タイトル: | 公開特許公報(A)_セラミド類含有液状透明組成物、皮膚外用剤、およびセラミド類含有液状透明組成物の製造方法 |
出願番号: | 2013232585 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 8/42,A61K 8/37,A61K 8/41,A61Q 19/00 |
坂尾 健太郎 横井 彩子 矢部 良人 JP 2015093840 公開特許公報(A) 20150518 2013232585 20131108 セラミド類含有液状透明組成物、皮膚外用剤、およびセラミド類含有液状透明組成物の製造方法 株式会社ミリオナ化粧品 300018150 西原 広徳 100135781 坂尾 健太郎 横井 彩子 矢部 良人 A61K 8/42 20060101AFI20150421BHJP A61K 8/37 20060101ALI20150421BHJP A61K 8/41 20060101ALI20150421BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20150421BHJP JPA61K8/42A61K8/37A61K8/41A61Q19/00 9 OL 18 4C083 4C083AC022 4C083AC072 4C083AC112 4C083AC122 4C083AC172 4C083AC302 4C083AC351 4C083AC352 4C083AC541 4C083AC542 4C083AC582 4C083AC641 4C083AC642 4C083AC661 4C083AC662 4C083AD092 4C083AD332 4C083AD352 4C083AD492 4C083CC03 4C083DD27 4C083EE03 この発明は、セラミドを含有したセラミド類含有液状透明組成物、皮膚外用剤、およびセラミド類含有液状透明組成物の製造方法に関する。 セラミドは、皮膚の角層の細胞間隙に存在する脂質(細胞外角層脂質)の約半分を占めるスフィンゴ脂質の1種で、皮膚のバリア機能に大きな寄与をしているといわれている。また、セラミドは、優れた保湿効果や、肌荒れ防止・改善の効果を有する等、その生体調節機能が知られており、このセラミドを含む細胞外角層脂質を補うことが従来から試みられている。 ここで、セラミド類は、結晶性が高い高融点化合物であり、またその特異的な両親媒性構造により殆どの油溶性あるいは水溶性化粧品基剤(溶媒)に対して著しく溶解性や分散性が低い。このため、セラミド類を製品中に配合しても結晶が析出しやすく、安定化させるのが難しいという問題点がある。 従来、この問題点を解決するものとして、乳化組成物が提案されている(特許文献1参照)。この乳化組成物は、セラミド類とアルキロイル乳酸エステル塩を含有することで、経時的に結晶が析出しないとされている。 しかし、この乳化組成物は、不透明であるという課題が残っていた。すなわち、化粧品等の皮膚外用剤では、透明であることが好まれるが、前述した乳化組成物は透明性を有しないという問題点が残っていた。 一方、セラミド脂質類を透明になるように分散した皮膚外用組成物が提案されている(特許文献2参照)。この皮膚外用組成物は、(a)アミノ酸、(b)セラミド脂質類、(c)N−アシル−N−アルキルタウリン又はその塩、(d)水性成分を含有し、成分(b)の含有量が0.001〜0.6質量%であって、成分(b)と(c)の質量比((b)/(c))が0.1以上2未満であり、波長550nmで1cmの光路長における透過率が水に対して70%以上とされている。これにより、セラミド脂質類を透明になるように分散した皮膚外用組成物を提供できるとされている。 しかし、この特許文献2の実施例に記載されているセラミドは、天然型セラミドではなく疑似セラミド(セラミドの構造に類似した物質)であるという問題点がある。疑似セラミドは、保湿力、バリア機能回復力が低いと言われており、好ましくないという問題点があった。また、この特許文献2は、天然型セラミドを用いた実施例6が1例のみ記されているが、実験したところ天然型セラミドが溶解せず再現性がなかった。特開2000−256188号公報特開2009−179608号公報 この発明は、上述の問題に鑑みて、セラミドとして天然型セラミドを用いても溶解でき、結晶析出せず、透明性のあるセラミド類含有液状透明組成物、皮膚外用剤、およびセラミド類含有液状透明組成物の製造方法を提供することを目的とする。 この発明は、(A)セラミド又はセラミド類似物質及び/又はそれらの誘導体と、(B)スフィンゴイド塩基及び/又はその誘導体と、(C)アシル乳酸及び/又はその塩とを含有し、透明性を有するセラミド類含有液状透明組成物であることを特徴とする。 この発明により、セラミドとして天然型セラミドを用いても溶解でき、結晶析出せず、透明性のあるセラミド類含有液状透明組成物、皮膚外用剤、およびセラミド類含有液状透明組成物の製造方法を提供できる。 この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。 本発明の組成物は、セラミド又はセラミド類似物質及び/又はそれらの誘導体と、スフィンゴイド塩基及び/又はその誘導体と、アシル乳酸塩と、アシルアミノ酸及び/又はその塩を含有することを特徴としている。そして、本発明の組成物は、さらにジカルボン酸アミド及び/又はその塩、α,ε−ビス(γ−N−(炭素数10〜30)アシルグルタミル)リジン及び/又はその塩から選択される1種又は2種以上を含有することができ、さらにステロール類を含有することができ、一般的に化粧料に配合される各種成分を含有することができる。 以下、「セラミド」は、「セラミド類似物質(疑似セラミド)」を含まない用語として使用する。「セラミド類」は、「セラミド」、「セラミド類似物質(疑似セラミド)」、および/又はこれらの誘導体を含む用語として使用する。 <スフィンゴイド塩基及び/又はその誘導体(以下、スフィンゴイド塩基類)> 本発明に従う組成物に存在するスフィンゴイド塩基は、次の[化1]に従う一般構造を有している。 ここで、AはCH2−CH2、CH=CH又はC(H)OH−CH2を表し、R1は、一又は複数のヒドロキシ基を含有していてもよい、8〜28個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基を表す。 好ましいAとR1の組み合わせは、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、6−ヒドロキシスフィンゴシン、スフィンガニン(ジヒドロキシスフィンゴシン)である。 スフィンゴイド塩基の誘導体は、[化1]に示したスフィンゴイド塩基骨格を持つ物質であればいずれでもよく、例えばサリチロイルフィトスフィンゴシン、テトラアセチルフィトスフィンゴシン、塩酸フィトスフィンゴシン、スフィンゴシン−1−リン酸等から選択できる。 スフィンゴイド塩基類は、これらのスフィンゴイド塩基及び/又はその誘導体の1種または2種以上を用いることができる。 このスフィンゴイド塩基類を用いることで、セラミド類含有液状透明組成物の調整後に結晶が析出することを防止し、安定性を向上させることができる。 <セラミド又はセラミド類似物質及び/又はその誘導体(以下、セラミド類)> 本発明に従う組成物に存在するセラミドは、スフィンゴイド塩基のアミノ基に脂肪酸が酸アミド結合したものであり、次の[化2]に従う一般構造を有している。 ここで、A及びR1は上記[化1]で定義した基であり、R2は、1〜60の炭素原子、好ましくは3〜57の炭素原子、より好ましくは6〜24の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基であり、このアルキル鎖は任意に酸素原子又は内部エステル基によって中断されていてもよく、かつ一又は複数のヒドロキシ基を含有していてもよい。 したがって、セラミドには、スフィンゴイド塩基と脂肪酸との可能な種々の組合せにより、Robson, K.J.;Stewart, M.E.;Michelsen, S.;Lazo, N.D.;Downing, D.T.,6-hydroxy-4-sphingenine in human epidermal ceramides, J. Lipid Res. 199435:2060-2068;及びMasukawa Y, ;Narita H, Shimizu E, ;Kondo N, ;Sugai Y, ;Oba T, ;HommaR,; Ishikawa J, ;Takagi Y, ;Kitahara T,;Takema Y, ;Kita K., Characterization ofoverall ceramide species in human stratum corneum, J Lipid Res. 2008Jul;49(7):1466- 76に列挙されているように、次の12種のセラミド類に分類される。 (1) N−(ω−OH−アシル)アシル−ジヒドロスフィンゴシン・セラミド(Cer[EODS]若しくはセラミドEODSと称する場合もある) (2) N−(ω−OH−アシル)アシル−スフィンゴシン・セラミド(Cer[EOS]若しくはセラミドEOSと称する場合もある) (3) N−(ω−OH−アシル)アシル−フィトスフィンゴシン・セラミド(Cer[EOP]若しくはセラミドEOPと称する場合もある) (4) N−(ω−OH−アシル)アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド(Cer[EOH]若しくはセラミドEOHと称する場合もある) (5) N−アシル−ジヒドロスフィンゴシン・セラミド(Cer[NDS]若しくはセラミドNDSと称する場合もある)、 (6) N−アシル−スフィンゴシン・セラミド(Cer[NS]若しくはセラミドNSと称する場合もある) (7) N−アシル−フィトスフィンゴシン・セラミド(Cer[NP]若しくはセラミドNPと称する場合もある) (8) N−アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド(Cer[NH]若しくはセラミドNHと称する場合もある) (9) N−(α−OH−アシル)−ジヒドロスフィンゴシン・セラミド(Cer[ADS]若しくはセラミドADSと称する場合もある) (10) N−(α−OH−アシル)−スフィンゴシン・セラミド(Cer[AS]若しくはセラミドASと称する場合もある) (11) N−(α−OH−アシル)−フィトスフィンゴシン・セラミド(Cer[AP]若しくはセラミドAPと称する場合もある) (12) N−(α−OH−アシル)−6−OH−スフィンゴシン・セラミド(Cer[AH]若しくはセラミドAHと称する場合もある) これら12種類のセラミドの構造は、特開2008−261754に開示されている。 これらのセラミドは、天然型(D−erythro体)の光学活性体を用いても、非天然型の光学活性体を用いても、さらに天然型と非天然型の混合物を用いても良い。天然型セラミドは、天然からの抽出物である天然セラミド及び化学合成によりえられた合成セラミド(非天然型セラミド)のいずれでもよく、また、ヒト型セラミドと非ヒト型セラミドのいずれでもよく、市販のものを用いることができる。 セラミドの誘導体とは、[化2]に示したセラミド骨格を持つ物質であればいずれでもよく、例えばスフィンゴミエリンやスフィンゴシルホスホリルコリン等のスフィンゴ燐脂質、α−ガラクトシルセラミド、セレブロシドやガングリオシド等のスフィンゴ糖脂質、特開2011−195527号公報、特開2000−143598号公報、特開2000−86601号公報、特開平6−157486号公報、WO2010/038765号公報等に記載のセラミド類似構造物質等が好適に例示できる。 また、セラミド類は、天然セラミドと化学的構造や性質が類似した、疑似セラミド等のセラミド類似物質であっても良く、N−(2−ヒドロキシ−3−ヘキサデシロキシプロピル)−N−2−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド、トリヒドロキシパルミタミドヒドロキシプロピルミリスチルエーテル、セチルヒドロキシプロリンパルミタミドや特開2000−186030号公報や特開2000−186013号公報に記載のセラミド類似物質等が好適に例示できる。 <スフィンゴ脂質類> スフィンゴ脂質とは、スフィンゴイド塩基を骨格としてもつ脂質のことを指す。本発明において「スフィンゴイド塩基類」と「セラミド類」を合わせて「スフィンゴ脂質類」という。 <アシル乳酸及び/又はその塩(以下、アシル乳酸類)> 本発明に従う組成物に存在するアシル乳酸塩は、次の[化3]に示す一般式で表されるものである。 ここで、Rは、飽和若しくは不飽和で、分岐若しくは直鎖状であり、親水性置換基を有してもよい、炭素数8以上の脂肪酸である。nは1以上の整数を表し、Mはナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム,アンモニウム,トリエタノールアミン,アンモニウム,アルギニンから選択される1種を示す。 かかるアシル乳酸塩としては、オクタノイル乳酸,2−エチルヘキサノイル乳酸,ラウロイル乳酸,ミリストイル乳酸,パルミトイル乳酸,ステアロイル乳酸,イソステアロイル乳酸,オレオイル乳酸,12−ヒドロキシステアロイル乳酸,リシノレイル乳酸,ベヘノイル乳酸等の、ナトリウム塩,カルシウム塩,マグネシウム塩,アンモニウム塩,トリエタノールアミン塩,アルギニン塩等が挙げられる。 これらのアシル乳酸塩のなかでも、アシル乳酸塩は、分岐型もしくは不飽和型もしくは直鎖型の炭素数8〜12のアシル乳酸塩が望ましく、イソステアロイル乳酸ナトリウムが好適である。 アシル乳酸塩は、単独で配合してもよく、二種以上を組み合わせて配合してもよい。 このアシル乳酸類を用いることで、セラミド類含有液状透明組成物を結晶析出させずに透明にすることが可能になる。 <N−アシルアミノ酸及び/又はその塩> 本発明に従う組成物に存在するN−アシルアミノ酸及び/又はその塩は、水溶性の陰イオン性界面活性剤である。N−アシルアミノ酸を構成するアミノ酸としては、プロリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、アラニン、スレオニン、メチルアラニン、サルコシン、リジン、アルギニン等が挙げられる。これらのアミノ酸は、L体、D体又はDL体の何れでもよい。これらのうち1種類を使用してもよいし、上記の群から選ばれる2種以上を混合して使用してもよい。安定性や使用感の点から、酸性アミノ酸又は中性アミノ酸がより好ましい。具体的には、プロリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、アラニンが更に好ましく、プロリンが特に好ましい。 N−アシルアミノ酸を構成するアシル基としては、炭素数8〜22の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖の脂肪酸由来のアシル基が使用できる。例えば、脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘニン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を混合して使用することができる。特に経時安定性、使用感の点から、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸が好ましく、特にカプリン酸が好ましい。 N−アシルアミノ酸の塩としては特に限定されず、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛等の無機塩、あるいはアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミンや、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸等の有機塩が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を混合して使用することができる。市場での入手の容易性から、ナトリウム、カリウム、トリエタノールアミン、アルギニンの塩が好ましい。 具体例としては、カプロイルプロリン、ヤシ油脂肪酸由来アシル化グルタミン酸、パーム油脂肪酸由来アシル化グルタミン酸、ラウロイルアスパラギン酸、ミリストイルグルタミン酸、ラウロイルグルタミン酸、ステアロイルグルタミン酸、ヤシ油脂肪酸由来アシル化アラニン、ヤシ油脂肪酸由来アシル化グリシン及びこれらのアルカリ金属塩等が挙げられる。具体的には、カプロイルプロリンナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミンが挙げられ、中でもカプロイルプロリンナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウムが好ましく、保湿性や刺激性の観点からカプロイルプロリンナトリウムが特に好ましい。 <ジカルボン酸アミド及び/又はその塩> 本発明に従う組成物に存在するジカルボン酸アミドは、次の[化4]に示す一般式で表されるものである。 ここでnは1以上の整数を表し、好ましくは4〜10、より好ましくは6〜8である。Rは、−N(R’)(R”)基である。但しR’はHまたはC1〜C4アルキル基であり、R”はH、C1〜C4アルキル基、またはC1〜C4カルボキシ基である。 好ましいジカルボン酸は、アゼライン酸である。したがって、ジカルボン酸の中では、アゼロイルジグリシン等のアゼライン酸アミドが好ましく、これらは塩、好ましくは、カリウムアゼロイルジグリシネート等のナトリウムまたはカリウムの塩の形態をとってもよい。 <α,ε−ビス(γ−N−(炭素数10〜30)アシルグルタミル)リジン及び/又はその塩> 本発明に従う組成物に存在するα,ε−ビス(γ−N−(炭素数10〜30)アシルグルタミル)リジンは、次の[化5]に示す一般式で表されるものである。 ここで、R1、R2はそれぞれ独立に炭素数10〜30のアシル基を表す。 アシル基としては、直鎖であっても、分岐構造を有していても、環状構造を有していても良く、飽和脂肪族であっても、不飽和脂肪族であっても良い。アシル基の具体例としては、例えば、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ベヘノイル基、イソステアロイル基、オレオイル基、リノロイル基等が例示でき、これらの中ではラウロイル基が特に好ましい。又、α,ε−ビス(γ−N−(炭素数10〜30)アシルグルタミル)リジンは2つのアシル基を有することになるが、かかる2つのアシル基としては、同じであっても、異なっていても良く、ペリセア(登録商標)L−30等の市販のものを用いることができる。 α,ε−ビス(γ−N−(炭素数10〜30)アシルグルタミル)リジンの塩としては、皮膚外用剤で使用されるものであれば、特段の限定無く使用でき、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノエタノールアミン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギン酸塩等の塩基性アミノ酸塩等が好適に例示できる。 これらの成分(D)「N−アシルアミノ酸及び/又はその塩、ジカルボン酸アミド及び/又はその塩、α,ε−ビス(γ−N−(炭素数10〜30)アシルグルタミル)リジン及び/又はその塩」は、単体で保湿効果及び/又はバリア機能改善効果を有する物質である。このように、単体で保湿効果及び/又はバリア機能改善効果を有する物質を用いることで、セラミドの効果を高めることができる。 <ステロール> ステロール類は、ステロイド骨格を有するアルコールであれば特に制限はなく、コレステロール、ジヒドロコレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、スチグマスタノール、カンペステロール、シトステロール、エルゴステロール等が例示できる。なかでも、コレステロールやフィトステロールが好ましい。フィトステロールは植物性ステロール類の総称であり、植物性のステロール類には、スチグマスタノール、カンペステロール、シトステロール等が存し、これらを一括して、フィトステロールと総称している。 このステロール類により、ベシクル膜の流動性を向上させることができ、安定性を向上させることができる。 <セラミド溶解性向上物質> セラミド溶解性向上物質として、多価アルコール類を用いることができ、中でもアルカンジオールを用いることが好ましい。アルカンジオールの具体例としては、1,2−ペンタンジオールが好ましいが、これらに限らない。このようにセラミド溶解性向上物質を用いることで、セラミドの溶解性を高めることができる。 <配合量> (A)セラミド類(セラミド又はセラミド類似物質及び/又はそれらの誘導体)は、セラミド類含有液状透明組成物全体の0.05〜20重量%が好ましく、0.075〜10重量%がより好ましい。 (B)スフィンゴイド塩基類(スフィンゴイド塩基及び/又はその誘導体)は、セラミド類の1/10〜1/1の量が好ましく、1/4〜1/2の量がより好ましく、1/3程度の量が好適である。 (A+B)スフィンゴ脂質類(セラミド類とスフィンゴイド塩基類の和)は、セラミド類含有液状透明組成物全体の0.1〜5重量%が好ましく、0.1〜3重量%がより好ましい。 (C)アシル乳酸類(アシル乳酸及び/又はその塩)は、スフィンゴ脂質類(セラミド類とスフィンゴイド塩基類の和)の0.25倍〜20倍とすることができ、0.5倍〜10倍が好ましく、1倍〜9倍が好適である。 (D)保湿成分(N−アシルアミノ酸及び/又はその塩、ジカルボン酸アミド及び/又はその塩、α,ε−ビス(γ−N−(炭素数10〜30)アシルグルタミル)リジン及び/又はその塩から選択される1種又は2種以上)は、スフィンゴ脂質類(セラミド類とスフィンゴイド塩基類の和)の0.5倍〜70倍とすることができ、1倍〜65倍が好ましく、1倍〜10倍がより好ましく、1.5倍〜6.5倍が好適である。 ステロール類は、セラミド類の1倍以下とすることができ、0.5倍以下が好ましく、0.4倍以下が好適である。 セラミド溶解性向上物質は、セラミド類含有液状透明組成物全体の1〜40重量%が好ましく、1.5〜20重量%がより好ましく、2〜10重量%がさらに好ましい。 本発明の実施例1〜14について説明する。 表1,表2は、実施例1〜14の成分と効果を示している。これらの実施例1〜14は、表1,2に記載の成分を記載の量だけ秤取り、次の手順により各組成物を調製した。 <組成物の調製手順> まず、(A)セラミド類と(B)スフィンゴイド塩基類と(C)アシル乳酸類と(E)ステロール類を多価アルコール等の適当な溶媒に70〜85℃で均一に溶解する。 このとき、(A)セラミド類及び(B)スフィンゴイド塩基類と相溶性の高いアルカンジオール等のセラミド溶解性向上物質を用いて溶解することで、完全溶解を容易にすることができる。また、ステロール類を用いることで、ある程度温度が下がっても結晶析出を防止して(A)セラミド類及び(B)スフィンゴイド塩基類を溶解可能にすることができる。 次に、(D)N−アシルアミノ酸及び/又はその塩、ジカルボン酸アミド及び/又はその塩、α,ε−ビス(γ−N−(炭素数10〜30)アシルグルタミル)リジン及び/又はその塩から選択される1種又は2種以上と(F)水や防腐剤等のその他成分(水性成分)を室温混合する。このとき、成分(D)を用いることで、室温においても結晶析出がない透明の液状組成物を作成することが可能になる。このようにして、実施例1〜14の各セラミド類含有液状透明組成物を得た。 調製された実施例1〜14のセラミド類含有液状透明組成物、及び実施例1〜14のセラミド類含有液状透明組成物を精製水で10倍希釈した液の外観の透明性と安定性の評価を下記の外観評価試験に従って行った。 <外観評価試験> 組成物の調製直後と、調製後に室温と5℃と40℃において2週間静置後、目視により外観を評価した。10倍希釈液も同様に評価した。評価は、下記の評価基準に従った。 ◎透明 ○ほぼ透明 △やや白濁 ▲白濁 ×溶解せず、もしくは結晶等の析出 各実施例に示すように、十分な量のセラミドを溶解し、結晶等が析出せず、2週間静置しても安定しているセラミド類含有液状透明組成物を調整できた。 <比較例> また、実施例1〜14と同様にして、表3に示す比較例1〜7を作成し、同じく外観評価試験に従って評価した。 以上の実施例1〜14に示すように、結晶性が高く皮膚外用剤等への高配合が困難であったセラミドを安定に含有して結晶析出が無いセラミド類含有液状透明組成物(セラミド含有液状組成物またはセラミド類似物質含有液状組成物)を提供することができる。 また、実施例1〜14のセラミド類含有液状透明組成物により、セラミドの配合が難しかった透明な製剤(ローション、美容液、ゲルクリーム等)に、セラミドの効果(保湿効果やバリア機能改善効果等)が期待できる量を簡単に配合することができる。 また、従来であれば大量の界面活性剤を必要としていたが、少量の界面活性剤でセラミド類を高配合したセラミド類含有液状透明組成物を提供できる。このため、皮膚外用剤中にセラミド類及びスフィンゴイド塩基類を合わせて0.01%(セラミドの効果を発揮できる量)含有させることが容易であり、皮膚外用剤について化粧品として匂い成分やしっとり感を出す成分を含有させる等、化粧品としての自由度を高めることができる。具体的には、実施例1〜14のセラミド類含有液状透明組成物を皮膚外用剤に10%配合するだけで、皮膚外用剤中のセラミド類及びスフィンゴイド塩基類の合計割合を0.01%以上とすることができる。 また、実施例1〜14のセラミド類含有液状透明組成物により、セラミドのベシクル内に有効成分を内包させ、それを含有する皮膚外用剤を用いて、皮膚環境を改善することができる。 また、実施例1〜14のセラミド類含有液状透明組成物により、セラミド類似物質ではなくセラミドを使用して、透明性の高いセラミド類含有液状透明組成物を提供することができる。 また、実施例1〜14のセラミド類含有液状透明組成物により、セラミド類を含むスフィンゴ脂質類の相溶性を著しく向上させることができ、透明であることを特徴とするスフィンゴ脂質類を含有する皮膚外用剤の調製が容易になるばかりでなく、皮膚外用剤の保存安定性を高めることができる。 また、実施例1〜14のセラミド類含有液状透明組成物における界面活性剤の量は、セラミドの量に対して9倍以下、スフィンゴ糖質の量に対して6.5倍以下の量で充分であるため、ローション等を製剤する際に必要な量のセラミドを無理なく配合することができる。すなわち、界面活性剤の割合が多すぎると(例えばスフィンゴ糖質の量の17倍等)、ローション等の製剤に必要な量のセラミドを高配合することができなくなるが、実施例1〜14のセラミド類含有液状透明組成物により、このような問題が生じることなく必要量のセラミドを配合させることができる。 また、界面活性剤として成分(C)「アシル乳酸及び/又はその塩」や成分(D)「N−アシルアミノ酸及び/又はその塩、ジカルボン酸アミド及び/又はその塩、α,ε−ビス(γ−N−(炭素数10〜30)アシルグルタミル)リジン及び/又はその塩から選択される1種又は2種以上」等の陰イオン界面活性剤を用いることができる。 また、実施例1〜14のセラミド類含有液状透明組成物を用いることで粒子径が約40nm〜60nmと細かい皮膚外用剤を作成できるため、浸透性の高い独特の使用感のある皮膚外用剤を提供することができる。 また、透明とすることで、皮膚外用剤の外観に高級感を付与することができる。 なお、実施例4と9と比較例3と5について偏光顕微鏡(オリンパス システム工学顕微鏡 BH2)を用いて偏光を確認した。比較例3と5の観察結果では、何れも偏光の存在は認められなかったが、実施例4と9の観察結果では、それぞれ偏光の存在が確認できた。このことから、本発明はベシクルを形成していると推察できる。 <応用例> 次に、実施例1〜14のセラミド類含有液状透明組成物を用いた皮膚外用剤の実施例について説明する。 なお、以下の応用例の平均粒径の測定には、動的光散乱式粒度分布測定装置(HORIBA LB−550)を用いた。本発明においては、測定結果のメジアン径を平均粒径として算出した。 [表4]は、実施例9のセラミド類含有液状透明組成物を用いた化粧水の実施例を示している。ほぼ透明の外観を有し結晶析出のない安定した化粧水を得ることができた。 [表5]は、実施例4のセラミド類含有液状透明組成物を用いた美容液の実施例を示している。透明の外観を有し結晶析出のない安定した美容液を得ることができた。 [表6]は、実施例3のセラミド類含有液状透明組成物を用いたゲルの実施例を示している。透明の外観を有し結晶析出のない安定したゲルを得ることができた。 [表7]は、実施例3のセラミド類含有液状透明組成物を用いた化粧用のクリームの実施例を示している。クリームであるから透明である必要はないが、セラミド類含有液状透明組成物を含有してもクリームの色味にほとんど影響を与えることなく、結晶析出のない安定したクリームを得ることができた。 以上に示すように、本発明のセラミド類含有液状透明組成物を用いて、セラミドの有する優れた保湿効果、肌荒れ防止・改善の効果を利用して細胞外角層脂質を補うことのできる皮膚外用剤を提供することができる。 本発明のセラミド類含有液状透明組成物が容易に溶解する透明な物質であるため、セラミドの機能を活かした様々な種類の皮膚外用剤を容易に調整することができる。 この発明は、化粧品や医薬部外品や医薬品等、様々な皮膚外用剤に利用することができる。 (A)セラミド又はセラミド類似物質及び/又はそれらの誘導体と、 (B)スフィンゴイド塩基及び/又はその誘導体と、 (C)アシル乳酸及び/又はその塩とを含有し、透明性を有することを特徴とするセラミド類含有液状透明組成物。 (D)N−アシルアミノ酸及び/又はその塩、ジカルボン酸アミド及び/又はその塩、α,ε−ビス(γ−N−(炭素数10〜30)アシルグルタミル)リジン及び/又はその塩から選択される1種又は2種以上を含有した請求項1記載のセラミド類含有液状透明組成物。 前記N−アシルアミノ酸及び/又はその塩として、カプロイルプロリンを含有した請求項2記載のセラミド類含有液状透明組成物。 前記ジカルボン酸アミド及び/又はその塩として、カリウムアゼロイルジグリシネートを含有した請求項2または3記載のセラミド類含有液状透明組成物。 前記アシル乳酸及び/又はその塩が、分岐型、不飽和型、又は炭素数8〜12の直鎖型のアシル乳酸塩である請求項1から4のいずれか1つに記載のセラミド類含有液状透明組成物。 前記アシル乳酸及び/又はその塩が、イソステアロイル乳酸ナトリウムである請求項5記載のセラミド類含有液状透明組成物。 ステロール類を含有した請求項1から6のいずれか1つに記載のセラミド類含有液状透明組成物。 (A)セラミド又はセラミド類似物質及び/又はそれらの誘導体と、 (B)スフィンゴイド塩基及び/又はその誘導体と、 (C)アシル乳酸及び/又はその塩とを含有した皮膚外用剤。 (A)セラミド又はセラミド類似物質及び/又はそれらの誘導体と、 (B)スフィンゴイド塩基及び/又はその誘導体と、 (C)アシル乳酸及び/又はその塩とを加温して混合し、 (D)N−アシルアミノ酸及び/又はその塩、ジカルボン酸アミド及び/又はその塩、α,ε−ビス(γ−N−(炭素数10〜30)アシルグルタミル)リジン及び/又はその塩から選択される1種又は2種以上を混合するセラミド類含有液状透明組成物の製造方法。 【課題】セラミドとして天然型セラミドを用いても溶解でき、結晶析出せず、透明性のある皮膚外用剤、セラミド類含有液状透明組成物、およびセラミド類含有液状透明組成物の製造方法を提供する。【解決手段】(A)セラミド1,2,3,又は6と、(B)フィトスフィンゴシン又はサリチロイルフィトスフィンゴシンと、(C)イソステアロイル乳酸ナトリウムと、(D)カプロイルプロリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン、ペリセアL−30、又はカリウムアゼロイルジグリシネートを含有するセラミド類含有液状透明組成物を調整した。【選択図】なし