生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_細胞培養基材用材料及び細胞培養基材の製造方法
出願番号:2013183705
年次:2015
IPC分類:C12M 3/00,C08L 33/14,C08L 75/08,C08L 1/08


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石川 崇 JP 2015050936 公開特許公報(A) 20150319 2013183705 20130905 細胞培養基材用材料及び細胞培養基材の製造方法 東洋インキSCホールディングス株式会社 000222118 石川 崇 C12M 3/00 20060101AFI20150220BHJP C08L 33/14 20060101ALI20150220BHJP C08L 75/08 20060101ALI20150220BHJP C08L 1/08 20060101ALI20150220BHJP JPC12M3/00 AC12M3/00 ZC08L33/14C08L75/08C08L1/08 3 OL 12 4B029 4J002 4B029AA02 4B029AA21 4B029BB11 4B029CC02 4B029GB09 4J002AB051 4J002BG071 4J002CK041 4J002GB00 4J002GE00 本発明は、細胞培養基材用材料、及びそれを使用した細胞培養基材、およびその製造方法に関するものである。 リンパ球などの足場非依存性細胞は、従来より市販の低温プラズマ処理を施した培養器具や、未処理の細菌培養器具などを用いて培養されてきた。しかしこれらの培養器具では、リンパ球の中でも特にNS−1やMOLT4のように、培養器具に接着し、回収が困難な場合が多い。このような場合には、トリプシン等の酵素やEDTA(エチレンジアミンテトラアセティックアシッド)を使用するか、セルスクレーパーなどを用いる物理的方法で細胞を剥離する方法がとられているが、一般的には細胞へのダメージが大きく、細胞の生存率を低下させるなどの問題があった。 一方、足場依存性細胞は、基本的には親水性を制御した低温プラズマ処理された培養器具等を用いて、単層培養する方法が行なわれている。しかし近年では、親水性のPHEMA(ポリヒドロキシエチルメタクリレート)を塗布した培養器具で、肝細胞がスフェロイドを形成すること(EXPERIMENTAL CELL RESEARCH,200,326−332(1992))による報告事例、またセルロースにプロピルイソシアネートで表面修飾した材料上で、血管内皮細胞が線状凝集塊を形成する(生体材料,vol.10,No.1(1992))報告事例がある。 これは、足場依存性細胞は単に単層培養するよりも、3次元的な細胞構造を形成させる方が、その機能維持に有利であると言われるようになってきた為である。しかし、種々の足場依存性細胞については、このような研究はほとんどなされておらず、広範な足場依存性細胞について、普遍的にこのような凝集塊を形成させるような基材はまだ見出されていない。EXPERIMENTAL CELL RESEARCH,200,326−332(1992)生体材料,vol.10,No.1(1992) 本発明は、足場非依存性細胞を接着させずに培養し、無傷のまま回収を容易にし、また、足場依存性細胞についてもほとんど接着させずに経時的に凝集塊を形成させ、その機能を維持向上させるような、培養基材用樹脂組成物、もしくはそれからなる培養基材を提供することを目的としている。 すなわち本発明は、単量体(a)を含んでなるアクリル樹脂(A)、構造(b)を含んでなるウレタン樹脂(B)、およびポリ乳酸をグラフト化した多糖(C)のうち、少なくとも一種の樹脂を含有する、細胞培養基材用材料(D)である。 さらに、前記した細胞培養基材用材料(D)を、溶媒に溶解して溶液に調整し、これを培養用材料に塗布した後、乾燥して得られることを特徴とする細胞培養基材(Z)、およびその製造方法である。 本願発明の細胞培養基材用材料を使用した細胞培養基材により、広範囲の足場依存性細胞、足場非依存性細胞の培養において、極めて有用な機能を発現した。 本発明において使用する、単量体(a)を含むアクリル樹脂(A)について詳細を述べる。(a)メトキシエチルアクリレート アクリル樹脂(A)はその構造中に、単量体(a)を含むことを特徴とする。 アクリル樹脂(A)は、単量体(a)のみからなるホモポリマー(A−1)を使用することができる。また、アクリル樹脂(A)は、単量体(a)および、共重合可能なその他の単量体(a−1)からなるアクリル共重合体(A−2)を使用することができる。 単量体(a−1)は公知のものを用いてよいが、特にカルボキシル基、水酸基、グリシジル基等の、架橋性官能基を有する単量体(a−2)を共重合した場合には、樹脂組成物(D)に架橋剤(E)を加えることにより、最終的に架橋した細胞培養基材用樹脂組成物を得ることができる。 架橋剤(E)としては、カルボキシル基、水酸基、グリシジル基等を架橋する従来公知の化合物を使用することができる。 水酸基を有するモノマーとしては、ヒドロキシメチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートなどが例示される。 またカルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸などが例示される。 グリシジル基を有する単量体としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどがあげられる。 その他の公知の単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、2−シアノエチルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフロロブチルメタクリレート、パーフロロオクチルエチルメタクリレート、イソシアネートエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、スチレン、tert−ブチルメタクリレート、N−メチロールメタクリルアミド、アクリルアミド、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、イソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、などがあげられる。ま た、アクリル樹脂(A)は、(A−1)、(A−2)をそれぞれ単独で使用しても、もしくは混合したものを使用してもよい。 アクリル樹脂(A)の重量平均分子量は、1万以上10万以下のものが好ましい。 アクリル樹脂(A)は、従来既知の合成方法により得ることができる。 アクリル樹脂を合成する溶媒としては、水または有機溶剤を使用することができる。 本発明において使用する、構造(b)を含んでなるウレタン樹脂(B)について詳細を述べる。構造(b) ウレタン樹脂(B)は、構造(b)を有するポリオール(b−1)およびポリイソシアネート(F)を反応せしめて成る。ポリオール(b−1)としては、任意の分子量のものを使用することができる。また、その他の従来公知のポリオールを(b−1)と併用して用いることができる。従来公知のポリオールとしては、各種のポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリブタジエングリコール類、またはこれらの混合物等が使用できる。 ポリエーテルポリオール類としては、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体などが挙げられる。 ポリエステルポリオール類としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ダイマージオール等の飽和および不飽和の低分子ジオール類、ならびにn−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル類のアルキルグリシジルエーテル類、バーサティック酸グリシジルエステル等のモノカルボン酸グリシジルエステル類と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のジカルボン酸類、またはこれらの無水物類を、脱水縮合して得られるポリエステルポリオール類や、環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルポリオール類が挙げられる。 ポリカーボネートポリオール類としては、1)ジオールまたはビスフェノールと炭酸エステルとの反応物、および、2)ジオールまたはビスフェノールにアルカリの存在下でホスゲンとの反応物が使用できる。炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。また、ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、2,2,8,10−テトラオキソスピロ〔5.5〕ウンデカン等が挙げられる。また、ビスフェノールとしては、ビスフェノールAやビスフェノールF、ビスフェノール類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたビスフェノール類等が挙げられる。 ポリイソシアネート(F)としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族イソシアネート、またはこれらの混合物を使用できるが、特にイソホロンジイソシアネートが好ましい。 芳香族ジイソシアネートとしては、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4′−ベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。 脂肪族ジイシシアネートとしては、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。 脂環族ジイソシアネートとしては、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアナートメチル、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。 ウレタン樹脂(B)は、ポリオール(b)およびまたは(b−1)由来の水酸基と、ポリイソシアネート由来のイソシアネート基を反応させる際の比率により、主骨格の末端を水酸基もしくはイソシアネート基である樹脂を得ることができる。 ウレタン樹脂(B)の両末端がイソシアネート基の場合は、アミノ基を有する化合物、水酸基を有する化合物、カルボキシル基を有する化合物を、細胞培養基材用材料(D)に配合することにより、反応せしめて架橋することができ、最終的に架橋した細胞培養基材用材料を得ることができる。 ウレタン樹脂(B)の両末端が水酸基の場合は、イソシアネート基を有する化合物を樹脂組成物(D)に配合することにより、反応せしめて架橋することができ、最終的に架橋した細胞培養基材用樹脂組成物を得ることができる。 ウレタン樹脂(B)は、複数種のウレタン樹脂(B)を混合して使用してもよい。 ウレタン樹脂(B)の重量平均分子量は、1万以上10万以下が好ましい。 ウレタン樹脂(B)は、従来既知の合成方法により得ることができる。 ウレタン樹脂を合成する溶媒としては、水または有機溶剤を使用することができる。 本発明において使用する、ポリ乳酸をグラフト化した多糖(C)について詳細を述べる。(C)構造 分子量は4万から25万であることが好ましい。 ポリ乳酸をグラフト化した多糖のうち、糖の含有率は10%から30%が好ましい。 ポリ乳酸をグラフト化した多糖(C)は、公知の溶媒に溶解して用いて良い。 細胞培養基材用材料(D)は、アクリル樹脂(A)ウレタン樹脂(B)、ポリ乳酸をグラフト化した多糖(C)を少なくとも一種含み、それぞれを単独でも、または混合して使用してもよい。 細胞培養基材用材料(D)には、従来公知の添加剤を用いて使用してもよい。 細胞培養基材用材料(D)には、従来公知のフィラー、微粒子を添加してもよい。フィラーとしては、無機系、有機系、炭素系のフィラー、微粒子を使用することができる。 フィラーを添加することにより、最終的に得られる細胞培養基材(Z)の表面形状の凹凸を適切に制御し、スフェロイドを形成し易くすることが可能である。 また、この細胞培養基材用材料(D)を培養用材料に塗布する際には、溶媒に溶解した細胞培養基材用材料(D)の溶液を、従来公知の方法により培養用材料にコーティングする。 細胞培養基材用材料(D)の溶液を塗布する培養用材料は特に限定するものではなく、プラスチック製、ガラス製、金属製の容器やフィルム、シート、不織布を使用することができる。 さらには、多孔質およびまたは繊維状樹脂からなるシートなどが使用可能である。 本発明において用いられる多孔質およびまたは繊維状からなるシートは、細胞の接着及び細胞の通過を許容するものであれば、その材質や形態は特に限定しない。 公知の有機樹脂、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、セルロース、再生セルロース、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの含フッ素樹脂、ポリアミド、ポリイミドから形成された多孔質およびまたは繊維状からなるフィルム、シート、不織布が使用できる。 細胞培養基材用材料(D)の溶液の濃度は、培養用容器への塗布時の塗布厚みを調節する上で重要であり、1乃至35wt%が良く、好ましくは5乃至25wt%が良い。また、組成物の塗布厚みは、最低1μmあれば効果を発揮するが、塗布時のばらつきを考慮すると、平均5乃至10μmの厚みに塗布することが好ましい。 細胞培養基材用材料(D)を培養用材料に塗布せしめたのち、従来公知の方法で溶媒を乾燥し、細胞培養基材(Z)を得る。 細胞培養基材用材料(D)に架橋剤を配合している場合は、適当な条件で架橋反応させることにより、架橋された細胞培養基材用材料(D)からなる細胞培養基材(Z)を得ることができる。 このようにして得られた細胞培養基材の表面(基材)上に足場非依存性細胞を播種すると、細胞は市販の組織培養ディッシュ上とほぼ同様の増殖性・細胞生存率を示しながら、かつ基材に接着することなく容易に回収が可能となる。 また、足場依存性細胞を播種すると、細胞はほとんど接着せず、増殖性が抑制されながら次第に凝集塊を形成しその機能を維持向上させることが可能となる。さらに、足場依存性細胞の場合、本発明の基材への接着性は細胞の種類によって微妙に異なり、自ずからその機能発現性も異なる。従って、足場依存性細胞の種類によって、本発明に於ける基材の塗布厚みを制御することが好ましい。 以下、実施例によって本発明の効果を説明する。 細胞培養基材用材料合成例1 アクリル樹脂(A)の合成 [アクリル樹脂の合成] 撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに窒素気流下、MEK220部を仕込み、80℃に加熱し、メトキシエチルアクリルレート160部、2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル0.72部、MEK10部を2時間かけて滴下し1時間反応させた。その後、2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル0.04部とMEK5部を添加し1時間反応させ、さらに2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル0.04部とMEK5部を添加し1時間反応させた。反応終了後、冷却し、固形分40%、重量平均分子量4.8万のアクリル樹脂溶液(D-1)を得た。合成例2ウレタン樹脂(B)の合成[ウレタン樹脂の合成] 撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、PEG400(日油株式会社製、エチレングリコール:OH価279KOHmg/g)100.6部、イソホロンジイソシアネート52.9部、トルエン65.8部を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら60℃まで昇温した。続いてこのフラスコに、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.015部を投入し、110℃で3時間攪拌し、ウレタン化の反応を行った。反応終了後、冷却し、トルエン87.7部を加えて、固形分50%、重量平均分子量3.2万のウレタン樹脂溶液(D−2)を得た。 調整例1 ポリ乳酸をグラフト化した多糖(C)の調整Dex120−18(多木化学社製、ポリ乳酸グラフト化多糖)5部をMEK5部に溶解し、固形分50%、重量平均分子量8.1万の樹脂組成物(D−3)を得た。 実施例1 細胞培養基材用材料D−1をピペットで0.5ml取り、直径35mmのガラス製シャーレに注ぎ、シャーレの底及び側壁に塗布し、クリーンベンチ内で1時間風乾した後、40℃の乾燥器で2時間乾燥した。その後、クリーンベンチ内で紫外線を30分照射して滅菌した。こうして得られたシャーレにマウス由来骨髄腫P3/NS1/1−Ag4−1(DSファーマバイオメディカル(株)製)を1×104 個/mlの濃度で2ml播種した。使用した培地はRPMI−1640(和光純薬工業(株)製)500mlにグルタミン0.15mg(日水製薬製)及び牛胎児血清(和光純薬工業(株)製)50mlを添加したものを使用した。 実施例2 細胞培養基材用材料D−2をピペットで0.5ml取り、直径35mmのガラス製シャーレに注ぎ、シャーレの底及び側壁に塗布し、クリーンベンチ内で1時間風乾した後、40℃の乾燥器で2時間乾燥した。その後、クリーンベンチ内で紫外線を30分照射して滅菌した。こうして得られたシャーレにマウス由来骨髄腫P3/NS1/1−Ag4−1(DSファーマバイオメディカル(株)製)を1×104 個/mlの濃度で2ml播種した。使用した培地はRPMI−1640(和光純薬工業(株)製)500mlにグルタミン0.15mg(日水製薬製)及び牛胎児血清(和光純薬工業(株)製)50mlを添加したものを使用した。 実施例3 細胞培養基材用材料D−3をピペットで0.5ml取り、直径35mmのガラス製シャーレに注ぎ、シャーレの底及び側壁に塗布し、クリーンベンチ内で1時間風乾した後、40℃の乾燥器で2時間乾燥した。その後、クリーンベンチ内で紫外線を30分照射して滅菌した。こうして得られたシャーレにマウス由来骨髄腫P3/NS1/1−Ag4−1(DSファーマバイオメディカル(株)製)を1×104 個/mlの濃度で2ml播種した。使用した培地はRPMI−1640(和光純薬工業(株)製)500mlにグルタミン0.15mg(日水製薬製)及び牛胎児血清(和光純薬工業(株)製)50mlを添加したものを使用した。 比較例1 市販の組織培養シャーレ(コーニング社製)に、本願発明の細胞培養基材用材料(D)は塗布せずに、実施例1と同じ細胞を同条件で播種した。 いずれも、三日後に細胞の状態を倒立顕微鏡にて観察し、細胞数を血球計算盤にて計数した。また、細胞液を10μlサンプリングし、トリパンプルーで染色することによって、細胞の生存率を求めた。尚、接着が強く細胞の回収が困難なものはセルスクレーパー(住友ベークライト(株)製)にて剥離し、ピペッティング後に計数した。その結果は表1に示した通りで、本発明による細胞培養基材はリンパ球のような足場非依存性細胞の接着を大幅に抑制し、培養後の回収が極めて容易で、かつ市販シャーレと同等以上の細胞増殖性を示す新規な培養基材であることが分った。 実施例4 直径35mmのシャーレ(住友ベークライト(株)製、MS−10350)に樹脂組成物D−1を1ml添加し、速やかにこの溶液を排出し、温風乾燥機内で40℃にて12時間乾燥した。その後、クリーンベンチ内で5分間、紫外線滅菌した。続いて、ヒト肝癌由来株細胞(Hep G2)を無血清培地(味の素(株)社製、ASF104)を用いて1×104 個/mlの濃度に調製し、上記の細胞培養基材用材料D−1をコーティングしたシャーレに2mlずつ播種し、37℃5%CO2 インキュベータ内で7日間培養した。 実施例5 直径35mmのシャーレ(住友ベークライト(株)製、MS−10350)に樹脂組成物D−2を1ml添加し、速やかにこの溶液を排出し、温風乾燥機内で40℃にて12時間乾燥した。その後、クリーンベンチ内で5分間、紫外線滅菌した。続いて、ヒト肝癌由来株細胞(Hep G2)を無血清培地(味の素(株)社製、ASF104)を用いて1×104 個/mlの濃度に調製し、上記の細胞培養基材用材料D−2をコーティングしたシャーレに2mlずつ播種し、37℃5%CO2 インキュベータ内で7日間培養した。 実施例6 直径35mmのシャーレ(住友ベークライト(株)製、MS−10350)に樹脂組成物D−3を1ml添加し、速やかにこの溶液を排出し、温風乾燥機内で40℃にて12時間乾燥した。その後、クリーンベンチ内で5分間、紫外線滅菌した。続いて、ヒト肝癌由来株細胞(Hep G2)を無血清培地(味の素(株)社製、ASF104)を用いて1×104 個/mlの濃度に調製し、上記の細胞培養基材用材料D−3をコーティングしたシャーレに2mlずつ播種し、37℃5%CO2 インキュベータ内で7日間培養した。 比較例2 実施例4と同様にヒト肝癌由来株細胞(Hep G2)細胞を同条件で、シャーレ:住友ベークライト(株)製、MS−10350に2ml播種し、37℃5%CO2 インキュベータ内で7日間培養した。 上記の実施例4〜6および比較例2について、下記の方法で細胞の形態観察及びアルブミンの分泌能を評価した。その結果は表2に示した通りで、本発明に於ける培養基材上では、肝細胞はスフェロイドを形成し、単層培養に比較して極めて高いアルブミン合成能を示し、細胞の機能が十分に維持されていたことが分る。1) 培養形態7日目に倒立顕微鏡にて観察した。2) アルブミン分泌能の測定培地中のアルブミン濃度をELISA法により測定し、同時にシャーレ中の細胞数を測定して、単位細胞数あたりのアルブミン量を比較した。結果は実施例の単位細胞数あたりの分泌量を100として比較した。 以上のように、細胞培養基材用材料(D)を塗布してなる培養基材上では、足場非依存性細胞は基材に接着せずに増殖し、高い生存率を示した。また、足場依存性細胞は基材に接着せずに、経時的にスフェロイドを形成して、その機能を高く維持することが可能であった。このように、本発明の細胞培養基材用材料およびそれを使用した細胞培養基材は、広範囲の足場依存性細胞、足場非依存性細胞の培養において、極めて有用な機能を発現した。単量体(a)メトキシエチルアクリレートを含んでなる単量体を重合して成るアクリル樹脂(A)、構造(b)を含んでなるウレタン樹脂(B)、およびポリ乳酸をグラフト化した多糖(C)のうち、少なくとも一種の樹脂を含有する、細胞培養基材用材料(D)。(a)メトキシエチルアクリレート 請求項1記載の細胞培養基材用材料(D)を、溶媒に溶解し、培養用材料に塗布し、乾燥して得られることを特徴とする細胞培養基材(Z)。 請求項1記載の細胞培養基材用材料(D)を、溶媒に溶解して溶液に調整し、これを培養用材料に塗布した後、乾燥してなることを特徴とする、細胞培養基材(Z)の製造方法。 【課題】従来の細胞培養シャーレでは接着して剥離の困難な足場非依存性細胞を、接着させずに培養可能で、無傷で容易に回収でき、また、従来の細胞培養シャーレでは機能低下の生じる単層培養しかできなかった足場依存性細胞を、ほとんど接着させずに経時的にスフェロイドを形成させ、その機能を高く維持しつつ培養することが可能であることが可能な細胞培養基材用樹脂組成物の提供。【解決手段】単量体(a)メトキシエチルアクリレートを重合して成るアクリル樹脂(A)、ポリオール構造(b)を含んでなるウレタン樹脂(B)、およびポリ乳酸をグラフト化した多糖(C)のうち、少なくとも一種を含有する、細胞培養基材用材料(D)。【選択図】なし


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