生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_入浴治療用培養液及び培養液循環装置
出願番号:2013190646
年次:2015
IPC分類:C12N 1/20,A61H 33/00,C12N 1/00


特許情報キャッシュ

久保 賢介 JP 2015053923 公開特許公報(A) 20150323 2013190646 20130913 入浴治療用培養液及び培養液循環装置 株式会社ネイチャーサポート 513036734 田中 信介 100181250 久保 賢介 C12N 1/20 20060101AFI20150224BHJP A61H 33/00 20060101ALI20150224BHJP C12N 1/00 20060101ALI20150224BHJP JPC12N1/20 AA61H33/00 EC12N1/00 F 3 1 OL 17 特許法第30条第2項適用申請有り 販売による開示(平成25年4月13日) 4B065 4C094 4B065AA15X 4B065AC20 4B065BA22 4B065BC03 4B065CA44 4C094AA01 4C094BB15 4C094EE24 4C094FF02 4C094GG01 本発明は、皮膚炎を治療するための入浴治療に使用する入浴治療用の培養液及び浴槽に入浴治療用の培養液を循環させるための培養液循環装置に関する。 バチルス入浴療法(Bacillus Spa Therapy、以下BSTと略す)は人の皮膚の病原菌を有効Bacillusの作用により抑制すると同時に皮膚免疫に変化をもたらし皮膚疾患を改善させる療法である。水辺の植物である真菰等を発酵させることにより得られたバチルス芽胞を多量に含んだ粉末(バチルス粉末)を入浴剤として利用する。 以前より真菰の発酵粉末(例えば、特許文献1参照)を風呂のお湯に懸濁させ長期にわたり浴水を替えずに入浴する民間療法が一部の愛好者で行われていた。しかし効果はまちまちで科学的な機序の解明や水質管理がなされる事もなく悪臭や皮膚炎の悪化が頻回に生じ広く普及することはなかった。 BSTは本願発明者の8年間の臨牀研究から考え出された非常に有効なアトピー性皮膚炎の入浴療法であり多くの重症のアトピー性皮膚炎患者を救済する可能性が高い。 有効バチルス菌による病原性微生物の抑制と皮膚免疫の改善が最大の機序であり浴水中の微生物の管理及び老廃物の処理による水質の管理が最大の要素を持つ。特開平8−131158号公報 ところが、前述のように、BSTを行うために真菰の発酵粉末を浴槽のお湯に懸濁させ、長期にわたってお湯(培養液)を替えず、その水質管理を行わないままで入浴するという従来の入浴療法では、培養液の温度管理やエアレーションが行われないため、不要な雑菌や嫌気性菌が繁殖して悪臭が発生したり、有効バクテリアが減少し効果が低減したり、時には有害な病原性菌が繁殖したりするなど、培養液の状態を入浴治療に適した状態に保つことができないという問題があった。 本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、皮膚炎の治療に適した入浴治療用の培養液とその培養液を治療に適した状態に保つことができる入浴治療用の培養液循環装置とを提供することを目的とする。 この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための形態」欄において用いた符号を付すが、この符号によって請求の範囲を限定することを意味するものではない。 上記「発明が解決しようとする課題」において述べた問題を解決するためになされた発明は、150〜180リットルの浴水に約600gのバチルス粉末を懸濁し、そのバチルス粉末を懸濁した浴水を35〜45℃の温度に保つとともに、酸素飽和度70%以上(約1.0mg/min/L以上)の酸素供給を行って数日間発酵させることにより得られることを特徴とする入浴治療用の培養液(バチルス浴水)である。 このような入浴治療用の培養液を用いると、嫌気性の腐敗が生じることなく本来のバチルス属細菌の好気的繁殖が生じバチルス粉末内の有機物や入浴者の皮膚からの老廃物の代謝分解が行われる。そして、培養液内に106〜107CFU/ml以上のバチルス属の有効細菌が効率よく培養され皮膚炎の原因菌である黄色ブドウ球菌や酵母様真菌であるマラセチアやカンジダを抑制することができる。 ここで、バチルス属細菌について説明する。バチルス属細菌は土壌中に広く生息し枯れた植物を分解する従属栄養細菌であり病原性は低い納豆菌もその1つである。 バチルス属細菌は、バチルス・サブティリス(Bacillus subtillis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)のような 常に酸素を必要とする偏性好気性細菌とバチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)のように、酸素が利用できない環境では嫌気性代謝を行う通性好気性細菌が存在する。 酸素が少ない静水の底付近では、通性好気性細菌や嫌気性菌による嫌気性代謝が行われ人体に有害で悪臭原因ともなる硫化水素(H2S、メタン(CH4)、メルカプタン 低級脂肪酸のプロピオン酸やノルマル酪酸などが形成される。これらの悪臭物質は不快感のみならず人体に有害性があり皮膚炎を悪化させる原因となる。 そこで、浴水150〜180Lに約600gの真菰発酵粉末などのバチルス粉末を懸濁し 35〜45度の温度管理 酸素飽和度70%以上の酸素供給と攪拌を行い、新たな発酵を生じさせる。条件が満たされると嫌気性の腐敗が生じることなく本来のバチルスの好気的繁殖が生じバチルス粉末内の有機物の代謝分解が行われる。 また、条件が整うと浴水内に106〜107CFU/ml以上のバチルス属の有効細菌が効率よく培養され皮膚炎の原因菌である黄色ブドウ球菌や酵母様真菌であるマラセチアやカンジダを抑制する。つまり、皮膚炎を治療するために適した培養液とすることができる。 ところで、培養液の活性が高いバチルス属菌数を維持し、真菰の発酵粉末のようなバチルス粉末、人体から排泄される脂肪あるいはタンパク質の代謝から産生される有害物質を減らすには、好気的な水質条件を維持する酸素供給(エアレーション)、沈殿しやすい懸濁粒子を常に攪拌し浴槽低層の嫌気条件を改善し有害物質の揮発を促すための攪拌(サーキュレーション)と24時間培養温度を安全に維持できる温度管理(ヒーティング)が必要である。 そこで、請求項2に記載のように、浴槽に入れた請求項1に記載の培養液を循環させるための循環手段(40)と、循環手段(40)により循環される培養液を加熱する加熱手段(50)と、循環手段(40)により循環される培養液中に酸素を供給する酸素供給手段(60)と、循環手段(40)により循環される培養液の温度を加熱手段(50)により35〜45℃に加熱して保持させるとともに、酸素供給手段(60)により培養液の酸素飽和度を70%以上にする制御手段(70)と、を備えた入浴治療用の培養液循環装置(1)とする。 このようにすると、培養液を循環手段(40)で循環させることにより、バチルス粉末、人体から排泄される脂肪あるいはタンパク質の代謝から産生される有害物質を減少させるとともに、沈殿しやすい懸濁粒子を常に攪拌して浴槽低層の嫌気条件を改善することができる。 また、加熱手段(50)により培養液の温度を35〜45℃に保持しつつ、酸素供給手段(60)により培養液の酸素飽和度が70%以上になるようにすると、培養液の活性が高いバチルス属細菌を維持することができる。 つまり、皮膚炎の治療に適した入浴治療用の培養液を治療に適した状態に保つことができる入浴治療の培養液循環装置(1)とすることができる。 ところで、細菌は至適発育温度によって、10〜20℃:低温性菌、30〜40℃:中温性菌、50〜60℃:高温性菌の3つのグループに分類される。 病原制菌のほとんどが中温性菌に含まれる。一方、土壌菌であるバチルス属細菌は高温でも増殖が可能で芽胞形成能があり一旦芽胞を形成すると100℃でも不活化できない。 そこで、請求項3に記載のように、制御手段(70)によって、循環手段(40)で循環される培養液の温度を加熱手段(50)により50℃に加熱し、所定時間保持するようにすると、例えば、夜間入浴後に、加熱手段(50)を作動させておくと、翌日午前までに処理が終了し入浴温度となる。また、50℃という温度は人が間違って接触しても軽微な低温熱傷で済み安全性も確保できる。入浴治療用の培養液循環装置の概略の外見図である。入浴治療用の培養液循環装置の概略の構成を示すブロック図である。アクアリウム用ポンプの酸素供給性能を示す図である。培養液循環装置1の循環部40の酸素供給性能を示す図である。酸素供給装置の酸素供給能力を比較した図である。 以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。[培養液循環装置1の構成] 図1は、本発明が適用された入力治療用の培養液循環装置1の概略の外観図であり、図2は、培養液循環装置1の概略の構成を示すブロック図である。 図1に示すように、培養液循環装置1は、本体10及び泡出しユニット20を備えている。 本体10は、筐体11及び蓋12からなっている。そして、本体10の下面には図示しない入水口、出水口及びエアホース接続口が設けられ、本体10の正面には、操作パネル14が設けられている。 入水口には、入水用ホース30が接続され、浴槽の培養液を、入水用ホース30を介して本体10の内部に取り入れるようになっている。 出水口には、出水用ホース32が接続され、入水口から取り入れた培養液を、後述する循環部40で循環させるとともに、加熱部50や酸素供給部60により培養液の温度や温度を調整し酸素を供給した後出水用ホースを介して浴槽に戻すようになっている。 また、本体10は、図2に示すように、その内部に、循環部40、加熱部50、酸素供給部60、制御部70を備えている。 循環部40は、浴槽に入れた培養液を循環させるための装置であり、図示しないポンプにより、浴槽内部の培養液を、入水用ホース30を介して入水口から吸い込み、吸い込んだ培養液を、循環させている。 循環部40のポンプは、ブレードなどの回転部分を、回転軸を回転中心として回転させるタイプのものであるが、軸受を有する回転軸で回転部分を支持する従来の構造では、バチルス浴水中の懸濁粒子による摩擦負荷により支持部分が損傷しやすいため、軸受部分をなくしたマグネットタイプ(磁気軸受)を用いている。 加熱部50は、循環部40により循環される培養液を加熱して保持する装置であり、図2に示すように、ヒータ52と温度センサ54を備えている。そして、循環部40により本体10内に吸い込まれた培養液の温度を温度センサ54で検出し、制御部70に出力するとともに、制御部70からの信号により、培養液をヒータ52で加熱して、本体10の温度設定スイッチにより設定された温度(35〜50℃)に保つようになっている。 ヒータ52は培養液中の多量の浮遊粒子の焦げ付きにより熱伝導が阻害されオーバーヒートするため、熱伝導が穏やかなセラミックヒーターを使用しポンプで流速を維持しながら加熱することにより今まで頻回に生じていたオーバーヒートを回避できた。 酸素供給部60は、循環部40により循環される培養液に酸素を供給する装置であり、制御部70からの指令信号により培養液中の酸素飽和度が70%以上になるように、培養液中に酸素を供給する。 なお、酸素供給部60により供給される酸素の量は、培養液中の酸素飽和度が70%以上となるように、循環部40により循環される培養液の流量に対する酸素供給量と酸素飽和度の関係を予め準備しておき、その関係により使用者が操作パネル14で設定した量とする。 制御部70は、図示しないCPU、ROM、RAM及びI/Oを備えており、ROMに格納されたプログラムにより下記(ア)〜(エ)の処理を実行する。(ア)操作パネル14の温度設定値を入力する。(イ)循環部40により循環される培養液の温度を加熱部50の温度センサ54から入力し、その温度値に基づき、加熱部50のヒータ52で培養液を加熱し、操作パネル14から入力した温度設定値(35〜45℃)に加熱して保持する。(ウ)酸素供給部60により培養液に供給する酸素量を制御する。(エ)操作パネル14における50℃設定ボタンの状況を入力し、50℃設定がなされている(50℃設定ボタンが押下されている)場合、培養液を加熱部50により、50℃に加熱し、所定時間(5時間)保持する。 泡出しユニット20は、図1に示すように、前面先端に入水口21、前面中央に出水口(ジェットノズル)22、後端に入水用ホース30を接続するための入水用ホース接続口23及び出水用ホースを接続するための出水用ホース接続口24を備えている。 また、先端後面に1個、背面に2個、泡出しユニット20を浴槽の壁面に固定するための吸盤25が取り付けられている。 また、泡出しユニット20には、入水口21の内部に図示しないフィルタが設けられており、浴槽内の培養液を吸い込む際の不純物を濾過するようになっている。[バチルス粉末の製作] 真菰、葦、茅、稲藁などイネ科の植物や糠、糖蜜、穀類等の植物由来の材料等を用いてバチルス属細菌を多量に含む発酵粉末を作る事が可能である。特に自然状態の水辺の植物は、バチルス・サブティリス等の有効バチルス芽胞が付着しており材料として適している。酸素温度湿度管理等の発酵コントロールを行い、有効バチルス芽胞を多量(1×108CFU/g以上)含んだ生成物(バチルス粉末)を作ることができる。 粉末の粒子サイズは浮遊粒子を増し底への沈殿を少なくするために直径100μm以下が望ましい。 生成物(バチルス粉末)は発酵が二次発酵以上に進みタンパク等の皮膚に抗原となりうる物質や有害物質、有害微生物を低減させておく必要がある。 真菰は自然に生育しているものも多く栽培が容易で農薬などを使う必要がなく発酵材料として適している。真菰の発酵粉末100gには、たんぱく質:13〜20g、脂質:0.8〜1.9g、炭水化物:34〜56g、食物繊維:35〜65g程が含まれる。[入浴治療用培養液の製作]入浴治療用(培養浴水)は、浴水150〜180Lに約600gの真菰発酵粉末などのバチルス粉末を懸濁し、35〜45度の温度管理 酸素飽和度70%以上の酸素供給と攪拌を行い、数日間新たな発酵を生じさせる。条件が満たされると嫌気性の腐敗が生じることなく本来のバチルスの好気的繁殖が生じバチルス粉末内の有機物の代謝分解が行われる。条件が整うと浴水内に106〜107CFU/ml以上のバチルス属の有効細菌が効率よく培養され皮膚炎の原因菌である黄色ブドウ球菌や酵母様真菌であるマラセチアやカンジダを抑制する。 バチルス属細菌は土壌中に広く生息し枯れた植物を分解する従属栄養細菌であり病原性は低い、納豆菌もその1つである。 バチルス属細菌は、バチルス・サブティリス(Bacillus subtillis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)のような、常に酸素を必要とする偏性好気性細菌とバチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)のように、酸素が利用できない環境では嫌気性代謝を行う通性好気性細菌が存在する。 酸素が少ない静水の底付近では、通性好気性細菌や嫌気性菌による嫌気性代謝が行われ人体に有害で悪臭原因ともなる 硫化水素(H2S)メタン(CH4)メルカプタン低級脂肪酸のプロピオン酸やノルマル酪酸などが形成される。これらの悪臭物質は不快感のみならず人体に有害性があり皮膚炎を悪化させる原因となる。 浴水の活性が高いバチルス菌数を維持し、入浴剤のバチルス粉末や人体から排泄される脂肪やタンパク質の代謝から産生される有害物質を減らすには、好気的な水質条件を維持する酸素供給(エアレーション)、沈殿しやすい懸濁粒子を常に攪拌し、浴槽低層の嫌気条件を改善し有害物質の揮発を促すための攪拌(サーキュレーション)と24時間培養温度を安全に維持できる温度管理(ヒーティング)が必要である。 なお、この培養液は皮膚炎の入浴者1名に対して専用に使用する。また、この培養液は1ヵ月後から少量のバチルス粉末を添加し3ヶ月以降に浴水の数分の1だけの水換えを行うだけで維持され有効な皮膚炎の治療が可能である。[培養液循環装置1の特徴](酸素供給及び攪拌を行わない条件下での硫化水素とメルカプタンの発生) 前述のように、バチルス浴水は約150〜180Lの浴水に約600gのバチルス粉末を懸濁させる。そこで、浴水と等濃度、1.5Lに6gの製造方法が異なった4種類(A,B,C,D)の真菰発酵粉末を懸濁し、35℃のインキュベーター内で密閉容器内に発生する硫化水素とメルカプタン濃度を、ガス検知管(GASTEC)を使用して測定した結果を表1及び表2に示す。なお、アンモニア ジクロロメタンは検知されなかった。 表1,表2に示すように、硫化水素、メルカブタン等の悪臭、刺激ガスの発生は自然経過では、14〜30日続き、悪臭や入浴時の皮膚炎の悪化をもたらす。(各条件下での硫化水素の発生状況) 前述と同様の濃度の懸濁液を1.5Lの密閉が可能な3つの容器に分け、40℃のインキュベーター内で、A:エアレーション攪拌なし、B:スターラーによる攪拌と、O2産生タブレット(過酸化カルシウム)、C:ポンプによるエアレーションと攪拌をおこなった結果を表3に示す(*Cはエアレーション停止後3時間の密閉状態で測定)。硫化水素の容器内濃度を、ガス検知管(GASTEC)を使用して測定した。 酸素飽和度、酸化還元電位 A:8〜14%、−220〜−30mV B:7〜18%、−50〜0mV C:70〜93%、+120〜220mV 表3に示すように、Aでは酸素供給もなく攪拌もないため容器の底に沈殿層ができ嫌気代謝が行われ、多量の硫化水素が発生している。 Bでは攪拌と共に酸素供給(0.75mg/L/min)が弱いながらもなされバクテリアの好気代謝に使われたため酸素飽和度は上昇しなかったが嫌気代謝による硫化水素の発生はかろうじて防げた。 Cでは酸素供給(13.6 mg/L/min)と攪拌がなされ好気状態が維持されているため硫化水素は発生しなかった。 また、硫化水素はシステイン等のS(イオウ)を含むアミノ酸の嫌気代謝により産生され強い悪臭と腐食性を持つ 実験では酸素供給と攪拌により産生が抑制された。さらに、酸素供給と共に攪拌がされないと底の沈殿層での嫌気代謝が増加する。また、培養液循環装置1を使用する以前は浴水に真菰発酵粉末を懸濁させた後に悪臭が生じ問題になっていた。システムの導入により悪臭の問題は解決した。(酸素飽和度と嫌気性菌の割合 硫化水素・メルカプタン濃度の関係) 前述の真菰浴水懸濁液A,B,Cを2週間40℃で培養後、重症アトピー性皮膚炎患者皮膚から浴水に溶出するタンパク量に換算した0.3cc/L/dayの人血漿を培養懸濁液に4日間投与後の嫌気性菌が産生する硫化水素とメルカプタン類の容器内濃度を、ガス検知管(GASTEC)を使用して測定した結果を表4に示す。 表4に示すように、有機物の濃度が増加するとバクテリアの酸素消費量は急増し酸素飽和度が低下する。 また、酸素濃度が低い環境下では酸化還元電位は低下し嫌気性菌の発生が多くなりそれとともに硫化水素、メルカプタンの発生が増え、悪臭が発生し水質は悪化し腐敗が生じた。一方 酸素が充分供給された好気状態では嫌気性菌は少数であり嫌気性腐敗産物は産生されなかった。 よってバチルス浴水の安全性を維持するには好気状態を維持できる十分なエアレーション機能が必要であることが分かる。A:では攪拌・酸素供給がなく代謝が悪く投与されたタンパク成分は分解されないまま残存したためガス発生量はBより少なくなっていると考えられる気化しない分余計に水質は悪化している。B:攪拌と共に酸素供給(0.75mg/L/min)が弱いながらもなされたがバクテリアの酸素消費量をまかない切れず嫌気代謝が増大し多量の硫化水素が発生している。(培養液循環装置1の酸素供給能力) 180Lの浴水に600gの真菰発酵粉末を懸濁し14日経過した40℃浴水での酸素供給能力について、5L/minアクアリウム用のポンプと5L/minの酸素供給部60で行った比較試験の結果を表5及び図3〜図5に示す。 アクアリウム用ポンプでは180分後でも酸素飽和度78%であったのに対して培養液循環装置1では40分後には酸素は飽和し99%に達した。 また、図3に示すアクアリウム用ポンプの酸素供給性能と図4に示す培養液循環装置1の循環部40の酸素供給性能において、180L浴水での両者の酸素供給性能を供給グラフの近似式を比較すると0.38mg/L/min 1.02mg/ L/minであり約2.7倍の違いが見られた。(温度管理と浴水中Bacillus菌の活性度) 5%ブドウ糖液0.5ccをバチルス培養液14.5ccに入れ入れ簡易血糖測定器にて3回血糖測定しバラツキがない事を確認後3ccずつ5つの容器に分注し25℃、40℃のインキュベーター内で培養し24時間後のブドウ糖の消費を指標に活性度を測定した結果を表6に示す。 25℃は浴槽のヒータを切った際の温度であり40℃は一般的入浴温度である。 今までの民間療法では持続的な温度管理は成されてなかった。 バクテリアは低温になると活性が著しく低下し 表6に見られるように40℃では2 4時間のブドウ糖消費は71%であるのに対して25℃では5%まで低下している。こう した有効細菌であるバチルスの代謝の低下は病原菌の抑制能や老廃物の分解能力の低下 を意味する。BST・MSTでは適正な温度を維持する管理システムが必要である。(バチルス属細菌の連続培養) 浴水と同様の濃度150ccに0.6g粉末を懸濁し、真菰粉末を連日添加した結果を表7に示す。 表7中1は、6日目より10mg/day 0.01g、表7中2は、50mg/day 0.05gの真菰発酵粉末を連日添加した結果である。 菌数は指数表示(CFU/ml)菌数は栄養の消費に伴い低下する。8乗レベルのバチルス菌数を保持するためには150mlに対して10mg、150Lの浴水に対して1日10g程度の発酵粉末の添加が必要である。 添加をせずに入浴のみを行うとバチルス属細菌は次第に減数しシュードモナス属細菌が優位菌に変わり、皮膚炎の改善能力は失われる。(50℃加温処理システム) 培養液循環装置には50℃加温処理ボタンがあり病原性菌の発育を抑制できる温度処理機能が設けられている。 細菌は至適発育温度によって、10〜20℃:低温性菌、30〜40℃:中温性菌、50〜60℃:高温性菌の3つのグループに分類される。病原制菌のほとんどが中温性菌に含まれる。一方、土壌菌であるバチルス属細菌は高温でも増殖が可能で芽胞形成能があり一旦芽胞を形成すると100℃でも不活化できない。 50℃加温処理は自動的に50℃を5時間維持した後処理を終了する夜間入浴後にボタンを押すと翌日午前までに処理が終了し入浴温度にする。50℃という温度は人が間違って接触しても軽微な低温熱傷で済み安全性も確保できる。(50℃処理の効果検証結果) 黄色ブドウ球菌、カンジダ、浴水中バチルスを一般ブイヨン36℃で攪拌培養し菌数を測定後50℃で5時間の高温処理し直後に菌数を測定し、36℃で培養したものを対照とした結果を表8に示す。なお、レジオネラニューモフィリアはBCYEαブイヨンにて培養した 。(CFU/ml) 表8に示したとおり、病原性菌は発育を阻止されカンジダは1回の処理で消失した。カンジダは、その後36℃での培養を継続しても発育はなく完全に消滅していた。黄色ブドウ球菌は1/107にレジオネラは1/104 に減数していた。バチルス属細菌は加温による減少影響を受けなかった。よって、50℃処理は病原性細菌による浴水汚染の抑制改善に有効であると考察される。 1… 培養液循環装置 10… 本体 11… 筐体 12… 蓋 14… 操作パネル 20… 泡出しユニット 21… 入水口 22… 出水口(ジェットノズル) 23… 入水用ホース接続口 24… 出水用ホース接続口 25… 吸盤 30… 入水用ホース 32… 出水用ホース 40… 循環部 50… 加熱部 52… ヒータ 54… 温度センサ 60… 酸素供給部 70… 制御部。 150〜180リットルの浴水に600gのバチルス粉末を懸濁し、 該バチルス粉末を懸濁した浴水を35〜45℃の温度に保つとともに、酸素飽和度70%以上の酸素供給を行って発酵させることにより得られることを特徴とする入浴治療用の培養液。 浴槽に入れた請求項1に記載の培養液を循環させるための循環手段と、 前記循環手段により循環される前記培養液を加熱する加熱手段と、 前記循環手段により循環される前記培養液中に酸素を供給する酸素供給手段と、 前記循環手段により循環される前記培養液の温度を前記加熱手段により35〜45℃に加熱して保持させるとともに、前記酸素供給手段により前記培養液の酸素飽和度を70%以上にする制御手段と、 を備えたことを特徴とする入浴治療用の培養液循環装置。 請求項2に記載の入浴治療用の培養液循環装置において、 前記制御手段は、前記循環手段で循環される前記培養液の温度を前記加熱手段により50℃に加熱し、所定時間保持することを特徴とする入浴治療用の培養液循環装置。 【課題】皮膚炎の治療に適した入浴治療用の培養液とその培養液を治療に適した状態に保つことができる入力治療用の培養液循環装置とを提供する。【解決手段】150〜180リットルの浴水に600gのバチルス粉末を懸濁した浴水を35〜45℃の温度に保つとともに、酸素飽和度70%以上の酸素供給を行って数日間発酵させて得られた入浴治療用の培養液を浴槽に入れ、循環部40で循環させ、制御部70において、循環部40により循環される培養液の温度を加熱部50により35〜45℃に加熱して保持させるとともに、酸素供給部60により培養液の酸素飽和度を70%以上にするようにした入浴治療用の培養液循環装置1。【選択図】図1


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