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タイトル:公開特許公報(A)_ミョウガ抽出物含有組成物及びその製造方法
出願番号:2013216717
年次:2015
IPC分類:A61K 36/18,A61P 31/04,A61P 7/02,A61P 29/00,A61P 3/06


特許情報キャッシュ

池本 裕之 浅田 憲一 新村 由記 JP 2015078159 公開特許公報(A) 20150423 2013216717 20131017 ミョウガ抽出物含有組成物及びその製造方法 日清ファルマ株式会社 301049744 羽鳥 修 100076532 池本 裕之 浅田 憲一 新村 由記 A61K 36/18 20060101AFI20150327BHJP A61P 31/04 20060101ALI20150327BHJP A61P 7/02 20060101ALI20150327BHJP A61P 29/00 20060101ALI20150327BHJP A61P 3/06 20060101ALI20150327BHJP JPA61K35/78 CA61P31/04A61P7/02A61P29/00A61P3/06 9 OL 11 4C088 4C088AB81 4C088AC03 4C088BA08 4C088CA09 4C088MA17 4C088NA14 4C088ZA54 4C088ZB11 4C088ZB35 4C088ZC33 本発明は、ショウガ科植物であるミョウガの溶媒抽出物を含有するミョウガ抽出物含有組成物に関し、詳細には、ミョウガ由来の生理活性成分であるミョウガアルデヒド(ミョウガ由来のアルデヒド化合物)を安定に含有するミョウガ抽出物含有組成物に関する。 ミョウガ(Zingiber Mioga)はショウガ科ショウガ属の多年草で、日本を含む東アジアに自生している。食用としては、日本で広く栽培されており、ハナミョウガ(開花前の花穂)やミョウガタケ(地下茎から別に出る茎葉)が薬味等として供されている。ミョウガは独特のさわやかな香りがあり、また華やかな紅色をしているため、薬味として多く利用されている。また民間療法として、ミョウガは、脳を刺激する眠気覚まし、血流改善、発汗作用、食欲増進や解毒作用を期待して用いられている。 しかし、ミョウガは90%以上が水でできており、また辛味を有していて大量に食することができないことから、単にミョウガを数回程度食しただけでは、前記のようなミョウガの薬理効果はあまり期待できないと考えられる。そこで、ミョウガの薬理効果を効率良く発揮し得るミョウガ抽出物の有効性が種々検討されている。 例えば特許文献1には、ミョウガの水抽出物が降圧作用、中枢神経抑制作用、コリン作動性神経興奮作用、心臓抑制作用、抗炎症作用を有することが開示されている。また特許文献2には、ミョウガのヘキサン抽出物から得られるラブダン型ジテルペン化合物であるミョウガトリアールが抗菌剤、抗血栓剤、抗炎症剤として用いられることが開示されている。また非特許文献1には、ミョウガの酢酸エチル抽出物から得られるミョウガジアールが、抗菌作用、コレステロール低下作用、血小板凝集抑制作用を有し、また辛味成分であることが開示されている。また非特許文献2には、ミョウガジアールやミョウガトリアールがTRPチャネルである、TRPA1受容体やTRPV1受容体の活性化を促進することが開示されている。TRPA1受容体やTRPV1受容体は体熱産生に関与するため、ミョウガジアールやミョウガトリアールは体熱産生を促進すると考えられる。特開昭55−009021号公報特開2006−241068号公報Biosci Biotechnol Biochem.、2002、66(12)、p.2698-2700Life Sci.、2009、85、p.60-69 本発明の課題は、ミョウガの薬理効果を効率良く発揮し得るミョウガ抽出物を含有し、保存安定性に優れるミョウガ抽出物含有組成物に関する。 本発明者らは、ミョウガの薬理効果を効率良く発揮し得る手段について種々検討を行ったところ、ミョウガの乾燥物、ミョウガの水抽出物、ミョウガのアルコール抽出物は保存安定性に劣り、特にミョウガの薬理効果の主因と考えられるミョウガジアール、ミョウガトリアール等のミョウガアルデヒドは、極めて短時間に分解してしまうことを知見した。そこで、保存安定性に優れるミョウガ抽出物について鋭意研究を重ねた結果、ミョウガの非水溶性溶媒抽出物を油中に保存しておくと、ミョウガジアール及びミョウガトリアールを安定性高く保存できることを知見した。更に検討した結果、ミョウガの非水溶性溶媒抽出物を得るに当たり、非水溶性溶媒として油を用いて抽出操作を行うことで、簡便且つ効率的に、ミョウガジアール及びミョウガトリアールを含有する組成物が得られ、しかも保存安定性に優れることも知見した。 本発明は、前記知見に基づきなされたもので、ショウガ科植物であるミョウガの非水溶性溶媒抽出物を油中に含有してなるミョウガ抽出物含有組成物である。 また本発明は、前記知見に基づきなされたもので、ショウガ科植物であるミョウガの非水溶性溶媒抽出物を油中に含有してなるミョウガ抽出物含有組成物の製造方法であって、下記工程1又は2を有する、ミョウガ抽出物含有組成物の製造方法である。 工程1:抽出溶媒として油以外の他の非水溶性溶媒を用いて、抽出源であるミョウガの非水溶性溶媒抽出物を得、該非水溶性溶媒抽出物から溶媒を除去した後、残留物を油中に添加する工程。 工程2:抽出溶媒として油を用いて、抽出源であるミョウガの非水溶性溶媒抽出物を得る工程。 また本発明は、前記ミョウガ抽出物含有組成物を含有する、抗菌剤、抗血栓剤、抗炎症剤、コレステロール低下剤、血小板凝集抑制剤又は体熱産生促進剤である。 また本発明は、前記ミョウガ抽出物含有組成物を含有する、抗菌用組成物、抗血栓組成物、抗炎症用組成物、コレステロール低下用組成物、血小板凝集抑制用組成物又は体熱産生促進用組成物である。 本発明のミョウガ抽出物含有組成物は、ミョウガの薬理効果を効率良く発揮し得るミョウガ抽出物を含有し、保存安定性に優れる。 本発明のミョウガ抽出物含有組成物は、ショウガ科ショウガ属の植物であるミョウガ(Zingiber Mioga)の非水溶性溶媒抽出物と、これを含有する油とを含むものである。ミョウガの非水溶性溶媒抽出物は、ミョウガを抽出源としてこれを抽出工程に供することで得られる。 ミョウガの非水溶性溶媒抽出物の原料として用いるミョウガは、ミョウガ植物体の何れの部位であっても良く、例えば、花穂、茎、茎葉、葉の部位を用いることができ、中でも花穂が好ましい。 ミョウガを抽出源とする抽出工程においては、生ミョウガをそのまま、あるいは生ミョウガを適当な大きさに切断して得たミョウガ小片を抽出源として用いることもできるが、抽出効率を高める観点から、ミョウガ粉砕物(ミョウガの乾燥粉末)を抽出源として用いることが好ましい。ミョウガ粉砕物の製造方法は特に制限されないが、例えば、1)生ミョウガを乾燥し、その乾燥物を粉状・粒状にする方法、2)生ミョウガを適当な大きさに切断して得た生ミョウガ小片を磨砕し、その後必要に応じ乾燥する方法、等が挙げられる。前記1)の方法において、生ミョウガの乾燥は、生ミョウガを適当な大きさに切断した後に実施しても良く、その場合、ミョウガ小片の乾燥物を粉砕して粉状・粒状にすることになる。ミョウガ粉砕物の製造方法として特に好ましいのは、前記1)の方法であり、とりわけ、生ミョウガを適当な大きさに切断して得た生ミョウガ小片を乾燥し、そのミョウガ小片の乾燥物を粉状・粒状にする方法が好ましい。生ミョウガあるいはミョウガ乾燥物の粉砕方法としては、抽出工程に供する抽出源の表面積を増大し得る方法であれば良く、例えば、乾式粉砕法、湿式粉砕法、凍結粉砕法、粉砕方法等を採用できる。ミョウガの粉砕装置としては、例えば、ドラムミル、ローラーミル、ボールミル、ハンマーミル、石臼等を用いることができる。 ミョウガ粉砕物の製造において、生ミョウガ(切断していない生ミョウガ、生ミョウガ小片、生ミョウガ小片を磨砕して得られたミョウガ磨砕物)を乾燥する場合、その乾燥方法としては公知の乾燥方法を適宜採用でき、例えば、通風乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥等を採用できる。生ミョウガの乾燥温度は、ミョウガジアール、ミョウガトリアール等のミョウガアルデヒドの安定性の観点から、70℃以下が好ましい。一方、乾燥に要する時間と効率の観点からは、生ミョウガの乾燥は、該ミョウガの温度(品温)50〜70℃程度となる条件で2〜25時間程度加熱することによって実施するのが好ましい。 ミョウガ粉砕物の製造において生ミョウガを乾燥する場合、その乾燥工程に先立って生ミョウガに脱水処理を施すと、その後の乾燥工程に要する時間を短縮できるため好ましい。生ミョウガの脱水処理は、通常の固液分離操作、例えばろ過、遠心分離、圧搾等によって実施できる。脱水処理を施す生ミョウガは、切断せずにそのままでも良く、あるいは適当な大きさに切断して得たミョウガ小片でも良い。脱水処理に供するミョウガ小片は、例えば一辺0.5〜2cm程度の小片、花穂であれば2分割〜8分割程度に切断したものが好ましく用いられる。 また、ミョウガを抽出源とする抽出工程においては、抽出源としてミョウガの凍結融解物を用いることもできる。これにより、本発明のミョウガ抽出物含有組成物において、ミョウガの薬理効果の主因と考えられるミョウガジアール及びミョウガトリアールの含量を高めることができる。ミョウガの凍結融解物は、ミョウガ本来の形状(切断されていない状態)を保持したものでも良く、適当な大きさに切断された小片でも良く、粉砕物でも良い。特に、ミョウガ粉砕物の一種であるミョウガの凍結融解物の粉砕物は、抽出源として本発明で好ましく用いられる。ミョウガの凍結融解は、ミョウガの凍結、融解を順次実施することによりなされる。ミョウガの凍結は公知の方法を用いることができ、例えば、フリーザー等を用いて−10〜−80℃程度まで凍結する緩慢凍結方法や、ブラスト凍結、液化炭酸ガス凍結等の急速凍結方法が挙げられる。ミョウガの融解も公知の方法を用いることができ、例えば、室温での自然解凍法、流水解凍法等が挙げられる。 ミョウガを抽出源とする抽出工程において、抽出に用いる非水溶性溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル等のエーテル類;ヘキサン、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、四塩化炭素、塩化メチレン等の非極性溶媒;大豆油、コーン油、サラダ油、オリーブ油、小麦胚芽油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油が挙げられ、これらの中でも特に、中鎖脂肪酸トリグリセリド、小麦胚芽油、コーン油、ヘキサンが好ましい。 非水溶性溶媒による抽出操作は、抽出源(生若しくは乾燥したミョウガ又はミョウガ小片、ミョウガ粉砕物、ミョウガの凍結融解物の粉砕物等)を非水溶性溶媒に浸漬することにより実施することができる。抽出操作における非水溶性溶媒の使用量は、使用する非水溶性溶媒の種類に応じて調整することができ、例えば、非水溶性溶媒として非極性溶媒を用いる場合、非極性溶媒の使用量は、抽出源であるミョウガ100質量部に対して、50〜1000質量部程度であり、好ましくは80〜500質量部である。また、非水溶性溶媒として油を用いる場合、油の使用量は、抽出源であるミョウガ100質量部に対して、50〜2000程度であり、好ましくは80〜500質量部である。 非水溶性溶媒による抽出操作中は、攪拌や振盪等、通常行われる抽出操作を行っても良い。抽出温度(非水溶性溶媒の液温)はミョウガアルデヒドの安定性の観点から、70℃以下が好ましく、抽出効率の観点からは30〜70℃が好ましい。抽出時間は30分〜24時間程度、好ましくは1〜16時間程度である。 非水溶性溶媒による抽出操作終了後、ミョウガアルデヒドの安定性、品質の面からは、ミョウガ残渣を除去するのが好ましい。残渣の除去は、通常の固液分離操作を行えば良く、ろ過、遠心分離、圧搾等の操作を行えば良い。 本発明のミョウガ抽出物含有組成物は、前述の如き抽出工程により得られたミョウガの非水溶性溶媒抽出物を油中に含有してなるものである。従って、本発明のミョウガ抽出物含有組成物の製造方法においては、抽出に用いた非水溶性溶媒の種類によって、抽出工程後の工程が異なる。即ち、抽出に用いた非水溶性溶媒が油である場合は、抽出工程を経て得られたミョウガの非水溶性溶媒抽出物(油抽出物)が、製造目的物であるミョウガ抽出物含有組成物そのものであり、必要に応じ該ミョウガ抽出物含有組成物からミョウガ残渣を除去すれば良い。また、抽出に用いた非水溶性溶媒が油以外の他の非水溶性溶媒である場合は、抽出工程を経て得られたミョウガの非水溶性溶媒抽出物から、減圧乾固等の操作により、溶媒を除去した後、その残留物(乾固物)を、別途用意した油中に添加すれば良い。このように、ミョウガを抽出源とする抽出工程において、抽出溶媒(非水溶性溶媒)として油を用いる(即ち、ミョウガの非水溶性溶媒抽出物が油抽出物である)と、本発明のミョウガ抽出物含有組成物の製造工程の簡略化が図られるため、好ましい。 本発明のミョウガ抽出物含有組成物に含まれる油(ミョウガの非水溶性溶媒抽出物を内包する油)としては、常温で液体の油が好ましく、例えば、大豆油、コーン油、サラダ油、オリーブ油、小麦胚芽油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等が挙げられる。これらの中でも特に、中鎖脂肪酸トリグリセリド、小麦胚芽油、コーン油が好ましい。 前述した抽出工程を経て得られる本発明のミョウガ抽出物含有組成物は、ミョウガ由来のアルデヒド化合物であるミョウガアルデヒドを含有しているため、これを摂取することで、ミョウガアルデヒドが有する薬理効果が効率良く得られる。また、本発明のミョウガ抽出物含有組成物は、ミョウガアルデヒドを油中に含有しているため、ミョウガアルデヒドが分解され難く保存安定性に優れ、長期保存が可能である。本発明のミョウガ抽出物含有組成物は、ミョウガアルデヒドとして、好ましくはミョウガジアール及びミョウガトリアールの何れか1種以上を含有する。 本発明のミョウガ抽出物含有組成物におけるミョウガアルデヒドの含有量(ミョウガアルデヒド濃度)は、ミョウガアルデヒドの安定性の観点から、該ミョウガ抽出物含有組成物に含まれる油中、0.01〜3質量%程度、好ましくは0.1〜1.8質量%程度である。ミョウガアルデヒドの摂取効率の観点からはミョウガアルデヒドの含有量が多い方が好ましいが、含有量が多すぎると、ミョウガアルデヒドの安定性に問題が生じるおそれがある。尚、生ミョウガにおけるミョウガアルデヒドの含有量は、0.05〜0.07質量%程度と極めて少なく、生ミョウガはミョウガアルデヒドの摂取効率に劣る。ミョウガ抽出物含有組成物におけるミョウガアルデヒドの含有量は、前述したミョウガを抽出源とする抽出工程において、非水溶性溶媒の使用量等によって適宜調整することができる。例えば、非水溶性溶媒として油を用いる場合は、その油の使用量を調整することにより、ミョウガ抽出物含有組成物におけるミョウガアルデヒドの含有量を調整することができる。また、非水溶性溶媒として非極性溶媒を用いる場合は、溶媒除去後の残留物(乾固物)及び/又は該残留物の添加先である油の量を調整することにより、ミョウガ抽出物含有組成物におけるミョウガアルデヒドの含有量を調整することができる。 本発明のミョウガ抽出物含有組成物は、食経験が豊富なミョウガに含まれている成分を含有するものであることから、長期間継続的に摂取しても生体に有害な作用をもたらす懸念が少ない、安全な組成物である。従って、本発明のミョウガ抽出物含有組成物は、健常者や成人だけでなく、高齢者や病弱者にも、安全且つ継続的に摂取され得るものであり、ヒト又は動物用の医薬の他、ヒト用飲食品若しくは動物用飼料等として、又はそれらを製造するための原料として有用である。本発明には、前述した本発明のミョウガ抽出物含有組成物を含有する医薬、飲食品及び動物用飼料が含まれる。ここでいう「動物」には、ヒト以外の哺乳類が含まれる。 本発明の医薬としては、前述したミョウガ抽出物含有組成物そのものの他に、例えば、これを含有する抗菌剤、抗血栓剤、抗炎症剤、コレステロール低下剤、血小板凝集抑制剤、体熱産生促進剤を例示できる。本発明の医薬は、必要に応じて薬学的に許容される種々の担体、例えば賦形剤、安定化剤、その他の添加剤等を含有していても良く、あるいは、更に他の薬効成分、例えば各種ビタミン類、ミネラル類、生薬等を含有していても良い。本発明の医薬は、例えば、本発明のミョウガ抽出物含有組成物に、前記担体及び他の薬効成分を配合し、常法に従って製造することができる。 また、本発明の飲食品及び動物用飼料としては、前述したミョウガ抽出物含有組成物そのものの他に、例えば、これを含有する抗菌用組成物、抗血栓組成物、抗炎症用組成物、コレステロール低下用組成物、血小板凝集抑制用組成物、体熱産生促進用組成物を例示できる。これらの組成物(飲食品及び動物用飼料)としては、例えば、抗菌効果、抗血栓効果、抗炎症効果、コレステロール低下効果、血小板凝集抑制効果及び体熱産生促進効果を企図して、その旨を表示した健康食品、機能性飲食品、特定保健用飲食品、病者用飲食品、家畜・競走馬・鑑賞動物等のための飼料、ペットフードを例示できる。本発明の飲食品及び動物用飼料の形態は、特に制限されず、本発明のミョウガ抽出物含有組成物を含有可能な全ての形態が含まれ、例えば、固形、半固形又は液状であり得、あるいは、錠剤、チュアブル錠、粉剤、カプセル、顆粒、ドリンク、ゲル、シロップ、経管経腸栄養用流動食等の各種形態であり得る。 本発明の飲食品の形態の具体例としては、緑茶、ウーロン茶や紅茶等の茶飲料、コーヒー飲料、清涼飲料、ゼリー飲料、スポーツ飲料、乳飲料、炭酸飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、発酵乳飲料、粉末飲料、ココア飲料、アルコール飲料、精製水等の飲料、バター、ジャム、ふりかけ、マーガリン等のスプレッド類、マヨネーズ、ショートニング、クリーム、ドレッシング類、パン類、米飯類、麺類、パスタ、味噌汁、豆腐、牛乳、ヨーグルト、スープ又はソース類、菓子(例えばビスケットやクッキー類、チョコレート、キャンディ、ケーキ、アイスクリーム、チューインガム、タブレット)等が挙げられる。尚、動物用飼料は、飲食品とほぼ同様の組成や形態で利用できることから、本明細書における飲食品に関する記載は、特に断らない限り、動物用飼料についても同様に適用される。 本発明の飲食品及び動物用飼料は、本発明のミョウガ抽出物含有組成物に、通常食されている一般の飲食品や動物用飼料の製造に用いられる他の飲食品素材、各種栄養素、各種ビタミン、ミネラル、アミノ酸、各種油脂、種々の添加剤(例えば呈味成分、甘味料、有機酸等の酸味料、界面活性剤、pH調整剤、安定剤、酸化防止剤、色素、フレーバー)等を配合して、常法に従って製造することができる。あるいは、通常食されている一般の飲食品又は動物用飼料に、本発明のミョウガ抽出物含有組成物を配合することにより、本発明の飲食品又は動物用飼料を製造することができる。 本発明の医薬、飲食品又は動物用飼料における有効成分である、ミョウガアルデヒドの含有量(ミョウガジアール及びミョウガトリアールの両化合物を含有する場合は各化合物の含有量の合計)は、所望の効果が期待できる量であれば良く、医薬の剤型、飲食品若しくは動物用飼料の形態、投与若しくは摂取する個体の種、症状、年齢、性別等に応じて適宜変更され得る。ヒトを対象とする場合、通常、ミョウガジアール又はミョウガトリアールの投与量(両化合物を含有する場合は各化合物の含有量の合計)は、成人1人(60kg換算で)1日当たり0.5mg〜100mgであり得る。当該1日投与量は、1回で投与されても良く、数回に分けて投与されても良い。本発明の医薬の剤型若しくは投与レジメン、又は本発明の飲食品若しくは動物用飼料の形態は、当該投与量を適切に管理できるような形であることが望ましい。 本発明を具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。〔実施例1〕 ミョウガ花穂23gを約1mm角に切断して得た生ミョウガ小片を抽出源とし、これを振盪用バイアルに充填して水7gを加えて懸濁した。ここに中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)3.45gを加え(ミョウガ乾燥質量0.69gに対して500質量%)、振盪機(250rpm)で1時間抽出を行った。抽出終了後、バイアル内容物をろ過してろ液を収集し、これを静置して2層に分離後、油層を分取し、ミョウガ抽出物含有組成物を得た。〔実施例2〕 ミョウガ花穂30gを凍結乾燥し、約0.9gの乾燥物を得て、これを錠剤粉砕機を用いて粉砕してミョウガ粉砕物を得、これを抽出源とした。ミョウガ粉砕物0.5gを振盪用バイアルに充填し、ここにMCT2.5gを加え(ミョウガ乾燥質量に対して500質量%)、振盪機(250rpm)で1時間抽出を行った。抽出終了後、バイアル内容物をろ過してろ液を収集し、ミョウガ抽出物含有組成物を得た。〔実施例3〕 ミョウガ花穂100gを3℃の冷風で乾燥し、約2.8gの乾燥物を得て、これを錠剤粉砕機を用いて粉砕してミョウガ粉砕物を得、これを抽出源とした。ミョウガ粉砕物2gを振盪用バイアルに充填し、ここにMCT2gを加え(ミョウガ乾燥質量に対して100質量%)、振盪機(250rpm)で1時間抽出を行った。抽出終了後、バイアル内容物をろ過してろ液を収集し、ミョウガ抽出物含有組成物を得た。〔実施例4〜5〕 抽出溶媒をMCTに代えて、大豆油(実施例4)、小麦胚芽油(実施例5)にした以外は、実施例2と同様にして、ミョウガ抽出物含有組成物を得た。〔実施例6〜7及び比較例1〜2〕 ミョウガ花穂100gを凍結乾燥し、約3gの乾燥物を得て、これを錠剤粉砕機を用いて粉砕してミョウガ粉砕物を得、これを抽出源とした。ミョウガ粉砕物0.5gずつを4つの振盪用バイアルに充填し、各バイアルにヘキサン(実施例6)、酢酸エチル(実施例7)、エタノール(比較例1)又は80%エタノール水溶液(比較例2)を加え(ミョウガ乾燥質量に対して800質量%)、振盪機(250rpm)で1時間抽出を行った。抽出終了後、バイアル内容物をろ過してろ液を収集し、収集したろ液を減圧乾固し、その乾固物をMCT中に濃度1質量%となるよう懸濁して、ミョウガ抽出物含有組成物を得た。〔実施例8〕 ミョウガ花穂100gをディープフリーザーを用いて−80℃で凍結した。凍結した花穂を室温で3時間放置して完全に融解させた。スパーテルを用いて花穂を絞り、その絞り汁(水分)をろ過して分離した。水分除去後のミョウガ花穂(約34g)を凍結乾燥し、1.56gの乾燥物を得て、これを錠剤粉砕機を用いて粉砕してミョウガ粉砕物を得、これを抽出源とした。ミョウガ粉砕物0.5gを振盪用バイアルに充填し、ここにMCT2.5gを加え(ミョウガ乾燥質量に対して500質量%)、振盪機(250rpm)で1時間抽出を行った。抽出終了後、バイアル内容物をろ過してろ液を収集し、ミョウガ抽出物含有組成物を得た。 各実施例及び比較例のミョウガ抽出物含有組成物中のミョウガアルデヒド(ミョウガジアール、ミョウガトリアール)量を下記方法により測定した。その結果を下記表1に示す。<ミョウガアルデヒド量の測定方法> ミョウガ抽出物含有組成物の製造時の抽出工程において、抽出溶媒として油(MCT)を用いた場合は、油抽出物を3倍体積量の酢酸エチルに希釈して、下記条件にて順相HPLCにて分析した。また、抽出溶媒として油以外の溶媒(ヘキサン、酢酸エチル、エタノール、80%エタノール水溶液)を用いた場合は、該溶媒を減圧乾固して得た乾固物10mgを1mLの50%アセトン/ヘキサン溶液に溶解して、下記条件にて順相HPLCにて分析した。ミョウガジアール及びミョウガトリアールの合成品を、同条件でHPLCにかけたものを標準として定量した。順相HPLCの分析条件は次の通り。・使用HPLC :HITACHI L-7200・カラム :TOSOH Silica-60 4.6φ×250mmm・カラム温度 :30℃・UV波長 :232 nm・移動層 :7.5% アセトン/ヘキサン・流速 :2 ml/min・注入量 :10μl 表1から明らかなように、抽出溶媒として水溶性溶媒を用いた比較例1及び2からは、ミョウガアルデヒドはほとんど検出されなかった。これに対し、抽出溶媒として非水溶性溶媒を用いた各実施例は、比較的多量のミョウガアルデヒドを含んでいた。このことから、抽出溶媒として非水溶性溶媒を用いることは、ミョウガアルデヒド含有組成物におけるミョウガアルデヒド含有量の増加に有効であることがわかる。また、実施例2,4,5と実施例6,7との対比から、抽出溶媒として油を用いると、ミョウガから効率的にミョウガアルデヒドを抽出できることがわかる。また実施例8は、抽出源として、ミョウガの凍結融解を行って得られたミョウガの凍結融解物の粉砕物を用いた例であるところ、他の例に比してミョウガアルデヒド量が多く、ミョウガアルデヒド濃度が高い。特に実施例2と実施例8との対比から、抽出源としてミョウガの凍結融解物の粉砕物を用いることは、ミョウガアルデヒド含有組成物におけるミョウガアルデヒド含有量の増加に有効であることがわかる。〔比較例3〕 実施例7のミョウガアルデヒド含有組成物の製造過程で得られた、ミョウガの酢酸エチル抽出物粉末を、そのまま比較例3とした。<保存安定性の評価> 実施例2、4及び5のミョウガアルデヒド含有組成物並びに比較例3の抽出物について保存安定性を評価した。評価対象物を1gずつバイアルに取り、このバイアルを室温(15〜25℃)又は40℃の条件で2ヶ月保存し、保存期間終了後に各評価対象物に含まれるミョウガアルデヒド量を測定した。その結果を、試験開始時のミョウガアルデヒド量を100とした相対値として表2に示す。 表2から明らかなように、各実施例は比較例3に比して、室温下及び40℃下の何れの保存条件においても、保存開始から2ヶ月経過後のミョウガアルデヒド含量の低下の程度が低い。このことから、ミョウガの非水溶性溶媒抽出物を油中に含有させることは、それに含まれるミョウガアルデヒドの保存安定性の向上に有効であることがわかる。 ショウガ科植物であるミョウガの非水溶性溶媒抽出物を油中に含有してなるミョウガ抽出物含有組成物。 前記ミョウガの非水溶性溶媒抽出物は、ミョウガ粉砕物の油抽出物である請求項1に記載のミョウガ抽出物含有組成物。 前記ミョウガ粉砕物は、ミョウガの凍結融解物の粉砕物である請求項2に記載のミョウガ抽出物含有組成物。 ミョウガジアール及びミョウガトリアールの何れか1種以上を含有する請求項1〜3の何れか一項に記載のミョウガ抽出物含有組成物。 ショウガ科植物であるミョウガの非水溶性溶媒抽出物を油中に含有してなるミョウガ抽出物含有組成物の製造方法であって、下記工程1又は2を有する、ミョウガ抽出物含有組成物の製造方法。 工程1:抽出溶媒として油以外の他の非水溶性溶媒を用いて、抽出源であるミョウガの非水溶性溶媒抽出物を得、該非水溶性溶媒抽出物から溶媒を除去した後、残留物を油中に添加する工程。 工程2:抽出溶媒として油を用いて、抽出源であるミョウガの非水溶性溶媒抽出物を得る工程。 前記工程1又は2において、前記抽出源はミョウガ粉砕物である請求項5に記載のミョウガ抽出物含有組成物の製造方法。 前記ミョウガ粉砕物は、ミョウガの凍結融解物の粉砕物である請求項6に記載のミョウガ抽出物含有組成物の製造方法。 請求項1〜4の何れか一項に記載のミョウガ抽出物含有組成物を含有する、抗菌剤、抗血栓剤、抗炎症剤、コレステロール低下剤、血小板凝集抑制剤又は体熱産生促進剤。 請求項1〜4の何れか一項に記載のミョウガ抽出物含有組成物を含有する、抗菌用組成物、抗血栓組成物、抗炎症用組成物、コレステロール低下用組成物、血小板凝集抑制用組成物又は体熱産生促進用組成物。 【課題】ミョウガの薬理効果を効率良く発揮し得るミョウガ抽出物を含有し、保存安定性に優れるミョウガ抽出物含有組成物を提供すること。【解決手段】本発明のミョウガ抽出物含有組成物は、ショウガ科植物であるミョウガの非水溶性溶媒抽出物を油中に含有してなる。前記ミョウガの非水溶性溶媒抽出物は、好ましくはミョウガ粉砕物の油抽出物である。前記ミョウガ粉砕物は、好ましくはミョウガの凍結融解物の粉砕物である。本発明のミョウガ抽出物含有組成物は、好ましくはミョウガジアール及びミョウガトリアールの何れか1種以上を含有する。【選択図】なし


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