生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_変性ポリオレフィンの変性構造解析方法
出願番号:2013188095
年次:2015
IPC分類:G01N 30/06,C08F 255/00,G01N 27/62,G01N 30/72,G01N 30/88


特許情報キャッシュ

貴田 将司 丸 康充 宮内 康次 JP 2015055519 公開特許公報(A) 20150323 2013188095 20130911 変性ポリオレフィンの変性構造解析方法 株式会社UBE科学分析センター 594161998 きさらぎ国際特許業務法人 110001612 貴田 将司 丸 康充 宮内 康次 G01N 30/06 20060101AFI20150224BHJP C08F 255/00 20060101ALI20150224BHJP G01N 27/62 20060101ALI20150224BHJP G01N 30/72 20060101ALI20150224BHJP G01N 30/88 20060101ALI20150224BHJP JPG01N30/06 EC08F255/00G01N27/62 VG01N27/62 XG01N30/06 ZG01N30/72 CG01N30/88 MG01N30/88 P 5 1 OL 9 2G041 4J026 2G041CA01 2G041DA02 2G041DA04 2G041DA05 2G041DA09 2G041DA13 2G041DA16 2G041DA18 2G041EA04 2G041FA07 2G041GA03 2G041GA06 2G041GA08 2G041HA01 2G041MA05 4J026AA11 4J026AA12 4J026AA13 4J026AA14 4J026BA24 4J026BA33 4J026BA35 4J026BB01 4J026EA03 本発明は、変性ポリオレフィンの変性構造解析方法に関する。 変性ポリオレフィンは、無極性のポリオレフィンを極性基である無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸によりグラフ卜変性することで得られる、接着性や相容性が付加されたポリマーであり、自動車部材を始めとする広範な領域で使用されている。この変性ポリオレフィンの材料特性には不飽和カルボン酸のグラフト構造が大きく寄与するため、製造・開発現場から不飽和カルボン酸グラフト構造の解析手法の開発が強く望まれてきた。このため、1H−NMRを用いた変性ポリオレフィンのグラフト構造の解析手法がこれまで開発されている(非特許文献1〜3)。 一方で、近年、不飽和カルボン酸のグラフト率が0.1wt%以下という非常に低い変性ポリオレフィンが実用化されてきている。さらに、これらが複合材料中に使用される場合には、材料全体における不飽和カルボン酸のグラフト率がより極微量となるため、1H−NMR解析のみでは、そのグラフト構造を捉えきれない場合が出現する。 斯かる問題を解決するため、1H−NMRに比べて検出感度が非常に高い、質量分析法を用いた変性ポリオレフィンのグラフト構造解析手法の確立が求められている。 しかしながら、これまでに、変性ポリオレフィンの解析に質量分析法を用いた例は少なく、S/N比の非常に低い、即ち、微量分析には適用困難なレベルの測定結果しか報告されていない(非特許文献4)。K. Miyauchi et al., Polymer, 52,3519−21 (2011)K. Miyauchi et al., BUNSEKl KAGAKU, 55,547−54 (2006)K. Miyauchi et al., Magn. Reson. Chem., 50,580−3 (2012)Dean Shi et al., Polymer,4 2,5 549−57 (2001) 本発明の目的は、変性ポリオレフィンの変性構造解析において、S/N比の非常に高い、即ち、微量分析にも適用し得るマススペクトルを得ることによって、高精度の変性ポリオレフィンの変性構造解析方法を提供することにある。 上記課題を解決するため、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、変性ポリオレフィンから不純物を除去した後に、液体クロマトグラフ質量分析(LC/MS)にて分析することにより、高精度の変性構造解析が可能であることを見出した。 すなわち、本発明の一態様は、ポリオレフィンを不飽和カルボン酸によりグラフト変性してなる変性ポリオレフィン試料から不純物を除去する工程、及び前記不純物が除去された変性ポリオレフィン試料を液体クロマトグラフ質量分析により分析し、変性ポリオレフィンの変性構造を解析する工程を具備することを特徴とする変性ポリオレフィンの変性構造解析方法を提供する。 以上のように構成される本発明の一態様に係る変性ポリオレフィンの変性構造解析方法において、前記変性ポリオレフィン試料からの不純物の除去は、前記変性ポリオレフィン試料を、変性ポリオレフィン試料を溶解する溶媒に浸漬し、濾過することにより行うことができる。この場合、溶媒として、水、又はアセトン、ヘキサン、クロロホルム、及びメタノールからなる群から選ばれた有機溶媒を用いることができる。 前記ポリオレフィンをグラフト変性する不飽和カルボン酸を、無水マレイン酸とすることができる。また、前記変性ポリオレフィンのポリオレフィンを、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、及びデセン−1からなる群から選ばれた炭素数2以上のα−オレフィンの単独重合体、これら2種以上のα−オレフィンのランダム又はブロック重合体、前記α−オレフィンと他のモノマーとのランダム、ブロック、若しくはグラフト重合体、又はこれらの混合物とすることができる。 本発明によれば、変性ポリオレフィンのS/N比の非常に高い、即ち、微量分析にも適用し得るマススペクトルを得ることができるので、高精度の変性ポリオレフィンの変性構造解析方法が提供される。実施例1におけるLC/MSにより得たEICを示す図である。図1におけるm/z441のマススペクトルを示す図である。無水マレイン酸プロピレンオリゴマーの推定構造を示す図である。比較例1におけるESI−MSにより得たマススペクトルを示す図である。 以下、発明を実施するための形態について、詳細に説明する。 本発明の一実施形態に係る変性ポリオレフィンの変性構造解析方法は、変性ポリオレフィン試料から不純物を除去した後、液体クロマトグラフ質量分析により分析し、変性ポリオレフィンの変性構造を解析することを特徴とする。 ここで、変性ポリオレフィンとは、ポリオレフィンに接着性や相溶性を付与するために、ポリオレフィンを、有機過酸化物や熱分解法等により発生させたラジカルを開始剤として、不飽和カルボン酸によりラジカル変性することにより得られるものである。 不飽和カルボン酸としては、無水マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アコニット酸、クロトン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸及び無水コハク酸等が挙げられる。 有機過酸化物としては、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。 ポリオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2以上のα−オレフィンの単独重合体、これら2種類以上のモノマーのランダム又はブロック重合体、炭素数2以上のα−オレフィンを主成分とし、他のモノマーとのランダム若しくはブロック、グラフト等の重合体、又は、これらの混合物が挙げられる。 変性ポリオレフィンの具体例としては、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等が挙げられる。 変性ポリオレフィン試料から不純物を除去する方法としては、例えば、変性ポリオレフィン試料を、変性ポリオレフィン試料を溶解する溶媒に浸漬して抽出し、次いで濾過して不溶分を除去する方法が挙げられる。濾過は、例えば、遠心分離と限外濾過との組み合わせにより行ってもよい。 変性ポリオレフィンの抽出に用いる溶媒は、水、又はアセトン、ヘキサン、クロロホルム、メタノール等の有機溶媒が好ましい。溶媒は、変性ポリオレフィンの種類によって適宜選択することができる。例えば、無水マレイン酸変性ポリオレフィンの場合には、アセトンを抽出溶媒として、これに無水マレイン酸変性ポリオレフィンを浸漬することで抽出を行うことが好ましい。 抽出溶媒は、変性ポリオレフィン0.1gに対して好ましくは20〜100ml、より好ましくは40〜60ml使用される。抽出温度は好ましくは10〜80℃、より好ましくは20〜30℃で、好ましくは6〜36時間、より好ましくは6〜12時間静置して抽出される。 次に、得られた抽出液を、メッシュのろ紙にて濾過し、得られたろ液を液体クロマトグラフ質量分析に供試する。 液体クロマトグラフ質量分析(LC/MS)は、液体クロマトグラフ(LC)と質量分析(MS)とを組み合わせた分析法である。液体クロマトグラフ質量分析(LC/MS)を行う装置は、液体クロマトグラフ部(LC部)と、質量分析部(MS部)とから構成される。MS部は、イオン化部、分析部、及び検出部とから構成される。 まず、LC部において、不純物が除去された変性ポリオレフィン試料に含まれる検出対象物質が分離される。分離された検出対象物質は、MS部のイオン化部においてイオン化された後、分析部において質量電荷比(m/z)に応じて分離され、分離されたイオンは検出部において増幅され、検出される。そして、得られた質量スペクトル(マススペクトル)に基づいて、検出対象物質の同定や構造解析が行われる。 LC部においては、逆相カラム、例えばODSカラムを用い、溶離液として水系溶媒と水溶性有機溶媒との混液を用いる液体クロマトグラフに付すことにより検出対象物質の分離が行われる。 ODSカラムとは、例えば、シリカゲル担体に、オクタデシルシリル基(OctaDecylSilyl=ODS基、C18基)が化学結合した充填剤が詰められた逆相クロマトグラフィーで用いられるカラムを意味する。ODSカラムとしては、具体的には、ZORBAX SB−C18(Agilent社製)、YMC−Pack ODS−AM(YMC社製)、YMC−Pack Pro C18(YMC社製)、Sunfire TM C18(Waters社製)、Xbridge shield RP18(Waters社製)、Xbridge C18(Waters社製)、Unison UK−C18(Imtakt社製)、又はCadenza CD−C18(Imtakt社製)等が挙げられる。中でも、ZORBAX SB−C18、5 μm、4.6mm(I.D.)×250mm(L.)(Agilent社製)等が好ましい。 カラム温度としては、20〜40℃が好ましく、40℃がより好ましい。 水系溶媒としては、精製水、蒸留水又はHPLC用水等が挙げられる。水系溶媒は、pH2.0〜4.0に調整されることが好ましい。水系溶媒のpH調整は、例えば、酢酸、ギ酸、酢酸アンモニウム等により行うこと好ましく、ギ酸が特に好ましい。pH調整物質の濃度は、例えば0.01〜50mmol/Lが好ましく、1〜30mmol/Lがより好ましく、10〜25mmol/Lが特に好ましい。 また、水溶性有機溶媒としては、メタノール、アセトニトリルなどが挙げられる。 本実施形態の変性構造解析方法においては、水系溶媒を(A)液とし、水溶性有機溶媒を(B)液とし、以下の条件で液体クロマトグラフィーにより分離を行うことが好ましい。まず、溶離液の流速を、例えば、約0.2〜1.0mL/min、好ましくは1.0mL/minとし、(B)液0〜100%、好ましくは0〜10%でカラムを平衡化する。次いで、30〜180分間、好ましくは60〜120分間のリニアグラジエントで、(B)液の最終濃度を70〜100%とする。試料の注入量は、10〜100μLが好ましく、20〜50μLがより好ましい。 次に、MS部のイオン化部において、分離された検出対象物質がイオン化される。イオン化の方法としては特に制限はなく、エレクトロスプレイイオン化法(ESI)、大気圧化学イオン化法(APCI)、光イオン化法(PI)、電子イオン化法(EI)、化学イオン化法(CI)、高速電子衝撃(FAB)/液体二次イオン化法(LSIMS)、マトリクス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)、フィールドイオン化法(FI)、フィールド脱離法(FD)、熱スプレー/プラズマスプレーイオン化法、およびパーティクルビーム・イオン化法などの一般に利用されるイオン化法を用いることができる。中でも特に、エレクトロスプレイイオン化法(ESI)が好ましい。 次に、MS部の検出部において、検出対象物質のイオン化によって生成した正または負に帯電したイオンを分析し、質量電荷比(すなわちm/z)を測定することができる。好ましくは、負帯電イオンを分析する。質量電荷比を測定するのに好適な分析計には、四重極型分析計、イオントラップ型分析計、および飛行時間型分析計が挙げられる。好ましくは、飛行時間型分析計を用いて質量電荷比を測定する。その後、検出部においてイオンの検出が行われる。イオンの検出は、いくつかの検出法を用いて行ってもよい。例えば、選択イオンモニタリングモード(SIM)を用いて選択されたイオンを検出するか、またはスキャンモードを用いてイオンを検出してもよい。 本実施形態の変性構造解析方法においては、スキャンモードで質量分析を行った後に指定のm/zのピークが検出されているクロマトグラムのみを抽出したEIC(Extracted Ion Chromatogram)で解析を行うことが好ましい。 以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これは発明を例示するものであって、何ら限定するものではない。(実施例1) 試料として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MA−g−PP)(商品名:ユーメックス1010、三洋化成社製、グラフト率4.9wt%)を用いた。 このMA−g−PP試料0.5gを0.1Lのアセトン中に一晩浸漬した後、不溶分を濾過し、抽出液を得た。なお、この抽出操作は、非特許文献4に記載の方法により行った。 次に、得られた抽出液を、下記の条件により、逆相モードで液体クロマトグラフ質量分析(LC/MS)により分析した。(LC/MS測定条件)[LC条件] 濃度 :0.1wt%(アセトン溶液) カラム :Zorbax SB−C18(2.1mm×150mm、3.5mm)Agilent社製 溶離液 :A=0.2wt%ギ酸水溶液、B=0.2wt%ギ酸MeOH グラジエント:B=30%(0−5min)−100%(5−75min)−100%(75−90min) 流速 :0.2mL/min カラム温度 :40℃[MS条件] イオン化法 :ESI 検出モード :ネガティブ(−)モード Dry Gas流量 :8.0L/min. Dry Temp. :200℃ 測定結果を図1の抽出イオンクロマトグラム(EIC)に示す。図1で検出されているm/z42間隔のピークは、プロピレンオリゴマーの可能性が高い。しかし、ホモプロピレンオリゴマーは極性が低いため、ESI−MSでは検出されない。そのため、m/z42間隔のピークは、極性基が結合したプロピレンオリゴマーと推定される。その例として、今回のサンプルでは、無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーが推測される。 もし、無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーであれば、O原子を有するはずである。また、今回の試料調整液および溶離液中には水が含まれているため、グラフトしている無水マレイン酸は開環している可能性が高い。 したがって、図1で検出されているm/z42間隔のピークの成分はO原子の含有量が4の倍数であることが推定される。 一例として、m/z441が検出されているピークのマススペクトルを図2に示す。m/z441が検出されているピークのマススペクトル(図2)を確認したところ、441.2467のピークが高いS/N比で確認された。 441.2467のピークについて、下記検索条件にて分子式検索を行った。[検索条件:誤差±10mDa、Oの含有量が4の倍数] その結果、C23H37O8(m/z441.2494、誤差+2.7mDa)が推定された。この分子式から、無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーとして、図3の構造を推定することができる。 図1〜3より、PP鎖長の異なるMA−g−PPがLCによって分離されており、無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーと推測されるm/z441のピークがEIC上で検出されていることが分かる。 PP鎖の長い成分、すなわちm/zが大きい成分ほど、保持時間が長くなった。また、無極性のPP鎖が長い成分、すなわちm/zが大きい成分ほど、極性が低くなることが予想される。今回は逆相モードでの測定のため、一般的に極性の低い成分ほど保持時間が長くなる。 ホモプロピレンオリゴマーは、無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーと比較して極性が極めて低いと推測され、この条件において、ホモプロピレンオリゴマーと無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーとの分離は、達成されていると考えられる。 以上のことから、LC/MSを用いることで、ホモプロピレンオリゴマーと無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーの分離に成功したのみならず、無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーのPP鎖長の異なる成分についても、分離できる条件を見出すことができた。(比較例1) クロマトグラフによる分離を行わず、抽出液を直接ESI法によりイオン化し、下記の条件にてMS分析を行った。(ESI−MS 測定条件) 濃度 :0.01wt%(アセトン溶液[微量の水を加えた]) 導入法 :直接導入(流速:3mL/min) 検出モード :ネガティブ(−)モード Dry Gas流量 :4.0L/min. Dry Temp. :200℃ 結果を図4に示す。図4より、PPにMAが2個グラフトした構造に由来する分子量(m/z441、525、567、609)が検出された。 ESI−MS測定結果をみると、m/z42間隔のピークはプロピレンオリゴマーの可能性が高い。しかし、ホモプロピレンオリゴマーは極性が低いため、ESI−MSでは検出されない。そのため、m/z42間隔のピークは、極性基が結合したプロピレンオリゴマーと推定される。その例として、今回のサンプルでは、無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーが推測される。 もし、無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーであれば、O原子を有するはずである。また、今回の試料調整液中には水が含まれているため、グラフトしている無水マレイン酸は開環している可能性が高い。 したがって、m/z42間隔のピークはO原子の含有量が4の倍数であることが推定される。 以上のことから、m/z42間隔のピークの中で、検出感度が高くm/zが小さい441.2458のピークについて、下記検索条件にて分子式検索を行った。[検索条件:誤差±10mDa、Oの含有量が4の倍数] その結果、C23H37O8(m/z441.2494、誤差+3.6mDa)が推定された。この分子式からも実施例1と同様、無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーとして、図3の構造が推定することができる。 しかしながら、図4のマススペクトルでは非常にS/N比が低く、微量分析へ適用することは困難であった。 測定試料中には、無水マレイン酸がグラフトしていないホモプロピレンオリゴマーが多く混在していると考えられ、このことが無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーのイオン化を阻害している可能性が考えられる。 以上より、高感度化には、液体クロマトグラフ(LC)によって、ホモプロピレンオリゴマーと無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマーの分離を行うことが重要であると考えられる。 ポリオレフィンを不飽和カルボン酸によりグラフト変性してなる変性ポリオレフィン試料から不純物を除去する工程、及び 前記不純物が除去された変性ポリオレフィン試料を液体クロマトグラフ質量分析により分析し、変性ポリオレフィンの変性構造を解析する工程を具備することを特徴とする変性ポリオレフィンの変性構造解析方法。 前記変性ポリオレフィン試料からの不純物の除去は、前記変性ポリオレフィン試料を、変性ポリオレフィン試料を溶解する溶媒に浸漬し、濾過することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の無水マレイン酸変性ポリオレフィンの変性構造解析方法。 前記溶媒は、水、又はアセトン、ヘキサン、クロロホルム、及びメタノールからなる群から選ばれた有機溶媒であることを特徴とする請求項2に記載の変性ポリオレフィンの変性構造解析方法。 前記ポリオレフィンをグラフト変性する不飽和カルボン酸は、無水マレイン酸であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の変性ポリオレフィンの変性構造解析方法。 前記変性ポリオレフィンのポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、及びデセン−1からなる群から選ばれた炭素数2以上のα−オレフィンの単独重合体、これら2種以上のα−オレフィンのランダム又はブロック重合体、前記α−オレフィンと他のモノマーとのランダム、ブロック、若しくはグラフト重合体、又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の変性ポリオレフィンの変性構造解析方法。 【課題】変性ポリオレフィンの変性構造解析において、S/N比の非常に高い、即ち、微量分析にも適用し得るマススペクトルを得ることによって、高精度の変性ポリオレフィンの変性構造解析方法を提供する。【解決手段】ポリオレフィンを不飽和カルボン酸によりグラフト変性してなる変性ポリオレフィン試料から不純物を除去する工程、及び前記不純物が除去された変性ポリオレフィン試料を液体クロマトグラフ質量分析により分析し、変性ポリオレフィンの変性構造を解析する工程を具備することを特徴とする変性ポリオレフィンの変性構造解析方法である。【選択図】図1


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