タイトル: | 公開特許公報(A)_経鼻投与用製剤 |
出願番号: | 2013209951 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 47/38,A61K 47/02,A61K 47/36,A61K 9/14,A61K 9/48 |
永田 良一 治田 俊志 JP 2014028848 公開特許公報(A) 20140213 2013209951 20131007 経鼻投与用製剤 株式会社新日本科学 393030626 清水 初志 100102978 春名 雅夫 100102118 山口 裕孝 100160923 刑部 俊 100119507 井上 隆一 100142929 佐藤 利光 100148699 新見 浩一 100128048 川本 和弥 100121072 小林 智彦 100129506 永田 良一 治田 俊志 JP 2006350094 20061226 A61K 47/38 20060101AFI20140117BHJP A61K 47/02 20060101ALI20140117BHJP A61K 47/36 20060101ALI20140117BHJP A61K 9/14 20060101ALI20140117BHJP A61K 9/48 20060101ALI20140117BHJP JPA61K47/38A61K47/02A61K47/36A61K9/14A61K9/48 25 2008551108 20071225 OL 41 4C076 4C076AA29 4C076AA53 4C076BB25 4C076DD26 4C076EE31N 4C076EE38 4C076FF02 4C076FF04 4C076FF34 本発明は、経鼻投与用製剤に関する。より具体的には、薬物の高い経鼻吸収性を有し、かつ生産性の向上を可能にする流動性が高められた経鼻投与用製剤に関する。 薬物の経鼻投与は古くから鼻炎治療などの局所作用を期待する薬物の投与方法として汎用されてきたが、鼻粘膜が非常に発達した血管網から成り薬物吸収に有利な組織学的特長を有すること、鼻粘膜から吸収された薬物は消化管や肝臓での初回通過代謝を回避できること、自己投与が簡便で投与に痛みが伴わないこと等の理由から、局所作用を期待する薬物のみならず、インスリンやカルシトニンなどのペプチド・タンパク性薬物、モルヒネなどの低分子薬物のような全身作用を期待する薬物の投与経路としても注目されている。 薬物を経鼻投与する方法としては、例えば、薬物を溶解して液剤もしくは懸濁化剤として鼻腔内に投与する方法、薬物を粉末製剤として鼻腔内に投与する方法がある。市販されている経鼻製剤では、粉末状経鼻製剤よりも点鼻液剤の方が汎用されているが、Ishikawaらは、粉末製剤の方が液剤よりも鼻腔内滞留性に優れており、薬物の経鼻吸収を改善することを報告しており(非特許文献1)、我々の検討においても同様の傾向が観察されている。また、薬物を粉末製剤として経鼻投与し、効果的な吸収や薬効を期待するためには、薬物を経鼻投与用担体と組み合わせて投与することが好ましく、数多くの有用な経鼻投与用担体が報告されている。例えば、平均粒子径250μm以下のカルシウム等の2価金属等が経鼻投与用担体として開示されている(特許文献1)。また、結晶セルロースのような水吸収性でかつ水難溶性の基剤に、ヒドロキシプロピルセルロースのような水吸収性でかつゲル形成性の基剤を組み合わせることで、結晶セルロースの単独製剤(特許文献2)に比べて、薬物の経鼻吸収が改善されたことが報告されている(特許文献3)。一方、本発明者は、特定の粒度分布を持つ結晶セルロースが、その単独使用で、インスリン等の薬物を効率よく鼻粘膜から吸収させ得ることを報告している(特許文献4、特許文献5、特許文献6)。 このような経鼻投与に有効とされる粉末状経鼻製剤は、一般的に、自動充填装置を使用して、1回の投与量をカプセルやブリスターに充填した経鼻投与デバイス等を使用する方法(特許文献7、特許文献8)、あるいは、多数回噴霧型経鼻デバイスの薬剤貯蔵室に充填し、使用時に薬剤貯蔵室から、1回の投与量分の容量に相当する製剤量を経鼻デバイス内の窪みに落とし込むことで1回分の投与量を量り取り、鼻腔内に必要量の経鼻製剤を噴射させる方法が開示されている(特許文献9)。International Journal of Pharmaceutics, 224, 105-114, 2001特開平08-27031号特開昭59-163313号特開平10-59841号国際公開第03-004048号パンフレット特開2003-206227号国際公開第2006/016530号パンフレット特開平08-206208号特開2003-154006号特開2003-175103号 このような使用方法において生産性を高めるために、一定量をカプセルに精度高く充填しやすい、あるいは精度高く一定量をデバイス内部で量り取りやすいことが必要である。このため、粉末製剤の粉体特性のうち、高い流動性を有する粉末製剤が求められている。 薬物の経鼻吸収性を高めるのに有効な種々の経鼻投与用担体が報告されており、本発明者らによって提供された国際公開第03-004048号パンフレット、特開2003-206227号及び国際公開第2006/016530号パンフレットにおいて報告されている特定の粒度分布を持つ結晶セルロースも、有用な経鼻投与用担体の一つである。 しかしながら、従来の結晶セルロースは、粉体の流動性が低いため、カプセル機械充填工程に関連する生産性や経鼻デバイスからの噴射性を考慮すると、未だ産業上の課題が残っている。 一般に、カプセル内やブリスター内に一定量の粉末製剤を充填する場合、一定量の粉末製剤を臼へ機械的に充填する工程が必須である。その際、粉末製剤の流動性は、粉末製剤を均一に充填する工程に著しく影響を及ぼすため、充填機構に適合した流動性を有することが、充填ばらつきなどの品質や充填作業の安定化にとって重要となっている。 一方、粉末状経鼻製剤は、経鼻デバイス等を使用し、そのポンプ部分を押圧することによって発生させた空気流により、カプセル内やブリスター内の粉末製剤を鼻腔内に送達させる必要があるが、流動性の低い粉末製剤では、カプセル内やデバイス内の製剤通路内に製剤が残存しやすくなるため、適切な薬物投与量を鼻腔内に噴射することができず、結果として期待する治療効果が得られないこともある。 これらの流動性に関わる諸問題を解消するために、粉末製剤の流動性改善が通常試みられる。粉末剤の流動性を改善する最も一般的な方法としては、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、あるいはタルクや二酸化ケイ素などの流動化剤の添加が行われる。これらの滑沢剤や流動化剤は、粉体表面に付着して粒子間隙を広げることで、摩擦力や付着力が低減する結果、流動性改善効果を発揮すると考えられている。 本発明者らは、経鼻投与用担体として有効な該結晶セルロースの低流動性を改善すべく、前述の滑沢剤や流動化剤の添加を試みたが、これまでは十分な流動性改善を達成することができなかった。 従って本発明は、本発明者らが既に提供している経鼻投与用担体として有効な特定の結晶セルロース(以下、第一の結晶セルロースという。)(WO03-004048、特開2003-206227及びWO2006/016530)について、そのカプセル機械充填工程に関わる生産性やデバイス噴射性能に関わる問題に強く関与する流動性が改善された担体、および製剤を提供することを課題とする。 また、該結晶セルロースが有する薬物の経鼻吸収を高めうる効果に影響を及ぼさない方法で、流動性を改善することも重要な課題である。 かかる課題を解決するために、本発明者らは、流動性を改善し、且つ薬物の経鼻吸収に影響を及ぼさない担体について、鋭意検討した結果、第一の結晶セルロースに第三リン酸カルシウム、及び他の特定の結晶セルロース(第二の結晶セルロース)あるいはデンプンを添加した粉体の流動性改善成分と生理活性物質とからなる複合体を含む製剤が、優れた流動性を有することを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下を含む。〔1〕 ゆるめカサ密度が0.13〜0.29g/cm3であり、比表面積が1.3m2/g以上であり、平均粒子径が30μm以下であり、安息角が55度以上の結晶セルロース(第一の結晶セルロース)(A)、 第三リン酸カルシウム(B)、 ゆるめカサ密度が0.26〜0.48g/cm3であり、比表面積が1.3m2/g以下であり、安息角が50度以下であり、平均粒子径が150μm以下の結晶セルロース(第二の結晶セルロース)(C)、もしくは、ゆるめカサ密度が0.35〜0.65g/cm3であり、比表面積が1.3m2/g以下であり、安息角が55度以下であり、平均粒子径が150μm以下のデンプン(D)を含む粉体の流動性改善成分と、 生理活性物質とからなる複合体を少なくとも含む、経鼻投与用製剤であって、 前記流動性改善成分は、前記第三リン酸カルシウム(B)を0.1〜10重量%、前記第二の結晶セルロース(C)及び/又は前記デンプン(D)を5.0〜30重量%を含み、残部が第一の結晶セルロース(A)であり、 該流動性改善成分にかかる全重量を1とした場合に、前記生理活性物質を塩換算しない遊離体としての重量比で0.0001〜1.2の割合で含む、経鼻投与用製剤。〔2〕 ゆるめカサ密度が0.13〜0.29g/cm3であり、比表面積が1.3m2/g以上であり、平均粒子径が30μm以下であり、安息角が55度以上の結晶セルロース(第一の結晶セルロース)(A)、 第三リン酸カルシウム(B)、 ゆるめカサ密度が0.26〜0.48g/cm3であり、比表面積が1.3m2/g以下であり、安息角が50度以下であり、平均粒子径が150μm以下の結晶セルロース(第二の結晶セルロース)(C)、もしくは、ゆるめカサ密度が0.35〜0.65g/cm3であり、比表面積が1.3m2/g以下であり、安息角が55度以下であり、平均粒子径が150μm以下のデンプン(D)を含む粉体の流動性改善成分と、 生理活性物質とを含む、経鼻投与用製剤であって、 前記流動性改善成分は、前記第三リン酸カルシウム(B)を0.1〜10重量%、前記第二の結晶セルロース(C)及び/又は前記デンプン(D)を5.0〜30重量%を含み、残部が第一の結晶セルロース(A)であり、 前記第一の結晶セルロース(A)、前記第三リン酸カルシウム(B)、前記第二の結晶セルロース(C)もしくは前記デンプン(D)、および前記生理活性物質に剪断力を加えて、該流動性改善成分にかかる全重量を1とした場合に、前記生理活性物質を塩換算しない遊離体としての重量比で0.0001〜1.2の割合で混合したことにより製造された、経鼻投与用製剤。〔3〕 前記第二の結晶セルロース(C)のゆるめカサ密度が0.35〜0.46g/cm3であり、比表面積が1.0m2/g以下であり、安息角が45度以下であり、平均粒子径が75μm以下である、〔1〕または〔2〕に記載の経鼻投与用製剤。〔4〕 前記第三リン酸カルシウム(B)の平均粒経が100μm以下である、〔1〕〜〔3〕の何れか一項に記載の経鼻投与用製剤。〔5〕 前記製剤の安息角が、53度以下の範囲内である、〔1〕〜〔4〕の何れか一項に記載の経鼻投与用製剤。〔6〕 前記生理活性物質が、ペプチド・タンパク性薬物及び/または低分子薬物を含む非ペプチド・タンパク性薬物である、〔1〕〜〔5〕の何れか一項に記載の経鼻投与用製剤。〔7〕 前記ペプチド・タンパク性薬物が、インスリン、成長ホルモン、成長ホルモン放出ペプチド、グレリン、グルカゴン、カルシトニン、インターフェロン、エリスロポエチン、インターロイキン、PTH(1−84)、PTH(1−34)、PTH関連ペプチド、GLP−1、バソプレシン、リュープロレリン、顆粒球コロニー形成刺激因子、プロラクチン、下垂体性性腺刺激ホルモン、胎盤性性腺刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体化ホルモン、レプチン、神経成長因子(NGF)、幹細胞増殖因子(SCGF)、角質細胞増殖因子(KGF)、チオレドキシン、シクロスポリン、インフルエンザワクチン、及びそれらのアナログ物質からなる群から選択される少なくとも一種である、〔6〕に記載の経鼻投与用製剤。〔8〕 前記低分子薬物を含む非ペプチド・タンパク性薬物が、モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、ブトルファノール、トラマドール、グラニセトロン、オンダンセトロン、トロピセトロン、パロノセトロン、インジセトロン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン、エルゴタミン、トリアゾラム、メラトニン、カルバマゼピン、ミダゾラム、ドネペジル、チアプリド、セファクロル、エノキサシン、アシクロビル、ジドブジン、ジダノシン、ネビラビン、インジナビル、ダントロレン、ジゴキシン、トリヘキシフェニジル、ピペリデン、デキストロメトルファン、ナロキソン、ベタヒスチン、ナファゾリン、ジルチアゼム、トラニラスト、ロペラミド、ジクロフェナック、ベクロメタゾン、クロルフェニラミン、シルデナフィル、バルデナフィル、シアノコバラミン、フィナステリド、エピネフリン、5−FU、低分子ヘパリン、タクロリムス、RNA、RNAi、siRNA、アンチセンスDNA、アレルゲンエキス粉末からなる群から選択される少なくとも一種である、〔6〕に記載の経鼻投与用製剤。〔9〕 pH調整剤、保存剤、安定化剤、矯味剤、吸収促進剤、または2価カルシウムイオンを捕捉する物質をさらに含む、〔1〕〜〔8〕の何れか一項に記載の経鼻投与用製剤。 この出願の発明における経鼻投与用製剤は、流動性改善成分と生理活性物質とからなる複合体を少なくとも1つ含む。 この出願の発明における「粉体の流動性改善成分」とは、本発明にかかる経鼻投与用製剤の流動性を改善するために添加される成分のことをいう。このような流動性改善成分として具体的には、特定の粉体特性を有する結晶セルロース、第三リン酸カルシウム、デンプンなどが挙げられる。 この出願の発明における「生理活性物質」は、全身作用性、局所作用性薬物、生体防御機能を促進させるための薬物や脳をターゲットにした薬物、あるいは低分子薬物を含む非ペプチド・タンパク性薬物やペプチド・タンパク性薬物など、限定されるものではない。また、改変体や塩の種類等にも限定されるものではない。 ペプチド・タンパク性薬物として具体的には、例えばインスリン、成長ホルモン、成長ホルモン放出ペプチド、グレリン、グルカゴン、カルシトニン、インターフェロン、エリスロポエチン、インターロイキン、PTH(1-84)、PTH(1-34)、PTH関連ペプチド、GLP-1、バソプレシン、リュープロレリン、顆粒球コロニー形成刺激因子、プロラクチン、下垂体性性腺刺激ホルモン、胎盤性性腺刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体化ホルモン、レプチン、神経成長因子(NGF)、幹細胞増殖因子(SCGF)、角質細胞増殖因子(KGF)、チオレドキシン、シクロスポリン、インフルエンザワクチン、及びそれらのアナログ物質などが挙げられる。これらのペプチド・タンパク性薬物として、好ましくはインスリン、PTH(1-34)、下垂体性性腺刺激ホルモンなどが挙げられる。 低分子薬物として具体的には、例えばモルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、ブトルファノール、トラマドールなどの鎮痛剤、グラニセトロン、オンダンセトロン、トロピセトロン、パロノセトロン、インジセトロンなどの制吐剤、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン、エルゴタミンなどの片頭痛治療剤、トリアゾラム、メラトニンなどの催眠導入剤、カルバマゼピンなどの抗てんかん剤、ミダゾラムなどの鎮静剤、ドネペジルなどの抗痴呆剤、チアプリドなどの脳賦活剤、セファクロルなどの抗生剤、エノキサシンなどの抗菌剤、アシクロビル、ジドブジン、ジダノシン、ネビラビン、インジナビルなどの抗ウイルス剤、ダントロレンなどの筋弛緩剤、ジゴキシンなどの強心剤、トリヘキシフェニジル、ピペリデンなどのパーキンソン病治療剤、デキストロメトルファンなどの鎮咳去痰剤、ナロキソンなどの呼吸興奮剤、ベタヒスチンなどの抗めまい剤、ナファゾリンなどの血管収縮剤、ジルチアゼムなどの冠血管拡張剤、トラニラストなどの喘息治療剤、ロペラミドなどの止瀉剤、ジクロフェナックなどのNSAID、ベクロメタゾンなどのステロイド剤、クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤、シルデナフィル、バルデナフィルなどの性機能改善剤、シアノコバラミンなどのビタミン剤、フィナステリドなどの発毛剤、エピネフリンなどのアナフィラキシー治療剤、5-FUなどの抗腫瘍剤などが挙げられる。これらの低分子薬物として、好ましくはモルヒネ、グラニセトロン、オンダンセトロン、フェンタニル、オキシコドン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、ベクロメタゾン、ケトチフェンなどが挙げられる。 他に、低分子ヘパリンなどの抗血栓剤、タクロリムス、RNA、RNAi、siRNA、アンチセンスDNA、花粉症の減感作療法を目的としたアレルゲンエキス粉末等も挙げることができる。 この出願の経鼻投与用製剤における生理活性物質の添加割合は、使用する生理活性物質に依存するが、前記流動性改善成分の全重量を1とした場合に、塩換算しない遊離体としての重量比0.0001〜1.2の割合で添加することが好ましく、0.01〜0.6の割合で添加することがより好ましい。 本発明は、第一の結晶セルロースの流動性を改善するために、第三リン酸カルシウムを使用すること、及び、第三リン酸カルシウムの流動性改善効果をさらに相乗的に高めるために、第二の特定の結晶セルロースあるいはデンプンを使用することを特徴とするものである。 本発明で提供される流動性改善効果は、第三リン酸カルシウムを、滑沢剤や流動化剤として汎用されるステアリン酸マグネシウムやタルクに置き換えた場合には全く認められないことから、本発明は極めて特異的なものである。Ceolus(登録商標) PH-F20JPに、流動化剤を単独添加、あるいは流動化剤及び流動化促進剤(結晶セルロース)を同時に添加した時の安息角を示す図である。なお、図中、St-Mgはステアリン酸マグネシウムを、Talcはタルクを、TCPは第三リン酸カルシウムを意味し、PH-F20JP はCeolus(登録商標) PH-F20JPを、PH-101はCeolus(登録商標) PH-101を、 PH-102は、Ceolus(登録商標) PH-102を、PH-301はCeolus(登録商標) PH-301を、PH-302は、Ceolus(登録商標) PH-302を意味する。Ceolus(登録商標) PH-F20JPに、流動化剤を単独添加、あるいは流動化剤及び流動化促進剤(コーンスターチ)を同時に添加した時の安息角を示す図である。なお、図中、St-Mgはステアリン酸マグネシウムを、Talcはタルクを、TCPは第三リン酸カルシウムを意味し、PH-F20JP はCeolus(登録商標) PH-F20JPを、Starchはコーンスターチを意味する。Ceolus(登録商標) PH-F20JPに、流動化剤として1%の第三リン酸カルシウム、及び流動化促進剤としてCeolus(登録商標) PH-101、Ceolus(登録商標) PH-102、Ceolus(登録商標) PH-301、Ceolus(登録商標) PH-302、コーンスターチを各種割合で添加した時の安息角を示す図である。図中、TCPは第三リン酸カルシウムを意味し、PH-101はCeolus(登録商標) PH-101を、 PH-102は、Ceolus(登録商標) PH-102を、PH-301はCeolus(登録商標) PH-301を、PH-302は、Ceolus(登録商標) PH-302を、Starchはコーンスターチを意味する。Ceolus(登録商標) PH-F20JPに、流動化剤として第三リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルクを各種割合で、流動化促進剤として10%のCeolus(登録商標) PH-301を添加した時の安息角を示す図である。図中、St-Mgはステアリン酸マグネシウムを、Talcはタルクを、TCPは第三リン酸カルシウムを意味し、PH-301はCeolus(登録商標) PH-301を意味する。Ceolus(登録商標) PH-F20JPに、流動化剤として第三リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルクを各種割合で、流動化促進剤として10%のコーンスターチを添加した時の安息角を示す図である。図中、St-Mgはステアリン酸マグネシウムを、Talcはタルクを、TCPは第三リン酸カルシウムを意味し、Starchはコーンスターチを意味する。50カプセル(ゼラチン1号)に各種配合剤を充填したときの充填量のバラツキ(平均充填量を基準とし、個々のカプセル充填量をパーセントで表示)を示す図である。評価に使用した各種配合剤は、Ceolus(登録商標) PH-F20JPに、流動化剤を単独添加、あるいは流動化剤及び流動化促進剤を同時に添加したものであり、図中、St-Mgはステアリン酸マグネシウムを、Talcはタルクを、TCPは第三リン酸カルシウムを意味し、PH-F20JP はCeolus(登録商標) PH-F20JPを、PH-301はCeolus(登録商標) PH-301を、Starchはコーンスターチを意味する。50カプセル(ゼラチン1号)に各種配合剤を充填したときの充填量のバラツキ(平均充填量を基準としたときの標準偏差)と安息角との関係を示す図である。評価に使用した各種配合剤は、Ceolus(登録商標) PH-F20JPに、流動化剤を単独添加、あるいは流動化剤及び流動化促進剤を同時に添加したものであり、図中、St-Mgはステアリン酸マグネシウムを、Talcはタルクを、TCPは第三リン酸カルシウムを意味し、PH-F20JP はCeolus(登録商標) PH-F20JPを、PH-301はCeolus(登録商標) PH-301を、Starchはコーンスターチを意味する。経鼻投与担体についての崩壊流出試験の試験方法を示す図である。経鼻デバイス(パブライザー(登録商標))からの各種配合剤の噴射率(%)を示す図である。評価に使用した各種配合剤は、Ceolus(登録商標) PH-F20JPに、流動化剤を単独添加、あるいは流動化剤及び流動化促進剤(結晶セルロース)を同時に添加したものであり、図中、St-Mgはステアリン酸マグネシウムを、Talcはタルクを、TCPは第三リン酸カルシウムを意味し、PH-F20JP はCeolus(登録商標) PH-F20JPを、PH-301はCeolus(登録商標) PH-301を意味する。経鼻デバイス(パブライザー(登録商標))からの各種配合剤の噴射率(%)を示す図である。評価に使用した各種配合剤は、Ceolus(登録商標) PH-F20JPに、流動化促進剤(コーンスターチ)を単独添加、あるいは流動化剤(第三リン酸カルシウム)及び流動化促進剤(コーンスターチ)を同時に添加したものであり、図中、TCPは第三リン酸カルシウムを意味し、PH-F20JP はCeolus(登録商標) PH-F20JPを、Starchはコーンスターチを意味する。経鼻デバイス(Fit-lizer(登録商標))からの各種配合剤の噴射率(%)を示す図である。評価に使用した各種配合剤は、Ceolus(登録商標) PH-F20JPに、流動化剤を単独添加、あるいは流動化剤及び流動化促進剤(結晶セルロース)を同時に添加したものであり、図中、St-Mgはステアリン酸マグネシウムを、Talcはタルクを、TCPは第三リン酸カルシウムを意味し、PH-F20JP はCeolus(登録商標) PH-F20JPを、PH-301はCeolus(登録商標) PH-301を意味する図である。サルにグラニセトロン経鼻投与製剤を経鼻投与した後の血漿中グラニセトロン濃度推移を示す図である。サルにモルヒネ経鼻投与製剤を投与した後の血漿中モルヒネ濃度推移を示す図である。サルにスマトリプタン経鼻投与製剤を投与した後の血漿中スマトリプタン濃度推移を示す図である。サルにHMG経鼻投与製剤を投与した後の血清中FSH濃度推移を示す図である。サルにPTH(1-34) 経鼻投与製剤を投与した後の血清中PTH(1-34)濃度推移を示す図である。サルにフェンタニル経鼻投与製剤を投与した後の血漿中フェンタニル濃度推移を示す図である。 本発明の経鼻投与用製剤の一態様としては、ゆるめカサ密度が0.13〜0.29 g/cm3であり、比表面積が1.3 m2/g以上であり、平均粒子径が30 μm以下であり、安息角が55度以上の結晶セルロース(第一の結晶セルロース)(A)と、 第三リン酸カルシウム(B)と、 ゆるめカサ密度が0.26〜0.48 g/cm3であり、比表面積が1.3 m2/g以下であり、安息角が50度以下であり、平均粒子径が150μm以下の結晶セルロース(第二の結晶セルロース)(C)とを含む粉体の流動性改善成分と、 生理活性物質とからなる複合体を少なくとも含む、経鼻投与用製剤である。 本発明で用いうる「結晶セルロース」としては、一般的に、パルプなどのセルロース質を酸加水分解あるいはアルカリ酸化分解あるいは両者を組み合わせて分解した後、精製し、乾燥後あるいは乾燥中あるいは乾燥前に粉砕あるいは磨砕して得られる結晶セルロースを挙げることができる。 より具体的には、平均粒経が大きくとも30μmであり、比表面積が1.3m2/gである結晶セルロース(特公平5-038732号)、あるいは、セルロース微結晶聚合物35〜80%と水からなる組成物(特公昭39-12469号)や、平均重合度が60〜375、見掛比容積が1.60cc/g〜3.10cc/g、安息角が35〜42度、粉体流度が200メッシュ留分が2〜80重量%である結晶セルロース(特公昭56-38128号)などのCeolus(登録商標)類およびそれらの改変体から、必要に応じて高速回転衝撃粉砕機あるいは気流式粉砕機で微粉化し、さらに必要であれば所望の粒子径をもつ粒子を分級したものを本発明で使用できる。 本発明において、「第一の結晶セルロース(A)」とは、前記結晶セルロースにおいて、ゆるめカサ密度が0.13〜0.29 g/cm3であり、比表面積が1.3 m2/g以上であり、平均粒子径が30 μm以下であり、安息角が55度以上の結晶セルロースである。 この第一の結晶セルロース(A)における、ゆるめカサ密度として、より好ましくは0.21〜0.28 g/cm3である。比表面積として、より好ましくは1.8〜6.0m2/gであり、さらに好ましくは2.0〜3.5 m2/gである。平均粒子経として、より好ましくは10〜25μmであり、さらに好ましくは、12〜22μmである。安息角として、より好ましくは55〜75度であり、さらに好ましくは59〜70度である。 このような結晶セルロースの具体的なものとしては、旭化成ケミカル社や米国エフエムシー社から商品名Ceolus(登録商標) PH-F20JP やAvicel(登録商標) PH-105の下で入手できる結晶セルロースをそのまま、あるいは分級して得ることのできる結晶セルロースを挙げることができる。Ceolus(登録商標) PH-F20JPは、特開昭63-267731で公開されている結晶セルロースであり、錠剤を成型する際の結合剤としての効果を飛躍的に向上させ得ることが報告されている。 本発明において用いられる「第三リン酸カルシウム(B)」(別名:ヒドロキシアパタイト)は、3Ca3(PO4)2・Ca(OH)2の分子式で表され、流動性を改善させるために添加される。本発明で使用できる第三リン酸カルシウムは、特に限定されるものではないが、該結晶セルロースとの混合分散性を考慮して、好ましくは平均粒子径100μm以下、さらに好ましくは平均粒子径10〜75μm、より更に好ましくは平均粒子径10〜50μmのものが望ましい。 第三リン酸カルシウムの添加割合としては、薬物の経鼻吸収性に影響を与えず、かつ、製剤の流動性を向上することができる割合であれば、特に限定されないが、第一の結晶セルロース(A)と、該第三リン酸カルシウム(B)と、該第二の結晶セルロース(C)の合計重量((A)+(B)+(C))に対して、該第三リン酸カルシウム(B)の含有量が0.1〜10重量%であり、好ましくは0.5〜5.0重量%である。 本発明において用いられる「第二の結晶セルロース(C)」とは、ゆるめカサ密度が0.26〜0.48 g/cm3であり、かつ比表面積が1.3 m2/g以下であり、かつ安息角が50度以下であり、かつ平均粒子径が150μm以下の結晶セルロースをいう。第二の結晶セルロースは、流動性を高めるために添加される。 この第二の結晶セルロース(C)における、ゆるめカサ密度として、より好ましくは0.30〜0.46 g/cm3であり、さらに好ましくは0.38〜0.43 g/cm3である。比表面積として、より好ましくは0.4〜1.3m2/gであり、さらに好ましくは0.5〜1.0 m2/gである。平均粒子経として、より好ましくは30〜100μmであり、さらに好ましくは、40〜75μmである。安息角として、より好ましくは30〜50度であり、さらに好ましくは35〜45度である。 このような第二の結晶セルロースの具体的なものとしては、旭化成ケミカル社や米国エフエムシー社から商品名Ceolus(登録商標) あるいはAvicel(登録商標) PH-101、PH-102、PH-301やPH-302の下で入手できる結晶セルロースをそのまま、あるいは分級して得ることのできるものを挙げることができる。特に好ましいものとしては、商品名Ceolus(登録商標) PH-301あるいはAvicel(登録商標) PH-301等を挙げることができる。 第二の結晶セルロース(C)の添加割合は、薬物の経鼻吸収性に影響を与えず、かつ、製剤の流動性を向上することができる割合であれば、特に限定されないが、第一の結晶セルロース(A)と、該第三リン酸カルシウム(B)と、該第二の結晶セルロース(C)との合計重量((A)+(B)+(C))に対して、5〜30重量%であり、好ましくは10〜20重量%である。 この態様で用いられる流動性改善成分は、第一の結晶セルロース(A)と、第三リン酸カルシウム(B)と第二の結晶セルロース(C)とを含有する。このような流動性改善成分としては好ましくは粉末状である。 また、この態様における流動性改善成分の安息角は、第三リン酸カルシウム、第二の結晶セルロースの添加割合に依存するが、好ましくは35〜55度、より好ましくは40〜53度であり、第一の結晶セルロースのみを担体として使用する場合と比較して、飛躍的に流動性を高めることができる。 また、この態様における該経鼻投与用製剤の安息角は、前記流動性改善成分の安息角、及び、生理活性物質の種類、添加割合などに依存するが、好ましくは35〜55度、より好ましくは40〜53度であり、第一の結晶セルロースのみを担体として使用する場合の経鼻投与用製剤と比較して、飛躍的に流動性を高めることができる。 この態様における前記流動性改善成分と、前記生理活性物質とからなる複合体は、前記第一の結晶セルロース(A)、前記第三リン酸カルシウム(B)、前記第二の結晶セルロース(C)、および前記生理活性物質に剪断力を加えて混合することにより製造することができる。 このように製造した複合体を含む製剤は、必ずしも製剤中に含まれる第一の結晶セルロース(A)、第三リン酸カルシウム(B)、第二の結晶セルロース(C)および生理活性物質の全量が複合体を形成している必要はなく、少なくとも一つ複合体を形成していれば、本発明に含まれる。 この態様における経鼻投与用製剤は、具体的には、粉末状の薬物と粉末状の流動性改善成分とを均質に混合するのに常用されている手段(例えば、乳鉢、V型混合器や高速混合撹拌器など)を用いて調製することができる。また、必要に応じて、水を加えて練合した後、凍結乾燥し、さらに分級過程を組み込むこともできる。 混合を行う順序としては、特に限定されるわけではないが、生理活性物質と第一の結晶セルロースとを混合し、さらに第二の結晶セルロースを加えて混合し、最後に第三リン酸カルシウムを加えて混合する方法や、まず生理活性物質と第二の結晶セルロースと第三リン酸カルシウムとを混合し、さらに第一の結晶セルロースを加えて混合する方法、あるいは生理活性物質と第一の結晶セルロースとを混合し、さらに第二の結晶セルロースと第三リン酸カルシウムを同時に加えて混合する方法が挙げられる。 本発明の別の態様としては、ゆるめカサ密度が0.13〜0.29 g/cm3であり、比表面積が1.3 m2/g以上であり、平均粒子径が30 μm以下であり、安息角が55度以上の結晶セルロース(第一の結晶セルロース)(A)と、 第三リン酸カルシウム(B)と、 ゆるめカサ密度が0.35〜0.65 g/cm3であり、比表面積が1.3 m2/g以下であり、安息角が55度以下であり、平均粒子径が150μm以下のデンプン(D)とを含む粉体の流動性改善成分と、 生理活性物質とからなる複合体を少なくとも含む、経鼻投与用製剤である。 この態様において用いられる第一の結晶セルロースは、前述の第一の結晶セルロースと同じ結晶セルロースを用いることができる。 この態様において用いられる第三リン酸カルシウムは、前述の第三リン酸カルシウムと同じ第三リン酸カルシウムを用いることができる。 この態様において用いられる第三リン酸カルシウムの添加割合は、薬物の経鼻吸収性に影響を与えず、かつ、製剤の流動性を向上することができる割合であれば、特に限定されないが、第一の結晶セルロース(A)と、該第三リン酸カルシウム(B)と、デンプン(D)の合計重量((A)+(B)+(D))に対して、0.1〜10重量%であり、好ましくは0.5〜5.0重量%である。 本発明において用いられる「デンプン(D)」としては、ゆるめカサ密度が0.35〜0.65 g/cm3であり、比表面積が1.3 m2/g以下であり、安息角が55度以下であり、平均粒子径が150 μm以下の粒子を選ぶことができる。このようなデンプンは、流動性を向上させるために添加される。 本発明におけるデンプンは、トウモロコシ、バレイショなど、その原料が制限されるものではない。 デンプン(D)における、ゆるめカサ密度として、より好ましくは0.35〜0.60g/cm3であり、さらに好ましくは0.40〜0.60g/cm3であり、比表面積として、より好ましくは0.5〜1.3m2/gであり、さらに好ましくは0.7〜1.0 m2/gである。平均粒子経として、より好ましくは30〜100μmであり、さらに好ましくは、40〜70μmである。安息角として、より好ましくは40〜50度である。 このようなデンプン(D)として具体的には、コーンスターチ(メルク)を挙げることができる。 デンプン(D)の添加割合は、薬物の経鼻吸収性に影響を与えず、かつ、製剤の流動性を向上することができる割合であれば、特に限定されないが、第一の結晶セルロース(A)と、該第三リン酸カルシウム(B)と、該デンプン(D)との合計重量((A)+(B)+(D))に対して、好ましくは、5〜30重量%であり、より好ましくは10〜20重量%である。 この態様で用いられる流動性改善成分は、第一の結晶セルロース(A)と、第三リン酸カルシウム(B)とデンプン(D)とを含有する。このような流動性改善成分は、好ましくは粉末状である。 この態様における流動性改善成分の安息角は、第三リン酸カルシウム、及びデンプンの添加割合に依存するが、好ましくは35〜55度、より好ましくは40〜53度であり、第一の結晶セルロースのみを担体として使用する場合と比較して、飛躍的に流動性を高めることができる。 この態様において用いられる生理活性物質は、前述の生理活性物質と同じ生理活性物質を用いることができる。 また、この態様における該経鼻投与用製剤の安息角は、前述の流動性改善成分の安息角、及び、生理活性物質の種類、添加割合などに依存するが、好ましくは35〜55度、より好ましくは40〜53度であり、第一の結晶セルロースのみを担体として使用する場合の経鼻投与用製剤と比較して、飛躍的に流動性を高めることができる。 前記流動性改善成分と、前記生理活性物質とからなる複合体は、前記第一の結晶セルロース(A)、前記第三リン酸カルシウム(B)、前記デンプン(D)、および前記生理活性物質に剪断力を加えて混合することにより製造することができる。 このように製造した複合体を含む製剤は、必ずしも前記製剤中に含まれる第一の結晶セルロース(A)、第三リン酸カルシウム(B)、デンプン(D)および生理活性物質の全量が複合体を形成している必要はなく、少なくとも一つ複合体を形成していれば、本発明に含まれる。 具体的には、粉末状の薬物と粉末状の経鼻投与用担体とを均質に混合するのに常用されている手段(例えば、乳鉢、V型混合器や高速混合撹拌器など)を用いて調製することができる。また、必要に応じて、水を加えて練合した後、凍結乾燥し、さらに分級過程を組み込むこともできる。 混合を行う順序としては、特に限定されるわけではないが、まず生理活性物質と第一の結晶セルロースとを混合し、さらにデンプンを加えて混合し、最後に第三リン酸カルシウムを加えて混合する方法や、まず生理活性物質とデンプンと第三リン酸カルシウムとを混合し、さらに第一の結晶セルロースを加えて混合する方法、あるいは生理活性物質と第一の結晶セルロースとを混合し、さらにデンプンと第三リン酸カルシウムを同時に加えて混合する方法などが挙げられる。 表1に、各種結晶セルロース(Ceolus(登録商標):旭化成ケミカル社製、Avicel(登録商標):FMC社製)及びデンプン(メルク社製)の具体的な粉体特性をリストした。 粉体特性 本明細書において、「平均粒子径」は、Ceolus(登録商標) PH-F20JP 及びAvicel(登録商標) PH-105については、レーザー回折式粒度分布測定装置によるメジアン径を、その他の結晶セルロースについては、篩分け法を用いた粒度分布から、それぞれ測定した。 「メジアン径」とは、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量となる径をいい、レーザー回折式粒度分布測定装置によるメジアン径は、計測された累積粒度分布曲線の50容量%に相当する。 篩分け法による平均粒子径は、第14改正日本薬局方第一部の一般試験法の中の粒度分布測定法第2法に基づき、使用する結晶セルロースあるいはデンプン10gを目開き38μm、45μm、53μm、75μm、106μm、180μm及び300μmの順番に重ねたJIS規格の標準篩を電磁式篩振とう機に設置し10分間篩分けを行い、各篩の上に残った試料の重量を測定することで得られる累積粒度分布曲線の50重量%に相当する。 本明細書において、「ゆるめカサ密度」は、第14改正日本薬局方第一追補第一部の一般試験法の中のカサ密度およびタップ密度測定法第2法に基づいて、測定することができる。具体的には、内径46mm、高さ110mm(実測容積180mL)の円筒容器へ試料をJIS規格の1000μmの篩いを通して、容器の上方から均一に供給し、上面をすり切って秤量することにより求めることができる。 ゆるめカサ密度は、粒子の大きさ、形状、凝集力などによって変動する。一般に、粒子の形状が、球形から離れ不規則な形状になるほど、ゆるめカサ密度は小さくなる傾向にある。さらに、粒子径が小さいほど、粒子の自重よりも粒子間付着力が大きな影響を与えるから、ゆるめカサ密度は小さくなる傾向にある。しかしながら、同シリーズで平均粒子径の異なるCeolus(登録商標) PH-101とPH-102 あるいはCeolus(登録商標) PH-301とPH-302のゆるめカサ密度には、それぞれ殆ど差は認められなかったことから、結晶セルロースの場合、ゆるめカサ密度は粒子径以外の要因、例えば、粒子の形状などの粒子形態の違いによって変動すると考えられ、ゆるめカサ密度が粒子を特徴付ける重要な特性値であると言える。 なお、本検討で採用したカサ密度測定方法の妥当性を評価するために、ゆるめカサ密度の実測値をカタログ値と比較したが、カタログ値と差は認められなかった。 本明細書において、「比表面積」は、第14改正日本薬局方第一部の一般試験法の中の比表面積測定法第2法(BET法)に基づき、測定することができる。具体的には、一定温度(77.35ケルビン)及び6時間の事前真空引きの条件下で、粉体粒子表面に窒素分子を吸着させ、その吸着量からBET式に基づいて比表面積を求めることができる。 比表面積は、粒子の大きさ、表面特性や細孔の有無などによって変化する。一般に、粒子径が小さくなると比表面積が大きくなる傾向があるが、同シリーズで平均粒子径の異なるCeolus(登録商標) PH-101とPH-102 あるいはCeolus(登録商標) PH-301とPH-302の比表面積には、それぞれ殆ど差は認められなかった。この理由として、特公昭56-38128号では、結晶セルロースはもともと多孔性粉体ゆえ、分級して粒子径が変わっても、比表面積はさほど変化しないと推察している。即ち、結晶セルロースの比表面積は、粒子径以外の要因、例えば、粒子の表面構造や細孔の数などの粒子形態の違いによって変動すると考えられ、Ceolus(登録商標) PH-F20JPやAvicel(登録商標) PH-105で観察された大きな比表面積は、特徴的な粒子形態をもった結晶セルロースを特徴付ける重要な粒子特性値となる。 本明細書において、「安息角」は、重力場で粉体を落下させたとき、堆積した粉体層が、自発的に崩れることなく安定を保つことのできる斜面の角度のことをいい、ロート注入法により測定することができる。ロート注入法による測定は、例えば、ロートを用いて粒体を円盤上に自然落下させ、水平面に堆積させた時に粒体の作る角度を底面の円盤の直径と計測した粉体層の高さから算出することができる。 安息角は、粒子の大きさや表面特性などによって変動するが、一般に、粒子径が小さいほど、安息角は大きくなる傾向にある。安息角は、粒体の流動性の指標であり、安息角が小さければ、該粒体の流動性が高いことを意味する。 なお、本検討で採用した汎用のロート注入法による安息角測定方法の妥当性を評価するために、実測値をカタログ値と比較したが、カタログ値と差は認められなかった。 平均粒子経、ゆるめカサ密度、比表面積及び安息角は、結晶セルロースの物性を特定する代表的な特性値である。ゆるめカサ密度、比表面積及び安息角で表される特性値は、単純に粒子径の大きさだけに依存しない複合的なパラメータであり、これらの粒子特性をそれぞれ限定することにより、特定の結晶セルロースを特徴付けることができる。また、上記測定方法に沿った各パラメータの測定も当業者であれば容易に行うことができる。 また、本発明の別の態様として、前記経鼻投与用製剤に、本発明の目的上悪影響を及ぼさない限り、他の担体または基剤、pH調整剤、保存剤、安定化剤、矯味剤、吸収促進剤を添加することもできる。例えば、他の担体または基剤としてはヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸、キトサン、ガンマポリグルタミン酸等を、pH調整剤としてはリン酸水素ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム等を、保存剤としては塩化ベンザルコニウム等を、矯味剤としてはD-ソルビトール、カンゾウ、サッカリン、ステビア等を、吸収促進剤としては胆汁酸等を挙げることができる。 さらに、添加した第三リン酸カルシウムの2価カルシウムイオンが、陰イオンにチャージした薬物同士と配位結合等により、多量体形成を促し、薬物の経鼻吸収性を低下させる場合には、2価カルシウムイオンを補捉する物質として、アルギン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウムやEDTA等を添加することもできる。 なお本明細書において引用されたすべての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。 以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるものではない。 安息角は、粉体の流動性を評価するための代表的な指標であり、一般的に安息角が大きいほど、その粉体の流動性は悪くなる。表2には、経鼻投与用担体として有効な結晶セルロース(第一の結晶セルロース)であるCeolus(登録商標) PH-F20JP(旭化成ケミカル)に、ステアリン酸マグネシウム(和光純薬)、タルク(和光純薬)、第三リン酸カルシウム(太平化学産業、粒子径を38μm以下に分級したもの)、Ceolus(登録商標) PH-301(旭化成ケミカル)、コーンスターチ(メルク)を各種割合(全重量に対する重量%)で添加したときの安息角測定値を示した。 上記成分を、室温、相対湿度60%以下の条件下で、Ceolus(登録商標) PH-F20JPとステアリン酸マグネシウム、タルク、第三リン酸カルシウム、Ceolus(登録商標) PH-301またはコーンスターチから選ばれる1種類とを乳鉢で均質に混合することによって調製した。 単剤添加による安息角測定値 ステアリン酸マグネシウム及びタルクの添加による安息角は、Ceolus(登録商標) PH-F20JP単独の安息角(62度)と比較して、若干改善されたものの、十分な流動性改善効果は得られなかった。一方、第三リン酸カルシウムを添加した場合、その添加率に依存して安息角の低下が認められ、その効果はステアリン酸マグネシウム及びタルクの添加効果に比べると高かった。また、Ceolus(登録商標) PH-301及びコーンスターチをそれぞれ5〜20%添加した場合、その効果はステアリン酸マグネシウム及びタルクを添加した場合と比較しても、安息角の低下は殆ど認められなかった。 表3、図1−1及び図1−2には、ステアリン酸マグネシウム(和光純薬)、タルク(和光純薬)及び第三リン酸カルシウム(太平化学産業、粒子径を38μm以下に分級したもの)から1種類と、第二の結晶セルロースであるCeolus(登録商標) PH-101(旭化成ケミカル)、Ceolus(登録商標) PH-102(旭化成ケミカル)、Ceolus(登録商標) PH-301(旭化成ケミカル)、Ceolus(登録商標) PH-302(旭化成ケミカル)、及びコーンスターチ(メルク)から1種をそれぞれ選択し、経鼻投与用担体として有効な結晶セルロース(第一の結晶セルロース)であるCeolus(登録商標) PH-F20JP(旭化成ケミカル)に、選択した1剤もしくは2剤を各種割合(全重量に対する重量%)で添加したときの安息角測定値を示した。 上記成分を、室温、相対湿度60%以下の条件下で、まずCeolus(登録商標) PH-F20JPとCeolus PH-101、Ceolus(登録商標) PH-102、Ceolus(登録商標) PH-301、Ceolus(登録商標) PH-302またはコーンスターチから選ばれる1種類とを乳鉢を用いて混合し、さらにステアリン酸マグネシウム、タルクまたは第三リン酸カルシウムから選ばれる1種類を添加し、均質に混合することにより調製した。 流動化剤及び流動化促進剤併用による安息角測定値 流動化剤としてステアリン酸マグネシウムあるいはタルクに、流動化促進剤として結晶セルロースあるいはコーンスターチを併用しても、ステアリン酸マグネシウム、タルクの単独添加時の安息角と違いは観察されず、併用による流動化促進効果は認められなかったが、流動化剤として第三リン酸カルシウムと流動化促進剤として結晶セルロースあるいはコーンスターチを併用した場合、単独使用時に比べて、併用による流動性改善効果が認められた。 特に、流動化促進剤として、結晶セルロースを併用した場合には、Ceolus(登録商標) PH-301が最も効果的であり、Ceolus(登録商標) PH-301を僅か5重量%添加した場合においても、流動性の改善が認められた。 また、流動化促進剤として、コーンスターチを併用した場合においても、5重量%以上添加で、流動性の改善が認められた。 さらに、第三リン酸カルシウムとCeolus(登録商標) PH-301以外の結晶セルロースとを組み合わせて使用する場合には、流動化促進剤としての結晶セルロース添加割合を20%以上添加することで、併用効果が認められた(図2)。 ここで、特記すべきことは、単独添加では流動性改善効果に殆ど寄与しなかった結晶セルロースやデンプンが、第三リン酸カルシウムとの併用により、流動性を促進したことにある。 また、図3−1に示すとおり、第三リン酸カルシウムとCeolus(登録商標) PH-301とを併用した時の流動性改善効果は、第三リン酸カルシウムの添加割合に依存して増強され、第三リン酸カルシウムの添加割合によって流動性をコントロールできることが分かった。 さらに、第三リン酸カルシウムとコーンスターチとを併用した時の流動性改善効果は図3−2に示すとおり、第三リン酸カルシウムを5%重量以上添加することで、流動性を顕著に改善できることが分かった。 次に、流動性改善効果が観察された流動性改善成分の組み合わせとして、経鼻投与用担体としてのCeolus(登録商標) PH-F20JP(旭化成ケミカル)、流動化促進剤としてのCeolus(登録商標) PH-301(旭化成ケミカル)又はコーンスターチ(メルク)のいずれか、及び流動化剤としての第三リン酸カルシウム(太平化学産業、粒子径を38μm以下に分級したもの)の組み合わせに、各種薬物の添加を試み、さらに検討を行った。 各種製剤は、表4にリストした処方に基づき、室温、相対湿度60%以下の条件下で、第一の結晶セルロースと第三リン酸カルシウムからなる流動性改善成分の場合には、まず、生理活性物質とCeolus(登録商標) PH-F20JPを混合し、さらに第三リン酸カルシウムを加えて混合する方法により調製した。 また、第一の結晶セルロースと第三リン酸カルシウムと第二の結晶セルロースまたはデンプンからなる流動性改善成分の場合には、まず、生理活性物質とCeolus(登録商標) PH-F20JPとを混合し、さらにCeolus(登録商標) PH-301またはコーンスターチを加えて混合し、最後に第三リン酸カルシウムを加えて混合する方法により、乳鉢混合で調製した。 なお、使用した薬物は、制吐剤である塩酸グラニセトロン(Chemagis)、塩酸オンダンセトロン(LKT Laboratories)及び塩酸トロピセトロン(LKT Laboratories)、鎮痛剤である塩酸モルヒネ3水和物(武田薬品工業)、クエン酸フェンタニル(Fine Chemicals)及び塩酸オキシコドン(Mallinckrodt)、片頭痛治療薬であるコハク酸スマトリプタン(Tronto Research Chemicals)及びゾルミトリプタン(Lundbeck)、鼻炎治療薬であるプロピオン酸ベクロメタゾン(USP Convention)及びマレイン酸ケトチフェン(LKT Laboratories)、糖尿病薬であるヒトインスリン(Intergen)、不妊治療薬である下垂体性性腺刺激ホルモン(和光純薬)及び骨粗鬆症治療薬である副甲状腺ホルモン(1-34)(Bachem)である。 各種薬物を含有する経鼻製剤の処方一覧 一方、対照例として、経鼻投与用担体としてのCeolus(登録商標) PH-F20JP(旭化成ケミカル)と各種薬物を乳鉢で混合した経鼻製剤と、経鼻投与用担体としてのCeolus(登録商標) PH-F20JP(旭化成ケミカル)、各種薬物、流動化促進剤としてのCeolus(登録商標) PH-301(旭化成ケミカル)又はコーンスターチ(メルク)のいずれか、及び滑沢剤/流動化剤としてのステアリン酸マグネシウム(和光純薬)またはタルク(和光純薬)のいずれかを混合した経鼻製剤を検討した。 各種製剤は、表5にリストした処方に基づき、上記製剤は、室温、相対湿度60%以下の条件下で、下記方法により調製した。 第一の結晶セルロースのみを流動性改善成分とする場合には、生理活性物質とCeolus(登録商標) PH-F20JPを混合することにより調製した。 第一の結晶セルロースと滑沢剤/流動化剤からなる流動性改善成分の場合には、まず、生理活性物質とCeolus(登録商標) PH-F20JPを混合し、さらにステアリン酸マグネシウムまたはタルクを加えて混合する方法により調製した。 第一の結晶セルロースと滑沢剤/流動化剤と第二の結晶セルロースまたはデンプンからなる流動性改善成分の場合には、まず、生理活性物質とCeolus(登録商標) PH-F20JPとを混合し、さらにCeolus(登録商標) PH-301またはコーンスターチを加えて混合し、最後にステアリン酸マグネシウムまたはタルクを加えて混合する方法により、乳鉢混合で調製した。 各種薬物を含有する経鼻製剤の処方一覧(対照例) 表4、及び表5の処方に基づいて調製した経鼻投与用製剤について、その安息角を測定した結果を表6に示す。 各種経鼻投与用製剤の安息角 本発明による経鼻投与用製剤は、添加する薬物の種類に依らず、安息角の低下効果、即ち流動性改善効果が、表3と同様の傾向で認められた。 次に流動性改善の効果を検証するために、各種の流動性改善成分からなる担体についてカプセル充填量のバラツキを検討した。 一般に、流動性の悪い粉末をカプセル充填した場合、粉末粒子間に間隙ができやすかったり、カプセルへ粉体を流し込む際に、その流動性の低さから粉末の流れにムラができやすいため、カプセル充填量にバラツキが生じやすい。カプセル充填量がばらつくことで、添加する薬物量も著しく変化することから、1回分の薬物投与量にバラツキが生じる。従って、カプセル充填量の均一性は、カプセル製剤の生産効率性を左右し、適切な投与量を決める重要な因子である。 流動性改善によるカプセル充填量バラツキへの影響を検証するため、カプセル充填試験を行なった。手動のカプセル充填装置(カプセル充填量と市販の手動式カプセル充填機(Cap・M・QuickTM,S.L. Sanderson and Co.)を使って、50ヶのカプセル(ゼラチン1号カプセル)に各種経鼻投与用担体を擦り切り充填した時の各カプセルへの充填量を計量し、そのバラツキを比較した。表7に、50カプセルの平均充填量を基準したときの最少充填量及び最大量のパーセンテージ、及び50カプセルの充填量(%)のバラツキを標準偏差(SD)で示した。また、図4に50カプセルの充填バラツキを示した図を、図5には安息角とカプセル充填量(%)のバラツキの関係を示した図をそれぞれ記載した。カプセル充填量の均一性 図4に示されるように、担体としてのCeolus(登録商標) PH-F20JP(旭化成ケミカル)、流動化促進剤としてのCeolus(登録商標) PH-301(旭化成ケミカル)又はコーンスターチ(メルク)のいずれか、及び流動化剤としての第三リン酸カルシウム(太平化学産業、粒子径を38μm以下に分級したもの)の組み合わせにより、カプセル充填量のバラツキは小さくなり、図4の製剤Hにおいては±5%以内のバラツキでカプセル充填できることが分かった。 また、図5に示されるように、安息角とカプセル充填量(%)のバラツキは、正の関係にあり、安息角がカプセル充填時の均一性を評価する指標になることが分かった。 次に、表4及び表5にリストした薬物を含有する各種経鼻投与用製剤のカプセル充填性についても、同様の検討を行なった。表8にカプセル充填の均一性に関わるデータを示した。カプセル充填量の均一性 各種薬物に、担体としてのCeolus(登録商標) PH-F20JP(旭化成ケミカル)、流動化促進剤としてのCeolus(登録商標) PH-301(旭化成ケミカル)又はコーンスターチ(メルク)のいずれか、及び流動化剤としての第三リン酸カルシウム(太平化学産業、粒子径を38μm以下に分級したもの)を添加した製剤では、カプセル充填量のバラツキは明らかに小さくなり、表7に示された薬物を添加していない経鼻投与用担体のカプセル充填性と同じ傾向を示した。 上記のとおり、本発明による経鼻投与用製剤は、粉末製剤の流動性を改善する結果、カプセル充填量の均一性を顕著に改善する効果が認められた。 次に、各種の流動性改善成分からなる担体について崩壊流出試験による流動性の評価を行った。 安息角とは違う手法で、粉末担体の流動性を測るために、堆積した粉末担体の崩壊性を評価した。試験は、一定容量の容器(高さ7.5 cm X 横2.5 cm X 奥行き 2.5 cm)の上方から、粉末担体を落とし込み、容器内に粉末を擦り切り充填させた後、充填重量(A)を計量する。その後、容器側面の1面を開放したときに、容器から流出する粉体重量(B)を計量する。流出した粉体の割合(=B/A X 100)を崩壊流出率として、流動性の指標とする。この方法により、粉末担体の粒子同士が滑り、雪崩れ落ちる効果を数値比較することが可能となり、カプセル充填機の流路を粉末担体が均一に流れるかどうか、あるいはカプセル充填量を決めるために回転盤に設けられた一定容量の臼の中に均一に流れ込むかどうかを判断する1つの指標になる(図6参照)。 各種担体の崩壊流出率(3回の平均値)を表9に示した。容器からの崩壊流出率 表9で示されるように、担体としてのCeolus(登録商標) PH-F20JP(旭化成ケミカル)に、流動化剤としてステアリン酸マグネシウム、タルクまたは第三リン酸カルシウムを添加した場合、第三リン酸カルシウムを添加した製剤のみ、容器からの流出崩壊が確認された。さらに、担体としてのCeolus(登録商標) PH-F20JP(旭化成ケミカル)及び流動化促進剤としてのCeolus(登録商標) PH-301(旭化成ケミカル)又はコーンスターチ(メルク)のいずれかの混合物に、流動化剤としてステアリン酸マグネシウム、タルクまたは第三リン酸カルシウムを添加した場合、タルクまたは第三リン酸カルシウムを添加した場合で、容器からの流出崩壊が確認され、第三リン酸カルシウム添加製剤がタルク添加製剤よりも、有意に崩壊流出性が高いことが分かった。 さらに、表4及び表5にリストした薬物を含有する各種経鼻投与用製剤の崩壊流動性についても同様の検討を行なった。崩壊流出率(3回の平均値)を表10に示した。 容器からの崩壊流出率 各種薬物に、担体としてのCeolus(登録商標) PH-F20JP(旭化成ケミカル)、流動化促進剤としてのCeolus(登録商標) PH-301(旭化成ケミカル)又はコーンスターチ(メルク)のいずれか、及び流動化剤としての第三リン酸カルシウム(太平化学産業、粒子径を38μm以下に分級したもの)を添加した製剤では、崩壊流出性が顕著に高まることが確認された。 以上、本発明による経鼻投与用製剤は、流動性に関与する崩壊流動性が顕著に改善されることが確認された。 次に各種の流動性改善成分からなる担体について経鼻デバイスから噴射性の評価を行った。 カプセル充填された粉末製剤は、経鼻デバイス等の使用により、投与部位である鼻腔内に粉末製剤を噴射させる必要がある。その際、粉末製剤の流動性は、経鼻デバイスからの噴射量やその均一性を左右する重要な因子となるため、各粉末担体について経鼻デバイスからの噴射性を比較検討した。カプセル充填された粉末製剤用の経鼻デバイスとして、市販のパブライザー(登録商標)(帝人ファーマ)及び開発中のFit-lizer(登録商標)(Bioactis, Ltd.)を評価のために使用した。 各種担体10、25または50 mgを2号サイズのHPMCカプセルに正確に充填し、経鼻デバイスのポンプ部を一定の外圧(30 kPa)で押圧し、経鼻デバイスの重量変化から噴射量を計算した。経鼻デバイスのポンプを押圧は、パブライザー(登録商標)の場合は5回連続、Fit-lizer(登録商標)の場合は1回行なった。なお、経鼻デバイスのポンプ部を一定圧で押圧するために、空圧シリンダーでポンプ部を押圧する噴射装置を製作し、評価に使用した。また、ポンプ部を押圧する外圧値(30 kPa)は、健常人女性がポンプを押圧した際の最低値を採用した。 表11及び表12に、各種粉末担体を充填したカプセル10ヶについて、経鼻デバイスで噴射した際の平均噴射率とその標準偏差(SD)を示した。また、図7−1と図7−2に対応する図を示した。経鼻デバイス(パブライザー)らの噴射性経鼻デバイス(Fit-lizer)らの噴射性 表11と12及び図7−1と図8からも明らかなように、PH-F20JPにPH-301と第三リン酸カルシウムを添加した担体では、他の担体と比較して、経鼻デバイスからの噴射量が統計学的有意に高いことが分かった。加えて、図7−2に示したように、カプセル内への製剤充填量が変化しても、PH-F20JPにPH-301と第三リン酸カルシウムを添加した担体では安定した高い噴射率が得られることが分かった。また、図7−2に示すようにPH-F20JPにデンプンと第三リン酸カルシウムを添加した担体においても、他の担体と比較して、経鼻デバイスからの噴射量が統計学的有意に高いことが分かった。 さらに、表4及び表5にリストした薬物を含有する各種の経鼻投与用製剤についても経鼻デバイスからの噴射性評価を行った。 製剤25 mgを2号サイズのHPMCカプセルに正確に充填し、パブライザー(登録商標)のポンプ部を一定の外圧(30 kPa)で5回連続で押圧し、経鼻デバイスの重量変化から噴射量を計算した。なお、経鼻デバイスのポンプ部を空圧シリンダーで押圧する噴射装置を製作し、評価に使用した。10カプセルの平均噴射率とその標準偏差(SD)を表13に示した。 経鼻デバイス(パブライザー)らの噴射性 各種薬物に、担体としてのCeolus(登録商標) PH-F20JP(旭化成ケミカル)、流動化促進剤としてのCeolus(登録商標) PH-301(旭化成ケミカル)又はコーンスターチ(メルク)のいずれか、及び流動化剤としての第三リン酸カルシウム(太平化学産業、粒子径を38μm以下に分級したもの)を添加した製剤では、経鼻デバイスからの噴射量が高まり、加えてそのバラツキが軽減されることが確認された。 以上、本発明にかかる経鼻投与用製剤は、経鼻デバイスからの噴射量やその均一性を高め、且つカプセルに充填する製剤量に依存しない噴射性が得られ、結果として確実な投与量を鼻腔内へ投与すること可能にした。 経鼻剤が鼻腔内に投与される場合、カプセル内への製剤充填量のバラツキとデバイスからの噴射量のバラツキの両方により、投与量が変動してしまうため、本発明の経鼻投与用製剤によるカプセル充填及び経鼻デバイスからの噴射の均一性改善は、適切な薬物量によって、確実かつ安全な治療を行なう上で、非常に大きな意義を持つ。 次に、流動性が改善された本発明に係る製剤が、薬物の経鼻吸収に及ぼす影響について、動物試験を実施した。 雄性カニクイザル(体重4.62〜7.10kg)に、実施例1、実施例2及び対照例1で調製したグラニセトロン経鼻製剤50 mg/animal(グラニセトロン投与量として、2 mg/animal)を、経鼻デバイス(Fit-lizer(登録商標), Bioactis, Ltd.)を使って、右鼻腔内に経鼻投与した。なお、経鼻デバイスのポンプを製剤が完全に噴射されるまで押圧することで、製剤のほぼ全量を動物に投与した。 投与後5、10、30、60、120、240及び480分後に、大腿静脈から採血し、血漿中グラニセトロン濃度をHPLC法により測定した。図9に血漿中グラニセトロン濃度推移を、表14に血漿中グラニセトロン濃度及び薬物速度論的パラメータを示した。 血漿中グラニセトロン濃度 対照例1と比較した実施例1及び2の血中濃度には変化は認められず、流動性が改善された本発明にかかる製剤はグラニセトロンの経鼻吸収に影響を及ぼさないことが確認された。 雄性カニクイザル(体重4.95〜6.97kg)に、実施例4〜6及び対照例4で調製したモルヒネ経鼻製剤50 mg/animal(モルヒネ投与量として、4 mg/animal)を、経鼻デバイス(Fit-lizer(登録商標), Bioactis, Ltd.)を使って、右鼻腔内に経鼻投与した。なお、経鼻デバイスのポンプを製剤が完全に噴射されるまで押圧することで、製剤のほぼ全量を動物に投与した。 投与後5、10、20、30、60、120及び480分後に、大腿静脈から採血し、血漿中モルヒネ濃度をHPLC法により測定した。図10に血漿中モルヒネ濃度推移を、表15に血漿中モルヒネ濃度及び薬物速度論的パラメータを示した。 血漿中モルヒネ濃度 対照例4と比較した実施例4〜6の血中濃度には変化は認められず、流動性が改善された本発明にかかる製剤はモルヒネの経鼻吸収に影響を及ぼさないことが確認された。また、ステアリン酸マグネシウムを含有する対照例5の血漿中モルヒネ濃度では、他の実施例や対照例4と比較して、最高血中濃度(Cmax)で最大50%にまで、血中濃度時間曲線下面積(AUC)で最大54%にまで、それぞれ低下することが確認された。これは、脂肪酸の1種であるステアリン酸マグネシウムが有する構造的脂溶性部分が、薬物が鼻粘膜と接する際に、鼻粘液との親和性を妨害し、結果として、薬物の吸収性が低下したものと考えられる。 雄性カニクイザル(体重5.86〜6.79kg)に、実施例9及び対照例10で調製したスマトリプタン経鼻製剤50 mg/animal(スマトリプタン投与量として、6 mg/animal)を、経鼻デバイス(Fit-lizer(登録商標), Bioactis, Ltd.)を使って、右鼻腔内に経鼻投与した。なお、経鼻デバイスのポンプを製剤が完全に噴射されるまで押圧することで、製剤のほぼ全量を動物に投与した。 投与後15、30、60、90、180、240及び480分後に、大腿静脈から採血し、血漿中スマトリプタン濃度をHPLC法により測定した。図11に血漿中スマトリプタン濃度推移を、表16に血漿中スマトリプタン濃度及び薬物速度論的パラメータを示した。 血漿中スマトリプタン濃度 対照例10-1と比較した実施例9の血中濃度について、動物の体重差に基づく分布容積の違いを考慮すれば、両者の吸収性に差は認められず、流動性が改善された本発明にかかる製剤はスマトリプタンの経鼻吸収に影響を及ぼさないことが確認された。 雄性カニクイザル(体重5.61〜6.91kg)に、実施例15及び対照例16で調製したHMG経鼻製剤50 mg/animal(FSH投与量として、50 U/animal)を、経鼻デバイス(Fit-lizer(登録商標), Bioactis, Ltd.)を使って、右鼻腔内に経鼻投与した。なお、経鼻デバイスのポンプを製剤が完全に噴射されるまで押圧することで、製剤のほぼ全量を動物に投与した。 投与後0.5、1、2、4、6、12及び24時間後に、大腿静脈から採血し、血清中FSH濃度をEIA法(IBL社)により測定した。図12に血清中FSH濃度推移を、表17に血清中FSH濃度及び薬物速度論的パラメータを示した。 血清中FSH濃度 対照例16と比較した実施例15の血中濃度には変化は認められず、流動性が改善された本発明にかかる製剤はFSHの経鼻吸収に影響を及ぼさないことが確認された。 雄性カニクイザル(体重5.97〜6.74kg)に、実施例16及び対照例17で調製したPTH(1-34)経鼻製剤50 mg/animal〔PTH(1-34)投与量として、 120μg/animal〕を、経鼻デバイス(Fit-lizer(登録商標), Bioactis, Ltd.)を使って、右鼻腔内に経鼻投与した。なお、経鼻デバイスのポンプを製剤が完全に噴射されるまで押圧することで、製剤のほぼ全量を動物に投与した。 投与後5、10、20、30、40、60及び90分後に、大腿静脈から採血し、血清中PTH(1-34)濃度をEIA法(Peninsula Laboratories社)により測定した。図13に血清中PTH(1-34)濃度推移を、表18に血清中PTH(1-34)濃度及び薬物速度論的パラメータを示した。 血清中PTH(1-34)濃度 対照例17-1と比較した実施例16の吸収率は顕著な変化は認められなかったが、Tmax値(最高血中濃度到達時間)の差からも明らかなように、実施例16ではPTH(1-34)の吸収が早くなることが分かった。これは、経鼻投与用製剤の流動性が改善されたことにより、製剤の分散性が向上し、経鼻デバイスから噴射された製剤が鼻腔内の広範囲に分布した結果、PTH(1-34)が鼻粘膜から吸収される速度が高められたと推察される。また、ステアリン酸マグネシウムを含有する対照例17-2の血清中PTH(1-34)濃度では、実施例16や対照例17-1と比較して、最高血中濃度(Cmax)で最大5%にまで、血中濃度時間曲線下面積(AUC)で最大8%にまで、それぞれ顕著に低下することが確認された。これは、脂肪酸の1種であるステアリン酸マグネシウムが有する構造的脂溶性部分が、薬物が鼻粘膜と接する際に、鼻粘液との親和性を妨害し、結果として、薬物の吸収性が低下したものと考えられる。 次に雄性カニクイザル(体重6.41〜7.26kg)に、実施例7-2及び対照例8で調製したフェンタニル経鼻製剤25 mg/animal(フェンタニル投与量として、100 μg/animal)を、経鼻デバイス(Fit-lizer(登録商標), Bioactis, Ltd.)を使って、右鼻腔内に経鼻投与した。なお、経鼻デバイスのポンプを製剤が完全に噴射されるまで押圧することで、製剤のほぼ全量を動物に投与した。 投与後2、5、10、15、30、60、120、240及び480分後に、大腿静脈から採血し、血漿中フェンタニル濃度をLC-MS/MS法により測定した。図14に血漿中フェンタニル濃度推移を、表9に血漿中フェンタニル濃度及び薬物速度論的パラメータを示した。 血漿中フェンタニル濃度 対照例8と比較した実施例7−2の血中濃度には変化は認められず、流動性が改善された本発明にかかる製剤はフェンタニルの経鼻吸収に影響を及ぼさないことが確認された。 本発明に係る流動性改善成分と生理活性物質とからなる複合体を含む経鼻投与用製剤は優れた流動性を有し、経鼻投与に有用である。しかも、本発明に係る製剤を経鼻投与した場合と、低分子薬物を含む非ペプチド・タンパク性薬物からペプチド・タンパク性薬物の幅広い薬物において、第一の結晶セルロースを担体として単独で用い、かつ本発明に係る製剤と同量の生理活性物質とを含む製剤が同条件で噴射された場合とを比較しても、その経鼻吸収性自体に変わりがない。 以上のとおり、本発明により、製剤の生産性を高め、経鼻デバイスからの製剤の噴射性及び噴射均一性を高め、且つ高い鼻粘膜薬物吸収性を実現した経鼻投与用製剤を提供することが可能になった。 ゆるめカサ密度が0.13〜0.29g/cm3であり、比表面積が1.3m2/g以上であり、平均粒子径が30μm以下であり、安息角が55度以上の結晶セルロース(第一の結晶セルロース)(A)、 第三リン酸カルシウム(B)、 ゆるめカサ密度が0.26〜0.48g/cm3であり、比表面積が1.3m2/g以下であり、安息角が50度以下であり、平均粒子径が150μm以下の結晶セルロース(第二の結晶セルロース)(C)、もしくは、ゆるめカサ密度が0.35〜0.65g/cm3であり、比表面積が1.3m2/g以下であり、安息角が55度以下であり、平均粒子径が150μm以下のデンプン(D)を含む粉体の流動性改善成分と、 生理活性物質とからなる複合体を少なくとも含む、経鼻投与用製剤であって、 前記流動性改善成分は、前記第三リン酸カルシウム(B)を0.1〜10重量%、前記第二の結晶セルロース(C)及び/又は前記デンプン(D)を5.0〜30重量%を含み、残部が第一の結晶セルロース(A)であり、 該流動性改善成分にかかる全重量を1とした場合に、前記生理活性物質を塩換算しない遊離体としての重量比で0.0001〜1.2の割合で含む、経鼻投与用製剤。 ゆるめカサ密度が0.13〜0.29g/cm3であり、比表面積が1.3m2/g以上であり、平均粒子径が30μm以下であり、安息角が55度以上の結晶セルロース(第一の結晶セルロース)(A)、 第三リン酸カルシウム(B)、 ゆるめカサ密度が0.26〜0.48g/cm3であり、比表面積が1.3m2/g以下であり、安息角が50度以下であり、平均粒子径が150μm以下の結晶セルロース(第二の結晶セルロース)(C)、もしくは、ゆるめカサ密度が0.35〜0.65g/cm3であり、比表面積が1.3m2/g以下であり、安息角が55度以下であり、平均粒子径が150μm以下のデンプン(D)を含む粉体の流動性改善成分と、 生理活性物質とを含む、経鼻投与用製剤であって、 前記流動性改善成分は、前記第三リン酸カルシウム(B)を0.1〜10重量%、前記第二の結晶セルロース(C)及び/又は前記デンプン(D)を5.0〜30重量%を含み、残部が第一の結晶セルロース(A)であり、 前記第一の結晶セルロース(A)、前記第三リン酸カルシウム(B)、前記第二の結晶セルロース(C)もしくは前記デンプン(D)、および前記生理活性物質に剪断力を加えて、該流動性改善成分にかかる全重量を1とした場合に、前記生理活性物質を塩換算しない遊離体としての重量比で0.0001〜1.2の割合で混合したことにより製造された、経鼻投与用製剤。 前記第二の結晶セルロース(C)のゆるめカサ密度が0.35〜0.46g/cm3であり、比表面積が1.0m2/g以下であり、安息角が45度以下であり、平均粒子径が75μm以下である、請求項1または2に記載の経鼻投与用製剤。 前記第三リン酸カルシウム(B)の平均粒経が100μm以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載の経鼻投与用製剤。 前記製剤の安息角が、53度以下の範囲内である、請求項1〜4の何れか一項に記載の経鼻投与用製剤。 前記生理活性物質が、ペプチド・タンパク性薬物及び/または低分子薬物を含む非ペプチド・タンパク性薬物である、請求項1〜5の何れか一項に記載の経鼻投与用製剤。 前記ペプチド・タンパク性薬物が、インスリン、成長ホルモン、成長ホルモン放出ペプチド、グレリン、グルカゴン、カルシトニン、インターフェロン、エリスロポエチン、インターロイキン、PTH(1−84)、PTH(1−34)、PTH関連ペプチド、GLP−1、バソプレシン、リュープロレリン、顆粒球コロニー形成刺激因子、プロラクチン、下垂体性性腺刺激ホルモン、胎盤性性腺刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体化ホルモン、レプチン、神経成長因子(NGF)、幹細胞増殖因子(SCGF)、角質細胞増殖因子(KGF)、チオレドキシン、シクロスポリン、インフルエンザワクチン、及びそれらのアナログ物質からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項6に記載の経鼻投与用製剤。 前記低分子薬物を含む非ペプチド・タンパク性薬物が、モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、ブトルファノール、トラマドール、グラニセトロン、オンダンセトロン、トロピセトロン、パロノセトロン、インジセトロン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン、エルゴタミン、トリアゾラム、メラトニン、カルバマゼピン、ミダゾラム、ドネペジル、チアプリド、セファクロル、エノキサシン、アシクロビル、ジドブジン、ジダノシン、ネビラビン、インジナビル、ダントロレン、ジゴキシン、トリヘキシフェニジル、ピペリデン、デキストロメトルファン、ナロキソン、ベタヒスチン、ナファゾリン、ジルチアゼム、トラニラスト、ロペラミド、ジクロフェナック、ベクロメタゾン、クロルフェニラミン、シルデナフィル、バルデナフィル、シアノコバラミン、フィナステリド、エピネフリン、5−FU、低分子ヘパリン、タクロリムス、RNA、RNAi、siRNA、アンチセンスDNA、アレルゲンエキス粉末からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項6に記載の経鼻投与用製剤。 pH調整剤、保存剤、安定化剤、矯味剤、吸収促進剤、または2価カルシウムイオンを捕捉する物質をさらに含む、請求項1〜8の何れか一項に記載の経鼻投与用製剤。 【課題】流動性が改善された経鼻投与担体及びそれを用いた経鼻投与用製剤の提供。【解決手段】特定の粉体特性を備える第一の結晶セルロース(A)と、特定の粉体特性を備える第三リン酸カルシウム(B)と、特定の粉体特性を備える第二の結晶セルロース(C)もしくはデンプン(D)を含む流動性改善成分と、生理活性物質とからなる複合体を少なくとも含む、経鼻投与用製剤。(A)はゆるめカサ密度が0.13〜0.29g/cm3であり、比表面積が1.3m2/g以上であり、平均粒子径が30μm以下であり、安息角が55度以上である結晶セルロース。【選択図】なし20131106A16333全文3 a)生理活性物質と、 b)(1)30μm以下の平均粒径を有する、第一の結晶セルロース、(2)第二の結晶セルロースまたはデンプン、および(3)滑沢剤または流動化剤を含む担体組成物とを含み、経鼻製剤の安息角が53度以下である、粉末経鼻投与用製剤。 a)生理活性物質と、 b)(1)30μm以下の平均粒径を有する、第一の結晶セルロース、(2)第二の結晶セルロースまたはデンプン、および(3)滑沢剤または流動化剤を含む担体組成物とを含み、経鼻製剤の安息角が35度から55度である、粉末経鼻投与用製剤。 経鼻製剤の安息角が40度から53度である、請求項1または2に記載の経鼻投与用製剤。 第二の結晶セルロースまたはデンプンが、30〜100μmの平均粒径を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の経鼻投与用製剤。 滑沢剤または流動化剤が、100μm以下の平均粒径を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の経鼻投与用製剤。 第一の結晶セルロースが、担体組成物の60〜94.9重量%で存在する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の経鼻投与用製剤。 第二の結晶セルロースまたはデンプンが、担体組成物の5.0〜30重量%で存在する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の経鼻投与用製剤。 滑沢剤または流動化剤が、担体組成物の0.5〜5重量%で存在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の経鼻投与用製剤。 滑沢剤または流動化剤が、二酸化ケイ素である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の経鼻投与用製剤。 担体組成物の全重量を1とした場合、前記生理活性物質が、担体組成物の全重量に対する重量比で0.0001〜1.2の割合で存在し、該比率は遊離体としての生理活性物質の重量を用いて計算される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の経鼻投与用製剤。 前記生理活性物質が、ペプチド性薬物またはタンパク性薬物である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の経鼻投与用製剤。 前記生理活性物質が、インスリン、成長ホルモン、成長ホルモン放出ペプチド、グレリン、グルカゴン、カルシトニン、インターフェロン、エリスロポエチン、インターロイキン、副甲状腺ホルモン(1−84)、副甲状腺ホルモン(1−34)、副甲状腺ホルモン関連ペプチド、GLP−1、バソプレシン、リュープロレリン、顆粒球コロニー形成刺激因子、プロラクチン、下垂体性性腺刺激ホルモン、胎盤性性腺刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体化ホルモン、レプチン、神経成長因子(NGF)、幹細胞増殖因子(SCGF)、角質細胞増殖因子(KGF)、チオレドキシン、シクロスポリン、インフルエンザワクチン、及びそれらのアナログ物質からなる群より選択される、請求項11に記載の経鼻投与用製剤。 前記生理活性物質が、非ペプチド性薬物または非タンパク性薬物である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の経鼻投与用製剤。 前記生理活性物質が、モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、ブトルファノール、トラマドール、グラニセトロン、オンダンセトロン、トロピセトロン、パロノセトロン、インジセトロン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン、エルゴタミン、トリアゾラム、メラトニン、カルバマゼピン、ミダゾラム、ドネペジル、チアプリド、セファクロル、エノキサシン、アシクロビル、ジドブジン、ジダノシン、ネビラビン、インジナビル、ダントロレン、ジゴキシン、トリヘキシフェニジル、ビペリデン、デキストロメトルファン、ナロキソン、ベタヒスチン、ナファゾリン、ジルチアゼム、トラニラスト、ロペラミド、ジクロフェナック、ベクロメタゾン、クロルフェニラミン、シルデナフィル、バルデナフィル、シアノコバラミン、フィナステリド、エピネフリン、5−フルオロウラシル(5−FU)、低分子ヘパリン、タクロリムス、RNA、RNAi、siRNA、アンチセンスDNA、及びアレルゲンエキス粉末からなる群より選択される、請求項13に記載の経鼻投与用製剤。 pH調整剤、保存剤、安定化剤、矯味剤、吸収促進剤、または2価カルシウムイオンを捕捉する物質をさらに含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の経鼻投与用製剤。 一定の外圧(30kPa)で連続して5回押圧することによって噴射デバイスから噴射された場合、少なくとも73.8%の経鼻投与用製剤が噴射される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の経鼻投与用製剤。 担体処方物が(1)30μm以下の平均粒径を有する第一の結晶セルロース、(2)第二の結晶セルロースまたはデンプン、および(3)滑沢剤または流動化剤を含み、かつ担体処方物の安息角が35度〜55度である、経鼻投与用の粉末担体処方物。 担体処方物の安息角が40度〜53度である、請求項17に記載の担体処方物。 第二の結晶セルロースまたはデンプンが、30〜100μmの平均粒径を有する、請求項17または18に記載の担体処方物。 滑沢剤または流動化剤が、100μm以下の平均粒径を有する、請求項17〜19のいずれか一項に記載の担体処方物。 第一の結晶セルロースが、組成物全体の60〜94.9重量%で存在する、請求項17〜20のいずれか一項に記載の担体処方物。 第二の結晶セルロースまたはデンプンが、組成物全体の5.0〜30重量%で存在する、請求項17〜21のいずれか一項に記載の担体処方物。 滑沢剤または流動化剤が、組成物全体の0.1〜10重量%で存在する、請求項17〜22のいずれか一項に記載の担体処方物。 滑沢剤または流動化剤が、二酸化ケイ素である、請求項17〜23のいずれか一項に記載の担体処方物。 一定の外圧(30kPa)で連続して5回押圧することによって噴射デバイスから噴射された場合、少なくとも72.9%の担体処方物が噴射される、請求項17〜24のいずれか一項に記載の担体処方物。