タイトル: | 公開特許公報(A)_ミコナゾール硝酸塩を含む洗浄用組成物 |
出願番号: | 2013205239 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 8/49,A61K 8/34,A61K 8/42,A61K 8/44,A61Q 19/10,A61Q 5/02 |
小關 知子 JP 2014088373 公開特許公報(A) 20140515 2013205239 20130930 ミコナゾール硝酸塩を含む洗浄用組成物 持田製薬株式会社 000181147 小林 浩 100092783 星川 亮 100149010 大賀 沙央里 100162617 鈴木 康仁 100104282 小關 知子 A61K 8/49 20060101AFI20140418BHJP A61K 8/34 20060101ALI20140418BHJP A61K 8/42 20060101ALI20140418BHJP A61K 8/44 20060101ALI20140418BHJP A61Q 19/10 20060101ALI20140418BHJP A61Q 5/02 20060101ALI20140418BHJP JPA61K8/49A61K8/34A61K8/42A61K8/44A61Q19/10A61Q5/02 9 OL 21 4C083 4C083AC122 4C083AC471 4C083AC472 4C083AC622 4C083AC662 4C083AC712 4C083AC792 4C083AC851 4C083AC852 4C083AD531 4C083AD532 4C083BB04 4C083BB05 4C083BB07 4C083CC23 4C083CC38 4C083DD31 本発明は、有効成分としてのミコナゾール硝酸塩および抗真菌活性増強成分を含む洗浄用組成物に関する。 抗真菌薬として、アゾール系、ポリエン系、フロロピリミジン系、アリルアミン系等の分類が知られている。これらの抗真菌薬は、白癬治療用外用剤の有効成分として配合され得ることがよく知られており、その他の成分と組み合わせて抗真菌活性を向上させることも試みられている(特許文献1〜3)。白癬の原因菌としては、トリコファイトン(Trichophyton)属の菌が最も多く、カンジダ菌や黄色ブドウ球菌等によっても白癬による不快感が助長されると言われている。 ふけは、被髪頭部にみられる肉眼で見える大きさの粃糖様落屑である。ふけ症患者の多くは、頭部において皮膚の常在真菌の1つであるマラセチア属真菌、とりわけマラセチア・フルフル(Malassezia furfur;以下M.furfurと略す)が健常人と比較して顕著に増加している。M.furfurはふけに深く関与し、ふけ症や脂漏性皮膚炎の一因として認められ、ふけの発生および増悪に係わるとされている。 上記のように、白癬とふけ症とではその原因菌が異なる。白癬治療剤の主流は足等の患部に局所的に塗布して患部の治療という目的のもと、患部にできるだけ長く留めるように使用する外用剤である。それに対して、それ以外の用途に抗真菌薬を使用する場合は、用途に適した剤形や使用態様が望まれる。例えば、洗浄という目的を効果的にしかも速やかに達成するためには、単に塗布する外用剤よりも物理的に菌を洗い流す工程が加わるシャンプーや液体石鹸等の方が適している。また、洗い流す工程が加わることにより、菌を物理的に除去することができ、ふけ取りや、原因菌を取り除くことによる臭いの抑制といった効果を期することができる。 特許文献4には、シャンプーとしても使用可能なアゾール系抗真菌薬を配合したフケ防止剤が提案されている。また、特許文献5には、アゾール系抗真菌薬とピロクトンオラミンとを配合した洗浄用組成物の発明も提案されている。 また、M.furfurに対する抗真菌活性を有するミコナゾール硝酸塩を配合した、ふけ防止用のシャンプー、リンス、液体石鹸および泡石鹸(医薬部外品)が市販されている。一方で、より抗真菌活性が高く、皮膚刺激等の少ない洗浄用組成物が依然として望まれている。特開2009−7365号公報特開2004−149508号公報特開平9−176014号公報特許第3645287号公報特開2010−275198号公報 本発明は、ミコナゾール硝酸塩を含む洗浄用組成物に、抗真菌活性を増強する成分を配合することにより、ミコナゾール硝酸塩の抗真菌活性が増強された洗浄用組成物を提供することを目的とする。また、抗真菌活性増強成分を含む抗真菌活性増強剤、該抗真菌活性増強剤およびミコナゾール硝酸塩を含む洗浄用組成物を提供することも目的とする。 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、単独では抗真菌活性を示さない清涼成分をミコナゾール硝酸塩と組み合わせることによって、驚くべきことに、ミコナゾール硝酸塩の抗真菌活性が増強することを見出した。また、賦香成分には、単独で抗真菌活性を有する成分でもミコナゾール硝酸塩と組み合わせることでミコナゾール硝酸塩の抗真菌活性を低下させてしまう成分がある一方で、特定の賦香成分においては、ミコナゾール硝酸塩と組み合わせることによって、ミコナゾール硝酸塩の抗真菌活性が増強することを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、例えば以下に示す洗浄用組成物、抗真菌活性増強剤および抗真菌剤を提供する。(1)(a)ミコナゾール硝酸塩と、 (b)抗真菌活性増強成分と、 (c)洗浄用組成物全質量に対して0.5〜35.0質量%の界面活性剤と、 (d)洗浄用組成物全質量に対して50〜90質量%の水とを含む洗浄用組成物。(2)(c)界面活性剤が、アニオン界面活性剤ならびに、両性界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤である、上記(1)に記載の洗浄用組成物。(3)アニオン界面活性剤ならびに、両性界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤の洗浄用組成物全質量に対する割合が1.0〜30.0質量%である、上記(2)に記載の洗浄用組成物。(4)(c)界面活性剤が、アニオン界面活性剤である、上記(1)または(2)に記載の洗浄用組成物。(5)アニオン界面活性剤の洗浄用組成物全質量に対する割合が0.5〜20.0質量%である、上記(4)に記載の洗浄用組成物。(6)前記アニオン界面活性剤が、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウムおよび/またはヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムである、上記(2)〜(5)のいずれかに記載の洗浄用組成物。(7)(d)水の配合量が、洗浄用組成物全質量に対して55〜85質量%である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の洗浄用組成物。(8)前記抗真菌活性増強成分が、メントールおよび/またはカンファーである、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の洗浄用組成物。(9)前記メントールが、l−メントールである、上記(8)に記載の洗浄用組成物。(10)前記抗真菌活性増強成分は、ゲラニオール、オイゲノール、チモール、カルバクロール、ボルネオールおよびカルベオールからなる群より選択される1つ以上の化合物である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の洗浄用組成物。(11)前記抗真菌活性増強成分は、ゲラニオール、オイゲノール、カルバクロール、ボルネオールおよびカルベオールからなる群より選択される1つ以上の化合物である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の洗浄用組成物。(12)前記抗真菌活性増強成分は、メントールおよび/またはカンファーと、ゲラニオール、オイゲノール、チモール、カルバクロール、ボルネオールおよびカルベオールからなる群より選択される1つ以上の化合物とを含む、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の洗浄用組成物。(13)前記ミコナゾール硝酸塩の配合量は、前記洗浄用組成物全質量に対して0.1〜2.0質量%である、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の洗浄用組成物。(14)前記ミコナゾール硝酸塩の配合量は、前記洗浄用組成物全質量に対して0.2〜0.8質量%である、上記(13)に記載の洗浄用組成物。(15)前記抗真菌活性増強成分の配合量は、前記洗浄用組成物全質量に対して0.005〜5.0質量%である、上記(1)〜(14)のいずれかに記載の洗浄用組成物。(16)前記抗真菌活性増強成分の配合量は、前記洗浄用組成物全質量に対して0.01〜3.0質量%である、上記(15)に記載の洗浄用組成物。(17)前記抗真菌活性増強成分がメントールおよび/またはカンファーであり、その配合量が前記洗浄用組成物全質量に対して0.01〜3.0質量%である、上記(1)〜(14)のいずれかに記載の洗浄用組成物。(18)前記抗真菌活性増強成分がl−メントールであり、その配合量が前記洗浄用組成物全質量に対して0.02〜2.0質量%である、上記(17)に記載の洗浄用組成物。(19)前記抗真菌活性増強成分がゲラニオール、オイゲノール、チモール、カルバクロール、ボルネオールおよびカルベオールからなる群より選択される1つ以上の化合物であり、その配合量が前記洗浄用組成物全質量に対して0.005〜3.0質量%である、上記(1)〜(14)のいずれかに記載の洗浄用組成物。(20)前記洗浄用組成物は、シャンプー、液体石鹸および泡石鹸のいずれかである、上記(1)〜(19)のいずれかに記載の洗浄用組成物。(21)メントール、カンファー、ゲラニオール、オイゲノール、チモール、カルバクロール、ボルネオールおよびカルベオールからなる群より選択される1つ以上の化合物を含む、抗真菌活性増強剤。(22)前記化合物が、メントールおよび/またはカンファーである、上記(21)に記載の抗真菌活性増強剤。(23)前記メントールが、l−メントールである、上記(21)または(22)に記載の抗真菌活性増強在。(24)前記化合物が、ゲラニオール、オイゲノール、チモール、カルバクロール、ボルネオールおよびカルベオールからなる群より選択される1つ以上である、上記(21)に記載の抗真菌活性増強剤。(25)前記(21)〜(24)のいずれかに記載の抗真菌活性増強剤およびミコナゾール硝酸塩を含む、抗真菌剤。(26)前記抗真菌活性増強剤の配合量が、前記抗真菌剤全質量に対して0.005〜5.0質量%である、上記(25)に記載の抗真菌剤。(27)前記ミコナゾール硝酸塩の配合量が、前記抗真菌剤全質量に対して0.1〜2.0質量%である、上記(25)または(26)に記載の抗真菌剤。(28)上記(25)〜(27)のいずれかに記載の抗真菌剤を含む、洗浄用組成物。(29)前記洗浄用組成物が、さらに界面活性剤を含む、上記(28)に記載の洗浄用組成物。(30)前記界面活性剤が、洗浄用組成物全質量に対して0.5〜35.0質量%のアニオン界面活性剤である、上記(29)に記載の洗浄用組成物。(31)前記洗浄用組成物が、シャンプー、液体石鹸および泡石鹸のいずれかである、上記(28)〜(30)に記載の洗浄用組成物。(32)マラセチア属真菌に対して抗真菌活性を有する、上記(28)〜(31)のいずれかに記載の洗浄用組成物。(33)前記マラセチア属真菌がM.furfurである、(32)に記載の洗浄用組成物。 本発明によれば、抗真菌活性に優れた洗浄用組成物を提供することができ、抗真菌活性の増強により、ミコナゾール硝酸塩の有する、ふけ防止効果、かゆみ防止効果、汗臭防止効果、体臭防止効果、にきび防止効果、皮膚の清浄効果および皮膚の殺菌効果から選択される少なくとも1つの効果を増強することができる。ゲラニオール、オイゲノール、チモール、カルバクロール、ボルネオールまたはカルベオールと、ミコナゾール硝酸塩とを組み合わせたことによる作用効果を各成分について確認した図である。二元最小発育阻止濃度から、組み合わせた2種類の成分により生じる作用効果(相乗、相加または阻害)を判定する方法の一例を示す図である。 本発明の洗浄用組成物は、(a)ミコナゾール硝酸塩と、(b)抗真菌活性増強成分と、(c)界面活性剤と、(d)水とを含む。本発明者らは、ミコナゾール硝酸塩と特定の抗真菌活性増強成分とを組み合わせて使用することにより、ミコナゾール硝酸塩の抗真菌活性が増強することを見出した。従って、本発明の洗浄用組成物は、抗真菌活性増強成分を含まない場合と比較して、より高い抗真菌活性を示す。 また、本発明は上述したように、ミコナゾール硝酸塩の抗真菌活性を高めることができるため、より低濃度であっても効果を得ることができる。その結果、特に医薬部外品では濃度変更することなく効果を高めることにニーズがある中、従来と同じ濃度のミコナゾール硝酸塩を含む洗浄用組成物で高い抗真菌活性を得ることができるため、ふけ防止、かゆみ防止、汗臭防止、体臭防止および/またはにきび防止効果の優れた洗浄用組成物を提供することもできる。 本発明における「洗浄用組成物」とは、適用部位の汚れを取り除くおよび/または抗真菌作用を発揮することを目的とする洗浄用組成物である。その形態は特に限定されないが、たとえば液体石鹸、泡石鹸、クレンジングフォーム、シャンプー(頭髪用シャンプー、リンスインシャンプー、トニックシャンプー等)、およびリンス(ヘアリンス、ヘアコンディショナー、トリートメント等)が挙げられ、好ましくは液体石鹸、泡石鹸、シャンプー、およびリンスであり、より好ましくは液体石鹸、泡石鹸、シャンプー、およびリンスである。本発明の洗浄用組成物は、手足など皮膚の洗浄、洗髪など、人の身体に適用できる。 本発明の洗浄用組成物は、好ましくはふけ防止剤、かゆみ防止剤、汗臭防止剤、体臭防止剤、にきび防止剤、皮膚の清浄剤および/または皮膚の殺菌剤として使用され、真菌の中でも特に、フケの原因菌として知られるマラセチア属真菌、とりわけM.furfurに対して優れた抗真菌活性を有する。従って、本発明の洗浄用組成物は、毛髪または皮膚(頭皮、顔、全身等)に使用して洗い流すシャンプー、液体石鹸および泡石鹸として使用することが好ましい。 以下、本発明の洗浄用組成物が含有する各成分について、順に説明する。 (a)ミコナゾール硝酸塩 本発明の洗浄用組成物における「ミコナゾール硝酸塩」は、抗真菌薬として広く知られており、市販品として入手可能である。ミコナゾール硝酸塩は、真菌の中でも特に、フケの原因菌として知られるマラセチア属真菌に効果を発揮する。マラセチア属真菌とりわけM.furfurに対して優れた抗真菌活性を有する。ミコナゾール硝酸塩の配合量は特に限定されないが、洗浄用組成物全質量に対して0.1〜2.0質量%であることが好ましく、0.1〜1.0質量%であることがより好ましく、0.2〜0.8質量%であることが特に好ましい。なお、本発明の洗浄用組成物は、ミコナゾール硝酸塩の他に、公知の抗真菌薬および/または抗細菌剤を含んでいてもよい。 (b)抗真菌活性増強成分 本発明の洗浄用組成物における「抗真菌活性増強成分」は、ミコナゾール硝酸塩の抗真菌作用を増強し得るものであれば特に限定されないが、最終製剤により好ましい使用感を与えるという観点から香料成分であることが好ましい。本発明の洗浄用組成物における香料成分とは、洗浄用組成物に好ましい香りや清涼感等の嗜好性を付与し、ミコナゾール硝酸塩の抗真菌作用を増強し得るものであれば特に限定されず、化学合成により得られる香料であってもよいし、植物から抽出された天然香料であってもよい。天然香料の場合は、本発明において好適に使用される香料成分以外も含むことが多いが、当該香料成分を本発明の効果を得る量含んでいればよい。 本発明において好適に使用される香料成分は、本発明においては大きく2つの種類に分けられる。その1つは洗浄用組成物に香りだけでなく主として使用時の清涼感を付与する清涼成分であり、もう1つは洗浄用組成物に香りを付与する賦香成分である。清涼成分としては、例えば、メントール、カンファー等が挙げられ、メントールとしては、l−メントールまたはdl−メントールが好ましく、l−メントールがより好ましい。メントールとは、別名p−メンタン−3−オールや薄荷脳ともいい、天然では全てl−体で存在し、dl−メントールは合成により得ることができる。本発明において清涼成分として使用されるl−メントールは、天然のものでもよいし、不斉合成により選択的に合成したものであってもよい。賦香成分としては、ゲラニオール、オイゲノール、チモール、カルバクロール、ボルネオール、カルベオール等が挙げられ、ゲラニオール、オイゲノール、カルバクロール、ボルネオールおよびカルベオールが好ましい。清涼成分および賦香成分は、1種または複数種を組み合わせて使用することができる。 本発明の一態様によると、抗真菌活性増強成分を含む抗真菌活性増強剤が提供される。抗真菌活性増強剤は、抗真菌活性増強剤およびミコナゾール硝酸塩を含む、抗真菌剤として使用することができる。また、抗真菌活性増強剤を含む洗浄用組成物として使用することもできる。さらに、抗真菌活性増強成分およびミコナゾール硝酸塩を含む、マラセチア属真菌、特にM.furfurに対して抗真菌活性を有する洗浄用組成物として使用することができる。 本発明の洗浄用組成物は、上記清涼成分と賦香成分の両方を含んでいてもよい。本発明の1つの実施形態において、本発明の洗浄用組成物における抗真菌活性増強成分は、メントールおよび/またはカンファーと、ゲラニオール、オイゲノール、チモール、カルバクロール、ボルネオールおよびカルベオールからなる群より選択される1つ以上の化合物とを含む。 抗真菌活性増強成分の配合量は特に限定されないが、洗浄用組成物全質量に対して0.005〜5.0質量%であることが好ましく、0.01〜3.0質量%であることがより好ましい。抗真菌活性増強成分が清涼成分の場合、その配合量は、洗浄用組成物全質量に対して0.01〜3.0質量%が好ましく、0.02〜2.0質量%がより好ましい。洗浄用組成物が液体石鹸または泡石鹸であり、且つ抗真菌活性増強成分が清涼成分の場合、清涼成分の配合量は、洗浄用組成物全質量に対して0.02〜1.0質量%であることがより好ましい。抗真菌増強成分が賦香成分の場合、その配合量は、洗浄用組成物全質量に対して0.005〜3.0質量%であることが好ましく、0.01〜2.0質量%がより好ましい。抗真菌活性増強成分は、これらの配合割合よりも多いと皮膚への刺激性が生じるおよび/または香りが強くなり過ぎるため、洗浄用組成物の使用者のみならず周囲にも不快感を与えてしまう可能性がある。また、これらの配合割合よりも少ないと、香りや嗜好性を付加することおよび/または抗真菌活性を増強することができなくなる可能性がある。 (c)界面活性剤 本発明における「界面活性剤」としては、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、およびノニオン界面活性剤が挙げられ、これらの界面活性剤を用途に応じて適宜選択して配合し得る。本発明の好ましい態様の洗浄用組成物においては、界面活性剤は洗浄用組成物全質量に対して、例えば0.5〜35.0質量%、好ましくは1.0〜30.0質量%の量で配合される。本発明の洗浄用組成物は、アニオン界面活性剤を含む洗浄用組成物であることが好ましく、アニオン界面活性剤は、洗浄用組成物全質量に対して、例えば0.1〜25.0質量%、好ましくは0.5〜20.0質量%の濃度で含まれる。更に好ましい態様は、アニオン界面活性剤に加えて、両性界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤を適宜追加配合した洗浄用組成物である。この場合、アニオン界面活性剤と、両性界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤との合計が、上記界面活性剤の好ましい量になるように配合すればよい。 なお、界面活性剤は、例えば水で30質量%などに希釈されて市販されている場合があるが、本明細書において界面活性剤の配合量および配合割合は、希釈割合を記載していない場合は界面活性剤の純分を示すものとする。一方、希釈割合が記載されている場合は、特に記載がない限り希釈は水で行われたものとし、希釈された界面活性剤の配合量を示すものとする。 アニオン界面活性剤としては、たとえば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、モノアルキルリン酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、高級脂肪酸アルカノールアミド硫酸エステル塩、アシルイセチオン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル乳酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルメチルアラニン塩、N−アシルメチルタウリン塩、N−アシルアスパラギン酸塩などが挙げられる。これらのうち、低刺激性のアニオン界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウムなどのN−アシルグルタミン酸塩、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウムなどのN−アシルメチルアラニン塩、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウムなどのN−アシルメチルタウリン塩、ラウロイルサルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウムなどのN−アシルサルコシン塩、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウムなどのN−アシルアスパラギン酸塩などが挙げられる。製剤の皮膚への刺激性および使用感の観点から、低刺激性が望まれる場合は、これらの低刺激性のアニオン界面活性剤を使用することが好ましく、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウムまたはヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムがより好ましい。本発明の洗浄用組成物は、上記界面活性剤の2種以上を含んでいてもよい。 両性界面活性剤としては、スルホベタイン型両性界面活性剤、アミノプロピオン型両性界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、グリシン型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤などが挙げられる。また、ノニオン界面活性剤としては、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミドなどが挙げられる。これら界面活性剤は、1種または2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。(d)水 本発明の「水」は、医薬部外品または化粧品に使用できる水であれば特に限定されない。たとえば、日本薬局方の分類の中では常水、精製水および滅菌精製水が使用でき、好ましくは精製水を使用する。また、日本薬局方の精製水も含まれるが、不純物を含まないまたはほとんど含まない純水を使用することもできる。水の配合量は、本発明の洗浄用組成物全質量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上であり、例えば、50〜90質量%が好ましく、より好ましくは55〜85質量%である。本発明の洗浄用組成物が、アニオン界面活性剤を含む洗浄用組成物である場合においては、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上の割合で水を含有し得る。特に、本発明の洗浄用組成物がシャンプーまたは液体石鹸である場合、好ましくは55〜85質量%、より好ましくは60〜80質量%の割合で水を含有し得る。また、泡石鹸の場合は、好ましくは65〜85質量%の割合で水を含有し得る。なお、ここでいう水の含有割合は、水で希釈された界面活性剤を使用する場合は、希釈に用いられている水も含んだ割合である。 (e)その他の成分 本発明の洗浄用組成物は、本発明の効果を損なわない限り、上記成分以外の成分を含んでいてもよい。 たとえば、炭素数3〜8のアルカンジオールを配合することによって、ミコナゾール硝酸塩の析出を抑制することができる。炭素数3〜8のアルカンジオールとしては、プロパンジオール(例えば、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール等)、ペンタンジオール、ヘキサンジオールまたはオクタンジオールなどが挙げられる。好ましくは炭素数3〜5のアルカンジオールであり、特に好ましくは1,2−プロパンジオール(すなわちプロピレングリコール)である。 炭素数3〜8のアルカンジオールの配合量は特に限定されないが、洗浄用組成物全質量に対して、0.1〜15.0質量%であることが好ましく、1.0〜10.0質量%であることがより好ましい。 その他に、本発明の洗浄用組成物には、例えば、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン、二硫化セレン、イオウなどのふけ防止効果を有する成分や、ジフェニルエーテル化合物、カルバニリド化合物、フェノール化合物などの抗細菌成分(具体的にはトリクロサン、トリクロカルバン、イソプロピルメチルフェノールなど)を配合することもできる。抗細菌成分としては、トリクロサンが特に好ましい。また、グリチルリチン酸ジカリウムなどの通常の洗浄用組成物に用いられる成分、色素、顔料などの着色剤、メチルセルロース、ポリエチレングリコールなどの粘度調整剤、ジステアリン酸グリコール、ジステアリン酸エチレングリコールなどのパール光沢付与剤、クエン酸、水酸化カリウムなどのpH調整剤、塩化ナトリウムなどの塩類、植物エキス類、防腐剤、ビタミン剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、湿潤剤、キレート剤などを適宜配合できる。 以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。 実施例1:各成分単独でのin vitro抗真菌活性試験 1.試験菌 マラセチア・フルフル(Malassezia furfur) 2.試験成分 ミコナゾール硝酸塩、清涼成分(l−メントールおよびカンファー)、ならびに賦香成分(ゲラニオール、オイゲノール、チモール、カルバクロール、ボルネオール、カルベオールおよびベンジルアセテート)を用いた。 3.培地作製 寒天培地希釈法を用いた。 上記各試験成分を滅菌精製水(D.W.)で希釈し、良く振り混ぜて試験原液を調製した。D.W.で希釈する際、D.W.では溶解しない試験成分については、菌の発育に影響を及ぼさない濃度でDMSOを適宜添加して溶解しながら希釈した。調製した試験原液をサブローデキストロース寒天培地(SDA)で10倍希釈してから、SDAで2倍段階希釈することで、培地における各試験成分の最終濃度が表1−1および表1−2に記載の濃度になるよう、SDAを調製した。 4.前培養および菌液調製 試験菌を菌の発育に必要であるオリーブオイルを添加したSDAに接種し、30±2度で72時間培養した。培養後の菌を採取し、滅菌生理食塩水を用いて希釈し、菌数が106cells/mLになるように菌液を調製した。 5.測定方法 (1)菌液接種および培養 上記3.で作製した培地に、上記4.で調製した菌液を塗抹し、オリーブオイル添加後、30±2℃で72時間培養した。 (2)判定 試験菌の発育有無を肉眼で観察し、培地における菌の発育を観察し、3段階で判定した。 6.試験結果 Malassezia furfurに対する各成分のin vitro抗真菌活性試験結果を、ミコナゾール硝酸塩については表1−1に、清涼成分および賦香成分については表1−2に示す。表において、培地全体に菌の発育を認めるものを「+」、菌の発育が培地の1/3未満であるものを「±」、培地に菌の発育が認められないものを「−」とした。なお、空欄は未実施である。表中の濃度は、培地中の各成分の濃度を意味する。 以上より、ミコナゾール硝酸塩は、単独で抗真菌活性があることが確認された。また、清涼成分のl−メントールおよびカンファーは、単独では抗真菌活性がないことが確認され、賦香成分のゲラニオール、オイゲノール、チモール、カルバクロール、ボルネオール、カルベオールおよびベンジルアセテートは、単独で抗真菌活性があることが確認された。 実施例2:ミコナゾール硝酸塩と香料成分とを組み合わせた場合のin vitro抗真菌活性試験 試験原液中の試験成分を、所定量のミコナゾール硝酸塩と香料成分との組み合わせとしたことを除き、実施例1と同様に培地を作製した。培地における各試験成分の最終濃度は、表2−1〜2−9に記載の濃度になるようにした。このように作製した培地を用いて、実施例1と同様にin vitro抗真菌活性試験を行った。その結果を、表2−1〜2−9に示す。 以上の結果より、ミコナゾール硝酸塩と清涼成分(l−メントールまたはカンファー)とを組み合わせると、ミコナゾール硝酸塩単独の場合よりも、抗真菌活性が増強することが確認された。l−メントールおよびカンファーを単独で使用した場合には抗真菌活性が認められなかったことから、メントールおよびカンファーがミコナゾール硝酸塩の抗真菌活性を増強したものと推定される。ミコナゾール硝酸塩と賦香成分(ゲラニオール、オイゲノール、チモール、カルバクロール、ボルネオールまたはカルベオール)とを組み合わせると、ミコナゾール硝酸塩単独の場合よりも抗真菌活性が増強することが確認されたことから、賦香成分がミコナゾール硝酸塩の抗真菌活性を増強したものと推定される。また、単独で抗真菌活性を示した酢酸ベンジルをミコナゾール硝酸塩と組み合わせたところ、ミコナゾール硝酸塩の抗真菌活性が低下することが確認され、単独で抗真菌活性を示す賦香成分の中でも、ミコナゾール硝酸塩との組み合わせにより効果が増強するもの、減弱するものが存在することが分かった。 また、実施例2で得られた結果から、二元最小発育阻止濃度を求め、賦香成分とミコナゾール硝酸塩の組み合わせによる作用効果を確認し、図1に示した。ゲラニオール、オイゲノール、カルバクロール、ボルネオールまたはカルベオールとミコナゾール硝酸塩を組み合わせることで、抗真菌活性の相乗効果が得られることが確認された。なお、二元最小発育阻止濃度とは、2成分を組み合わせた成分の活性のエンドポイント、つまり最小発育阻止濃度(MIC)のことであり、F.C.KullらによるApplied Microbiology 9(6):538-541(1961)に記載されている通り、1成分単独および2成分の組み合わせによるMICをプロットすることで、当該2成分を組み合わせることによる作用効果(相乗、相加または拮抗効果の有無)を確認することができる。具体的には、図2に示す様に物質Aと物質Bの組み合わせによる作用効果を判定する場合、物質AのMIC(点A)と物質BのMIC(点B)をプロットして直線で結び、両物質の組み合わせによるMICのプロットが当該直線に対してどの位置にあるかによって、作用効果を判定する。2つの物質の組合せによるMICのプロットが当該直線上より内側(点C)に位置すれば相乗効果が、線上(点D)に位置すれば相加効果が、線上より外側(点E)に位置すれば拮抗効果が有ると判定される。 実施例3:ミコナゾール硝酸塩含有シャンプーのメントール配合の有無による抗真菌活性の比較 試験成分として、表3に記載のミコナゾール硝酸塩0.75質量%およびl−メントール0.6質量%を含有するシャンプーと、同シャンプーからl−メントールのみを除いたシャンプー(全量は精製水で調整)を用いた。これらのシャンプーをD.W.で希釈して試験原液を調製し、SDAで10倍希釈してから、SDAで2.5倍段階希釈することで、培地における当該シャンプーの最終濃度が表4に記載の濃度になるよう、SDAを調製した。上記以外の点については実施例1と同様の手法で、in vitro抗真菌活性試験を行った。その結果を、表4に示す。なお、表4で示す数値は、シャンプー全質量に対する各成分の配合割合(質量%)である。 ミコナゾール硝酸塩およびl−メントールを含有するシャンプーと、同シャンプーからl−メントールのみを除いたシャンプー(全量は精製水で調整)の抗真菌活性を比較したところ、メントールを配合したシャンプーの方が、配合しないシャンプーよりも抗真菌活性が高いことが確認された。 以上より、ミコナゾール硝酸塩と特定の成分とを組み合わせて使用することにより、ミコナゾール硝酸塩の抗真菌活性が増強されることが確認された。従って、本発明の洗浄用組成物は、抗真菌活性増強成分を含まない場合と比較して、より高い抗真菌活性を示すと言える。 実施例4:処方例 本発明における、ミコナゾール硝酸塩および抗真菌活性増強成分を含む洗浄用組成物の具体的な処方例を表5に示す。なお、表5に示す数値は、シャンプー全質量に対する各成分の配合割合(質量%)である。 実施例5:ミコナゾール硝酸塩と他の抗真菌薬における抗真菌活性増強成分の作用の違い 試験成分として、表3に記載のミコナゾール硝酸塩0.75質量%を同量のテルビナフィンまたは塩酸ブテナフィンに代替して、l−メントール0.6質量%を含有するシャンプーと、同シャンプーからl−メントールのみを除いたシャンプー(全量は精製水で調整)を調製したことを除き、実施例3と同様にin vitro抗真菌活性試験を行う。その結果、M.furfurに対する抗真菌活性が増強しないことが確認される。 実施例6:ミコナゾール硝酸塩と香料成分とを組み合わせた場合のin vitro抗真菌活性試験 試験菌をマラセチア属真菌(M.furfur)の代わりに、白癬の主たる原因菌であるトリコファイトン属真菌としたことを除き、実施例2と同様にin vitro抗真菌活性試験を行う。その結果、ミコナゾール硝酸塩と香料成分の組み合わせによる抗真菌活性の増強は、マラセチア属真菌(とりわけM. furfur)に特有の効果であることが確認される。 (a)ミコナゾール硝酸塩と、 (b)抗真菌活性増強成分と、 (c)洗浄用組成物全質量に対して0.1〜30.0質量%の界面活性剤と、 (d)洗浄用組成物全質量に対して50〜90質量%の水とを含む洗浄用組成物。 前記界面活性剤が、アニオン界面活性剤ならびに、両性界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤である、請求項1に記載の洗浄用組成物。 前記アニオン界面活性剤ならびに、両性界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤の前記洗浄用組成物全質量に対する割合が1.0〜30.0質量%である、請求項2に記載の洗浄用組成物。 前記抗真菌活性増強成分が、メントールおよび/またはカンファーである請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄用組成物。 前記抗真菌活性増強成分が、ゲラニオール、オイゲノール、チモール、カルバクロール、ボルネオールおよびカルベオールからなる群より選択される1つ以上の化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄用組成物。 前記抗真菌活性増強成分は、メントールおよび/またはカンファーと、ゲラニオール、オイゲノール、チモール、カルバクロール、ボルネオールおよびカルベオールからなる群より選択される1つ以上の化合物とを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄用組成物。 前記ミコナゾール硝酸塩の配合量は、前記洗浄用組成物全質量に対して0.1〜2.0質量%である請求項1〜6のいずれか1項に記載の洗浄用組成物。 前記抗真菌活性増強成分の配合量は、前記洗浄用組成物全質量に対して0.005〜5.0質量%である請求項1〜7のいずれか1項に記載の洗浄用組成物。 前記洗浄用組成物が、シャンプー、液体石鹸および泡石鹸のいずれかである請求項1〜8のいずれか1項に記載の洗浄用組成物。 【課題】ミコナゾール硝酸塩を含む洗浄用組成物に、抗真菌活性を増強する成分を配合することにより、ミコナゾール硝酸塩の抗真菌活性が増強された洗浄用組成物を提供する。【解決手段】本発明の洗浄用組成物は、 (a)ミコナゾール硝酸塩と、 (b)抗真菌活性増強成分と、 (c)洗浄用組成物全質量に対して0.1〜30.0質量%の界面活性剤と、 (d)洗浄用組成物全質量に対して50〜90質量%の水とを含む。【選択図】 なし