タイトル: | 公開特許公報(A)_(メタ)アクリレート化合物および該(メタ)アクリレート化合物を用いた高分子化合物 |
出願番号: | 2013198374 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | C08F 20/28,G03F 7/039,C07D 309/12 |
大野 由起 古江 健太郎 JP 2015025109 公開特許公報(A) 20150205 2013198374 20130925 (メタ)アクリレート化合物および該(メタ)アクリレート化合物を用いた高分子化合物 昭和電工株式会社 000002004 特許業務法人SSINPAT 110001070 大野 由起 古江 健太郎 JP 2013110709 20130527 JP 2013129875 20130620 C08F 20/28 20060101AFI20150109BHJP G03F 7/039 20060101ALI20150109BHJP C07D 309/12 20060101ALI20150109BHJP JPC08F20/28G03F7/039 601C07D309/12 9 OL 20 2H125 4C062 4J100 2H125AF16P 2H125AH07 2H125AH24 2H125AJ12X 2H125AJ64X 2H125AN39P 2H125CA11 2H125CB05 2H125CC03 2H125CC15 4C062AA17 4J100AL08P 4J100BA02P 4J100BB07P 4J100BC43P 4J100BC53P 4J100JA38 本発明は、フォトリソグラフィー法による半導体集積回路等のパターニングまたは永久膜に用いられる化学増幅型のフォトレジシトに好適な高分子化合物に関するものである。さらに詳しくは、波長300nm以下、特に250nm以下の光に対して優れた光透過性を有するために高感度、高解像度を示すフォトレジスト組成物に好適な高分子化合物に関するものである。 近年、LSI等の半導体集積回路はその集積度を益々高めており、半導体集積回路の製造においては超微細パターンの加工が必要となってきている。そのため、フォトリソグラフィーに使用される光源波長は益々短波長化し、従来のg線、i線に代わってエキシマレーザー光の使用が検討され、実用化に至っている。特にエキシマレーザー光を使用した場合、高感度のフォトレジストとして化学増幅型ポジ型フォトレジストが開発されている。化学増幅型ポジ型フォトレジストは、樹脂、および露光により酸を発生する物質(光酸発生剤)を含んでおり、以下の工程によりパターンを形成する。まず、フォトレジストをスピンコーター等で基板に塗布し、乾燥により塗膜を得る。次に、パターン露光により酸が発生し、露光後の加熱処理により酸の拡散、および酸による触媒反応が起こり、溶解抑止剤が失活して、あるいは樹脂の酸性基の保護基が脱離して、露光部分がアルカリ現像液に可溶となる。 化学増幅型ポジ型フォトレジストに使用される樹脂としては、例えば、特許文献1に記載されるポリヒドロキシスチレン系樹脂、特許文献2に記載されるブチロラクトン環を有するアクリル系樹脂、特許文献3に記載されるフェノール性水酸基が酸で脱離する保護基で保護されたノボラック樹脂などが検討されている。フォトレジストの高感度化、高解像度化には、露光に対する光透過性、そしてなによりもアルカリ溶解性が必要とされる。しかしながら、これら樹脂は、光透過性、アルカリ溶解性を同時にかつ十分に満足するものではなかった。 それらの問題を解決するため、特許文献4にて、フォトレジストのさらなる高感度化、高解像度化を目指すべく、光透過性、アルカリ溶解性がポリヒドロキシスチレンよりも優れるN−置換アクリルアミド単位を有する重合体を提案した。 また、特許文献5には、フェノール性水酸基が酸で脱離する保護基で保護されたN−置換アクリルアミド単位を有する重合体が示されている。しかしながら、これら重合体は、構造中にアミド結合を有しているため、これが露光により発生した酸を消費する(クエンチャーとして作用する)ことにより、実質的にフォトレジストの高感度化、高解像度化が達成されない。 前述した特許文献4および特許文献5の問題を解決するため、特許文献6にはヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート化合物を用いた高分子化合物が開示されており、アミド構造がないことにより酸の消費はないものの、300nm以下の光に対して光透過率が悪く高感度、高解像度化は達成されていない。特開2004−109959号公報特開2004−126605号公報特開2004−115724号公報特開2003−73424号公報特開平6−214387号公報特開2007−204448号公報 本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、300nm以下特に250nm以下の光に対する光透過性に優れるために光感度、解像度に優れると同時に永久膜としても使用できるフォトレジストに好適な(メタ)アクリレート化合物および該(メタ)アクリレート化合物を用いた高分子化合物を提供するものである。なお、本願において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/またはメタクリレートを意味する。 2,3,5,6−テトラフルオロ−p−フェニレンジメタノール(以下、「TFDM」と略称する。)のような、フルオロフェニレン基を有するジヒドロキシ化合物は、分子中に2個の水酸基を有しているが、分子内のフッ素原子のために水酸基の酸性度が高い特徴がある。また、C−F結合エネルギーの高さゆえに耐熱性、耐薬品性等を付与することができる。また、2,3,5,6−テトラフルオロ−p−フェニレンジメタノールは、フッ素原子により300nm以下、特に250nm以下の波長の光に対する光透過性に優れる特性を有する。 そこで、本発明者らは、フルオロフェニレン基を有するジヒドロキシ化合物の一方の水酸基にテトラヒドロピラニル基のような酸で脱離する保護基、もう一方の水酸基にラジカル重合性官能基である(メタ)アクリロイル基を導入することにより、下記式(1)の(メタ)アクリレート化合物(1)としたところ、強酸の存在下、(メタ)アクリレート化合物(1)の保護基を容易に脱離させて水酸基に変換できることを見出した。 よって、(メタ)アクリレート化合物(1)の単位を有する高分子化合物とすれば、300nm以下の波長の光を光酸発生剤に露光した場合に発生する強酸により、前記(メタ)アクリレート化合物(1)の単位が有する保護基を脱離させて水酸基に変換させることができるため、前記高分子化合物にアルカリ現像性を付与することができる。 なお、フルオロフェニレン基を有するジヒドロキシ化合物の一方の水酸基に重合性官能基である(メタ)アクリロイル基、もう一方の水酸基に強酸で脱離する保護基を導入した下式(1)の(メタ)アクリレート化合物(1)および該化合物(1)をラジカル重合して得られる高分子化合物は、本発明者らが初めて見出したものである。 式(1)(式(1)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は単結合を示し、R4はフッ素原子が1〜4個結合したフルオロフェニレン基、またはフッ素原子が1〜4個結合したフルオロフェニレン基を有する、酸素を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、R6Aは強酸により脱離する1価の有機基を示す) すなわち、本発明は、以下の新規な(メタ)アクリレート化合物、および高分子化合物に関する。 [1] 下記式(1)で示される(メタ)アクリレート化合物。式(1)(式(1)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は単結合を示し、R4はフッ素原子が1〜4個結合したフルオロフェニレン基、またはフッ素原子が1〜4個結合したフルオロフェニレン基を有する、酸素を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、R6Aは強酸により脱離する1価の有機基を示す) [2] R4が2,3,5,6−テトラフルオロ−p−キシリレン基である、[1]記載の(メタ)アクリレート化合物。 [3] 強酸により脱離する保護基R6Aがテトラヒドロピラニル基であることを特徴とする[1]記載の(メタ)アクリレート化合物。 [4] 下記式(2)で示される化合物である[1]記載の(メタ)アクリレート化合物。式(2) [5] 下記式(3)で示される化合物である[1]記載の(メタ)アクリレート化合物。式(3) [6] [1]〜[5]のいずれかに記載の(メタ)アクリレート化合物を単独で重合して得られる高分子化合物。 [7] [1]〜[5]のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート化合物を含むモノマーを重合して得られる高分子化合物。 [8] [6]または[7]の高分子化合物、光酸発生剤及び溶剤を含む、フォトレジスト組成物。 [9] [8]のフォトレジスト組成物を基材に塗布、溶剤を乾燥、フォトマスク越しに光照射、加熱した後にアルカリ水溶液により現像することでパターンを形成する方法。図1は、実施例1の化合物(2)を1H−NMRで測定したチャートを示す。図2は、実施例3、比較例2の高分子化合物を石英板に塗布して、各塗膜について200〜400nmの波長域における光透過率を比較したグラフである。 以下、本発明を詳細に説明する。なお、本願明細書において、「(メタ)アクリレート化合物」という表記は、アクリレート化合物および/またはメタクリレート化合物を意味する。 1.(メタ)アクリレート化合物 本発明に係る(メタ)アクリレート化合物は、下記式(1)で表される。以下、「(メタ)アクリレート化合物(1)」と呼称する。 式(1)(式(1)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は単結合を示し、R4はフッ素原子が1〜4個結合したフルオロフェニレン基、またはフッ素原子が1〜4個結合したフルオロフェニレン基を有する、酸素を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、R6Aは強酸により脱離する1価の有機基を示す) R1が水素原子の場合はラジカル重合速度が速い。一方、R1がメチル基の場合は水素原子の場合より化合物の安定性が増し、取り扱いが容易となる。これらの中で、R1がメチル基のものは好ましい一態様である。 R2は、単結合を示し、R4は、フッ素原子が1〜4個結合したフルオロフェニレン基またはフッ素原子が1〜4個結合したフルオロフェニレン基を有する酸素を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。 フルオロフェニレン基の具体例としては、−C6F4−、−C6F3H−、−C6F2H2−および−C6FH3−、を挙げることができ、フッ素原子が1〜4個結合したフルオロフェニレン基を有する酸素を有していてもよい2価の炭化水素基の具体例としては、−CH2C6F4CH2−、−CH2C6F3HCH2−、−CH2C6F2H2CH2−、−CH2C6FH3CH2−、−CH2CH2 C6F4CH2CH2−、−CH2CH2C6F3HCH2CH2−、−CH2CH2C6F2H2CH2CH2−、−CH2CH2 C6FH3CH2CH2−、−C6F4−O−C6F4−、−CH2C6F4CH2−O−CH2C6F4CH2−等が例示される。これらの中でも特に入手性、経済性、フッ素含量の観点から−C6F4−及び−CH2C6F4CH2−が好ましく、特に、(2,3,5,6−テトラフルオロ−p−フェニレン基)および(2,3,5,6−テトラフルオロ−p−キシリレン基)がより好ましい。 R6Aは強酸により脱離する1価の有機基を表す。このような有機基としては、例えばt−ブトキシカルボニル基、1−エトキシエチル基、テトラヒドロ−2−ピラニル基等を挙げることができるが、式(1)に示される化合物の製造の容易性からテトラヒドロ−2−ピラニル基が特に好ましい。 (メタ)アクリレート化合物(1)に含まれる化合物の中でも、原料の入手性、経済性、R4のフッ素の上記特性を低減させない観点から、好ましい化合物としては、式(2)及び式(3)で示される化合物が挙げられる。式(2)及び式(3)で示される化合物を、以降、それぞれ化合物(2)及び、化合物(3)と称することがある。 式(2) 式(3) 2.(メタ)アクリレート化合物(1)の製造方法 (メタ)アクリレート化合物(1)は、ジヒドロ化合物(4)の一方の水酸基に前述の保護基を導入する反応を行った後に、該反応で得られた化合物と式(6)で示される(メタ)アクリロイル基含有化合物(6)と反応させることにより得ることができる。 <R6A=t−ブトキシカルボニル基の場合> アクリレート化合物のR6A基をt−ブトキシカルボニル基としてヒドロキシ化合物(4)の一方の水酸基を保護する場合、ヒドロキシ化合物を非プロトン性溶媒に溶解し、ジ−t−ブチルジカーボネイト、2−t−ブトキシカルボニルオキシイミノ−2−フェニルアセトニトリル等の水酸基保護剤を用い、ジメチルアミノピリジン等の塩基性を触媒の存在下反応させる公知の方法によって行うことができる。 <R6A=1−エトキシエチル基の場合> R6Aが1−エトキシエチル基の場合、ヒドロキシ化合物(4)に対して1当量から10当量の1−エトキシエチルのハロゲン化物を用い、1当量から過剰量の塩基(例えば、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウムなど)の存在下、該反応に関与しない溶媒(例えば、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン、THF、DMF、DMSOなど)の中で、室温〜1000℃の温度範囲で反応させることにより得られる。 <R6A=テトラヒドロ−2−ピラニル基の場合> (メタ)アクリレート化合物(1)は、式(i)に示すように、フルオロフェニレン基を有するジヒドロキシ化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(4)」という。)にジヒドロピランを反応させることによってとテトラヒドロ−2−ピラニル基およびフルオロフェニレン基を有するヒドロキシ化合物(以下、「ヒドロキシ化合物(5)」という。)を合成し、さらに式(6)に示す(メタ)アクリロイル基含有化合物(以下、「(メタ)アクリロイル基含有化合物(6)」という。)を反応させた後に得ることができる。 なお、上述した各種保護基の脱保護については、フォトレジストの際に後述の光酸発生剤に波長300nm以下の光を照射した際に発生する強酸を利用して脱保護させることができる。 式(i) [1]フルオロフェニレン基を有するジヒドロキシ化合物 (メタ)アクリレート化合物(1)の製造に用いられるフルオロフェニレン構造および/またはオキシフルオロフェニレン構造基を有するジヒドロキシ化合物は、下記式(4)で示される。 式(4) ここで、R4は式(1)のR4と同一であり、フッ素原子を1〜4個結合したフルオロフェニレン基またはフッ素原子を1〜4個結合したフルオロフェニレン基を有する酸素を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。 [2]ヒドロキシ化合物(5) (メタ)アクリレート化合物(1)の製造に用いられるヒドロキシ化合物(5)は、上記式(i)の(a)で示されるようにジヒドロキシ化合物(4)の一方の水酸基にジヒドロピラン(DHP)を選択的に反応させてテトラヒドロ−2−ピラニル基を保護基とすることにより得られる。通常、一方の水酸基のみを保護するのは困難であるが、ジヒドロピランを使用する場合は、ヒドロキシ化合物(5)が優先的に生成する。式(5) ここで、R4は式(1)のR4と同一であり、フッ素原子を1〜4個結合したフルオロフェニレン基またはフッ素原子を1〜4個結合したフルオロフェニレン基を有する酸素を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。 また、テトラヒドロ−2−ピラニル基をTHPと略記し、式(5)で示される化合物の具体例を以下に挙げる。ヒドロキシ化合物(5)の具体例としては、HOC6F4OTHP、HOC6F3HOTHP、HOC6F2H2OTHP、HOC6FH3OTHP、HOCH2C6F4CH2OTHP、HOCH2C6F3HCH2OTHP、HOCH2C6F2H2CH2OTHP、HOCH2C6FH3CH2OTHP、HOCH2CH2C6F4CH2CH2OTHP、HOCH2CH2C6F3HCH2CH2OTHP、HOCH2CH2C6F2H2CH2CH2OTHP、HOCH2CH2C6FH3CH2CH2OTHP、HOC6F4OC6F4OTHPおよびHOCH2C6F4CH2OCH2C6F4CH2OTHPが例示される。上に示したヒドロキシ化合物(5)に含まれるフェニレン基はp−フェニレン基が好ましく、上に示した化合物(5)に含まれるキシリレン基はp−キシリレン基が好ましい。これらの中でもHOC6F4OTHP及びHOCH2C6F4CH2OTHPが、原料の入手性、フルオロフェニレン基を有する点で、(メタ)アクリレート化合物(1)のフッ素含有量を低下させない観点から好ましい。 [3](メタ)アクリロイル基含有化合物(6) 式(6) (メタ)アクリレート化合物(1)の製造に用いられる(メタ)アクリロイル基含有化合物は式(6)で示される。ここで、R1は水素原子またはメチル基を表し、Xは、ハロゲン原子、−OCOC(R1)=CH2または−OR5を表し、好ましくは、ハロゲン原子または−OCOC(R1)=CH2である。 (メタ)アクリロイル基含有化合物(6)の具体例としては(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリロイルクロライド、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル等が挙げられる。 [4]ヒドロキシ化合物(5)の製造方法 ヒドロキシ化合物(5)は、フルオロフェニレン基を有するジヒドロキシ化合物(4)とジヒドロピラン(DHP)を反応させて得られる。 反応の触媒として、公知の酸性触媒が使用できる。具体例としては、硫酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、p−トルエンスルホン酸等が挙げられ、特に硫酸水素ナトリウムが好ましい。 反応の溶媒としては、無極性溶媒が使用できる。具体的には、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル等を挙げられる。 反応温度としては、0〜100℃が好ましく、0〜40℃がより好ましい。0℃未満では反応が遅くなり、また100℃を超えると両側保護体が増加するため好ましくない。 反応時のモル比としては、ジヒドロキシ化合物(4):ジヒドロピラン=1:1.0〜10.0であり、より好ましくは1:1.0〜4.0である。ジヒドロ化合物(4)に対するジヒドロピランのモル比が1.0未満ではフルオロフェニレン基を有するジヒドロキシ化合物が過剰に残存し、また10.0より多いとジヒドロピランが過剰に残存し、経済的ではないため好ましくない。 [5]ヒドロキシ化合物(5)から(メタ)アクリレート化合物(1)への製造方法 ヒドロキシ化合物(5)と(メタ)アクリロイル基含有化合物(6)の反応触媒として、公知の塩基性触媒が使用できる。塩基性触媒としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、t−ブトキシカリウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、DBU、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン等の3級アミンなどが挙げられる。 反応溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。 反応温度としては、0〜120℃が好ましい。0℃未満では反応が遅くなり、また120℃を超えると重合を引き起こすため好ましくない。 反応時のモル比としては、ヒドロキシ化合物(5):(メタ)アクリロイル基含有化合物(6)=1:0.90〜5.0であり、より好ましくは1:1.0〜3.0である。ヒドロキシ化合物(5)に対する(メタ)アクリロイル基含有化合物(6)のモル比が0.9未満ではヒドロキシ化合物(5)が過剰に残存するため、アクリル共重合体の原料としたときに重合性を低下させるので好ましくない。また、(メタ)アクリロイル基含有化合物(6)のモル比が5.0を超えると、(メタ)アクリロイル基含有化合物(6)が残存し後処理が困難となるため好ましくない。 反応時間としては、1〜20時間が好ましく、より好ましくは2〜10時間である。1時間以上であると未反応物が残存せず、20時間以下であると反応時間が短いため経済的である。反応後の反応液は脱イオン水で洗浄後、有機溶媒層を乾燥し、エバポレーター、真空ポンプ等を用いて反応溶媒、反応触媒を除いて式(1)に示すメタクリレート化合物を主成分とした生成物を得ることができ、さらに精製工程を経ることにより、メタクリレート化合物(1)を得ることができる。 3.(メタ)アクリレート化合物(1)の重合 (メタ)アクリレート化合物(1)は、常温では固体であり、熱または光に対して比較的安定であるにもかかわらず、ラジカル重合性は一般的な(メタ)アクリル酸エステルと同等であるという特長を有する。 (メタ)アクリレート化合物(1)は単独で重合しても良いが、パターン形成性、基材との密着性、耐熱性、耐薬品性をコントロールする目的で他のラジカル重合性モノマーと共重合しても良い。共重合するラジカル重合性モノマーの具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、シトラコン酸、イタコン酸、ビニル安息香酸、コハク酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。 ラジカル重合性モノマー全体の重合時の溶媒中における濃度は、重合する反応液全体に対して10〜70質量%、好ましくは20〜60質量%である。10質量%未満では重合反応が完結しなかったり、分子量が小さくなりすぎたりする。70質量%を超えると、重合反応時の発熱量が大きく、重合反応の制御が困難となる。 化合物(2)を他のモノマーと共重合して高分子化合物を形成する際の化合物(1)の使用量としては、フォトレジスト時の化学増幅効果が得られる範囲であれば特に制限はないが、高分子化合物(共重合体)の全体に対して好ましく20〜90質量であり、より好ましくは30〜80質量である。 [1]ラジカル重合開始剤 化合物(1)を用いた重合に用いるラジカル重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を代表とするアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキシド、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを代表とする有機過酸化物等の熱ラジカル重合開始剤を使用できる。 熱ラジカル重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではないが、全てのラジカル重合性モノマーに対して、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。0.5質量%未満では未反応の残存モノマーが増える傾向があるため好ましくない。10質量%を超えると急激に反応が進行して温度を一定に保つのが難しくなることがある。 [2]重合溶媒 また、重合時には、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、ノルマルプロピルアセテート、ブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、酢酸3−メトキシブチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、乳酸エチルなどの有機溶媒中で行なうことができる。 [3]連鎖移動剤 重合時には本発明に係る高分子化合物の分子量を調整する目的で連鎖移動剤を添加することができる。そのような連鎖移動剤の具体例としては、1−ドデカンチオール、1−デカンチオール、メルカプトプロピオン酸等のチオール化合物を挙げることができる。 本発明に係る高分子化合物の重量平均分子量は、3000〜100000が好ましく、5000〜30000が特に好ましい。ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の値である。高分子化合物の重量平均分子量が3000未満では塗膜の強度が低下し、30000を超えると溶媒への溶解性が低くなる上に、高分子化合物のアルカリ現像性が低下する。 4.使用方法 また、本発明の高分子化合物は光酸発生剤、その他の成分とともに、例えば、溶剤等に溶解または分散した組成物を基材に塗布したのち、加熱等により溶剤を除去して使用することができる。 [1]光酸発生剤 「光酸発生剤」とは、所定波長の光が照射された際に強酸を発生させる剤をいう。 使用する光酸発生剤としては、公知の放射線の照射により強酸を発生する化合物中から任意のものを適宜選択して用いることができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩またはスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類など多種のものが知られている。 光酸発生剤の使用量は、上記組成物に含まれる全ての高分子化合物に対して0.5〜10質量%であり、好ましくは1〜8質量%であり、より好ましくは2〜5質量%である。 前記オニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロンメタンスルホネート、ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート等が挙げられる。 前記オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリル等が挙げられる。これらの中で、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル等が挙げられる。 前記ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン等を挙げることができる。 また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン等を挙げることができる。 [2]含窒素有機化合物 その他の成分として、必要に応じ、さらに含窒素有機化合物を含有することができる。化学増幅型レジスト組成物に含窒素化合物を酸拡散防止剤などとして少量配合することはすでに公知であり、そのような含窒素有機化合物としては、アミンまたはアンモニウム塩が挙げられる。 含窒素有機化合物の使用量は、上記組成物に含まれる全ての高分子化合物に対して0.01〜5質量%であり、好ましくは0.05〜4質量%であり、より好ましくは0.1〜3質量%である。 前記アミンとしては、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミンなどの脂肪族第二級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、N,N−ジメチルプロピルアミン、N−エチル−N−メチルブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリデカニルアミン、トリドデシルアミン、トリテトラデカニルアミンなどの脂肪族第三級アミン(トリアルキルアミン、なお、上記における窒素に結合する3つのアルキル基は、同一でも異なってもよい。)、N,N−ジメチルモノエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ジエチルモノエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリブタノールアミンなどの第三級アルカノールアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−エチル−N−メチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、N−メチルジフェニルアミン、N−エチルジフェニルアミン、トリフェニルアミンなどの芳香族第三級アミンなどを挙げることができる。 前記アンモニウム塩としては、アンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン等の第4級アルキルアンモニウムイオンと乳酸のような水酸基を有する有機カルボン酸のイオンとの塩を挙げることができる。 これらの中でも、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノールアミンなどの低級の第3級アルカノールアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリデカニルアミン、トリドデシルアミン、トリテトラデカニルアミンなど炭素数6以上15以下のトリアルキルアミンが微細なレジストパターンのトップ部分の膜減りの低減効果に優れることから、好ましい。 [3]有機カルボン酸 その他の成分として、前記含窒有機素化合物の添加による感度劣化防止等の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸またはリンのオキソ酸若しくはその誘導体を含有させることができる。前記有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。 前記有機カルボン酸の使用量は、上記組成物に含まれる全ての高分子化合物に対して0.1〜5質量%であり、好ましくは0.05〜4質量%であり、より好ましくは0.1〜3質量%である。 前記リンのオキソ酸もしくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸またはそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸およびそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸およびそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。 [4]熱硬化性樹脂成分 本発明の高分子化合物を含む組成物を永久膜として用いる場合、塗膜強度を高める目的で熱硬化性樹脂成分を配合しても良い。使用できる熱硬化性樹脂成分としては、ポリエポキシ化合物を挙げることができる。 前記熱硬化性樹脂成分の使用量は、上記組成物に含まれる全ての高分子化合物に対して5〜60質量%であり、好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは20〜40質量%である。 ポリエポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル及びペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等のグリシジエルエーテル型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート及びテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等のグリシジルアミン系エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン及びエポキシ化大豆油等の線状脂肪族エポキシ樹脂、及び、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するラジカル重合性モノマーの(共)重合体等を例示することができる。上記ポリエポキシ化合物は、単独または2種以上を混合して使用することができる。 ポリエポキシ化合物を用いる場合は硬化促進剤を使用しても良い。硬化促進剤の具体例としては、イミダゾール類、第3級アミン類、フェノール類、ルイス酸塩などが挙げられ、これらのうち1種以上を使用できることができる。 [5]溶剤 上記組成物に使用する溶剤としては、本発明に係る高分子化合物を溶解または分散できるものであれば特に制限はなく、前述の重合溶媒としてしたものをそのまま使用することができる。 [6]塗布・露光・現像方法 本発明に係る高分子化合物を含む組成物は、基材(シリコンウエハ等)にスピンコーター、スリットコーター等の塗工装置により塗装された後、溶剤乾燥後、エキシマレーザー、高圧水銀ランプ等の紫外領域の光でフォトマスク越しにパターン露光を行う。これにより、露光された部分の組成物に含まれる酸発生剤から強酸が発生し、発生した強酸によって、高分子化合物の(メタ)アクリレート化合物(1)由来の構造単位に存在する保護基が脱離して水酸基が形成され、アルカリ現像性が発現する。 使用するアルカリ現像液としては炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液が挙げられるが、フォトレジスト用途の場合は、水酸化テトラメチルアンモニウムのようにアルカリ金属イオンあるいはアルカリ土類金属イオンを含まないアルカリ現像液が好ましい。 5.用途 本発明に係る高分子化合物を使用したフォトレジストの用途としては、半導体集積回路の製造等に使用される微細加工用フォトレジスト、半導体集積回路の周辺材料に使用されるバンプ形成用レジスト、再配線用レジスト等の厚膜レジスト、感光性絶縁膜、プリント基板またはフラットパネルディスプレイの製造等に使用されるエッチングレジスト、メッキレジスト、ソルダーレジスト、カラーフィルターレジスト、写真製版またはデジタル製版に用いられる印刷版(PS版、CTP版)の感光層などといった、各種フォトレジストが挙げられる。 以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。 [分析方法] (1)重合体の分子量の測定GPCの測定条件は以下のとおりである。装置名:Shodex GPC−101カラム:Shodex KF−802、KF−803、KF−805移動相:テトラヒドロフラン流速:1.0ml/min検出器:Shodex RI−71温度:40℃ 前記の測定条件で、ポリスチレンの標準物質を使用して作成した検量線を用いて重量平均分子量を算出した。 (2)GC(ガスクロマトグラフィー):カラムはジーエルサイエンス株式会社製の「InertCap 1」を用い、以下の条件で測定を行った。カラム温度と温度上昇速度:100℃で0分保持、20℃/分で昇温し300℃で5分保持検出器:FID検出器温度:330℃注入口温度:330℃ (3)1H−NMR:テトラメチルシランを内部標準物質として、日本電子株式会社製「JNM−AL400」を用いて測定した。 (4)HPLC(高速液体クロマトグラフィー):カラムは昭和電工株式会社製の「Shodex 5C8 4E」を用い、以下の条件で測定を行った。カラム温度:40℃移動相:アセトニトリル/水=2/1(容積比)、2mmol/リットル過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム溶出速度:1ml/分検出波長:254nm (5)光透過率:紫外可視近赤外分光光度計 UV−3600(株式会社 島津製作所製)を用いて行った。 [実施例1]化合物(2)の合成 式(ii) 窒素ガス導入管、撹拌翼を装備した2000mL容のセパラブルフラスコに、TFDM(2,3,5,6−テトラフルオロ−p−フェニレンジメタノール、SHANG YU FINECHEM CHEMICAL(株)製)157.5g(0.750mol)、トルエン 500ml、ジメチルスルホキド 20ml、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン140g(1.658mol、東京化成工業(株)製)、5M 硫酸水素ナトリウム水溶液150mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら室温で5時間反応させた。反応後、トルエンで反応液を希釈し、脱イオン水、5% 水酸化ナトリウム水溶液、脱イオン水の順で有機層を洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。さらに、エバポレーター、真空ポンプを用いてトルエンを除き、GC純度69.4%の化合物(5)−1の粗精製物を得た。得られた化合物(5)−1の粗精製物は精製せずこのまま次の反応に用いた。 窒素ガス導入管、撹拌翼を装備した2000mL容のセパラブルフラスコに、上述のように合成した化合物(5)−1 150.0g(0.354mol、GC純度:69.4%)、トルエン 750ml、48%水酸化ナトリウム水溶液 85gを加え、15分撹拌した。次いでメタクリル酸クロライド 81.0g(0.775mol、東京化成工業(株))を滴下し、室温で3時間撹拌した。さらにメタクリル酸クロライド 10.8g(0.103mol)を追加し、室温で3時間撹拌した。反応後、トルエンで希釈し、有機層を水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。ヒドロキノン 0.075gを加え、エバポレーター、真空ポンプを用いてトルエンを除き、GC純度73.5%の化合物(2)の粗精製物を得た。得られた粗精製物は、シリカゲルによるカラム精製することにより、GC純度98.3%の化合物(2)を得た。化合物(2)の1H−NMRの結果を図1に示す。1H−NMRのケミカルシフト(400MHz、CDCl3、TMS、ppm)は以下の通りである。 6.10(1H)、δ:5.58(1H)、δ:5.27(2H)、δ:4.81(2H)、δ:4.58(1H)、δ:3.90(1H)、δ:3.57(1H)、δ:1.92−1.57(6H)、δ:1.54(3H)。 [比較例1] 式(iii) 窒素ガス導入管、撹拌翼を装備した500mL容のセパラブルフラスコに、4−ヒドロキシフェニルメタクリレート(昭和電工株式会社製) 50g(0.28mol)、トルエン 150ml、ジメチルスルホキシド 10ml、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン 52g(0.62mol)、5M 硫酸水素ナトリウム水溶液 50mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら室温にて5時間反応させた。反応後、トルエンで反応液を希釈し、脱イオン水、5%水酸化ナトリウム溶液、脱イオン水の順で有機層を洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。さらにエバポレーター真空ポンプを用いてトルエンを除き、GC純度89.5%の比較例1の化合物(7)の粗精製物を得た。この粗精製物をシリカゲルカラムによるカラム精製することで、GC純度97.3%の比較化合物を得た。 式(7) [実施例2](化合物(2)の重合) 100mL容の2口フラスコに、上述のように合成した実施例1の化合物(2) 10.0g、過酸化ベンゾイル(関東化学(株)製) 0.60g、酢酸ブチル(関東化学(株)製)23.3gを加え、マグネチックスターラーとオイルバスを用いて90℃で窒素雰囲気下3時間撹拌した。反応後、ヘキサンで再沈殿し、生じた固体を濾過・乾燥し、白色固体の高分子化合物 9.10g(Mn/Mw=4500/21000)を得た。 [実施例3](化合物(2)の共重合) 100mL容の2つ口フラスコに、上述のように合成した実施例1の化合物(2) 4.00g、メタクリル酸メチル(関東化学製)6.00g、過酸化ベンゾイル 0.60g、酢酸ブチル23.3gを加え、マグネチックスターラーとオイルバスを用いて90℃で窒素雰囲気下3時間撹拌した。反応後、ヘキサンで再沈殿し、生じた固体を濾過・乾燥し、白色固体の高分子化合物 9.6g(Mn/Mw=5200/25000)を得た。 [実施例4](化合物(2)の共重合) 100mL容の2つ口フラスコに、上述のように合成した実施例1の化合物(2) 6.00g、メタクリル酸メチル(関東化学製)4.00g、過酸化ベンゾイル 0.60g、酢酸ブチル23.3gを加え、マグネチックスターラーとオイルバスを用いて90℃で窒素雰囲気下3時間撹拌した。反応後、ヘキサンで再沈殿し、生じた固体を濾過・乾燥し、白色固体の高分子化合物 9.5g(Mn/Mw=4800/21000)を得た。 [実施例5](化合物(2)の共重合) 100mL容の2つ口フラスコに、上述のように合成した実施例1の化合物(2) 6.00g、メタクリル酸メチル(関東化学製)4.00g、シクロヘキシルメタクリレート(東京化成(株)製) 2.0g、過酸化ベンゾイル 0.60g、酢酸ブチル23.3gを加え、マグネチックスターラーとオイルバスを用いて90℃で窒素雰囲気下3時間撹拌した。反応後、ヘキサンで再沈殿し、生じた固体を濾過・乾燥し、白色固体の高分子化合物 9.3g(Mn/Mw=5000/23000)を得た。 [比較例2](化合物(7)の共重合) 100mL容の2つ口ナスフラスコに、上述のように合成した比較例1の化合物(7) 4.00g、メタクリル酸メチル 6.00g、過酸化ベンゾイル 0.60g、酢酸ブチル23.3gを加え、マグネチックスターラーとオイルバスを用いて90℃で窒素雰囲気下3時間撹拌した。反応後、ヘキサンで再沈殿し、生じた固体を濾過・乾燥し、白色固体の高分子化合物 9.3g(Mn/Mw=6300/28000)を得た。 [光透過率の評価] 実施例3、比較例2の高分子化合物1.0gを、溶剤としてのプロピレングリコールモノメチルアセテート(東京化成(株)製)9.0gに溶解した。次に1.1mm合成石英板にスピンコーターを用い、乾燥後の膜厚が0.6μmになるように塗布した。その後90℃ホットプレートで90秒乾燥した。このプレートを切り出し、200〜400nmの波長域の光に対する光透過率を測定した。結果を図2に示す。比較例2より実施例3のものの方が300nm以下、特に250nm以下の光透過率が優れていることが示された。 [現像性の評価] 実施例3、4、5、および比較例2の高分子化合物 2.0g、アデカオプトマー SP−150((株)アデカ製 トリアリールスルホニウム塩系光酸発生剤) 0.1gを、溶剤としてのプロピレングルコールモノメチルエーテル 8.0gに溶解し、0.2μmのフィルターで濾過してフォトレジスト組成物を調製した。調製したフォトレジスト液はガラス板にスピンコーターで塗工し、110℃ 20分乾燥することで約5μmの塗膜を得た。その塗膜に超高圧水銀ランプを組み込んだ露光装置(商品名マルチライト ML−251A/B;ウシオ電機(株)製)で石英製のフォトマスク、短波長カットフィルター LU0250(250nm以上の光をカット、朝日分光株式会社製)を介して60秒露光した。さらに130℃で20分加熱を行い、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液にて25℃ 60秒現像し露光部の現像性を確認した。その結果、実施例3、4、5の露光部は現像が完了し塗膜はなかったが、比較例2には露光部にも残膜が確認できた。 これより式(1)の化合物(1)を使用した高分子化合物は300nm、特に250nm以下の光透過性に優れることからフォトレジストとしての適性に優れることが示された。 下記式(1)で示される(メタ)アクリレート化合物。式(1)(式(1)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は単結合を示し、R4はフッ素原子が1〜4個結合したフルオロフェニレン基、またはフッ素原子が1〜4個結合したフルオロフェニレン基を有する、酸素を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、R6Aは強酸により脱離する1価の有機基を示す) R4が2,3,5,6−テトラフルオロ−p−キシリレン基である、請求項1記載の(メタ)アクリレート化合物。 酸により脱離する保護基R6Aがテトラヒドロピラニル基であることを特徴とする請求項1または2に記載の(メタ)アクリレート化合物。 下記式(2)で示される化合物である請求項1記載の(メタ)アクリレート化合物。式(2) 下記式(3)で示される化合物である請求項1記載の(メタ)アクリレート化合物。式(3) 請求項1〜5のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート化合物を単独で重合して得られる高分子化合物。 請求項1〜5のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート化合物を含むモノマーを重合して得られる高分子化合物。 請求項6または7記載の高分子化合物、光酸発生剤及び溶剤を含む、フォトレジスト組成物。 請求項8に記載のフォトレジスト組成物を基材に塗布、溶剤を乾燥、フォトマスク越しに光照射、加熱した後にアルカリ水溶液により現像することでパターンを形成する方法。 【解決課題】300nm以下特に250nm以下の光透過性に優れるために光感度、解像度に優れると同時に永久膜としても使用できるフォトレジストに好適な(メタ)アクリレート化合物および該(メタ)アクリレート化合物を用いた高分子化合物を提供すること。【解決手段】下記式(1)で示される(メタ)アクリレート化合物、およびこれを用いた高分子化合物とする。式(1)(式(1)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は単結合を示し、R4はフッ素原子が1〜4個結合したフルオロフェニレン基、またはフッ素原子が1〜4個結合したフルオロフェニレン基を有する、酸素を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、R6Aは強酸により脱離する1価の有機基を示す)【選択図】なし