハンドクリーム、日焼け止めクリーム、制汗剤、化粧料など)、シェービング(剃刀、むだ毛処理剃刀、シェービングフォームなど)、ヘアケア(シャンプー、コンディショナー、ヘアスプレー、育毛剤など)、ヘアカラー、フェイスケア(洗顔フォーム、メイク落とし、クレンジングオイル、あぶらとり紙など)など、身体を美しく健康に保ち、また、肌や髪に治療効果のある製品等が含まれる。 また、本発明に係る水性組成物は、トイレタリー用品の中間原料として使用することもできる。例えば、上記(他の添加物)にて説明した添加物を任意のタイミングで任意量を添加して、最終使用用品として使用することができる。 本発明に係る水性組成物をトイレタリー用品として用いる場合、エステル化合物はグリコリドであることが好ましい。 〔2.エステル化合物の加水分解を抑制する方法〕 本実施形態におけるエステル化合物の加水分解を抑制する方法は、ポリグリコール酸、グリコール酸オリゴマーおよびグリコリドから選択される少なくとも1つのエステル化合物と、水とを含む水性組成物において、当該水性組成物中に、少なくとも1つの水溶性溶剤を含ませることにより、水性組成物に含まれるエステル化合物の加水分解を抑制することができる。 本実施形態における水性組成物の基本的構成および好ましい構成は、上記〔1.水性組成物〕にて説明した水性組成物と同じであるため、ここでは説明を省略する。 本実施形態におけるエステル化合物の加水分解を抑制する方法は、水性組成物中に上記した水溶性溶剤が共存していれば、その調製方法が特に限定されない。例えば、上記した水溶性溶剤の水溶液を予め準備しておき、そこにエステル化合物を溶解または分散させることにより、エステル化合物を含む水性組成物中に水溶性溶剤が共存した状態を作り出すことができる。あるいは、初めに、エステル化合物を水に溶解または分散させ、そこに上記した水溶性溶剤を添加するものであってもよい。 さらに、上述のように、水性組成物における水と水溶性溶剤との割合を任意に選択することによって、エステル化合物の加水分解の速度を制御することができる。したがって、本発明では、ポリグリコール酸、グリコール酸オリゴマーおよびグリコリドから選択される少なくとも1つのエステル化合物と、水とを含む水性組成物において、当該少なくとも1つのエステル化合物の加水分解の速度を制御する方法であって、当該水性組成物中に、23℃において水に可溶である少なくとも1つの水溶性溶剤を含ませる、エステル化合物の加水分解の速度を制御する方法がさらに提供される。 以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。 以下、実施例および比較例により本発明をより詳細に説明する。 〔グリコリドの加水分解〕 (方法) グリコリド(GL)3gをバイアル瓶(150mL)に入れ、エタノール、1,3−ブタンジオールまたはグリセリンとイオン交換水とが所定の割合で混合された液体100mLを添加し、23℃において1〜672時間撹拌した(実施例1〜7)。 同様に、グリコリド3gをバイアル瓶(150mL)に入れ、ヒアルロン酸Naとイオン交換水とが所定の割合で混合された液体100mL、あるいはイオン交換水100mLを添加し、23℃において1〜672時間撹拌した(比較例1〜3)。 所定時間ごとに10μLのサンプルを採取し、下記の条件で、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。<HPLCによる分析条件> 装置 検出器:SPD-20A ポンプ:LC-20A カラムオーブン:CTO-20A オートサンプラ:SIL-20A カラム:Intersil ODS-3V(粒径5μm)、250mm、直列×2 流速:0.7mL/min 注入量:10μL カラム温度:40℃ 移動相:0.1M リン酸二水素アンモニウム+リン酸 グリコール酸の定量は、予め標準物質から検量線を求めておき、絶対検量線法によって行った。2週間後の加水分解率は、[(2週間後における水性組成物中のグリコール酸の量)/(水性組成物中のグリコリドが全てグリコール酸にまで分解された場合のグリコール酸の量)]×100として算出した。また、グリコリドの消失時間については、グリコリドのピークが観測されなくなる時間を、グリコリド(GL)消失に要した時間とした。グリコリドのHPLC測定における上記条件でのピークは、グリコール酸とグリコール酸二量体の保持時間の中間付近に観測される。グリコリド、グリコール酸オリゴマー、ポリグリコール酸との反応性評価は、上記条件におけるHPLC測定おいて、グリコリド、グリコール酸二量体、およびグリコール酸以外のピークが検出された場合を反応性ありとした。 (結果) 実施例1〜7および比較例1〜3の結果を表1にまとめた。 〔グリコール酸オリゴマーの加水分解〕 (方法) グリコール酸オリゴマー(GAO;グリコール酸単量体単位が約100)3gをバイアル瓶(150mL)に入れ、エタノール、1,3−ブタンジオールまたはグリセリンとイオン交換水とが所定の割合で混合された液体100mLを添加し、23℃において1〜672時間撹拌した(実施例8〜14)。 同様に、グリコール酸オリゴマー3gをバイアル瓶(150mL)に入れ、イオン交換水100mLを添加し、23℃において1〜672時間撹拌した(比較例4)。 所定時間ごとに10μLのサンプルを採取し、グリセリドの場合と同様に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。2週間後の加水分解率は、[(2週間後における水性組成物中のグリコール酸の量)/(水性組成物中のグリコール酸オリゴマーが全てグリコール酸にまで分解された場合のグリコール酸の量)]×100として算出した。 (結果) 実施例8〜14および比較例4の結果を表2にまとめた。 〔ポリグリコール酸の加水分解〕 (方法) 質量平均分子量(Mw)19万のポリグリコール酸(PGA)3gをバイアル瓶(150mL)に入れ、エタノールまたはグリセリンとイオン交換水とが所定の割合で混合された液体100mLを添加し、23℃において1〜672時間撹拌した(実施例15〜19)。 同様に、ポリグリコール酸3gをバイアル瓶(150mL)に入れ、グリセリンとイオン交換水とが所定の割合で混合された液体100mL、あるいはイオン交換水100mLを添加し、23℃において1〜672時間撹拌した(比較例5)。 所定時間ごとに10μLのサンプルを採取し、グリセリドの場合と同様に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。4週間後の加水分解率は、[(4週間後における水性組成物中のグリコール酸の量)/(水性組成物中のポリグリコール酸が全てグリコール酸にまで分解された場合のグリコール酸の量)]×100として算出した。 (結果) 実施例15〜19および比較例5の結果を表3にまとめた。 本発明は、エステル化合物の加水分解が抑制された水性組成物を利用する分野において利用することができる。特に、本発明は、シワ・ハリ対策、シミ・ソバカス対策、毛穴ケア、ニキビケア、頭皮ケア等を訴求するトイレタリー用品に利用することができる。 水と、ポリグリコール酸、グリコール酸オリゴマーおよびグリコリドから選択される少なくとも1つのエステル化合物と、少なくとも1つの水溶性溶剤とを含み、 上記少なくとも1つの水溶性溶剤は23℃において水に可溶である、水性組成物。 上記少なくとも1つの水溶性溶剤は、アルコール類、フェノール類、ケトン類、エーテル類およびエステル類から選択される、請求項1に記載の水性組成物。 上記少なくとも1つの水溶性溶剤は、炭素数1〜6の1価のアルコール、炭素数1〜8の2価のアルコールおよびフェノール類から選択される、請求項2に記載の水性組成物。 上記少なくとも1つの水溶性溶剤は、炭素数1〜5の1価のアルコールおよび炭素数1〜7の2価のアルコールから選択される、請求項3に記載の水性組成物。 上記少なくとも1つの水溶性溶剤は、炭素数1〜4の1価のアルコールおよび炭素数1〜6の2価のアルコールから選択される、請求項4に記載の水性組成物。 上記少なくとも1つの水溶性溶剤は、エタノールおよび1,3−ブタンジオールから選択される、請求項5に記載の水性組成物。 上記少なくとも1つのエステル化合物はグリコリドである、請求項1〜6の何れか1項に記載の水性組成物。 請求項1〜7の何れか1項に記載の水性組成物を含む、トイレタリー用品。 ポリグリコール酸、グリコール酸オリゴマーおよびグリコリドから選択される少なくとも1つのエステル化合物と、水とを含む水性組成物において、当該少なくとも1つのエステル化合物の加水分解を抑制する方法であって、 当該水性組成物中に、23℃において水に可溶である少なくとも1つの水溶性溶剤を含ませる、エステル化合物の加水分解を抑制する方法。 上記少なくとも1つの水溶性溶剤は、炭素数1〜6の1価のアルコール、炭素数1〜8の2価のアルコールおよびフェノール類から選択される、請求項9に記載のエステル化合物の加水分解を抑制する方法。 上記少なくとも1つの水溶性溶剤は、エタノールおよび1,3−ブタンジオールから選択される、請求項10に記載のエステル化合物の加水分解を抑制する方法。 ポリグリコール酸、グリコール酸オリゴマーおよびグリコリドから選択される少なくとも1つのエステル化合物と、水とを含む水性組成物において、当該少なくとも1つのエステル化合物の加水分解の速度を制御する方法であって、 当該水性組成物中に、23℃において水に可溶である少なくとも1つの水溶性溶剤を含ませる、エステル化合物の加水分解の速度を制御する方法。 【課題】ポリグリコール酸、グリコール酸オリゴマーおよびグリコリドから選択される少なくとも1つのエステル化合物を含む水性組成物であって、当該エステル化合物の加水分解が低減され得る水性組成物を提供すること、および、当該エステル化合物の水性組成物における加水分解を低減する方法を提供すること。【解決手段】当該エステル化合物を含む水性組成物に、23℃において水に可溶である少なくとも1つの水溶性溶剤を含ませる。【選択図】なし


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