タイトル: | 公開特許公報(A)_極性油剤増粘方法及びそれを利用したオイル化粧料洗浄剤組成物 |
出願番号: | 2013209940 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 8/92,A61K 8/37,A61Q 1/14,A61K 8/06 |
須田 裕喜 大志田 翔 JP 2015074611 公開特許公報(A) 20150420 2013209940 20131007 極性油剤増粘方法及びそれを利用したオイル化粧料洗浄剤組成物 川研ファインケミカル株式会社 390003001 須田 裕喜 大志田 翔 A61K 8/92 20060101AFI20150324BHJP A61K 8/37 20060101ALI20150324BHJP A61Q 1/14 20060101ALI20150324BHJP A61K 8/06 20060101ALI20150324BHJP JPA61K8/92A61K8/37A61Q1/14A61K8/06 4 OL 9 4C083 4C083AB051 4C083AC422 4C083AC431 4C083AC432 4C083CC23 4C083DD30 本発明は、極性油剤と水とポリオキシアルキレン硬化ひまし油の特定量の組み合わせからなる自己組織化により、逆ひも状ミセルを形成することを利用した極性油剤増粘方法、及びそれを利用したオイル化粧料洗浄剤組成物に関する。動植物油類、鉱物油類、炭化水素類、脂肪酸エステル類等に用いられるオイル増粘剤は、化粧料をはじめとして医薬品、食品、塗料、インク等の様々な分野で広く利用されている。一般のオイル化粧料洗浄剤はクレンジングオイルが主流であり、オイル成分で化粧料を溶解させた後、洗浄剤成分によって乳化や分散して水で洗い流す方法により洗浄を行っている。また、近年増えてきている耐水性メーク製品、例えばマスカラなどのポイントメークを落とす場合、より短時間で効率的に洗浄することが要求される。そのためには洗浄成分を液だれしにくくすることで解決できる。クレンジングオイルの有する粘度が低く、液だれした場合、クレンジングオイルとマスカラの懸濁液が他の顔の部位に付着し再度洗浄しなおさなければならないという不都合が生じるおそれがある。クレンジングオイルを増粘させる方法の一つに高分子増粘剤を配合する手段がある(特許文献1)。ポリアクリル酸誘導体では少量で良好なオイル増粘を示すが、皮膚に塗布すると高分子特有のべたつきを感じ、油の残存感により使用感がよくない。特開2010−235467号報従来の技術では、油に対する増粘性や皮膚に対する刺激緩和には良好ではあるが、洗浄性付与や使用感が十分でないという課題がありこれらの改善が求められていた。本発明は、生体や環境に対する高い安全性、優れた使用感、および良好な増粘が要求されるオイル増粘剤組成物を提供することを課題とし、特にクレンジングオイルを増粘させる事により、メーク落としの際に、適度な使用感を与え、更にはポイントメークなどを効率的に落とすことができるオイル化粧料洗浄剤組成物を提供することを目的としている。本発明者らは、オイルの粘度構築の問題解決する方法を検討した結果、極性油剤にポリオキシアルキレン硬化ひまし油と水を特定量使用することにより、極性油剤を媒体としてポリオキシアルキレン硬化ひまし油と水が自己組織化により逆ひも状ミセルを形成し、極性油剤がチキソ性を有する粘弾性流体を形成しオイルを増粘することを見出した。またこの方法により作成されるオイル化粧料洗浄剤組成物が、上記課題が解決できることを見出した。即ち、本発明は、(A)極性油剤100重量部に対して(B)水を3.0〜6.0重量部(C)ポリオキシアルキレン硬化ひまし油を10〜50重量部を必須成分として配合することを特徴とする極性油剤の増粘方法に関する。さらに本発明増粘法は、成分B及び成分Cが成分A中において、自己組織能により逆ひも状ミセルを形成する極性油剤増粘方法であることが好ましいこの時、使用されるポリオキシアルキレン硬化ひまし油のオキシアルキレン付加モル数が硬化ひまし油1モルに対して40〜50モルである場合がより好ましい。また、本発明極性油剤増粘方法の範囲内にある(A)極性油剤 100重量部(B)水 3.0〜6.0重量部(C)ポリオキシアルキレン硬化ひまし油 10〜50重量部を含有してなるメイクアップ化粧料の洗浄性に優れるオイル化粧料洗浄剤組成物に関する。本発明は、極性油剤に対し水とポリオキシエチレン硬化ひまし油を併用することにより、油剤に粘度を与え、且つ、メイクアップ化粧料の洗浄性に優れるオイル用増粘組成物に関するものである。図1は実施例4の組成物の動的粘弾性測定の結果以下、本発明の実施形態について説明する。本発明のポリオキシアルキレン硬化ひまし油は、硬化ひまし油に塩基触媒化にてアルキレンオキサイドを付加重合することにより容易に得ることができる。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられる。ポリオキシアルキレン硬化ひまし油の好適例としては、PEG−30硬化ひまし油、PPG−30硬化ひまし油、PBG−硬化ひまし油、PEG−35硬化ひまし油、PPG−35硬化ひまし油、PBG−35硬化ひまし油、PEG−40硬化ひまし油、PPG−40硬化ひまし油、PBG−40硬化ひまし油、PEG−45硬化ひまし油、PPG−45硬化ひまし油、PBG−45硬化ひまし油、PEG−50硬化ひまし油、PPG−50硬化ひまし油、PBG−50硬化ひまし油、PEG−55硬化ひまし油、PPG−55硬化ひまし油、PBG−55硬化ひまし油、PEG−60硬化ひまし油、PPG−60硬化ひまし油、PBG−60硬化ひまし油、等が挙げられる。特に好ましくは、ハンドリング性や相溶性、洗浄性を考慮し、PEG−40硬化ひまし油、PEG−45硬化ひまし油、PEG−50硬化ひまし油がより好ましい。また、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油のポリオキシアルキレン基としては水を含有させた際の二層分離等の問題を考慮し、ポリオキシエチレン基がより好ましい。ポリオキシアルキレン硬化ひまし油は極性油の配合量の10〜50%含有させ、水を3.0〜6.0%含有させることによりオイル用増粘組成物を実用的な粘度構築が可能となる。極性油配合量の10%を下回るポリオキシアルキレン硬化ひまし油、並びに水の3.0%以下の配合は、増粘効果不十分なため好ましくなく、50%を超えるポリオキシアルキレン硬化ひまし油の配合並びに、6.0%を超えた水の配合は、ゲル化や相分離、乳化等が発生し好ましくない。本発明増粘法は、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油と水を併用することでオイル中で逆ひも状ミセルを形成し、粘度構築が困難とされるオイルを容易に増粘させられ、従来の高分子増粘剤よりも優れた使用感と高い増粘機能を有していると推定している。ひも状ミセル形成に伴う系のレオロジー変化は動的粘弾性測定結果をマックスウェルモデルで応用することで確認が可能である(コロイド化学のためのレオロジー 丸善株式会社出版、松本孝芳著)。また、この方法は本発明のような油状組成物の場合においても、逆ひも状ミセルの形成を確認することが可能である。本発明者らは、本発明増粘法に関わる範囲で逆ひも状ミセルを形成していることを実施例にて確認した。本発明の成分(C)のポリオキシアルキレン硬化ひまし油は、一分子中に3本の親油基とその途中よりポリオキシアルキレン基を有しており、これらがグリセリン鎖を介して一分子を構成している。この親水性と親油性の密度が単一親油基を有する他の界面活性剤に比較して、極性油剤に添加された水の添加をきっかけとして逆ミセル、更には逆ひも状ミセルに油剤中で配向しやすい構造となっており、親油基の途中から延びる親水基を有する親水基と親油基の複雑な絡みにより本発明の効果が発現しているものと推定している。本発明増粘剤と極性油の組み合わせによる粘度構築に関して詳細に説明する。極性油としては、トリグリセリド(A−1)、エステル油(A−2)が挙げられる。トリグリセリド(A−1)としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、エイコサン酸、べへン酸、テトラコサン酸、ミリストレン酸、パルミトレン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ヒドロキシステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、硬化パーム核油脂肪酸、パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸、豚脂脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、硬化ヒマシ油脂肪酸など、炭素数6以上の高級脂肪酸のトリグリセリド、オリーブ油、ヒマワリ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヤシ油、ツバキ油、カカオ脂、シア脂などの動植物油脂類などが挙げられる。エステル油(A−2)としてはオレイン酸エチル、リノール酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸イソセチル、2−エチルへキサン酸ステアリル、2−エチルへキサン酸イソステアリル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、ピバリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、エルカ酸オクチルドデシル、ジデカン酸ネオペンチルグリコール、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパンアジピン酸ジデシル、アジピン酸ジデシル、(アジピン酸・2−エチルへキサン酸・ステアリン酸)等が挙げられる。更に本発明の効果を妨害しない範囲で他の界面活性剤、ゲル化剤、水溶性高分子(動植物系、微生物系、合成系) 、酸化防止剤、pH 調整剤、香料、抗菌剤、防腐剤、清涼剤、保湿剤、抗炎症剤、美白剤、細胞賦活剤、肌あれ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤、紫外線吸収剤、アミノ酸類、核酸関連物質、酵素、ホルモン類、包接化合物、植物抽出物、動物及び微生物由来の抽出物等を、本発明の効果を損なわない範囲にて1種あるいは2種以上用いて配合することができる。本発明の効果に関して以下の実施例によりさらに詳細に説明する。以下の方法により本件発明一般式(1)に関わる物質を製造/同定した。製造例 PEG−45硬化ひまし油1Lナスフラスコに硬化ひまし油(250g)と水酸化カリウム(触媒量)を仕込み、硬化ひまし油の融解後、120〜125℃、30分間の減圧脱水を行った。反応液を1Lオートクレーブに仕込み、窒素置換後に150℃まで昇温してからエチレンオキサイド(EO)付加を開始した。液温140〜160℃でEO付加を行い、EO導入終了後、140〜160℃で1時間の熟成を行った。熟成終了後、反応液を1Lナスフラスコに移し、ロータローエバポレーターを用いてトッピングを行い、目的物を得た。製造例1で試作したサンプル及び、市販されているポリオキシエチレン硬化ひまし油と、比較対象としてPEG−10硬化ひまし油、PEG−80硬化ひまし油、PEG−100硬化ひまし油を用い、その性能を評価した。なお、測定項目の測定条件は以下の方法に従った各組成物は表1に示す配合比率で、まず油相を均一に撹拌混合し、そこに水をゆっくり滴下することで調整した。調整したサンプルの直後の外観、及び室温1週間保存した後の外観を次の基準にて判定した。表1はグリセライド型の油剤としてトリエチルヘキサノインを用いた時の結果である。実施例群と比較例群を比較すると、実施例群の化合物1〜4は融点が80〜110℃にあり、且つ、油剤への溶解温度が78〜85℃と比較的低い温度であるため油剤への溶解性が高いということが確認できる。また、添加量が0.2重量%であってもゲル化可能であることが確認できる。比較例4、5ではゲル形成は認められるものの、ゲル強度は著しく低く、ゲル化剤としては不十分である。≪外観≫○:無色透明△:クスミ▲:白濁×:相分離≪逆ひも状ミセルの確認≫外観目視にて、チキソ性を示したサンプルに関し動的粘弾性測定を行い、逆ひも状ミセル形成の有無を確認した。マックスウェルモデル様の挙動であるならば、実測値をモデルフィッティングすることが可能で、フィッティング結果より、ひも状ミセルの絡み合いの度合いを確認することができる。図1は実施例4の組成物の動的粘弾性測定の結果である。実測値(点線)に対して理論式によりフィッティングした結果(実線)が重なっているのが観察できる。このことにより、ひも状ミセルはマックスウェルモデル様の粘弾性挙動をするということが確認できたと言える。同様に実施例1〜3、5、比較例1〜3の組成物についても確認した。評価は逆ひも状ミセル形成を確認できたものは“○”、確認できなかった物を“×”とし、表1に記載した。実施例の組成物は逆ひも状ミセルの形成が確認できている。 また、オイル増粘状態に関しては次の基準で評価した。≪オイル増粘状態評価≫5:ゲル状4:流動性のある増粘性オイル3:相分離し液体の中にゲルや固体が存在している状態2:グリースの様な状態1:見掛け状増粘していない液体更に、洗浄性については市販のマスカラを用い、その落ち具合を次の基準で評価した。≪クレンジング力≫5:非常に良く落ちる4:良く落ちる3:基準(実施例1の結果)2:やや落ちる1:落ちにくい比較例群と比べ、実施例群は、組成物の外観及び安定性、増粘性、マスカラのクレンジング力が全体的に優れていることがわかる。特に実施例2、3、4が相対的に優れたオイル増粘剤組成物と言える。※ 表中の名称の説明トリエチルヘキサノイン:パナセート800B(日油株式会社)PEG−30硬化ひまし油:EMALEX HC−30(日本エマルジョン株式会社)PEG−40硬化ひまし油:EMALEX HC−40(日本エマルジョン株式会社)PEG−50硬化ひまし油:EMALEX HC−50(日本エマルジョン株式会社)PEG−60硬化ひまし油:カワゼットCH−60(川研ファインケミカル株式会社)PEG−10硬化ひまし油:EMALEX HC−10(日本エマルジョン株式会社)PEG−80硬化ひまし油:EMALEX HC−80(日本エマルジョン株式会社)PEG−100硬化ひまし油:EMALEX HC−100(日本エマルジョン株式会社)表2の実験例より、本発明の極性油剤の増粘方法におけるC成分はポリオキシアルキレン硬化ひまし油以外では、無効化乃至は効果が不十分であることが分かる。本発明のオイル用増粘組成物は、油剤に粘度を付与するのみならず、メイクアップ化粧料のクレンジング性能にも優れている。(A)極性油剤100重量部に対して(B)水を3.0〜6.0重量部(C)ポリオキシアルキレン硬化ひまし油を10〜50重量部を必須成分として配合することを特徴とする極性油剤の増粘方法(A)極性油剤100重量部に対して(B)水を3.0〜6.0重量部(C)ポリオキシアルキレン硬化ひまし油を10〜50重量部からなり成分B及び成分Cが成分A中において、自己組織能により逆ひも状ミセルを形成する極性油剤増粘方法ポリオキシアルキレン硬化ひまし油が、一般式(1)で示される物質よりなる請求項1ないし2記載の極性油剤増粘方法[但し、式中AOはアルキレンオキサイド鎖を示し、n1、n2、n3は互いに独立に0以上の整数であり、40≦n1+n2+n3≦50の関係があるの関係がある。]請求項1〜3記載の増粘法により増粘された(A)極性油剤 100重量部(B)水 3.0〜6.0重量部(C)ポリオキシアルキレン硬化ひまし油 10〜50重量部を含有してなるオイル化粧料洗浄剤組成物 【課題】極性油剤と水とポリオキシアルキレン硬化ひまし油の特定量の組み合わせからなる自己組織化により、逆ひも状ミセルを形成することを利用した極性油剤増粘方法、及びそれを利用したオイル化粧料洗浄剤組成物を提供する。【解決手段】(A)極性油剤100重量部に対して(B)水を3.0〜6.0重量部(C)ポリオキシアルキレン硬化ひまし油を10〜50重量部を必須成分として配合することを特徴とする極性油剤の増粘方法及びオイル化粧料洗浄剤組成物【選択図】なし