| タイトル: | 公開特許公報(A)_超原子価ヨウ素試薬を用いる第3級1,3−ジカルボニル化合物の触媒的不斉フッ素化法 |
| 出願番号: | 2013199758 |
| 年次: | 2015 |
| IPC分類: | C07C 67/307,C07C 69/757,C07C 235/82,C07C 231/14,C07C 69/67,C07B 61/00 |
柴田 哲男 鈴木 悟 加茂 智浩 平松 孝章 JP 2015063500 公開特許公報(A) 20150409 2013199758 20130926 超原子価ヨウ素試薬を用いる第3級1,3−ジカルボニル化合物の触媒的不斉フッ素化法 国立大学法人 名古屋工業大学 304021277 柴田 哲男 鈴木 悟 加茂 智浩 平松 孝章 C07C 67/307 20060101AFI20150313BHJP C07C 69/757 20060101ALI20150313BHJP C07C 235/82 20060101ALI20150313BHJP C07C 231/14 20060101ALI20150313BHJP C07C 69/67 20060101ALI20150313BHJP C07B 61/00 20060101ALN20150313BHJP JPC07C67/307C07C69/757 BC07C235/82C07C231/14C07C69/67C07B61/00 300 7 OL 12 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC30 4H006BA49 4H006BB12 4H006BC31 4H006BE01 4H006BJ50 4H006BM20 4H006BM71 4H006BR70 4H006BT22 4H006BV62 4H006KA31 4H039CA51 4H039CD10本発明は,触媒量のヨウ素試薬を酸化剤とともに用いることで反応系中にて超原子価状態のヨウ素種を発生させ,第3級1,3-ジカルボニル化合物に対して医農薬,材料分野で注目される含フッ素有機化合物を,求核的フッ素化剤を用いて合成する方法に関するものである。フッ素原子は全原子中で最大の電気陰性度をもつ等,その特異的な性質から含フッ素有機化合物は医薬,農薬分野だけでなく近年では材料分野においてもその利用が広く行われている。フッ素原子はその高い電気陰性度によりアニオンであるフッ化物イオンの形態をとりやすく,天然にも数少ない例外を除いてこの形で存在している。このようなことから含フッ素有機化合物を合成する際にはフッ化物イオンをフッ素源に用いてフッ素化反応を行うことが,コスト面からみても有効である。しかしながらフッ化物イオンをフッ素化反応に用いて含フッ素有機化合物を合成するには,主に求核置換反応が用いられることから,あらかじめフッ素へと置換される脱離基を基質の望む位置に導入しておく必要があった。そのため,置換基を導入する工程が余分に必要となり,さらに立体障害の大きな位置への導入が困難であるという問題点があった。そこで用いられるようになったのが超原子価ヨウ素試薬を用いたフッ素の導入法であり,この方法を用いることで第2級の1,3-ジカルボニル化合物のα位のC−H結合を直接的にC−F結合へと変換することが可能となった(非特許文献) 。しかしながらこれらの方法にも問題点は存在しており,高価な超原子価ヨウ素試薬を化学量論量以上用いなければならない,第3級の1,3-ジカルボニル化合物のα位をフッ素化する方法が報告されていない,等の点が挙げられる。そのためこれらの問題点を克服した方法の開発が求められている。Hara, S.; Sekiguchi, M.; Ohmori, A.; Fukuhara, T.; Yoneda, N. Chem. Commun. 1996, 1899.Yoshida, M.; Fujikawa, K.; Sato, S.; Hara, S. ARKIVOC 2003, 6, 36-42.Kitamura, T.; Kuriki, S.; Morshed, M. H.; Hori, Y. Org. Lett. 2011, 13, 2392.Gondo, K.; Kitamura, T. Molecules 2012, 17, 6625-6632.本発明は上記点に鑑みて,安価なフッ素源としてフッ化水素を用い,基質の当量以上の超原子価ヨウ素試薬を用いる代わりに,触媒量のヨードベンゼン誘導体を反応系中で酸化することで発生させる超原子価ヨウ素を用いて,第3級の1,3-ジカルボニル化合物のα位に対して極性を転換させながらフッ素化反応を行う方法を提供することを目的とする。 上記目的を達成するため,発明者らは下記一般式(1)で示されるカルボニル化合物,に対して,触媒量の下記一般式(2)で示されるヨードベンゼン誘導体,酸化剤,フッ化物イオン源の存在下,溶媒中で撹拌することで下記一般式(3)に示される2-フルオロ-1,3-ジカルボニル化合物を合成できることを見出した。すなわち請求項1に記載の発明は,下記一般式(1)で示されるジカルボニル化合物に対して触媒量の下記一般式(2)で示されるヨードベンゼン誘導体,酸化剤,フッ化物イオン源の存在下,溶媒中で撹拌することで下記一般式(3)に示される2-フルオロ-1,3-ジカルボニル化合物を合成する方法にある。(式中,R1,R2,R3はそれぞれ独立に置換もしくは未置換のアルキル基,アルコキシ基,アラルキル基,置換基を有していてもよいアミノ基,アルキルチオ基,カルボニル基,置換基を有していてもよいカルバモイル基,アリール基,アリールオキシ基,アルケニル基,又はアルキニル基を示す。なおR1,R2,R3のうち隣接する2つの基は一緒になってヘテロ原子の介在もしくは非介在で,置換基を有していてもよい5乃至7員環を形成してもよい。)(式中,R4,R5,R6,R7及びR8はそれぞれ独立に水素原子,置換もしくは未置換のアルキル基,アルコキシ基,アラルキル基,ハロゲン原子,置換基を有していてもよいアミノ基,ヒドロキシル基,アルキルチオ基,カルボニル基,置換基を有していてもよいカルバモイル基,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アリールオキシ基,アルケニル基,アルキニル基,シリル基又はスルホニル基を示す。なおR4,R5,R6,R7,R8のうち隣接する2つの基は一緒になってヘテロ原子の介在もしくは非介在で,置換基を有していてもよい5乃至7員環を形成してもよい。)(式中,R1,R2及びR3は式(1)記載の通りである。) 前記酸化剤の種類は特に限定されないが,例えば,過酢酸,過酸化水素水,尿素・過酸化水素,過炭酸ナトリウム,次亜塩素酸ナトリウム,亜塩素酸ナトリウム,臭素酸カリウム,過ヨウ素酸ナトリウム,過ホウ酸ナトリウム,過ホウ酸カリウム,四ホウ酸ナトリウム,ぺルオキソ二硫酸ジナトリウム,ぺルオキソ二硫酸ジカリウム,Oxone(登録商標),過硫酸テトラブチルアンモニウム,三酸化クロム,二酸化マンガン,過マンガン酸カリウム,二クロム酸カリウム,3-クロロ過安息香酸, Selectfluor(登録商標),酸素,フッ素,塩素,臭素,ジメチルジオキシラン,硝酸,発煙硝酸, tert-ブチルヒドロペルオキシド,次亜塩素酸tert-ブチル,ビス(モノペルオキシフタル酸)■マグネシウム 六水和物,N−ブロモスクシンイミド,N−ヒドロキシフタルイミド,二酸化ケイ素,などの群から選らばれる1または2以上の物質が挙げられ,特に好ましくは3-クロロ過安息香酸である。使用量は一般的に式(1)に対して,1.0〜10当量で,好ましくは1.3当量である(請求項2,3)。前記フッ化物イオン源は特に限定されないが,例えば,フッ化水素酸,トリエチルアミン三フッ化水素酸塩,トリエチルアミン五フッ化水素酸塩,トリエチルアミン六フッ化水素酸塩,ピリジン三フッ化水素酸塩,ピリジン六フッ化水素酸塩,ピリジン九フッ化水素酸塩,ピリジンポリフッ化水素酸塩,フッ化カリウム,フッ化水素カリウム,フッ化セシウム,フッ化銀(I),テトラメチルアンモニウムフロリド,テトラブチルアンモニウムフロリド,テトラブチルアンモニウムビフルオリド,テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルシリカート,テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルすず,テトラブチルアンモニウム三ふっ化二水素などの群から選らばれる1または2以上の物質が挙げられ,特に好ましくはピリジンポリフッ化水素酸塩である。使用量は一般的に式(1)に対して,1.0〜100当量で,好ましくは10当量である(請求項4,5)。溶媒の種類は特に限定されないが,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,n−ブチルメチルエーテル,tert−ブチルメチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘプタン,ヘキサン,シクロペンタン,シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;クロロホルム,四塩化炭素,塩化メチレン,ジクロロエタン,トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ベンゼン,トルエン,キシレン,クメン,シメン,メシチレン,ジイソプロピルベンゼン,ピリジン,ピリミジン,ピラジン,ピリダジン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン,メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルスルホキシド,ジメチルホルムアミド等の溶媒;メタノール,エタノール,プロパノール,i-プロピルアルコール,アミノエタノール,N,N-ジメチルアミノエタノール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン,1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン等のフルオロカーボン系溶媒;超臨界二酸化炭素,イオン性液体が挙げられる。これらは単独で使用し得るのみならず,2種類以上を混合して用いることも可能である(請求項6)。また,本発明は,状基方法により得られた下記一般式(4)の新規物質にある(請求項7)。すなわち,下記一般式(4)で示されるN,N−ジエチル-2-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1-オキソ-1H-インデン-2-カルボキシアミド。本明細書において,R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7及びR8が示すアルキル基としては,例えば,炭素数1乃至20程度のアルキル基を用いることができる。具体的には,メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,プロピル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,ノニル基,デシル基,ウンデシル基,ドデシル基,トリデシル基,テトラデシル基,ペンタデシル基,ヘキサデシル基,ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基,イコシル基,又はこれらの環状アルキル基,分鎖アルキル基などを用いることができる。アルキル基はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよい。R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7及びR8が示すアルケニル基又はアルキニル基に含まれる不飽和結合の数は特に限定されないが,好ましくは1乃至2個程度である。該アルケニル基又はアルキニル基は,直鎖状又は分枝鎖状のいずれでもよい。R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7及びR8が示すアラルキル基は,例としてベンジル基,ペンタフルオロベンジル基,o−メチルベンジル基,m−メチルベンジル基,p−メチルベンジル基,p−ニトロベンジル基,ナフチルメチル基,フルフリル基,α−フェネチル基等が挙げられる。R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7及びR8が示すアリール基としては,ヘテロアリール基も含有し,具体例としては,例えば炭素数2〜30のアリール基,具体的にはフェニル基,ナフチル基,アンスラニル基,ピレニル基,ビフェニル基,インデニル基,テトラヒドロナフチル基,ピリジル基,ピリミジニル基,ピラジニル基,ピリダニジル基,ピペラジニル基,ピラゾリル基,イミダゾリル基,キニリル基,ピロリル基,インドリル基,フリル基などが挙げることができる。R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7及びR8が示すアリールオキシ基としては,ヘテロアリールオキシ基も含有し,具体例としては,例えば炭素数2〜30のアリール基,具体的にはフェニルオキシ基,ナフチルオキシ基,アンスラニルオキシ基,ピレニルオキシ基,ビフェニルオキシ基,インデニルオキシ基,テトラヒドロナフチルオキシ基,ピリジルオキシ基,ピリミジニルオキシ基,ピラジニルオキシ基,ピリダニジルオキシ基,ピペラジニルオキシ基,ピラゾリルオキシ基,イミダゾリルオキシ基,キニリルオキシ基,ピロリルオキシ基,インドリルオキシ基,フリルオキシ基などが挙げることができる。R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7及びR8が示すアルコキシ基としては,例えば,炭素数1〜6程度のアルコキシ基を用いることができる。より具体的には,メトキシ基,エトキシ基,n−プロポキシ基,イソプロポキシ基,n−ブトキシ基,sec−ブトキシ基,tert−ブトキシ基,シクロプロピルメチルオキシ基,n−ペントキシ基,n−ヘキソキシ基,トリエチレングリコシル基などを挙げることができる。R4,R5,R6,R7及びR8が示すハロゲン原子はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,又はヨウ素原子のいずれでもよい。R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7及びR8が示すアミノ基が置換基を有する場合,置換基として,例えば,上記に説明した炭素数1〜10程度のアルキル基又はハロゲン化アルキル基等を有していてもよい。より具体的には,炭素数1〜6程度のアルキル基で置換されたモノアルキルアミノ基,又は炭素数1〜6程度の2個のアルキル基で置換されたジアルキルアミノ基(2個のアルキル基は同一でも異なっていてもよい)などを挙げることができる。R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7及びR8が示すアルキルチオ基としては,上記に説明した炭素数1〜10程度のアルキルチオ基を用いることができる。例えば,メチルチオ基,エチルチオ基などを挙げることができる。R3,R4,R5,R6,R7及びR8が示すスルホニル基としては,例えば,アルキル基,アルコキシ基,アルケニル基,アルキニル基,又はヘテロアリール基を含むアリール基を有するスルホニル基を用いることができる。具体的にはメタンスルホニル基,エタンスルホニル基,トリフルオロメタンスルホニル基,ベンゼンスルホニル基,パラトルエンスルホニル基,2-ニトロベンゼンスルホニル基などを挙げることができる。R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7及びR8が示すカルボニル基としては,例えば,アルキル基,アルコキシ基,アルケニル基,アルキニル基,又はアリール基を有するカルボニル基を用いることができる。具体的には,アセトキシ基,プロピオノキシ基,ブタノキシ基,ペンタノキシ基,ヘキサノキシ基,メトキシカルボニル基,エトキシカルボニル基などが挙げられる。R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7及びR8が示すカルバモイル基が置換基を有する場合,置換基として,例えば,上記に説明した炭素数1〜10程度のアルキル基又はハロゲン化アルキル基等を有していてもよい。カルバモイル基が2個の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。R3,R4,R5,R6,R7及びR8が示すシリル基としては例えば,2個又は3個の,上記に説明した炭素数1〜10程度のアルキル基,ヘテロアリール基を含むアリール基,炭素数1〜6程度のアルコキシ基で置換されたシリル基(2個又は3個の置換基は同一でも異なっていてもよい)を用いることができる。具体的には,トリメチルシリル基,トリエチルシリル基,トリイソプロピルシリル基,tert-ブチルジメチルシリル基,tert-ブチルジフェニルシリル基,トリメトキシシリル基,トリエトキシシリル基,などが挙げられる。アルキル基又はアルキル部分を含む置換基(例えば,アルコキシ基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基など)のアルキル部分,アリール基又はアリール部分を含む置換基(例えば,アリールオキシ基など)のアリール部分は,フッ素原子,塩素原子,臭素原子,及びヨウ素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のハロゲン原子有していてもよく,2個以上のハロゲン原子が置換している場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。アルキル基又はアルキル部分を含む置換基(例えば,アルコキシ基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基など)のアルキル部分,アリール基又はアリール部分を含む置換基(例えば,アリールオキシ基など)のアリール部分は,アルキル基,アルコキシ基,置換基を有していてもよいアミノ基,ヒドロキシル基,アルキルチオ基,スルホニル基,カルボニル基,シアノ基,ニトロ基,シリル基,アリール基,アルケニル基,又はアルキニル基からなる群から選ばれる1又は2個以上の置換基を有していてもよく,2個以上の置換基を有している場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7及びR8はそれぞれ独立に上記に定義されたいずれかの置換基を示すが,全部が同一の置換基であってもよい。酸化剤の種類は特に限定されないが,例えば,過酢酸,過酸化水素水,尿素・過酸化水素,過炭酸ナトリウム,次亜塩素酸ナトリウム,亜塩素酸ナトリウム,臭素酸カリウム,過ヨウ素酸ナトリウム,過ホウ酸ナトリウム,過ホウ酸カリウム,四ホウ酸ナトリウム,ぺルオキソ二硫酸ジナトリウム,ぺルオキソ二硫酸ジカリウム,Oxone(登録商標),過硫酸テトラブチルアンモニウム,三酸化クロム,二酸化マンガン,過マンガン酸カリウム,二クロム酸カリウム,3-クロロ過安息香酸, Selectfluor(登録商標),酸素,フッ素,塩素,臭素,ジメチルジオキシラン,硝酸,発煙硝酸, tert-ブチルヒドロペルオキシド,次亜塩素酸tert-ブチル,ビス(モノペルオキシフタル酸)■マグネシウム 六水和物,N−ブロモスクシンイミド,N−ヒドロキシフタルイミド,二酸化ケイ素,などの群から選らばれる1または2以上の物質が挙げられ,特に好ましくは3-クロロ過安息香酸である。使用量は一般的に式(1)に対して,1.0〜10当量で,好ましくは1.3当量である。フッ化物イオン源は特に限定されないが,例えば,フッ化水素酸,トリエチルアミン三フッ化水素酸塩,トリエチルアミン五フッ化水素酸塩,トリエチルアミン六フッ化水素酸塩,ピリジン三フッ化水素酸塩,ピリジン六フッ化水素酸塩,ピリジン九フッ化水素酸塩,ピリジンポリフッ化水素酸塩,フッ化カリウム,フッ化水素カリウム,フッ化セシウム,フッ化銀(I),テトラメチルアンモニウムフロリド,テトラブチルアンモニウムフロリド,テトラブチルアンモニウムビフルオリド,テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルシリカート,テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルすず,テトラブチルアンモニウム三ふっ化二水素などの群から選らばれる1または2以上の物質が挙げられ,特に好ましくはピリジンポリフッ化水素酸塩である。使用量は一般的に式(1)に対して,1.0〜100当量で,好ましくは10当量である。溶媒の種類は特に限定されないが,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,n−ブチルメチルエーテル,tert−ブチルメチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘプタン,ヘキサン,シクロペンタン,シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;クロロホルム,四塩化炭素,塩化メチレン,ジクロロエタン,トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ベンゼン,トルエン,キシレン,クメン,シメン,メシチレン,ジイソプロピルベンゼン,ピリジン,ピリミジン,ピラジン,ピリダジン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン,メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルスルホキシド,ジメチルホルムアミド等の溶媒;メタノール,エタノール,プロパノール,i-プロピルアルコール,アミノエタノール,N,N-ジメチルアミノエタノール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン,1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン等のフルオロカーボン系溶媒;超臨界二酸化炭素,イオン性液体が挙げられる。これらは単独で使用し得るのみならず,2種類以上を混合して用いることも可能である。本発明の2-フルオロ-1-カルボニル化合物の絶対配置は(S)又は(R)配置のいずれであってもよく,光学異性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体はいずれも本発明の範囲に包含される。光学的に純粋な形態の異性体は本発明の好ましい態様である。また,立体異性体の任意の混合物,ラセミ体なども本発明の範囲に包含される。本発明の2-フルオロ-1,3-ジカルボニル化合物は置換基の種類に応じて塩を形成する場合があり,また水和物又は溶媒和物として存在する場合もあるが,これらの物質はいずれも本発明の範囲に包含される。前記式(3)の製造は加圧下に行うこともできるが,通常は常圧で行う。反応温度は−80℃から溶媒の沸点までの間で行うことができるが,好ましくは室温乃至40℃付近である。反応時間は特に限定されるものではないが,通常10分〜5日で反応は完結する。反応後、前記式(3)で示される2-フルオロ-1,3-ジカルボニル化合物は一般的な手法によって反応液から単離および精製することができ,例えば反応液を濃縮した後,蒸留精製またはシリカゲル,アルミナ等の吸着剤を用いたカラムクロマトグラフ法での精製,塩析,再結晶等が挙げられる。以下,実施形態により本発明をさらに具体的に説明するが,本発明の範囲は下記の実施形態に限定されることはない。(第1実施形態)メチル 2,3-ジヒドロ-1-オキソ-1H-インデン-2-カルボキシレート(0.20mmol),ヨードベンゼン(0.015mmol),ピリジンポリフッ化水素酸塩(2.0mmol),mCPBA(0.065mmol)を1,2−ジクロロエタン2.0mlに溶かし,反応溶液を40℃に加熱した。薄層クロマトグラフィーで反応の進行を確認し,再びmCPBA(0.065mmol)を加え,1時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し水を加え,ジクロロメタンを用いて抽出し,有機層を飽和食塩水で洗浄した。その後,Na2SO4を用いて溶液を乾燥させ減圧下,溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製し,メチル 2-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1-オキソ-1H-インデン-2-カルボキシレート1aを71%の収率で得た。Compound 1a: メチル 2-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1-オキソ-1H-インデン-2-カルボキシレート1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 3.45 (dd, J = 23.1, 18.0 Hz, 1H), 3.76-3.86 (m, 1H), 3.82 (s, 3H), 7.46-7.53 (m, 2H), 7.72 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.85 (d, J = 7.5 Hz, 1H); 19F NMR (CDCl3, 282 MHz) δ -165.0 (dd, J= 23.1, 11.8 Hz); MS (ESI, m/z) 231 (M+Na+).(第2実施形態)メチル 5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1-オキソ-1H-インデン-2-カルボキシレート(0.20mmol),4-メチルヨードベンゼン(0.015mmol),ピリジンポリフッ化水素酸塩(2.0mmol),mCPBA(0.13mmol)を1,2−ジクロロエタン2.0mlに溶かし,反応溶液を40℃に加熱した。薄層クロマトグラフィーで反応の進行を確認し,再びmCPBA(0.13mmol)を加え,1時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し水を加え,ジクロロメタンを用いて抽出し,有機層を飽和食塩水で洗浄した。その後,Na2SO4を用いて溶液を乾燥させ減圧下,溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製し,メチル 5-クロロ-2-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1-オキソ-1H-インデン-2-カルボキシレート1bを59%の収率で得た。Compound 1b: メチル 5-クロロ-2-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1-オキソ-1H-インデン-2-カルボキシレート1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 3.43 (dd, J = 23.1, 18.9 Hz, 1H), 3.74-3.87 (m, 1H), 3.84 (s, 3H), 7.46 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.78 (d, J= 7.8 Hz, 1H); 19F NMR (CDCl3, 282 MHz) δ -164.6 (dd, J = 22.8, 11.0 Hz); MS (ESI, m/z) 265 (M+Na+).(第3実施形態)L-メンチル 2,3-ジヒドロ-1-オキソ-1H-インデン-2-カルボキシレート(0.20mmol),ヨードベンゼン(0.015mmol),ピリジンポリフッ化水素酸塩(2.0mmol),mCPBA(0.065mmol)を1,2−ジクロロエタン2.0mlに溶かし,反応溶液を40℃に加熱した。薄層クロマトグラフィーで反応の進行を確認し,再びmCPBA(0.065mmol)を加え,1時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し水を加え,ジクロロメタンを用いて抽出し,有機層を飽和食塩水で洗浄した。その後,Na2SO4を用いて溶液を乾燥させ減圧下,溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製し,L-メンチル 2-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1-オキソ-1H-インデン-2-カルボキシレート1cを59%の収率で得た。Compound 1c: L-メンチル 2-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1-オキソ-1H-インデン-2-カルボキシレート1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 0.70-1.80 (m, 17H), 2.02 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.44 (dd, J = 22.8, 17.7 Hz, 1H), 3.76 (dd, J = 17.4, 11.4 Hz, 1H), 4.74-4.84 (m, 1H), 7.45-7.52 (m, 2H), 7.71 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.85 (d, J= 9.0 Hz, 1H); 19F NMR (CDCl3, 282 MHz) major; δ -164.7 (dd, J = 23.5, 13.0 Hz), minor; δ -165.2 (dd, J = 22.7, 10.2 Hz) dr = 57:43; MS (ESI, m/z) 355 (M+Na+).(第4実施形態)ベンジル 2-メチル-3-オキソペンタノレート(0.20mmol),ヨードベンゼン(0.015mmol),ピリジンポリフッ化水素酸塩(2.0mmol),mCPBA(0.065mmol)を1,2−ジクロロエタン2.0mlに溶かし,反応溶液を40℃に加熱した。薄層クロマトグラフィーで反応の進行を確認し,再びmCPBA(0.065mmol)を加え,1時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し水を加え,ジクロロメタンを用いて抽出し,有機層を飽和食塩水で洗浄した。その後,Na2SO4を用いて溶液を乾燥させ減圧下,溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製し,ベンジル 2-フルオロ-2-メチル-3-オキソペンタノレート1dを46%の収率で得た。Compound 1d: ベンジル 2-フルオロ-2-メチル-3-オキソペンタノレート1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 1.04 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.70 (d, J = 22.2 Hz, 3H), 2.56-2.76 (m, 2H), 5.23 (s, 2H), 7.34-7.40 (m, 5H); 19F NMR (CDCl3, 282 MHz) δ -159.7 (dd, J = 44.0, 22.8 Hz); MS (ESI, m/z) 261 (M+Na+).(第5実施形態)ベンジル 2-オキソシクロペンタンカルボキシレート(0.20mmol),ヨードベンゼン(0.015mmol),ピリジンポリフッ化水素酸塩(2.0mmol),mCPBA(0.065mmol)を1,2−ジクロロエタン2.0mlに溶かし,反応溶液を40℃に加熱した。薄層クロマトグラフィーで反応の進行を確認し,再びmCPBA(0.065mmol)を加え,1時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し水を加え,ジクロロメタンを用いて抽出し,有機層を飽和食塩水で洗浄した。その後,Na2SO4を用いて溶液を乾燥させ減圧下,溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製し,ベンジル 1-フルオロ-2-オキソシクロペンタンカルボキシレート1eを25%の収率で得た。Compound 1e: ベンジル 1-フルオロ-2-オキソシクロペンタンカルボキシレート1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 2.10-2.18 (m, 2H), 2.25-2.38 (m, 1H), 2.46-2.60 (m, 3H), 5.26 (dd, J = 15.0, 12.3 Hz, 2H), 7.35 (m, 5H); 19F NMR (CDCl3, 282 MHz) δ -164.5 (t, J = 20.0 Hz); MS (ESI, m/z) 259 (M+Na+).(第6実施形態)N,N−ジエチル-2,3-ジヒドロ-1-オキソ-1H-インデン-2-カルボキシアミド(0.20mmol),ヨードベンゼン(0.015mmol),ピリジンポリフッ化水素酸塩(2.0mmol),mCPBA(0.065mmol)を1,2−ジクロロエタン2.0mlに溶かし,反応溶液を40℃に加熱した。薄層クロマトグラフィーで反応の進行を確認し,再びmCPBA(0.065mmol)を加え,1時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し水を加え,ジクロロメタンを用いて抽出し,有機層を飽和食塩水で洗浄した。その後,Na2SO4を用いて溶液を乾燥させ減圧下,溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製し,新規物質のN,N−ジエチル-2-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1-オキソ-1H-インデン-2-カルボキシアミド1fを79%の収率で得た。Compound 1f: N,N−ジエチル-2-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1-オキソ-1H-インデン-2-カルボキシアミド1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 1.13 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.28 (t, J =7.2 Hz, 3H), 3.27-3.46 (m, 4H), 4.07 (dd, J = 16.7, 9.0 Hz, 2H), 7.41 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.65 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.79 (d, J = 7.5 Hz, 1H); 19F NMR (CDCl3, 282 MHz) δ -159.0 (dd, J= 22.8, 8.5 Hz); MS (ESI, m/z) 272 (M+Na+).下記一般式(1)で示される1,3-ジカルボニル化合物に対して触媒量の下記一般式(2)で示されるヨードベンゼン誘導体,酸化剤,フッ化物イオン源の存在下,溶媒中で撹拌することで下記一般式(3)に示される2-フルオロ-1,3-ジカルボニル化合物を合成する方法。(式中,R1,R2,R3はそれぞれ独立に置換もしくは未置換のアルキル基,アルコキシ基,アラルキル基,置換基を有していてもよいアミノ基,アルキルチオ基,カルボニル基,置換基を有していてもよいカルバモイル基,アリール基,アリールオキシ基,アルケニル基,又はアルキニル基を示す。なおR1,R2,R3のうち隣接する2つの基は一緒になってヘテロ原子の介在もしくは非介在で,置換基を有していてもよい5乃至7員環を形成してもよい。)(式中,R4,R5,R6,R7及びR8はそれぞれ独立に水素原子,置換もしくは未置換のアルキル基,アルコキシ基,アラルキル基,ハロゲン原子,置換基を有していてもよいアミノ基,ヒドロキシル基,アルキルチオ基,カルボニル基,置換基を有していてもよいカルバモイル基,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アリールオキシ基,アルケニル基,アルキニル基,シリル基又はスルホニル基を示す。なおR4,R5,R6,R7,R8のうち隣接する2つの基は一緒になってヘテロ原子の介在もしくは非介在で,置換基を有していてもよい5乃至7員環を形成してもよい。)(式中,R1,R2及びR3は式(1)記載の通りである。)前記酸化剤が、過酢酸,過酸化水素水,尿素・過酸化水素,過炭酸ナトリウム,次亜塩素酸ナトリウム,亜塩素酸ナトリウム,臭素酸カリウム,過ヨウ素酸ナトリウム,過ホウ酸ナトリウム,過ホウ酸カリウム,四ホウ酸ナトリウム,ぺルオキソ二硫酸ジカリウム,Oxone(登録商標),過硫酸テトラブチルアンモニウム,三酸化クロム,過マンガン酸カリウム,二クロム酸カリウム,3-クロロ過安息香酸, Selectfluor(登録商標),酸素,フッ素,塩素,臭素,ジメチルジオキシラン,硝酸,発煙硝酸, tert-ブチルヒドロペルオキシド,次亜塩素酸tert-ブチル,ビス(モノペルオキシフタル酸)■マグネシウム 六水和物,N−ブロモスクシンイミド,N−ヒドロキシフタルイミド,二酸化ケイ素の群から選択される1または2種以上の物質であることを特徴とする請求項1記載の方法。前記酸化剤の使用量が、一般的式(1)に対して,1.0〜10当量であることを特徴とする請求項1または2記載の方法。前記フッ化物イオン源が、フッ化水素酸,トリエチルアミン三フッ化水素酸塩,トリエチルアミン五フッ化水素酸塩,トリエチルアミン六フッ化水素酸塩,ピリジン三フッ化水素酸塩,ピリジン六フッ化水素酸塩,ピリジン九フッ化水素酸塩,ピリジンポリフッ化水素酸塩,フッ化カリウム,フッ化水素カリウム,フッ化セシウム,フッ化銀(I),テトラメチルアンモニウムフロリド,テトラブチルアンモニウムフロリド,テトラブチルアンモニウムビフルオリド,テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルシリカート,テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルすず,テトラブチルアンモニウム三ふっ化二水素の群から選択される1または2種以上の物質であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。前記フッ化物イオン源の使用量が一般的式(1)に対して,1.0〜100当量であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。前記溶媒が、ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,n−ブチルメチルエーテル,tert−ブチルメチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘプタン,ヘキサン,シクロペンタン,シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;クロロホルム,四塩化炭素,塩化メチレン,ジクロロエタン,トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ベンゼン,トルエン,キシレン,クメン,シメン,メシチレン,ジイソプロピルベンゼン,ピリジン,ピリミジン,ピラジン,ピリダジン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン,メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルスルホキシド,ジメチルホルムアミド等の溶媒;メタノール,エタノール,プロパノール,i-プロピルアルコール,アミノエタノール,N,N-ジメチルアミノエタノール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン,1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン等のフルオロカーボン系溶媒;超臨界二酸化炭素,イオン性液体の群から選択される1種または2種以上の物質の混合であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。下記一般式(4)で示されるN,N−ジエチル-2-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1-オキソ-1H-インデン-2-カルボキシアミド。 【課題】求核的なフッ素化剤を用いた求核的部位に対する反応を用いた効率的な第4級2-フルオロ-1,3-ジカルボニル化合物の合成法の開発【解決手段】発明者らは触媒量の超原子価状態のヨウ素試薬を用いることで求核的な部位に対して,求核的なフッ素化試薬を極性転換的に反応させてフッ素化を行うことに成功し,効率的な第4級2-フルオロ-1,3-ジカルボニル化合物の合成方法の開発に成功した。【選択図】なし