タイトル: | 公開特許公報(A)_過活動膀胱を治療および/または予防するための医薬組成物 |
出願番号: | 2013217245 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 31/4704,A61P 13/10,A61K 9/06,A61K 9/02 |
中田 真木 JP 2015078162 公開特許公報(A) 20150423 2013217245 20131018 過活動膀胱を治療および/または予防するための医薬組成物 中田 真木 500525047 南条 雅裕 100113376 瀬田 あや子 100179394 伊波 興一朗 100185384 中田 真木 A61K 31/4704 20060101AFI20150327BHJP A61P 13/10 20060101ALI20150327BHJP A61K 9/06 20060101ALI20150327BHJP A61K 9/02 20060101ALI20150327BHJP JPA61K31/4704A61P13/10A61K9/06A61K9/02 6 OL 6 4C076 4C086 4C076AA01 4C076AA06 4C076AA09 4C076BB21 4C076BB30 4C076CC17 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC29 4C086MA01 4C086MA04 4C086MA28 4C086MA56 4C086NA14 4C086ZA81 本発明は、もっとも典型的には、過活動膀胱を治療および/または予防するための医薬組成物に関する。より具体的には、本発明の医薬組成物は、(2RS)−2−(4−クロロベンゾイルアミノ)−3−(2−オキソ−1、2−ジヒドロキノリン−4−イル)プロパン酸またはその塩を有効成分として含む。 過活動膀胱(overactive bladder、OAB)は泌尿器科、内科、産婦人科、整形外科を含む多診療科にまたがる疾患であり、膀胱の不随意の収縮による尿意切迫感を伴う排尿障害である。病因に基づき、神経因性OABと非神経因性OABに大別される。過活動膀胱は、尿意切迫感を主症状とし、頻尿、夜間頻尿や、切迫性尿失禁を伴う。 過活動膀胱は、特に高齢者に多く認められる疾患であることから、近年の社会の高齢化に伴って注目が集まっている。 過活動膀胱の治療には、従来から抗コリン薬が使用されているが、口渇や便秘等の副作用により、継続的な使用が困難な場合があり、そのような副作用の内治療薬が望まれている。 このように、真に有効な過活動膀胱を治療および/または予防するための医薬組成物が、社会的要請としても切望されてきた。 本発明の課題は、有効な過活動膀胱を治療および/または予防するための医薬組成物を提供することにある。 本発明の発明者は、産婦人科の医師であるが、当該診療科において多くの患者の治療に専心するにあたり、全くの偶然に基づき、本発明の化合物が、過活動膀胱に極めて顕著な効果を有する可能性を見出し、その後、鋭意検討を重ね、本発明を完成するに至った。 すなわち、上述の課題を解決するために、本発明は、以下の実施態様を含む。 すなわち、本発明は、一実施態様において、(2RS)−2−(4−クロロベンゾイルアミノ)−3−(2−オキソ−1、2−ジヒドロキノリン−4−イル)プロパン酸またはその塩を含む、過活動膀胱を治療および/または予防するための医薬組成物に関する。ここで、前記過活動膀胱は、尿意切迫感、頻尿、夜間頻尿、または、切迫性尿失禁を伴うものであってもよい。 また、本発明の医薬組成物は、一実施態様において、膣内に投与されるために調製されることができ、また、外陰部に投与するために調製されることもできる。 さらに、本発明の医薬組成物は、一実施態様において、軟膏、ゲル剤、膣座薬として調製されることもできる。 また、本発明は、一実施態様において、過活動膀胱を治療および/または予防するための医薬組成物の製造のための、(2RS)−2−(4−クロロベンゾイルアミノ)−3−(2−オキソ−1、2−ジヒドロキノリン−4−イル)プロパン酸またはその塩の使用に関する。 また、本発明は、一実施態様において、対象における過活動膀胱を治療および/または予防するための方法であって、治療上有効量の(2RS)−2−(4−クロロベンゾイルアミノ)−3−(2−オキソ−1、2−ジヒドロキノリン−4−イル)プロパン酸またはその塩を当該対象に投与することを特徴とする、方法に関する。 本発明は、上述のとおり、一実施態様において、過活動膀胱を治療および/または予防するための医薬組成物を提供する。過活動膀胱は、患者の生活の質を著しく低下させるものであり、本発明の医薬組成物は、患者の生活の質の向上に極めて有用である。 本発明においては、(2RS)−2−(4−クロロベンゾイルアミノ)−3−(2−オキソ−1、2−ジヒドロキノリン−4−イル)プロパン酸またはその塩が用いられる。 (2RS)−2−(4−クロロベンゾイルアミノ)−3−(2−オキソ−1、2−ジヒドロキノリン−4−イル)プロパン酸の英文名称は、((2RS)−2−(4−Chlorobenzoylamino)−3−(2−oxo−1、2−dihydroquinolin−4−yl)propanoic acid)である。 (2RS)−2−(4−クロロベンゾイルアミノ)−3−(2−オキソ−1、2−ジヒドロキノリン−4−イル)プロパン酸は、一般名をレバミピド(Rebamipide)として広く知られている。 レバミピドを有効成分とする薬剤としては、ムコスタが上市されている。ムコスタは、胃潰瘍や、胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善や、ドライアイを対象疾患として、上市されている。しかしながら、過活動膀胱の治療にレバミピドを有効であるとの知見はない。 本発明において、レバミピドの塩とは、レバミピドの薬学的に許容される塩を指し、本発明の効果が得られる限り、どのような形態であってもよい。例えば、薬学的に許容される塩には、例えば、無機塩基または有機塩基との塩が含まれる。前記無機塩基としては、例えば、アンモニア、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の水酸化物、炭酸塩、または重炭酸塩等が挙げられる。 本発明において、レバミピドを有効成分とする医薬組成物の投与ルートや剤型は、本発明の効果が得られる限り、特に限定はない。 一実施態様においては、好ましい投与ルートとしては、膣内や外陰部への投与が挙げられる。膣内へ投与することにより、膣内において長期に薬剤を保持し、外尿道口へ薬剤を持続的に送達させることができる。また、外陰部への投与することによっても、外尿道口へ薬剤を持続的に送達させることができる。 外陰部に投与する場合には、薬剤の剤型としては、薬剤の長期保持の観点からは、軟膏やゲル剤が好ましい。膣内に投与する場合には、そのような要請は強くなく、膣座薬など、固体状の剤型であってもよい。また、膣内に投与する場合には、例えば、錠剤をそのまま、または、適宜、割錠して用いることもできる。また、当業者であれば、選択される剤型に応じて薬物の送達をより効果的にするために、種々の変形(例えば、徐放化など)をすることができるであろう。 軟膏やゲル剤は、当業者が常法により調製することができる。一例としては、本明細書の実施例に記載の方法により調製することもできるが、これは、本発明を限定するものではない。 また、膣座薬も、当業者が常法により調製することができる。一例としては、次の方法により調製することができるが、これは、本発明を限定するものではない。すなわち、基剤にはWhitepsol H−15(ミツバ貿易(株))を用い、最終用量2〜2.7gに対して、レバミピドの主薬量として300mgや900mgとなるよう秤量する。基剤をビーカーにとり50℃程度に加温して融解し、ここに主薬を加え、均一になるまで撹拌する。あらかじめ加温したピペットを用いて、座剤型に注ぎ、4℃に冷却後に型から取り出し、包装する。 また、本発明において、レバミピドを有効成分とする医薬組成物の投与頻度や投与のタイミングや投与量は、本発明の効果が得られる限り、特に限定はない。 例えば、1日数度投与する製剤を想定することもできるし、逆に、数日に1度投与する製剤を想定することもできる。また、投与のタイミングとしては、例えば、就寝前に投与することができる。また、投与量としては、例えば、レバミミドに換算して、1日1回2mg〜50mg、例えば2mg〜20mgとすることもできる。当業者であれば、患者の状態(年齢、性別、体重などを含む)や過活動膀胱の重症度に応じて、適宜、投与頻度や投与のタイミングや投与量を最適化することができるであろう。以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下に示す実施例によって何ら限定されるものではない。 [調製例] レバミピド軟膏の調製 レバミピドを含む軟膏の調製に用いた材料は次の通りであった:−ムコスタ点眼UD(オーツカ) 2% 0.35mL 5バイアル−アズノール軟膏(日本新薬)0.033% 10グラム アズノール軟膏は、その軟膏としての性質を利用するために利用した。アズノールの有効成分自体には、過活動膀胱を治療する効果は無いと考えられる。 まず、アズノール軟膏を秤量し、容器に移した。ムコスタ点眼UDは静置しておき、薬効成分(固体、レバミピドの細粒)の沈降を待った。沈降が確認できたら上澄みを捨て、本数分の沈渣を容器中のアズノール軟膏に添加し、へらで十分に混合することによって、レバミピド軟膏(全量 約10グラム レバミピドを0.35%含有 約20回分)を調製した。[試験例] 以下のように過活動膀胱を患う5名の患者(患者ID:KT、IM、KM、KS、NY)にレバミピドを投与した。(患者の概要) レバミピドを投与する前の当該5名の患者の所見は次のとおりであった。いずれの患者も深刻な兆候を示していた。いずれの症例も、咳テストは陰性、尿検査で細菌尿を認めず、尿流波形と排尿後残尿により排出障害のないことが確認された。(投与) 患者KTおよび患者IMには、上記調製例にしたがい調製された軟膏を投与した。投与は、外陰部(外尿道口を含む膣前庭領域)に手指でたっぷりと塗布することによって行った。また、投与頻度は、1日1回、就寝前に行った。 また、患者KM、患者KS、および、患者NYには、商業的に入手可能なレバミピド100mgを含む錠剤を二分割した一片を投与した。投与は錠剤の一片(レバミピド50mg)を1日1回、就寝前に膣内に深く挿入することによって行った。(試験結果) 投与開始後、約1週間経過時点での試験結果を以下の表にまとめる。 上表からわかるとおり、全ての患者において、画期的に、症状が改善している。 なお、患者KMは、レバミピドの投与開始前および投与開始から3週間は、ミラベクロンをも経口にて服用していたが、その後、患者KMは自主的に、ミラベクロンの服用を止めた。しかしながら、ミラベクロンの服用中止後も尿もれの兆候は認められず、過活動膀胱の症状の持続的な改善が認められた。また、患者KTは、レバミピドの投与と併用して、エストラジオールも経皮にて投与されていた。もっとも、他の患者の試験結果を踏まえるなら、エストラジオールとの併用は、過活動膀胱の治療の効果の発現のために必須ではないと考えられる。なお、患者KSは、レバミピドの局所投与と併用して、ミラベクロンも経口にて服用していた。もっとも、他の患者の試験結果を踏まえるなら、ミラベクロンとの併用は、過活動膀胱の治療の効果の発現のために必須ではない。 本発明の医薬組成物を用いることにより、過活動膀胱を効果的に治療および/または予防し得る。 (2RS)−2−(4−クロロベンゾイルアミノ)−3−(2−オキソ−1、2−ジヒドロキノリン−4−イル)プロパン酸またはその塩を含む、過活動膀胱を治療および/または予防するための医薬組成物。 請求項1に記載の医薬組成物であって、 前記過活動膀胱が、尿意切迫感、頻尿、夜間頻尿、または、切迫性尿失禁を伴うことを特徴とする医薬組成物。 請求項1または請求項2に記載の医薬組成物であって、 前記医薬組成物は、膣内または外陰部に投与するために調製されていることを特徴とする、医薬組成物。 請求項3に記載の医薬組成物であって、 前記医薬組成物は、軟膏、ゲル剤、膣座薬として調製されていることを特徴とする、医薬組成物。 過活動膀胱を治療および/または予防するための医薬組成物の製造のための、(2RS)−2−(4−クロロベンゾイルアミノ)−3−(2−オキソ−1、2−ジヒドロキノリン−4−イル)プロパン酸またはその塩の使用。 対象における過活動膀胱を治療および/または予防するための方法であって、 治療上有効量の(2RS)−2−(4−クロロベンゾイルアミノ)−3−(2−オキソ−1、2−ジヒドロキノリン−4−イル)プロパン酸またはその塩を当該対象に投与することを特徴とする、方法。 【課題】過活動膀胱を治療および/または予防するための医薬組成物を提供する。【解決手段】(2RS)−2−(4−クロロベンゾイルアミノ)−3−(2−オキソ−1、2−ジヒドロキノリン−4−イル)プロパン酸またはその塩を含有する医薬組成物を、膣内または外陰部に投与する。該医薬組成物は、軟膏、ゲル剤、膣座薬として調製されており、過活動膀胱が、尿意切迫感、頻尿、夜間頻尿、または、切迫性尿失禁を伴うことを特徴とする医薬組成物。【選択図】なし